JPH055687B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本発明は、車両用燃料タンクの支持構造に関
し、更に詳しくは、燃料タンクをタンクバンドを
用いて車体底部に支持する車両用燃料タンクの支
持構造に関するものである。

（従来技術） 車両用燃料タンクをフロアパネルと該パネルに
固設したフレームとによつて構成される車体底部
にタンクバンドを用いて懸吊状態で支持するよう
にしたものが知られている（例えば、実開昭58−
192122号公報参照）。この公知例に記載されてい
る支持構造は、第４図に示すように、燃料タンク
１の下側にわたしたタンクバンド２で支持し、該
タンクバンド２の両端をフロアパネル３に固設し
たフレーム４にボルト・ナツト等を用いて固定し
てなるものである。

しかしながら、上記支持構造においては、燃料
タンク１を支持するタンクバンド２の両端が大き
な剛性を有するとともにほとんど弾性を有しない
車体底部フレーム４に固定されているため、燃料
タンク１は、このフレーム４等から構成される車
体底部に固定的且つ非弾性的に支持されることと
なり、例えば自動車の走行中に車体と燃料タンク
とが共振し、両者の振動が増巾されるという問題
があつた。

かかる問題を解決するため、本発明者によつ
て、上記タンクバンドの両端をフロアパネル下面
に直接取り付けるようにしたものが、既に提案さ
れている（特願昭59−148439号参照）。この場合、
フロアパネル自体がフレームとちがつて大きな弾
性を有しているので、燃料タンクを車体底部に弾
性的に支持することができ、車体と燃料タンクと
の共振を抑えて振動による不具合を抑制すること
ができるが、フロアパネル下面にタンクバンドを
取付ける構造とすると、燃料タンクの荷重が下向
きに作用するところから、バンド取付部に剥離方
向の荷重が作用し好ましくない。

（発明の目的） 本発明は、上記の点に鑑みてなされたもので、
燃料タンクを弾性的に支持することによつて振動
による不具合を抑制することができるとともに、
燃料タンク支持の信頼性を損なうことのない燃料
タンク支持構造を提供することを目的とするもの
である。

（目的を達成するための手段） 本発明では、上記目的を達成するための手段と
して、燃料タンクを車体底部に懸吊支持するタン
クバンドの少なくとも一端を車体のフロアパネル
に取付けるようにするとともに、該フロアパネル
のタンクバンド取付部位に開口部を形成し、該開
口部に前記タンクバンドを支持するバンド保持部
とフロア取付用のフランジ部とを有するタンクバ
ンドブラケツトを固定するにあたつて、前記バン
ド保持部をフロアパネルより下方に突出せしめる
一方、前記フランジ部をフロアパネル上面に接合
している。

（作用） 本発明では、上記手段によつて、下記の如き作
用が得られる。

(1) タンクバンドの少なくとも一端を比較的大き
な弾性を有するフロアパネルにタンクバンドブ
ラケツトを介して取付けることにより、燃料タ
ンクが車体底部に弾性的に支持され、車体と燃
料タンクとの共振がおさえられる。

(2) 前記タンクバンドブラケツトのフランジ部を
フロアパネル上面に接合し、バンド保持部をフ
ロアパネルの開口部から下方に突出せしめるよ
うにしたことにより、フランジ部とフロアパネ
ルとの接合部が剪断荷重でもたせられる。

（実施例） 以下、添付の図面を参照して、本発明の好適な
実施例を説明する。

本実施例においては、燃料タンク１は、フロア
パネル３と該フロアパネル３下面に固設されたフ
レーム４とによつて構成される車体底部に支持さ
れている。この燃料タンク１の片側半分（本実施
例では右半分）１ａは、前記フロアパネル３に端
部が取り付けられたタンクバンド２によつて支持
される一方、他方の片側半分（本実施例では左半
分）１ｂは、前記フレーム４に弾性材６（第３図
参照）を介してボルト５で締め付けて支持されて
いる。

前記タンクバンド２としては、伸縮性を有さず
且つ燃料タンク１を十分に支持できる程度の強度
を有するものが好ましく、本実施例では金属バン
ドが採用されている。

このタンクバンド２の両端２ａ，２ａは、フロ
アパネル３に取付けられたタンクバンドブラケツ
ト７に支持されている。

該タンクバンドブラケツト７は、キヤツプ状の
バンド保持部７ａと該バンド保持部７ａの開口縁
に一体突設されたフランジ部７ｂとからなつてお
り、前記バンド保持部７ａには、前記タンクバン
ド２の端部２ａをボルト９およびナツト１０を用
いて固定すべき斜面状の取付面８が形成されてい
る。

一方、前記フロアパネル３のタンクバンド取付
部位には、前記タンクバンドブラケツト７のバン
ド保持部７ａと略同径の開口部１１が形成されて
おり、該開口部１１には、前記タンクバンドブラ
ケツト７が固定される。

この開口部１１にタンクバンドブラケツト７を
固定するに当つては、バンド保持部７ａを開口部
１１から下方に臨ませ且つ取付面８を燃料タンク
１側に向けた状態でフランジ部７ｂをフロアパネ
ル３上面に接合するのである。

而して、各タンクバンドブラケツト７の取付面
８にタンクバンド２の端部２ａをボルト９および
ナツト１０で固定するのである。

上記の如き、タンクバンド固定構造を採用する
と、タンクバンド２の両端２ａ，２ａが比較的大
きな弾性を有するフロアパネル３に固定されると
ころから、燃料タンク１が車体底部に弾性支持さ
れることとなり、車体振動との共振をおさえるこ
とができる。又、タンクバンドブラケツト７は、
そのフランジ部７ｂをフロアパネル３上面に接合
することによつて固定されているため、タンクバ
ンド２を介して下向きに作用する力に対して前記
接合部の剪断荷重でもたせることができる。

前記燃料タンク１の左半分１ｂは、タンク周縁
部に設けられた取付フランジ１ｃを介して車体横
方向に延びるクロスフレーム４ａと車体の左側に
配設されて車体の前後方向に延びるサイドフレー
ム４ｂとに計３ケ所でボルト５を用いて締付けて
支持されている。即ち、第３図図示の如く、フレ
ーム４とワツシヤ１２との間にゴム等の弾性材６
を介在させ、この弾性材６の中に燃料タンク１の
取付フランジ１ｃを埋設することによつて該取付
フランジ１ｃを弾性材６で挟持させ、ワツシヤ１
２側からボルト５を挿通してフレーム４の裏側に
固着したナツト部材１３に螺合させ、弾性材６を
圧縮させつつ締付けているのである。符号１４は
スペーサである。

上記実施例では、燃料タンク１の右半分１ａを
タンクバンド２で支持し、左半分１ｂをボルト５
で弾性的に支持しているが、これに限定されるも
のではなく、燃料タンク１を任意に２つに区分
し、一方の側をタンクバンド２で、他方の側をボ
ルト５で支持するようにしてもよく、又、２本の
タンクバンド２，２を用いて燃料タンク１を支持
し、ボルトによる支持を省略するようにしてもよ
い。又、タンクバンド２の方向を必ずしも車体前
後方向である必要もない。

本実施例におけるタンクバンド２は、その両端
がフロアパネル３に取付けられているが、少なく
とも一端がフロアパネル３に取付けられていれば
良い。

又、タンクバンドブラケツト７の形状およびこ
れとフロアパネル３との接合態様は、図示の実施
例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸
脱しない範囲において設計変更可能なことは勿論
である。

第１図において、符号４ｃは車体右側に配設さ
れたサイドフレーム、４ｄは前記クロスフレーム
４ａより後方に配置されたクロスフレームであ
る。

次に、従来の非弾性支持構造と本実施例の弾性
支持構造との振動特性を車室内のこもり音のレベ
ルで比較してみると、第５図に示すように、従来
例におけるこもり音の音圧レベル曲線a′において
は、音圧レベルのピークがエンジンのアイドル回
転域（例えば、エンジン回転数700〜800rpm）に
あるのに対して、本実施例におけるこもり音の音
圧レベル曲線ａにおいては、音圧レベルのピーク
がアイドル回転域より低いエンジン回転数（例え
ば、エンジン回転数600rpm以下）になつている。

即ち、燃料タンクを弾性的に支持することによ
り、車体の振動とこの振動によつて生じる燃料タ
ンクの振動との位相を変化させることができ、そ
の結果共振点が変化することとなり、車体の振動
によつて発生するこもり音の音圧レベルを変化さ
せることができるのである。

（発明の効果） 叙上の如く、本発明によれば、少なくとも一端
の車体のフロアパネルに取付けられているタンク
バンドを用いて燃料タンクを車体底部に支持する
ようにしているので、燃料タンクは比較的大きな
弾性を有するフロアパネルにより弾性的に支持さ
れることとなり、従来例における非弾性支持構造
のものに比べて車体と燃料タンクとの共振がおさ
えられ、振動による不具合を抑制することができ
るという優れた効果がある。

又、フロアパネルのタンクバンド取付部位に形
成された開口部にタンクバンドを取付けるべきタ
ンクバンドブラケツトを取付けるに当つて、該タ
ンクバンドブラケツトのバンド保持部を前記開口
部から下方に突出せしめるとともに、フロア取付
用のフランジ部をフロアパネル上面に接合するよ
うにしたので、タンクバンドにかかるタンク荷重
によりタンクバンドブラケツトに下向きの力が作
用しても、フランジ部とフロアパネルとの接合部
がこれを剪断荷重として受けとめることとなり、
極めて強固な固定構造が得られ、燃料タンク支持
の信頼性が著しく向上するという効果もある。

【図面の簡単な説明】

第１図は、本発明の実施例にかかる車両用燃料
タンクの支持構造を示す要部縦断面図（即ち、第
２図のＡ−Ａ拡大断面図）、第２図は、第１図の
車両用燃料タンクの支持構造を車体の下側から見
た底面図、第３図は、第２図のＢ−Ｂ拡大断面
図、第４図は、従来のタンク支持構造を示す該略
図、第５図は、従来の非弾性支持構造と本実施例
の弾性支持構造とにおけるエンジン回転数と車室
内にこもり音の音圧レベルとの関係を示す特性図
である。 １……燃料タンク、２……タンクバンド、３…
フロアパネル、７……タンクバンドブラケツト、
７ａ……バンド保持部、７ｂ……フランジ部、１
１……開口部。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 少なくとも一端が車体のフロアパネルに取付
   けられているタンクバンドを用いて燃料タンクを
   車体底部に支持する車両用燃料タンクの支持構造
   であつて、前記フロアパネルのタンクバンド取付
   部位には開口部が形成されていて、該開口部に
   は、前記タンクバンドを支持するバンド保持部と
   フロア取付用のフランジ部とを有するタンクバン
   ドブラケツトが前記バンド保持部をフロアパネル
   より下方に突出せしめる一方、前記フランジ部を
   フロアパネル上面に接合することによつて固定さ
   れていることを特徴とする車両用燃料タンクの支
   持構造。