JPH0574895B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 ［発明の技術分野］ 本発明は消弧室の構成を改良してしや断性能を
向上させ得るようにしたパツフア式ガスしや断器
に関する。

［発明の技術的背景］ 近年、電力系統における高電圧大容量化に伴
い、しや断器がしや断すべき短絡電流は急激に増
大し、かつ電流しや断後にしや断器に印加される
電圧もますます増大する傾向にある。そして、こ
の電流しや断時に発生するアークを消弧する場
合、シリンダーとピストンおよびノズルからなる
パツフア装置によつてSF₆ガス等の絶縁性ガスを
圧縮して、この圧縮ガスを上記アークに吹付けて
消弧させるいわゆるパツフア式ガスしや断器が多
く用いられてきている。

第３図は、この種のパツフア式ガスしや断器の
消弧室の構成例を断面図にて示したものである。
同図において、１は内部にSF₆ガス等の絶縁性ガ
スを充填した図示しない容器内に設けられた固定
アーク接触子、２は固定通電接触子、３は上記固
定アーク接触子１と接離自在に対向配置されかつ
操作ロツド４の先端部に支持された可動アーク接
触子である。また、５は上記可動アーク接触子３
と共に移動するシリンダー、５はこのシリンダー
５内に収納されかつ図示しない容器内に固定され
たピストン、７は上記可動アーク接触子３の外側
のシリンダー５先端部に取付けられたノズルであ
り、これらシリンダー５、ピストン６、ノズル７
により、しや断時に上記各アーク接触子１，３間
に発生するアーク８に対し上記絶縁性ガスを圧縮
して吹付け消弧させるパツフア装置を構成してい
る。さらに、９は上記シリンダー５からノズル７
にかけてその外側に設けられた可動通電接触子
で、通常は投入時上記固定通電接触子２との間で
通電路を形成するようにしている。

かかるパツフア式ガスしや断器において、しや
断器の投入状態時には固定アーク接触子１と可動
アーク接触子３とが接触している。またこの時、
電流は主に固定通電接触子２と可動通電接触子９
を通して流れている。一方、電流しや断時には操
作ロツド４が動くことによつてまず固定通電接触
子２と可動通電接触子９とが離れ、その後固定ア
ーク接触子１と可動アーク接触子３とが離れて、
この各アーク接触子１，３間にアーク８が発生す
る。そして、可動アーク接触子３が固定アーク接
触子１から離れるにしたがつて、固定されたピス
トン６と、可動アーク接触子３と共に移動するシ
リンダー５とにより圧縮された絶縁性ガスは、可
動アーク接触子３とその外側のノズル７との間に
形成されたガスの流路を通して、上記アーク８に
吹付けられて消弧する。このアーク８を通過した
絶縁性ガスは高温の熱ガスとなり、操作ロツド４
の内側の流路と、固定アーク接触子１側へ向かう
流路を通つて排気されることになる。

［背景技術の問題点］ ところで、上述したパツフア式ガスしや断器に
おいて、ノズル７はピストン６とシリンダー５と
により圧縮された絶縁性ガスを高速でアーク８に
吹付けるために設けているが、周囲から吹付けら
れた絶縁性ガスがぶつかる部所１０は、よどみ点
となつてその流速が非常に遅くなる。第４図は、
このガス流のシユミレーシヨンによる結果を示し
たもので、ベクトルの長さは流速を表わしてい
る。同図から、周囲から吹付けられた絶縁性ガス
がぶつかり分岐する部所１０はよどみ点となり、
流速がかなり遅くなついることがわかる。この種
のパツフア式ガスしや断器は、、上述したように
アーク８およびこのアークによつて発生する高温
の熱ガスに対し高速で絶縁性ガスを吹付けること
によつて電流をしや断する方式のものであること
から、しや断器が電流しや断に成功する か否かは、この熱ガスをいかに速く吹飛ばして低
温の絶縁性ガスを各アーク接触子１，３間へ送り
込むかにかかつている。そしてかかる観点から、
各アーク接触子１，３の間の高電界が印加される
領域に上記のような絶縁性ガスの流れが遅くなる
ようなよどみ点１０ができることは、しや断器の
しや断性能をそれだけ低下させることになる。ま
た、パツフア式ガスしや断器では、高い吹付け圧
力を得るために、大きなパツフア室が必要であ
る。

［発明の目的］ 本発明は上記のような問題を解消するために成
されたもので、その目的は固定および可動の各ア
ーク接触子の間の高電界が印加される領域におい
て吹付ける絶縁ガスの流速が遅くなるようなよど
み点を無くし、電流しや断後の絶縁回復をより速
くしてしや断性能を向上させることができると共
に、各アーク接触子間に発生するアークエネルギ
ーをパツフア室の圧力上昇に有効に利用してパツ
フア室を小形化することが可能なパツフア式ガス
しや断器を提供することにある。

［発明の概要］ 上記の目的を達成するために本発明では、内部
に絶縁性ガスが充填された容器内に、固定アーク
接触子と、この固定アーク接触子と接離自在に対
向配置された可動アーク接触子と、電流しや断時
に各アーク接触子間に発生するアークに対して絶
縁性ガスを圧縮しノズルを通して吹付けて消弧さ
せるパツフア装置とを備えてなるパツフア式ガス
しや断器において、アークに対して吹付ける絶縁
性ガスの流路を可動アーク接触子の外側と内側の
両方に形成して流路内の絶縁性ガスの流れを略同
一方向とし、また可動アーク接触子の内側の流路
を、パツフア装置のシリンダー内から可動アーク
接触子を支持する操作ロツド内部を通して形成
し、さらにパツフア装置のシリンダー内から操作
ロツド内部に至る連通口に近接した操作ロツド内
部の固定アーク接触子の反対側にめくら板を配設
している。

［発明の実施例］ 以下、本発明を図面に示す一実施例について説
明する。第１図は、本発明によるパツフア式ガス
しや断器における消弧室の構成例を断面図にて示
したもので、第３図と同一部分には同一符号を付
してその説明を省略し、ここでは異なる部分につ
いてのみ述べる。なお図では、上半分にしや断状
態を、下半分に投入状態を夫々示している。

つまり本実施例による消弧室は、ノズルとして
前記ノズル７に代えて図示の如くガス流通面とな
る側が端部径小である断面直線状のノズル１１を
設け、かつこのノズル１１と対向する前記可動ア
ーク接触子３の外側に図示の如くガス流通面とな
る側が端部径小である断面直線状のフローガイド
１２をノズル１１にて支持した状態で設けること
によつて、前記シリンダー５からガス吹付け部に
至る絶縁性ガスの外側流路を形成すると共に、前
記操作ロツド４の可動アーク接触子３側に円周方
向に一定の間隔を介してシリンダー５に通ずる複
数個のガス孔４ａ設けることによつて、シリンダ
ー５内から操作ロツド４内部を通してガス吹付け
部に至る 絶縁性ガスの内側流路を形成するように構成し
たものである。また、上記操作ロツド４内に流れ
込んだ絶縁性ガスがアーク８（固定アーク接触子
１）の逆方向へ流れ込むのを防ぐために、操作ロ
ツド４内側の図示位置即ちガス孔４ａより反可動
アーク接触子３側にはめくら板１３を溶接等によ
り取付けている。よつて、内側流路及び外側流路
内の絶縁性ガスは一方向即ち固定アーク接触子１
側へのみ流れることになる。一方、ガスの流れの
シユミレーシヨンを行なつた場合、ノズル１１の
スロート径Ｄが可動アーク接触子３の内径ｄと同
程度しかないと、ノズル１１とフローガイド１２
との間のガスの流れは、可動アーク接触子３の内
側を通つてくる流れに押されてほとんど流れな
い。よつて、ノズル１１のスロート径Ｄを可動ア
ーク接触子３の内径ｄよりも大きくする必要があ
る。しかし、余り大きくするとパツフア室の圧力
が上がらず、しや断性能が低下することになる。
したがつて、ノズル１１のスロート径Ｄは可動ア
ーク接触子３の内径ｄの1.2倍以上、1.6倍以下
（望ましくは1.4倍程度）となるようにしている。
また、ノズル１１およびフローガイド１２の流路
を形成する面は、ガスの流れを円滑にするために
R20以下の曲率をつけないことが好ましい。

かかる消弧室構成のパツフア式ガスしや断器に
おいて、電流しや断動作時つまり開極動作時に
は、固定アーク接触子１からまず可動アーク接触
子３が抜け、次いでノズル１１が抜け出る。そし
てこの際、固定アーク接触子１と可動アーク接触
子３との間には電流零点に至るまでアーク８が発
生し、このアーク８によつて熱せられたガスは高
温高圧の熱ガスとなつて、可動アーク接触子３の
内側及び外側を通つてパツフア室へ流れ込む。す
なわち、この場合、連通口、すなわちガス孔４ａ
に近接してめくら板１３を配設していることによ
り、アーク８によつて発生した熱ガスが、可動ア
ーク接触子３の内側からパツフア室へ流れ込むこ
とによつてパツフア室の圧力を効率的に高めるこ
とができ、パツフア室を小形化することが可能と
なる。

一方、上記開極動作時に、パツフア室ないの絶
縁性ガスは固定されたピストン６と、可動アーク
接触子３に連動するシリンダー５とによつて圧縮
される。この場合圧縮された絶縁性ガスは、電流
しや断時に発生するアーク８に対して可動アーク
接触子３の外側と内側の両方から固定アーク接触
子１側へのみ吹付けられ、固定および可動の各ア
ーク接触子１，３の間の高電界が印加される全て
の領域に絶縁性ガスが高速で吹付けられることに
なるため、従来のように絶縁性ガスの流れが遅く
なつてアーク８およびこのアーク８により発生し
た熱ガスの冷却速度を低めるような大きなよどみ
点はできない。これにより、電流しや断後の各ア
ーク接触子１，３の間の絶縁回復をより速く行な
つて、しや断器のしや断性能を向上させることが
可能となる。

尚、上記実施例ではめくら板１３を別体として
溶接等により操作ロツド４内側へ取付けたが、こ
れらを一体に構成するようにしてもよいものであ
る。

［発明の効果］ 以上説明したように本発明によれば、電流しや
断時に固定および可動の各アーク接触子間に発生
するアークに対して吹付ける絶縁性ガスの流路を
可動アーク接触子の外側と内側の両方に形成して
流路内の絶縁性ガスの流れを略同一方向とし、ま
た可動アーク接触子の内側の流路を、パツフア装
置のシリンダー内から可動アーク接触子を支持す
る操作ロツド内部を通して形成し、さらにパツフ
ア装置のシリンダー内から操作ロツド内部に至る
連通口に近接した操作ロツド内部の固定アーク接
触子の反対側にめくら板を配設する構成としたの
で、各アーク接触子の間の高電界が印加される領
域において吹付ける絶縁性ガスの流速が遅くなる
ようなよどみ点を無くして電流しや断後の絶縁回
復をより速くしてしや断性断を向上させることが
できると共に、各アーク接触子間に発生するアー
クエネルギーをパツフア室の圧力上昇に有効に利
用してパツフア室を小形化することが可能な極め
て信頼性の高いパツフア式ガスしや断器が提供で
きる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の一実施例を示す断面構成図、
第２図は同実施例の作用効果を説明するための
図、第３図は従来のパツフア式ガスしや断器の消
弧室の構成例を示す断面図、第４図は第３図にお
けるガス流のシユミレーシヨンによる結果を示す
図である。 １……固定アーク接触子、２……固定通電接触
子、３……可動アーク接触子、４……操作ロツ
ド、５……シリンダー、６……ピストン、７，１
１……ノズル、８……アーク、９……可動通電接
触子、１０……よどみ点、１２……フローガイ
ド、１３……めくら板。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 内部に絶縁性ガスが充填された容器内に、固
   定アーク接触子と、この固定アーク接触子と接離
   自在に対向配置された可動アーク接触子と、電流
   しや断時に前記各アーク接触子間に発生するアー
   クに対して前記絶縁性ガスを圧縮しノズルを通し
   て吹付けて消弧させるパツフア装置とを備えてな
   るパツフア式ガスしや断器において、 前記アークに対して吹付ける絶縁性ガスの流路
   を前記可動アーク接触子の外側と内側の両方に形
   成して前記流路内の絶縁性ガスの流れを略同一方
   向とし、 また、前記可動アーク接触子の内側の流路を、
   前記パツフア装置のシリンダー内から前記可動ア
   ーク接触子を支持する操作ロツド内部を通して形
   成し、 さらに、前記パツフア装置のシリンダー内から
   前記操作ロツド内部に至る連通口に近接した操作
   ロツド内部の前記固定アーク接触子の反対側にめ
   くら板を配設したことを特徴とするパツフア式ガ
   スしや断器。