JPH0579918B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔発明の利用分野〕 本発明は、熱交換器およびその製作方法に係
り、例えば吸収式冷温水機、空気調和機、、化学
プラントなどに供される二重管式熱交換器におい
て、特に二重管の内側の管外周に、別個の伝熱管
を螺旋状に巻き付けるものの熱交換性能向上に最
適な、熱交換器およびその製作方法に関するもの
である。

〔発明の背景〕

一般に、空気調和機や冷凍機等の熱交換器には
伝熱管が設けられており、これらの管の内面の構
造は管に加工を施さない平滑管のほか、特公昭49
−31863号公報記載の例のように管壁内側に転造
用の加工プラグを挿入し、溝加工を行うことによ
り第一のリブを設けたのち、さらに追加工により
第二の溝を設けた三次元状の面構造を有する管が
用いられている。

この面構造を有する伝熱管を、例えば二重管の
間に、伝熱管を螺旋状に内側の管外表面に巻き付
ける形式の熱交換器の伝熱管に用いたとすると、
この面構造の突起形状は丸みを帯びていない鋭角
状であり、後に詳述するが角を曲がる流れにより
はく離渦を生じ、伝熱管の入出口間の流体の圧力
損失が高くなり、流体の駆動力が多く必要とな
る。また、流体の流線に対する垂直な平面に対し
ては、流体がその部分でよどむために運動エネル
ギが衝突の圧力となり、このためその部分が長時
間経過するうちに減耗する。伝熱性能について
は、この減耗によりリブの高さ、リブの形状が最
適値から変動するために初期の性能値よりも低く
なる。

またこの転造プラグを用いる方法は、一次溝と
二次溝を加工しなければならないので、必然的に
加工工程が増え、コストアツプの要因となつてい
た。

さらに、この転造プラグによる方法では、伝熱
管内面に突起を形成することは可能であるが、管
外面にさらに伝熱促進効果を付加させるための凸
凹面構造を構成するための加工を行うためには、
転造プラグによる加工とは別の工程が必要となる
のでコストアツプとなる問題があつた。

〔発明の目的〕

本発明は、前述の従来技術の問題点を解決する
ためになされたもので、二重管の内側の管の管外
周に巻き付ける伝熱管の管外表面に、螺旋曲線に
沿つて断続した凹みを設け、管外の伝熱面積を増
加させ、また伝熱管外を流れる流体に乱れを与え
て伝熱促進効果を付加させるとともに、管内側に
突起の辺が曲率を有する連続した円または楕円形
状の突起を設けて、流体に乱れを誘起させ高い伝
熱性能を得ることを可能とした熱交換器およびそ
の製作方法の提供を、その目的としている。

〔発明の概要〕

本発明に係る熱交換器の構成は、二重管の内側
の管の管外周に、別個の伝熱管を螺旋状に巻き付
けてなる熱交換器において、前記二重管の内側の
管の管外周に巻き付ける伝熱管を、その伝熱管の
管外表面に形成された少なくとも一条の螺旋曲線
に沿つて、断続的に管外表面に凹みの列を設け、
その凹み形成にともなつて管内面に、底面および
任意の高さにおける横断面形状が円形、楕円形ま
たは非対称楕円曲線をなし、その横断面積が高さ
方向に減少するような突起の列が形成された伝熱
管としたものである。

また、本発明に係る熱交換器の製作方法は、二
重管の内側の管の管外周に、別個の伝熱管を螺旋
状に巻き付けてなる熱交換器の製作方法におい
て、前記二重管の内側の管の管外周に巻き付ける
べき伝熱管を、あらかじめ、先端が円弧状あるい
は矩形状の突起をもつ歯車状のロールを当該伝熱
管の管外表面に押圧しつつ、少なくとも一条の螺
旋曲線に沿つて転動することによつて、当該伝熱
管の管外表面に断続的な凹みの列を形成し、その
凹み形成にともなつて管内面に、底面および任意
の高さにおける断面形状が円形、楕円形または非
対称楕円曲線をなし、その横断面積が高さ方向に
減少するような突起の列を形成するように加工し
たのち、その加工した伝熱管を、上記二重管の内
側の管の管外周に螺旋状に巻き付ける方法であ
る。

〔発明の実施例〕

以下、本発明の各実施例を第１図ないし第７図
を参照して説明する。

まず、第１図は、本発明の一実施例に係る熱交
換器の構成を示す部分断面斜視図、第２図は、第
１図の伝熱管部の詳細を示す部分断面斜視図、第
３図ａ，ｂ，ｃは、第２図に示す伝熱管の管内面
に形成される突起の形状を示す正面図、第４図
a′，b′，c′は、それぞれ第３図ａ，ｂ，cnA−
A′矢視、Ｂ−B′矢視、Ｃ−C′矢視断面図である。

第１図に示す熱交換器は、例えば吸収式温水
機、空気調和機、化学プラントなどに供されるも
ので、１は、二重管の外側の管、２は、二重管の
内側の管、３は、二重管の内側の管２の管外周
に、螺旋状に巻き付けた伝熱管を示している。

伝熱管３は、第２図に示すように、管外表面に
形成された少なくとも一条の螺旋曲線４に沿つ
て、一定間隔で断続的に凹み５の列が形成されて
おり、これらの凹み５の形成にともなつて、管壁
を隔てた管内面に、表面が滑らかな突起６の列が
形成されている。

この突起６は、第３図ａに示すように、正面図
が円形の突起６ａか、あるいは第３図ｂに示すよ
うに楕円形の突起かが、またはｃに示すように卵
形の断面形に類似した非対称の楕円曲線状の形状
６ｃをしている。

また、突起６の底面より高い部分の横断面形状
も、それぞれ底面と類似の形状をしていて、それ
らの断面積は底面積より突起の高さ方向に減少し
ている。また、断面形状は、それぞれリブの辺を
区別するような鋭角形状の角張つた線で構成され
るのではなく、第３図ａ、ｂ、ｃに示すように曲
線で形成されている。

管外表面に形成された凹み５の列は、第４図
a′に示すように、直方体状の凹み５ａ、または
ａ、ｂに示すように、Ｕ字状の凹み５ｂ、あるい
はc′に示すように、非対称形状の凹み５ｃなど任
意形状が考えられ、これらの凹み５の形状に応じ
て管内面の突起６の形状が定まるものである。

このような管外表面の凹み５の列および管内面
の突起６の列を有する伝熱管３を、第１図に示す
ように二重管の内側の管２の管外周に螺旋状に巻
き付けて熱交換器が構成される。

この熱交換器は、二重管の内側の管２の管外周
に巻き付けた伝熱管３の内側を流れる流体と、巻
き付けられた伝熱管３によつて狭められた二重管
のすき間７を流れる流体の間で熱交換が行われる
ものである。

第２図に示した伝熱管３は、次に述べる方法で
容易に製作することができる。

第５図は、本発明の一実施例に係る伝熱管の加
工方法を示す説明図である。

第５図に示すように、先端が円弧状あるいは矩
形状の突起１１をもつ歯車状のロール１０を、伝
熱管３の管外表面から押し付け、少なくとも一条
の螺旋曲線に沿つて押圧しつつ転動させることに
よつて、管外表面に断続的な凹み５の列が形成さ
れる。

凹み５の列の円周方向ピツチは、歯車状のロー
ル１０に備えられた歯に相当する突起１１の円周
方向ピツチによつて定められ、また凹み５の深さ
は、ロール１０の押し付け量を調節して決められ
る。

管内面には、これらの凹み５の形成にともなつ
て突起６が形成され、円周方向のピツチおよび突
起高さが定められる。

なお、ロール１０を管軸に対して直角方向に回
転させる場合には、各々独立した凹みおよび突起
の列を、それぞれ管外、管内面に形成することが
できる。

ロール１０を第５図に示すように螺旋状に進ま
せると、螺旋曲線に沿つた管外表面の凹みおよび
管内面の突起の列が形成される。螺旋曲線に沿つ
て凹みおよび突起を形成する方が工数低減上有利
であることは言うまでもない。

また、第５図には、１個のロール１０を用いて
一条の螺旋曲線に沿つた凹みおよび突起の列を形
成する例を示しているが、ロール１０を複数個並
べて複数条の螺旋曲線に沿つた凹みおよび突起の
列を形成することも可能である。

このような方法により、管外表面に凹み５を有
し、またその凹み５に基づく突起６の横断面形状
が円弧形状をしており、突起列方向に切つた突起
６の縦断面形状が、突起列の長手方向に向つて円
弧状に起伏を持つような突起形状をした突起列を
管内面に形成することができる。

これらの加工は、前述のように、伝熱管外か
ら、歯車状に突起のついたロールを押し付けて容
易に行うことができるので、製作工数の低減上優
れた効果がある。

第５図に示す方法で加工された伝熱管３を、第
１図に示す二重管の内側の管２の管外周に螺旋状
に巻き付けて熱交換器の製作が終る。

本実施例の熱交換器によれば、二重管のすき間
７を流れる流体側の伝熱性能、、螺旋状に巻き付
けた伝熱管３により流路断面積が変化して流れが
擾乱され、さらに伝熱管３の管外表面の凹み５に
よりさらに細かく流路断面積が変動し、流れが、
凹み５の部分で局所的に加速または減速されて伝
熱促進効果を生じる。

また、伝熱管３の管内伝熱面は、各々の突起６
の後流に渦が形成される。この渦は、突起６の部
分で局所的に流路断面積が狭まることによつて主
流が加速され、流体の静圧力が低下し、突起６の
無い部分との間に圧力差を生じ、流体が圧力の高
い部分から低い部分に流れ、これらの流線が合成
され管軸方向に回転軸をもつ縦渦を生じ、この縦
渦の作用により高い伝熱促進が可能である。

さらに、この伝熱管３の内外表面の凹みおよび
突起列の配置を、伝熱管流れ方向の隣り合う突起
が互い違いの千鳥状になるように配列すれば、熱
伝達率はさらに増加する。

次に、本発明の他の実施例を第６図および第７
図を参照して説明する。

第６図は、本発明の他の実施例に係る熱交換器
の構成を示す部分断面斜視図、第７図は、第６図
の伝熱管部の詳細を示す部分断面斜視図であり、
図中、第１，２図と同一符号の部分は先の実施例
と同等部分であるから、その説明を省略する。

第６，７図の例では、伝熱管３Ａの管外表面に
設けた凹み５の列以外の平滑面上に、フイン間隔
を密にした微細フイン１２を形成している。

これによつて、先に説明した実施例と同様な効
果が期待されるほか、フイン効果によつて、さら
に熱伝達率を増進させることが可能である。

また、先に第５図で説明した伝熱管３の加工方
法において、伝熱管３の管外表面の凹み５を形成
する際に用いられる歯車状のロール１０の円弧状
あるいは矩形状の突起１１を丸味を備えた形状に
しておけば、このロールにより形成される凹みの
形状に曲率を付与することができる。

このように、伝熱管の管内面に形成される突起
に曲率を備えておれば、流体の流れが突起に衝突
しても突起の曲率に沿つて流れ、管内面に働く流
体の粘性力に起因するせん断応力の作用がより少
なくなり、流体のせん断応力に起因する潰食の作
用が小さくなるので、伝熱管の耐腐食性を向上す
る効果がある。

〔発明の効果〕

以上述べたように、本発明によれば、二重管の
内側の管の管外周に巻き付ける伝熱管の管外表面
に、螺旋曲線に沿つて断続した凹みを設け、管外
の伝熱面積を増加させ、また伝熱管外を流れる流
体に乱れを与えて伝熱促進効果を付加させるとと
もに、管内側に突起の辺が曲率を有する連続した
円または楕円形状の突起を設けて、流体に乱れを
誘起させ高い伝熱性能を得ることを可能にした熱
交換器およびその製作方法を提供することができ
る。

【図面の簡単な説明】

第１図は、本発明の一実施例に係る熱交換器の
構成を示す部分断面斜視図、第２図は、第１図の
伝熱管部の詳細を示す部分断面斜視図、第３図
ａ、ｂ、ｃは、第２図に示す伝熱管の管内面に形
成される突起の形状を示す正面図、第４図ａ、
ｂ、ｃは、それぞれ第３図ａ、ｂ、ｃのＡ−
A′矢視、Ｂ−B′矢視、Ｃ−C′矢視断面図、第５
図は、本発明の一実施例に係る伝熱管の加工方法
を示す説明図、第６図は、本発明の他の実施例に
係る熱交換器の構成を示す部分断面斜視図、第７
図は、第６図の伝熱管部の詳細を示す部分断面斜
視図である。 ２…二重管の内側の管、３，３Ａ…伝熱管、４
…螺旋曲線、５…凹み、６…突起、１０…ロー
ル、１１…突起、１２…微細フイン。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 二重管の内側の管の管外周に、別個の伝熱管
   を螺旋状に巻き付けてなる熱交換器において、前
   記二重管の内側の管の管外周に巻き付ける伝熱管
   を、その伝熱管の管外表面に形成される少なくと
   も一条の螺旋曲線に沿つて断続的に管外表面に凹
   みの列を設け、その凹み形成にともなつて管内面
   に、底面および任意の高さにおける横断面形状が
   円形、楕円形または非対称楕円曲線をなし、その
   横断面積が高さ方向に減少するような突起の列が
   形成された伝熱管としたことを特許とする熱交換
   器。 ２ 特許請求の範囲第１項記載のものにおいて、
   二重管の内側の管の管外周に巻き付ける伝熱管
   を、その伝熱管の管外表面に設けた凹みの列以外
   の平滑面上に、フイン間隔を密にした微細フイン
   を形成した伝熱管としたものである熱交換器。 ３ 特許請求の範囲第１項記載のものにおいて、
   二重管の内側の管の管外周に巻き付ける伝熱管
   を、その伝熱管の管外表面の凹みおよび管内面の
   突起の列が管軸方向に千鳥状に配列された伝熱管
   としたものである熱交換器。 ４ 二重管の内側の管の管外周に、別個の伝熱管
   を螺旋状に巻き付けてなる熱交換器の製作方法に
   おいて、前記二重管の内側の管の管外周に巻き付
   けるべき伝熱管を、あらかじめ、先端が円弧状あ
   るいは矩形状の突起をもつ歯車状のロールを当該
   伝熱管の管外表面に押圧しつつ、少なくとも一条
   の螺旋曲線に沿つて転動することによつて、当該
   伝熱管の管外表面に断続的な凹みの列を形成し、
   その凹み形成にともなつて管内面に、底面および
   任意の高さにおける断面形状が円形、楕円形また
   は非対称楕円曲線をなし、その横断面積が高さ方
   向に減少するような突起の列を形成するように加
   工したのち、その加工した伝熱管を、上記二重管
   の内側の管の管外周に螺旋状に巻き付けることを
   特徴とする熱交換器の製作方法。 ５ 特許請求の範囲第４項記載の方法において、
   歯車状のロールの円弧状あるいは矩形状の突起を
   丸みを備えた形状として、このロールにより形成
   される凹みの形状に曲率を付与するようにした熱
   交換器の製作方法。