JPH055857A - レーザーダイオード・コリメータ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 レーザーダイオードの特性のばらつきに関わ
り無く、同一部品を用いて、しかも無調整で非点収差及
び楕円の矯正を同時に行い円形平行光を出射させる。し
かも低コストで且つ小型化しうる構造とする。 【構成】 レーザーダイオード１０と、その出力ビーム
をスポット光に集束する集光レンズ１２と、その集束光
が入射しコア部を伝播する過程でモード変換され球面波
となって他端から出射する単一モード光ファイバ１４
と、その出射光を平行光にするコリメート・レンズ１６
とを具備し、それらを上記の順序で筐体２０内に組み込
んでモジュール化する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、半導体レーザーダイオ
ードから放出される出力ビームを円形平行光に変換して
出力するレーザーダイオード・コリメータに関し、更に
詳しく述べると、非点収差があり且つ楕円形の出力ビー
ムを単一モード光ファイバによって円形に矯正し整波す
る構造のコリメータに関するものである。

【０００２】

【従来の技術】レーザーダイオードから放出される出力
ビームは、大きな広がり角と楕円形の断面形状（楕円錐
形の広がり）をもっている。また現在製造されているレ
ーザーダイオードの大部分はゲイン・ガイデッド型であ
り、その出力ビームは非点収差を有する。更にレーザー
ダイオードは、通常、その出力端が平面ガラスよりなる
ウインドウでシールされており、広がり角の大きな出力
ビームがウインドウを透過する際に波面収差が生じる。
そこで、円形で非点収差のない平行光が必要な用途にお
いては、レーザーダイオードと各種の光学部品とを組み
合わせモジュール化したコリメータが用いられる。波面
収差については、ウインドウの開口角を小さくすること
により低減するか、ウインドウ自体の厚さの調整を行う
ことにより解消する。

【０００３】従来のレーザーダイオード・コリメータと
しては、レーザーダイオードと、複数のレンズからなる
コリメート・レンズ群と、円筒レンズと、一対のアナモ
ルフィック・プリズムとを、その順序で筐体内に配列し
た構成であった。ここでは先ずレーザーダイオードから
放出される大きな広がり角の出力ビームをコリメート・
レンズ群で平行光に変換する。そして出力ビームの非点
収差は、適当な曲率の小さい負の円筒レンズを用いて矯
正する。また楕円形を円形に矯正するのには一対のアナ
モルフィック・プリズムが用いられている。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】上記の構成では、特に
一対のアナモルフィック・プリズムを用いるために構造
が複雑で大型化し高価になるし、調整箇所も多く、組み
立て作業性が悪い問題がある。つまり個々のレーザーダ
イオードは、それぞれ異なった楕円率をもっているた
め、各モジュールを組み立てる際に、その都度アナモル
フィック・プリズムの傾斜角を調整する必要があり、調
整作業時間がかかるし、コスト高となる。

【０００５】また個々のレーザーダイオードの非点収差
にばらつきがあるし、円筒レンズの矯正機能はその形状
及び材質によって一元的に決定されてしまうため、最適
な矯正を行うには使用するレーザーダイオードの特性に
合致した円筒レンズを選ぶ必要がある。そのため予め多
種類の円筒レンズを在庫しておかなければならず、その
点でもコスト高になるし、円筒レンズの選定作業も煩瑣
である。

【０００６】本発明の目的は、上記のような従来技術の
欠点を解消し、レーザーダイオードの特性のばらつきに
関わり無く、同一部品を用いて、しかも無調整で非点収
差及び楕円の矯正を同時に行い円形平行光を出射でき、
低コストで且つ小型化しうる構造のレーザーダイオード
・コリメータを提供することである。

【０００７】

【課題を解決するための手段】本発明のレーザーダイオ
ード・コリメータは、レーザーダイオードと、その出力
ビームを集束する集光レンズと、その集束光が入射しコ
ア部を伝播する単一モード光ファイバと、その他端から
の出射光を平行光として出力するコリメート・レンズと
を、この順序で筐体内に組み込んでモジュール化した構
造である。即ち本発明では、単一モード光ファイバを用
いて非点収差及び楕円の矯正を行わせており、特にこの
点に特徴がある。

【０００８】

【作用】集光レンズは、レーザーダイオードからの出力
ビームを集束して単一モード光ファイバの端面にスポッ
トを結ばせる。その光は単一モード光ファイバのコア部
を伝播し、モード変換され球面波となって他端から出射
する。この際、レーザーダイオードの非点収差及び楕円
の矯正が行われる。単一モード光ファイバからの出射光
は、コリメート・レンズにより平行光として出力する。

【０００９】

【実施例】図１は本発明に係るレーザーダイオード・コ
リメータの一実施例を示す断面図である。このレーザー
ダイオード・コリメータは、レーザーダイオード１０
と、その出力ビームを集束する集光レンズ１２と、該集
光レンズ１２による集束光が入射しコア部を伝播する単
一モード光ファイバ１４と、該単一モード光ファイバ１
４の他端からの出射光を平行光として出力するコリメー
ト・レンズ１６とを具備している。そして、これらの各
部品を上記の順序で配列し筐体２０内に組み込んでモジ
ュール化する。

【００１０】前述のように、レーザーダイオード１０か
ら放出される出力ビームは、楕円錐形に大きく広がり、
非点収差を有する。更に広がり角の大きな出力ビームが
ウインドウを透過する際に波面収差が生じる。集光レン
ズ１２は、このような光を集束して次の単一モード光フ
ァイバ１４の一端面のコア部分にスポットを結ぶ機能を
果たす。ここでは集束性ロッドレンズ（屈折率分布型ロ
ッドレンズ）を使用しているが、それに限られるもので
はなく、通常レンズの組み合わせでもよい。しかし集束
性のロッドレンズは、焦点距離が短く、１個のレンズで
光を絞り込めるので、小型で軽量化できるため好まし
い。

【００１１】単一モード光ファイバ１４は、その前端面
のコア部分に入射した光を伝播し、その間にモード変換
して後端面から出射する。前端面へは、楕円形で非点収
差、波面収差のある光が入射するが、これらの光は単一
モード光ファイバ１４のコア部分を透過する過程で収差
及び楕円の矯正が行われ、整波されて球面波として後端
面から出ていく。特に楕円の矯正は、円形のコア部分以
外への入光が除去されることによりなされる。単一モー
ド光ファイバ１４は、ここでは５〜７mm程度の長さのも
のを用いている。長さの下限値は使用波長（レーザーダ
イオードの発振波長）の千倍程度である。光ファイバの
長さが短すぎると、十分なモード変換が行われず、また
クラッド部を通る光の漏れ出しが生じるからである。し
かし実際には取り扱いの容易性などの観点も含めて、上
記のように長さ数mm程度とするのがよい。逆に長すぎる
ことは、それによってモジュールの小形化のメリットが
失われるため好ましくない。

【００１２】コリメート・レンズ１６は、単一モード光
ファイバ１４からの出射光を平行光にするためのもので
ある。筐体２０は、上記各部品を軸方向で位置決めし調
芯して保持するものであり、特に形状的あるいは構造的
な制約などは無い。先端部などにシャッタなどを取り付
けることも可能である。

【００１３】

【発明の効果】本発明は上記のように単一モード光ファ
イバを用いて楕円及び非点収差の矯正を行っているた
め、構造が簡素化され、特別な調整を必要とせず、組み
立て作業性が良好で、低コスト化を図ることができる。
つまり従来技術のように各モジュールを組み立てる際
に、その都度アナモルフィック・プリズムの傾斜角を調
整する必要はない。また非点収差の矯正に円筒レンズを
用いていないので、多種類の円筒レンズを在庫しておく
必要もなく、その点でも低コスト化できるし、煩わしい
円筒レンズの選定作業も不要となる。

【００１４】本発明でモジュール内に組み込む単一モー
ド光ファイバは、長さ数mm程度で十分であり、集束性ロ
ッドレンズなどと組み合わせることで、大幅な小型化、
軽量化を図ることができる。

【００１５】更に単一モード光ファイバからの出射光は
理想的な球面波であるから、レーザーダイオードのウイ
ンドウガラスによる波面収差や集光レンズの収差なども
除去され、それらがコリメータ・ビームの質に影響を与
えなくなる。そのため品質の揃ったレーザーダイオード
・コリメータを量産できることになる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に係るレーザーダイオード・コリメータ
の一実施例を示す断面図。

【符号の説明】

１０ レーザーダイオード １２ 集光レンズ １４ 単一モード光ファイバ １６ コリメート・レンズ ２０ 筐体

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 【請求項１】 レーザーダイオードと、その出力ビーム
   を集束する集光レンズと、その集束光が入射しコア部を
   伝播する単一モード光ファイバと、その他端からの出射
   光を平行光として出力するコリメート・レンズとを、こ
   の順序で筐体内に組み込んでモジュール化したことを特
   徴とするレーザーダイオード・コリメータ。