JPH0581538U - シンクロナイザリング - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 歯車側円錐体へのシンクロナイザリングの食
い付き現象を防止して歯車側円錐体を円滑に摺動し、シ
フトフィーリングを良好にする。 【構成】 シンクロナイザリングの円錐状内周面すなわ
ち歯車側円錐体に対する接触面をねじ状連続溝で形成
し、かつ接触面積を小径側＞大径側にした。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は歯車変速機の同期噛合装置に用いるシンクロナイザリングに関する。

【０００２】

【従来の技術】

従来歯車変速機の同期噛合装置に用いられるシンクロナイザリングにおいて、 第３図に示すように、シンクロナイザリング本体１の円錐状内周面１ａに、円周 方向に刻設したねじ状連続溝２と該ねじ状連続溝を欠除するための溝３とを形成 すると共に該溝３の溝幅ｗ₁ を、円錐状内周面１ａの小径側と大径側とが同一幅 になるように形成したものが実開昭４８−３８２４８号公報、実開昭５５−９２ ９２０号公報に開示されている。

【０００３】 しかし該溝３をこのように同一幅に形成すると、歯車側円錐体と接触する円錐 状円周面１ａの接触面積が小径側の方が大径側より狭くなるので、単位面積当た りの面圧は小径側の方が大径側より大きくなる。ところで、変速時においては、 歯車側円錐体とシンクロナイザリングの円錐状内周面が摩擦係合する初期に、シ ンクロナイザリングの円錐状内周面における小径側が歯車側円錐体に大径側より 先行して接触して、小径側に局所的な高荷重が作用することが知られている。

【０００４】 そのため、前記のように小径側の単位面積当たりの面圧が大きいと変速時に歯 車側円錐体へのシンクロナイザリングの食いつき現象が発生し、シフトフィーリ ングの悪化を招来する問題がある。そのため、本願人はさきに、シンクロナイザ リングの円錐状内周面の歯車側円錐体に対する接触面積を小径側＞大径側として 面圧が大径側＞小径側とするためにシンクロナイザリングの円錐状内周面に、そ の軸方向に延び、かつ大径側より小径側の方の幅が広い台形状の突起部を数個均 等間隔をもって配置したものを提案した（実公昭６２−４６９１０）。

【０００５】

【考案が解決しようとする課題】 ところが上記突起部を形成したものにおいては次のような欠点を招来する。 すなわち突起部で形成される接触面にねじ状連続溝が切てないことによりオイ ルの排出力が悪く油膜切れがない。従って結合当初の食いつきは防止できるとし ても、結合部でのオイルの排出力が悪く油膜によるスリップが招来する欠点があ る。

【０００６】 本案はこの欠点を一掃することを目的とする。

【０００７】

【課題を解決するための手段】

本考案は前記の目的を達成するために、歯車変速機の同期噛合装置における歯 車側円錐体５ａと対応する円錐状内周面６ａを有し、該円錐状内周面に、その周 方向にねじ状連続溝６ｅを刻設すると共に該ねじ状連続溝を欠除するための軸方 向に延びる溝を形成したシンクロナイザリングにおいて、前記ねじ状連続溝６ｅ を欠除するめたの溝をシンクロナイザリング６の大径側を広く小径側に逓減させ て形成し、シンクロナイザリングの円錐状内周面すなわち歯車側円錐体に対する 接触面をねじ状連続溝で、しかも接触面積を小径側＞大径側に形成したことを特 徴とするものである。

【０００８】

【実施例】

次に本考案のシンクロナイザリングを用いる同期噛合装置の概要を第２図によ り説明する。

【０００９】 ４は主軸でこれに変速歯車５が回転自在に嵌合され、その歯車側円錐体５ａに 対してシンクロナイザリング６が係合するように設置されている。 ７は主軸４に固着されているハブ、８は該ハブ７に対して軸方向に摺動可能に スプライン嵌合されているハブスリーブで、変速時に軸方向に摺動し、これによ り、まずハブ７とハブスリーブ８との間にキースプリング９で保持されているキ ー１０が、ハブスリーブ８に押されて軸方向に移動してシンクロナイザリング６ のキー溝６ａに当たり、シンクロナイザリング６の円錐状内周面６ｂを歯車円錐 体５ａに押し当て、更にハブスリーブ８が一層軸方向に移動されると、シンクロ ナイザリング６の外周部の複数のスプライン歯６ｃを押しつけると同時にシンク ロナイザリング６の円錐状内周面６ｂを歯車側円錐体５ａに一層押しつける。

【００１０】 そのために、主軸４の回転力がハブ７及びシンクロナイザリング６を介して変 速歯車５に伝達され、変速歯車５の回転速度が主軸４の回転速度と同期される。 そしてこの状態で変速歯車５が係合される。

【００１１】 次に本考案のシンクロナイザリングについて第１図により詳述する。 該シンクロナイザリング６における環状の主体部６ｄの外周部には複数のスプ ライン歯６ｃが突設され、また内周には前記歯車側円錐体５ａの円錐面に対応す る円錐面に形成された円錐状内周面６ｂが形成されている。該円錐状内周面６ｂ には周方向に刻設したねじ状連続溝６ｅを有し、かつ軸方向に沿う溝６ｆが円周 方向に対して等間隔又は不等間隔に複数本形成されている。該軸方向に沿う溝６ ｆにおける円周方向の溝幅は、円錐状内周面６ｂにおける大径側の溝幅Ｗ₃ より 小径側の溝幅Ｗ₂ の方が狭くなるように形成されており、歯車側円錐体５ａとシ ンクロナイザリング６とが摩擦係合する際の接触面積が大径側より小径側の方が 広くなるように設定されている。尚、ねじ状連続溝を欠除するための溝６ｆは、 内周面６ｂの小径側端面まで貫通させなくともよく、また軸方向全長に亘る同一 幅でかつ円周面６ｂの大径側部のみに設けてもよい。

【００１２】

【考案の効果】

以上のように本考案は、シンクロナイザリング６の円錐状内周面６ｂに、円周 方向に刻設されたねじ状連続溝６ｅを欠除させる溝６ｆを、歯車側円錐体５ａと ねじ状連続溝６ｅとが摩擦係合する際の接触面積を、大径側より小径側の方が広 くなるように形成したから、単位面積当たりの面圧が大径側より小径側の方が小 さくなり、したがって、変速時における歯車側円錐体５ａとシンクロナイザリン グ６の円錐状内周面６ｂとが摩擦係合する初期において、シンクロナイザリング ６の円錐状内周面６ｂの小径側が歯車側円錐体５ａに局所的に高荷重で押し当て られた場合にも、歯車側円錐体５ａへのシンクロナイザリング６の食い付き現象 が発生せず、対応する歯車側円錐体５ａを円滑に摺動し、ハブスリーブ８の摺動 を阻止することがない。そのためシフトフィーリングが良好になる特徴がある。

【００１３】 特にねじ状連結溝を欠除するための溝をシンクロナイザリングの大径側を広く 小径側に逓減させて形成し、シンクロナイザリング円錐状内周面すなわち歯車円 錐体に対する接触面をねじ状連続溝でしかも接触面積を小径側＞大径側に形成し たので小径側でのオイルの排出能力が大径側より劣り、小径側でのオイルの油膜 切れによる食い付きを防止できる上に接触面に連続溝を設けたことにより、結合 部でのオイルの排出能力がよく、スリップを防止できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】 本考案の実施例を示すシンクロナイザリング
の側断面図。

【図２】 本考案のシンクロナイザリングを用いた同期
歯車装置の概要を示す側断面図。

【図３】 従来のシンクロナイザリングを示す側断面
図。

【符号の説明】

５ 変速歯車 ５ａ 歯車側円錐体 ６ シンクロナイザリング ６ｂ 円錐状内周面 ６ｅ ねじ状連続溝 ６ｆ ねじ状連続溝を欠除するための溝

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 歯車変速機の同期噛合装置における歯車
   側円錐体（５ａ）と対応する円錐状内周面（６ａ）を有
   し、該円錐状内周面に、その周方向にねじ状連続溝（６
   ｅ）を刻設すると共に該ねじ状連続溝を欠除するための
   軸方向に延びる溝を形成したシンクロナイザリングにお
   いて、前記ねじ状連続溝（６ｅ）を欠除するための溝
   を、シンクロナイザリング（６）の大径側を広く小径側
   に逓減させて形成し、シンクロナイザリングの円錐状内
   周面すなわち歯車側円錐体に対する接触面をねじ状連続
   溝で、 しかも接触面積を小径側＞大径側 に形成したことを特徴とするシンクロナイザリング。