JPH055509B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本発明は、アンプルに収納されている薬液をリ
ンゲル液、又はぶどう糖液等の入つている輪液用
点滴瓶に吸引収集して混合する作業、あるいはア
ンプル中の薬液を回収するために個々のアンプル
から薬液を収集するための作業を自動的に行う薬
液収集装置に関するものである。

（従来技術） リンゲル液、又はぶどう糖液等の輪液は、抗生
物質や強心剤、血管拡張剤、ビタミン剤等の薬液
を混入せしめて患者に投与するケースが多く、一
本の輪液瓶に５〜10本のアンプル液を混注するこ
とはめずらしいことではなくなつてきているが、
アンプルに収納されたこれら多種多数の薬液を混
注する作業は、注射器を用いて手作業で行われて
いるのが現状である。

すなわち、アンプル一本ずつ、その都度アンプ
ルの首部をカツトし、注射器で薬液を抜き取り、
次いで輪液瓶のゴム栓に注射器の針をさして輪液
瓶中に注入する作業を繰り返すのである。

このような作業では、輪液瓶は密封されている
ので注入によつて内圧がかかり、輪液瓶内の空気
をぬきつつ注入作業を行わなければならない。

したがつて、多大の労力と熟練と時間を要する
こと、更には輪液瓶のゴム栓に注射針の複数回の
突き刺しにより多数の穴があき、細菌の混入の恐
れや輪液瓶使用時に逆さにすることによつて液が
流れ出すことがある等、不都合があつた。

しかるに、実開昭53−34189号や実開昭54−
167590号等には、吸引器に連結した吸引チユーブ
の針を輪液瓶に差込み、アンプル内の薬液を減圧
しながら輪液瓶中に吸引注入する方法が開示され
ているが、薬液の輪液瓶への注入だけをポンプで
自動的に行うのみで、アンプルをカツテイング
し、吸引チユーブをアンプルにセツテイングする
操作は依然として手作業によるものである。

（発明が解決しようとする問題点） 以上のような従来の方法では、５〜10本のアン
プル中の薬液を混注するには、アンプルごとにア
ンプル首部のカツテイング開封及び吸引チユーブ
のセツテイングを行う必要があり、操作が繁雑な
ため、アンプル１本につき３分〜５分を要し、多
数本の場合には多大の時間と、つきつきりの労力
及び熟練さが要求され、省力化には、ほど遠いも
のであつた。

又、高価なアンプル液の場合は、アンプル容器
の変形不良などの理由で不良品となつたものは、
内容液を回収して再度利用することが行われてい
るが、このような場合も、従来は手作業による回
収操作で前記したような問題点が生じていた。

（問題点を解決するための手段） したがつて本発明の技術的課題は、以上のよう
な従来法と欠点を改善し、労力と作業時間の短縮
と共に、細菌の混入及び液漏れなどの不安のない
輪液瓶等への薬液収集装置をうることを目的とす
るもので、この技術的課題を解決する本発明の技
術的手段は、アンプルの首部の位置が一定となる
ようにアンプルを保持する手段と、アンプルの首
部へ切込みをいれるカツターと、アンプルの保持
手段からアンプルを取出す手段と、切込みからア
ンプルの首部を取り除く手段と、該手段で首部が
取り除かれたアンプルから薬液を吸引する吸引ノ
ズルと、該吸引ノズルをアンプル内に挿入挿出さ
せる手段と、吸引ノズルから収集容器へ薬液を送
り込むパイプ並びに収集容器内の空気をぬくパイ
プ手段とからなるものであつて、上記アンプルの
首部を保持する手段を、アンプルの首部の一部周
囲を挾持する略弓形固定部と、該固定部に連設し
て常に閉じていて弾性力を持つて開くピン部とか
らなる首部挾持部と、該首部挾持部を一定の高さ
に懸吊する懸吊枠で構成した薬液収集装置であ
る。

（実施例） 以下、図面に示す実施例について説明する。

本発明は、アンプルの首部の位置が一定となる
ようにアンプルを保持する手段Ａ、アンプルの首
部へ切込みをいれるカツターＢ、アンプルの保持
手段からアンプルを取出す手段Ｃ、切込みから首
部を切り離す手段Ｄ、アンプルから薬液を吸引す
る吸引ノズルＥ、吸引ノズルをアンプル内に挿入
挿出する上下動手段Ｆ、吸引ノズルから収集容器
へ薬液を送り込むパイプ並びに収集容器内の空気
をぬくパイプ手段Ｇとからなつている。

そこで、アンプルの首部の位置が一定となるよ
うにアンプルを保持する手段Ａから説明する。

１はアンプル吊り具で、第４図に示すように、
吊り固定部１ａと土台１ｂとの間を側板１ｃ，１
ｃで連結している。吊り固定部１ａには押えねじ
２があり、その先端でアンプル首部挾持部をもつ
挾持ピン３を水平に保持できるようになつてい
る。挾持ピン３は、常には閉じていて、弾性力を
もつて開くようになつている（第４図参照）。

以上のものでアンプル首部挾持部を一定の高さ
に懸吊する枠を構成している。

又、土台１ｂには、送り用の鋸歯型切欠き４が
ある。

このアンプル吊り具によれば、アンプルの首部
を挾持ピン３で挟んで懸吊でき、水平方向に後述
するチヤツクでアンプルをスライドして、挾持ピ
ンからアンプルを容易に取外すことができる。こ
れによつて、大小それぞれのアンプルは挾持ピン
３でアンプルの首部位置を挾持するので、アンプ
ルの首部位置を一定位置に揃えることができるも
のであり、後述するカツターが自動的に首部に当
たることになる。

次に、アンプルの首部へ切込みを入れるカツタ
ーＢについて説明する。

５，５ａは台盤９上のサイドガイドであつて、
アンプル吊り具の土台１ｂをガイドするものであ
る（第１図参照）。

６は台盤９上に突設した支柱で、この上部にカ
ツター７をもつアーム８が左右動する。

したがつて、アンプル吊り具１が送り装置４ａ
でカツター７の位置まで搬送され、後述するチヤ
ツクでアンプルが保持されるとカツターでアンプ
ルの首部に切込みを入れることになる。カツター
はダイヤモンドを円板に付着したダイヤモンドカ
ツターや、刃物カツターの他、レザー光線、マイ
クロ波、あるいは加熱ニクロム線等をカツター代
わりに使用してアンプルの首部に切込みを入れる
ことが可能である。現用のアンプルによれば、必
ずしも切込みを入れなくてもよい。

次に、前述したアンプルの吊具に係止されたア
ンプルの胴部を挾持して固定するチヤツク付きア
ーム１０，１０について説明すると、１０，１０
は台盤９上のガイド溝１１，１１にそつてスライ
ドするアームであつて、その上端のバー１２，１
２先端のチヤツク１３，１３で吊り具のアンプル
を挾持、固定するもので、図示しない機構を介し
てアンプル吊り具１と連動してチヤツクで左右か
らアンプルを挾持するとカツターが作動するよう
になる。

カツター７でアンプルに切込みが入れられる
と、送り装置４ａで吊り具１は次の送り装置１４
に引き継がれる。

送り装置１４で吊り具１はアンプルの首部を切
り離す位置まで搬送される。

そこで、アンプルの保持手段からアンプルを取
出す手段Ｃがセンサー１５ａでアンプルを検知し
て作動するもので、この手段は移動テーブル１５
からなり、アンプル吊り具１の進行方向に対して
直角方向に左右動するもので、下端の揺動支点１
６を中心として前傾できるようになつており、移
動テーブル１５が後退してストツパー１９に当た
るとピン２０がスリツト溝２１の後端に当たつて
前傾する（第８図参照）。

移動テーブル１５の前進後退は、第７図の如く
送りねじ１７と雌ねじ１８との螺合によりなされ
る。

移動テーブル１５の上端にはアンプルを左右か
ら挾持するチヤツク２２，２３があり、ピニオン
２４の回転でこれと噛合するラツク２５，２６を
介してチヤツク２２，２３は開閉する。チヤツク
２２のバー２７は常時スプリング２８で弾力的に
支持されており、チヤツクによるアンプルの破損
を防ぐようになつている。

２９は移動テーブル１５のストツパー１９に当
接した際の衝撃緩衝用のスプリングである。

何れにしても、センサー１５ａで首部を切り離
すべきアンプルを検知するとチヤツク２２，２３
が働いてアンプルを挾持する。アンプルをチヤツ
ク２２，２３が挾持すると、移動テーブル１５が
後退してアンプル吊具１からアンプルを取り出
し、次に切込みから首部を切り離す手段Ｄが作動
する。

第１図に示す３０はそのアンプル首部カツトバ
ーであつて、支柱３１を中心として回動し、アン
プルの首部を叩き、首部を台盤９の下方に切設さ
れたダスト（図示せず）に切り落とす。

アンプルを切り離す手段は、前述したような切
込みの入つた首部を殴打して切り落とす方法に限
られるものではない。

例えば、第９図に示す実施例の如く、開脚自在
の把持具４０がアンプルの頭部を把持し、アンプ
ルを挾持したままで把持具４０を上に引きなが
ら、アンプルの切込みを支点として外周側に折り
曲げの回動運動を加える支持アーム４１を連動さ
せて、手で折る動作に近い作動で首部を折曲して
切り離す手段もある。

すなわち、第９図に示すように、適宜の開閉手
段で支点４８を中心として開閉する挟み状の把持
具４０が、シリンダー機構で矢印方向に往復動で
きる如く構成され、この把持具４０の上下動に対
してスプリング４４，４５で支持アーム４１も上
下動し、これに適宜の折曲手段を施して矢印方向
に支持アーム４１を支点４３を中心として折曲げ
るようにする。すると、チヤツク４２に把持され
たアンプル頭部は、把持具４０で折曲げ切離され
るのである。なお、４６は把持具４０のゴムを示
す。

なお、この場合、アンプル首部に切込みをいれ
るカツター部位と、切離し手段の設置位置を別位
置にせず、カツター部位と同位置の上方に把持具
を設置して折曲切離することは、設計上自在であ
り、４２は切離し時、アンプルを固定して安定状
態に保つためのアンプル胴部を挾持するチヤツク
で、第１図で示されるバー１２及びチヤツク１３
と同様のものである。

次に、移動テーブル１５が後退する。

移動テーブル１５が後退してストツパー１９に
当たると、支点１６を中心としてアンプルは前傾
する。

次に、吸引ノズルＥと吸引ノズルをアンプル内
に挿入挿出する上下動手段Ｆについて説明する
と、第１図に示す３２は吸引ノズルであり、ノズ
ルガイド３３に対して上下自在にスライド式に保
持されている。ノズルガイド３３はノズルホルダ
ー３４に支持され、ノズルホルダー３４はシリン
ダー３５の作動で上下動する。

次に、吸引ノズルから収集容器へ薬液を送り込
むパイプ、並びに収集容器内の空気をぬくパイプ
手段Ｇについて述べると、吸引ノズル３２はフイ
ルター３６のあるパイプ３７で輪液瓶３８に連通
し、輪液瓶３８はパイプ３９で吸引ポンプやチユ
ービングポンプ（送液ポンプ）に連通している。

したがつて、移動テーブル１５の前傾でチヤツ
ク２２，２３で支持されたアンプルは前傾し、そ
の切り口に吸引ノズル３２がシリンダー３５の作
動で挿入されることになる。

吸引ノズル３２がアンプルに挿入されると吸引
ポンプやチユービングポンプが作動し、アンプル
内の薬液を輪液瓶３８に注入する。

なお、アンプル内の薬液を輪液瓶３８に注入す
るに当たつては、瓶内の空気をぬく必要のない加
圧式で送り込む方法もある。この場合、アンプル
液を吸引するノズル３２はアンプルに対して傾斜
して挿入され、アンプル内の薬液を完全に吸い取
ることができる。

すなわち、アンプルの底は一般に中央高になつ
ていて、中央にノズルがあつたのでは完全に吸い
取れない。

しかし、アンプルチヤツクを傾斜せしめること
なく、吸引ノズル自体を傾斜させてもよい。

次に、薬液が吸い出されたアンプルは、チヤツ
ク２２，２３の開きにより落下し、ダストに投入
され、次いで移動テーブル１５は前進し、次のア
ンプルが定位置にあることをセンサーによつて確
認し、再びチヤツク２２，２３が閉じ、前述した
動作を行うのである。

かくして、吊り具１に懸吊されたアンプルが順
次以上のような各手段を経て、その薬液が輪液瓶
に注入されるもので、吊り具に懸吊されたアンプ
ルが全部以上のような動作をうけると吊り具１は
送り装置４９，５０，５１で排出位置に移動せし
められ、アンプルの懸吊された新しい吊り具が第
１図の状態にセツトされると再び同じような動作
が繰り返されるのである。

なお、送り装置４９，５０，５１は前述した送
り装置４ａ，１４と同様に、平行四辺形運動をし
て、その鋸歯と吊り具の鋸歯との係合により前進
せしめるのである。

（発明の効果） この技術的手段によれば、アンプルに収納され
ている薬液をリンゲル液、又はぶどう糖液等の入
つている輪液用点滴瓶に吸引収集して混合する作
業、あるいはアンプル中の薬液を回収するために
個々のアンプルから薬液を収集するための作業を
自動的に行うことができるという特徴があり、労
力と作業時間の短縮と共に、細菌の混入及び液も
れなどの不安のない輪液瓶等への薬液収集装置を
うることができる。

特に、アンプルの首部を保持する手段を、アン
プルの首部の一部周囲を挾持する略弓形固定部
と、該固定部に連設して常に閉じていて弾性力を
持つて開くピン部とからなる首部挾持部と、該首
部挾持部を一定の高さに懸吊する懸吊枠で構成し
ているので、アンプルの首部をピンで挟んで懸吊
できると共に、水平方向にアンプルをスライドす
ることによつてピンからアンプルを容易に取外す
ことができ、しかも、大小それぞれのアンプルは
挾持ピンでアンプルの首部位置を挾持するので、
アンプルの首部位置を一定位置に揃えることがで
きるものであり、カツターを自動的に首部に当て
ることができるという特徴がある。従つて、大小
のアンプルを混在させて取り扱うことも可能であ
る。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明装置の斜面図、第２，３図は同
上の平面図と側面図、第４図イは吊り具の斜面
図、第４図ロ，ハは挾持ピン固定方法の説明図、
第５，６図はチヤツクの動作説明図、第７，８図
は移動テーブル部分の平面図と正面図、第９図は
アンプル頭部保持具の説明図である。 １……アンプル吊り具、３……アンプル挾持ピ
ン、７……切込みカツター、１３，１３……チヤ
ツク、２２，２３……チヤツク、３０……アンプ
ル首部カツター、３２……吸引ノズル、３４……
アンプル吸引ノズルホルダー。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ アンプルの首部の位置が一定となるようにア
   ンプルを保持する手段と、アンプルの首部へ切込
   みをいれるカツターと、アンプルの保持手段から
   アンプルを取出す手段と、切込みからアンプルの
   首部を切り除く手段と、該手段で首部が取り除か
   れたアンプルから薬液を吸引する吸引ノズルと、
   該吸引ノズルをアンプル内に挿入挿出させる手段
   と、吸引ノズルから収集容器へ薬液を送り込むパ
   イプ並びに収集容器内の空気をぬくパイプ手段と
   からなるものであつて、上記アンプルの首部を保
   持する手段を、アンプルの首部の一部周囲を挾持
   する略弓形固定部と、該固定部に連設して常に閉
   じていて弾性力を持つて開くピン部とからなる首
   部挾持部と、該首部挾持部を一定の高さに懸吊す
   る懸吊枠で構成した薬液収集装置。 ２ アンプルが吸引ノズルの下部に位置した時、
   ノズルの垂直方向に対して傾斜してアンプルを保
   持するか、あるいはノズルを傾斜してアンプル内
   に挿入し、アンプルの底部の端部にノズル先端が
   位置するように構成配置したことを特徴とする特
   許請求の範囲第１項記載の薬液収集装置。