JPH0578721A - 溶融還元の操業方法 - Google Patents

溶融還元の操業方法

Info

Publication number
JPH0578721A
JPH0578721A JP23974091A JP23974091A JPH0578721A JP H0578721 A JPH0578721 A JP H0578721A JP 23974091 A JP23974091 A JP 23974091A JP 23974091 A JP23974091 A JP 23974091A JP H0578721 A JPH0578721 A JP H0578721A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
slag
heat
oxygen
secondary combustion
smelting reduction
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP23974091A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2983087B2 (ja
Inventor
Tetsuji Ibaraki
哲治 茨城
Masao Yamauchi
雅夫 山内
Michitaka Kanemoto
通隆 金本
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Steel Corp
Original Assignee
Nippon Steel Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nippon Steel Corp filed Critical Nippon Steel Corp
Priority to JP3239740A priority Critical patent/JP2983087B2/ja
Publication of JPH0578721A publication Critical patent/JPH0578721A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP2983087B2 publication Critical patent/JP2983087B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Manufacture Of Iron (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 二次燃焼によって発生した熱を効率的に還元
反応熱に利用する鉄浴式の溶融還元法を提供する。 【構成】 溶融還元炉内に吹込まれる酸素の吐出流速を
300Nm/sec 以上にするとともに、ランス先端とスラ
グ上面の間隔(H)と酸素ランスのノズル径(D)の比
(H/D)を45以下とする。 【効果】 二次燃焼の伝熱効率を向上した結果、熱効率
が高まり、石炭原単位が減少する。この効果に伴い、酸
素原単位と発生ガス原単位が減少し、所定の設備規模当
たりの生産性も良好になる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、金属の溶融還元法に関
し、特に、鉄及び合金鉄の溶融還元法に係わるものであ
る。
【0002】
【従来の技術】高炉法によらない製銑法、合金鉄の製造
方法として、溶融還元が研究され、実際の生産にも活用
されている。このなかで鉄浴式の溶融還元法において
は、鉱石の還元に必要な熱を効率的に供給するために、
炉内から発生するガスの二次燃焼率を向上させ、使用さ
れる石炭やコークス等の燃料(以下炭材と言う)の単位
重量あたりの燃焼熱を高め、炭材原単位を低減する試み
が多くなされている。
【0003】つまり、炭素を一酸化炭素まで酸化燃焼す
る時の熱量に対して、二酸化炭素まで燃焼する熱量は約
4倍であること、また、水素の場合は水素と酸素を反応
させる二次燃焼によらなければ燃焼熱が発生しないこと
から、効率的な炭材の利用のためには、高二次燃焼率の
条件で、かつ、着熱が良い操業方法の実施が不可欠であ
る。
【0004】例えば、特開平03−140405号公報
では、高二次燃焼率を得るための底吹き撹拌ガスの供給
方法と上吹き酸素の供給方法についての技術が開示され
ており、また発生ガス中に含まれるダスト量を低減する
ためのスラグ量についても記載されている。また、特開
昭61−221322号公報では、転炉型の容器におい
て、スラグに二次燃焼熱を伝達し、更にスラグ浴をガス
で撹拌して前記熱を溶融金属に伝達する技術が開示され
ている。
【0005】ところで、溶融還元法においては、主原料
としての鉱石は、上方もしくは炉底から供給され、鉄浴
内もしくはスラグ内で溶解し、酸化金属の形態でスラグ
の溶解成分となる。この酸化金属は、溶融金属中に溶存
する炭素やスラグ中のコークスもしくはチャーの形態を
している固体炭素により還元され溶融金属となる。
【0006】前記鉱石を還元するためには、多量の還元
熱が必要であり、このため溶融還元法では、炉内に酸素
もしくは空気を供給し、燃料として供給される炭材を燃
焼させ、この還元熱を補う操業が実施されている。この
際炭材の重量あたりの発熱量を高めるために、鉄浴また
はスラグ浴から発生するCO及びH2ガスを、更にCO
2 及びH2 Oまで燃焼させる二次燃焼により、炉内で多
量の熱を発生させ、生産性を高める研究も積極的に進め
られている。
【0007】二次燃焼率を高めるための技術としては、
鉄浴上に存在する泡立ち溶融スラグを酸素の遮蔽体とし
て有効に利用することが効果的であることも解明されて
おり、この目的でスラグをある程度以上の厚みにするこ
とも実施されている。この際酸素は、スラグ浴の上方か
らもしくはスラグ内に吹込まれることが望ましい。
【0008】また、二次燃焼の熱を有効に、かつ着熱効
率を高め、還元反応熱や溶融金属の顕熱に活用するため
に、スラグを上手に撹拌する技術も種々研究されてお
り、スラグの撹拌には鉄浴底からの撹拌ガスの吹込みや
側壁からのガスの吹込みが有効である。
【0009】しかしながら、従来の技術では、二次燃焼
率を高めるための技術にのみ注目しており、二次燃焼か
らの着熱を良好にするための研究は十分になされていな
かった。特に従来の研究は、1〜10tの鉄浴規模の小
型の実験炉で実施されていたことから、生産速度が大き
い場合、つまり、送酸流量が多い場合に、着熱効率を高
めるための操業方法については、十分に解明されていな
かったことから、時間当たりの生産量で、20〜50t
の銑鉄を生産する際の良好な生産条件についての知識は
十分でなかった。また、実験炉が小型であることから、
炉壁から酸素ジェットまでの距離が近く、炉壁からの撹
拌が大型炉での場合に比べて、効果が大きい等の問題も
存在していた。
【0010】また、上吹きランスからの酸素ジェットの
供給方法としては、操業中に泡立っているスラグに酸素
ジェットが形成する凹み(キャビティー)が、スラグ下
部に存在する粒鉄を多く含む層に当たらないように、送
酸条件を制御するだけの知識しかなかった。二次燃焼率
を高位に保つためには、この制御方法は重要であるが、
二次燃焼熱を有効に着熱させるための条件を満足してい
なかった。この結果、高二次燃焼率の操業は実施できた
ものの、その熱を有効に還元反応に利用することができ
ず、炭材原単位が有効に低減できず、さらに二次燃焼熱
により、発生ガス温度が上昇することにより、炉壁の煉
瓦への輻射熱が多くなり、煉瓦の損耗速度が大きくなる
問題も生じていた。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】溶融還元の操業を効率
的かつ経済的に実施しようとする場合には、次の点が技
術的な課題となる。溶融還元炉では、鉱石の溶解と還元
を同時に行い、このための熱を多量に消費することか
ら、生産性が高く、かつ、経済性の高い操業の実現のた
めには、鉄浴及びスラグ浴から発生する一酸化炭素及び
水素ガスを二次燃焼させ、かつ、この熱を有効利用する
ことが重要な技術課題である。
【0012】二次燃焼率を向上させ、溶融還元炉内で多
量の熱を発生する技術については、種々研究されている
ものの、二次燃焼で発生した熱を効果的に還元反応サイ
ト及び鉄浴へ伝熱させることができず、二次燃焼率を高
めたにも関わらず、石炭原単位が減少しない、熱が有効
に利用されないことにより、炉内のガス温度が高くな
り、耐火物に大きな損傷を与える等の問題が生じてい
た。
【0013】また、従来の実験操業では、1〜10t規
模の小型炉での操業であったことから、生産速度の速い
操業での伝熱を向上させる技術については、十分な知見
がなく、特に、大型炉での高生産速度での経験に乏しい
ため、熱供給速度が速いにも関わらず、小型炉と同様の
操業を行っており、このため二次燃焼の着熱が悪い操業
しか得られていなかった。
【0014】つまり、二次燃焼で発生した熱を効果的に
還元反応サイト及び熱浴へ伝熱させ、熱効率を高めると
ともに、排ガス温度を低下させ、耐火物の損耗を低減す
ることが、溶融還元にとっての重要な課題であった。本
発明は、前記課題を効果的に解決する溶融還元法を提供
するものである。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明は、溶融還元にお
ける前述した課題を解決するために、実際の操業に適用
可能な大型の試験炉において種々の研究検討を重ねた結
果完成されたものであって、上吹きランスから、鉄浴上
に形成されるスラグ浴に向けて、酸素または空気を吹付
け、鉄浴面下の羽口から撹拌ガスを底吹きする鉄浴式の
溶融還元の操業方法において、上吹きランスからの酸素
または空気のノズル出口の吐出速度を、300Nm/sec
以上とするとともに、上吹きランスとスラグの上面との
距離を、ランスにおけるノズル径の45倍以内とするこ
とを特徴とするものである。
【0016】また前記操業において、送酸流量1000
Nm3 /h当たり、1.5〜3.5tのスラグ量を確保し
つつ、操業することを特徴とするものである。更にまた
前記操業において、上吹き酸素の一部をスラグ浴内から
吹込むことを特徴とするものである。
【0017】
【作用】前述したように、溶融還元において、二次燃焼
を高め、その着熱効率を高めるためには、上吹きランス
から吹込まれる酸素ジェットの状態を適正化するととも
に、溶融スラグを伝熱媒体として活用するための適正な
条件を解明することが肝要であり、炭材や酸素原単位を
低減するとともに、生産性を高めるために、重要な操業
条件である。
【0018】本発明者らは、上記の操業条件を解明し、
熱効率の良い操業を達成するために、実際の操業をほぼ
再現できる大型試験炉において、種々の実験研究を重ね
た結果、以下に述べる事実を知見した。本実験の結果、
第一に、上吹きランスからの酸素ジェットの状態が、重
要な役割を果たすことを解明した。つまり、上吹きラン
スとスラグの位置関係を調整すること、及び酸素ジェッ
トの吐出速度を調整することにより、吐出ガス流のジェ
ットの燃焼状態とこの燃焼部からの伝熱を良好に保つこ
とを見いだした。
【0019】第二には、鉄浴上に形成されるスラグも伝
熱に重要な役割を果たしていることを解明した。すなわ
ち、二次燃焼に伴う熱の発生量もしくは、酸素の供給速
度に見合った量のスラグを鉄浴上に存在させることによ
り、一次的に受熱し、熱伝達媒体として働く、溶融スラ
グを適当量存在させることにより、スラグから酸化鉄の
還元部と溶銑浴への伝熱を向上させることができる。
【0020】本実験では、最大120t鉄浴の溶融還元
炉を用いて、下記の操業条件で実験測定を実施し、先に
述べた事実を解明した。試験炉の概要は後述する図1に
示す通りである。 試験炉の炉容 溶銑量 最大120t 実験条件 静止浴面積 22m2 (スラグ−溶銑界面) 溶銑量 50〜120t スラグ量 20〜100t 溶銑製造速度 15〜40t/時 鉱石投入速度 25〜60t/時 石炭投入速度 20〜45t/時 酸素流量 15,000〜30,000Nm3 /h 溶銑温度 1500℃ 上吹ランス ノズル数 5〜18孔 ノズル径 40〜73mm 底吹ガス ガス種 N2 撹拌力 3kW/t-metal 原料条件 鉱石 塊状(>5mm)、Fe2
3 97% 炉上方から投入 石炭 塊状(>5mm)、固定炭素60%、揮発
分26% 炉上方から投入 二次燃焼率の測定のために、排ガスダクトからガスサン
プリングを行い、各ガス成分を連続的に測定した。ま
た、二次燃焼の着熱の測定のために、プロセス内の熱収
支を10分間毎に行い、着熱効率と操業条件の間の関係
を解析した。着熱効率は、二次燃焼率に影響を受けるた
め、解析に採用したデータは、二次燃焼率が、40から
45%のものである。
【0021】第一に、上吹きランスからの送酸状態の着
熱効率に対する影響を調査解析した。採用したデータと
しては、二次燃焼率が40から45%、かつ、送酸量1
000Nm3 /h当たりのスラグ量が、2から3tのもの
とした。調査した送酸条件としては、ランスノズルとス
ラグ上面の間隔(以下、ランスギャップという)と酸素
の吐出流速である。ランスの型式としては、7種類のも
のを用い、送酸流量は、20,000Nm3 /hから3
0,000Nm3 /hであった。
【0022】図2に、ランスギャップと着熱効率の関係
を示す。ランスギャップの指標としては、ランスギャッ
プ(H)をノズル径(D)で割って、無次元化した値を
用いた。ランスギャップとノズル径の比(H/D)が1
0から45の範囲のヒートでは、着熱効率が高い。しか
し、H/Dが10以下もしくは、負の場合には、着熱効
率が悪いことを解明した。また、H/Dが45以上で
も、着熱効率が悪化することが認められた。
【0023】本発明者らは、種々の研究解析の結果次の
結論を得た。つまり、ランスギャップが大きくなりすぎ
ると、酸素ジェットがスラグ上部の空間部で燃焼する比
率が高まり、酸素ジェットから、上部のガスや耐火物へ
の輻射熱が増加する。したがって、H/Dが大きくなっ
た場合に着熱が悪化する要因としては、このような酸素
ジェットの燃焼位置が上方に移行することが原因である
と判明した。
【0024】一方では、H/Dが10以下もしくは、負
の場合には、酸素ジェットをスラグのキャビティーが覆
う送酸条件となっており、二次燃焼の熱の殆どは、スラ
グのキャビティー面に伝達されることから、ランスギャ
ップが小さくなった場合、着熱が向上することが予想さ
れるのに対して、現実には、H/Dが小さい場合に、着
熱が悪化する現象が起きていることを解明した。この原
因としては、上吹きランスノズル出口からの酸素の吐出
流速が大きく影響していることを解明した。
【0025】ここで、図3に、上吹きランスノズル出口
からの酸素の吐出流速と着熱効率の関係を示す。ただ
し、ランスノズルからの酸素の吐出流速は、直接測定で
きないこと、及び、吐出圧力の影響で、実際の流速を正
確に計算できないことから、吐出流速の指標としては、
気体の標準状態での容積を基準としたガス流速を採用
し、単位としてはNm/sec を用いた。
【0026】この解析の結果、着熱効率は、酸素の吐出
流速に強く影響されていることが判明した。図3に示さ
れるように酸素の吐出流速が、300Nm/sec 以上の場
合は安定して、着熱効率が良いことを解明した。ただ
し、今回の実験に用いたランス型式では、酸素の吐出流
速が450Nm/sec を超える状態では、前述したH/D
が45以上となるため、やや着熱効率が悪化している。
【0027】ところが一方、酸素の吐出流速が300Nm
/sec 以下となると、着熱効率が極端に悪くなり、酸素
の吐出流速が低下するにしたがって、着熱効率が急激に
悪化していることが解明された。
【0028】この現象は、以下のように解明された◎ 酸素の吐出流速が速い場合は、酸素の燃焼よりも、ジェ
ットの速度が速く、燃焼が十分完了する前に、スラグキ
ャビティーの底に到達し、残存した酸素がスラグ内部で
燃焼することから、高温のガスとスラグの接触が良好と
なり、伝熱量が増加する。一方で、酸素の吐出流速が遅
い場合は、酸素の大部分がジェット内で燃焼してしま
い、上記のスラグ内部での燃焼比率が低下することによ
り、ジェットからスラグへの伝熱には限界があるため、
着熱効率が低下したことを解明した。
【0029】今回の実験の酸素の吐出流速が低い操業条
件では、ランスギャップまたはH/Dが小さい、または
負の条件であり、つまりランス先端がスラグ内にある状
態であり、ランスギャップと酸素吐出流速の両方の影響
を受け、かつこの流速では酸素の吐出流速の影響の方が
大きく、着熱効率が悪化していると考えられる。
【0030】以上の解析結果を総合して考察すると、以
下のようにまとめられる。つまり、今回の実験条件にお
いては、H/Dが10以下、つまりランスギャップが小
さい、または負の状態では、酸素の吐出流速の着熱効率
への影響が支配的であり、ランスギャップを小さくする
ことにより、スラグキャビティー内への着熱を向上しよ
うとしたにも関わらず、着熱が悪化した。また、ランス
ギャップが、ノズル径の45倍を超える送酸条件では、
酸素の吐出流速が大きいにも関わらず、酸素ジェットが
スラグ上方のガス空間で燃焼する部分が増加して、上部
のガス及び煉瓦への輻射熱が増加し、この結果、着熱効
率が悪化したことが判明した。
【0031】次に二次燃焼の着熱効率とスラグ量の関係
を調査するために、炉内のスラグ量を20tから100
tまで変化させて、溶融還元の操業を行った。この実験
結果を図4に示す。この図の横軸は、浴面積当たりのス
ラグ重量であり、縦軸は着熱効率である。スラグ量が送
酸流量1000Nm3 /h当たり1.5t以下では、採用
の条件である二次燃焼率が40から45%のデータ数が
少ないとともに、着熱効率はいずれも75%以下であっ
た。
【0032】このような少量スラグの操業では、スラグ
の厚みが薄く、酸素ジェットが直接溶銑浴と当たり、高
二次燃焼率となりずらい問題があった。また、二次燃焼
が所定の値であっても、着熱効率が悪く、石炭と酸素の
原単位が多く、しかも、耐火物の損耗が大きかった。
【0033】次に、1.5t/1000Nm3 /h−O2
以上のスラグ量では、いずれも着熱効率は、80%以上
であった。更に、スラグ量が増加するに従い着熱効率が
向上し、スラグ量が2〜3t/1000Nm3 /h−O2
の試験結果では、ヒートによっては、着熱効率が95%
以上のものもあった。
【0034】ところが、スラグ量が3.5t/1000
Nm3 /h−O2 以上のヒートでは、逆に着熱効率が悪化
している。これはスラグ量が多すぎて、スラグの撹拌が
不十分になったことが原因と考えられる。さらにこのよ
うな多量スラグのヒートでは、スラグの異常フォーミン
グが発生して、操業の継続が困難になるヒートが多発し
た。
【0035】本発明における実験の結果をまとめると、
以下の送酸条件での溶融還元では、高着熱効率が得られ
ることが判明した。 (1)上吹きランスのノズル出口のO2 の吐出流速が、
300Nm/sec 以上であること。 (2)ランスギャップとノズル径の比(H/D)が45
以下であること。 (3)スラグ量は、送酸流量1000Nm3 /h当たり
1.5から3.5tの範囲であること。
【0036】
【実施例】本発明を図1に示す大型の溶融還元炉におい
て実施した。図1において、1は耐火煉瓦で内張りされ
た炉体であり、炉体1の下部には、溶銑浴2が存在し、
底吹ガスによって撹拌されている。この溶銑浴2の上に
泡立ち溶融スラグ3が存在し、このスラグの中には、溶
銑の撹拌による溶銑液滴と炭材が混在している。溶銑と
スラグの温度は、通常1400℃から1600℃であ
る。上方の原料ホッパー8から、溶融スラグに炭材、鉱
石及び副原料が供給され、主としてスラグ内部で溶融還
元反応が進行する。
【0037】酸素は上吹きランス4から吹込まれて、ジ
ェット5を形成する。また、酸素の一部は、炉壁に設置
された横吹きランスから吹込まれてもよい。二次燃焼率
を高位に保つために、ジェットが形成するスラグのキャ
ビティー6は、泡立ち溶融スラグの下部に形成される溶
銑液滴の多い層7(エマルジョン層)に達しないよう
に、送酸条件を制御することが一般的である。ただし、
比較的二次燃焼率が低い操業を狙った送酸条件では、キ
ャビティーがエマルジョン層に達することもある。溶融
還元の反応の進行に伴い、生成した溶銑はスラグ中を下
降して溶銑浴に溜まる。溶銑と溶融スラグは、定期的に
炉外に排出される。
【0038】前述した溶融還元炉において、各条件に基
づき溶銑の製造を行い、表1に示すように着熱効率に影
響を与える要因であるスラグ量、酸素の吐出流速、H/
Dを変えた操業結果を得た。
【0039】
【表1】
【0040】操業の基本条件は二次燃焼:40〜45
%、送酸流量:30,000Nm3 /h、鉄浴撹拌:
3.3kW/tとした。
【0041】実施例1では、酸素の吐出流速、H/Dと
もに、適正な条件内で操業することにより、着熱効率は
90.2%であり、良好な値が得られた。この結果、石
炭原単位も低減されており、948kg/tと良好な結果
が得られている。また、石炭原単位が低減できたことか
ら、酸素原単位と発生ガス量も低減できたことにより、
生産性も36.9t/hと良好であった。
【0042】次に実施例2においては、酸素の吐出流
速、H/Dともに、適正な条件内であり、さらに、スラ
グ量も二次燃焼熱の伝熱のために十分な量として、2.
4t/1000Nm3 /h−O2 を確保している操業の例
である。この操業では、着熱効率がさらに向上し、9
2.2%と高かった。この結果、石炭原単位も922kg
/t以下と低減されるとともに、生産速度も、39.8
t/hと良好であった。
【0043】一方、適正な操業条件から外れた比較例で
は、いずれも着熱効率が悪かった。比較例1では、スラ
グ量が少ないことから、二次燃焼率もやや低く、かつ、
着熱効率が、74.3%と低かった。比較例2では、ス
ラグ量が多過ぎることから、着熱効率が83.7%に止
まった。比較例3では、H/Dが48.9と大きく、ラ
ンスギャップが過大であったことから、酸素ジェットか
ら上部ガスへ熱が逃げてしまい、着熱効率が低下してい
る。比較例4では、酸素の吐出流速が、251Nm/sec
と遅いことから、これも、着熱効率が悪化している。
【0044】このように、本発明により、解明された操
業条件の範囲内であれば、高二次燃焼率においても、着
熱効率が高く、石炭原単位と生産速度の良好なのに対し
て、着熱効率に影響する前記の3条件が、適正な範囲か
ら外れた場合にはいずれも着熱効率が低く、この結果石
炭原単位と生産性がともに悪化していた。
【0045】また、本実験設備において、表1の実施例
2と同一条件で、全酸素量の内、約15%を溶融スラグ
中の炉壁に設置した横吹きランスから吹き込んだが、横
吹きランスからの酸素ジェットがスラグ内に止まる送酸
条件を選択したため、二次燃焼、着熱効率ともに、表1
の結果と差がなかった。
【0046】次に、鉄原料として還元鉄を使用した操業
結果を表2に示す。
【0047】
【表2】
【0048】操業の基本条件は二次燃焼率:30±5
%、送酸流量:25,000Nm3 /h、鉄浴撹拌:
3.2〜3.5kW/tとした。
【0049】還元鉄としては、通常、スクラップ、粒
銑、直接還元鉄が用いられるが、本実施例では直接還元
鉄のブリケットを使用した。このブリケットの金属化率
は95%以上であり、ほぼ完全な金属鉄と考えられる。
なお、還元鉄を使用する操業では、還元熱が不要である
ことから、二次燃焼率としては、約30%と低めの操業
を実施した。
【0050】本発明での操業を実施した実施例3では、
酸素の吐出流速を315Nm/sで、かつ、H/Dが、3
3.3の操業であった。この操業では、着熱効率の高い
条件が実現できていたことから、着熱効率は、90.2
%と良好であり、石炭原単位は、259kg/tと良好で
あった。ただし、還元鉄を使用する操業では、還元に必
要な熱が不要であり、伝熱必要量が少ないことから、ス
ラグ量が、送酸1000Nm3 /h当たりのスラグ量は、
1.1tと少ないにも関わらず良好な着熱効率が得られ
ている。
【0051】次に、実施例4では、酸素の吐出流速を3
80Nm/sで、かつ、H/Dが、25.0の操業であっ
た。良好な操業条件を実現できたことから、着熱効率
は、92.2%と高く、石炭原単位は、240kg/tと
良好であった。一方で、本発明の操業条件を満たしてい
ない比較例5,6では、着熱効率は、約80%と低く、
石炭原単位も各々、331kg/tと345kg/tと実施
例の操業に比べて、20から30%も多い結果であっ
た。この操業の結果、実施例の生産速度は、いずれも、
毎時110t以上であるのに対して、比較例では毎時8
0t以下に止まった。
【0052】
【発明の効果】本発明の実施により、溶融還元の操業に
おいて、高二次燃焼率、かつ高生産速度でも、高着熱効
率を維持することが可能となり、この結果石炭原単位及
び酸素原単位を低減でき、安価な製造コストで溶銑を製
造できるとともに、生産性も向上できる。特に、生産費
用を支配する重要な要因である石炭原単位は、従来技術
よりも約20%程度低減できた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を実施するための大型の鉄浴式溶融還元
炉の概要図である。
【図2】溶融還元でのランスギャップとランスノズル径
の比(H/D)と着熱効率の関係を示す図表である。
【図3】ランスノズルからの酸素の吐出流速と着熱効率
の関係を示す図表である。
【図4】溶融還元でのスラグ量と着熱効率の関係を示す
図表である。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 上吹きランスから鉄浴上に形成されるス
    ラグ浴に向けて、酸素または空気を吹付け、鉄浴面下の
    羽口から撹拌ガスを底吹きする鉄浴式の溶融還元の操業
    方法において、前記酸素または空気の上吹きランスにお
    けるノズル出口吐出速度を300Nm/sec 以上とすると
    ともに、上吹きランスとスラグ上面との距離を、ランス
    におけるノズル径の45倍以内とすることを特徴とする
    溶融還元の操業方法。
  2. 【請求項2】 送酸流量1000Nm3 /h当たり、1.
    5〜3.5tのスラグ量を確保しつつ、操業することを
    特徴とする請求項1記載の溶融還元の操業方法。
  3. 【請求項3】 酸素の一部をスラグ浴内に浸漬した羽口
    から吹込むことを特徴とする請求項1または2記載の溶
    融還元の操業方法。
JP3239740A 1991-09-19 1991-09-19 溶融還元の操業方法 Expired - Fee Related JP2983087B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP3239740A JP2983087B2 (ja) 1991-09-19 1991-09-19 溶融還元の操業方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP3239740A JP2983087B2 (ja) 1991-09-19 1991-09-19 溶融還元の操業方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH0578721A true JPH0578721A (ja) 1993-03-30
JP2983087B2 JP2983087B2 (ja) 1999-11-29

Family

ID=17049231

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP3239740A Expired - Fee Related JP2983087B2 (ja) 1991-09-19 1991-09-19 溶融還元の操業方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2983087B2 (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002308814A (ja) * 2001-04-10 2002-10-23 Chisso Corp ジフルオロアルコキシを末端に有する化合物、液晶組成物および液晶表示素子
JP2004509231A (ja) * 2000-09-19 2004-03-25 テクノロジカル リソーシズ プロプライエタリー リミテッド 直接製錬法および装置
WO2004029060A1 (ja) * 2002-09-26 2004-04-08 Nihon Nohyaku Co., Ltd. 新規除草剤、その使用方法、新規チエノピリミジン誘導体及びその中間体並びにその製造方法

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004509231A (ja) * 2000-09-19 2004-03-25 テクノロジカル リソーシズ プロプライエタリー リミテッド 直接製錬法および装置
JP2002308814A (ja) * 2001-04-10 2002-10-23 Chisso Corp ジフルオロアルコキシを末端に有する化合物、液晶組成物および液晶表示素子
WO2004029060A1 (ja) * 2002-09-26 2004-04-08 Nihon Nohyaku Co., Ltd. 新規除草剤、その使用方法、新規チエノピリミジン誘導体及びその中間体並びにその製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2983087B2 (ja) 1999-11-29

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US4913734A (en) Method for preparing ferrocarbon intermediate product for use in steel manufacture and furnace for realization thereof
US4827486A (en) Process for increasing the energy input in electric arc furnaces
CN1037528C (zh) 转炉炼铁法
CA1336542C (en) Method for smelting and reducing iron ores and apparatus therefor
JP2008255494A (ja) 金属酸化物から金属を製造する直接製錬法
KR20110054059A (ko) 용철의 제조 방법
JP2007002305A (ja) キュポラによる溶銑の溶製方法
CN1208475C (zh) 直接熔炼方法
JP2983087B2 (ja) 溶融還元の操業方法
JPH0368082B2 (ja)
JP3752051B2 (ja) スクラップ溶解方法及びスクラップ溶解用ランス
JP3286114B2 (ja) 屑鉄から高炭素溶融鉄を製造する方法
EP0950117B1 (en) A method for producing metals and metal alloys
TWI817466B (zh) 電爐及煉鋼方法
JP3290844B2 (ja) 屑鉄の溶解方法
EP0970253A1 (en) Process for direct production of cast iron from fine iron ore and fine coal and apparatus suitable to carry out said process
JPH06108132A (ja) 筒型炉およびこれを用いる溶銑の製造方法
JP2666396B2 (ja) 溶銑の製造方法
JPH07146072A (ja) キュポラ型スクラップ溶融炉
JPS62116712A (ja) スプラツシユランスを有する溶解・製錬容器
JPS6338506A (ja) 溶融還元炉への粉状炭材添加方法
JPH03140405A (ja) 金属の溶融還元法
JPH09143522A (ja) 鉄スクラップの高速溶解法
JPH01195211A (ja) 酸化鉄の溶融還元方法
JPH0533027A (ja) 溶融還元製鉄法

Legal Events

Date Code Title Description
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 19990817

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20070924

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080924

Year of fee payment: 9

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090924

Year of fee payment: 10

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees