JPH055002B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本発明は併用軌道に適用したリニアモータ電車
の軌道構造に関する。

（従来の技術） リニアモータ電車は、車上回転モータで歯車減
速して駆動する旧来の電車とは異なり、鉄車輪と
鉄軌条により支持した台車の下面側に設けた誘導
界磁電気コイルと、上記軌条管に設けたリアクシ
ヨンプレートとの間の磁力作用により上記コイル
に推力を生じさせて直接走るようにした電車であ
る。このようなリニアモータ電車は、低床、小
型、軽量に構成することができるという長所を有
しているため、小型の地下鉄車両として走行させ
るのに適している。その場合の軌道構造として
は、従来の鉄道におけるような枕木上に載置した
軌条間にリアクシヨンプレートを接地したものが
考えられている。

（発明が解決しようとする問題点） しかしながら、交通量の増大に伴う道路面の有
効利用のため、最近、リニアモータ電車を通常の
道路面においても走行させることが望ましいとの
観点から、一般自動車道との併存を考慮した軌道
構造が検討され始めている。このような共用構造
を実現するための条件としては、一般の車両の走
行負荷に耐えながら、リニアモータ電車の運転時
に軌道側におけるリアクシヨンプレートと車体側
のコイルとの間に必要とされる15mm以下という微
小な間隙を常時確保しなければならず、従つて、
走行路即ち軌道構造としては、構造、製作及び据
付け面において、高精度が要求されるということ
であるが、前記従来の枕木式の軌道ではかかる要
請に応えることができず、また、今のところ、そ
のような共用の軌道構造の提案もされていない。

（問題点を解決するための手段） 本発明は、道床面上に敷設したプレキヤストコ
ンクリート舗装版（以下PC舗装版という）４と、
このPC舗装版の両側端面にこの端面に沿つて取
り付けた軌条７と、上記PC舗装版の上面に軌条
に沿つて取り付けたリアクシヨンプレート１２と
を具備し、上記軌条はリニアモータ電車の車輪Ｗ
を案内するものであり、上記リアクシヨンプレー
トはリニアモータ電車の下面に設けてあるコイル
Ｃと対応するものである。

（作用） リニアモータ電車の走行に必要なコイルＣとリ
アクシヨンプレート１２間の空隙の距離を決定す
る軌条７とリアクシヨンプレートとの取付け位置
は規格されたPC舗装版４によつて常に一定に保
たれ、かつこの空隙はPC舗装版の設置と同時に
自動的に設定されることになる。

（実施例） 第１図及び第２図において基礎割り栗石上に打
設したコンクリート道床１上面には、その長手方
向（第２図奥行方向）に砂を敷いた所定幅のクツ
シヨン部２が形成してあり、クツシヨン部の両側
部にはクツシヨン部と同一平面のゴムパツド３が
設置してある。クツシヨン部２上にはPC舗装版
４が敷設してある。PC舗装版４はアンカー筋に
よつて又は下面に突設した突起によつて道床１上
に定着させて、PC舗装版の滑動を防止している。
そしてPC舗装版４内には、その長手方向に1.5m
毎に連結棒５が幅方向に貫設してあり、その両端
部に設けたねじ部５ａがPC舗装版４の両側部端
面から水平方向に突出している。PC舗装版４内
には補強のためのピアノ線６が長手方向に配設し
てある。

PC舗装版４の両側端面には、第１図に示すよ
うに、リニアモータ電車の車輪を支持及び案内す
るための溝付きの一対の軌条７が端面に沿つて位
置し、連結棒のねじ部５ａが各軌条のウエブを貫
通し、このねじ部にナツト８を締付けることによ
り、軌条をPC舗装版の側端面に取付固定してあ
る。軌条７のベース７ａは、その底面がPC舗装
版４の下面と同一平面を形成し、ゴムパツド３上
に位置している。軌条７は、その外側の道床１上
面を舗装しているアスフアルト９によつても保持
してある。

PC舗装版４の上面中央に所定幅と深さを有す
るリアクシヨンプレート取付溝４ａが長手方向に
設けてある。溝４ａはその底面４ｂがＶ字形に形
成し、底面中央の谷部から道床１に至る排水路４
ｃが縦方向に設けてある。溝４ａの底面両側に
は、各連結棒５より起立している２本の取付ボル
ト１０，１０の上端のねじ部が突出している。溝
４ａ内には鉄板からなる取付架台１１が水平に載
置してあり、この架台の両側に設けてある孔１１
ａに取付ボルト１０のねじ部が挿通し、ナツトで
架台を固定している。そして取付架台１１上には
アルミニウム板１２ａと鉄板１２ｂとを積層した
リアクシヨンプレート１２が取付けてある。PC
舗装版４の上面とリアクシヨンプレート１２の上
面との段差は15mmに設定してある。リアクシヨン
プレート１２には第１図鎖線に示すリニアモータ
電車Ｅの下面に取付けたコイルＣが対応する。Ｗ
は軌条７の溝を走行する電車Ｅの車輪である。

前記軌道構造の施工法は次の通りである。まず
基礎割り栗石上にコンクリートを打設してコンク
リート道床１を設け、道床上にまず砂を敷いてク
ツシヨン部２を形成し、クツシヨン部の両側にゴ
ムパツド３を敷き、ついで、クツシヨン部上に
PC舗装版４を据付ける。その後、PC舗装版４の
両側端面に軌条７，７を沿わせ、側端面から突出
する連結棒５のねじ部５ａを軌条の孔に挿通し、
ねじ部にナツト８を取付けて締付けることにより
軌条をPC舗装版４に固定する。そして軌条７の
外側をアスフアルト９による舗装を行う。その
後、リアクシヨンプレート１２を固定した取付架
台１１を溝４ａ内に配置し、取付けボルト１０の
ねじ部に絶縁固定することにより、軌道構築作業
を完了する。

かかる軌道構造によれば、軌条７とリアクシヨ
ンプレート１２との相対取付け位置を、予め所定
の形状、寸法に成型されたPC舗装版４によつて
正確に規制することができ、従つて、リニアモー
タ電車の走行に必要なコイルとリアクシヨンプレ
ートとの間の空隙が確実に且つ容易に確保され
る。しかも、軌条７及びリアクシヨンプレート１
２を取付けるPC舗装版４の有する強度によつて
軌道構造全体が一般の車両による走行負担にも耐
える強固なものとなる。

PC舗装版４の側端部の断面形状を軌条７の内
側面形状に一致するように形成しておけば、軌条
とPC舗装版の側端部とが互いに密着して、軌条
の位置が安定する。またPC舗装版４が道床１に
位置保持手段により保持されている限り、軌条７
はPC舗装版４に一体的に取付けてあるので、そ
のベース７ａを必ずしも道床１にボルト等で締結
することを要しないが、曲線部については横圧力
がかかることを考慮して第３図に示すようにベー
ス７ａの外側部をボルト１３とばね板１４で弾性
締結することが望ましい。また、PC舗装版は道
床１に位置保持手段によつて位置保持していない
場合には、アスフアルト９で保持できるが、軌条
７のベース７ａの外側をボルトで締結すれば、
PC舗装版４の保持は確実となり、しかも、締結
と同時に位置保持され施工性が向上する。

（発明の効果） 本発明によれば、PC舗装版に軌条及びリアク
シヨンプレートを取付ける構造とすることによ
り、リニアモータ電車側のコイルと軌道側のリア
クシヨンプレートとの所要の微小間隙が確実に高
精度で保持されると共に、軌道構造自体の堅牢性
も得られるので、リニアモータ電車の走行路に要
求される諸条件を満足すると共に一般交通用道路
内に敷設することも可能となり、従つて、一般道
路において車両とリニアモータ電車との共用によ
る道路交通の効率的利用が実現可能となるもので
ある。特に、このような共用交通システムは、地
下鉄を建設する程の人工規模を持たない都市にお
いては非常に便利なものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は軌道構造の断面図、第２図はコンクリ
ート道床とPC舗装版とリアクシヨンプレートと
を分離して示す斜視図、第３図は曲線部分におけ
る断面図である。 １……道床、４……PC舗装版、７……軌条、
１２……リアクシヨンプレート、Ｃ……コイル、
Ｅ……リニアモータ電車。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 道床面上に敷設したPC舗装版と、 このPC舗装版の両側端面にこの端面に沿つて
   取り付け、リニアモータ電車の車輪を支持案内す
   る軌条と、 上記PC舗装版の上面に上記軌条に沿つて取り
   付け、上記電車下面に設けたコイルと対応するリ
   アクシヨンプレートと を具備するリニアモータ電車の軌道構造。