JPH0577295U - 布帛用ピンテンター - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 潤滑油の供給を不要にし、潤滑油の飛散によ
る布帛の汚れや、潤滑不足による摺動面の摩耗を防ぐ。 【構成】 テンターレール１０に設けたレール溝１１の
底面、片側の溝壁およびテンターレール上方の上部案内
板１２の下面にそれぞれ耐熱耐摩耗性ライナー１３、１
４、１５を固定し、ピンチェーン２０のブッシュ２２に
耐熱性シールド型玉軸受２３の内輪を固定し、その外輪
をレール溝１１の溝壁に固定されているライナー１４に
接触させる。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

この考案は、布帛用ピンテンターの改良に関し、テンターレールおよびピンチ ェーンの摺動部に対する潤滑油の供給を不要にしたものである。

【０００２】

【従来の技術】

布帛用ピンテンターとして、ローラーチェーン形式のピンチェーンをテンター レールに沿って走行させるものが知られている。例えば、実公昭５４−２５５１ ７号公報には、上下方向に向けた多数本の連結ピンにそれぞれブッシュおよびロ ーラを順に嵌合し、２本のブッシュの上下両端を中間リンクで、２本の連結ピン の下部突出端を下部リンクで、また上部突出端をアングル形の上部リンクの水平 部でそれぞれ接続し、上部リンクの水平部上面にピン板支持板を固定し、下部リ ンクの下面をテンターレールに設けたレール溝の底面に、また上部リンクの垂直 部をレール溝の溝壁に、また上部リンクの水平部の端部をテンターレールの中央 部上方に設けた上部案内板の下面にそれぞれ摺動させるようにしたものが開示さ れている。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】

しかしながら、上記のピンテンターは、レール溝の溝壁および上部案内板にそ れぞれ油路を設けて摺動面の潤滑を行うと共に、上部リンクおよび上側中間リン クのそれぞれに連結ピンとブッシュの嵌合部に給油するための油溝および油孔を 設けていたので、テンターのチャンバ内温度や布帛速度に応じて適量の潤滑油を 供給することが困難であり、供給量の過剰や不足が生じ易く、そのため過剰にな って潤滑油の飛散により布帛を汚したり、また不足して摺動面が摩耗したりする 等の問題があった。

【０００４】 この考案は、潤滑油の供給を不要にし、潤滑油の飛散による布帛の汚れや、潤 滑不足による摺動面の摩耗を防ぐようにしたものである。

【０００５】

【課題を解決するための手段】

この考案に係る布帛用ピンテンターは、テンターレールに設けたレール溝の底 面、ピンチェーンが摺動する側の溝壁およびテンターレールの中央部上方に設け られピンチェーンの上部リンクの端部が摺動する上部案内板の下面にそれぞれ耐 熱耐摩耗性ライナーを固定し、上記レール溝に沿って走行するピンチェーンの上 下一対の中間リンクを連結しているブッシュに耐熱性シールド型玉軸受の内輪を 固定し、その外輪を上記レール溝の溝壁に固定されている上記の耐熱耐摩耗性ラ イナーに接触させるようにしたことを特徴とする。

【０００６】

【作用】

テンターレールの両端に設けられているスプロケットの歯にピンチェーンの耐 熱性シールド型玉軸受が噛み合うように両端のスプロケット間にピンチェーンを 巻き掛け、ピンチェーンの両端以外の中間部分をテンターレールのレール溝に挿 入し、ピン板上のピンに布帛の耳部を係止させてピンチェーンを走行させると、 ピンチェーンの下部リンクがレール溝底面の耐熱耐摩耗性ライナーに接して摺動 し、また耐熱性シールド型玉軸受の外輪がレール溝の溝壁の耐熱耐摩耗性ライナ ーに圧接して転動し、また上部リンクの端部が上部案内板下面の耐熱耐摩耗性ラ イナーに接して摺動する。

【０００７】 この場合、ピンチェーンの下部リンク、玉軸受の外輪および上部リンクの端部 は、いずれも耐熱耐摩耗性ライナーに接するので、給油しない場合でも、下部リ ンク、玉軸受および上部リンクの摩耗が少なく、玉軸受の内輪と外輪間のみに耐 熱クリースを充填しておくことにより、長期間の無給油運転が可能である。そし て、上記の耐熱耐摩耗性ライナーが摩耗した場合は、該ライナーのみを交換する ことができる。なお、レール溝の溝壁の耐熱耐摩耗性ライナーには、布帛張力の 作用で上記玉軸受の外輪が接するため、レール溝の底面および上部案内板の耐熱 耐摩耗性ライナーよりも大きい圧力が加わるが、玉軸受が転動するので、その摩 耗が少ない。

【０００８】

【実施例】

図２において、１０はテンターレール、１１は搬送側のレール溝であり、幅方 向の中央上方（図の左方）に上部案内板１２が設けられ、この上部案内板１２を 挟んで反対側に戻り側のレール溝（図示されていない）が設けられている。そし て、上記レール溝１１の底面、外側の溝壁および上部案内板１２の下面にそれぞ れフェノール系熱硬化性樹脂を主成分とする耐熱耐摩耗性ライナー（商品名「ハ イテムＳ」、スターライト工業株式会社製）１３、１４、１５が固定される。

【０００９】 上記のレール溝１１に沿って走行するピンチェーン２０は（図１および図２参 照）、上下方向の連結ピン２１に該連結ピン２１よりも短いブッシュ２２を回転 自在に嵌合し、このブッシュ２２の中央に耐熱性シールド型玉軸受２３の内輪を 固定し、この多数本のブッシュ２２を備えた連結ピン２１を、ブッシュ２２を２ 本ずつ両端で接続する上下一対の中間リンク２４、２４と、連結ピン２１を２本 ずつ下部突出端で接続する下部リンク２５および上部突出端で接続する上部リン ク２６とで交互に連結して形成される。

【００１０】 下部リンク２５は、２個の隣接する下側中間リンク２４、２４の端部間にまた がる長さを備え、レール溝１１の底面ライナー１３上を摺動する幅が狭い板状に 形成される。また、上部リンク２６は、２個の隣接する上側中間リンク２４、２ ４の端部間にまたがる長さと、上側中間リンク２４の上から上部案内板１２に固 定した上部ライナー１５まで延びる幅とを備えた板状のものであり、連結ピン２ １の上端に形成されたボルト部２１ａにピン板支持板２７と共にナット２８で締 付け固定される。そして、このピン板支持板２７にピン板２９が固定される。

【００１１】 上記の構造において、ピン板２９のピンに布帛Ｆの耳部を係止してピンチェー ン２０を走行させると、ピンチェーン２０の下部リンク２５の下面および上部リ ンク２６の上面端部がそれぞれレール溝１１の底面ライナー１３および上部案内 板１２の上部ライナー１５に沿って摺動し、連結ピン２１にブッシュ２２を介し て取付けた耐熱性シールド型玉軸受２３がレール溝１１の溝壁ライナー１４に沿 って転動する。

【００１２】

【考案の効果】

上記のとおり、この考案のピンテンターは、テンターレールのレール溝の底面 、片側の溝壁および上部案内板の下面にそれぞれ耐熱耐摩耗性ライナーを固定し 、上記のブッシュに耐熱性シールド型玉軸受の内輪を固定し、その外輪をレール 溝の溝壁に固定されている耐熱耐摩耗性ライナーに接触させるものであるから、 耐熱性シールド型玉軸受に耐熱性クリースを充填しておくことにより、給油する ことなく長期間の運転を続けることができ、給油の過剰による油の飛散が無く、 上記の耐熱耐摩耗性ライナーに接するピンチェーンの下部リンク、耐熱性シール ド型玉軸受および上部リンクが摩耗することはない。そして、上記レール溝の底 面、溝壁および上部案内板の耐熱耐摩耗性ライナーに摩耗が生じた際は、該ライ ナーのみを交換すれば足り、テンターレールを交換する必要がない。また、上記 レール溝の底面、溝壁および上部案内板の中で最も大きい圧力が加わる溝壁のラ イナーには、上記玉軸受の外輪が接触して転動するので、ライナーの摩耗も少な い。

【図面の簡単な説明】

【図１】この考案の実施例の平面図である。

【図２】図１のＡ−Ａ線断面図である。

【符号の説明】

１０：テンターレール １１：レール溝 １２：上部案内板 １３：溝底用耐熱耐摩耗性ライナー（底面ライナー） １４：溝壁用耐熱耐摩耗性ライナー（溝壁ライナー） １５：上部案内板用耐熱耐摩耗性ライナー（上部ライナ
ー） ２０：ピンチェーン ２１：連結ピン ２２：ブッシュ ２３：耐熱性シールド型玉軸受 ２４：中間リンク ２５：下部リンク ２６：上部リンク ２７：ピン板支持板 ２９：ピン板 Ｆ：布帛

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 テンターレールに設けたレール溝の底
   面、ピンチェーンが摺動する側の溝壁およびテンターレ
   ールの中央部上方に設けられピンチェーンの上部リンク
   の端部が摺動する上部案内板の下面にそれぞれ耐熱耐摩
   耗性ライナーを固定し、上記レール溝に沿って走行する
   ピンチェーンの上下一対の中間リンクを連結しているブ
   ッシュに耐熱性シールド型玉軸受の内輪を固定し、その
   外輪を上記レール溝の溝壁に固定されている上記の耐熱
   耐摩耗性ライナーに接触させるようにしたことを特徴と
   する布帛用ピンテンター。