JPH0551283B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は座席、特に、その駆動シヤフトがこれ
に結合される駆動装置によつて回転することので
きる遊星歯車装置のような歯車装置を有する、車
輌シートのための調節装置に関する。

〔従来の技術〕

自己減速調節歯車装置を有する公知の回動取付
け具が設けられた車輌シートにおいて、この調節
歯車装置の駆動シヤフトが背当ての回動方向に下
方に向つて駆動された場合は、背当ては調節歯車
の回転運動に断続的に追従する。このシートを使
用する者の安全性はこの断続的な回動運動の結果
生じる背当ての重複する揺動のため何ら減少され
ない。しかしながら、この背当ての断続的な運動
は、少なくともこれに伴うがたがたする音のため
にしばしば厄介なものであることが知られてい
る。これはまた少なくとも１つの自己減速調節歯
車装置を有するシート高さ調節装置にとつても当
てはまることである。

〔発明が解決しようとする課題〕

本発明の主な目的はしたがつて、例えば下方へ
の回転運動をさせるため背当てと関連して使用さ
れる、調節構造要素の騒音をなくし又は実質的に
減少させる上記型式の改良された調節装置を提供
することである。本発明の他の目的は、増大され
た慣性質量の駆動シヤフトを持つた遊星歯車伝動
装置を有して騒音減少特性を向上させる調節装置
を提供することである。

したがつて、本発明の解決すべき課題は、背当
てをシート構造に連結する回動取付け具が駆動手
段としてハンドノブを備えた自己減速調節歯車装
置を有している場合に、背当てが後方へ、すなわ
ち緩やかな傾斜の位置へと動かされている間に車
輌シートががたがたという音を発生しないように
することである。

〔課題を解決するための手段〕

本発明者は、上記の背当ての回動運動中のがた
がたする音が回動用の駆動シヤフトが連続して回
転されている場合にはなくなることを発見した。
背当ての傾斜を変えるための手によつて回転され
るハンドノブは180°以上にわたつて連続回転する
ことは不可能であり、また背当ての傾斜の変更に
は完全な１回転より多い回転を必要とすることが
多いので、本発明によれば、駆動シヤフト（又は
ハンドノブ）を質量体に連結し、有効な質量慣性
モーメントを増大させ、質量慣性モーメントが駆
動シヤフトの回転を中断させないような大きさと
なるような装置が提供される。

本発明は、駆動シヤフトが一定速度で回転する
ことは必らずしも必要ではなく、駆動シヤフトが
静止しないようにすることで十分であることを見
出した。したがつて、上記のがたがたする音をな
くすためには、ハンドノブが手から離される時と
ハンドノブが手による駆動を続けるため再び握ら
れる時との間の時間だけ、駆動シヤフトが質量体
によりその回転状態が持続されるようにすればよ
いことになる。

空間と重さとを節減するためには、有効な質量
慣性モーメントは回転速度と共に増大するので質
量体を、駆動シヤフトの速度ではなく、さらに高
速で回転させるのが有利である。したがつて本発
明によれば、質量体を駆動シヤフトに連結しそし
て駆動シヤフトの回転速度に対する質量体の回転
速度を増大させる歯車比を持つた歯車装置が提供
される。このような歯車比の歯車装置の有利な実
施態様は遊星歯車装置である。

駆動シヤフトの回転運動中質量体が運動するた
めの有利な質量慣性モーメントが直線的に変化す
るのではなく速度により２乗的に変化するので、
１つの好適な実施態様ではこの質量体は駆動シヤ
フト又はこれと共に回転するシヤフト上に堅くは
取付けられない。その代わりに、伝動装置連結部
が、駆動シヤフトの回転速度に対する質量体の回
転速度を増大させる歯車比を有する一組の歯車に
よつて、駆動シヤフトと質量体との間に形成され
る。

連結シヤフトが、第１の調節装置から例えば一
方の回動取付け部材から他方の回動取付け部材へ
向かうシートの方向で横方向に第２の調節装置へ
と延在している場合には、質量体はまたこの連結
シヤフト上に配置することができる。

ハンドノブが駆動装置として、環状要素を質量
体として配設することができる中空室を形成する
よう設けられた場合には、各ピニオンが同時に噛
み合う２つのクラウン歯車が相互に軸方向に近接
して位置している実施態様が提供される。この実
施態様では、実現できる歯車比の変動範囲は非常
に大きいものとなる。この変動範囲は２つのクラ
ウン歯車が相互に軸方向に配設されかつ各ピニオ
ンがこの２つのクラウン歯車の間に位置している
時は小さくなる。この実施態様は最小の製造コス
トとなる。

〔発明の効果〕

本発明によれば、背当ての傾斜を変える際のが
たつく音は、減少されるばかりでなくまた駆動シ
ヤフト上に作用する慣性質量が十分に大きい場合
には実際上なくすことができる。本発明の特別の
利点は上記の目的が簡単かつ経済的な機械的手段
によつて達成されるということである。

本発明の歯車伝動装置は空間と重量の要求を著
しく減少させるものとなる。概して、この型の伝
動装置の使用により質量体の寸法は、これを得ら
れる空間内に収容するのが困難でないよう十分に
小さく選ぶことができる。さらにこの歯車伝動装
置の各部分が有効な質量慣性モーメントを増加す
るのに寄与するという他の利点がある。したがつ
てこの質量体は、駆動装置特に、少なくとも駆動
装置の外部寸法を大きくすることなく伝動装置の
駆動シヤフトよりさらに著しく迅速にこれか回転
した場合には、駆動装置として作用するハンドノ
ブに一体化することができる。伝動装置への一体
化は、例えば、調節装置としての働きをする回動
取付け部材の寸法をさほど増大させることなしに
行うことができる。

〔実施例〕

本発明は図面に示される典型的な実施態様の助
けによりさらに詳細に説明される。

第２図に見られるように、回動取付け部材１が
公知の方法で形成されておりしたがつて詳細には
図示しない。取付け部材１は車輌シートの背当て
をその腰掛け部分に連結し、背当ての布張り支持
体に連結される上方回動部分と腰掛け部分の腰掛
けフレーム又は布張り支持体に連結される下方回
動部分とを含み、これら回動部分は遊星歯車の偏
心ボルト２によつて関節式に相互に連結される。
この自己減速遊星歯車は調節伝動装置を形成しこ
れにより上方回動部分は下方回動部分に対して回
動することができ、たま任意の選択された回動位
置に固定することができる。

これらの回動要素を越えて突出するその端部分
の領域において、偏心ボルト２には公知の方法で
２つの直径方向に対向する平坦部分が設けられ、
これら平坦部分は偏心ボルト２と全体が４で示さ
れるハンドノブが配置されたハブ３との間に回転
阻止の連結部をもたらす。このハンドノブ４は背
当てに連結された回動部分を回転させるための歯
車装置の駆動手段であり、背当ての傾斜を変える
ためには手によつて回転しなければならないもの
である。

回動取付け部材と反対側のフランジ６がハブ３
上に形成され、そしてスクリユー５により軸方向
の移動を阻止するよう固定されている。フランジ
６の外側端部領域は、このフランジ６に接合する
ハンドノブ４の中空円筒要素７の外側表面と同じ
ように、軸方向に走行する把持溝８が設けられ、
これらの溝８はハンドノブ４の確実な握りを容易
にする。この典型的な実施態様においては、中空
円筒要素７は回動要素に対面するフランジ６の側
で一部材に形成されている。

回動要素に対面する中空円筒要素７の端部分は
その内側面上で第１のクラウン歯車９を支持す
る。この第１のクラウン歯車９に近接して回動要
素に対面する側に、環状デイスク１１内に配置さ
れた第２のクラウン歯車１０がある。環状デイス
ク１１は偏心ボルト２に同軸に配設されそして回
動取付け部材の下方回動要素と連結され偏心ボル
ト２に平行に配設された棒状連結要素１２により
下方回動要素と共に回転するようになつている。
第２図に示すように、第１のクラウン歯車９と同
様にその内側に歯を有している第２のクラウン歯
車１０の直径は、第１のクラウン歯車９の直径よ
り若干大きい。

120度だけ相互に対し変位している３つの同一
のピニオン１３は同時に２つのクラウン歯車９と
１０とに噛み合う。この２つのクラウン歯車９と
１０の直径が相違することにより、これらのピニ
オン１３は第２図に示すように、第１及び第２の
クラウン歯車にそれぞれ適合する２つの軸方向に
近接する組の歯を有している。これに代えて、こ
の２つのクラウン歯車９と１０はまた同じ直径で
あるが歯数が異なるものとすることもできる。こ
の場合は、これらピニオンの外側の組の歯の直径
が同じ大きさである。ピニオン１３は各スタツド
ボルト１４上に回転自在に配設され、各スタツド
ボルト１４はその自由端上に弾性リングを支持し
ピニオン１３を軸方向に移動しないように固定し
ている。

スタツドボルト１４はハブ３上に回転自在に取
付けられた質量体１５によつて支持されている。
この典型的な実施態様では、質量体１５は第１の
クラウン歯車９とフランジ６との間の環状空間の
中に突出する環状デイスクの形状を有している。
質量体１５は必要とされる質量慣性モーメントに
よつてこの空間をより多く又はより少なく充たす
ことができる。

２つのクラウン歯車９と１０はピニオン１３と
共に、ハンドノブの回転運動中の質量体１５の角
速度をもたらす遊星歯車伝動装置を構成する。選
択された歯車比により例えば１：10の歯車比のこ
の角速度はハンドノブ４の角速度よりも大きい。

ハンドノブ４が回転されると、ピニオン１３は
偏心ボルト２（すなわち駆動シヤフト）の周りに
ボルト２の回転速度より高速の回転速度で回転す
る。したがつて質量体１５は駆動シヤフトの回転
速度に対して増大された回転速度で回転する。ピ
ニオン１３がボルト２の周りに回転しながらまた
スタツドボルト１４の周りに回転するので、これ
らピニオン１３は有効質量慣性モーメントを増大
させる。

ハンドノブ４の回転運動中第２のクラウン歯車
１０上を回転し質量体１５を偏心ボルト２の周り
にスタツドボルト１４の回転速度で駆動するピニ
オン１３の質量慣性モーメントが、質量体１５の
質量慣性モーメントに加えられる。偏心ボルト２
上に作用する質量慣性モーメントは、背当ての位
置の調節中の偏心ボルトに連結された上方回動要
素の運動を、質量体１５とこれを駆動する伝動歯
車装置とがなければ生じるであろう騒音がうるさ
くないような程度にまで少なくとも減少される程
度に、滑らかにする。

クラウン歯車９がハンドノブ４を駆動すること
により回転すると、ピニオン１３はクラウン歯車
９と１０との上を転動しなければならない。この
両クラウン歯車９，１０間の歯数の相違により、
クラウン歯車９の１回転が例えばピニオン１３の
ボルト２周りの10回転で生じる。がたつく音を減
少させるのは遊星歯車装置ではなく、その回転エ
ネルギがボルト２したがつて背当ての回動運動を
続けさせる回転質量体１５である。言い換えれ
ば、この回転質量体１５は、背当ての運動が回動
取付け具の自己減速歯車伝動装置により急激に停
止されるのを防止する。回転質量体１５と回転ピ
ニオン１３とによりボルト２の回転が、ハンドノ
ブが手から離された後も続けられる。なお、質量
体１５とピニオン１３とが回転する限り、ハンド
ノブと駆動シヤフトとは、ハンドノブがシート使
用者の手で駆動されない場合でも回転される。ま
た例えば、駆動シヤフトの周りの回転するスタツ
ドボルト１４によつて駆動される質量体１５の回
転速度がハンドノブ４の回転速度の10倍となつた
ならば、有効質量慣性モーメントが、同じ質量体
１５をハンドノブの回転速度で回転した場合の
100倍となる。

このようにして、駆動シヤフトの連続した回転
により騒音を減少させることができる。

なお、この他の伝動装置の構造がまた用いられ
さらに有効な結果を得ることができる。例えば、
質量体はもつぱらハンドノブに配設しなければな
らないものでもない。

遠心質量、特に歯車伝動装置によつて調節装置
に結合される遠心質量により、駆動装置としての
モータの使用中に生じるがたがたする騒音もまた
減少され又は完全に抑制することができる。した
がつて、遠心質量として働くこの質量体は例えば
エンジン駆動シヤフト上に配設することができ
る。これはモータと回転速度を減少させる調節装
置との間に伝動装置がある場合に特に有利であ
る。

好適な実施態様が詳細に図示されかつここに記
載されただけであるが、本発明の多くの変形例及
び変更が上記の教示に照らし可能でありまた本発
明の精神及び意図する範囲から逸脱することなく
特許請求の範囲内にあることが理解されるであろ
う。

【図面の簡単な説明】

第１図は第２図のＩ−Ｉ線に沿う第１の典型的
な実施態様の断面図、第２図は第１図の−線
に沿う第１の典型的な実施態様の縦断面図、 １……回動取付け部材、２……偏心ボルト、３
……ハブ、４……ハンドノブ、５……スクリユ
ー、６……フランジ、７……中空円筒要素、９…
…第１クラウン歯車、１０……第２クラウン歯
車、１１……環状デイスク、１３……ピニオン、
１４……スタツドボルト、１５……質量体。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 座席特にその駆動シヤフトがこれに結合され
   た駆動装置によつて回転される遊星歯車伝動装置
   のような伝動装置を有する車輌シートのための調
   節装置であつて、前記駆動シヤフトの有効質量慣
   性モーメントを増大させる質量体手段を具備し、
   この質量体手段が前記駆動シヤフトに作動的に連
   結されている調節装置。 ２ 駆動シヤフトと質量体との間に歯車伝動手段
   をさらに含み、この歯車伝動手段が駆動シヤフト
   の回転速度に対して質量体の回転速度を増加させ
   る歯車比を有している請求項１に記載の調節装
   置。 ３ 前記質量体手段が駆動装置として作用するハ
   ンドノブに一体化されている請求項１に記載の調
   節装置。 ４ 前記質量体手段が伝動装置に一体化されてい
   る請求項１に記載の調節装置。 ５ 前記質量体手段が伝動装置の回転運動を第２
   の調節装置に伝達するシヤフト上に設けられてい
   る請求項１に記載の調節装置。 ６ 前記質量体が前記ハンドノブを支持する駆動
   シヤフトに同中心に配設された環状要素として形
   成され、この環状体が前記駆動シヤフトに平行で
   かつこれと偏心した軸線を有する少なくとも１つ
   のピニオンを支持し、このピニオンがハンドノブ
   上に設けられた第１のクラウン歯車と自己減速し
   ない遊星歯車伝動装置を形成するための１つの回
   動要素に堅く連結された第２のクラウン歯車とに
   噛み合う請求項３に記載の調節装置。 ７ 各ピニオンが追加の質量体を含んでいる請求
   項６に記載の調節装置。 ８ 前記質量体手段が前記ハンドノブ上に回転自
   在に取付けられている請求項６に記載の調節装
   置。 ９ 前記ハンドノブが一部材に形成されたフラン
   ジと前記質量体手段を取り巻く円筒状要素とを有
   し、また回動要素に対面する前記質量体の側に近
   接して第１のクラウン歯車を支持する請求項６に
   記載の調整装置。 １０ 前記第２のクラウン歯車が、連結要素によ
   つて回動取付け部材の２つの回動要素の１つに連
   結された支持デイスク上に設けられている請求項
   ９に記載の調節装置。