JPH0564574A - 冷凍食品及び冷凍保存方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 油ちょう又は焼成により調理されたクリスピ
ーな食感が求められる食品を凍結し、冷凍保存した後、
電子レンジ加熱、オーブン加熱又は自然解凍によって解
凍した際に、調理したてのクリスピーな食感にすること
ができる冷凍食品及びその冷凍保存方法を提供する。 【構成】 天ぷら、フライ、フリッター、唐揚げ、揚げ
スナック、ピザ、パイ等の、油ちょう又は焼成したクリ
スピーな食感が求められる食品を凍結させた後、乾燥剤
とともに、水蒸気不透過性のフィルムで密封し、冷凍保
存する。本発明の冷凍食品は、電子レンジ加熱、オーブ
ン加熱又は自然解凍のいずれの方法によって解凍、加熱
しても、調理したてのクリスピーな食感にもどすことが
できる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、油ちょう又は焼成によ
り調理されたクリスピーな食感が求められる食品を凍結
し、冷凍保存した後、電子レンジ加熱、オーブン加熱又
は自然解凍によって解凍した際に、調理したてのクリス
ピーな食感にすることができる冷凍食品及びその冷凍保
存方法に関する。

【０００２】

【従来の技術】調理済冷凍食品は、長期保存が可能であ
るだけでなく、解凍し、温めるだけで、調理したての状
態にし、すぐ食べることができるという便利さがある。
特に、近年、一般家庭にも電子レンジが普及し、また、
コンビニエンスストアや、レストラン等においても、調
理済冷凍食品を電子レンジで解凍、加熱して提供するこ
とが多くなったことから、調理済冷凍食品の需要は急激
に増えている。

【０００３】しかしながら、調理済冷凍食品のうち、天
ぷら、フライ、フリッター、唐揚げ、揚げスナック、ピ
ザ、パイ等の、油ちょう又は焼成により調理され、クリ
スピーな食感が求められる食品は、冷凍保存後、電子レ
ンジ加熱、オーブン加熱又は自然解凍によって解凍し、
調理した場合、本来のクリスピーな食感が再現されず、
逆に軟化してしまうという問題があった。

【０００４】この問題を解決するため、種々の方法が提
案されている。例えば、特開昭64-60334号には、揚げ種
を、熱凝固性を有する起泡剤を用いて含気させた小麦粉
を含有するバッターに浸漬し、パン粉を付着させた後、
油ちょうし、凍結する電子レンジ調理用冷凍フライ食品
の製造方法が開示されている。また、特開平2-283248号
には、揚げ物の周囲を、プルラン、オブラート、ゼラチ
ン等の可食性水溶液で被覆した揚げ物用素材及び揚げ物
食品の製造法が開示されている。

【０００５】一方、煎餅、クッキー等の湿気を嫌う食品
は、乾燥剤とともに、水蒸気不透過性のフィルムで密封
して保存する方法がとられている。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、天ぷ
ら、フライ、フリッター、唐揚げ、揚げスナック、ピ
ザ、パイ等の、油ちょう又は焼成により調理され、クリ
スピーな食感が求められる食品を冷凍保存した後、解
凍、調理した際に、調理したてのクリスピーな食感に再
現する方法は、上記したように衣材等の特性を改善しよ
うとしたものだけであって、通常の材料で通常の方法に
より調理したものを、冷凍保存の方法により改善しよう
とした報告はない。

【０００７】また、調理済冷凍食品は、一般に、そのま
まダンボール等に詰めるか、フィルム等で包んで保存及
び搬送されており、煎餅、クッキー等の湿気を嫌う食品
のように、乾燥剤とともに、水蒸気不透過性のフィルム
で密封して保存する方法がとられている例はなかった。

【０００８】本発明は、上記問題点に鑑みてなされたも
ので、その目的は、冷凍保存後、電子レンジ加熱、オー
ブン加熱又は自然解凍によって解凍し、加熱した場合
に、調理したてのクリスピーな食感に再現することがで
きる、油ちょう又は焼成したクリスピーな食感が求めら
れる食品からなる冷凍食品及びその冷凍保存方法を提供
することにある。

【０００９】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明の冷凍食品は、油ちょう又は焼成したクリス
ピーな食感が求められる食品と、乾燥剤とが、水蒸気不
透過性のフィルムで密封され、冷凍されていることを特
徴とする。

【００１０】また、本発明の冷凍食品の冷凍保存方法
は、油ちょう又は焼成したクリスピーな食感が求められ
る食品を凍結させた後、乾燥剤とともに、水蒸気不透過
性のフィルムで密封し、冷凍保存することを特徴とす
る。

【００１１】以下、本発明について、好ましい態様を挙
げて詳細に説明する。

【００１２】本発明において、油ちょう又は焼成したク
リスピーな食感が求められる食品とは、油ちょう又は焼
成により完全調理された食品であって、歯切れがよく、
サクッとした、クリスピーな食感が好ましいとされる食
品である。このような食品としては、例えば天ぷら、フ
ライ、フリッター、唐揚げ、揚げスナック、ピザ、パイ
等があげられる。これらの食品の材料、製造方法等は何
ら限定されず、通常の材料を用いて、通常の方法により
調理されたものであればよい。

【００１３】本発明においては、これらの調理済食品
を、凍結させた後、乾燥剤とともに、水蒸気不透過性の
フィルムで密封する。

【００１４】調理済食品を凍結させる方法も、通常の方
法によればよい。

【００１５】本発明に用いる乾燥剤は、一般的に食品の
分野において乾燥剤として用いられているものであれば
よく、例えば、消石灰、塩化カルシウム、シリカゲル等
が好ましい。これらの乾燥剤は、いずれも市販品として
容易に入手することができ、例えば「アイディ乾燥剤」
（商品名、株式会社アイディ製）等を用いることができ
る。

【００１６】乾燥剤の使用量は、調理済冷凍食品の種
類、保存期間により異なるが、保存期間１カ月あたり、
好ましくは食品重量の1/200 以上、より好ましくは1/10
0 以上の水分を吸収することが可能な量を用いるのがよ
い。

【００１７】本発明に用いる水蒸気不透過性のフィルム
は、食品包装に用いることが可能なフィルムであって、
水蒸気不透過性のものであればその種類は限定されず、
例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、塩化ビニリデ
ン、ポリビニル・アルコール等からなるフィルムを用い
ることができる。このような水蒸気不透過性のフィルム
も、既に各種のものが市販されており、例えば「ＯＥパ
ック」（商品名、大倉工業株式会社製）等を用いること
ができる。なお、水蒸気不透過性のほかに、ガスバリア
性、光不透過性等の性質を有すれば、クリスピーな食感
を再現する効果のほかに、酸化や、油分の劣化等も防止
することができ、更に好ましい。

【００１８】フィルムの厚さ、大きさ等は、食品を包装
し、密封可能であればよく、通常の食品包装に用いられ
る厚さ、大きさであればよい。

【００１９】このようにして製造された本発明の冷凍食
品は、通常の冷凍保存温度で冷凍保存することができ
る。

【００２０】そして、この冷凍食品は、電子レンジ加
熱、オーブン加熱又は自然解凍によって解凍することが
でき、更に、必要に応じて加熱することができ、どのよ
うな方法で解凍しても、調理したてのクリスピーな食感
にもどすことができる。本発明は、特にクリスピーな食
感が失われやすい、電子レンジ加熱によって解凍する食
品に好適である。

【００２１】

【作用】天ぷら、フライ、フリッター、唐揚げ、揚げス
ナック、ピザ、パイ等の調理済冷凍食品は、油ちょう又
は焼成によって表面の衣や生地の水分が減少し、クリス
ピーな食感を本来有している。しかし、冷凍保存中に、
食品内部の水分が昇華して、水分の少ない表面の衣や生
地に吸着され、表面の衣や生地の水分量が増大してしま
う。したがって、このような冷凍食品を電子レンジ加
熱、オーブン加熱又は自然解凍によって解凍して食する
と、クリスピー感の失われた軟らかい食感となってしま
う。このことは、特に加熱が内部から施される電子レン
ジ加熱によって解凍した場合に顕著である。

【００２２】本発明においては、油ちょう又は焼成した
クリスピーな食感が求められる食品を凍結させた後、乾
燥剤とともに、水蒸気不透過性のフィルムで密封し、冷
凍保存するので、冷凍保存中に、食品内部の水分が昇華
して、表面の衣や生地に移行しようとしても、乾燥剤に
よりその水分が吸収されるため、表面の衣や生地の水分
を少ない状態に保持することができる。このため、電子
レンジ加熱、オーブン加熱又は自然解凍のいずれの方法
によって解凍しても、調理したてのクリスピーな食感に
もどすことができる。また、本発明は、特にクリスピー
な食感が失われやすい電子レンジ加熱用の調理済冷凍食
品に適している。

【００２３】

【実施例】

実施例１ 豚肉40ｇに打粉をまぶし、小麦粉と澱粉と大豆蛋白と水
とを混合して調製したバッターに浸漬し、パン粉を付着
させた後、175 ℃の大豆白絞油中で、３分間油ちょうし
てトンカツを製造し、凍結させた。

【００２４】一方、塩化カルシウム系乾燥剤である「ア
イディ乾燥剤」（商品名、株式会社アイディ製）と、シ
リカゲルとを、それぞれ表１に示す量で、乾燥剤用の小
袋に入れた。

【００２５】上記した凍結させたトンカツと、乾燥剤と
を、水蒸気透過度の低い包装フィルムからなる包装材で
ある「ＯＥパック」（商品名、大倉工業株式会社製）で
密封包装し、−18℃で、１カ月間冷凍保存した。これら
をNo.1〜No.12 とする。なお、比較のため、乾燥剤を入
れず、トンカツたけを密封包装したものも製造した。こ
れをコントロールとする。

【００２６】１カ月経過後、開封し、電子レンジで凍結
したまま１分間解凍、加熱し、10人のパネラーにより、
官能試験を行なった。その結果を表１に示す。

【００２７】

【表１】

【００２８】表１の結果から、凍結したトンカツと、乾
燥剤とを、水蒸気透過性の低いフィルムで密封して１カ
月間冷凍保存した後、電子レンジ加熱した場合、豚肉40
ｇのトンカツに対して、塩化カルシウム系乾燥剤、シリ
カゲルを1.1 ｇ同封した場合はやや効果が落ちるもの
の、他は全て製造直後の歯切れが良くクリスピーな食感
にすることができることがわかる。

【００２９】実施例２ 実施例１と同様な方法により、冷凍トンカツを製造し
た。

【００３０】別に、イカ40ｇに打粉をまぶし、小麦粉と
澱粉と膨張剤と水とを混合して調製したバッターに浸漬
した後、175 ℃の大豆白絞油中で、２分間油ちょうして
イカ天ぷらを製造し、凍結させた。

【００３１】更に、メルルーサ魚肉片40ｇに打粉をまぶ
し、小麦粉と澱粉と大豆蛋白と水とを混合して調製した
バッターに浸漬し、パン粉を付着させた後、175 ℃の大
豆白絞油中で、３分間油ちょうして白身魚フライを製造
し、凍結させた。

【００３２】これらをそれぞれ、「アイディ乾燥剤」
（商品名、株式会社アイディ製）17.5ｇとともに「ＯＥ
パック」（商品名、大倉工業株式会社製）で密封包装
し、−18℃で、３カ月間冷凍保存した。

【００３３】冷凍保存開始後、１カ月、２カ月、３カ月
経過後に、開封し、電子レンジで凍結したまま１分間解
凍、加熱し、10人のパネラーにより、官能試験を行なっ
た。その結果を表２に示す。

【００３４】

【表２】

【００３５】表２の結果から、トンカツ、イカ天ぷら、
白身魚フライのいずれも、乾燥剤を同封し、水蒸気透過
性の低いフィルムで密封して冷凍保存し、電子レンジで
解凍、加熱した場合、１〜３カ月保存しても、製造直後
の歯切れが良くクリスピーな食感にすることができるこ
とがわかる。

【００３６】なお、パイ、ピザについても、乾燥剤を同
封し、水蒸気透過性の低いフィルムで密封して冷凍保存
し、電子レンジで解凍、加熱した場合も、製造直後の歯
切れが良くクリスピーな食感を保持することができた。

【００３７】また、実施例１、２と同様にし、電子レン
ジ加熱ではなく、自然解凍したものをそのまま食してみ
たが、製造直後の歯切れが良くクリスピーな食感を有し
ていることがわかった。

【００３８】

【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
油ちょう又は焼成したクリスピーな食感が求められる食
品を凍結させた後、乾燥剤とともに、水蒸気不透過性の
フィルムで密封し、冷凍保存するので、冷凍保存中、表
面の衣や生地の水分含量を少ない状態に保持することが
でき、食べる際に、電子レンジ加熱、オーブン加熱又は
自然解凍のいずれの方法によって解凍しても、調理した
てのクリスピーな食感にもどすことができる。

Claims (6)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 油ちょう又は焼成したクリスピーな食感
   が求められる食品と、乾燥剤とが、水蒸気不透過性のフ
   ィルムで密封され、冷凍されていることを特徴とする冷
   凍食品。
2. 【請求項２】 前記油ちょう又は焼成したクリスピーな
   食感が求められる食品が、天ぷら、フライ、フリッタ
   ー、唐揚げ、揚げスナック、ピザ、パイから選ばれた少
   なくとも一種である請求項１記載の冷凍食品。
3. 【請求項３】 電子レンジ加熱、オーブン加熱又は自然
   解凍によって解凍される請求項１又は２記載の冷凍食
   品。
4. 【請求項４】 油ちょう又は焼成したクリスピーな食感
   が求められる食品を凍結させた後、乾燥剤とともに、水
   蒸気不透過性のフィルムで密封し、冷凍保存することを
   特徴とする冷凍食品の保存方法。
5. 【請求項５】 前記油ちょう又は焼成したクリスピーな
   食感が求められる食品が、天ぷら、フライ、フリッタ
   ー、唐揚げ、揚げスナック、ピザ、パイから選ばれた少
   なくとも一種である請求項４記載の冷凍食品の保存方
   法。
6. 【請求項６】 電子レンジ加熱、オーブン加熱又は自然
   解凍によって解凍させる請求項４又は５記載の冷凍食品
   の保存方法。