JPH0555771U - 回転子用スキュー積層鉄心とその製造用金型装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 必要な圧着面積が確保された状態でかしめ用
突起が形成されて充分なかしめ強度が得られる回転子用
のスキュー積層鉄心と製造用金型装置。 【構成】 各鉄心片には上面側で凹部を下面側で凸部を
形成するかしめ用突起が半径方向へ細長く延在され、こ
の凹部と凸部とが円周方向へ所望のスキュー量分ずらせ
て配置され、このかしめ用突起は上下に隣接して積層さ
れた下側鉄心片の凹部と上側鉄心片の凸部とが円周方向
に対して整合した嵌合状態でかしめ付けされたスキュー
積層鉄心。上記かしめ用突起の成形工程には、ダイに対
して円周方向へ鉄心片１枚当りのスキュー量分ずらせた
配置でパンチが設けられ、その後の外形打抜き工程に
は、新たな打抜きの都度ダイを回転させて上下に積層さ
れた各鉄心片のかしめ用突起の凹部と凸部とを整合させ
る回転付与装置を設けたスキュー積層鉄心の製造用順送
り金型装置。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、特に小形電動機の回転子用として使用されるスキュー積層鉄心と、 これを製造する順送り金型装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】

電動機の回転子用スキュー積層鉄心は、順送り金型装置で帯状薄板材（ストリ ップ材）からプレス成形された鉄心片を外形打抜き工程で順次抜き落とす際に、 各鉄心片が所定枚数毎に積層状態で固着されるようにしている。このために、各 鉄心片には上面側で凹部を下面側で凸部を形成するかしめ用突起を予め成形し、 上下に隣接する各鉄心片の凹部と凸部とを外形打抜きと同時にカシメ付けして連 結させると共に、所定枚数毎の鉄心片にはかしめ用突起の凸部が遊嵌する分離用 打抜き穴を設けて計量させるようにしている。 また、打抜かれた各鉄心片をそのままの位置で順次積層させると各鉄心片の板 厚偏差が累積され、回転子の動バランスが悪くなって回転ムラを生じたり磁気性 能を低下させる。このために、外形打抜き工程では一定角度づつ外形打抜きダイ を回転させることで、上下に隣接する各鉄心片を一定角度づつ変位（スキュー） させながら各鉄心片を打抜いてスキュー状態で積層させる。

【０００３】 このように、スキュー状態で積層させる回転子用の積層鉄心に関する先行技術 としては、例えば特公昭５５−１１９４０号公報や実公昭５３−５３１８３号公 報のものがある。この回転子用積層鉄心２０では、図４と図５で示すように鉄心 片２１の磁極板面に予め穿設したスキュー用の逃げ穴２２に隣接して切り起し状 のかしめ用突起２３を鉄心片２１の円周方向に沿って延在する態様で形成させ、 外形打抜き工程では各鉄心片２１のかしめ用突起２３の傾斜部２３ａを積重させ ることでスキューが付与される構成である。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】 然しながら、上記した従来技術のかしめ用突起２３によるスキュー積層では円 周方向へのスペースが大きく必要となり、特に小形電動機の回転子用積層鉄心の ように鉄心片２１の磁極板面の幅が狭い場合には、スキュー用の逃げ穴２２及び かしめ用突起２３の形成スペースを充分に確保することができず、やむなくかし め用突起２３を小形にすると圧着面積が少なくなって必要なかしめ強度が得られ なくなる欠点があった。 そこで本考案では、小形電動機の回転子用積層鉄心のように鉄心片の磁極板面 の幅が狭い場合でも、必要な圧着面積が確保された状態でかしめ用突起の形成を 行うことができて充分なかしめ強度を得られるようにした回転子用のスキュー積 層鉄心とその製造用金型装置の提供を目的としたものである。

【０００５】

【課題を解決するための手段】

本考案の第一の要旨は、スキュー積層された各鉄心片には、上面側で凹部を下 面側で凸部を形成するかしめ用突起が半径方向へ細長く延在され、このかしめ用 突起は凹部と凸部とが円周方向へ所望のスキュー量分ずらせて配置され、上下に 隣接して積層された下側鉄心片のかしめ用突起の凹部と上側鉄心片のかしめ用突 起の凸部とが円周方向に対して整合した嵌合状態でかしめ付けされている小形電 動機の回転子用スキュー積層鉄心である。

【０００６】 本考案の第二の要旨は、プレス成形された各鉄心片を順次外形打抜きと同時に 積層状態でかしめ付けする外形打抜き工程の前に、各鉄心片に対して半径方向へ 細長く延在された上面側で凹部を下面側で凸部を各々形成するかしめ用突起の成 形工程が設けられ、このかしめ用突起の成形工程にはダイに対して円周方向へ鉄 心片１枚当りのスキュー量分ずらせた配置でパンチが設けられ、上記外形打抜き 工程には、ダイ側を鉄心片１枚当りのスキュー量分ずつ円周方向へ回転させて既 に積層されている下側鉄心片のかしめ用突起の凹部を新たに打抜かれる上側鉄心 片のかしめ用突起の凸部に整合させる回転付与装置を設けた回転子用スキュー積 層鉄心の製造用順送り金型装置である。

【０００７】

【実施例】

以下に、本考案による小形電動機の回転子用スキュー積層鉄心とその製造用金 型装置を図示の実施例に基づいて詳細に説明する。 この順送り金型装置は、図１で示すように上下に配設された上型１と下型２と で構成され、帯状薄板材（ストリップ材）Ｗの送り方向Ｆに沿ってストロット穴 の打抜き工程Ａ、軸穴の打抜き工程Ｂ、かしめ部の成形工程Ｃ、外形打抜き及び 積層かしめ工程Ｄが各々設けられている。この上型１と下型２との間を帯状薄板 材（ストリップ材）Ｗが送り方向Ｆへ所定のピッチで間欠的に順送りされ、その 間に上型１と下型２とによってＡ〜Ｃの各工程では帯状薄板材Ｗに対する所望の プレス成形が行われると共に、工程Ｄでは順次外形打抜きで抜き落とされた各鉄 心片が積層状態でかしめ固着され、回転子用の積層鉄心が製造される。

【０００８】 上記の基本構成は従来の場合と同様であるが、本考案の順送り金型装置では従 来の課題を解決するための新規な構想が、上記かしめ部の成形工程Ｃと外形打抜 き及び積層かしめ工程Ｄとに施されている。 先ず、上記かしめ部の成形工程Ｃは計量用貫通穴の打抜き工程Ｃ１とかしめ用 突起の成形工程Ｃ２とに区分され、この計量用貫通穴の打抜き工程Ｃ１には上型 １に取着されたパンチ３ａと下型２に形成されたダイ４ａが配備され、かしめ用 突起の成形工程Ｃ２には上型１に取着されたパンチ３ｂと下型２に形成されたダ イ４ｂが配備されている。この計量用貫通穴の打抜き工程Ｃ１とかしめ用突起の 成形工程Ｃ２とは、いずれか一方が作動状態の時に他方が非作動状態となるよう 図示しない制御手段でパンチ３ａとパンチ３ｂとが切換え作動されると共に、当 該パンチ３ａは上記のダイ４ａと協働して積層鉄心１０の一枚目（最下層）の鉄 心片１１に対して計量用貫通穴１１ａの打抜きを行い、パンチ３ｂは上記のダイ ４ｂと協働して積層鉄心１０の二枚目から最上層までの鉄心片１２〜１ｎに対し て図２および図３で示すように各々かしめ用突起１５の成形を行う。 上記のかしめ用突起１５は、各鉄心片１２〜１ｎの上面側に凹設された凹部１ ５ａと下面側に凸設された凸部１５ｂとで形成され、当該凹部１５ａと凸部１５ ｂとは各鉄心片１２〜１ｎの円周方向へ所望のスキュー量ｄ分だけ変位した状態 で配置されると共に、各鉄心片１２〜１ｎの磁極板面に対して半径方向に沿って 細長く延在する態様の長方形または長円形に形成されている。 このために、上記のかしめ用突起１５を成形する成形工程Ｃ２のパンチ３ｂと ダイ４ｂの相対位置がスキュー量ｄ分だけ円周方向へ変位した状態で配置させる ようにしている。尚、打抜き工程Ｃ１も同様にパンチ３ａとダイ４ａの相対位置 が変位した状態で配置されている。

【０００９】 次に、外形打抜き及び積層かしめ工程Ｄでは、前の工程Ｃで計量用貫通穴１１ ａとかしめ突起１５とが成形された各鉄心片１１〜１ｎは、上型１に取着された パンチ５が外形を打抜いて帯状薄板材Ｗから切り離され、下型２に取着されたダ イ６とその下側に連続して内径部が各鉄心片の外形を把持するスクイズリング７ 内へ順次抜き込まれる。この工程Ｄの下型２側には、ダイ６とスクイズリング７ とをパンチ５による外形打抜きが行われる前に回転させ、既に抜き込まれた鉄心 片を上記のスキュー量ｄ分だけ変位させるための回転付与装置８が設けられてい る。この回転付与装置８としては、例えばプレスのクランクシャフトの回転をカ ム等を介してプレスストロークに同期した一定回転角度（スキュー角）に変換し たり、更にインデックスドライブを介して板厚偏差解消のための回転角度とスキ ュー角度を合わせた一定回転角度に変換したり、プレスストロークに同期してサ ーボモータやステッピングモータを駆動させ、タイミングベルトやタイミングギ ャ等を用いてダイ６とスクイズリング７へ伝達する従来公知の手段を利用するこ とができる。

【００１０】 上記の回転付与装置８を設けたことにより、最初に抜き込まれた一枚目の鉄心 片１１の計量用貫通穴１１ａに次に抜き込まれた二枚目の鉄心片１２のかしめ用 突起１５の凸部１５ｂが整合状態でかしめ付けされ、更に次に抜き込まれた三枚 目の鉄心片１３のかしめ用突起１５の凸部１５ｂは二枚目の鉄心片１２のかしめ 用突起１５の凹部１５ａに整合状態でかしめ付けされる。以下は同様に順次抜き 込まれてくる新たな鉄心片は、上下に隣接して積層される下側鉄心片のかしめ用 突起の凹部と上側鉄心片のかしめ用突起の凸部とが円周方向に対して整合した嵌 合状態でかしめ付けされ、所定枚数ｎが打抜かれると上記Ｃ１工程で計量用貫通 穴１１ａが打抜かれた分離用の鉄心片１１が積層される。これにより、積層鉄心 １０は製品１ケ当りに必要な所望の積層枚数に規定された状態で一体にかしめ付 けされると共に、上下に隣接する各鉄心片間は円周方向へ所望のスキュー量分ず らせて積層される。尚、かしめ用突起１５は凸部１５ａと凹部１５ｂとをずらせ た形状のため、凹部１５ａの深さは強度上から鉄心片の板厚の２／３以内が好ま しく、例えば１／２程度で充分である。

【００１１】

【考案の効果】

以上のように、本考案の回転子用スキュー積層鉄心では、各鉄心片間を固着す るかしめ用突起の凹部と凸部とを円周方向へ所望のスキュー量分ずらせて配置さ せることによってスキュー状態で積層され、このかしめ用突起は積層用鉄心の半 径方向へ細長く延在されるようにしたので、小形電動機の回転子のように磁極板 面が細幅な場合でも当該に磁極板面に沿って必要な圧着面積が確保された状態で かしめ用突起の形成を行うことができ、充分なかしめ強度が得られる。 また、本考案の順送り金型装置は従来のこの種の金型装置と比べ、かしめ用突 起の成形工程におけるパンチとダイとの相対位置を円周方向へ鉄心片１枚当りの スキュー量分ずらせて配置させることと、外形打抜き工程において新たな打抜き の都度ダイを回転させて既に積層された各鉄心片を円周方向へ変位させて上下に 隣接する各鉄心片のかしめ用突起の凹部と凸部とを整合させるための回転付与装 置を設けただけの簡単な構成で、上記のスキュー積層鉄心を容易に製造すること ができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の回転子用スキュー積層鉄心とその製造
用金型装置の実施例図。

【図２】図１におけるスキュー積層鉄心の平面図。

【図３】図２の要部を拡大した平面図。

【図４】従来例による回転子用スキュー積層鉄心の平面
図。

【図５】（ａ）は図４の要部を拡大した断面図、（ｂ）
は同じく平面図。

【符号の説明】

１ 上型 ２ 下型 ３ａ ４ａ ５ パンチ ３ｂ ４ｂ ６ ダイ ７ スクイズリング ８ 回転付与装置 １０ 積層鉄心 １１ １２ １３ １４ １ｎ 鉄心片 １１ａ 計量用貫通穴 １５ かしめ用突起 １５ａ （かしめ用突起の）凹部 １５ｂ （かしめ用突起の）凸部 Ｗ 帯状薄板材（ストリップ材） Ｆ 送り方向 Ａ ストロット穴の打抜き工程 Ｂ 軸穴の打抜き工程 Ｃ かしめ部の成形工程 Ｃ１ 計量用貫通穴の打抜き工程 Ｃ２ かしめ用突起の成形工程 Ｄ 外形打抜き及び積層かしめ工程 ｄ スキュー量

Claims (2)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 スキュー積層された各鉄心片には、上面
   側で凹部を下面側で凸部を形成するかしめ用突起が半径
   方向へ細長く延在され、このかしめ用突起は凹部と凸部
   とが円周方向へ所望のスキュー量分ずらせて配置され、
   上下に隣接して積層された下側鉄心片のかしめ用突起の
   凹部と上側鉄心片のかしめ用突起の凸部とが円周方向に
   対して整合した嵌合状態でかしめ付けされたことを特徴
   とする回転子用スキュー積層鉄心。
2. 【請求項２】 プレス成形された各鉄心片を順次外形打
   抜きと同時に積層状態でかしめ付けする外形打抜き工程
   の前に、各鉄心片に対して半径方向へ細長く延在された
   上面側で凹部を下面側で凸部を各々形成するかしめ用突
   起の成形工程が設けられ、このかしめ用突起の成形工程
   にはダイに対して円周方向へ鉄心片１枚当りのスキュー
   量分ずらせた配置でパンチが設けられ、上記外形打抜き
   工程には、ダイ側を鉄心片１枚当りのスキュー量分ずつ
   円周方向へ回転させて既に積層されている下側鉄心片の
   かしめ用突起の凹部を新たに打抜かれる上側鉄心片のか
   しめ用突起の凸部に整合させる回転付与装置を設けたこ
   とを特徴とする回転子用スキュー積層鉄心の製造用順送
   り金型装置。