JPH0554229A - 硬貨識別装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 硬貨の正偽および種類を識別する硬貨識別装
置に関し、従来検知していなかった硬貨の外周部の凸部
（以下コイニングという）の度合いを検知することによ
り、正貨とコイニングの度合いの異なる偽貨を識別し不
正使用の防止が可能な硬貨識別装置を提供することを目
的とする。 【構成】 硬貨の外周部が厚みセンサー８の近傍を通過
する際の厚みセンサー８を設け、厚みセンサー８の出力
がしきい値２２以上である時間２００，３００をコイニ
ング検知手段１１で検出することにより、硬貨のコイニ
ングの度合いを検知し、偽貨を識別するものである。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、硬貨の正偽及び種類を
電気的に識別する硬貨識別装置に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】近年、自動販売機が普及し、これに使用
される硬貨識別装置には高い識別性能が要求されてい
る。

【０００３】従来の硬貨識別装置は、材質，厚み，外径
センサー及び各センサーの出力の最大変化量を検知する
手段を備えており、硬貨通過時の各センサーの出力の最
大変化量により硬貨の材質，厚み，外径を検知して識別
を行っていた。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら従来の構
成では、単に金属板を打ち抜いて作られた平板メタルの
ような、正貨に近い材質でほぼ同じ厚み，外径の偽貨を
不正使用されることがあった。

【０００５】本発明は、このような偽貨の不正使用を防
止することが可能な硬貨識別装置を提供することを目的
とするものである。

【０００６】

【課題を解決するための手段】この課題を解決するため
に本発明の硬貨識別装置は、硬貨の外周部に形成された
凸部（以下コイニングという）の度合いを検知する手段
を備えた構成としたものである。

【０００７】

【作用】この構成により、硬貨のコイニングの度合いを
検知することができるので、平板メタルのように正貨と
コイニングの度合いが異なる偽貨を識別し不正使用を防
止することが可能になる。

【０００８】

【実施例】以下、本発明の一実施例について図面を参照
しながら説明する。

【０００９】図４は本発明による硬貨識別装置の概要を
示した構成図である。硬貨識別装置本体１の上部には硬
貨投入口２が設けられており、この投入口２から下方に
向かって硬貨通路３が連結されている。硬貨通路３の側
壁には材質・厚み兼用センサー４と外径センサー５が配
置されている。また硬貨通路３は硬貨識別装置本体１の
下部に位置する硬貨の出口６に連結されている。

【００１０】図３は制御回路の構成を示すブロック図で
ある。材質センサー７は硬貨通路３に対向して配置され
たフェライト材のポット型コアと、このコアの内部に巻
回されたコイルと、このコイルの形成する発振回路及び
発振波形を正弦波から発振レベルを示す信号に変換する
半波整流回路により構成されている。対向するコアに巻
回されたコイルは相互インダクタンスが正になるように
直列同相接続され、その出力は材質検知手段９及びコイ
ニング検知手段１１に入る。厚みセンサー８は材質セン
サー７と同様の構成であるが、対向するコアに巻回され
たコイルは相互インダクタンスが負になるように直列逆
相接続され、その出力は厚み検知手段１０及びコイニン
グ検知手段１１に入る。本実施例では材質センサー７と
厚みセンサー８とがコアを兼用しており、図４に材質・
厚み兼用センサー４として示している。外径センサー５
も材質センサー７と同様の構成で、コイルは直列同相接
続され外径検知手段１２に入る。

【００１１】各検知手段９〜１２は、Ａ／Ｄ変換回路と
検知回路により構成されており、それぞれ比較回路１３
〜１６に入る。比較回路１３〜１６は記憶回路１７にも
接続されている。比較回路１３〜１６の出力は判定回路
１８に入り、判定回路１８は判定信号１９を出力する。

【００１２】以上のように構成された硬貨識別装置の動
作を説明する。硬貨投入口２から投入された硬貨がセン
サーに近づくと、コイルのインピーダンスが変化し、そ
れにつれて発振回路の発振レベルが変化する。この変化
量は、材質センサー７では主に硬貨の材質によって、厚
みセンサー８では主に硬貨の厚みによって、外径センサ
ー５では主に硬貨の外径によって異なるように形成され
ている。材質検知手段９，厚み検知手段１０，外径検知
手段１２では硬貨通過時の発振レベルの最大変化量を検
知してそれぞれ対応する比較回路１３，１４，１６に出
力する。

【００１３】次に、コイニング検知手段１１の動作を図
１及び図２を用いて説明する。図１は硬貨通過時の厚み
センサー８の出力波形２０，３０を、図２は材質センサ
ー７の出力波形４０を示す。共に縦軸が発振レベルの変
化量で、横軸が時刻である。図１の実線は日本の五百円
硬貨の波形２０で、破線は材質，厚み，外径が五百円硬
貨とほぼ等しい平板メタルの波形３０である。厚みセン
サー８の出力が五百円硬貨と平板メタルで異なる部分
は、硬貨の外周部が厚みセンサー近傍を通過するタイミ
ングと一致しており、この時の出力は硬貨のコイニング
の度合いを示すと考えられる。本発明はこの際の厚みセ
ンサー８の出力により、硬貨のコイニングの度合いを検
知しようとするものである。なお材質センサー７の出力
波形４０は、五百円硬貨と平板メタルでは図２に示すよ
うにほぼ同じ波形となる。

【００１４】本実施例では厚みセンサー８の出力の最大
値２１から一定値２３を減じた値をしきい値２２とし、
厚みセンサー８の出力がしきい値２２以上である時間２
００，３００によりコイニングの度合いを検知してい
る。しきい値２２を固定にすると温度や電源電圧の変動
などの影響を受けやすいため、最大値２１から一定値２
３を減じた値としているが、最大値２１と一定値（例え
ば０．９）の積などとすることもできる。厚みセンサー
８の出力がしきい値２２以上である時間２００，３００
は、出力がしきい値２２を上回る時刻２１０，３１０と
下回る時刻２２０，３２０との差をとって求めている。
本実施例ではコイニング検知手段１１が厚みセンサー８
の出力を一定時間毎にＡ／Ｄ変換して入力する構成であ
り、厚みセンサー８の出力がしきい値２２と等しい場合
にはこのときの時刻を、そうでない場合にはしきい値２
２をはさむ２つの入力値から直線で補完を行って求めた
時刻を用いている。

【００１５】このようにして求めた厚みセンサー８の出
力がしきい値２２以上である時間２００，３００は明ら
かに硬貨の通過速度の影響を受けるため、通過速度の補
正を行う必要がある。本実施例では硬貨の通過速度に比
例していると考えられる材質センサー７の出力の２つの
極大の間の時間４００を利用しているが、硬貨の通過速
度を示すものを利用すればこれに限らず補正が可能であ
る。この時間４００は材質センサー７の出力が第１の極
大を取った時刻４１０と第２の極大を取った時刻４２０
との差をとって求めている。極大を取った時刻をより正
確に求めるため、第１の極大を例に説明すると極大値４
１から一定値４３を減じた値をしきい値４２としこのし
きい値４２を上回る時刻４１１と下回る時刻４１２の中
間の時刻を第１の極大を取った時刻４１０としている。
コイニング検知手段１１は、以上のようにして求めた厚
みセンサー８の出力がしきい値２２以上である時間２０
０，３００を、材質センサー７の出力の２つの極大の間
の時間４００で割った値を示す信号を比較回路１５に出
力する。

【００１６】記憶回路１７には、正貨の種類毎に基準と
なる値が記憶されている。比較回路１３〜１６では各検
知手段９〜１２からの入力を記憶回路１７の基準と比較
し、許容誤差範囲内で一致していればその正貨の種類を
示す信号を、どの種類の基準値とも一致しない場合には
偽貨であることを示す信号を出力する。判定回路１８で
は、比較回路１３〜１６からの信号が全て同じ正貨の種
類を示す場合に限りその正貨の種類を示す信号を、それ
以外の場合には偽貨を示す信号を判定信号１９として出
力する。

【００１７】以上のように本実施例によれば、硬貨の外
周部が厚みセンサー８の近傍を通過する際の出力により
硬貨のコイニングの度合いを検知することができる。

【００１８】なお本実施例では厚みセンサー８の出力が
しきい値２２以上である時間２００，３００を用いた例
を示したが、硬貨の外周部が厚みセンサー８の近傍を通
過する際の厚みセンサー８の出力を利用すれば本実施例
の方法に限らず硬貨のコイニングの度合いを検知するこ
とが可能である。

【００１９】また本実施例では硬貨通過時の発振レベル
変化を識別に用いた例を示したが、硬貨によるコイルの
インピーダンス変化を利用したものであれば、インダク
タンス，周波数，位相などの変化を用いることもでき
る。

【００２０】材質センサー７と厚みセンサー８を兼用し
ているのは、１つには硬貨の通過速度の変化の影響を小
さくするためであるが、各々別のセンサーであっても構
わない。

【００２１】

【発明の効果】以上のように本発明の硬貨識別装置は、
硬貨のコイニングの度合いを検知する手段を備えるた
め、正貨とコイニングの度合いが異なる偽貨を識別し不
正使用を防止することが可能である。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例における厚みセンサーの出力
波形図

【図２】本発明の一実施例における材質センサーの出力
波形図

【図３】本発明の一実施例における制御回路の構成を示
すブロック図

【図４】本発明の一実施例における硬貨識別装置の概要
を示す構成図

【符号の説明】

１ 硬貨識別装置 ２ 硬貨投入口 ３ 硬貨通路 ４ 厚み・材質兼用センサー ５ 外径センサー ６ 硬貨の出口 ７ 厚みセンサー ８ 材質センサー ９ 厚み検知手段 １０ 材質検知手段 １１ コイニング検知手段 １２ 外径検知手段 １３〜１６ 比較回路 １７ 記憶回路 １８ 判定回路 １９ 判定信号 ２０ 厚みセンサー出力波形（五百円硬貨） ２１ 厚みセンサー出力の最大値 ２２ 厚みセンサー出力のしきい値 ２３ 一定値（厚みセンサー） ３０ 厚みセンサー出力波形（平板メタル） ４０ 材質センサー出力波形 ４１ 材質センサー出力の第１の極大値 ４２ 材質センサー出力の第１のしきい値 ４３ 一定値（材質センサー） ２００ 厚みセンサー出力がしきい値以上である時間
（五百円硬貨） ２１０ 厚みセンサー出力がしきい値を上回った時刻
（五百円硬貨） ２２０ 厚みセンサー出力がしきい値を下回った時刻
（五百円硬貨） ３００ 厚みセンサー出力がしきい値以上である時間
（平板メタル） ３１０ 厚みセンサー出力がしきい値を上回った時刻
（平板メタル） ３２０ 厚みセンサー出力がしきい値を下回った時刻
（平板メタル） ４００ 材質センサー出力の２つの極大の間の時間 ４１０ 材質センサー出力が第１の極大を取った時刻 ４１１ 材質センサー出力が第１のしきい値を上回った
時刻 ４１２ 材質センサー出力が第１のしきい値を下回った
時刻 ４２０ 材質センサー出力が第２の極大を取った時刻

Claims (9)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】硬貨の外周部が厚みセンサー近傍を通過す
   る際の厚みセンサーの出力により、硬貨の外周部に形成
   された凸部の度合いを検知する手段を備えた硬貨識別装
   置。
2. 【請求項２】厚みセンサーの出力がしきい値以上である
   時間により、硬貨の外周部に形成された凸部の度合いを
   検知する請求項１記載の硬貨識別装置。
3. 【請求項３】厚みセンサーの出力の最大値から一定値減
   じた値をしきい値とする請求項２記載の硬貨識別装置。
4. 【請求項４】厚みセンサーの出力がしきい値を上回った
   時刻及び下回った時刻を、入力値がしきい値と等しくな
   った場合にはそのときの時刻とし、異なる場合にはしき
   い値をはさむ２つの入力値から補完を行って求めた時刻
   とする請求項２記載の硬貨識別装置。
5. 【請求項５】硬貨の通過速度により補正を行うように構
   成した請求項２記載の硬貨識別装置。
6. 【請求項６】材質センサーの出力の２つの極大の間の時
   間により補正を行うように構成した請求項５記載の硬貨
   識別装置。
7. 【請求項７】材質センサーの出力の極大値から一定値減
   じた値をしきい値とし、出力がしきい値を上回った時刻
   と下回った時刻の中間の時刻を、極大値となった時刻と
   する請求項６記載の硬貨識別装置。
8. 【請求項８】材質センサーの出力がしきい値を上回った
   時刻及び下回った時刻を、入力値がしきい値と等しくな
   った場合にはそのときの時刻とし、異なる場合にはしき
   い値をはさむ２つの入力値から補完を行って求めた時刻
   とする請求項７記載の硬貨識別装置。
9. 【請求項９】厚みセンサーと材質センサーを１つのセン
   サーで兼用する請求項６記載の硬貨識別装置。