JPH0565530A - 耐応力腐食割れ性オーステナイト系材料及びその製造方法 - Google Patents

耐応力腐食割れ性オーステナイト系材料及びその製造方法

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JPH0565530A
JPH0565530A JP23020191A JP23020191A JPH0565530A JP H0565530 A JPH0565530 A JP H0565530A JP 23020191 A JP23020191 A JP 23020191A JP 23020191 A JP23020191 A JP 23020191A JP H0565530 A JPH0565530 A JP H0565530A
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慶一 浦城
Hideya Anzai
英哉 安斎
Yasuhisa Aono
泰久 青野
Akira Fukai
昌 深井
Masakiyo Izumitani
雅清 泉谷
Yasukata Tamai
康方 玉井
Hiroshi Tsujimura
浩 辻村
Hideyo Saito
英世 斉藤
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 軽水炉プラントにおける溶接熱影響部の耐応
力腐食割れ性の向上、特に改質処理後の低温鋭敏化によ
る腐食に耐え、稼動期間中の応力腐食割れを防止できる
表面改質処理方法を提供すること。 【構成】 Fe又はNi基合金材料の表面に照射エネル
ギー密度が1.0〜100J/mmのレーザ光を照射し
て、103〜107℃/sの冷却速度で冷却させて平均セ
ル間隔が0.1〜3.0μmの範囲にあるセル組織をも
つ溶融凝固層を形成した。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、腐食環境に接するオー
ステナイト系材料の耐食性向上に係り、特に高温高圧水
に接する軽水炉プラントの構造材溶接部の耐応力腐食割
れ性向上に関する。
【0002】
【従来の技術】軽水炉圧力容器境界部のようなオーステ
ナイト系ステンレス鋼溶接部では、その溶接熱影響部に
おいてCr炭化物の粒界析出が生じ、鋭敏化と呼ばれる
現象が発生する。炉内の腐食環境下では、鋭敏化による
粒界近傍のCr欠乏層の形成が応力腐食割れの原因とな
り得ると言われており、その対策が急がれている。
【0003】この様な溶接部の応力腐食割れを防止する
ために表面改質によって腐食に関係する部材の表面部の
みを脱鋭敏化する方法がとられており、高エネルギービ
ームを照射することによって部材表面の鋭敏化部を溶体
化温度以上に加熱し、脱鋭敏化を図る方法が提案されて
いる。エネルギー源は急熱急冷の熱サイクルによって冷
却過程での炭化物の析出の抑止が可能な事や、大気中で
の施工が可能な事からレーザビームが有力視されてい
る。その公知例としては、特開昭60−165323
号、特開昭61−52315号及び特開昭61−960
25号公報に記載のように、部材表面を溶体化温度以上
に加熱する事例や、特開昭61−177325号公報に
記載のように表面を再溶融する事例が挙げられる。いず
れも鋭敏化部材の表面部に析出している炭化物を加熱に
よって固溶し、その後の急冷によって炭化物の析出を抑
止する事で脱鋭敏化させる事例である。また、特開昭6
3−53210号公報では、微細なフェライトを表面部
に形成させる事の可能なステンレス鋼の成分範囲で照射
エネルギーの定量的制御によって0.5μm以下の粒径
を持つフェライトをステンレス鋼の表面部に形成させて
耐応力腐食割れ性の改善を図っている。
【0004】鋭敏化による粒界腐食挙動はCr炭化物の
析出核形成とともに即座に進行するものではなく、析出
核が成長するに従って粒界近傍のCr濃度がある一定量
以下にまで低下した場合に粒界腐食が生じる。図10に
示されるようにレーザビームの照射によって表面溶融を
施すとき、図11に示されるように改質層内に溶融ビー
ドの重なる部分が生じる。図において、1は表面溶融改
質部、2は母材、3はパルスレーザビーム、4はレーザ
トーチ、5は熱影響部を示す。ビードを重ねて照射した
とき、隣接ビードの熱影響によって、図12に示される
ように加熱−冷却の熱サイクル中にCr炭化物析出温度
領域に保持される部分が不可避的に存在する。ビームの
照射エネルギーが大きい場合、冷却速度が小さいため蒸
気析出温度に保持される時間が長くなり、Cr炭化物の
析出核が形成され、またその頻度も高い。核形成した炭
化物は改質後、低温鋭敏化をもたらす様な温度条件の下
で成長し、上述した様にCr欠乏層が形成されるので改
質層は再鋭敏化する。従って照射エネルギーの大きい場
合には改質直後の耐食性が良好であっても、その後の低
温鋭敏化によって粒界腐食が進行する。また、照射エネ
ルギーが小さすぎる条件下では溶け込み不良となり充分
な脱鋭敏化層が得られない。また、ステンレス鋼は冷却
速度の差によって凝固組織が変化する。Cr炭化物の析
出核形成に及ぼす凝固組織の影響を考えた場合、フェラ
イトの存在する組織ではフェライトの存在によるCr濃
度のマクロ的不均一性やフェライトとオーステナイトの
Crの拡散挙動の差などによって初晶フェライト/オー
ステナイト2相組織の方が初晶オーステナイト単相組織
よりも析出核形成サイトが多く、核形成しやすいと考え
られる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上記従来技術は表面改
質後の鋭敏化対策について配慮がなされておらず、表面
改質を施した材料の高耐食性の維持の点で問題があっ
た。例えば軽水炉プラントはその有効利用のため長寿命
化を図る方向であり、40年の稼動期間が想定されてい
る。従ってプラントにおいて約288℃の高温高圧水に
接する部材は、溶接熱影響部等の脱鋭敏化のための改質
処理を施した後も、尚288℃で腐食環境下に長期間さ
らされ続けられるため低温鋭敏化についても十分な配慮
が必要である。この点前述の公知例に見られる従来技術
では表面改質直後の耐食性は大幅に向上するものの上記
の様な低温鋭敏化環境下における改質部の耐久性は考慮
されていない。原子力プラント実機の補修作業は非常に
手間と経費がかかるものであり、稼動期間中の補修作業
を考慮した場合補修回数は少ない方が望ましい、すなわ
ち、低温鋭敏化に対する改質部の耐久性は長い方がコス
ト面からも望ましい。
【0006】また、特開昭63−53210号公報に記
載されている公知例では、フェライトを生成させてフェ
ライト粒径から照射条件を定めているが、本発明者等
は、フェライト粒径が上記公知例の定める範囲内であっ
ても照射エネルギーが高い場合低温鋭敏化の影響で粒界
腐食割れが発生し、また、オーステナイト単相であって
も微細なセル組織に改質する事により、低温鋭敏化の条
件下でも粒界腐食割れが発生しない、との知見を得るに
至った。
【0007】本発明の目的は、改質処理後の低温鋭敏化
による腐食に耐え、稼動期間中の応力腐食割れを防止で
きる耐応力腐食割れ性オーステナイト系材料及びその製
造方法、更にはFe−Ni−Cr系材料の表面改質方
法、表面改質された原子炉を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
本発明は、Fe又はNi基合金よりなる部材表面に平均
セル間隔が0.1〜3.0μmの範囲にあるセル組織を
持つ溶融凝固層を有する耐応力腐食割れ性オーステナイ
ト系材料である。ここで、溶融凝固層は母材表面にレー
ザ光を照射して形成されたもの、又は母材表面に形成さ
れた薄膜にレーザ光を照射して形成されたものがよい。
後者において、母材は Cr当量=%Cr+%Mo+1.5×%Si+0.5×
%Nb Ni当量=%Ni+0.5×%Mn+30×%C としたとき、 −0.6Cr当量+20.0≦Ni当量≦0.9Cr当量+1.0 の成分範囲内にあるFe−Cr−Ni系合金であり、薄
膜は Ni当量≧0.9Cr当量+1.0 且つ Ni当量≧−0.6Cr当量+20.0 の成分範囲内にあるFe−Cr−Ni系合金であるもの
がよい。
【0009】また本発明は、Fe又はNi基合金からな
る部材表面に照射エネルギー密度が1.0J/mm〜1
00J/mmのレーザ光を照射することを特徴とする耐
応力腐食割れ性オーステナイト系材料の製造方法であ
る。
【0010】また本発明は、Fe又はNi基合金からな
る部材表面にレーザ光を照射して表面部を溶融させた
後、103〜107℃/sの冷却速度で再凝固させること
を特徴とする耐応力腐食割れ性オーステナイト系材料の
製造方法である。ここで、レーザ光はパルスレーザ光で
あるのがよく、特にパルスレーザ光の照射は前後の各パ
ルスレーザ光の照射位置が重ならないようにスポット状
に照射されるのがよい。
【0011】また本発明は、微小亀裂が発生しているF
e−Cr−Ni系材料表面にレーザ光を照射し、溶融か
つ再凝固させて前記亀裂を消失させ且つその溶融凝固層
の平均セル間隔が0.1〜3.0μmの範囲にあるセル
組織にする工程を含むFe−Cr−Ni系材料の表面改
質方法である。ここで、表面改質されるFe−Cr−N
i系材料は原子炉の軽水炉圧力容器とICM(Incore M
onitor)ハウジングとの溶接部におけるハウジング管内
面の溶接部表面であるものが挙げられる。
【0012】また本発明は、原子炉内構造物のFe又は
Ni基合金からなる材料表面の溶接部表面が平均セル間
隔が0.1〜3.0μmの範囲にあるセル組織を有する
溶融凝固層からなる原子炉である。
【0013】
【作用】発明者らは照射エネルギー密度が1.0J/m
m〜100J/mmの範囲内に制御した場合、103
/s〜107℃/sの冷却速度を有する平均セル間隔が
0.1〜3.0μmの範囲にあるセル組織を持つ表面部
が形成され、その場合、上記の炭化物析出温度保持時間
が短いため、析出核が形成されないか又は頻度が小さ
く、低温鋭敏化条件の下でも粒界腐食は発生しないこと
を見出した。また、パルスビームの照射ではビームスポ
ットの形成で凝固が完了し、冷却速度は105℃/s〜
107℃/sと極めて速く、かつ隣接スポットの熱影響
が小さいため図11に示した熱影響部がほとんど存在し
ない。さらに、レーザトーチを線状に移動させずに、改
質領域内でビームスポットを不連続に形成しながら最終
的にすべてのスポットが一部ずつ重なるようにして隙間
の無い表面改質層を断続的に形成した場合、上記の隣接
スポットの影響がさらに低減する。
【0014】本発明に係るFe基合金は、C:0.01
〜0.1%、Si:1%以下、Mn:2%以下、Ni:
8.0〜16%、Cr:16〜19%又はこれにMo:
1〜3%、Nb:0.5〜2%又はTi:0.5〜1.0
%を含み、残部が実質的にFeからなる鋼又は、Ni:
19〜22%、Cr:22〜26%を含む鋼からなるも
のがある。また、Ni基合金はC:0.01〜0.15
%、Si:0.01〜0.5%、Mn:0.1〜1.0%、
Ni:72%以上、Cr:14〜18%、Fe:6〜1
0%、及び残部が実質的にNiからなるものがある。不
純物としてCu:0.5%以下が好ましい。
【0015】本発明におけるビームスポットの進行方向
に対するビードの非重複長さが平均でビード径の半径よ
り小さく、1/50以上が好ましく、ビームスポット径
0.3〜3mmが好ましい。特に非重複長さをビード径の
1/10〜3/10で、スポット径を0.5〜1.0mmと
するのが好ましい。
【0016】
【実施例】
実施例1 以下、本発明の一実施例を図1により説明する。図1は
代表的なオーステナイト系ステンレス鋼であるSUS3
04ステンレス鋼について照射エネルギーを変化させた
時の軽水炉プラントの低温鋭敏化条件の下での粒界腐食
割れ試験結果である。SUS304ステンレス鋼(Cr
=18.55,Ni=9.60,C=0.07wt%)を12
50℃で溶体化後、621℃,24hの鋭敏化熱処理を
施し、照射エネルギーを変化させたレーザビームによっ
て表面を改質した部材を供試材とした。照射エネルギー
密度が1.0J/mm以下の条件では溶け込み不良あるいは
凝固割れが生じた。試験片はそれぞれ軽水炉プラントの
稼働期間である288℃、40年の低温鋭敏化条件を加
速模擬した500℃,24hの熱履歴を与え、沸騰H2
SO4−CuSO4溶液に72h浸せきした後、50Rに
曲げて割れの状況を見たものである。尚、比較材として
低温鋭敏化(LTS)の熱履歴を与えずに改質したまま
の状態で上記粒界腐食試験に供した。LTS条件を与え
ず改質したままの表面部はいずれも粒界割れが見られな
かったのに対し、同図よりLTS条件を与えた改質部で
は照射エネルギー密度が1.0J/mm〜100J/mmの範囲
内に制御する照射条件すなわち、冷却速度が103℃/
s〜107℃/sの範囲内であり、平均セル間隔が0.1
〜3.0μmの範囲にあるセル組織を形成する条件での
み、凝固割れが生じず、かつ低温鋭敏化条件に耐えうる
表面改質層が形成される。従って、表面改質の適正照射
条件として、照射エネルギー密度を1.0J/mm〜100J
/mmの範囲内に制御する事が必要となる。
【0017】実施例2 図2はパルスレーザの照射によって連続的に形成される
スポット状の表面改質部の形成方法を模式的に示したも
のである。レーザトーチを線状に移動させて、n回目の
スポットとn+1回目のスポットが一部重なるようにト
ーチを移動させる。これを繰り返して図10に示される
ような表面改質部を形成させる。実施例1で定義された
照射条件範囲で形成した表面改質材を実施例1と同様の
粒界腐食試験に供したところ、LTS条件を与えた改質
部でも粒界割れが見られず、低温鋭敏化条件に耐えうる
表面改質層が形成されることがわかった。
【0018】実施例3 図3はパルスレーザの照射によって不連続的に形成され
るスポット状の表面改質部の形成方法を模式的に示した
ものである。レーザトーチを線状に移動させず、n回目
のスポットとn+1回目のスポットが重ならないように
トーチを移動させる。これを繰り返して図10に示され
る表面改質部を形成させる。実施例1で定義された照射
条件範囲で形成した表面改質材を実施例1と同様の粒界
腐食試験に供したところ、LTS条件を与えた改質部で
も粒界割れが見られず、低温鋭敏化条件に耐えうる表面
改質層が形成され、更に実施例2のものより一層改質さ
れることがわかった。
【0019】実施例4 表1は表面溶融−再凝固過程のみでは実施例1で定義し
た組織が得られない成分の材料及び表面溶融−再凝固過
程のみでは良好な耐粒界腐食割れが性が得られない材料
の表面部に、実施例1で定義したオーステナイト単相セ
ル組織の形成が可能な成分の合金元素を添加した後、レ
ーザビームを照射して上記合金相組織を表面部に形成さ
せたときの粒界腐食割れ試験結果である。
【0020】
【表1】
【0021】基材にはSUS312ステンレス鋼、SU
S308ステンレス鋼、SUS316ステンレス鋼、N
i基合金であるインコネル600を用いた。図4に示す
ように、SUS312ステンレス鋼とSUS308ステ
ンレス鋼はレーザ照射による溶融−急冷凝固のみでは凝
固組織がオーステナイト/フェライト2相状態のままで
あり、Cr炭化物の核形成サイトが多く、低温鋭敏化を
抑止することは困難である。図4(A)は平衡凝固させ
た場合、図4(B)は急冷凝固させた場合である。ま
た、炉内構造材として用いられるインコネル600、S
US316ステンレス鋼は炭素の固溶度が小さいことか
らレーザ照射による溶融−急冷凝固のみでは脱鋭敏化が
達成される照射条件では極めて速い凝固速度のため残留
応力が集中し、割れを抑止することが困難である。0.
12wt%のC量を持つ29Cr−9NiのSUS308
ステンレス鋼、0.12wt%のC量を持つ20Cr−10
NiのSUS308ステンレス鋼、0.07wt%のC量を
持つ74Ni−16Crのインコネル600、0.07w
t%のC量を持つ18Cr−12NiのSUS316ステ
ンレス鋼を共に1250℃で溶体化後、600℃,0.
5hの鋭敏化熱処理を施し、その表面に18Cr−8N
i−74Feの比で、めっき、溶射又は粉末を有機物バ
インダで表面に塗布した後、実施例1の照射条件による
レーザビームの照射によって表面部にオーステナイト単
相微細セル組織を形成させた部材を粒界腐食割れ試験の
供試材とした。試験片はそれぞれ低温鋭敏化条件を加速
模擬した500℃,24hの熱履歴を与え、沸騰H2
4−CuSO4溶液に72h浸せきした後、50Rに曲
げて割れの状況を見たものである。尚、比較材として表
面改質を施さない基材を低温鋭敏化熱履歴を与えて上記
粒界腐食試験に供した。同表より基材ではいずれも粒界
割れが発生したのに対し、改質材ではいずれも粒界割れ
が見られなかった。従って、冷却速度が103℃/s〜
107℃/sの範囲となるレーザビームの適性条件での
照射によって表面部に平均セル間隔が0.1〜3.0μm
の範囲にあるセル組織を形成させた場合、異種材料にお
いても耐粒界腐食割れ性が向上することがわかった。ビ
ーム径は直径0.5mmで、ビードの非重複長さを平均で
0.05mmとした。
【0022】実施例5 図5に示すような溶接部6及びその近傍表面に0.5mm
以下の微細な溶接割れ8が発生している溶接材料につい
て、実施例1〜3で定義した方法によるレーザビーム3
の照射を行い、溶融深さ0.5mm以上を形成させるよう
な表面改質部1を形成することによって割れの消失と同
時に応力腐食割れを防止する事が可能である。低温鋭敏
化条件を加速模擬した500℃,24hの熱履歴を与え
た後、図6に示すような288℃の高温純水中でUベン
ド試験に供したところ、応力腐食割れを防止する事がで
きた。9は止めねじを示す。
【0023】実施例6 図7に本発明を軽水炉構造体であるICMハウジング管
内面の溶接熱影響部に適用した例を示す。図において1
0はシールプラグ、11は炉心支持板、12は中性子計
測装置案内管、13は軽水炉圧力容器下鏡を示す。前記
案内管12内面に均一な表面層ができるように予め溶接
によるひずみを研磨により修正した後、ビーム照射部2
0からのレーザビームの照射によって前記表面層に所定
の改質された層組織を得ることができる。実パイプによ
る模擬試験では実施例1及び実施例2で示した照射条件
によって応力腐食割れを防止する事ができた。図8はビ
ーム照射部20の断面図であり、14は光ファイバー導
入管、15はシリンドリカルレンズ、16はギヤ、17
はモーター、18は平板鏡を示す。
【0024】実施例7 図9に本発明をICMハウジング以外の炉内構造物狭隘
部に適用した例を示す。図9は細管19内面の溶接熱影
響部において、光ファイバー14によってビームを伝送
して当該部に位置した加工トーチから実施例1で示した
条件のパルスビームを照射して所定の層組織を形成させ
る。レーザビームの照射のみでは所定の層組織を得るこ
とができない構造体に対しては、管内面にFe,Cr,
Niの元素を所定の割合をもたせて、めっきあるいは溶
射あるいは粉末を有機物バインダで表面に塗布した後、
レーザビームの照射によって所定の層組織を得ることが
できる。実パイプによる模擬試験では実施例1〜3で示
した照射条件によって応力腐食割れを防止する事ができ
た。
【0025】
【発明の効果】本発明によれば、改質後の低温鋭敏化条
件の下での応力腐食割れを防止する事ができるので、2
88℃の高温高圧水に接する軽水炉プラントを長寿命化
させるのに大きな効果がある。また、現在想定されてい
る上記プラントの稼動期間中の応力腐食割れを一度の施
工で長期間防止する事ができるので、施工コストを大き
く低下させる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】レーザビームの照射エネルギー、改質部の冷却
速度、改質凝固組織のセル間隔と粒界腐食試験結果の相
関をまとめた図である。
【図2】パルスレーザの照射によって連続的に形成され
るスポット状の表面改質部の形成方法を模式的に示した
図である。
【図3】パルスレーザの不連続的な照射によって断続的
に形成されるスポット状の表面改質部の形成方法を模式
的に示した図である。
【図4】(A)の平衡凝固と(B)のレーザの照射によ
る急冷凝固の際の相組織を表すシェフラー状態図であ
る。
【図5】割れを生じた溶接材料にレーザビームを照射し
て表面溶融処理を施す断面模式図である。
【図6】レーザ表面溶融処理を施した溶接材のUベンド
試験の模式図である。
【図7】本発明をBWR型軽水炉のICMハウジング溶
接部に適用した例を示す図である。
【図8】レーザ照射部の断面図である。
【図9】本発明をBWR型軽水炉の炉内構造物狭隘部に
適用した例を示す図である。
【図10】パルスレーザの照射によって形成される表面
改質部の表面、横断面、縦断面の模式図である。
【図11】レーザビームの照射によって形成される溶融
ビードと非溶融熱影響部を示した断面図である。
【図12】溶融部の温度−時間変化と熱影響部の温度−
時間変化を示した図である。
【符号の説明】
1 表面溶融改質部 2 母材 3 パルスレーザビーム 4 レーザトーチ 5 熱影響部 6 溶接部 7 溶接熱影響部 8 微小クラック 9 止めネジ 10 シールプラグ 11 炉心支持板 12 中性子計測装置案内管 13 軽水炉圧力容器下鏡 14 光ファイバー導入管 15 シリンドリカルレンズ 16 ギヤー 17 モーター 18 平板鏡 19 炉内細管構造物
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C22C 38/40 C22F 1/10 H 9157−4K C23C 26/00 E 7217−4K (72)発明者 深井 昌 茨城県日立市久慈町4026番地 株式会社日 立製作所日立研究所内 (72)発明者 泉谷 雅清 茨城県日立市久慈町4026番地 株式会社日 立製作所日立研究所内 (72)発明者 玉井 康方 茨城県日立市幸町3丁目1番1号 株式会 社日立製作所日立工場内 (72)発明者 辻村 浩 茨城県日立市幸町3丁目1番1号 株式会 社日立製作所日立工場内 (72)発明者 斉藤 英世 茨城県日立市幸町3丁目1番1号 株式会 社日立製作所日立工場内

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Fe又はNi基合金よりなる部材表面に
    平均セル間隔が0.1〜3.0μmの範囲にあるセル組
    織を持つ溶融凝固層を有する耐応力腐食割れ性オーステ
    ナイト系材料。
  2. 【請求項2】 Fe又はNi基合金よりなる部材表面に
    微小径のスポット状再溶融凝固層が形成されていること
    を特徴とする耐応力腐食割れ性オーステナイト系材料。
  3. 【請求項3】 請求項1において、溶融凝固層は母材表
    面に形成された薄膜にレーザ光を照射して形成されたも
    のである耐応力腐食割れ性オーステナイト系材料。
  4. 【請求項4】 請求項3において、母材は Cr当量=%Cr+%Mo+1.5×%Si+0.5×
    %Nb Ni当量=%Ni+0.5×%Mn+30×%C としたとき、 −0.6Cr当量+20.0≦Ni当量≦0.9Cr当量+1.0 の成分範囲内にあるFe−Cr−Ni系合金であり、薄
    膜は Ni当量≧0.9Cr当量+1.0 且つ Ni当量≧−0.6Cr当量+20.0 の成分範囲内にあるFe−Cr−Ni系合金である耐応
    力腐食割れ性オーステナイト系材料。
  5. 【請求項5】 Fe又はNi基合金からなる部材表面に
    照射エネルギー密度が1.0J/mm〜100J/mm
    のレーザ光を照射することを特徴とする耐応力腐食割れ
    性オーステナイト系材料の製造方法。
  6. 【請求項6】 Fe又はNi基合金からなる部材表面に
    レーザ光を照射して表面部を溶融させた後、103〜1
    7℃/sの冷却速度で再凝固させることを特徴とする
    耐応力腐食割れ性オーステナイト系材料の製造方法。
  7. 【請求項7】 Fe又はNi基合金からなる部材表面に
    パルスレーザを照射し、部材表面にスポット状の再溶融
    凝固層を形成させることを特徴とする耐応力腐食割れ性
    オーステナイト系材料の製造方法。
  8. 【請求項8】 請求項7において、パルスレーザ光の照
    射は前後の各パルスレーザ光の照射位置が重ならないよ
    うにスポット状に照射されることを特徴とする耐応力腐
    食割れ性オーステナイト材料の製造方法。
  9. 【請求項9】 微小亀裂が発生しているFe−Cr−N
    i系材料表面にレーザ光を照射し、溶融かつ再凝固させ
    て前記亀裂を消失させ且つその溶融凝固層の平均セル間
    隔が0.1〜3.0μmの範囲にあるセル組織にする工
    程を含むFe−Cr−Ni系材料の表面改質方法。
  10. 【請求項10】 請求項9において、表面改質されるF
    e−Cr−Ni系材料は原子炉の軽水炉圧力容器とIC
    Mハウジングとの溶接部におけるハウジング管内面の溶
    接部表面であるFe−Cr−Ni系材料の表面改質方
    法。
  11. 【請求項11】 原子炉内構造物のFe又はNi基合金
    からなる材料表面の溶接部表面が平均セル間隔が0.1
    〜3.0μmの範囲にあるセル組織を有する溶融凝固層
    からなる原子炉。
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