JPH0564284B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 (イ) 産業上の利用分野 本発明はスパン較正用分銅を内蔵した電子天び
んに関する。

(ロ) 従来技術 高精度の電子天びんにおいては、構成部品の温
度依存性、経年変化等の特性から、その精度を維
持する為には、随時の較正を必要とし、その為、
質量が既知の分銅を内蔵して、その分銅を荷重検
出部に負荷したときの出力とその既知の質量とか
ら、荷重検出部出力を質量に換算する為の係数
（スパン係数）を更新する、いわゆるスパン較正
機能を備えたものが一般的となつている。

ところが、このようなスパン較正を絶対的に信
用することは危険である。すなわち、例えば内蔵
分銅の磨耗、酸化、還元等に起因する経年的な質
量変化や、ゴミの付着等により、較正質量が当初
からの値と相違してしまうときがある。このよう
な場合、スパン較正後の測定値が全ての誤差を含
むことになるが、使用者にとつては、内蔵分銅を
有するスパン較正機能付きの電子天びんにおい
て、スパン較正を行つた直後の測定値についてこ
のような誤差が生じることは一般には想到しづら
く、問題なつている。

(ハ) 目的 本発明は上記に鑑みてなされたもので、スパン
較正時において、上述の如き原因によつてその較
正が正しく行われない可能性のある場合、これを
自動的に察知して、較正動作を禁止するとともに
その旨を警報することができ、もつて較正動作を
常に保証することのできる較正用分銅内蔵型の電
子天びんの提供を目的としている。

(ニ) 構成 上記の目的を達成するための構成を、第１図に
示す機能ブロツク図を参照しつつ説明すると、本
発明の電子天びんは、負荷された荷重を電気信号
に変換する荷重検出部ａと、スパン係数を記憶す
るスパン係数記憶手段ｂと、そのスパン係数記憶
手段ｂの内容を用いた演算により、荷重検出部ｂ
からの出力を質量値に換算する質量換算手段ｃ
と、較正指令の発生時に荷重検出部ａに対して内
蔵分銅ｄを負荷する内蔵分銅加除機構ｅと、あら
かじめ正確に測定された内蔵分銅ｄの質量が書き
込まれた分銅質量記憶手段ｆと、内蔵分銅ｄの負
荷時における荷重検出部ａの出力と分銅質量記憶
手段ｆの内容から、スパン係数を算出してスパン
係数記憶手段ｂの内容を更新するスパン較正演算
手段ｇを備えた天びんにおいて、内蔵分銅ｄの負
荷時における当該天びんによる実測質量値と分銅
質量記憶手段ｆに内容を比較する比較手段ｈと、
その比較結果に基づいて実測質量値が分銅質量記
憶手段ｆの内容に対して許容範囲内にあるときに
警報を発する警報手段ｉを有し、スパン較正演算
手段ｇは、比較手段ｈによる比較結果に基づき上
記実測質量値が上記許容範囲内にあるときに限り
スパン係数の算出を実行するよう構成されている
ことによつて特徴づけられる。

(ホ) 実施例 本発明の実施例を、以下、図面に基づいて説明
する。

第２図は本発明実施例の構成図である。

荷重検出部１は秤量皿１ａ上の荷重又は、カム
２ａ、レバー２ｂおよびモータ２ｃ等から成る分
銅加除装置２により内蔵分銅３が負荷されたと
き、その荷重に対応する電気信号を発生して、Ａ
−Ｄ変換器４を介して制御部５に供給する。

制御部５はマイクロコンピユータによつて構成
され、各種演算やプログラムの実行および各周辺
装置を制御するCPU５ａ、後述するプログラム
を記憶するROMや、演算結果等を記憶する
RAM、および内蔵分銅３の質量の真値を記憶す
る不揮発性の分銅質量メモリ等から構成される記
憶部５ｂ、および外部機器と当該制御部５を接続
する為のインターフエイス回路５ｃ等を備えてい
る。

制御部５には、秤量値を表示するための表示器
６、および警報を発する為の警報装置７が接続さ
れている。また、分銅加除装置２のモータ２ｃの
駆動指令信号も制御部５から供給される。

通常の測定モードにおいては、荷重検出部１か
らの秤量皿１ａ上の荷重に対応する電気信号のデ
ジタル変換データｗは、記憶部５ｂに格納されて
いるスパン係数Ｋを用いて、次の(1)式によつて質
量Ｗに変換され、表示器６に表示される。

Ｗ＝Ｋ・ｗ ……(1) 電源投入時や、較正指令スイツチの操作時にお
いては、スパン較正モードが実行される。このと
きの作用を、第３図に示すフローチヤートに基づ
いて説明する。なお、記憶部５ｂ内の分銅質量メ
モリには、当該電子天びんの出荷時等において、
質量が保証された基準分銅を用いて、内蔵分銅３
の真の質量を測定してその値W₀を記憶させてお
く。更に、この内蔵分銅３の質量の許容範囲±〓
を設定しておく。例えば±〓の値は、当該電子天
びんの精度が±３mgであるときには、±３mgとな
る。

さて、スパン較正指令が発生すると、まず、内
蔵分銅３が負荷される前の荷重検出部１からのデ
ジタ変換データルw₁を採取した後（ST１）、モ
ータ２ｃに駆動信号を発して内蔵分銅３を負荷す
る（ST２）。次にその負荷後のデータw₂を採取
し（ST３）、w₂とw₁との差wsを用いて内蔵分銅
３の実測質量Wsを求める（ST４），ST５）。そ
の実測質量Wsが、当初の内蔵分銅３の真の質量
に対する許容範囲（W₀±〓）内かどうかを判別
し（ST６）、許容範囲内であるときには次の(2)式
によつてスパン係数を算出してその値K′を従来
のスパン係数Ｋと置き換え（ST７，ST８）、い
わゆるスパン較正を実行する。

K′＝W₀／ws ……(2) もし、実測質量WsがWo±〓の範囲外であると
きには、上述した如く内蔵分銅３の質量が何らか
の原因で変化したら、あるいは分銅加除装置２の
トラブル、又は荷重検出部１の不具合等によつて
秤量値を保証し得ない状態であるから、警報を発
してその旨を報知し（ST９）、スパン較正を実行
しない。

なお、以上の実施例では、実測質量Wsを１回
の内蔵分銅３の負荷によつて求めたが、複数回加
除を繰り返し、その平均値をもつて実測質量Ws
としてもよい。更に、その複数回の実測値の最
大、最小を除いた値の平均値をもつて実測質量
Wsとしてもよく、これらの場合、より正確な判
定を行うことができる。更にまた、複数回の実測
値から、標準偏差〓を求め、Ws±〓とWo±αを
比較して、許容範囲を越える可能性のある場合に
も警報を発するよう構成すれば、統計的により正
確な判定を行うことができる。

(ヘ) 効果 以上説明したように、本発明によれば、較正用
の分銅を内蔵したスパン較正機能付きの電子天び
んにおいて、内蔵分銅の負荷時における実測質量
値が、あらかじめ正確に測定された内蔵分銅の質
量値が書き込まれたメモリの内容と比較され、実
測質量値がそのメモリの内容に対して所定の許容
範囲内にあるときに限つてスパン較正動作が実行
され、範囲外の場合にはスパン較正動作が実行さ
れずに警報が発つせられるので、内蔵分銅の質量
の経年的変化やゴミの付着等に起因する誤つたス
パン較正が行われる恐れが皆無となり、スパン較
正を行うことによつて使用者は常に保証された精
度の秤量値を得ることができるとともに、当該天
びんに不具合がある旨を知つていち早く修理等に
供することが可能となつた。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の構成を示す機能ブロツク図、
第２図は本発明実施例の構成図、第３図はそのス
パン較正モードにおけるプログラムを示すフロー
チヤートである。 １……荷重検出部、１ａ……秤量皿、２……分
銅加除装置、３……内蔵分銅、５……制御部、６
……表示器、７……警報装置。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 負荷された荷重を電気信号に変換する荷重検
   出部と、スパン係数を記憶するスパン係数記憶手
   段と、そのスパン係数記憶手段の内容を用いた演
   算により、上記荷重検出部からの出力を質量値に
   換算する質量換算手段と、較正指令の発生時に上
   記荷重検出部に対して内蔵分銅を負荷する内蔵分
   銅加除機構と、あらかじめ正確に測定された上記
   内蔵分銅の質量が書き込まれた分銅質量記憶手段
   と、上記内蔵分銅の負荷時における荷重検出部の
   出力と上記分銅質量記憶手段の内容から、上記ス
   パン係数を算出して上記スパン係数記憶手段の内
   容を更新するスパン較正演算手段を備えた天びん
   において、上記内蔵分銅の負荷時における当該天
   びんによる実測質量値と上記分銅質量記憶手段の
   内容を比較する比較手段と、その比較結果に基づ
   いて上記実測質量値が上記分銅質量記憶手段の内
   容に対して許容範囲外にあるときに警報を発する
   警報手段を有し、上記スパン較正演算手段は、上
   記比較手段による比較結果に基づき上記実測質量
   値が上記許容範囲内にあるときに限りスパン係数
   の算出を実行するよう構成されていることを特徴
   とする電子天びん。 ２ 上記実測質量値が、複数回の負荷による実測
   質量値の平均値であることを特徴とする特許請求
   の範囲第１項記載の電子天びん。 ３ 上記複数回の負荷のそれぞれの実測質量値か
   らその標準偏差を求め、その値があらかじめ設定
   された許容値を越えているとき、警報を発するよ
   う構成されていることを特徴とする特許請求の範
   囲第２項記載の電子天びん。