JPH0561367B2 - - Google Patents

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JPH0561367B2
JPH0561367B2 JP23530684A JP23530684A JPH0561367B2 JP H0561367 B2 JPH0561367 B2 JP H0561367B2 JP 23530684 A JP23530684 A JP 23530684A JP 23530684 A JP23530684 A JP 23530684A JP H0561367 B2 JPH0561367 B2 JP H0561367B2
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spinning
fiber
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carbon fiber
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Tooru Sawaki
Hideharu Sasaki
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【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は新規でかつ特異な内部断面構造を有
し、且つ、特異なミクロ構造を有する高強度、高
モジユラスのピツチ系炭素繊維に関するものであ
る。
[従来技術] 炭素繊維は、当初レーヨンを原料として製造さ
れたが、その特性ならびに経済性の点で、現在
は、ポリアクリロニトリル(PAN)繊維を原料
とするPAN系炭素繊維と石炭又は石油系のピツ
チ類を原料とするピツチ系炭素繊維によつて占め
られている。なかでも、ピツチを原料として高性
能グレートの炭素繊維を製造する技術は、経済性
にすぐれているため注目を集めており、例えば、
光学異方性ピツチを溶融紡糸して得たピツチ繊維
を不融化・焼成した炭素繊維は、それまでのピツ
チ系炭素繊維に比して高強度、高モジユラスのも
のが得られている(例えば、特開昭49−19127号
公報参照)。
また、ピツチ系炭素繊維の内部断面構造を制御
することにより、更に高い物性が発現し得るとい
うことも見出されている(Fuel,1980,60
839,特開昭59−53717号公報参照)。すなわち、
ピツチ系炭素繊維の断面構造としては、ランダ
ム、ラジアル、オニオン構造又はその複合構造が
存在し、ラジアル構造は、クラツクを生じやすく
マクロ欠陥による物性低下が生じるため好ましく
ないとされている。
そして、ピツチ系炭素繊維におけるランダム構
造は、実際はラメラのサイズが小さいラジアル構
造であり、強度的には好ましい構造と考えられる
が、ピツチ調製及び紡糸の高ドラフト化又は急冷
化が充分でないとクラツクが生じやすいため、製
造条件が限定される。
オニオン構造は、現象的には紡糸ピツチの粘性
変化温度よりも高い温度まで昇温させた後、紡糸
することによつて得られるが(特開昭59−53717
号公報参照)、通常の光学異方性ピツチにおいて
は、この粘性変化温度が350℃以上の高温である
ため、紡糸の安定性が悪く、得られる繊維もボイ
ドを含んだものになりやすいため、ボイドレスの
オニオン構造の繊維を溶融紡糸で安定に得ること
は極めてむつかしい。
このため、従来のピツチ系炭素繊維は引張強度
が高々300Kg/mm2どまりであり、その用途が制限
されているのが実情である。
[発明が解決しようとする課題] 本発明者らは、強度、モジユラスなどの性能に
おいてPAN系炭素繊維に匹敵するか、より優れ
ているピツチ系炭素繊維を開発するために鋭意研
究を行つた結果、光学的異方性ピツチを溶融紡糸
する際、特別の工夫を加えることにより、ピツチ
分子の配列を意のままに制御できることを究明
し、従来のラジアル、ランダム又はオニオン構造
とは全く異なつた特異な断面内部構造を有し、
PAN系炭素繊維に匹敵する優れた物性(機械的
性質)を示す、新規なピツチ系炭素繊維が得られ
ることを見出し、さきに特願昭59−125048号(特
開昭61−6314号)において、炭素繊維の断面の少
なくとも30%にリーフ状ラメラ配列を有する新規
なピツチ系炭素繊維を提案した。
ここでいう「リーフ状ラメラ配列」とは、炭素
繊維の長さ方向とほぼ垂直な方向に切断した断面
を走査型電子顕微鏡(SEM)によつて観察する
ことにより識別できるもので、中心軸から対称に
15〜90°の角度、好ましくは45〜90°の角度で多数
のラメラが両側に伸びた木の葉状のラメラ配列を
指し、従来全く知られていなかつた新規な構造で
ある。かかる繊維は300Kg/mm2を超える優れた引
張強度を示すもので有用性の大きなものである。
本発明者らは、かかる知見に立脚し、さきに提
案したものよりも更に優れた性能を有するピツチ
系炭素繊維を得るべく鋭意研究した結果、リーフ
状ラメラ配列を有する繊維にあつては、その配向
角および結晶サイスを特定範囲に制御することに
より、その物性が飛躍的に向上する事実を見出
し、本発明を完成するに至つた。
[課題を解決するための手段] すなわち、本発明のピツチ系炭素繊維は、繊維
の断面形状が実質的に楕円形であつて、繊維断面
の50%以上にリーフ状ラメラ配列を有し、且つ、
X線回折より求められる配向角(OA)が20〜
35°、結晶サイズ(Lc)が15〜40Åを示すミクロ
構造を有し、しかも、引張強度が少なくとも550
Kg/mm2、モジユラスが少なくとも20T/mm2である
ことを特徴とするピツチ系炭素繊維である。
本発明のピツチ系炭素繊維は、実質的に楕円形
の断面形状を持ち、且つ特殊な繊維断面構造(ラ
メラ配列)とともに特定のミクロ構造を有する。
このため、本発明の繊維では、上述の特願昭59−
125048号で定義されたリーフ状ラメラ配列とは見
掛け上若干異なるリーフ状ラメラ配列を有する場
合がある。すなわち、SEMにより観察した場合、
特願昭59−125048号に記載された中心軸が不明瞭
となり、実質上認められない場合もある。しか
し、この場合でも本来有していた中心軸がSEM
的に観察されなくなつたと理解すべきであり、こ
の考えに基づき、中心軸を仮想することにより、
このようなラメラ配列も上述の定義に従つたリー
フ状ラメラ配列の範ちゆうに属することが理解さ
れる。
したがつて、本発明におけるリーフ状ラメラ配
列とは、中心軸が明瞭に観察されるものばかりで
なく、観察されないものも含み、中心軸が認めら
れないものは、中心軸を仮想することで上述の定
義に従うラメラ配列と解する。
本発明のピツチ系炭素繊維は、このようなリー
フ状ラメラ配列を、繊維断面積に占める割合にし
て、50%以上有することを第1の特徴とする。
本発明のピツチ系炭素繊維は、断面構造におい
てこのようなリーフ状ラメラ配列を有するだけで
なく、X線回折より求められる配向角(OA)お
よび結晶サイズ(Lc)が特定範囲にあるという
第2の特徴を有する。すなわち、このピツチ系炭
素繊維は、繊維軸方向に整つた配向角を有すると
ともに小さな結晶サイズを有する。従来の光学異
方性(液晶)ピツチからの炭素繊維は、配向角を
整えやすい反面、結晶サイズが大きくなり、この
ためモジユラスは上りやすいものの、結晶界面に
欠陥が生じやすく、強伸度が低いものとなりがち
であつた。
これに対し、本発明のピツチ系炭素繊維は、20
〜35°、好ましくは25〜35°という整つた配向角
(OA)を有し、且つ、15〜40Å、好ましくは18
〜35Åという微細な結晶サイズ(Lc)を有する。
このため、すでに述べたリーフ状ラメラ配列の効
果と相まつて、本発明の繊維は、引張強度550
Kg/mm2以上、モジユラス20T/mm2以上という従来
のピツチ系炭素繊維の物性からみて驚異的な物性
を示す。しかるに、リーフ状ラメラ配列を有する
ものでも配向角、結晶サイズがこの範囲外のもの
は、これほどの物性を示さない。
先に述べたリーフ状ラメラ配列の中心線が認め
られなくなる現象は、明確には説明できないが、
おそらく、本発明のピツチ系炭素繊維における結
晶サイズ(Lc)の微細化と何らかのかかわりを
持つものと推定される。
本発明に係るピツチ系炭素繊維の断面形状(外
形)は、第1図に例示するような楕円形(長円
形)であることが必要である。この断面形状の繊
維はリーフ状ラメラ配列を最も大きい割合で含有
しやすい形状であるため繊維物性に良好な影響を
与えると考えられる。
このような特異な構造を有する本発明のピツチ
系炭素繊維は、光学異方性領域を50%以上、特に
80%以上含有する紡糸用ピツチを溶融した後、特
定の形状・寸法を有する紡糸孔から特定の条件下
に溶融紡糸し、これを不融化・焼成することによ
つて、容易に且つ安定に製造することができる。
次に、この製造方法について詳細に説明する。
本発明のピツチ系炭素繊維を製造するための原
料としては、光学異方性領域を50%以上、好まし
くは80%以上、有する光学異方性ピツチを用い
る。光学異方性領域の割合が50%未満のピツチ
は、可紡性が悪く、均質且つ安定な物性のものが
得られないばかりでなく、本発明の繊維を得るこ
とが難しく、得られる繊維の物性も低いものとな
る。
紡糸用ピツチの融点は260〜320℃が好ましく、
更に好ましくは270〜310℃である。また紡糸用ピ
ツチのキノリン可溶部の割合は30重量%以上が好
ましく、特に30〜80重量%が好適である。これら
のパラメーターは原料ピツチによつて異なるが通
常は相関があり、光学異方性量が多い程、融点が
高く、キノリン可溶部の割合は低くなる。本発明
において好適に用いられる紡糸用ピツチの光学異
方性領域の割合(以下、光学異方性量という)が
多い程よく実質上100%のものが最適である。こ
のようなピツチは系が均質であり、可紡性にすぐ
れている。
このような紡糸用ピツチの原料としては、例え
ばコールタール、コールタールピツチ、石炭液化
物のような石炭系重質油や、石油の常圧残留油、
減圧蒸留残油又はこれらの残油の熱処理によつて
副生するタールやピツチ、オイルサンド、ビチユ
ーメンのような石油系重質油を精製したものを用
い、これを熱処理、溶剤抽出、水素化処理等を組
合せて処理することによつて得られる。
本発明のピツチ系炭素繊維を製造するには、前
述の如き紡糸用ピツチを溶融紡糸する際に、繊維
軸方向の配向を促進させ、且つ、繊維断面方向の
配向を制御することが大切である。このことを実
現する上で、紡糸口金の紡糸孔(ノズル)形状・
寸法が特に重要な役割を果す。
すなわち、前述の如き紡糸用ピツチの溶融物を
次式()()を同時に満足する単一スリツト
部を有する紡糸孔を通じて溶融紡糸することが必
要である。
かかる紡糸孔としては、該紡糸孔における中心
線距離をLnとし、それに対応するぬれぶち幅を
Wnとしたとき(但しn=1〜10の整数)、Lnの
少なくとも1つが、 Ln<5.0(mm) ……() 1.5<Ln/Wn<20 ……() を同時に満足するものを使用する。
かかる紡糸孔としては、直線状又は曲線状の単
一スリツトからなる紡糸孔が用いられ、これら
は、いずれも優れた物性を発現し得るが、なかで
も直線状の単一スリツトよりなるものが好まし
い。
本発明者らの研究によれば、単一スリツトの場
合、なかでも、 3<Ln/Wn<15(但しn=1) を満足するものが好ましいリーフ状ラメラ配列を
形成し易く、特に好適であることが確認された。
かかる単一の直線状スリツトよりなる、一文字形
紡糸孔においては、スリツトの両端部を滑らかな
曲線により形成するのが好ましい。第2図には、
かかる好適な紡糸孔の形状の一例を示す。
これに対し、従来のピツチ繊維の溶融紡糸に使
用されている円形紡糸孔を有する紡糸口金を用い
た場合や、Ln/Wnが前記範囲外の異形紡糸孔
(例えば正三角形、正多角形等の紡糸孔)を有す
る紡糸口金を用いた場合には、炭素繊維の断面が
リーフ状ラメラ配列となり得ず、アジアル構造又
はランダム構造となつてしまう。
このような特殊な単一スリツト状紡糸孔の使用
は、軸方向の配向を助け断面方向の配向を制御す
るのに有効であるが、単に、かかる紡糸孔を用い
るだけでは、配向角(OA)と結晶サイズ(Lc)
を上記範囲内に制御することは困難である。この
ため、断面方向の配向を制御し結晶の生長を抑え
る目的で、紡糸口金板の上流側に整流板を設置す
ることが有効である。このような整流板として
は、流線に対し垂直な断面形状が、平行スリツ
ト、格子状、微小円の集合形状等任意のものを使
用できるが、整流板により一つの溶融ピツチ流を
細かく分割して形成された個々の流線が互いに交
絡しない形状である必要がある。流線が交絡する
場合、それにより流れに乱れが生じ、繊維軸方向
の配向が阻害されるため好ましくない。
また、断面方向の配向の制御を確実にするため
に別の方法を採用することもできる。それは、吐
出速度を通常よりも低く抑えることであり、これ
により断面方向の巨大な配向の形成を抑制でき
る。このような吐出速度としては、紡糸孔で
1m/分以下が好ましい。
以上のように、本発明のピツチ系炭素繊維は、
光学異方性ピツチの溶融紡糸に際し、上述した特
殊な単一スリツト紡糸孔を有する口金を使用する
ことを中心とし、これに整流板の使用および/又
は吐出速度条件を組合せることにより、安定に製
造できる。
紡糸温度は、融点より40〜100℃高い温度を採
用することができるが、優れた物性を得るために
は380℃を越える温度は避けるべきである。この
ような温度以上では炭化反応が開始され、これに
伴なうガス発生が、繊維物性の低下にとつて無視
できない影響を持つからである。
前述のごとき紡糸孔を用い、且つ前述のごとき
特殊な条件で光学異方性ピツチを溶融紡糸する
と、何故微細なリーフ状ラメラ配列を生ずるかは
未だ充分解明されておらず、今後の詳細な検討を
待たねばならないが、およそ次のように考えられ
る。
光学異方性を有するピツチ(液晶ピツチ)の配
向単位は2次元の平板状(これに対し合繊用ポリ
マーは1次元線状)と推定され、このような平板
状配向単位は、紡糸時に流動軸(押出し)方向に
配列すると同時に紡糸口金のノズル(紡糸孔)内
の等速度線に対し直角方向に配列し易い。円形ノ
ズル内の等速度線は同心円状であり、これに直角
に配列するため、得られるピツチ繊維の断面内で
はラジアル状に配列する。このため不融化・焼成
段階で、分子面間隔の収縮時に応力歪みが生じ易
くクラツクを生じる。
これに対し、前述の寸法を有するスリツト部を
もつノズル内の等速度線が該スリツト部ではU字
状となり、これに直角に配列するとピツチの配向
単位は繊維断面内で第1図の如くリーフ状に配列
する。この配列は、平板状の配向単位が繊維断面
では並列に並んでいる状態であり、不融化・焼成
段階での面間隔の収縮時に応力歪みを吸収し易い
配列であるため、不融化・焼成時に配向単位が微
細に充填される等の理由により、クラツク等の欠
陥の発生が非常に少なくなり、すぐれた物性が発
現すると考えられる。そして、この際に、整流板
の使用又は吐出条件の選定により、繊維軸方向に
整つた配向となるとともに結晶サイズが小さくな
つて、ラメラが微細化するため、この効果が助長
され、一段とすぐれた物性が発現する。
このように溶融紡糸されたピツチ繊維は、ドラ
フト率30以上、好まくは50以上で引き取ることが
好適である。ここでドラフト率とは次式で定義さ
れる値であり、この値が大きいことは紡糸時の変
形速度が大きく、他の条件が同一の場合はドラフ
ト率が大きい程、急冷効果が大となる。
ドラフト率=紡糸引取速度/紡糸口金からの吐出線速
度 ドラフト率30以上、特に50以上で引き取ると、
引続く不融化・焼成処理により、好適な物性を発
現し易いので好ましい。
紡糸引取速度は、前述の紡糸条件では1000m/
分以上の高速でもきわめて円滑に紡糸することが
できるが、通常100〜2000m/分の範囲が好まし
く用いられる。
上述のようにして得られたピツチ繊維は、次い
で、酸素の存在下に不融化処理される。
この不融化処理工程は生産性および繊維物性を
左右する重要な工程で、できるだけ短時間で実施
することが好ましい。このため、不融化温度、昇
温速度、雰囲気ガス等を紡糸ピツチ繊維に対し適
宜選択する必要があるが、本発明におけるピツチ
繊維は、高融点の光学異方性ピツチを用いている
こと、繊維断面形状が楕円形で単位断面積当りの
表面積が大きいこと等により、通常の円形断面か
ら紡糸された従来のピツチ繊維よりも処理時間を
短縮することが可能である。また、この工程にお
いては、融着を防止するため無機系微粉末等の融
着防止剤を用いてもよい。
さらに、不融化処理の短時間化のために、不融
化促進剤として、沃素、塩素等も好適に用いられ
る。
このように不融化処理した繊維は、次に、不活
性ガス中において通常1000〜1500℃、好ましくは
1300℃付近の温度で焼成することにより本発明の
ピツチ系炭素繊維を得ることができる。このもの
をそのまま使用してもよいが、さらに約3000℃程
度まで加熱して黒鉛化させてから使用することも
できる。
[発明の効果] 前述の如き本発明のピツチ系炭素繊維は、その
断面構造がリーフ状ラメラ配列を有し、且つ上述
のように結晶の配向及びサイズが特定範囲内にあ
るために、クラツクがほぼ完全に防止され、さら
に不融化・焼成段階での収縮が円滑におこなわれ
るため、後述の実施例に示す如く、強度、モジユ
ラスが飛躍的に増大し、PAN系炭素繊維の物性
を凌駕するものとなる。したがつて、本発明のピ
ツチ系炭素繊維は複合材の補強繊維としてきわめ
て有用である。
[各指標の測定法] 次に本発明における紡糸用ピツチおよび繊維特
性を表わす各指標の測定法について説明する。
(a) 紡糸用ピツチの融点 パーキンエルマー社製DSC−1D型を用い、ア
ルミニウム製セル(内径5m/m)に100メツシユ
以下に粉砕したピツチ微粉末10mgを入れ、上から
押えた後、窒素雰囲気中、昇温速度10℃/分で
400℃近くまで昇温しつつ測定し、DSCのチヤー
トにおける融点を示す吸熱ピークをもつて紡糸用
ピツチの融点とする。
(b) 紡糸用ピツチの光学異方性量 反射型偏光顕微鏡を用いて紡糸ピツチの偏光顕
微鏡写真を任意に5枚撮り、画像解析処理装置を
用いて等方性領域の面積分率(%)を算出し、こ
のものの平均値を光学異方性量とする。
(c) 炭素繊維の物性 炭素繊維の繊維径(単糸径)、引張強度、伸度、
モジユラスは、JIS R−7601「炭素繊維試験方法」
に従つて測定する。なお繊維径の測定は、円形断
面繊維についてはレーザーによる測定を行い、非
円形断面繊維については走査型電子顕微鏡写真よ
りn=15の断面積の平均値を算出する。なお、実
施例等においては繊維径を相当する断面積を有す
る円に換算したときの直径で表示した。
(d) リーフ状ラメラ配列の分率 炭素繊維断面の走査型電子顕微鏡写真より、断
面積当りのリーフ状ラメラ配列部分の面積比率で
表わす。
(e) ミクロ構造パラメーター 配向角(OA)、結晶サイズ(Lc)は、ともに
広角X線回折により求められる繊維のミクロ(微
細)構造を表わすパラメーターである。配向角
(OA)は、結晶の繊維軸方向に対する配向の程
度を示すもので、この角度が小さい程配向が進ん
でいることを意味する。結晶サイズ(Lc)は炭
素微結晶の見掛け積層高さを表わす。
炭素繊維においては、これらの値が焼成温度と
ともに変化することが知られているが、焼成温度
を定めた場合、各種炭素繊維は、その製法により
定まる一定の構造パラメーターを示す。
本発明で特定した配向角(OA)、結晶サイズ
(Lc)は、全て1300℃で焼成した炭素繊維の構造
パラメーターとして表示され、X線回折は、繊維
を一束にし、X線ビームに垂直に装着し、方位角
2θを0〜90°スキヤンし、(002)帯(約26°近傍)
の強度分布の最大値の1/2の位置における全幅
(半価幅)B、及び方位角2θより下記式でLcが算
出される。
Lc=Kλ/(B−b)cosθ (ここでK=0.9,b=0.0017rad,λ=1.5418
Å) また、(002)帯の強度分布の最大値を示す方位
角の位置において繊維束をX線ビームの垂直面内
において180℃回転することにより、(002)帯の
強度分布をとり、強度最大値の1/2の点における
半価幅を配向角(OA)とする。
[実施例] 以下、実施例をあげて本発明をさらに詳細に説
明するが、本発明はこれらの実施例によつて何等
限定されるものではない。
実施例 1 市販のコールタールピツチを原料とし、特開昭
59−53717号公報に記載の方法に準じ、全面流れ
構造で光学異方性量を92%有し、キノリン不溶部
35.4%、融点286℃の紡糸用ピツチを調製した。
該紡糸用ピツチを加熱ヒーターを備えた定量フ
イーダーに仕込み、溶融脱泡後、別に設けた加熱
ゾーンを経て、スリツト幅60μm、中心線距離
540μmの直線状単一スリツト紡糸孔を有する口金
を用いて、紡糸を行つた。
この場合のフイーダー吐出量は0.032ml/分/
孔、吐出速度は1m/分、フイーダー部温度
(T1)=320℃、加熱ゾーン温度(T2)=320℃と
し、口金温度(T3)=340℃となし、引取速度
600m/分で巻き取つた。
このピツチ繊維をシリカ微粉末を融着防止剤と
して塗布した後、乾燥空気中にて10℃/分の昇温
速度で200℃から300℃まで昇温加熱し、300℃で
30分間保持し不融化させた。
次いで、窒素雰囲気中にて500℃/分の昇温速
度で1300℃まで昇温加熱し、5分間保持すること
により焼成を行い、炭素繊維とした。
得られた繊維の断面形状は楕円形であり、リー
フ状ラメラ分率は98%であつた。この炭素繊維を
X線回折にかけたところ、OA=31.92°,Lc=
20.12Åであり、物性特定の結果、円換算糸径=
6.47μm、強度=604Kg/mm2、伸度=2.23%、モジ
ユラス=27.2T/mm2の極めて優れた値を示した。
比較例 1 光学異方性量を88%有し、キノリン不溶部39
%、融点274℃の紡糸用ピツチを定量フイーダー
に仕込み、フイーダー吐出量0.06ml/分/孔、吐
出速度1.9m/分、フイーダー温度(T1)=320℃、
加熱ゾーン温度(T2)=320℃、口金温度(3)=
335℃、引取速度800m/分で実施例1と同じ単一
スリツト紡糸孔を有する口金を用いて紡糸し、得
られたピツチ繊維を乾燥空気中で10℃/分の昇温
速度で200℃から300℃まで昇温加熱し、300℃で
30分保持することにより不融化処理を施した後、
窒素雰囲気中にて500℃/分の昇温速度で1300℃
まで昇温加熱し、5分間保持することによりリー
フ状ラメラ分率100%のピツチ系炭素繊維を製造
した。
該炭素繊維のOA,Lcを測定した結果、OA=
29.8°、Lc=43.5Åであり、本発明の炭素繊維と比
較し大きなLcを有していた。
この炭素繊維の物性は、引張強度=462Kg/mm2
伸度=1.83%、モジユラス=25.3T/mm2であり、
リーフ状ラメラ配列による物性の向上は認められ
るものの、本発明の炭素繊維と比べ引張強度が低
いものであつた。
【図面の簡単な説明】
第1図は、本発明に係るピツチ系炭素繊維の断
面構造を模式的に示す拡大図である。第2図は、
本発明に係るピツチ系炭素繊維を製造する場合に
用いられる紡糸孔形状の一例を示す紡糸孔断面の
拡大である。 Ln……中心線距離、Wn……ぬれぶち幅。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 1 繊維の断面形状が実質的に楕円形であつて、
    繊維断面の50%以上にリーフ状ラメラ配列を有
    し、且つ、X線回折より求められる配向角
    (OA)が20〜35°、結晶サイズ(Lc)が15〜40Å
    のミクロ構造を有し、しかも引張強度が少なくと
    も550Kg/mm2、モジユラスが少なくとも20T/mm2
    を示すことを特徴とするピツチ系炭素繊維。
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