JPH0579327U - 空調用熱媒蒸発器 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 室外に設置される空調用熱媒蒸発器の着霜を
防止して暖房効率の向上を図る。 【構成】 蒸発器２の伝熱フィン４部分にヒートパイプ
９の放熱部10を臨ませ、該ヒートパイプ９の吸熱部11を
地中に配置する。

Description

【考案の詳細な説明】 【０００１】 【産業上の利用分野】 本考案は、建造物等のヒートポンプ式空調装置において、室外に設置される熱 媒蒸発器に関する。 【０００２】 【従来技術】 近時、建造物等の空調装置としてヒートポンプ式のものが広く採用されている 。 【０００３】 このヒートポンプ式空調装置は、室内と室外にそれぞれ熱交換器を備え、蒸発 性物質から成る熱媒の蒸気を圧縮機で圧縮して高圧高温の蒸気とし、これを第１ の熱交換器（凝縮器）に導き、ここで周囲の空気と熱交換させて放熱凝縮させる 。そして凝縮液を膨張弁により断熱膨張させて温度を低下させるとともに一部を 蒸発させ、この低温化した気液混合物を第２の熱交換器（蒸発器）に導き、ここ で周囲の空気と熱交換させて、該空気から吸熱して完全に蒸発させ、再び前記圧 縮機に導く。かくして熱媒が状態変化しながら２つの熱交換器すなわち蒸発器と 凝縮器の間を循環することにより、蒸発器側で吸収された熱が凝縮器側で放出さ れる。 【０００４】 上記ヒートポンプ式空調装置により冷房を行う時には、室内の熱交換器を蒸発 器、室外の熱交換器を凝縮器として使用し、暖房を行う時には、室内の熱交換器 を凝縮器、室外の熱交換器を蒸発器として使用する。 【０００５】 【解決しようとする課題】 ところで、暖房を必要とする冬季には室外の気温が低く、蒸発器においては、 この低温の空気から、これよりもさらに低温の熱媒へ熱が奪われるので、熱交換 部分における該空気の温度は氷点下となり、空中の水分が霜となって伝熱フィン 表面に付着する。そしてこの結果、伝熱フィン表面における熱伝達率が低下し、 熱媒に充分な熱量を与えることができなくなるので、暖房効率が著しく低下する 。 【０００６】 この着霜を防止するために、例えば冷蔵庫の除霜装置のように、前記熱交換部 分に加熱ヒータを添設すれば、このために電力または燃料等の熱源を必要とする ので運転コストが上昇し、かつ装置も複雑になる。 【０００７】 従って本考案は、特別な熱源を必要としない簡単な装置によって前記のような 着霜を防止できる空調用熱媒蒸発器を提供しようとするものである。 【０００８】 【課題を解決するための手段および作用】 このため、本考案による熱媒蒸発器においては、空気との熱交換部分にヒート パイプの放熱部を臨ませ、該ヒートパイプの吸熱部を地中に配置する。 【０００９】 本考案によれば、熱媒により熱を奪われて低温になる空気に、ヒートパイプを 通じて地中の熱が供給されるので、該空気が著しく低温になって霜を生ずること はない。 【００１０】 ヒートパイプの熱輸送は、単なる熱伝導によるものではなく、管中に封入され た媒体の蒸発、凝縮サイクルにより行われるので、地中温度と空気温度との温度 差が小さくても、充分な熱量を空気に伝えることができる。 【００１１】 そして、蒸発器の熱交換部分にこのようなヒートパイプを単に付設するだけで よく、燃料、電気等の熱源を特に必要としないので、簡単な装置で着霜を防止で きるとともに、これにより運転コストが上昇することもない。 【００１２】 【実施例】 図１は家庭用、事務所用として使用されるヒートポンプ方式の空調装置の室外 器１をその一部を破断して示した斜視図である。室外器１には熱交換器２が内蔵 されている。この熱交換器は暖房仕様においては蒸発器として使用されるので、 以下これを蒸発器と称する。 【００１３】 蒸発器２は、水平に延びる１本の熱媒導管すなわち蒸発管３を上下方向多段に 蛇行させ、各段の蒸発管３を連ねて上下方向に延びる多数の伝熱フィン４を設け て構成されている。この蒸発器２の前方にファン５が配設され、蒸発器２はファ ン５の背後から側方へかけて該ファン５を取りまくように形成されており、ファ ン５が回転すると外部の空気が背後および側方から伝熱フィン４を通過して蒸発 器室６内に吸引され、前方へ排出される。そしてこの空気と蒸発管３内を流れる 熱媒との間に伝熱フィン４を通じて熱の授受が行われる。 【００１４】 室外器１内には前記の蒸発器室６のほかに、コンプレッサ７等を納めた機械室 ８と、これらを制御する電子装置等を納めた電気室８ａとが区画されている。 【００１５】 蒸発器２の蒸発管３には、図示してない室内器において凝縮し凝縮熱を室内の 空気に放出してこれを加温した液状の熱媒が送り込まれて来る。この液状の熱媒 は蒸発管３に入る前に膨張弁を通って断熱膨張するので、膨張過程において一部 が蒸発するとともに温度が急激に低下し、外気温に比しはるかに低温の気液混合 状態で蒸発管３に入って来る。従ってファン５により吸引され伝熱フィン４の間 を通過する外気から蒸発管３内の熱媒に伝熱フィン４を通じて熱が流入する。 【００１６】 この熱により熱媒中の液相部分が蒸発し、熱媒は完全な気体状態で蒸発器２を 出る。前記流入した熱はこの気体中に蒸発の潜熱として保存されるので、多量の 熱を熱媒に与えることができる。 【００１７】 この熱媒は次いでコンプレッサ７により断熱圧縮されて高圧高温の気体となり 、前記室内器において凝縮して熱を放出し室内の空気を加温する。このようにし て比較的低温の室外空気から比較的高温の室内空気に熱を汲み上げて暖房が行わ れる。 【００１８】 ところで、暖房を行う冬季には外気温が低く、この低温の空気からさらに熱を 取り出すので、該空気の温度が氷点下に達し、空中の水分が霜となって伝熱フィ ン４の表面に付着することがしばしばある。このようにして伝熱フィン４の表面 に着霜すると、伝熱フィン４の熱抵抗が大きくなるので充分な熱を熱媒に与える ことができず、暖房の効率が著しく低下する。 【００１９】 そこで本考案においては、図２および図３に示すように、蒸発器２の外側すな わちファン５と反対側の外気が流入する側に、適当な本数のヒートパイプ９を配 設してある。これらのヒートパイプ９は上下方向に指向して互いに平行に適宜間 隔で蒸発器２の外周に沿って配設されている。各ヒートパイプ９は上方の放熱部 10を伝熱フィン４に沿わせて接触させ、必要に応じ適宜該伝熱フィン４にロー付 けされている。ヒートパイプ９の下方の吸熱部11は室外器１から下方に延出し、 地中に埋設されている。そしてこの吸熱部11には多数の吸熱用フィン12が設けら れている。図２において地面13は地面を示す。 【００２０】 ヒートパイプ９は、周知のように、両端を閉じた１本の管体の内部に蒸発性の 媒体を封入してなり、該管体の内壁面に毛細管ウィック14を設けてある。そして 上記媒体が吸熱部11において周囲から熱を吸収して蒸発し、管内を上昇して放熱 部10に達し、ここで凝縮して周囲に放熱し、凝縮液はウィック14を伝わって吸熱 部11に還流する。 【００２１】 図示のヒートパイプ９はこのような媒体の蒸発、凝縮サイクルにより地中の熱 を上方の蒸発器２に運び、ここで放熱して伝熱フィン４および該フィンを通過す る空気を加温する。しかもこの放熱加温は伝熱フィン４の上流側で行われるので 、放熱により与えられた熱が伝熱フィン４全体に良好に行きわたり、着霜を有効 に防止する。また、ヒートパイプの特性上、地温と外気との温度差が小さい場合 でも充分な熱量を蒸発器２に供給することができる。 【００２２】 このように、本実施例においては、地中の熱を有効に利用して着霜を防止する ことができ、他に特別な熱源を必要としないので、除霜のために運転コストが上 昇することがない。 【００２３】 また、単にヒートパイプ９を蒸発器２に添設し、下端の吸熱部11を地中に埋設 するだけでよいので、構造が簡単で、設備費が著しく上昇することもない。 【００２４】 上記実施例においては、各ヒートパイプ９がそれぞれ直管状に形成されている が、図４に示すようにＵ字状のヒートパイプ15を使用してもよい。このヒートパ イプ15においては両脚部15a 、15b の各下端がそれぞれ吸熱部11a 、吸熱部11b となっており、各上端がそれぞれ放熱部10a 、放熱部10b となっている。そして 各脚部15a 、15b において前述したような蒸発、凝縮サイクルによる伝熱作用が それぞれ行われる。 【００２５】 【考案の効果】 以上の通り、本考案によれば、ヒートポンプ式空調装置の冬季暖房運転中に、 室外の熱媒蒸発器の着霜により暖房効率が低下するのを防止することができる。 【００２６】 しかも除霜はヒートパイプにより地中の熱を利用して行われ、他に特別な熱源 を必要としないので、除霜のために運転コストが上昇することがなく、また蒸発 器の熱交換部分に単にヒートパイプを付設するだけでよいので、設備費も比較的 安くてすむ。

【図面の簡単な説明】 【図１】ヒートポンプ式空調装置の屋外器をその一部を
破断して示した斜視図である。 【図２】同屋外器の蒸発器室の概略縦断面図である。 【図３】蒸発器を背後から見た部分的斜視図である。 【図４】他の実施例を示す図３と同様な図面である。 【符号の説明】 １…室外器、２…蒸発器、３…蒸発管、４…伝熱フィ
ン、５…ファン、６…蒸発器室、７…コンプレッサ、８
…機械室、９…ヒートパイプ、10…放熱部、11…吸熱
部、12…フィン、13…地面、14…ウィック、15…ヒート
パイプ。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 【請求額１】 室外に設置される空調用の熱媒蒸発器に
   おいて、空気との熱交換部分にヒートパイプの放熱部を
   臨ませ、該ヒートパイプの吸熱部を地中に配置したこと
   を特徴とする熱媒蒸発器。