JPH0577381B2 - - Google Patents

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JPH0577381B2
JPH0577381B2 JP59169118A JP16911884A JPH0577381B2 JP H0577381 B2 JPH0577381 B2 JP H0577381B2 JP 59169118 A JP59169118 A JP 59169118A JP 16911884 A JP16911884 A JP 16911884A JP H0577381 B2 JPH0577381 B2 JP H0577381B2
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JP
Japan
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maltose
crystalline
powder
food
drink
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JP59169118A
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JPS6147166A (ja
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Masakazu Mihashi
Shuzo Sakai
Toshio Myake
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Hayashibara Seibutsu Kagaku Kenkyujo KK
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Hayashibara Seibutsu Kagaku Kenkyujo KK
Hayashibara Biochemical Laboratories Co Ltd
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Priority to IT8548254A priority patent/IT1181701B/it
Priority to DE3522103A priority patent/DE3522103C2/de
Priority to DE3546911A priority patent/DE3546911C2/de
Priority to AU43969/85A priority patent/AU582366B2/en
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Description

【発明の詳細な説明】
産業上の利用分野 本発明は、飲食物の製造方法に関し、更に詳細
には、結晶性α−マルトース粉末を飲食物に溶解
して含有せしめる(以下、「溶解含有」と言う。)
ことによる飲食物の製造方法に関する。 従来の技術 飲食物、例えば、バタークリーム、マシユマ
ロ、あんなどは、その製造原料に大量の砂糖が使
用されている。 しかしながら、砂糖は、甘味が強すぎて最近の
嗜好に合わず、また、虫歯の主に誘発物質であ
り、更に、大量摂取することによつて血中コレス
テロールの増加をまねくなどの欠点を有してい
る。 最近、砂糖のこれら欠点を解消するため、他の
糖類を使用することが提案されている。とりわ
け、マルトースについては、近年、β−マルトー
ス含水結晶粉末(林原株式会社製造、登録商標
サンマルト)が大量に市販されるようになつたこ
とから、それが砂糖と比較して甘味が低いこと、
虫歯誘発の懸念の少いこと、風味良好であること
などの長所を有していることが明らかとなり、新
時代の甘味料として大量に利用されるようになつ
てきた。 しかしながら、本発明者等が先願(昭和59年特
許願第128282号)で開示したように、チヨコレー
ト、チユーインガムなどの水分10w/w%未満の
低水分加工食品の場合には、その製造工程中、β
−マルトース含水結晶を実質的に加水溶解させる
ことなく原材料中へ均一に微粒化、分散させる工
程での作業性が悪く、良質な製品が得にくいこと
より、その使用の困難なことが判明した。 そこで、本発明者等は、マルトースのチヨコレ
ートなど低水分加工食品への利用を目ざして鋭意
研究を続けた結果、光学異性体α−マルトースの
含量が55w/w%以上である結晶性α−マルトー
スの使用が好適であることを見いだした。 一方、高水分加工食品などの製造に際しては、
β−マルトース含水結晶粉末は飲食物含水材料へ
の溶解分散速度が遅く、均一に配合させるための
種々の工夫を必要としている。 例えば、バタークリームの製造に際しては、予
めβ−マルトース含水結晶粉末及び砂糖を少量の
水に加熱溶解した通溶液を調整し、この溶液とク
リーム状にしたバターを撹拌配合して行なわれ、
マシユマロの製造には、β−マルトース含有結晶
粉末及びグルコースを少量の水に加熱溶解した糖
溶液を調整し、この溶液と熱水に溶解したゼラチ
ンとを、熱時条件下でホイツプして行なわれ、求
肥の製造には、予め、β−マルトース含水結晶粉
末及び砂糖を少量の水に加熱溶解した糖溶液を調
整し、この溶液とペースト状糊化澱粉とを、熱時
条件下で撹拌混合して行なわれ、あんの製造に
は、予め、β−マルトース含水結晶粉末及び砂糖
を水に加熱溶解した糖溶液を調整し、この溶液と
生あんとを混合して撹拌しつつ加熱濃縮して行な
われ、更に、増醸酒用調味アルコールの製剤に
は、約30v/v%エタノールをタンクにとり、こ
れにβ−マルトース含水結晶粉末及び他の調味料
を投入し、約30分間撹拌機で混合するか、撹拌機
のない場合には投入後一夜放置し、次いで櫂でか
きまぜβ−マルトース含水結晶粉末を溶解させる
などして行なわれている。 発明が解決しようとする問題点 本発明者等は、従来行なわれてきたこれらの工
夫を必要とず、飲食物含水材料に、直接、混合、
混〓するなどの方法により、容易に溶解し、均一
に分散させて飲食物を製造することを目的に、マ
ルトース自体とそれの飲食物への利用について鋭
意研究した。その結果、マルトースの光学異性体
α−マルトースを多量に含有した結晶性α−マル
トース粉末の使用が、本目的に合致することを見
いだし、本発明を完成した。 すなわち、本発明は、飲食物の製造に際し、結
晶性α−マルトース粉末が水への溶解速度が大き
いのみならず、例えば、有機酸水溶液、塩類水溶
液など各種水溶液、更には、各種飲食物含水材料
などと混合、混〓するなどにより、急速に溶解
し、均一分散もきわめて容易であることを見いだ
し、目的の風味良好で甘味を調節した高品質飲食
物を容易に製造しうることを見いだしたことに基
づいている。また、本発明においては、飲食物の
製造に際し、予め、マルトース含有糖液を調製す
る必要もなく、直接、各種飲食物含水材料などに
混合、混〓するなどにより、容易に溶解含有せし
めることができるので、その製造工程を大幅に短
縮又は簡略化できることとなり、きわめて好都合
である 本発明は、従来全く注目されなかつたマルトー
スの光学異性体に着目したものであり、結晶性α
−マルトース粉末を溶解含有せしめた飲食物を製
造するのは、本発明をもつて嚆矢とする。 本発明でいう飲食物とは、先願(昭和59年特許
願第128282号)とは違つて、結晶性α−マルトー
ス粉末を飲食物含水材料などに溶解含有せしめて
製造されるものであればよく、例えば、調味料、
和菓子、洋菓子、農産加工食品、畜産加工食品、
水産加工食品、酒類などの飲食物をいう。 本発明者等は、本発明に先立つて結晶性α−マ
ルトース粉末の製造方法について研究した。 まず、結晶性α−マルトース粉末を製造するた
めの原料マルトースについて、詳細に検討を加え
た結果、固形物当り85w/w%以上の高純度マル
トースが好適であることを見いだした。 この原料の高純度マルトースは、市販のβ−マ
ルトース含水結晶を使用してもよいし、常法に従
つて、澱粉を糖化して調製してもよい。 高純度マルトースを澱粉から調製する方法とし
ては、例えば、特公昭56−11437号公報、特公昭
56−17078号公報などに開示されている糊化又は
液化澱粉にβ−アミラーゼを作用させ、生成する
マルトースを高分子デキストリンから分離し、高
純度マルトースを採取する方法、または、例え
ば、特公昭47−13089号公報、特公昭54−3938号
公報などに開示されている糊化又は液化澱粉にイ
ソアミラーゼ、プルラナーゼなどの澱粉枝切酵素
とβ−アミラーゼとを作用させて高純度マルトー
スを採取する方法などがある。 更に、これらの方法で得られる高純度マルトー
スに含まれるマルトトリオースなどの夾雑糖類
に、例えば、特公昭56−28153号公報、特公昭57
−3356号公報、特公昭56−28154号公報などに開
示されている酵素を作用させてマルトースを生成
するか、さらには、例えば、特開昭58−23799号
公報などに開示されている塩型強酸性カチオン交
換樹脂を用いるカラム分画法により夾雑糖類を除
去するなどの方法によりマルトース純度を更に高
めることも好都合である。また、この分画法は、
固定床方式、移動床方式、疑似移動床方式であつ
てもよい。 このようにして得られる固定物当り85w/w%
以上の高純度マルトースから結晶性α−マルトー
ス粉末を製造するには、例えば、これら高純度マ
ルトースを水分約10w/w%未満、望ましくは、
2.0w/w%以上9.5w/w%未満の高濃度シラツ
プとし、このシラツプを種晶共存下で50℃乃至
130℃の温度範囲に維持しつつ結晶性α−マルト
ースを晶出させて製造すればよい。 結晶性α−マルトースは、水分10w/w%以上
では、実質的に晶出せず、特に水分12w/w%以
上25w/w%未満では、むしろ、種晶の結晶性α
−マルトースが溶解消失しやすいだけでなく、β
−マルトース含水結晶の方が晶出しやすいことが
判明した。また、水分2.0w/w%未満の高濃度
シラツプからの結晶性α−マルトースの晶出は比
較的遅いことが判明した。 また、晶出時の温度については、50℃乃至130
℃の範囲が望ましく、とりわけ60℃乃至120℃が
好適である。50℃未満の温度では結晶性α−マル
トースの晶出がきわめて遅く、工業的実施におい
ては不適当であることが判明した。 また、130℃を越える温度では、晶出が遅いば
かりでなく、晶出中の着色がいちじるしく、結晶
性α−マルトース粉末の製法として不適当である
ことが判明した。 従つて、結晶性α−マルトースを晶出させるに
は、高純度マルトースの水分10w/w%未満の高
濃度シラツプを、種晶共存下で50℃乃至130℃の
温度範囲に維持しつつ晶出させることが肝要であ
る。この際、高純度マルトースを水分10w/w%
未満の高濃度シラツプにする方法は、例えば、マ
ルトース含量が固形物当り85w/w%以上の市販
のβ−マルトース含水結晶を少量の水に加熱溶解
して水分10w/w%未満の高濃度シラツプとして
もよいし、また、澱粉を糖化して得られるマルト
ース含量が固形物当り85w/w%以上の高純度マ
ルトース水溶液を、減圧濃縮して水分10w/w%
未満の高濃度シラツプとしてもよいし、更に、こ
れら高純度マルトースにおける水分10w/w%以
上35w/w%未満の水溶液を噴霧乾燥法などによ
り水分10w/w%未満の高濃度シラツプ滴として
もよい。 また、種晶共存下で結晶性α−マルトースを晶
出せしめるということは、高純度マルトースの高
濃度シラツプ固形物に対して、通常、0.001w/
w%以上100w/w%未満、望ましくは、0.1w/
w%以上20w/w%未満の結晶性α−マルトース
の種晶を共存せしめて結晶性α−マルトースが晶
出できればよく、その方法としては、例えば、高
純度マルトースの水分10w/w%未満の高濃度シ
ラツプに種晶を混〓として晶出させるか、又は、
高純度マルトースの水分10w/w%以上20w/w
%未満のシラツプに種晶を混合し、この種晶が溶
解、消失しない間に噴霧乾燥法などにより水分
10w/w%未満の高濃度シラツプ滴に晶出させる
か、更には高純度マルトースの水分10w/w%以
上35w/w%未満のシラツプを噴霧乾燥法などに
より水分10w/w%未満のシラツプ滴とし、これ
に種晶を接触せしめて晶出させるなどの方法が適
宜選択できる。 また、前記方法に加えて、加圧下で晶出を促進
させることも有利に実施できる。とりわけ、結晶
性α−マルトースの起晶時、助晶時に約5Kg/cm2
以上加圧するのが好都合である。従つて、加圧、
圧縮を必要とする例えば、押出し造粒機などによ
る結晶性α−マルトース粉末の製造方法は有利に
実施できる。 また、晶出中のマスキツトを、乾燥させながら
晶出を促進させることも有利に実施できることが
判明した。乾燥方法としては、常圧下、減圧下又
は加圧下で、また、静置状態、流動状態など適宜
選択できる。 これらの結晶性α−マルトースの晶出を促進さ
せる方法は、本発明の光学異性体α−マルトース
含量が55w/w%以上に達するまでの時間を約4/
5〜2/5にも短縮することができ、結晶性α−マル
トース粉末の製造能率を高めるだけでなく、結晶
性α−マルトース粉末の着色度を極度に低減さ
せ、高品質結晶性α−マルトース粉末の大量製造
方法として好都合である。 また、これらの方法を二種以上組み合せた方
法、例えば、高純度マルトースの水分10w/w%
未満の高濃度シラツプから前記方法などにより助
晶して、光学異性体α−マルトース含量が48w/
w%を越えるマスキツトとし、次いで、粉末、ス
トランド、ブロツク等の各種形状に成形し、更
に、50℃乃至130℃の温度範囲に維持しつつ晶出
乾燥させながら熟成して光学異性体α−マルトー
ス含量が55w/w%以上の結晶性α−マルトース
粉末を製造する方法もきわめて有利に実施するこ
とができる。 また、熟成条件としては、通常、50℃乃至100
℃の温度範囲では、約0.1乃至24時間、100℃を越
え130℃の温度範囲では約0.5乃至18時間が望まし
く、これ以上高温、長時間の苛酷な条件にする
と、得られる結晶性α−マルトース粉末の着色度
が増して商品価値が損なわれることが判明した。
熟成中に、加圧下でおよび/又は乾燥させながら
晶出させることは、結晶性α−マルトースの晶出
を促進し、熟成時間を大幅に短縮することができ
るので、結晶性α−マルトース粉末の大量製造方
法として好都合である。 また、光学異性体α−マルトース含量が55w/
w%以上の結晶性α−マルトース粉末を製造する
方法としては、例えば、押出し造粒方法、ブロツ
ク粉砕方法、噴霧乾燥方法、流動造粒方法などが
ある。 押出し造粒方法の場合には、例えば、高純度マ
ルトースの水分10w/w%未満の高濃度シラツプ
を50℃乃至130℃の温度範囲に維持しつつ、これ
に結晶性α−マルトースの種晶を混〓し助晶し
て、光学異性体α−マルトースの含量が48w/w
%を越えるマスキツトとし、これを押出し造粒機
にかけ得られる顆粒状マスキツト又は顆粒状粉末
を、50℃乃至130℃の温度範囲に維持しつつ乾燥
させながら晶出熟成し、光学異性体α−マルトー
ス含量が55w/w%以上の結晶性α−マルトース
粉末を採取する。 また、高純度マルトースの水分10w/w%未満
の高濃度シラツプを、種晶を共存せしめることな
く押出し造粒機にかけ、得られる高濃度シラツプ
滴に結晶性α−マルトースの種晶を接触せしめ、
50℃乃至130℃の温度範囲に維持しつつ、乾燥さ
せながら晶出熟成し、光学異性体α−マルトース
含量が55w/w%以上の結晶性α−マルトース粉
末を採取することもできる。 ブロツク粉砕方法の場合には、例えば、高純度
マルトースの水分10w/w%未満の高濃度シラツ
プを助晶機にとり、50℃乃至130℃の温度範囲に
維持しつつ、これに結晶性α−マルトースの種晶
を混合し助晶して、光学異性体α−マルトースの
含量が48w/w%を越えるマスキツトとし、これ
を、例えば、アルミ製バツトにとり出し、50℃乃
至130℃の温度範囲に維持しつつ晶出固化させ、
得られるブロツクを、切削機、ハンマーミルなど
で粉砕し、乾燥、篩別して、光学異性体α−マル
トース含量が55w/w%以上の結晶性α−マルト
ース粉末を採取する。 噴霧乾燥方法の場合には、例えば、高純度マル
トースの水分約10w/w%以上2w/w%未満の
シラツプに結晶性α−マルトースの種晶を混合
し、この種晶が溶解、消失しないようできるだけ
迅速に、高圧ノズル法又は回転円盤法などにより
噴霧乾燥して、水分10w/w%未満のシラツプ滴
とし、この滴を50℃乃至130℃の温度範囲に維持
しつつ乾燥させながら晶出熟成し、光学異性体α
−マルトース含量が55w/w%以上の結晶性α−
マルトース粉末を採取する。 また、流動造粒方法の場合には、例えば、高純
度マルトースの水分15w/w%以上35w/w%未
満のシラツプを、予じめ流動させている結晶性α
−マルトースの種晶に向けて、水分10w/w%未
満の高濃度シラツプ滴になるように噴霧乾燥し、
これを50℃乃至130℃の温度範囲に維持しつつ乾
燥させながら晶出熟成し、光学異性体α−マルト
ース含量が55w/w%以上の結晶性α−マルトー
ス粉末を採取する。 また、上述のようにして得られる結晶性α−マ
ルトースの一部を連続的に種晶に回して、結晶性
α−マルトースの製造を連続的に行なうことも有
利に実施できる。 このようにして製造される本発明の光学異性体
α−マルトース含量が55w/w%以上の結晶性α
−マルトース粉末は、上品な低甘味を有する白色
粉末で、その水分は低く、カールフイツシヤー法
により通常5w/w%未満、望ましくは、3w/w
%未満で、また、その吸湿性、流動性は粉末粒子
の形状、大きさ、光学異性体α−マルトース含量
の違いなどによつて多少異なるが、実質的に難吸
湿性、流動性である。 また、その融点は、β−マルトース含水結晶の
121〜125℃よりもはるかに高く、130℃以上、と
りわけ、光学異性体α−マルトース含量が60w/
w%以上の結晶性α−マルトース粉末の場合に
は、約140℃以上で、粘着、固結の懸念もなく流
動性充分な結晶性粉末である。 本結晶性α−マルトース粉末は、水分10w/w
%未満の低水分加工食品などの場合のように、実
質的に加水溶解することなく利用されるのみなら
ず、その他の飲食物、化粧品、医薬品、化学原料
などの場合のように、溶解含有せしめる原料糖質
としてもきわめて有利に利用できる。 以下、本結晶性α−マルトース粉末の用途につ
いて、より詳細に説明する。 本結晶性α−マルトース粉末は、そのまま甘味
付のための調味料として使用することができる。
必要ならば、例えば、粉飴、ブドウ糖、異性化
糖、佐藤、蜂蜜、メーブルシユガー、ソルビトー
ル、マルチトール、ジヒドロカルコン、ステビオ
シド、α−グリコシルステビオシド、ラカンカ甘
味物、グリチルリチン、ソウマチン、L−アスパ
ルチル L−フエニルアラニンメチルエステル、
サツカリン、グリシン、アラニンなどのような他
の甘味料と、また、デキストリン、澱粉、乳糖な
どのような増量剤と混合して使用することもでき
る。また、本結晶性α−マルトース粉末は、その
ままで、または必要に応じて増量剤、賦形剤、結
合剤、などと混合して、錠剤、棒、板、立方体な
どの各種形状に成形して利用することも自由であ
る。 本結晶性α−マルトース粉末は、水のみなら
ず、有機酸水溶液、塩類水溶液など各種水溶液に
おいても瞬時に高濃度に溶解しうることが判明し
た。更に、結晶性α−マルトース粉末は、マルト
ース本来の虫歯誘発、血中コレステロール増加な
どの懸念もなく、更に、上品な甘味、ボデイの付
与、照りの付与、粘性、保水性などの性質をも有
しているので、飲食物、化粧品、医薬品などの製
造に有利に利用できる。 特に、水又は各種水溶液に瞬時に高濃度に溶解
しうる性質は、例えば、ジユース、蜂蜜、ジヤ
ム、生卵、牛乳、ヨーグルト、糊化澱粉ペース
ト、ナツツペースト、バター、マーガリン、魚肉
すり身、生あん、味噌、製菓製パン用ドウなどの
水系のゾル、半ゲル又はゲルなどの飲食物含水材
料を用いて水分10w/w%以上の高水分加工食品
を製造するに際して、これら材料に結晶性α−マ
ルトース粉末を直接〓り込み、きわめて容易に溶
解させることができるので、その製造工程を短縮
又は簡略化することができる。このようにして製
造される水分10w/w%以上の高水分加工食品
は、水分活性を有意に低下させることができ、ま
た、それが澱粉質加工食品の場合には糊化澱粉の
老化速度を大幅に遅らせる効果をも発揮するの
で、これら加工食品の商品寿命を大幅に延長させ
ることが判明した。 また、本結晶性α−マルトース粉末は、例え
ば、特公昭52−48198号公報に開示されているマ
ルトースシラツプ粉末などとは違つて、40v/v
%エタノール水溶液においても瞬時に高濃度に溶
解することが判明した。この特徴は、上品な甘味
質、ボデイーの付与、適度な粘性などの性質とと
もに酒類用調味糖質として好適である。 従つて、本結晶性α−マルトース粉末は、リキ
ユール、合成酒、増醸酒などの酒類製造にきわめ
て有利に利用できる。 また、本結晶性α−マルトース粉末は、親水性
糖質でありながら、意外に大きな親油性をも有し
ていることが判明した。 従つて、加工食品として、油溶性物質、例え
ば、大豆油、ナタネ油、辛子油、ゴマ油、サフラ
ワー油、パーム油、カカオバター、牛脂、豚脂、
鶏脂、魚油、硬化油などの油脂、柑橘類精油、花
精油、スパイス油、ペパーミント油、スペアミン
ト油、コーラナツツエクストラクト、コーヒーエ
キストラクトなどの油溶性香辛料、β−カロチ
ン、パプリカ色素、アナトー色素、クロロフイル
などの油溶性着色科、肝油、ビタミA、ビタミン
B2酪酸エステル、ビタミンE、ビタミンK、ビ
タミンDなどの油溶性ビタミン、エストロゲン、
プロゲステロン、アンドロゲンなどの油溶性ホル
モン、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸、
エイコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸など
の高度不飽和脂肪酸などを含有せしめた例えば、
チユーインガム、チヨコレート、サンドクリー
ム、ペースト状クリーム、スプレツト、粉末状の
油脂、油溶性香辛料、顆粒状の油溶性着色料、即
席スープ、油溶性ビタミン、油溶性ホルモン錠
剤、高度不飽和脂肪酸錠剤などの製造を行うこと
もきわめて有利に実施できる。 本結晶性α−マルトース粉末の上品な甘味は、
酸味、塩から味、渋味、旨味、苦味などの他の呈
味を有する各種の物質とよく調和し、耐酸性、耐
熱性も大きいので今まで述べた特殊な場合だけで
なく、普通一般の飲食物の甘味付に、また呈味改
良に自由に利用できる。 例えば、醤油、粉末醤油、味噌、粉末味噌、も
ろみ、ひしお、フリカケ、マヨネーズ、ドレツシ
ング、食酢、三杯酢、粉末すし酢、中華の素、天
つゆ、麺つゆ、ソース、ケチヤツプ、焼肉のタ
レ、カレールウ、シチユーの素、スープの素、ダ
シの素、複合調理料、みりん、新みりん、テーブ
ルシユガー、コーヒーシユガー、など各種調味料
として自由に使用できる。 また、例えば、せんべい、あられ、おこし、求
肥、餅類、まんじゆう、ういろう、あん類、羊
羹、水羊羹、錦玉、ゼリー、カステラ、飴玉など
の各種和菓子、パン、ビスケツト、クラツカー、
クツキー、パイ、プリン、バタークリーム、カス
タードクリーム、シユークリーム、ワツフル、ス
ポンジケーキ、ドーナツ、チヨコレート、チユー
イングガム、キヤラメル、キヤンデー、フオンダ
ン、アイシングなどの各種洋菓子、アイスクリー
ム、シヤーベツトなどの氷菓、果実のシロツプ
漬、氷蜜などのシロツプ類、フラワーペースト、
ピーナツツペースト、フルーツペーストなどのペ
ースト類、ジヤム、マーマレード、シロツプ漬、
糖果などの果実、野菜の加工食品類、福神漬、べ
つたら漬、千枚漬、らつきよう漬などの漬物類、
たくあん漬の素、白菜漬の素などの漬物の素類、
ハム、ソーセージなどの畜肉製品類、魚肉ハム、
魚肉ソーセージ、カマボコ、チクワ、天ぷらなど
の魚肉製品、ウニ、イカの塩辛、酢コンブ、さき
するめ、ふぐのみりん干しなどの各種珍味類、の
り、山菜、するめ、小魚、貝などで製造されるつ
くだ煮類、煮豆、ポテトサラダ、コンブ巻きなど
のそう菜食品、乳製品、魚肉、畜肉、果実、野菜
のビン詰、缶詰類、合成酒、増醸酒、果実酒、洋
酒などの酒類、コーヒー、ココア、ジユース、炭
酸飲料、乳酸飲料、乳酸菌飲料などの清涼飲料
水、プリンミツクス、ホツトケーキミツクス、即
席ジユース、即席コーヒー、即席しるこ、即席ス
ープなどの即席飲食品などの各種飲食物への甘味
料として、呈味改良剤として自由に利用できる。 また、家畜、家禽、そのほか蜜蜂、蚕、魚など
の飼育動物のための飼料、餌料などの嗜好性を向
上させる目的で使用することもできる。その他、
タバコ、練歯みがき、口紅、リツプクリーム、内
服薬、トローチ、肝油ドロツプ、口中清涼剤、口
中香錠、うがい薬など、各種固形状、ペースト
状、液状などで嗜好物、化粧品、医薬品などへの
甘味剤とし、または呈味改良剤として、さらには
矯味剤として自由に利用できる。 以下本発明を実験を用いて詳細に説明する。 実験1 原料マルトースの比較 原料マルトースは、第1表に示した林原株式
会社製造の各種澱粉糖商品を使用した。 商品名マルスター 、HM−75などのシラツ
プ品の場合には、そのまま蒸発釜にとり、減圧
下で煮つめて水分4.5w/w%とした。 商品名サンマルト 、マルトースH、マルト
ースHH、マルトースHHHなどのβ−マルト
ース含水結晶などの粉末品の場合には、少量の
水で、加熱溶解し、次いで蒸発釜にとり、減圧
下で煮つめて水分4.5w/w%とした。 このようにして得られた水分約4.5w/w%
の高濃度シラツプを助晶機に移し、これに予じ
め、高純度β−マルトース含水結晶(マルトー
スHHH)を約50w/v%熱メタノール溶液か
ら晶出採取した結晶性α−マルトースを、種晶
として2w/w%加え、120℃で20分間撹拌助晶
し、次いでアルミ製バツトに取り出し、90℃で
16時間熟成させブロツクを調製した。次いで、
室温まで冷却し粉砕して粉末品を得た。これら
粉末品を用いて、C.C.Sweeley et al.、J.Am.
Chem.Soc.、Vol.85、2497−2507(1963年)に
記載されている方法に準じてガスクロマトグラ
フイーを行ない、マルトース中の光学異性体α
−マルトースの含量を求め、また、F.H.
Stodola et al.、J.Am.Chem.Soc.、Vol.78、
2514−2518(1956年)に記載されている方法に
準じてX線回折装置(理学電機株式会社製造、
商品名ガイガーフレツクスRAD−B、Cu
Kα線使用)を用いて粉末X線回折を行ない結
晶の有無を調べた。結果は第1表に示す。その
X線回折図形を第1〜5図に示す。第1図はα
−マルトース含量48w/w%である非晶質粉末
の、第2図はα−マルトース含量55.6w/w%
である結晶性粉末の、第3図はα−マルトース
含量61.4w/w%である結晶性粉末の、第4図
はα−マルトース含量68.7w/w%である結晶
性粉末の、第5図はα−マルトース含量
74.2w/w%である結晶性粉末のX線回折図形
である。なお、対照実験として、β−マルトー
ス含水結晶(マルトースHHH)を水
【表】 に加熱溶解し、減圧乾燥粉末化した非晶質粉末
のX線回折を行つたところ、第1図と同じX線
回折図形が得られ、また、原料のβ−マルトー
ス含水結晶(マルトースHHH)粉末のX線回
折では、第6図のX線回折図形が得られた。 第1表の結果から明らかなように、X線回折
により新たな結晶の析出が認められたものは、
光学異性体α−マルトースの含量が55w/w%
以上を示し、その原料マルトースとしては、マ
ルトース含量が固形物当り85w/w%以上が必
要であることが判明した。 実験2 親油性の比較 2−1 保油力の比較 実験1の方法で調製したテストNo.1〜8の標
品及び砂糖(テストNo.9)、乳糖(テストNo.10)
を粒径約45〜150μの粉末として保油力を比較
した。保油力の測定は、特開昭59−31650号公
報に開示されている方法に準じて、ナタネ油10
gをビーカーに秤取し、撹拌しながら粉末糖類
を加えていく。この混合物は、粉末糖類の添加
量が少ない内は流動性を持つているが、その量
が増すにつれて粘稠度が増し、やがて一つの塊
になる。更にその添加量を増すと、固さが増
し、やがて一つにまとまらなくなりほぐれはじ
める。この点を終点として、次の式により保油
力を求めた。 保油力=ナタネ油(10g)/粉末糖類の添加量(g
)×100 結果は第2表に示す。 2−2 乳濁力の比較 実験2−1の方法で調製した粒径約45〜
150μの各種糖類の粉末を用いて乳濁力を比
較した。 乳濁力の測定は、大豆油2gをビーカーに
とり、これに各種糖類粉末2gを加え、ガラ
ス棒にて撹拌混合する。得られた混合物を共
栓付試験管に入れ、これに水30mlを加え、手
で軽く数回振つて混合し、室温で1夜静置し
た。これの水相を肉眼観察し、その白濁の強
さを求めた。 なお、乳濁している水相を顕微鏡観察した
ところ、糖類結晶粉末の存在は認められず、
直径約2〜5μの多数の油滴が観察されるだ
けであり、乳濁力の強いもの程、その油滴数
は多かつた。 結果は第2表に示す。
【表】 使用した。
第2表の結果から明らかなように、結晶性
α−マルトース粉末は保油力、乳濁力とも優
り、著しい親油性を有していることが判明し
た。 この性質は、油溶性物質含有飲食物の製造
に有利に利用できる。 実験3 高純度マルトースシラツプ水分の結晶性
α−マルトースの晶出に与える影響 原料マルトースは、林原株式会社製造のβ−
マルトース含水結晶粉末 商品名マルトース
HHH(マルトース含量99.7w/w%)を用い
て、高濃度シラツプの水分が結晶性α−マルト
ースの晶出に与える影響を調べた。 β−マルトース含水結晶粉末を少量の水に加
熱溶解し、次いで蒸発釜にとり、減圧下で煮つ
め、各種水分のシラツプを調製し、これに結晶
性α−マルトースの種晶をシラツプ固形物に対
して2w/w%加え、100℃で5分間撹拌助晶
し、次いで、アルミ製バツトに取り出し、70℃
で6時間熟成しブロツクを調製した。これを室
温まで冷却した後、光学異性体α−マルトース
含量を測定した。 結果は第3表に示す。
【表】 ある。
第3表の結果から明らかなように、結晶性α
−マルトースの晶出は、高純度マルトースのシ
ラツプ水分10w/w%未満が望ましく、とりわ
け、2.0w/w%以上9.5w/w%未満のシラツ
プが好適であることが判明した。 実験4 結晶性α−マルトースの晶出に与える温
度の影響 原料マルトースは、林原株式会社製造のβ−
マルトース含水結晶 商品名マルトースH(マ
ルトース含量91.5w/w%)を用いて結晶性α
−マルトースの晶出に与える影響を調べた。 β−マルトース含水結晶粉末を少量の水に加
熱溶解し、次いで蒸発釜にとり、減圧下で煮つ
めて水分4.5w/w%のシラツプを調製し、こ
れに結晶性α−マルトースの種晶をシラツプ固
形物に対して2w/w%加え、100℃で5分間撹
拌助晶し、次いで、アルミ製バツトに取り出
し、20℃乃至140℃の各温度に時間晶出熟成し
てブロツクを調製し、次いで、光学異性体α−
マルトース含量を測定した。 更に、これらブロツクの着色度を測定した。
着色度は、30w/v%水溶液における10cmセル
での420nm及び720nmの吸光度差(A420-720
で示した。 結果は第4表に示す。
【表】 第4表の結果から明らかなように、結晶性α
−マルトースの晶出は、50℃乃至130℃の温度
範囲が望ましく、とりわけ、60℃乃至120℃の
範囲が好適であることが判明した。また、結晶
性α−マルトースの着色度は、晶出温度により
異なり、130℃を越えるといちじるしく増大す
ることが判明した。すなわち、140℃で晶出さ
せたものの着色度は、100℃以下の場合の約14
乃至20倍、120℃の場合の約7倍、130℃の場合
の約3倍も着色することが判明した。 実験5 結晶性α−マルトースの晶出に与える加
圧の影響 原料マルトースはβ−マルトース含水結晶
商品名マルトースHHH(マルトース含量
99.7w/w%)を用いて、結晶性α−マルトー
スの晶出に与える加圧の影響を調べた。 β−マルトース含水結晶粉末を少量の水に加
熱溶解し、次いで蒸発釜にとり、減圧下で煮つ
めて水分5.0w/w%のシラツプとし、このシ
ラツプを撹拌機付き圧力容器にとり、これに結
晶性α−マルトースの種晶をシラツプ固形物に
対して2w/w%加え、70℃で0乃至20Kg/cm2
に圧縮空気で加圧して撹拌しながら1時間晶出
させ、次いで、これをサンプリングし、光学異
性体α−マルトース含量を測定した。 結果は、第5表に示す。
【表】 第5表の結果から明らかなように、結晶性α
−マルトースの晶出は、加圧下で促進され、と
りわけ、約5Kg/cm2以上の加圧が好適であるこ
とが判明した。 以下、結晶性α−マルトース粉末の製造方法
を参考例で述べる。 参考例 1 馬鈴薯澱粉1重量部と水10重量部との懸濁液に
市販の細菌液化型α−アミラーゼを加え90℃に加
熱糊化し、直ちに130℃に加熱して酵素反応を止
め、DE約0.5の液化液を得た。この澱粉液化液を
55℃まで急冷してシユードモナス・アミロデラサ
(Pseudomonas amyloderamosa)ATCC21262
の培養液から調製したイソアミラーゼ
(EC3.2.1.68)を澱粉瓦当り100単位と、大豆由来
のβ−アミラーゼ(EC3.2.1.2)(長瀬産業(株)製、
商品名#1500)を同じく50単位とを加えPH5.0に
保つて40時間糖化し、マルトース含量が固形物当
り92.5w/w%の高純度マルトース液を得、これ
を活性炭で脱色し、イオン交換樹脂で脱塩精製し
た。本マルトース溶液を濃度75%に濃縮した後、
助晶缶にとり、β−マルトース・モノハイドレイ
ト結晶の粉末種晶1%を加え40℃とし、ゆつくり
撹拌しつつ徐冷して、2日間を要して30℃まで下
げ、バスケツト型遠心機で分蜜し、結晶を少量の
水でスプレーし洗浄して純度99.0%の高純度β−
マルトース含水結晶を得た。 このようにして得られた高純度マルトースを少
量の水で加熱溶解し、次いで蒸発釜にとり、減圧
下で煮つめ、水分5.5w/w%のシラツプとした。
次いで、助晶機に移し、これに実験1、テストNo.
6の方法で得た結晶性α−マルトースをシラツプ
固形物当り1w/w%加え、100℃で5分間撹拌助
晶し、次いで、プラスチツク製バツトに取り出
し、70℃で6時間晶出熟成させてブロツクを調製
した。 次いで、本ブロツクを切削機にて粉砕し、流動
乾燥して、光学異性体α−マルトース含量が
73.3w/w%の結晶性α−マルトース粉末を、原
料の高純度β−マルトース含水結晶に対して約
92w/w%の収率で得た。 本品は上品な甘味を有する白色粉末甘味料で、
チヨコレートなどの低水分加工食品のみならず、
油溶性物質含有食品、酒類など各種飲食物の製造
に有利に利用できる。 また、化粧品、医薬品原料、化学原料などとし
ても有利に利用できる。 参考例 2 参考例1の方法で調製したマルトース含量が固
形物当り92.5w/w%の高純度マルトース水溶液
を、水分20w/w%に減圧濃縮し、次いで噴霧乾
燥塔の上部より高圧ポンプにてノズルから噴霧
し、100℃の熱風にて乾燥しつつ、乾燥塔底部の
移動金網コンベア上で、予じめ、流動させている
結晶性α−マルトース粉末上に落下せしめ、コン
ベアの下より70℃の温風を送りつつ、乾燥塔外に
徐々に移動させ、60分を要して取り出した粉末を
熟成塔に充填して70℃の温風を通気しつつ4時間
晶出熟成させて、光学異性体α−マルトース含量
が66.2w/w%の結晶性α−マルトース粉末を原
料の高純度マルトースに対して約94%の収率で得
た。 本品は、上品な甘味を有する白色粉末甘味料
で、チヨコレート、チユーインガム、サンドクリ
ームなどの低水分加工食品のみならず、バターク
リーム、あん、求肥、水産練製品、酒類など各種
飲食物に有利に利用できる。 参考例 3 コンスターチ2重量部と水10重量部との懸濁液
に、市販の細菌液化型α−アミラーゼを加え、90
℃に加熱糊化した後、130℃に加熱して酵素反応
を止め、DE約2の液化液とし、この澱粉液化液
を55℃に急冷してシユードモナス・アミロデラモ
サ(Pseudomonas amyloderamosa)
ATCC21262の培養液から調製したイソアミラー
ゼ(EC3.2.1.68)を澱粉瓦当り120単位と、大豆
由来のβ−アミラーゼを同じく30単位とを加え、
PH5.0に保つて36時間糖化し、参考例1と同様に
精製して、マルトース含量が88.6w/w%の高純
度マルトース溶液を得、次いで、減圧濃縮して水
分3.5w/w%のシラツプとした。 次いで、助晶機に移し、これに参考例2の方法
で得た結晶性α−マルトースを、シラツプ固形物
当り2.5w/w%加え、120℃で10分間撹拌助晶
し、次いで、アルミ製バツトに取り出し、70℃で
18時間晶出熟成させ、以後、参考例1と同様に粉
砕、乾燥し、光学異性体α−マルトース含量が
63.9w/w%の結晶性α−マルトース粉末を、原
料の高純度マルトースに対して約94%の収率で得
た。 本品は、上品な甘味を有する白色粉末甘味料
で、チヨコレート、チユーインガム、サンドクリ
ームなどの低水分加工食品のみならず、ジヤム、
カスタードクリーム、バタークリーム、あん、パ
ン、求肥、水産煉製品、酒類など各種飲食物に有
利に利用できる。 参考例 4 マルトース含有量79.6%の澱粉糖液(林原株式
会社製造、商品名HM−75)を濃度45w/w%水
溶液にして原糖液とした。分画用樹脂は、アルカ
リ金属型強酸性カチオン交換樹脂(東京有機化学
工業社製造、商品名XT−1022E、Na+型)を使
用し、内径5.4cmのジヤケツト付ステンレン製カ
ラムに水懸濁液状で充填した。この際、樹脂層長
5mのカラム4本に充填し、その液が直列に流れ
るようにカラム4本を連結して樹脂層全長20mと
した。 カラム内温度を55℃に維持しつつ、原糖液を樹
脂に対して5v/v%を加え、これに55℃の温水
をSV0.13の流速で流して分画し、マルトース高
含有画分を採取し、マルトース含量固形物当り
94.4w/w%の高純度マルトース溶液を得た。 上述の分画処理を20回行つて集めた高純度マル
トース溶液を減圧濃縮して水分4.0w/w%のシ
ラツプとし、助晶機に移し、参考例2の方法で得
た結晶性α−マルトースをシラツプ固形物当り
2.0w/w%加え、110℃で20分間撹拌助晶し、次
いで、スクリユー型押出し造粒機にかけて顆粒状
粉末とし、乾燥室に移し80℃の熱風で2時間乾燥
させながら晶出熟成させ、光学異性体α−マルト
ース含量が69.2w/w%の結晶性α−マルトース
粉末を、原料の高純度マルトースに対して約93%
の収率で得た。本品は、上品な甘味を有する白色
粉末甘味料で、参考例1の方法で得られた結晶性
α−マルトース粉末と同様に飲食物、化粧品、医
薬品、化学原料などとして有利に利用できる。 以下、本発明の実施例、及び優れた効果につい
て述べる。 実施例 1 バタークリーム 生卵80重量部に、参考例1の方法で得た結晶性
α−マルトース粉末100重量部を加え、マヨネー
ズ状になるまでよく泡立て、これをバター200重
量部に泡立てながら混ぜ、ほどよいかさたになつ
た時、ブランデーの少量を落として香りづけをし
た。 本品は、口当りがなめらかで、甘味も強すぎ
ず、デコレーシヨン用などに好適である。 実施例 2 カスタードクリーム コンスターチ500重量部、参考例2の方法で得
た結晶性α−マルトース粉末900重量部および食
塩5重量部に生卵1400重量部を撹拌混合し、これ
に沸騰した牛乳5000重量部を徐々に加え、さらに
とろ火にかけて撹拌を続け、コーンスターチが完
全に糊化して全体が半透明になつたとき火を止
め、これを冷却し、少量のバニラ香料を加えてカ
スタードクリームを得た。 本品は、光沢を有し、口当りもなめらかで、風
味良好であつた。 実施例 3 ういろう 米粉90重量部、コンスターチ20重量部、参考例
4の方法で得た結晶性α−マルトース粉末120重
量部、プルラン4重量部および抹茶1重量部を均
一に混合し、これに適量の水を加えて混練し、容
器に入れて60分間蒸して抹茶ういろうを製造し
た。 本品は、照り、口当りも良好で上品な甘味を有
していた。 また、澱粉の老化も抑制され、長期間安定であ
つた。 実施例 4 あん ステンレス製の鍋に、あずき生あん2000重量部
をとり、これに砂糖900重量部及び参考例4の方
法で得た結晶性α−マルトース粉末500重量部を
加え、撹拌しつつ加熱し焦げつかぬよう練上げて
製品を得た。 本品は、口当り、風味とも良好なあんであつ
た。 実施例 5 レモンゼリー 寒天7重量部を水200重量部に加熱溶解させ、
次いで、参考例3の結晶性α−マルトース粉末
150重量部を溶解し、さらに65℃まで冷却した。
これに、レモン香料及び着色料の少量を加えた炭
酸水350重量部を混合して型に入れて冷却し製品
を得た。 本品は、口当り、風味とも良好なレモンゼリー
であつた。 実施例 6 加糖練乳 80℃に10分間保つて殺菌した牛乳100重量部に、
参考例2の方法で得た結晶性α−マルトース粉末
16重量部を加えて50乃至55℃で減圧濃縮した。濃
縮は、50℃における比重が1.305になるまで行な
つた。 本品は、上品な甘味を有する加糖練乳で、その
保存性もよかつた。 実施例 7 ジヤム 生いちご1500重量部、砂糖640重量部、参考例
1の方法で得た結晶性α−マルトース粉末640重
量部、ペクチン5重量部およびクエン酸1重量部
をなべで煮つめて製品を得た。 本品は、酸味、甘味のバランスも良好で、また
適度のゼリー強度を有していた。 実施例 8 ハードキヤンデー グリコシルスクロール(林原株式会社製造、商
品名カツプリングシユガー )液状品100重量部
に、参考例2の方法で得た結晶性α−マルトース
粉末20重量部を加えて加熱溶解し、さらに水分
1.5w/w%未満に煮つめ、常法に従つて成形し、
無色透明なハードキヤンデイーを得た。 本品は、歯切れよく、上品な甘味を有してい
た。 実施例 9 合成酒 35v/v%エタノール3.9に、参考例2の方法
で得た結晶性α−マルトース粉末400g、グルタ
ミン酸ナトリウム1.1g、コハク酸7.2g、75w/
w%乳酸1.4g、酸性リン酸カリウム0.6g、酸性
リン酸カルシウム0.6g、コハク酸ナトリウム1.2
g、食塩1.1g、アラニン0.4g、グリシン0.3g、
及び香味液4mlを加えて混合溶解し、次いで、水
を加えて10とし、更に、常法に従つて、滓引、
過、火入れ、ビン詰して製品を得た。 結晶性α−マルトース粉末の35v/v%エタノ
ールへの溶解速度は瞬時であり、製造時の作業性
はきわめて良好であつた。 本品は、清酒風味を有するまろやかな合成酒で
あつた。 実施例 10 べつたら漬 参考例3の方法で得た結晶性α−マルトース粉
末4重量部、甘草製剤0.05重量部、リンゴ酸
0.008重量部、グルタミン酸ナトリウム0.07重量
部、ソルビン酸カリウム0.03重量部およびプルラ
ン0.2重量部を均一に混合してべつたら漬の素を
製造した。 大根30Kgを常法に従つて食塩により下漬けし、
次いで砂糖で中漬したものを本べつたら漬の素4
Kgで調製した調味液に付けてべつたら漬を製造し
た。 本品は、色、艶、香いずれも良好で、適度の甘
味を有し歯切れもよかつた。 発明の効果 上記したことから明らかなように、本発明の結
晶性α−マルトース粉末、とりわけ光学異性体α
−マルトース含量が55w/w%以上の結晶性α−
マルトース粉末を溶解含有せしめた飲食物の製造
方法は、従来使用しててきたβ−マルトース含水
結晶の場合とは違つて飲食物含水材料などに、直
接、混合、混〓するなどの方法により容易に溶
解、分散できるので、予め、マルトース含有糖液
を調製する必要もなく、その製造工程を大幅に短
縮又は簡略化できるのみならず、得られる製品も
風味良好で、甘味を調節した高品質飲食物が得ら
れる。 また、本発明に使用する結晶性α−マルトース
粉末は、固形物当り85w/w%以上の高純度マル
トースを、水分10w/w%未満の高濃度シラツプ
とし、これを種晶共存下で晶出粉末化させたもの
が好適である。 また、飲食物としては、結晶性α−マルトース
粉末を飲食物含水材料などに溶解含有せしめて製
造されるものが好適であり、とりわけ、リキユー
ル、合成酒、増醸酒などの酒類、バタークリー
ム、ドレツシングなどの油溶性物質含有食品、求
肥、餅類、カスタードグリームなどの糊化澱粉含
有食品などの高含水加工食品などが好適である。
【図面の簡単な説明】
第1図は、α−マルトース含量48.0w/w%で
ある非晶質粉末のX線回折図形を示す。第2図
は、α−マルトース含量が55.6w/w%である結
晶性粉末のX線回折図形を示す。第3図は、α−
マルトース含量が61.4w/w%である結晶性粉末
のX線回折図形を示す。第4図は、α−マルトー
ス含量が68.7w/w%である結晶性粉末のX線回
折図形を示す。第5図は、α−マルトース含量が
74.2w/w%である結晶性粉末のX線回折図形を
示す。第6図は、β−マルトース含水結晶(マル
トースHHH)粉末のX線回折図形を示す。

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1 結晶性α−マルトース粉末を飲食物に溶解さ
    せて含有せしめることを特徴とする飲食物の製造
    方法。 2 結晶性α−マルトース粉末が、光学異性体α
    −マルトースを55w/w%以上含有していること
    を特徴とする特許請求の範囲第1項記載の飲食物
    の製造方法。 3 結晶性α−マルトース粉末が、固形物当り
    85w/w%以上のマルトースを含有する高純度マ
    ルトースから晶出させたものであることを特徴と
    する特許請求の範囲第1項又は第2項記載の飲食
    物の製造方法。 4 結晶性α−マルトースが、高純度マルトース
    の水分10w/w%未満である高濃度シラツプに種
    晶を共存せしめて晶出させたものであることを特
    徴とする特許請求の範囲第1項、第2項又は第3
    項記載の飲食物の製造方法。 5 飲食物が、水分10w/w%以上であることを
    特徴とする特許請求の範囲第1項、第2項、第3
    項又は第4項記載の飲食物の製造方法。 6 飲食物が、油溶性物質を含有しているもので
    あることを特徴とする特許請求の範囲第1項、第
    2項、第3項、第4項又は第5項記載の飲食物の
    製造方法。 7 飲食物が、糊化澱粉を含有しているものであ
    ることを特徴とする特許請求の範囲第1項、第2
    項、第3項、第4項又は第5項記載の飲食物の製
    造方法。 8 飲食物が、酒類であることを特徴とする特許
    請求の範囲第1項、第2項、第3項、第4項又は
    第5項記載の飲食物の製造方法。
JP59169118A 1984-06-21 1984-08-13 飲食物の製造方法 Granted JPS6147166A (ja)

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