JPH0558271U - 二重壁容器 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 成形や組立てが簡単でしかも強度が強い二重
壁容器を実現する。 【構成】 奥行きの深い容器本体１は、中空成形により
成形された中空二重壁構造の一対の分割部材４Ａ，４Ｂ
と一対の介在部材５Ａ，５Ｂから組立てられている。一
対の分割部材４Ａ，４Ｂは、容器本体の開口部１Ａの面
に対して垂直方向に分割された形状のものであって、そ
れぞれ容器本体１の一側壁と底壁となる部分および前記
一側壁と底壁となる部分の両端側から折れ曲がった容器
本体の角部を形成する折り曲げ部４Ａ−１，４Ｂ−１を
有し、しかも前記折り曲げ部４Ａ−１，４Ｂ−１の先端
部の容器本体内面側には段差部４Ａ−２，４Ｂ−２が形
成されている。そして、この段差部４Ａ−２，４Ｂ−２
において中空二重壁構造の介在部材５Ａ，５Ｂが複数の
リベット８により固着して接合されている。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、開口部の一辺の長さに対して深さの深い、いわゆる奥行きの深い二 重壁容器に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】

従来、二重壁容器としては、以下に説明する（イ）乃至（ハ）の二重壁容器が 知られている。

【０００３】 （イ）図５に示すような一体成形による二重壁容器５１であって、突出部が出 没自在な雄金型と、底金型とその両側に拡開自在に設けられた側壁金型とから構 成された雌金型とを使用して成形されたもの（特開平２−１２７０３１号公報参 照）。

【０００４】 （ロ）図６に示すように、二重壁容器を開口部の面に対して垂直方向に二分割 した一対の半体６１，６２を一工程で成形し、これら半体６１，６２を接合部６ ３で接合したもの（特公昭６１−３０８９５号公報参照）。

【０００５】 （ハ）図７に示すように、二重壁構造の地板とこれと蝶番を介して接続された 側板７１とを中空成形により一体成形しておき、前記蝶番の部分で折り曲げて箱 状に形成してフック７３で固定するとともに、その開口部周縁部に固定枠７２を はめ込んだもの（特開昭６３−９６０３０号公報）。

【０００６】

【考案が解決しようとする課題】

上記従来の技術は、それぞれ次に記載するような解決すべき課題を有する。

【０００７】 （イ）は上述の如き複雑な構成の金型を備えた特殊な成形装置で成形するため 、成形工程が複雑になるとともに製造コストも高価なものとなり、奥行きの深い 二重壁容器では角部の膨張比が高すぎて角部の肉厚が薄くなる等の成形不良が発 生する。

【０００８】 （ロ）は、接合部となる部分の角部の膨張比が高すぎて成形不良が発生すると ともに、接合部の強度も弱い。

【０００９】 （ハ）は、組立て時における組付けが繁雑であるとともに、接合面の強度が弱 く、さらに、二重壁容器を構成する各平板状の部材はそれ自体の剛性が劣り、組 立てられた二重壁容器の強度も弱くなる。

【００１０】 本考案は、上記従来の技術が有する解決すべき課題に鑑みてなされたものであ って、成形や組立てが簡単であるとともに、強度が強い二重壁容器を実現するこ とを目的とするものである。

【００１１】

【課題を解決するための手段】

上記目的を達成するため、本考案の二重壁容器は、奥行きの深い容器本体を有 する二重壁容器において、前記容器本体は中空成形された二重壁構造の一対の分 割部材と一対の介在部材とを組合わせたものであって、前記一対の分割部材はそ れぞれ前記容器本体の一側壁と底壁となる部分および前記一側壁の両側から折れ 曲がった容器本体の角部を形成する折り曲げ部を有し、しかも前記折り曲げ部の 先端部の容器本体内面側には段差部が形成されており、前記段差部において前記 介在部材が接合されたことを特徴とするものである。

【００１２】 また、容器本体の開口部の一辺にヒンジを介して設けられた中空成形された二 重壁構造の容器蓋体を有するものでもよい。

【００１３】

【作用】

容器本体の角部が一対の分割部材の底壁部および折り曲げ部で構成されている ため容器本体の強度が強くなる。また、折り曲げ部の先端部の容器本体内面側に 設けられた段差部において介在部材が接合されているため接合部の強度も強くな る。加えて、介在部材を設けた分だけ折り曲げ部の長さが短くなるため、折り曲 げ部の先端部の膨張比が低くなり、この部分の樹脂壁の肉厚が薄くなる等の成形 不良を発生しない。

【００１４】

【実施例】

本考案の一実施例について図１乃至図３に基いて説明する。

【００１５】 図１は本考案の二重壁容器の一実施例を示す斜視図，図２はその断面図，図３ は図２のＡ−Ａ線に沿う断面の約半分を示す断面図である。

【００１６】 本実施例の二重壁容器は、奥行きの深い容器本体１と、該容器本体１の開口部 １Ａの一辺側縁部に一体形成されたヒンジ３Ａを介して結合された容器蓋体２か ら構成されている。

【００１７】 容器本体１は、熱可塑性樹脂を中空成形により成形した中空二重壁構造の一対 の分割部材４Ａ，４Ｂと一対の介在部材５Ａ，５Ｂから組立てられている。一対 の分割部材４Ａ，４Ｂは、容器本体１の開口部１Ａの面に対し垂直方向に分割さ れた形状のものであって、それぞれ容器本体１の一側壁と底壁となる部分および 前記一側壁と底壁となる部分の両端側から折れ曲がった容器本体の角部を形成す る折り曲げ部４Ａ−１，４Ｂ−１を有し、しかも前記折り曲げ部４Ａ−１，４Ｂ −１の先端部の容器本体内面側には段差部４Ａ−２，４Ｂ−２が形成されている 。

【００１８】 この段差部４Ａ−２，４Ｂ−２は、一対の介在部材５Ａ，５Ｂが接合される部 分であり、本実施例では複数のリベット８により各分割部材５Ａ，５Ｂが接合さ れている。

【００１９】 上述の構成により、容器本体１の角部の強度が強くなるとともに、各介在部材 ５Ａ，５Ｂと一対の分割部材４Ａ，４Ｂとの接合部の強度が強くなる。

【００２０】 さらに、本実施例では容器蓋体２の自由端側にヒンジ３Ａを介してラッチ６が 一体形成され、一方の分割部材４Ｂの開口部側に一体形成されたラッチ受け突起 ７と係合可能に構成されている。

【００２１】 ここで、本考案でいう奥行きの深い二重壁容器の寸法的定義について図２を参 照して説明する。

【００２２】 図２において、 ｔ₁ ：容器本体１の樹脂壁の平均肉厚（内壁・外壁を問わない） ｔ₀ ：容器本体１の中空部の平均間隙 Ｗ：容器本体１の開口部の分割方向の最大幅 Ｄ：容器本体の最大深さ とすると、 （１）二重壁容器とは、ｔ₁ ＝１．５〜４．５ｍｍ、ｔ₀ ＝（０．３〜２０）ｔ ₁ のものをいう。 （２）奥行きの深い二重壁容器とは、Ｄ＝０．６Ｗ以上のものをいう。 （３）奥行きが深く、且つ、本考案でなければ達成困難な二重壁容器とは、Ｗ＝ ５０ｔ₁ 以上のものをいう。

【００２３】 本実施例では、図３に示すように、各段差部４Ａ−２，４Ｂ−２のリベット８ を挿入する部分を除いた部分を中空にしている。こうしておくと、二重壁容器を 断熱容器として用いるとき断熱性が良好となる。また、各段差部４Ａ−２，４Ｂ −２および各介在部材５Ａ，５Ｂにリベット８の頭部等が納まる凹部を形成し、 容器本体１の外面および内面に突出しないように工夫している。

【００２４】 次に、本実施例の二重壁容器の製造工程について説明する。

【００２５】 図４は、中空成形による製造工程を示す模式断面図である。

【００２６】 金型は分割形式のものであって、雌金型１０Ａはパーティングライン面に沿っ て（パリスンの押出方向と同方向）、押出ヘッド側から順次ラッチ形成部１５Ａ 、圧縮部１７Ａ、蓋体形成用凹部１１Ａ、圧縮部１８Ａ、分割部材形成用凹部１ ２Ａ、圧縮部１９Ａ、分割部材形成用凹部１３Ａおよびラッチ受け形成部１６か らなる、凹状のキャビティを有する。

【００２７】 一方の雄金型１０Ｂはパーティングライン面に沿って押出ヘッド側から順次ラ ッチ形成部１７Ｂ、圧縮部１８Ｂ、蓋体形成用凸部１１Ｂ、圧縮部１８Ｂ、分割 部材形成用凸部１２Ｂ、圧縮部１９Ｂおよび分割部材形成用凸部１３Ｂからなる 凸状のキャビティを有する。

【００２８】 上述の金型を型開きした状態で、熱可塑性樹脂を押出機（不図示）により可塑 化し、前記押出機の押出ヘッド２０から筒状のパリスン２１を押出したのち、金 型を型締めして前記パリスン２１を挟持し、図示しない吹込針にてパリスン２１ 内に加圧流体を導入して前記キャビティの形状に膨らませて、中空二重壁構造の 容器蓋体２、一対の分割部材４Ａ，４Ｂ、ラッチ６、ラッチ受け突起７および各 ヒンジ３Ａ，３Ｂ，３Ｃを一体成形する。

【００２９】 ついで、金型を冷却したのち型開きして成形品を取出し余剰のバリ１４を除去 する。

【００３０】 本考案においては、前記段差部４Ａ−２，４Ｂ−２は容器本体内面側に設けら れているためアンダーカット部がなく、また折り曲げ部の膨張比も低いので成形 不良が発生しない。

【００３１】 そののち、一対の分割部材４Ａ，４Ｂを連結しているヒンジ３Ｂの部分で折り 曲げて底壁となる部分の先端面を突合わせ部９（図１参照）として組立て、別途 中空成形しておいた中空二重壁構造の各介在部材５Ａ，５Ｂを、それぞれ組立て られた一対の分割部材４Ａ，４Ｂの段差部４Ａ−２，４Ｂ−２にはめ合わせたの ち、複数のリベット８により両者を固着する。すなわち、一対の分割部材４Ａ， ４Ｂと各介在部材５Ａ，５Ｂとを段差部４Ａ−２，４Ｂ−２において接合して容 器本体１を製造する。

【００３２】 上記実施例では、容器蓋体２を有するものを示したが、容器蓋体は必ずしも必 要とするものではなく、また、リベットにかえてボルト・ナット等他の公知の固 着手段を用いてもよい。

【００３３】

【考案の効果】

本考案は、上述のとおり構成されているので以下に記載するような効果を奏す る。

【００３４】 奥行きの深い二重壁容器であるにもかかわらず、各壁の肉厚が均一となるとと もに、一対の分割部材と介在部との接合部の強度も強いため、二重壁容器全体の 強度も強くなる。

【００３５】 また、特殊な成形装置や複雑な成形工程を必要とせず比較的簡単に製造できる ため製造コストが低減する。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の二重壁容器の一実施例を示す斜視図で
ある。

【図２】図１に示す二重壁容器の断面図である。

【図３】図２のＡ−Ａ線に沿う断面の約半分を示す断面
図である。

【図４】図１に示す二重壁容器を中空成形により成形す
る工程を示す模式断面図である。

【図５】従来の一体成形により成形された二重壁容器を
示す斜視図である。

【図６】従来の一対の分割部材を組合わせた二重壁容器
を示す斜視図である。

【図７】従来の平板部材を組合わせた二重壁容器を示す
斜視図である。

【符号の説明】

１ 容器本体 ２ 容器蓋体 ３Ａ，３Ｂ，３Ｃ ヒンジ ４Ａ，４Ｂ 分割部材 ５Ａ，５Ｂ 介在部材 ６ ラッチ ７ ラッチ受け突起 ８ リベット ９ 突合わせ部

Claims (2)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 奥行きの深い容器本体を有する二重壁容
   器において、 前記容器本体は中空成形された二重壁構造の一対の分割
   部材と一対の介在部材とを組合わせたものであって、前
   記一対の分割部材はそれぞれ前記容器本体の一側壁と底
   壁となる部分および前記一側壁の両側から折れ曲がった
   容器本体の角部を形成する折り曲げ部を有し、しかも前
   記折り曲げ部の先端部の容器本体内面側には段差部が形
   成されており、前記段差部において前記介在部材が接合
   されたことを特徴とする二重壁容器。
2. 【請求項２】 容器本体の開口部の一辺にヒンジを介し
   て設けられた中空成形された二重壁構造の容器蓋体を有
   することを特徴とする請求項１記載の二重壁容器。