JPH0547465A - 電磁誘導加熱調理器 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 回路を簡素化すると共に構成部品の破損防止
機能を加え、信頼性の高い低価格な電磁誘導加熱調理器
を得る。 【構成】 電磁誘導加熱用のコイル１に流れる電流を断
続するスイッチング素子２を駆動する駆動回路３を設
け、温度センサ５、入力電流変圧器６、スイッチング電
流変圧器７及び入力電圧分圧抵抗器８よりの検出値を制
御部４のマイクロコンピュータ１３に入力し、制御部４
内の演算等のよる制御出力に基づき、駆動回路３を介し
てスイッチング素子２をオン・オフさせ、これによるコ
イル１の高周波電流によって熱板を介してコイル１上に
載置した被加熱容器内の調理品を加熱する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明は、電磁誘導加熱調理器
（以下、電磁調理器という）などの高周波スイッチング
回路に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】電磁調理器などに用いられている高周波
スイッチング回路は、例えば特開平３−８８２９３号公
報に示されているようなＰＷＭ（パルス幅変調）方式、
すなわち他励方式や、特公平３−２９１４７号公報など
に示されているような自励発振方式のものが使用されて
いる。図５は従来の電磁調理器に用いられている自励発
振方式の高周波スイッチング回路図である。図５におい
て、１は加熱コイル、３はスイッチング素子２の駆動回
路、７０はＣ−Ｒ回路、７１は同期回路、７２は制御
部、７３はＰＷＭ制御部、７４はエラーアンプ、７５は
電流検出部、７６は出力設定部、７７は全波整流平滑回
路、７９は共振コンデンサである。

【０００３】上記のような従来の電磁調理器において、
図５の制御部７２は外部抵抗とコンデンサとで形成する
Ｃ−Ｒ回路７０による自走周波数で常に発振している。
図６のＶｃで示す波形がその発振波形を示し、スイッチ
ング素子２のゲートはＶｇｏの波形でＴｍａｘのオン時
間が発生するように構成されており、スイッチング素子
２はスイッチング電流Ｉｃが断たれると、逆電流として
発生するＶｃｅ波形が零クロスするタイミングのＴ２で
再びオン・パルスを発生させ（Ｖｇのａ点）、所定の出
力に相当するＴｐのオン幅で駆動される。

【０００４】このオン幅の決定は、制御部７２のＰＷＭ
制御部７３によるエラーアンプ７４の出力で動作する。
エラーアンプ７４は通電電流を電流検出部７５で変換し
た電圧と、所定の出力を電圧で設定する出力設定部７５
の電圧と比較した結果、得られた出力をＰＷＭ制御部７
３に与え、オン幅を逐次決定する。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】従来の電磁調理器の駆
動回路は、スイッチング電源用のＩＣや標準ロジックＩ
Ｃを組み合わせた回路で構成されているので、動作が複
雑で信頼性に欠け、コスト高になるなどの問題点があっ
た。

【０００６】この発明は、上記のような課題を解消する
ためになされたもので、回路を簡素化すると共に、構成
する部品の破損防止機能を加えることにより、高信頼化
及び低価格化し、かつ使い勝手のよい電磁調理器を得る
ことを目的とする。

【０００７】

【課題を解決するための手段】この発明に係る電磁調理
器は、電磁誘導加熱用のコイルと、このコイルに流れる
電流を断続するスイッチング素子と、このスイッチング
素子の駆動回路と、被加熱板の温度検出素子とを備え、
入力電流と入力電圧と上記スイッチング素子電流と上記
被加熱板の温度とを検出して制御を行う制御手段を設け
たものである。

【０００８】また、上記駆動回路に電源投入と同時に作
動する自己駆動禁止回路を設け、操作開始時に禁止回路
阻止信号を出力して加熱を開始する制御手段を設けたも
のである。

【０００９】また、上記駆動回路に過電流停止回路を設
け、この過電流停止回路の動作信号によってタイマのカ
ウントダウンを停止し、再駆動時に上記過電流停止回路
をリセットする信号を出力する制御手段を設けたもので
ある。

【００１０】また、過電流停止機能をスイッチング回路
にも設け、過電流停止しきい値が上記スイッチング回路
のしきい値より低いしきい値を有する制御手段を設けた
ものである。

【００１１】さらに、故障などによって装置の駆動が停
止して入力電流が所定値以下になると、再駆動を複数回
行う制御手段を設けたものである。

【００１２】さらにまた、熱板温度検出素子が所定の温
度上昇率以上を検出すると、入力電流を所定の電流値に
制御し、さらに上記熱板温度検出素子の温度検出値が所
定値以上になると駆動を停止する制御手段を設けたもの
である。

【００１３】

【作用】この発明においては、電源投入時には自己停止
しているので誤発振することがない。また駆動回路の過
電流停止状況が制御側で知るので、駆動時には制御側か
らリセットし、駆動回路の過電流停止があっても容易に
再駆動できる。また通常は制御側の過電流停止機能が動
作するようになっているが、制御側が故障のときは駆動
回路の過電流停止が動作するので安全性が向上する。さ
らに回路異常時の原因で入力電流が低くなって発振が一
時停止しても、再駆動を数回行うので、一時的な異常に
より発振が停止することがない。さらにまた熱容量の小
さい被加熱容器の底部温度の上昇程度により加熱し過な
いように温度を低下させ、異常加熱したときは駆動を停
止して破損を防止する。

【００１４】

【実施例】図１はこの発明の一実施例による電磁調理器
の回路図である。図１において、１は電磁誘導加熱用の
コイル、２はコイル１に高周波電流を断続するスイッチ
ング素子、３はスイッチング素子２の駆動回路、４は駆
動回路３を制御する制御部、５は被加熱容器の底部の温
度を検出する温度センサ、６は入力電流変圧器、７はス
イッチング電流変圧器、８は入力電圧の分圧抵抗器、９
は電源プラグ、１０，１１は抵抗１２の端子間電圧によ
り動作するトランジスタ、１３は制御部４内のマイクロ
コンピュータ（以下、マイコンという）、１４は駆動の
開始及び停止を出力する出力ポート、１５はこの出力を
受けてトランジスタ１０，１１の動作を阻止するトラン
ジスタ、１６は電流変圧器６，７の整流平滑回路であ
る。

【００１５】１７〜２０はマイコン１３のアナログ入力
ポートであり、１７はスイッチング電流値、１８は入力
電流値、１９は入力電圧値、２０は温度センサ５の電圧
値をそれぞれ入力する。２１は操作部に配設されたスイ
ッチキー群、２２は同じく表示器群である。２３は入出
力ポートであり、駆動回路３の過電流停止回路と接続し
ている。２４はＤ／Ａ変換部、２５は同期信号を出力す
る第１の電圧比較器、２６は第２の電圧比較器で、スイ
ッチング素子２のオン幅を出力し、その値は非反転入力
２７に印加される電位に依存する。２８は波形の整形を
行う第３の電圧比較器、２９は過電流停止用の第４の電
圧比較器、３０は第４の電圧比較器２９の動作保持用ト
ランジスタ、３１は同じく反転動作解除用トランジスタ
である。

【００１６】図２は調理器本体の断面図であり、３２は
被加熱容器、３３は駆動回路３が配置されている基板、
３４は制御部４が配置されている基板、３５は操作部、

【００１７】図３は入出力ポート２３の詳細を示すブロ
ック図であり、３７は入力バッファ、３８，３９はアー
ステート出力を構成するトランジスタ、４０はデータラ
イン、４１は出力禁止ラインである。

【００１８】図４は入出力タイミングチャートであり、
４２は第４の電圧比較器２９の出力、４３は入出力ポー
ト２３の出力、４４は出力ポート１４の出力波形を示
す。

【００１９】上記のような構成のこの発明による電磁調
理器において、図１の電源プラグ９を商用電源に接続す
ると、ドロッパ抵抗１２を解してトランジスタ１０，１
１が導通し、第１の電圧比較器２５の出力と第３の電圧
比較器２８の出力とが短絡され、この駆動回路３はスイ
ッチング素子２を断続する信号を発生しなくなる。これ
により、電源立上がり時の電圧比較器２５，２８の誤動
作を防止する。

【００２０】駆動開始するには、スイッチキー群２１中
のスタートキー２１ａを操作すると、出力ポート１４よ
り「Ｈ」信号が出力してトランジスタ１５が導通するの
で、トランジスタ１０，１１が素子された回路の駆動が
始まり、マイコン１３から所定の出力コードが出力さ
れ、Ｄ／Ａ変換部２４で電圧指令に変換されて第２の電
圧変換器２６の非反転入力２７へ印加される。スイッチ
ング素子２のオン幅は上記電圧指令が高い程広くなる。
すなわち、出力が増加するように動作する。このオン信
号は第３の電圧変換器２８で波形が形成され、ドライブ
トランジスタを介してスイッチング素子２に印加する。
このときの入力電圧は入力電流変圧器６で電圧に変換さ
れ、整流平滑回路１６で整流平滑される。

【００２１】この入力情報は、マイコン１３のアナログ
入力ポート１８へ印加され、また入力電圧の分圧値はア
ナログ入力ポート１９に印加されて、電流値と電圧値と
の乗算が行われる。そして、操作パネル３５で設定され
た電力と比較演算された出力コードをＤ／Ａ変換部２４
で変換し、指令電圧をフィードバック制御する。スイッ
チング電流変換器７から得られるスイッチング電流情報
はマイコン１３のアナログ入力ポート１７へ印加され、
スイッチング素子２の許容電流を越えないように制御さ
れるが、１４Ａ相当値を越えたときは装置を停止させ
る。つまり、出力ポート１４の出力を「Ｌ」にして内部
のカウンタを一時停止させ次のスタート入力を待機す
る。

【００２２】第４の電圧変換器２９の反転入力へはマイ
コン１３のアナログ入力ポート１７と同じ信号が印加さ
れ、非反転入力は１５Ａ相当のしきい値に設定されてい
る。したがって、マイコン１３が判別し損なったときの
み動作するようになっている。この動作をすると、第４
の電圧変換器２９の出力は「Ｌ」となり、トランジスタ
１５が阻止され、トランジスタ１０，１１が導通して駆
動が停止する。同時にトランジスタ３０を導通して第３
の電圧変換器２８の反転入力へ高い電位を印加するた
め、反転動作が保持されて駆動停止を続行する。したが
って、入出力ポート２３には「Ｌ」が入力され、マイコ
ン１３は過電流停止を知る。

【００２３】次に、マイコン１３は停止処理に入り、出
力ポート１４の出力を「Ｌ」にして、内部タイマを一時
停止させ、再スタート時に入出力ポート２３を出力に切
換え、１０ｍＳの「Ｈ」信号を出力してコンデンサ結合
でトランジスタ３１をワンショット動作させ、第４の電
圧変換器２９の反転を解除するように動作する。すなわ
ち、図３に於ける出力禁止ライン４１で出力を停止して
トランジスタ３８，３９は阻止状態にあり、入出力ポー
ト２３からの信号は入力バッファ３７を介して読み込ま
れ、出力時はデータライン４０よりパルスを発生してト
ランジスタ３８を導通する。

【００２４】図４において、第４の電圧変換器２９の出
力４２のように「Ｈ」から「Ｌ」の信号を入力として入
出力ポート２３が処理すると、出力波形４４のように出
力ポート１４も停止状態となり、再スタート時には、入
出力ポート２３は出力４３で示すような１０ｍＳパルス
を出力し、出力ポート１４より波形４４で示す「Ｈ」を
出力して行く。

【００２５】一方、何等かの故障で駆動が停止する場
合、入力電流変圧器６よりの入力電流情報を監視し、３
Ａ以下であれば１００ｍＳ毎に３回再スタートを繰り返
す動作を行う。

【００２６】また、温度センサ子５での電位変化はアナ
ログ入力ポート２０で読み込まれ、温度上昇率を判断し
て入力電流を減らすことで、肉厚に薄い被加熱容器３２
が異常温度上昇しないようにする。この実施例では、１
３００Ｗより８００Ｗに電力値を下げて防止するように
している。この場合の温度上昇率は毎秒１℃で判別し、
容器の空焼保持温度を２００℃、異常加熱温度を２５０
℃に設定した。

【００２７】

【発明の効果】以上のように、この発明によれば、次に
列記するように入力電流、入力電圧、スイッチング素子
電流及び熱板温度を総合的に処理して制御するようにし
たので、信頼性が高く、操作性のよい電磁調理器は得ら
れる。

【００２８】電源印加時に駆動停止する構成にしたの
で、駆動に際しての誤動作等がなく制御性がよい。

【００２９】スイッチング駆動回路に過電流停止機能を
設け、その動作を制御部で判断でき、再スタート時にリ
セットできるようにしたので信頼性が高くなる。

【００３０】制御部にも過電流停止機能を設け、その動
作しきい値を制御部の方を低く設定し、万一制御部の故
障が生じても、駆動回路自身で過電流停止ができるよう
にしたので、信頼性の高いシステムとなった。

【００３１】万一何等かの故障で発振が停止しても、再
起動を複数回繰り返して動作が持続するので、信頼性が
向上する。

【００３２】被加熱板の温度上昇率を算出し、その値の
高い場合は熱容量の小さい異常加熱する被加熱容器が載
置してあると判断し、入力を低下させて所定の温度に保
持すると共に、この温度より僅かに高い温度になると駆
動停止するようにしたので、装置の破損を防止できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】この発明の一実施例による電磁調理器の制御回
路図である。

【図２】この発明の一実施例による電磁調理器の構成を
示す断面図である。

【図３】図１に於ける入出力ポートの構成を示すブロッ
ク図である。

【図４】この発明の動作を説明するための入出力タイミ
ングチャートである。

【図５】従来の電磁調理器の回路構成を示すブロック図
である。

【図６】従来の電磁調理器の動作を説明するための波形
図である。

【符号の説明】

１ コイル ２ スイッチング素子 ３ 駆動回路 ４ 制御部 ５ 温度センサ ６ 入力電流変圧器 ７ スイッチング電流変圧器

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 久保田 哲正 埼玉県大里郡花園町大字小前田1728番地１ 三菱電機ホーム機器株式会社内 (72)発明者 大塚 一彦 埼玉県大里郡花園町大字小前田1728番地１ 三菱電機ホーム機器株式会社内

Claims (6)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 電磁誘導加熱用のコイルと、このコイル
   に流れる電流を断続するスイッチング素子と、このスイ
   ッチング素子の駆動回路と、被加熱板の温度検出素子と
   を備え、入力電流と入力電圧と上記スイッチング素子電
   流と上記被加熱板の温度とを検出して制御を行う制御手
   段を設けたことを特徴とする電磁誘導加熱調理器。
2. 【請求項２】 上記駆動回路に電源投入と同時に作動す
   る自己駆動禁止回路を設け、操作開始時に禁止回路阻止
   信号を出力して加熱を開始する制御手段を設けたことを
   特徴とする請求項１記載の電磁誘導加熱調理器。
3. 【請求項３】 上記駆動回路に過電流停止回路を設け、
   この過電流停止回路の動作信号によってタイマのカウン
   トダウンを停止し、再駆動時に上記過電流停止回路をリ
   セットする信号を出力する制御手段を設けたことを特徴
   とする請求項１，２記載の電磁誘導加熱調理器。
4. 【請求項４】 過電流停止機能をスイッチング回路にも
   設け、過電流停止しきい値が上記スイッチング回路のし
   きい値より低いしきい値を有する制御手段を設けたこと
   を特徴とする請求項１〜３記載の電磁誘導加熱調理器。
5. 【請求項５】 故障などによって装置の駆動が停止して
   入力電流が所定値以下になると、再駆動を複数回行う制
   御手段を設けたことを特徴とする請求項１〜４記載の電
   磁誘導加熱調理器。
6. 【請求項６】 熱板温度検出素子が所定の温度上昇率以
   上を検出すると、入力電流を所定の電流値に制御し、さ
   らに上記熱板温度検出素子の温度検出値が所定値以上に
   なると駆動を停止する制御手段を設けたことを特徴とす
   る請求項１〜５記載の電磁誘導加熱調理器。