JPH0559029U - プランジャ等の往復駆動装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】製作費の低廉化、軽量化、並びに性能の向上を
図る。 【構成】電動モータ３により駆動軸２を回転駆動する。
この駆動軸２に固定の内輪１２の内輪軌道１３は、駆動
軸２に対して偏心している。この為、駆動軸２の回転に
伴なって外輪１５が、駆動軸２の周囲で振れ回り運動す
る。この結果、外輪１５の外周面１５ａに突き当てられ
たプランジャ７が、往復運動する。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

この考案に係るプランジャの往復駆動装置は、モータの回転運動をプランジャ やピストン（これらを含み、本考案の装置により往復運動させられる部材を『プ ランジャ等』とする。）の往復運動に変換する為のもので、例えば、大型自動車 用アンチロックブレーキ装置（ＡＢＳ）に組み込んだ状態で使用される。

【０００２】

【従来の技術】

ＡＢＳの作動時には、車輪の制動状態をロック状態と非ロック状態とに細かく 切り換える、所謂ポンピングブレーキを自動的に行なう。この為、油圧配管を細 かく切り換える必要があるが、トラックやトレーラ等の大型車用のＡＢＳには、 図３〜４に示す様な機構を組み込んで、油圧配管の切り換えを行なう様にしてい る。

【０００３】 両端を転がり軸受１、１により支承された駆動軸２は、両転がり軸受１、１の 間に設けられた電動モータ３により、回転駆動される。この駆動軸２の先端部（ 図３の左端部）には、この駆動軸２に対してδだけ偏心したクランク部４を設け 、このクランク部４の周囲に外輪５を、ニードル６、６により回転自在に支持し ている。但し、上記クランク部４は、上記駆動軸２の端部に片持ち式に設ける他 、図４に示す様に、駆動軸２の中間部に、両持ち式に設ける場合もある。

【０００４】 上記外輪５の外周面５ａには、プランジャ７の一端を当接させている。このプ ランジャ７は、図示しないガイド部に、軸方向（図３〜４の上下方向）に亙る変 位のみを自在に支承されており、やはり図示しないばねの弾力により、上記外輪 ５の外周面５ａに向け、弾性的に押圧されている。外輪５は、上記プランジャ７ の一端との摩擦に基づいて、回転防止を図られる。

【０００５】 上述の様に構成される為、上記電動モータ３への通電に基づいて駆動軸２を回 転させると、上記外輪５が、上記δ分の偏心に基づいて振れ回り運動を起こす。 そして、この振れ回り運動により、上記プランジャ７が軸方向に往復移動し、こ のプランジャ７の他端部が、ＡＢＳに組み込まれた切換弁の切り換えを行なって 、ポンピングブレーキを行なわせる。

【０００６】 尚、上記外輪５の外周面５ａは、図５に示す様に球面として、この外周面５ａ と上記プランジャ７の一端との接触に調心性を持たせる事も行なわれている。

【０００７】

【考案が解決しようとする課題】

ＡＢＳ等に組み込まれるプランジャ等の往復駆動装置は、上述の様に構成され 作用するが、駆動軸２に対して偏心したクランク部４を形成する作業は面倒で、 製作費を高くする原因となっている。この為、比較的低価格の小型車用のＡＢＳ に組み込む事は、コストの面から難しいのが現状である。

【０００８】 更に、給油ポンプのピストンを往復移動させる様な場合、この給油ポンプの性 能を向上させる為には、駆動軸２に対するクランク部４の偏心量δを大きくする 事が考えられるが、前記従来構造で偏心量δを大きくする場合、剛性確保の為、 駆動軸２の外径等を大きくする必要が生じる等、重量増大の原因となってしまう 。

【０００９】 本考案によるプランジャ等の往復駆動装置は、上述の様な不都合を何れも解消 するものである。

【００１０】

【課題を解決するための手段】

本考案のプランジャ等の往復駆動装置は、モータと、このモータにより回転駆 動される駆動軸と、この駆動軸に外嵌固定された内輪と、この内輪の外周面に、 この内輪の内周面及び駆動軸に対して偏心した状態で形成された内輪軌道と、上 記内輪の周囲に設けられた外輪と、この外輪の内周面に形成された、上記内輪軌 道と同心の外輪軌道と、この外輪軌道と上記内輪軌道との間に設けられた複数の 転動体と、軸方向に亙る変位を自在に支承されたプランジャ等とを備える。そし て、このプランジャ等の一端を、上記外輪の外周面に弾性的に押圧する事で構成 される。

【００１１】

【作用】

上述の様に構成される本考案のプランジャ等の往復駆動装置の作用は、次の通 りである。モータにより駆動軸を回転駆動すると、この駆動軸に外嵌固定された 内輪が回転し、駆動軸に対して偏心している内輪軌道が、この駆動軸の周囲で回 転する。この結果、複数の転動体を介してこの内輪軌道の周囲に回転自在に支承 された外輪が、この駆動軸の周囲を振れ回り、この外輪の外周面に一端を突き当 てたプランジャ等が往復移動する。

【００１２】 本考案のプランジャ等の往復駆動装置は、内輪軌道を内輪の内周面に対し偏心 させる事で、上記プランジャ等を往復移動させる様に構成している為、部品加工 が容易で、従来構造に較べて製作費の低廉化を図れる。又、プランジャ等の往復 移動量を増大させる為、内輪の内周面に対する内輪軌道の偏心量を大きくする場 合でも、剛性確保の為、重量増大を招く事がない。

【００１３】

【実施例】

図１〜２は本考案の実施例を示している。電動モータ３は、ロータ８と、この ロータ８に通電する為のブラシ９と、ロータ８の周囲に設けられたステータ１０ とを有し、上記ブラシ９によりロータ８に通電する事で、このロータ８をその外 周面に固定した駆動軸２を回転駆動する様にしている。

【００１４】 駆動軸２は、その一端部（図１の右端部）と中間部との２個所を、それぞれ転 がり軸受１、１により回転自在に支承している。そして、この駆動軸２の他端部 （図１の左端部）に、図２に詳示する様な転がり軸受１１を構成する、内輪１２ を外嵌固定している。

【００１５】 この内輪１２の外周面には内輪軌道１３を、この内輪１２の内周面１２ａ及び 上記駆動軸２に対し、δだけ偏心した状態で形成している。又、上記内輪１２の 周囲には、内周面に外輪軌道１４を形成した外輪１５を設けている。この外輪１ ５の外周面１５ａと、上記外輪軌道１４と、上記内輪軌道１３とは、互いに同心 である。そして、これら外輪軌道１４と内輪軌道１３との間に、転動体である複 数の玉１６、１６を設けて、上記内輪１２と外輪１５との相対的回転を自在とし ている。尚、図２に於いて１７は、各玉１６、１６を転動自在に保持する為の保 持器、１８、１８は、各玉１６、１６部分に存在するグリースが外部に漏洩する のを防止すると共に、この部分への塵芥等の進入防止を図る為のシール環である 。

【００１６】 更に、上記外輪１５の外周面１５ａには、プランジャ７の一端を当接させてい る。このプランジャ７は、図示しないガイド部に、軸方向（図１の上下方向）に 亙る変位のみを自在に支承されており、やはり図示しないばねの弾力により、上 記外輪１５の外周面１５ａに向け、弾性的に押圧されている。外輪１５は、上記 プランジャ７の一端との摩擦に基づいて、回転防止を図られる。

【００１７】 上述の様に構成される本考案のプランジャ等の往復駆動装置により、プランジ ャ７を往復移動させる場合、前記ブラシ９を通じて電動モータ３のロータ８に通 電し、このロータ８及び駆動軸２を回転させる。

【００１８】 駆動軸２の回転に伴ない、この駆動軸２に外嵌固定された内輪１２が回転し、 上記駆動軸２に対して偏心している内輪軌道１３が、この駆動軸２の周囲で回転 する。この結果、複数の玉１６、１６を介してこの内輪軌道１３の周囲に回転自 在に支承された外輪１５が、この駆動軸２の周囲を振れ回る。そして、この外輪 １５の外周面１５ａに一端を突き当てたプランジャ７が、軸方向に往復移動する 。

【００１９】 本考案のプランジャ等の往復駆動装置は、内輪軌道１３を内輪１２の内周面１ ２ａに対し偏心させる事で、上記プランジャ７を往復移動させる様に構成してい る為、部品加工が容易で、従来構造に比べて製作費の低廉化を図れる。又、プラ ンジャ７或はピストンの往復移動量を増大させる為、内輪１２の内周面１２ａに 対する内輪軌道１３の偏心量δを大きくする場合でも、特に内輪１２の外径寸法 や厚さ寸法を大きくする必要がない。従って、剛性確保の為、重量増大を招く事 がない。

【００２０】 尚、回転運動を往復運動に変換する為の転がり軸受１１として、図示の様な玉 軸受を使用し、この玉軸受の内部隙間を調節すれば、外輪１５の外周面１５ａと プランジャ７の一端との接触状態を良好に保つ、調心性を得られる。但し、前述 した従来構造の場合と同様に、上記外周面１５ａを球面とする事で、上記調心性 を確保する事も出来る。又、転がり軸受１１を玉軸受とする事で、上記外輪１５ が軸方向にずれ動く事を防止出来、外輪１５の変位防止用のメタルベアリング１ ９、１９（従来構造を示す図３〜４参照）が不要になる。

【００２１】

【考案の効果】

本考案のプランジャ等の往復駆動装置は、以上に述べた通り構成され作用する 為、性能が良く、しかも小型で軽量な装置を、比較的安価に製作出来る。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の実施例を示す断面図。

【図２】運動方向変換用の転がり軸受を示しており
（Ａ）は断面図、（Ｂ）は（Ａ）の側方から見た図。

【図３】従来構造の第１例を示す断面図。

【図４】同じく第２例を示す部分断面図。

【図５】外輪の別形状を示す断面図。

【符号の説明】

１ 転がり軸受 ２ 駆動軸 ３ 電動モータ ４ クランク部 ５ 外輪 ５ａ 外周面 ６ ニードル ７ プランジャ ８ ロータ ９ ブラシ １０ ステータ １１ 転がり軸受 １２ 内輪 １３ 内輪軌道 １４ 外輪軌道 １５ 外輪 １５ａ 外周面 １６ 玉 １７ 保持器 １８ シール環 １９ メタルベアリング

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 モータと、このモータにより回転駆動さ
   れる駆動軸と、この駆動軸に外嵌固定された内輪と、こ
   の内輪の外周面に、この内輪の内周面及び駆動軸に対し
   て偏心した状態で形成された内輪軌道と、上記内輪の周
   囲に設けられた外輪と、この外輪の内周面に形成され
   た、上記内輪軌道と同心の外輪軌道と、この外輪軌道と
   上記内輪軌道との間に設けられた複数の転動体と、軸方
   向に亙る変位を自在に支承されたプランジャ等とを備
   え、このプランジャ等の一端を、上記外輪の外周面に弾
   性的に押圧して成るプランジャ等の往復駆動装置。