JPH0565949A - 歯車装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 部品点数を減らして低コスト化を図ると共
に、歯車装置の組立性を向上させるようにする。 【構成】 外周面に歯部１１を一体成形し、中央に一体
突出成形した軸受部１２の外周面側に３つの凹状の係合
部１２ｂを一体成形した合成樹脂製の第１ギヤ１０と、
外周面に歯部２１を一体成形し、内周面２２側に第１ギ
ヤ１０の軸受部１２の各係合部１２ｂに係合する３つの
略円形凸状の弾性係止部としての爪部２２ｂを一体突出
成形した合成樹脂製の第２ギヤ２０とを備え、第１ギヤ
１０、或は、第２ギヤ２０が異常負荷によりロックされ
たときに、第２ギヤ２０の各爪部２２ｂが各孔部２２ｃ
を介して撓み変形して第１ギヤ１０の各係合部１２ｂか
ら外れて、第１ギヤ１０と第２ギヤ２０とを相対回転す
るようにしてある。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明は、ＶＴＲ（ビデオテー
プレコーダ）等の駆動系の歯車列の中に使用される所謂
トルク・リミッター機能を有した歯車装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】歯車列を利用したＶＴＲ等の電子機器の
駆動系において、歯車列の中の１つの歯車が異常負荷に
よりロックされた場合に、歯車列の各歯車が破壊しない
ように歯車列の中の１つに所謂トルク・リミッターとし
て機能する歯車装置が用いられている。これを、図９に
よって簡単に説明すると、１００は所謂トルク・リミッ
ター機能を有する歯車装置であり、合成樹脂製の第１ギ
ヤ１０１と、この第１ギヤ１０１の中央に一体突出成形
された円筒状の軸受部１０１ｂに、環板状のフェルト１
０２を介して回転可能に支持された合成樹脂製の第２ギ
ヤ１０３と、この第２ギヤ１０３を第１ギヤ１０１側に
付勢する圧縮コイルバネ１０４と、この圧縮コイルバネ
１０４を第１ギヤ１０１の軸受部１０１ｂに止める略Ｃ
字状のワッシャ１０５とで構成されている。これら第
１，２ギヤ１０１，１０３の外周面には歯部１０１ａ，
１０３ａをそれぞれ形成してあり、電子機器の駆動系に
用いられる歯車列の各歯車（図示しない）にそれぞれ噛
合するようになっている。

【０００３】そして、上記フェルト１０２の摩擦力と圧
縮コイルバネ１０４の弾性圧縮力により上記駆動系の伝
達トルクの所定値までの負荷に対しては第２ギヤ１０３
は第１ギヤ１０１に固定された状態で第１ギヤ１０１と
共に回転し、駆動系の歯車列の歯車に何等かの異常が発
生して上記第１，２ギヤ１０１，１０３のいずれか一方
のギヤに一定限度以上の高負荷が掛かって該ギヤがロッ
クされたときには、上記第１ギヤ１０１と第２ギヤ１０
３とが相対回転して、各ギヤ１０１，１０３の歯部１０
１ａ，１０３ａや駆動系の歯車列の各歯車が破損した
り、破壊しないようになっている。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
歯車装置１００では、第１，第２ギヤ１０１，１０３の
他に、フェルト１０２や圧縮コイルバネ１０４及びワッ
シャ１０５が必要不可欠であるため、部品点数が多くコ
スト高であった。また、部品点数が多いため、歯車装置
１００の組立性が悪かった。そこで、この発明は、部品
点数を減らして低コスト化を図ると共に、組立性を向上
させることができる歯車装置を提供するものである。

【０００５】

【課題を解決するための手段】外周面側に歯部を形成
し、中央に形成した軸受部の外周面側に係合部或は弾性
係止部を形成した合成樹脂製の第１ギヤと、外周面側に
歯部を形成し、内周面側に上記第１ギヤの軸受部の係合
部に係合する弾性係止部或は該軸受部の弾性係止部を係
合させる係合部を形成した合成樹脂製の第２ギヤとを備
え、上記第１ギヤ或は第２ギヤが異常負荷によりロック
されたときに上記一方の弾性係止部が弾性変形して上記
他方の係合部から外れて上記第１ギヤと第２ギヤとを相
対回転自在に構成してある。

【０００６】

【作用】第１ギヤと第２ギヤのみで所謂トルク・リミッ
ター機能を有する歯車装置が構成されるので、従来のも
のに比べて部品点数が大幅に削減される。これにより、
歯車装置が極めて簡単に組立てられ、低コストで製造さ
れる。

【０００７】

【実施例】以下、この発明の一実施例を図面と共に詳述
する。

【０００８】図１，２及び図８において、１は所謂トル
ク・リミッター機能を有する歯車装置であり、大径の外
周面に歯部１１を一体成形し、中央に円筒状の軸受部１
２を一体突出成形した合成樹脂製の第１ギヤ１０と、小
径の外周面に歯車２１を一体成形し、内周面２２側が上
記第１ギヤ１０の軸受部１２に嵌挿された合成樹脂製で
環板状の第２ギヤ２０とで構成されている。

【０００９】図３〜図５に示すように、上記第１ギヤ１
０の軸受部１２の上部１２ａは円板鍔状に外側に一体突
出成形してあると共に、該軸受部１２の上部１２ａ以外
の外周面には等間隔（１２０°隔てた位置）毎に半円柱
凹状の係合部１２ｂを３つを形成してある。また、図
６，７に示すように、上記第２ギヤ２０の内周面２２に
は、上記第１ギヤ１０の軸受部１２の３つの係合部１２
ｂ，１２ｂ，１２ｂに係合する半円柱凸状の爪部（弾性
係止部）２２ｂ，２２ｂ，２２ｂを一体突出成形してあ
ると共に、該第２ギヤ２０の各爪部２２ｂと歯部２１の
中間には円弧状の孔部２２ｃをそれぞれ形成してある。
この第２ギヤ２０はその各爪部２２ｂを第１ギヤ１０の
軸受部１２の各係合部１２ｂに係合させた状態で該軸受
部１２に抜け止めされて嵌め込まれている。そして、上
記第１ギヤ１０或は第２ギヤ２０に一定限度以上の負荷
が掛かっていずれか一方のギヤ１０（２０）がロックさ
れたときに上記第２ギヤ２０の爪部２２ｂが円弧状の孔
部２２ｃ側に弾性変形して上記第１ギヤ１０の各係合部
１２ｂから外れて上記第１ギヤ１０と第２ギヤ２０とが
相対回転するようになっている。

【００１０】尚、図８は上記歯車装置１を用いるＶＴＲ
の駆動系５０の一態様を示す。この駆動系５０のシャー
シ５１上に支軸５２を介して歯車装置１の第１ギヤ１０
が回転自在に支持してある。この歯車装置１の第１ギヤ
１０の歯部１１には第１中間ギヤ５３を介してモータ５
４のウォームギヤ５５を噛合してある。また、歯車装置
１の第２ギヤ２０の歯車２１には第２中間ギヤ５６を介
してモードコントロール板５７の歯部５７ａを噛合して
ある。

【００１１】以上実施例の歯車装置１によれば、通常、
歯車装置１の第２ギヤ２０は、その３つの爪部２２ｂ，
２２ｂ，２２ｂを第１ギヤ１０の軸受部１２の３つの係
合部１２ｂ，１２ｂ，１２ｂに嵌合させており、上記第
１ギヤ１０と共に所定方向に回転する。そして、ＶＴＲ
の駆動系５０の駆動負荷トルクに何等かの異常が発生し
て上記第２ギヤ２０が異常負荷によりロックされても、
モータ５０からの駆動トルクは第１ギヤ１０を回転させ
ようとする。この時、上記第２ギヤ２０の各爪部２２ｂ
は第１ギヤ１０の軸受部１２の各係合孔１２ｂで押され
て外側の各孔部１２ｃ側に撓んで逃げる。これにより、
上記第２ギヤ２０がロックされたままでも、モータ５０
の駆動力により第１ギヤ１０は回転できるので、第１ギ
ヤ１０，第１中間ギヤ５３，ウォームギヤ５５等の歯部
が破損したり、これら各ギヤ全体が破壊されたりするこ
とがなく、歯車装置１が駆動系５０の歯車列のトルク・
リミッターとして機能する。

【００１２】このように、第１ギヤ１０と第２ギヤ２０
のみでトルク・リミッター機能を有する小型でシンプル
な構造の歯車装置１を構成することができるので、従来
のものに比べて部品点数を大幅に削減することができ、
安価な歯車装置１を提供することができる。また、この
歯車装置１を組み立てる場合には、第１ギヤ１０の軸受
部１２に第２ギヤ２０を圧入により挿入，嵌合するだけ
の作業により歯車装置１を極めて容易に組立てることが
できる。この組立てられた第２ギヤ２０は第１ギヤ１０
の軸受部１２の上部１２ａに係止されているので、上記
軸受部１２から第２ギヤ２０が抜け落ちることはない。
また、従来のものはフェルトの摩擦係数等が環境条件
（温度，湿度）により変化してトルク・リミッター機能
が不安定であったが、上記第２ギヤ２０の各爪部２２ｂ
は合成樹脂製で弾性変形し、殆ど上記環境条件に影響さ
れないので、安定したリミッタートルクを常に得ること
ができる。

【００１３】尚、前記実施例によれば、第１ギヤの軸受
部の外周面側に凹状の係合部を形成し、第２ギヤの内周
面側に上記第１ギヤの軸受部の係合部に係合する凸状の
弾性係止部としての爪部を形成したが、第１ギヤの軸受
部に凸状の弾性係止部を形成し、第２ギヤの内周面側に
上記第１ギヤの軸受部の弾性係止部が係合する凹状の係
合部を形成するようにしてもよい。また、前記実施例の
歯車装置をＶＴＲの駆動系に用いた場合について説明し
たが、テープレコーダ，ラジオカセット等の他の電子機
器の駆動系に適用できることは勿論である。

【００１４】

【発明の効果】以上のように、この発明の歯車装置によ
れば、外周面に歯部を形成し、中央に形成した軸受部の
外周面側に係合部或は弾性係止部を形成した合成樹脂製
の第１ギヤと、外周面に歯部を形成し、内周面側に上記
第１ギヤの軸受部の係合部に係合する弾性係止部或は該
軸受部の弾性係止部を係合させる係合部を形成した合成
樹脂製の第２ギヤとを備え、上記第１ギヤ或は第２ギヤ
が異常負荷によりロックされたときに上記一方の弾性係
止部が弾性変形して上記他方の係合部から外れて上記第
１ギヤと第２ギヤとを相対回転自在に構成したので、所
謂トルク・リミッター機能を有する歯車装置を第１ギヤ
と第２ギヤのみで小型且つ簡単に構成することができ、
従来のものに比べて部品点数を大幅に減らすことができ
る。これにより、歯車装置を極めて容易に組立てること
ができると共に低コストで製造することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】この発明の一実施例を示す歯車装置の平面図。

【図２】図１のＡ−Ａ線に沿う断面図。

【図３】上記歯車装置の第１ギヤの平面図。

【図４】図３のＢ−Ｂ線に沿う断面図。

【図５】図４のＣ−Ｃ線に沿う断面図。

【図６】上記歯車装置の第２ギヤの平面図。

【図７】図６のＤ−Ｄ線に沿う断面図。

【図８】上記歯車装置を用いたＶＴＲの駆動系の斜視
図。

【図９】従来の歯車装置の分解斜視図。

【符号の説明】

１…歯車装置、１０…第１ギヤ、１１…歯部、１２…軸
受部、１２ｂ…係合部、２０…第２ギヤ、２１…歯部、
２２ｂ…爪部（弾性係止部）。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 外周面に歯部を形成し、中央に形成した
   軸受部の外周面側に係合部或は弾性係止部を形成した合
   成樹脂製の第１ギヤと、外周面に歯部を形成し、内周面
   側に上記第１ギヤの軸受部の係合部に係合する弾性係止
   部或は該軸受部の弾性係止部を係合させる係合部を形成
   した合成樹脂製の第２ギヤとを備え、上記第１ギヤ或は
   第２ギヤが異常負荷によりロックされたときに上記一方
   の弾性係止部が弾性変形して上記他方の係合部から外れ
   て上記第１ギヤと第２ギヤとを相対回転自在に構成した
   ことを特徴とする歯車装置。