JPH0559466A - 低酸素Ti−Al系合金の製造方法および低酸素Ti−Al系合金 - Google Patents

低酸素Ti−Al系合金の製造方法および低酸素Ti−Al系合金

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JPH0559466A
JPH0559466A JP24486191A JP24486191A JPH0559466A JP H0559466 A JPH0559466 A JP H0559466A JP 24486191 A JP24486191 A JP 24486191A JP 24486191 A JP24486191 A JP 24486191A JP H0559466 A JPH0559466 A JP H0559466A
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Abstract

(57)【要約】 【構成】Al 25〜55wt%を含有するTi−Al
系合金を、最終目標のAl含有量が1.5wt%以上よ
り多く含有する溶湯に作製した後、この溶湯を1×10
−2Torrより高い真空雰囲気下において、耐火物を
使用しない溶解方式により保持して、溶湯中のAlを強
制的に除去して最終目標組成のTi−Al系合金とする
低酸素Ti−Al系合金の製造方法であり、さらに、上
記の製造方法において、最終目標組成、或いは、最終目
標組成より低いAl含有量とした鋳塊を作製し、この鋳
塊を水冷坩堝を使用して誘導溶解法により10Torr
以上の圧力の不活性ガス雰囲気下において再溶解を行
い、均一化および成分調整を行って最終目標組成のTi
−Al系合金とする低酸素Ti−Al系合金の製造方法
であり、さらに、酸素含有量が200ppm以下である
低酸素Ti−Al系合金である。 【効果】Alを強制的に除去することにより、同時に2
00ppm以下の低酸素とすることができ、かつ、成分
均一の鋳塊を製造することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は低酸素Ti−Al系合金
の製造方法に関し、さらに詳しくは、軽量耐熱材料、お
よび、スパッタリングターゲット材料等に使用されてい
る高純度の低酸素Ti−Al系合金の製造方法に関する
ものである。
【0002】
【従来技術】一般的に、航空機、自動車、化学プラン
ト、工具等の各産業の技術分野において、エンジン効率
の向上、耐用年数の延長さらにはコスト低減等の要求は
益々強くなってきており、これを実現するためには、強
度、弾性率、耐熱性、耐蝕性等の高性能および高機能で
ある材料が強く要望されている。
【0003】この要望を満足する材料として、Ni−A
l系合金、Fe−Al系合金、Ti−Al系合金等の金
属間化合物が挙げられ、特に、Ti−Al系合金の金属
間化合物は軽量高弾性率、高耐熱性等の優れた特性を有
していることから、各産業において注目を集めている。
【0004】そして、このような優れた特性を有してい
るTi−Al系合金を製造する場合、Ti−Al系合金
は、この合金を構成する含有成分が活性であることか
ら、不活性雰囲気下において、純Ti、純Alおよび第
3元素等の含有成分を真空アーク溶解法、プラズマ溶解
法、電子ビーム溶解法、水冷分割銅坩堝を使用する誘導
溶解法等により行われているのが現状である。
【0005】そして、真空アーク溶解法によりTi−A
l系合金を溶製する場合、粒状、或いは、塊状のTiと
Alの原料を棒状に圧縮成形し、この成形体を消耗電極
として真空下においてアーク溶解を行うものであるが、
原料のTiとAlの融点が大きく相違しており、従っ
て、溶解速度が異なる結果、Tiが未溶解のまま鋳塊中
に混入したり、或いは、溶解時の溶湯プール中の撹拌力
が不充分であるため、原料の純Tiおよび純Alが均一
に混合する時間的な余裕がなく、含有成分の偏析が起こ
り易くなり、均質な鋳塊を作ることが困難となる。ま
た、純度に関しても使用する原料の純度に依存している
ものであるから、高純度化を望むことには困難性を伴
う。
【0006】プラズマアーク溶解法、電子ビーム溶解法
は、原料となる塊状、粒状の純Ti、純Alをコールド
ハース内において溶解後、水冷鋳型内に注湯するか、コ
ールドハースを使用しないで直接に原料を鋳型内に装入
しながら溶解を行い、鋳塊を作製する方法が一般的であ
るが、この両溶解法は共に真空アーク溶解法と同様に、
溶湯プール内の撹拌力不足による偏析、融点の相違によ
る未溶解が起こり易く、均質な鋳塊を作製し難いという
問題がある。純度も真空アーク溶解法と同様に高純度化
を望むことには困難性がある。
【0007】また、特公平03−044133号公報に
おいて開示されている、水冷分割銅坩堝を使用する誘導
溶解法は、水冷坩堝からの冷却効果により形成された溶
融金属のスカル(凝固殻)上に溶融保持されること、さ
らに、誘導コイルからの電磁気力により溶融金属は放物
線形状に保持されることから、坩堝材との接触が少な
く、汚染の少ない溶解を行うことが可能であり、かつ、
溶湯プール内の撹拌力も大きいので成分偏析がなく、均
一な鋳塊が作製できるという有利性があるが、純度に関
しては精錬効果を有しておらず、溶解原料に依存してお
り、高純度化を望むことは困難である。
【0008】また、含有成分均一化を可能とする誘導溶
解法に、CaO坩堝を使用する方法があるが、この方法
は坩堝材であるCaOからの酸素により溶湯の汚染を防
止することが極めて困難であり、通常は溶湯の酸素含有
量500〜1000ppm、であり、Ca脱酸等を行っ
ても溶湯酸素含有量は300〜500ppm程度にしか
減少させることはできなかった。
【0009】従って、上記に説明した優れた特性を有す
るTi−Al系合金を製造する従来の溶解法において
は、精錬効果を期待することができず、従って、純度は
溶解原料に依存するものであり、酸素含有量も200p
pm以下とすることはできず、さらに、成分偏析のない
均一なTi−Al系合金を製造することは困難であっ
た。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記に説明し
たように従来におけるTi−Al系合金の製造方法の種
々の問題点に鑑み、本発明者が鋭意研究を行い、検討を
重ねた結果、難加工性を改善することができ、室温にお
ける延性を改善することができ、さらに、鋳塊中の含有
成分を均一化を行うことができ、従来より強い要望のあ
る200ppm以下の低酸素を充分に達成することがで
きる低酸素Ti−Al系合金の製造方法を開発したので
ある。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明に係る低酸素Ti
−Al系合金の製造方法は、Al25〜55wt%を含
有するTi−Al系合金を最終目標のAl含有量より
1.5wt%以上より多く含有する溶解母材或いは溶湯
に作製した後、この溶湯を1×10-2Torrより高い
真空雰囲気下において、耐火物を使用しない溶解方式に
より保持して、溶湯中のAlを強制的に除去して最終目
標組成のTi−Al系合金とすることを特徴とする低酸
素Ti−Al系合金の製造方法を第1の発明とし、Al
25〜55wt%を含有するTi−Al系合金を最終目
標のAl含有量より1.5wt%以上より多く含有する
溶解母材或いは溶湯に作製した後、この溶湯を1×10
-2Torrより高い真空雰囲気下において、耐火物を使
用しない溶解方式により保持して、溶湯中のAlを強制
的に除去して最終目標組成、或いは、最終目標組成より
低いAl含有量とした鋳塊を作製し、この鋳塊を水冷坩
堝を使用して誘導溶解法により10Torr以上の圧力
の不活性ガス雰囲気下において再溶解を行い、均一化お
よび成分調整を行って最終目標組成のTi−Al系合金
とすることを特徴とする低酸素Ti−Al系合金の製造
方法を第2の発明とする2つの発明よりなるものであ
る。
【0012】本発明に係る低酸素Ti−Al系合金の製
造方法について、以下詳細に説明する。
【0013】本発明に係る低酸素Ti−Al系合金の製
造方法においては、先ず、Alを25〜55wt%含有
するTi−Al系合金を最終目標組成のAl含有量より
も1.5wt%多い組成の溶解母材或いは溶湯を作製す
る。そして、最終目標組成より1.5wt%以上多く含
有する溶解母材或溶湯にする方法は、溶解原料の配合を
Alを多くなるようにするのであり、1.5wt%以上
多く含有させるのは、Alを蒸発除去することにより同
時に酸素が除去されるAl蒸発脱酸作用を利用するの
で、予めAlを最終目標組成より多く含有させる必要が
あり、Al含有量が1.5wt%よりも多くなければ脱
酸効果がなく、最終目標組成より多くAlを含有してい
る溶解母材或いは溶湯を作製し、多く含有している分を
除去することにより、その量に見合った量の酸素も除去
することができる。従って、Al含有量の多い原料を耐
火物等を用いない溶解方法により溶湯を保持し、1×1
-2Torrよりも高い真空雰囲気下において強制的に
Alを除去すると、これに伴って溶湯中の酸素量も減少
するのであり、最終目標組成のAl含有量よりもAlを
多く含有する組成の溶湯から強制的にAlを除去するこ
とにより、最終目標組成のTi−Al系合金を製造する
ことができると同時に酸素を200ppm以下に低減さ
せることができる。また、Alを蒸発除去することによ
り脱酸を行うため、1×10-2Torrより高い真空雰
囲気下でないと、Alの蒸発が起こりにくいからで、真
空度が高くなるほどAlの蒸発量は増加し、それにより
脱酸の効果も大きくなるのである。
【0014】さらに、上記に説明した方法により、最終
目標組成、或いは、最終目標組成より低いAl含有量お
よび酸素含有量を充分に低減した鋳塊を作製して、水冷
分割銅坩堝を使用する誘導溶解法により不活性ガス雰囲
気下(10Torr以上の圧力)で再溶解を行って、均
一化および成分調整を行うことにより最終目標組成の鋳
塊を製造するものであり、即ち、Alの強制除去溶解に
よる低酸素化と、水冷分割銅坩堝による無汚染均一化溶
解を同時に行うことができる溶解方法により、酸素濃度
が200ppm以下の低酸素Ti−Al系合金を製造で
きる。
【0015】しかして、溶解母材或いは溶湯中のAlを
強制的に蒸発除去することにより、最終目標組成に対し
てAl組成が大幅に異なった場合、Alを添加する等の
手段により成分調整を行うのであるが、Alが少なくな
り過ぎた場合はAlを添加し、また、Alが多い場合は
Tiを添加する。この場合、酸素はAlよりもTiに多
く含有されるので、Tiを添加して成分調整を行うより
も、充分にAlを蒸発除去させて脱酸を行った後、Al
添加により成分調整を行った方が有利である。また、1
0Torr未満の圧力の不活性ガス雰囲気下で再溶解を
行うと、水冷分割銅坩堝の分割された銅と銅との間にア
ーキングと呼ばれるアーク放電が起こる可能性があり、
それにより銅坩堝の一部が溶損して冷却水が吹き出す
と、水蒸気爆発のおこる可能性があり、また、1×10
-2Torr程度の真空雰囲気下になると、Alが蒸発す
るので成分調整が困難となるからである。
【0016】なお、本発明に低酸素Ti−Al系合金の
製造方法おいて使用できる合金としては、Ti−Al系
合金ばかりではなく、室温延性を向上させる効果を有す
るCr、Mn、V、および、高温強度を向上させる効果
のあるMo、W、Nb、Ta、さらに、耐熱性を向上さ
せる効果を有するY等の成分を含有させることにより成
分調整を行うことができので、広くTi−Al系合金に
適用が可能である。
【0017】
【実 施 例】本発明に係る低酸素Ti−Al系合金の
製造方法の実施例を説明する。
【0018】
【実 施 例】表1に溶解原料、電子ビーム溶解法による
強制的にAlを除去した材料、さらに、この材料を水冷
分割銅坩堝を使用した誘導溶解方法による再溶解材料の
化学成分を示す。
【0019】電子ビーム溶解炉を使用して、先ず、原料
配合値を検討してから、原料を装入しながら、水冷ハー
ス内で1×10-5Torr程度の真空雰囲気下でTi−
40wt%Alの合金溶湯(溶解母材)を作製・保持
し、同時にAlを強制的に除去した。さらに、この材料
をアルゴンガス100Torr雰囲気下で、水冷銅坩堝
により誘導溶解を行った。表1に製造された材料の含有
成分および成分割合を示す。この表1から明らかなよう
に、本発明に係る低酸素Ti−Al系合金の製造方法に
よれば、酸素濃度が200ppm以下の低酸素で、か
つ、偏析のない均一な鋳塊を製造することができた。
【0020】
【表1】
【0021】
【発明の効果】以上説明したように、本発明に係る低酸
素Ti−Al系合金の製造方法は上記の構成であるか
ら、Alを強制的に除去することにより、同時に200
ppm以下の低酸素とすることができ、かつ、成分均一
の鋳塊を製造することができるという効果を有するもの
である。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成4年7月13日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正内容】
【書類名】 明細書
【発明の名称】 低酸素Ti−Al系合金の製造方法お
よび低酸素Ti−Al系合金
【特許請求の範囲】
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は低酸素Ti−Al系合金
の製造方法および低酸素Ti−Al系合金に関し、さら
に詳しくは、軽量耐熱材料、および、スパッタリングタ
ーゲット材料等に使用されている高純度の低酸素Ti−
Al系合金の製造方法および低酸素Ti−Al系合金に
関するものである。
【0002】
【従来技術】一般的に、航空機、自動車、化学プラン
ト、工具等の各産業の技術分野において、エンジン効率
の向上、耐用年数の延長さらにはコスト低減等の要求は
益々強くなってきており、これを実現するためには、強
度、弾性率、耐熱性、耐蝕性等の高性能および高機能で
ある材料が強く要望されている。
【0003】この要望を満足する材料として、Ni−A
l系合金、Fe−Al系合金、Ti−Al系合金等の金
属間化合物が挙げられ、特に、Ti−Al系合金の金属
間化合物は軽量高弾性率、高耐熱性等の優れた特性を有
していることから、各産業において注目を集めている。
【0004】そして、このような優れた特性を有してい
るTi−Al系合金を製造する場合、Ti−Al系合金
は、この合金を構成する含有成分が活性であることか
ら、不活性雰囲気下において、純Ti、純Alおよび第
3元素等の含有成分を真空アーク溶解法、プラズマ溶解
法、電子ビーム溶解法、水冷分割銅坩堝を使用する誘導
溶解法等により行われているのが現状である。
【0005】そして、真空アーク溶解法によりTi−A
l系合金を溶製する場合、粒状、或いは、塊状のTiと
Alの原料を棒状に圧縮成形し、この成形体を消耗電極
として真空下においてアーク溶解を行うものであるが、
原料のTiとAlの融点が大きく相違しており、従っ
て、溶解速度が異なる結果、Tiが未溶解のまま鋳塊中
に混入したり、或いは、溶解時の溶湯プール中の撹拌力
が不充分であるため、原料の純Tiおよび純Alが均一
に混合する時間的な余裕がなく、含有成分の偏析が起こ
り易くなり、均質な鋳塊を作ることが困難となる。ま
た、純度に関しても使用する原料の純度に依存している
ものであるから、高純度化を望むことには困難性を伴
う。
【0006】プラズマアーク溶解法、電子ビーム溶解法
は、原料となる塊状、粒状の純Ti、純Alをコールド
ハース内において溶解後、水冷鋳型内に注湯するか、コ
ールドハースを使用しないで直接に原料を鋳型内に装入
しながら溶解を行い、鋳塊を作製する方法が一般的であ
るが、この両溶解法は共に真空アーク溶解法と同様に、
溶湯プール内の撹拌力不足による偏析、融点の相違によ
る未溶解が起こり易く、均質な鋳塊を作製し難いという
問題がある。純度も真空アーク溶解法と同様に高純度化
を望むことには困難性がある。
【0007】また、特公平03−044133号公報に
おいて開示されている、水冷分割銅坩堝を使用する誘導
溶解法は、水冷坩堝からの冷却効果により形成された溶
融金属のスカル(凝固殻)上に溶融保持されること、さ
らに、誘導コイルからの電磁気力により溶融金属は放物
線形状に保持されることから、坩堝材との接触が少な
く、汚染の少ない溶解を行うことが可能であり、かつ、
溶湯プール内の撹拌力も大きいので成分偏析がなく、均
一な鋳塊が作製できるという有利性があるが、純度に関
しては精錬効果を有しておらず、溶解原料に依存してお
り、高純度化を望むことは困難である。
【0008】また、含有成分均一化を可能とする誘導溶
解法に、CaO坩堝を使用する方法があるが、この方法
は坩堝材であるCaOからの酸素により溶湯の汚染を防
止することが極めて困難であり、通常は溶湯の酸素含有
量500〜1000ppm、であり、Ca脱酸等を行っ
ても溶湯酸素含有量は300〜500ppm程度にしか
減少させることはできなかった。
【0009】従って、上記に説明した優れた特性を有す
るTi−Al系合金を製造する従来の溶解法において
は、精錬効果を期待することができず、従って、純度は
溶解原料に依存するものであり、酸素含有量も200p
pm以下とすることはできず、さらに、成分偏析のない
均一なTi−Al系合金を製造することは困難であっ
た。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記に説明し
たように従来におけるTi−Al系合金の製造方法およ
びTi−Al系合金の種々の問題点に鑑み、本発明者が
鋭意研究を行い、検討を重ねた結果、難加工性を改善す
ることができ、室温における延性を改善することがで
き、さらに、鋳塊中の含有成分を均一化を行うことがで
き、従来より強い要望のある極めて低い酸素含有量を充
分に達成することができる低酸素Ti−Al系合金の製
造方法および低酸素Ti−Al系合金を開発したのであ
る。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明に係る低酸素Ti
−Al系合金の製造方法および低Ti−Al系合金は、
Al25〜55wt%を含有するTi−Al系合金を最
終目標のAl含有量より1.5wt%以上より多く含有
する溶解母材或いは溶湯に作製した後、この溶湯を1×
10−2Torrより高い真空雰囲気下において、耐火
物を使用しない溶解方式により保持して、溶湯中のAl
を強制的に除去して最終目標組成のTi−Al系合金と
することを特徴とする低酸素Ti−Al系合金の製造方
法を第1の発明とし、Al25〜55wt%を含有する
Ti−Al系合金を最終目標のAl含有量より1.5w
t%以上より多く含有する溶解母材或いは溶湯に作製し
た後、この溶湯を1×10−2Torrより高い真空雰
囲気下において、耐火物を使用しない溶解方式により保
持して、溶湯中のAlを強制的に除去して最終目標組
成、或いは、最終目標組成より低いAl含有量とした鋳
塊を作製し、この鋳塊を水冷坩堝を使用して誘導溶解法
により10Torr以上の圧力の不活性ガス雰囲気下に
おいて再溶解を行い、均一化および成分調整を行って最
終目標組成のTi−Al系合金とすることを特徴とする
低酸素Ti−Al系合金の製造方法を第2の発明とし、
さらに、酸素含有量が200ppm以下である低酸素
Ti−Al系合金を第3の発明とする3つの発明よりな
るものである。
【0012】本発明に係る低酸素Ti−Al系合金の製
造方法および低酸素Ti−Al系合金について、以下詳
細に説明する。
【0013】本発明に係る低酸素Ti−Al系合金の製
造方法においては、先ず、Alを25〜55wt%含有
するTi−Al系合金を最終目標組成のAl含有量より
も1.5wt%多い組成の溶解母材或いは溶湯を作製す
る。そして、最終目標組成より1.5wt%以上多く含
有する溶解母材或溶湯にする方法は、溶解原料の配合を
Alを多くなるようにするのであり、1.5wt%以上
多く含有させるのは、Alを蒸発除去することにより同
時に酸素が除去されるAl蒸発脱酸作用を利用するの
で、予めAlを最終目標組成より多く含有させる必要が
あり、Al含有量が1.5wt%よりも多くなければ脱
酸効果がなく、最終目標組成より多くAlを含有してい
る溶解母材或いは溶湯を作製し、多く含有している分を
除去することにより、その量に見合った量の酸素も除去
することができる。
【0014】従って、Al含有量の多い原料を耐火物等
を用いない溶解方法により溶湯を保持し、1×10−2
Torrよりも高い真空雰囲気下において強制的にAl
を除去すると、これに伴って溶湯中の酸素量も減少する
のであり、最終目標組成のAl含有量よりもAlを多く
含有する組成の溶湯から強制的にAlを除去することに
より、最終目標組成のTi−Al系合金を製造すること
ができると同時に酸素を200ppm以下に低減させる
ことができる。また、Alを蒸発除去することにより脱
酸を行うため、1×10−2Torrより高い真空雰囲
気下でないと、Alの蒸発が起こりにくいからで、真空
度が高くなるほどAlの蒸発量は増加し、それにより脱
酸の効果も大きくなるのである。
【0015】さらに、上記に説明した方法により、最終
目標組成、或いは、最終目標組成より低いAl含有量お
よび酸素含有量を充分に低減した鋳塊を作製して、水冷
分割銅坩堝を使用する誘導溶解法により不活性ガス雰囲
気下(10Torr以上の圧力)で再溶解を行って、均
一化および成分調整を行うことにより最終目標組成の鋳
塊を製造するものであり、即ち、A1の強制除去溶解に
よる低酸素化と、水冷分割銅坩堝による無汚染均一化溶
解を同時に行うことができる溶解方法により、酸素濃度
が200ppm以下の低酸素Ti−Al系合金を製造で
きる。
【0016】しかして、溶解母材或いは溶湯中のAlを
強制的に蒸発除去することにより、最終目標組成に対し
てAl組成が大幅に異なった場合、Alを添加する等の
手段により成分調整を行うのであるが、Alが少なくな
り過ぎた場合はAlを添加し、また、Alが多い場合は
Tiを添加する。この場合、酸素はAlよりもTiに多
く含有されるので、Tiを添加して成分調整を行うより
も、充分にAlを蒸発除去させて脱酸を行った後、Al
添加により成分調整を行った方が有利である。また、1
0Torr未満の圧力の不活性ガス雰囲気下で再溶解を
行うと、水冷分割銅坩堝の分割された銅と銅との間にア
ーキングと呼ばれるアーク放電が起こる可能性があり、
それにより銅坩堝の一部が溶損して冷却水が吹き出す
と、水蒸気爆発のおこる可能性があり、また、1×10
−2Torr程度の真空雰囲気下になると、Alが蒸発
するので成分調整が困難となるからである。
【0017】なお、本発明に低酸素Ti−Al系合金の
製造方法おいて使用できる合金としては、Ti−Al系
合金ばかりではなく、室温延性を向上させる効果を有す
るCr、Mn、V、および、高温強度を向上させる効果
のあるMo、W、Nb、Ta、さらに、耐熱性を向上さ
せる効果を有するY等の成分を含有させることにより成
分調整を行うことができので、広くTi−Al系合金に
適用が可能である。
【0018】
【実 施 例】本発明に係る低酸素Ti−Al系合金の
製造方法および低酸素Ti−Al系合金の実施例を説明
する。
【0019】
【実 施 例】表1に溶解原料、電子ビーム溶解法によ
る強制的にAlを除去した材料、さらに、この材料を水
冷分割銅坩堝を使用した誘導溶解方法による再溶解材料
の化学成分を示す。
【0020】電子ビーム溶解炉を使用して、先ず、原料
配合値を検討してから、原料を装入しながら、水冷ハー
ス内で1×10−5Torr程度の真空雰囲気下でTi
−40wt%Alの合金溶湯(溶解母材)を作製・保持
し、同時にAlを強制的に除去した。さらに、この材料
をアルゴンガス100Torr雰囲気下で、水冷銅坩堝
により誘導溶解を行った。表1に製造された材料の含有
成分および成分割合を示す。この表1から明らかなよう
に、本発明に係る低酸素Ti−Al系合金の製造方法に
よれば、酸素濃度が200ppm以下の低酸素で、か
つ、偏析のない均一な鋳塊を製造することができた。
【0021】
【表1】
【0022】
【発明の効果】以上説明したように、本発明に係る低酸
素Ti−Al系合金の製造方法および低酸素Ti−Al
系合金は上記の構成であるから、Alを強制的に除去す
ることにより、同時に200ppm以下の低酸素とする
ことができ、かつ、成分均一の鋳塊を製造することがで
きるという優れた効果を有するものである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 尾 上 俊 雄 兵庫県神戸市須磨区神の谷5−10−77

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Al 25〜55wt%を含有するTi
    −Al系合金を、最終目標のAl含有量より1.5wt
    %以上より多く含有する溶解母材或いは溶湯に作製した
    後、この溶湯を1×10-2Torrより高い真空雰囲気
    下において、耐火物を使用しない溶解方式により溶解保
    持して、溶湯中のAlを強制的に除去して最終目標組成
    のTi−Al系合金とすることを特徴とする低酸素Ti
    −Al系合金の製造方法。
  2. 【請求項2】 Al 25〜55wt%を含有するTi
    −Al系合金を、最終目標のAl含有量より1.5wt
    %以上より多く含有する溶解母材或いは溶湯に作製した
    後、この溶湯を1×10-2Torrより高い真空雰囲気
    下において、耐火物を使用しない溶解方式により溶解保
    持して、溶湯中のAlを強制的に除去して最終目標組
    成、或いは、最終目標組成より低いAl含有量とした鋳
    塊を作製し、この鋳塊を水冷坩堝を使用して誘導溶解法
    により10Torr以上の圧力の不活性ガス雰囲気下に
    おいて再溶解を行い、均一化および成分調整を行って最
    終目標組成のTi−Al系合金とすることを特徴とする
    低酸素Ti−Al系合金の製造方法。
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