JPH0557754A

JPH0557754A - 気体圧送金型

Info

Publication number: JPH0557754A
Application number: JP3221394A
Authority: JP
Inventors: Satoshi Kitaichi; 敏北市
Original assignee: Taiho Kogyo Co Ltd
Current assignee: Taiho Kogyo Co Ltd
Priority date: 1991-09-02
Filing date: 1991-09-02
Publication date: 1993-03-09
Anticipated expiration: 2012-08-06
Also published as: JP2636988B2

Abstract

(57)【要約】（修正有）【目的】樹脂成形の際に金型や樹脂を冷却するのに気体
を利用することによってより細かい部分の成形を正確に
成形出来るようにしたことと、更に樹脂内部に空洞部を
形成させてヒケ等の不良成形を防ぐこととを目的とした
ものである。【構成】溶融合成樹脂を高圧で射出成形する金型のピン
１７に於て、該ピン１７内を中空の通路孔１７ａに形成
し、且つ、ピン１７の成形樹脂に接する面に貫通小孔を
設け、前記中空の通路孔１７ａ部内に高圧の気体を送入
し得る構成となし、更に、この通路孔１７ａ部内を移動
し得るピストンピン１９を設け、該ピストンピン１９の
先端が前記貫通小孔を開閉できる構成となす。又ピスト
ンピン１９の一端にピストン１０を設け、上記ピストン
１０に加わる空気圧力により上記ピストンピン１９を駆
動して上記ピストンピン１９の先端で貫通小孔を開閉す
る。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、溶融樹脂を高圧で射出
成形する時に用いる樹脂成形用金型に関するものであ
る。

【０００２】

【従来の技術】従来よりこの種の金型は種々開発されて
きているが、これらは、水で冷却するものばかりであっ
た。一般的にいって、工場用水は余り精製されていない
ので、このような水を利用して、ピンを冷却するのに使
用すると、水垢によって、短時間の間に、ピンの中空部
が充填されて、使用不能となるものであった。これをも
う少し、敷衍して図５によって説明すると、１は固定金
型、２は可動金型、３は固定金型１と可動金型２とによ
り形成された空洞に射出された樹脂、固定金型１と可動
金型とは矢印Ａ，Ｂの方向に相対的に開閉する。

【０００３】而して、３ａは径の大きなボス部Ａ、３ｂ
は径の小さなボス部Ｂであり、４はボス部Ａのピンで内
部に細長い孔４ａを形成しており、孔４ａには矢印Ｃで
示すように水が流れてピン４を冷却する。４ｂは水が孔
４ａを効果的に流れるようにした仕切り板である。可動
金型２には水管５，６があって上記孔４ａに水を供給す
る。この様に、径の大きなボス部Ａは内部に水管で冷却
することによりピン４の先端が加熱することを防いでい
る。しかしながら、径の小さなボス部Ｂのピン７は、径
が小さいので内部に冷却用の水管を設けることができな
いので、ピン７の先端が加熱することがある。

【０００４】時として、無理にこの様な径の小さなピン
７に孔をあけて水を通すこともあるが、工業的に利用で
きる冷却水はいわゆる水垢を発生させるので、孔が短時
日で塞がれてしまうという問題があった。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】以上の様に、冷却水に
よる冷却方法には限界があり、本発明はこれを改良しよ
うとして開発したものである。図６は時間経過とともに
金型各部の温度変化を示したもので、横軸は時間、縦軸
は温度を示している。図６でＴ_mは射出時の樹脂温度で
あり、Ｔ₄、Ｔ₇はピン４、ピン７の温度変化を示し、
Ｔ_pは樹脂の温度変化を示している。時刻ｔ₁で温度Ｔ
_mの樹脂が射出されたとする（点Ｐ₁）。樹脂は冷却さ
れてｔ_c時間後に点Ｐ₂まで温度降下する。その後、時
間ｔ_tの間に型の開閉、製品の取り出しが行われ、時刻
ｔ₂で次の射出が行われる。この間に、ピン４の温度は
Ｔ₄で示すようにＳ₁からスタートしてＳ₂まで上昇す
る。一方、ピン７はＳ₁からスタートしてＳ₃まで上昇
する。ピン４の温度上昇がピン７の温度上昇より小さい
のはピン４が冷却されているからである。つぎの射出で
は、樹脂温度はＰ₃からスタートしてＰ₄まで降下する
が、その間にピン４はＳ₂からスタートしてＳ₅に上昇
する。このようにして、射出を続けた結果、ピン４は冷
却されているので比較的低い温度で平衡状態に達する
が、ピン７は冷却がないので平衡温度は高くなる。その
ためピン７の近傍における樹脂の冷却は遅くなり、成形
のサイクル時間が延長されると言う問題点があった。ま
た、樹脂のボス部３ａ、３ｂは平坦部３ｃに較べて樹脂
量が多いので、樹脂が固化するのが平坦部より遅れる。
そのためボス部にはヒケ８ａと称する凹部ができること
がある。これは本来平坦であるべき表面外観を悪くする
と言う問題があった。

【０００６】更に、また、一般に樹脂は固化時に体積を
減ずる。その為ボス部ではピン４、ピン７に樹脂が密着
するが、その分ボス部の外側では空隙８ｂができること
がある。このような空隙部は熱の伝達が悪いので樹脂の
冷却が遅れ、したがって冷却時間をますます長くなると
いう問題があった。

【０００７】本発明は上記のような事項に鑑み開発した
もので、即ち、液体を使用せずに、気体を使用して、従
来できなかった事項を解決したものである。

【０００８】

【課題を解決するための手段】次に、本発明について説
明する。溶融合成樹脂を高圧で射出成形する金型のピン
に於て、該ピン内を中空の通路孔に形成し、且つ、ピン
の成形樹脂に接する面に貫通小孔を設け、前記通路孔部
内に高圧の気体を送入し得る構成となし、更に、この通
路孔部内を移動し得るピンを設け、該ピンの先端が前記
貫通小孔を開閉できる構成としたものである。

【０００９】

【作用】本発明は上記したように、ピンの先端に設けた
貫通小孔をピストンピンで開閉する構成にしているもの
で、溶融合成樹脂の高圧力が上記貫通小孔に加わっても
溶融合成樹脂が上記貫通小孔に侵入することがなく、必
要なときには上記ピストンピンを駆動して上記貫通小孔
を開き空気を噴出させることができる。

【００１０】

【実施例】次に、本発明の一実施例を図面に基づいて説
明する。先ず、図１に示す本発明の構成について具体的
に説明すると、径の小さいボス部13ｂに対するピン17を
設け、これに細長い中空の通路孔17ａを設け、さらにそ
の通路孔17ａ内に細長いピストンピン19を設けている。
ピストンピン19は一端をピストン10に連結されていて、
他の一端は図２の拡大図に示すように先端が円錐形に成
形されている。

【００１１】また、前記図２に示すように、ピン17の先
端部には貫通小孔17ｃが穿設されており、ピストンピン
19が矢印Ｄ方向に動くと、ピストンピン19の円錐部で貫
通小孔17ｃを閉じる。逆にピストンピン19が矢印Ｅ方向
に動くと、貫通小孔17ｃは開口する。一方、図１に示す
ように、ピストンピン10はシリンダー部17ｄに滑合して
おり、シリンダー部には通気孔17ｅ、17ｆが設けられ、
それぞれ外部の高圧気体源につながっている。

【００１２】通気孔17ｆに高圧気体を供給すると、ピス
トン10は矢印Ｄ方向に動き、図２に示すようにピストン
ピン19の先端は貫通小孔17ｃを閉じる。逆に通気孔17ｅ
に高圧気体を供給すると、ピストン10は矢印Ｅ方向に動
き、図２にしめすようにピストンピン19の先端は貫通小
孔17ｃを開く。

【００１３】樹脂成形に際しては、先ず固定金型11と可
動金型12を閉じ、形成された空洞内に樹脂13を射出す
る。この時、図１におけるピストン10には通気孔17ｆに
高圧気体が供給されているので、ピン17の先端の貫通小
孔17ｃはピストンピン19の円錐部で閉じられている。樹
脂は高圧で射出されるので、樹脂の圧力によりピストン
ピン10は矢印Ｅ方向に押戻し、中空の通路孔17ａの内部
に侵入しようとする。しかし、本発明においてはピスト
ン10の受圧面積と高圧気体の圧力の積が上記の押戻し力
より大きくなるようにピストン10の受圧面積を設計して
おく。すなわち、貫通小孔17ｆの面積をａ₁，貫通小孔
17ｆに加わる溶融樹脂の圧力をｐ₁とし、ピストン10の
受圧面積をａ₂、ピストン10に加わる空気圧をｐ₂とし
たとき、ａ₁×ｐ₁＜ａ₂×ｐ₂ となるようにピストン10の寸法を決める。したがってピ
ストンピン19が矢印Ｅ方向に押戻されることはない。

【００１４】所定の冷却時間が経過すると、可動金型12
を矢印Ｆ方向に動かして製品13を取り出すが、それと同
時に、図１の通気孔17ｅに高圧気体を供給する。これに
より上記したようにピストン10は矢印Ｅ方向に動き、ピ
ストンピン19は図２（ｂ）に示すように矢印Ｅ方向に後
退して貫通小孔17ｃを開口する。これにより高圧気体
は、中空の通路孔17ａを通って貫通小孔17ｃより噴出す
る。気体が貫通小孔17ｃより噴出することによりピン17
は気体により冷却される。そのため、ピン17の平衡温度
は図６に示した従来例の場合より低くなる。したがっ
て、ピン17近傍の樹脂の冷却速度も速くなるので成形サ
イクル時間を減少することができる。

【００１５】また樹脂の冷却の終り付近で、金型を開く
前に、高圧気体を孔17ｅに供給することにより、図３に
示すように、貫通小孔17ｃから気体が噴出して、可動金
型12と樹脂13との間に空隙をつくり、樹脂13と固定金型
11との空隙はなくなる。従って、上記したように樹脂13
と固定金型11との空隙を無くすると、それだけ樹脂の冷
却速度は早くなり、成形サイクル減少に役立つ。

【００１６】更に、樹脂の冷却の終り近くで、金型表面
に接する樹脂は固化していても、樹脂内部はまだ溶融状
態にあるときに、高圧気体を通気孔17ｅに供給すること
により図４に示すように、貫通孔17ｃから気体が噴出し
て樹脂の内部に気体による空洞18を作ることができる。
この空洞18の内部の気体は高圧であるから樹脂内部から
樹脂を外側の金型に押し付けるので、図５に示したボス
部で発生するヒケの発生を防ぐことも出来る。

【００１７】上記の気体とは一般的には空気が好ましい
ものであるが、その他の気体も利用するする場合があ
る。また、液体も水だけを指すものではない。

【００１８】

【発明の効果】上記した様に、本発明によれば、ピンの
内部に気体の通路即ち中空の通路孔部を形成し、樹脂の
射出時には上記空気の通路孔に設けたピストンピンを前
進させてピストンピン先端の貫通小孔を塞いで樹脂の侵
入を防ぎ、必要なときにはピストンピンを後退させて、
ピン先端の貫通小孔から高圧気体を噴出せしめることに
より、ピンの冷却速度を早くして成形サイクル時間の減
少に効果があり、又、樹脂を固定金型に押し付けること
により、樹脂の冷却速度を早くすることができ、更に、
樹脂が完全固化する前に気体を噴出させることにより、
樹脂内部に気体の空洞を形成してヒケの発生を防ぐこと
ができ、且つまた、液体を利用するよりも制作は容易で
ある等の作用効果を有するものである。

【図面の簡単な説明】

【図１】図１は本発明の一実施例の要部を示す断面図。

【図２】図２(a)(b)は同じく高圧気体によるピストンピ
ンの動きを示す説明的断面図。

【図３】図３は同じく本発明の一使用状態をしめす断面
図。

【図４】図４は同じく本発明の他の使用状態を示す断面
図。

【図５】図５は従来の製品の断面図。

【図６】図６は樹脂成形時の時間経過と金型各部の温度
変化を示す表である

【符号の説明】

11・・・固定金型 12・・・化動金型 13・・・樹脂 17・・・ピン 17ａ・・中空の通路孔 17ｃ・・貫通小孔 17ｄ・・シリンダー 17ｅ・・気体孔 19・・・ピストンピン 10・・・ピストン

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】溶融合成樹脂を高圧で射出成形する金型の
ピンに於て、該ピン内を中空の通路孔に形成し、且つ、
ピンの成形樹脂に接する面に貫通小孔を設け、前記中空
の通路孔部内に高圧の気体を送入し得る構成となし、更
に、この通路孔部内を移動し得るピストンピンを設け、
該ピストンピンの先端が前記貫通小孔を開閉できる構成
となしたことを特徴とする気体圧送金型。
【請求項２】ピストンピンの一端にピストンを設け、上
記ピストンに加わる空気圧力により上記ピストンピンを
駆動して上記ピストンピンの先端で貫通小孔を開閉する
請求項１記載の気体圧送金型。
【請求項３】貫通小孔の面積と貫通小孔に加わる溶融樹
脂の圧力との積より、ピストンの面積とピストンに加わ
る空気圧との積を大きくした請求項２記載の気体圧送金
型。