JPH056099Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 「産業上の利用分野」 本考案は、樹脂を金型内に射出して成形品を作
成する場合、金型内の樹脂の主通路とその分岐路
であるランナーとの間で、樹脂硬化後に容易に切
断できるようにしたランナーカツトブツシユに関
する。

「従来の技術」 金型内に樹脂を射出して成形品を作成する場
合、金型内に成形品用の多数の空胴を設け、主通
路から複数のランナーを介して各空胴に溶融樹脂
を供給するようにしている。そして金型内で樹脂
が硬化した後、ランナー部分あるいは空胴内の成
形品を押出しピンで押すことにより、成形品とラ
ンナーとの間を切断するとともに、成形品とラン
ナー部および主通路部を金型から取出すようにし
ている。なお、成形品用の空胴とランナーとの接
続部は、小径のゲートに形成され、樹脂硬化後
に、両者が容易に切断されるようになつていた。

「考案が解決しようとする課題」 従来、樹脂成形品を金型内で射出成形する場
合、成品部分とランナー部分とは容易に切断でき
るようになつているが、ランナーと主通路との間
は何ら切断を容易にする手段がとられていない。
これは、切断を容易にするためには、金型内の切
断個所を小径のゲートに形成しなければならず、
そのための加工を金型内に形成するのは、加工手
数が多くなるためにその加工は省略されている。

しかし、１つの金型内に多数の成品用空胴を作
成したりすると、ランナー部分、あるいは主通路
が長くなり、樹脂硬化後、金型から取出した連結
状態のランナー部や主通路部が大きくて、保管
や、粉砕処理に不都合が生ずることがあつた。

そこで本考案は、主通路から複数のランナーへ
の分岐通路を有する金型を容易に作成可能にし、
しかも主通路とランナーとの間を容易に切断でき
るようにすることを目的とする。

「課題を解決するための手段」 本考案は、成形用金型における樹脂の主通路か
ら複数個のランナーに分岐させる位置に設けるラ
ンナーブツシユである。このブツシユは筒形であ
つて、その中心孔の一端は樹脂の主通路に連通さ
れるとともに、他端は押出しピンの挿入が可能に
なつている。またブツシユには、その中心孔と各
ランナーとを連通する複数個の傾斜孔が設けら
れ、この傾斜孔はその中心孔側が押出しピン挿入
側に向うように傾斜される。傾斜孔は、中心孔側
が小径のテーパ孔に形成される。

「作用」 上記手段のランナーカツトブツシユを、金型の
主通路とそれから分岐する複数のランナーとの接
続部に配置すれば、その部分の金型が完成し、そ
のブツシユを金型から取り外ずせば、別個の金型
にも組込むことも可能である。またブツシユに設
ける複数の傾斜孔は、押出しピン挿入側に向つて
傾斜されているので、ブツシユの中心孔に押出し
ピンが挿入されたときに、硬化樹脂のランナー部
はそれがブツシユの中心孔と接続する部分で容易
に亀裂が生じて切断され、硬化樹脂のランナー部
と主通路部とが切離される。

「実施例」 本考案の１実施例を第１，２図により説明す
る。

上金型１と下金型２とを重ね合せることにより
成形品用の空胴３が多数形成され、各空胴３はそ
れぞれ小径ゲート３ａを介してランナー４に連通
される。ランナー４の他端は、下金型２の穴２ａ
に組込まれたランナーカツトブツシユ５に連通さ
れる。本実施例では、ランナーカツトブツシユ５
は、４方向のランナー４に連通され、各ランナー
４はそれぞれ別個の成形品用空胴３に連通され
る。

ランナーカツトブツシユ５の上方に、主通路部
材６が設けられ、その主通路６ａから溶融状態の
樹脂が、ランナーカツトブツシユ５、各ランナー
４を介して各空胴３に供給されるようになつてい
る。

また下金型２の適所、例えば空胴３やランナー
４の位置に下から押出しピン７が摺動可能に挿入
され、樹脂が金型内で硬化した後に、成形品ある
いはランナー部を金型から押出せるようになつて
いる。

ランナーカツトブツシユ５は筒形であつて、そ
の中心孔５ａと外周位置の各ランナー４とを連通
する例えば４個の傾斜孔５ｂが設けられ、前記主
通路６ａとランナー４とは、中心孔５ａと傾斜孔
５ｂとを介して連通される。中心孔５ａの下方側
から、押出しピン７ａが挿入され、やはり樹脂が
硬化した後に、中心孔５ａ内の硬化部分を押出せ
るようになつている。傾斜孔５ｂは、中心孔５ａ
側が押出しピン７ａの挿入側に向うように傾斜さ
れ、押出しピン７ａを中心孔５ａの上方に押込ん
だときに、傾斜孔５ｂ部分の硬化樹脂と中心孔内
の硬化樹脂との間に亀裂が生じて、両者間が切断
される。また傾斜孔５ｂは外側より中心側が小径
のテーパ孔に形成され、前記、傾斜孔内の硬化樹
脂の亀裂を容易に生じさせられるようになつてい
る。またランナーカツトブツシユ５の押出しピン
挿入側の外周に鍔部５ｃが形成され、ランナーカ
ツトブツシユ５の金型内での位置決めが容易にさ
れている。

なお、前記金型は、熱可塑性樹脂の成形品を作
成するだけではなく、熱硬化性樹脂の成形品を作
成する場合にも適用できる。

「考案の効果」 本考案のランナーカツトブツシユは、金型内に
おける樹脂の主通路と複数個のランナーとの接合
位置に組込むだけで、それらの連通を可能にし、
金型にはランナーカツトブツシユを組込む単純な
穴を形成するだけでよいので、金型の製作が容易
である。しかも成形品の異なる金型にも組込み可
能であるので、ランナーカツトブツシユの使用価
値は非常に高いものとなる。また、ランナーカツ
トブツシユの中心孔に、樹脂硬化後、押出しピン
を押込んだときには、ランナー部と主通路部とを
容易に切断でき、金型から押出したランナー部等
の保管、粉砕に都合がよい。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案のランナーカツトブツシユを組
込んだ金型の部分断面図、第２図はランナーカツ
トブツシユの上面図である。 １……上金型、２……下金型、３……空胴、４
……ランナー、５……ランナーカツトブツシユ、
５ａ……中心孔、５ｂ……傾斜孔、５ｃ……鍔、
６ａ……主通路、７……押出しピン。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) 成形用金型における樹脂の主通路から複数個
   のランナーに分岐させる分岐用ブツシユであつ
   て、このブツシユは、中心孔を有する筒状に形
   成されて、中心孔の一端は主通路に連通可能で
   あるとともに他端は押出しピンの挿入が可能に
   なつており、ブツシユにはその中心孔と各ラン
   ナーとを連通する複数個の傾斜孔が設けられ、
   この傾斜孔は、その中心孔側が押出しピン挿入
   側に向うように傾斜されていることを特徴とす
   るランナーカツトブツシユ。 (2) 傾斜孔は、中心孔側が小径のテーパ孔に形成
   されていることを特徴とする請求項(1)のランナ
   ーカツトブツシユ。