JPH0550094U - スクロール圧縮機 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 揺動軸受およびスリーブ軸受からスラストプ
レートへ給油される潤滑油を充分にシールでき、油上が
りが小さく、信頼性の高いスクロール圧縮機を得る。 【構成】 スラストプレート内径１４ｂの大きさを揺動
スクロール軸受ボス２ｆの揺動運転時の外径軌跡に接触
しない最小径まで小さくし、かつ、スラストプレート１
４の形状をオルダム継手１１の爪部が干渉しない形状と
したものである。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

この考案は、空気調和，冷凍などに用い、冷媒ガスを圧縮するスクロール圧縮 機に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】

図４は出願人が先に出願した特願平２ー１８６１８１号明細書に示された従来 のスクロール圧縮機を示す断面図で、図において、１は渦巻突起１ａと台板１ｂ からなる固定スクロール、２は渦巻突起２ａと台板２ｂと軸受ボス２ｆからなる 揺動スクロール、４は吐出口、５は圧縮室、６は固定スクロール１と揺動スクロ ール２とを支持するフレーム、８は偏心軸、９は偏心軸８の回転を支えるスリー ブ軸受、１０は揺動軸受、１１は揺動スクロール２とフレーム６の間に設けられ ているオルダム継手で、揺動スクロール２の自転を防止する。１３はボルト、１ ４は揺動スクロール２のスラストを支えるスラストプレートで、フレーム端面６ ａに配置される。１５は偏心軸８の下端部を支持するサブフレーム、１６はモー タで、ロータ１６ａとステータ１６ｂとで構成される。１７は偏心軸下端部のス ラストを支える小スラスト軸部、１８は偏心軸８下端部の回転を支える小スリー ブ軸部、１９は上シェル、２０は中シェル、２１は下シェル、２２は吐出口４よ り吐出された高圧流体を貯溜するマフラー部、２３はモータ１６に駆動力を与え る駆動源と導通する端子部、２４は偏心軸８の下端に設けられたポンプ部、２５ はシェル内の底部に溜められた潤滑油である。なお、空間２６は低圧流体領域で 、吸入パイプ２７から流入した低圧流体はその一部がモータ１６を冷却しつつフ レーム６に設けられた６ｄから圧縮室５へ矢印に沿って導かれる。また、上記上 シェル１９，中シェル２０，下シェル２１はそれぞれ溶接によって結合され密閉 容器２８となっている。

【０００３】 図５に示すようにスラストプレート１４は偏心軸８の回転運動に伴う揺動スク ロール２の揺動運動によってスラストプレート１４が回転しないよう回転止め用 の突起１４ａを設けて配置してあり、フレームの外周部６ｂには切り欠き部（図 示せず）等が設けられていて、切り欠き部と突起１４ａによってスラストプレー ト１４の回転止めを行なう。また、図５，図６に示すようにスラストプレート内 径１４ｂは、その内部に収納する揺動スクロールの軸受ボス２ｆの直径をＤ１、 オルダム継手１１の外径をＤ２、揺動スクロール２の公転半径をｒとすると、揺 動スクロールの軸受ボス２ｆおよびオルダム継手１１の揺動運動を阻害しないよ うにするため、スラストプレート内径１４ｂがＤ２＋２ｒ（つまり、オルダム継 手１１の外径軌跡）より大きくなっている。

【０００４】 次に動作について説明する。駆動源により偏心軸８が回転駆動され、オルダム 継手１１を介して揺動スクロール２が揺動運動する。ここで、図７に示すように 固定スクロールの渦巻突起１ａと揺動スクロールの渦巻突起２ａは１８０度位相 のずれた状態で組み合わされ、固定スクロール１は定点Ｐの回りを、揺動スクロ ール２は定点Ｑを基準として揺動運動する。こうして、渦巻突起１ａ，２ａ間に 形成される三日月状の圧縮室５が、吸入口３側から流体を吸入し、渦巻に沿い順 次中心側に移動し、次第にその容積を縮小して中の流体を圧縮し、固定スクロー ル１の中心部の吐出口４から圧出する。 このとき、圧縮室５の圧縮流体の圧力により揺動スクロール２にスラストが作 用するが、これをスラストプレート１４で受け止めている。

【０００５】 また、下シェル２１に溜った潤滑油２５は駆動源により偏心軸８が回転駆動さ れると、ポンプ部２４を介して偏心軸８を通り、スリーブ軸受９，揺動軸受１０ および小スリーブ軸受１８に給油される。さらに、スリーブ軸受９および揺動軸 受１０に給油された潤滑油はスラストプレート１４を給油し、再び下シェル２１ に戻る。一方、小スリーブ軸受１８を給油した潤滑油は小スラスト軸受１７を給 油して下シェル２１へ戻る。

【０００６】

【考案が解決しようとする課題】

従来のスクロール圧縮機は以上のように構成されているので、揺動スクロール のスラストを支持するスラストプレートの内径は、その内部にオルダム継手およ び揺動スクロールの軸受ボスを収納し、かつ、オルダム継手の往復運動を阻害し ない径を確保する必要があった。そのため、従来のスラストプレートでは揺動軸 受およびスリーブ軸受からスラストプレートへ給油される潤滑油を充分にシール するために必要なシール長さを得ることが難しく、スクロール圧縮機の運転中の 油上がりを増大させる問題点があった。

【０００７】 この考案は上記のような問題点を解消するためになされたもので、揺動軸受お よびスリーブ軸受からスラストプレートへ給油される潤滑油を充分にシールでき 、油上がりが小さく、信頼性の高いスクロール圧縮機を得ることを目的とする。

【０００８】

【課題を解決するための手段】

この考案に係るスクロール圧縮機は、スラストプレート内径の大きさを揺動ス クロール軸受ボスの揺動運転時の外径軌跡に接触しない最小径まで小さくし、か つ、スラストプレートの形状をオルダム継手の爪部が干渉しない形状としたもの である。

【０００９】

【作用】

この考案におけるスクロール圧縮機は、スラストプレート内径の大きさを揺動 スクロール軸受ボスの揺動運転時の外径軌跡に接触しない最小径まで小さくし、 かつ、スラストプレートの形状をオルダム継手の爪部が干渉しない形状としたこ とにより、揺動軸受およびスリーブ軸受からスラストプレートへ給油される潤滑 油を充分にシールできる。

【００１０】

【実施例】

以下、この考案の一実施例を図について説明する。図１において、１４はスラ ストプレートで、このスラストプレート内径１４ｂの大きさを揺動スクロール軸 受ボス２ｆの揺動運転時の外径軌跡に接触しない最小径まで小さくし、さらに、 スラストプレートの形状をオルダム継手１１の爪部が干渉しないよう、爪部の可 動部分に対応して切り欠き部１４ｃを設けている。

【００１１】 この実施例によれば、スラストプレート内径１４ｂの大きさを揺動スクロール 軸受ボス２ｆの揺動運転時の外径軌跡に接触しない最小径まで小さくしたことに より、揺動軸受１０およびスリーブ軸受９からスラストプレート１４へ給油され る潤滑油をのシール長さを大きくすることができる。 さらに、オルダム継手１１の爪部の干渉を防ぐために設けられた切り欠き１４ ｃによりスラストプレート１４の回転を防止することができ、従来のスラストプ レート１４に設けていた回転止め用の突起１４ａを廃止することができる。

【００１２】 また、図２に示すようにスラストプレート内径１４ｂを小さくすることにより 、シール長さを大きくすることができるため、揺動スクロール２の摺動面の逃し ２ｇを設けることができ、摺動面の研磨加工面を減少させ、加工精度を向上させ ることができる。

【００１３】 なお、オルダム継手１１の爪部の可動範囲により、図３のようなスラストプレ ート１４を構成してもよく、上記実施例と同様の効果を奏する。

【００１４】

【考案の効果】

以上のように、この考案によればスラストプレート内径の大きさを揺動スクロ ール軸受ボスの揺動運転時の外径軌跡に接触しない最小径まで小さくした構成と したので、揺動軸受およびスリーブ軸受からスラストプレートへ給油される潤滑 油をシールする長さを充分に保つことができ、油上がりが小さく、信頼性の高い ものが得られる効果がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】この考案の一実施例によるスクロール圧縮機の
スラストプレートを示す斜視図である。

【図２】この考案の一実施例によるスクロール圧縮機の
要部断面図である。

【図３】この考案の他の実施例によるスクロール圧縮機
のスラストプレートを示す斜視図である。

【図４】従来のスクロール圧縮機を示す断面図である。

【図５】図４のスラストプレートを示す斜視図である。

【図６】図４のスラストプレート付近の要部拡大断面図
である。

【図７】従来のスクロール圧縮機の渦巻工程図である。

【符号の説明】

１ 固定スクロール ２ 揺動スクロール ２ｆ 軸受ボス ５ フレーム ８ 偏心軸 １４ スラストプレート １４ｂ 内径 ２８ 密閉容器

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)考案者 石井 稔 静岡市小鹿三丁目18番１号 三菱電機株式 会社静岡製作所内

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 密閉容器内で固定スクロールと揺動スク
   ロールとを組み合わせてなるスクロール式の圧縮機構
   と、揺動スクロールに駆動力を伝達する偏心軸と、固定
   スクロールと揺動スクロールとを軸方向に支持するフレ
   ームと、フレームと揺動スクロールとの間のスラストを
   支えるスラストプレートとを備えたスクロール圧縮機に
   おいて、スラストプレート内径の大きさを揺動スクロー
   ル軸受ボスの揺動運転時の外径軌跡に接触しない最小径
   まで小さくしたことを特徴とするスクロール圧縮機。