JPH0543749U - 回転磁界型電動機の回転子 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 永久磁石と磁極板フランジ部の対向する隙間
に生じる漏れ磁束を減少する。 【構成】 軸方向に着磁した複数個の永久磁石を、回転
方向に偏在させたフランジ部を有する磁極板で挟持して
回転軸に固着した回転子と、該回転子の外周に間隔をあ
けて配置した固定子を備えた回転磁界型電動機におい
て、上記永久磁石の外周面と隙間をあけて対向する磁極
板のフランジ部内周面に、薄幅な補助永久磁石を固着
し、該補助永久磁石の極性は、フランジ部固着側を磁極
板に流れる極性と同一極性としている。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、回転磁界型電動機の回転子に関し、特に、クローポール式磁極板を 有する回転子の改善を図り、漏れ磁束の低減するものである。

【０００２】

【従来の技術】

従来、この種の回転子にクローポール式磁極板を有する回転磁界型電動機とし て、図５に如き回転子を備えた電動機が提案されている。(実開昭６１−１９５ ７６２号公報) 上記電動機の回転子１は、回転軸２の外周に軸方向に着磁した永久磁石３ａ, ３ｂを固定すると共に、各永久磁石の間に永久磁石を挟持する磁極板４ａ〜４ｄ を固定し、これら磁極板の外周フランジ部を回転方向に偏在させて磁極を形成し ている。

【０００３】 上記回転子１を備える電動機においては、図６および図７に示すように、円環 形状の固定子５の内部に回転子１を配置し、固定子５の内周面に所定間隔をあけ て形成した凹部６に巻線７を収納すると共に、凹部側壁の先端面の鉄心８を上記 回転方向に偏在する磁極板４ａ〜４ｄのフランジ部に所要間隔をあけて位置させ ている。

【０００４】 上記電動機では、主磁束Ｘは図６および図７で実線で示す如く、永久磁極板 ３ａ,３ｂより磁極板４ａ,４ｂ,４ｃ,４ｄを経て鉄心８に流れ、固定子５の巻線 ７より発生する回転磁界によって、回転子１を回転させる力を生じる。

【０００５】

【考案が解決しようとする課題】

しかしながら、磁極板４ａ〜４ｄは永久磁石３ａ,３ｂと接触する円盤部４−I の外周端に軸方向に屈曲するフランジ部４ーIIを設けて、該フランジ部４−IIを 鉄子８と対向させているため、該フランジ部４ーIIの内周面が永久磁石３ａ,３ ｂの外周面と対向するため、漏れ磁束が生じる。即ち、Ｎ極の磁束が流れる磁極 板４ａ,４ｄから永久磁極板３ａ,３ｂのＳ極側に図中点線で示す漏れ磁束Ｙが生 じと共に、同様に、Ｓ極の磁束が流れる磁極板４ｂ,４ｃに永久磁極板３ａ,３ｂ のＮ極側から漏れ磁束Ｙが生じる。

【０００６】 上記漏れ磁束Ｙが多くなると、回転子を回転させるための主磁束Ｘが減少し、 その結果、回転磁界形電動機の出力が低下する。

【０００７】 漏れ磁束を少なくするには、対向する永久磁石の外周面と磁極板のフランジ部 内周面との間の隙間Ｌを広くすると漏量を減少できるが、永久磁石の径を一定と して隙間Ｌを広くすると、電動機が大型化する問題が生じる。 電動機を大型化することなく上記隙間Ｌを広くするには、永久磁石を小径化す る必要があり、この場合には磁束量の絶対値が減少するために、やはり出力が低 下する。即ち、電動機の外径を一定として高出力化を図るには、永久磁石の径を 大きくして、磁極板との隙間Ｌを最小とする必要があるが、隙間Ｌが狭く成る程 、上記したように、漏れ磁束量が増加する問題が生じる。

【０００８】 本考案は、上記した問題を解消するためになされたもので、永久磁石の外周面 と磁極板のフランジ部内周面との隙間に生じる漏れ磁束の発生を無くして、電動 機の小型化および高出力化を可能とするものである。

【０００９】

【課題を解決するための手段】

即ち、本考案は、軸方向に着磁した複数個の永久磁石を、回転方向に偏在させ たフランジ部を有する磁極板で挟持して回転軸に固着した回転子と、該回転子の 外周に間隔をあけて配置した固定子を備えた回転磁界型電動機において、 上記永久磁石の外周面と隙間をあけて対向する磁極板のフランジ部内周面に、 薄幅な補助永久磁石を固着し、該補助永久磁石の極性は、そのフランジ部固着側 を磁極板に流れる極性と同一極性としていることを特徴とする回転子を提供する ものである。

【００１０】 上記補助永久磁石は、各フランジ部内周面に沿って固着する円弧形状の片とし て形成しても良い。また、リング形状として、同一軸方向にある周面上に間隔を あけて配置される異なる磁極板のフランジ部の内周面に固着している。その場合 、リング形状の補助永久磁石には周方向に間隔をあけて極性を変えて着磁し、固 着する磁極板に流れる極性と同一極性の部分が磁極板の固着面に位置されるよう に設定している。また、軸方向に隣接する補助永久磁石を相互に接触させて取り 付けても良いし、あるいは、隙間をあけて配置しても良い。

【００１１】

【作用】

上記したように永久磁石の外周面と対向する磁極板のフランジ内周面に、補助 永久磁石を取り付け、該補助永久磁石の極性を、フランジ部固着側を該フランジ 部に流れる磁束の極性と同一としていることにより、磁極板に流れる磁束の漏れ を減少することが出来る。

【００１２】

【実施例】

以下、本考案を図面示す実施例により詳細に説明する。 図１および図２に示す第１実施例において、回転軸１０の外周面に、軸方向に 着磁した第一永久磁石１１Ａと第二永久磁石１１Ｂとを、鉄等からなる第一〜第 四磁極板(コアポール)１２Ａ〜１２Ｄにより挟持した状態で軸方向に固定してい る。上記第一および第二永久磁石１１Ａ,１１Ｂは図示のように隣接する側が同 一磁性Ｓとなり反対側の磁性をＮとしている。

【００１３】 第一〜第四磁極板１２Ａ〜１２Ｄは図１に示すように永久磁石を挟む円盤部 １３の外周部に９０度間隔をあけて半径方向に伸長した突出部１４を設け、該突 出部１４の外周端より軸方向に屈折させた外周フランジ部１５を設けている。 上記外周フランジ部１５は、同一極性Ｎに円盤部１３が接する第一磁極板１２ Ａと第四磁極板１２Ｄのフランジ部１５を互いに近接する内方へ屈折した形状と し、また、同一極性Ｓに接すると共に円盤部１３が接する第二磁極板１２Ｂと第 三磁極板１２Ｃのフランジ部１５を互いに離れる外方へ屈折した形状としている 。

【００１４】 上記永久磁石１１Ａ,１１Ｂの外周面と隙間Ｃをあけて対向する各フランジ部 １５の内周面には、内周面全体を覆うように円弧形状の薄幅片からなる補助永久 磁石１６を固着している。これら補助永久磁石１６は、フランジ部固着側(即ち 、補助永久磁石１６の外周面)を磁極板に流れる主磁束の極性と同一とし、内周 面側を反対の極性となるように設定している。即ち、補助永久磁石１６は周方向 に着磁しており、第一磁極板１２Ａと第四磁極板１２Ｄのフランジ部１５の内周 面に固着する補助永久磁石１６Ａは外周面側をＮ極、内周面側をＳ極としている 。また、第二磁極板１２Ｂと第三磁極板１２Ｃのフランジ部内周面に固着する補 助永久磁石１６Ｂは外周面側をＳ極、内周面側をＮ極としている。

【００１５】 上記回転軸１０、永久磁石１１Ａ,１１Ｂ、磁極板１２Ａ〜１２Ｄ、補助永久 磁石１６を一体とした回転子２０の外周部には、所要間隔をあけて固定子２１を 設置しており、内周面に開口した凹部２１内に巻線２２を収納すると共に凹部２ １の側壁先端面の鉄心２３を上記フランジ部１５の外周面に所定間隔をあけて配 置している。

【００１６】 上記構造からなる回転磁界型電動機では、前記従来例と同様に、永久磁石１１ Ａ,１１Ｂより磁極板１２Ａ〜１２Ｄを通して主磁束Ｘが鉄心２３へと流れ、巻 線２２から発生する回転磁界により回転子２０を回転させている。

【００１７】 上記電動機において、永久磁石１１Ａ,１１Ｂと磁極板１２Ａ〜１２Ｄのフラ ンジ部１５の隙間Ｃで生じる漏れ磁束は、フランジ部１５の内周面に補助永久磁 石１６を取り付け、該補助永久磁石１６の磁極板固着側を磁極板を流れる磁束と 同一極性としているため、漏れ磁束を大幅に減少することが出来る。よって、鉄 子２３に流れる主磁束を増加して、高出力化を実現させることが出来る。

【００１８】 図３および図４は本考案の第２実施例を示し、補助永久磁石をリング形状とし てる。即ち、同一軸方向の周面上に位置する第一磁極板１２Ａと第二磁極板１２ Ｂのフランジ部１５の内周面にリング形状の補助永久磁石３０Ａを固着し、また 、第三磁極板１２Ｃと第四磁極板１２Ｄのフランジ部１５の内周面にリング形状 の補助永久磁極３０Ｂを固着している。

【００１９】 上記リング形状の補助永久磁石３０Ａ,３０Ｂは固着するフランジ部１５の極 性と同一極性となるように、周方向に間隔をあけて極性を変えて着磁している。 即ち、補助永久磁石３０Ａでは、第一磁極板１２Ａのフランジ部との固着部では 外周面をＮ極とし、また、第二磁極板１２Ｂのフランジ部との固着部では外周面 をＳ極としている。

【００２０】 さらに、上記リング形状の補助永久磁石３０Ａ,３０Ｂとは、隣接する面を隙 間をあけてフランジ部に固着している。

【００２１】 上記第２実施例では、補助永久磁石をリング形状としているため、部品点数が 減少し、かつ、取付手間を軽減できるが、周方向に極性を変えて着磁する必要が ある。

【００２２】

【考案の効果】

以上の説明より明らかなように、本考案では、永久磁石と隙間をあけて対向す る磁極板のフランジ部内周面に補助永久磁石を取り付け、該補助永久磁石のフラ ンジ部固着側を磁極板を流れる磁束の極性と同一極性としているため、磁極板か ら永久磁極へと漏れる磁束を減少することが出来る。 よって、固定子鉄心へ流れる磁束を増加させることができ、電動機の高出力化 を図ることが出来る。 また、磁極板のフランジ部と永久磁石との隙間を広くする必要が無いため、電 動機の小型化を図ることが出来る。

【図面の簡単な説明】

【図１】 本考案の第１実施例を示す正面図である。

【図２】 図１のII−II線断面図である。

【図３】 本考案の第２実施例を示す正面図である。

【図４】 図２のIV−IV線断面図である。

【図５】 従来のクローポール式磁極板を備えた回転子
の断面図である。

【図６】 図５に示す回転子を備えた回転磁界型電動機
の正面図である。

【図７】 図６のVII−VII線断面図である。

【符号の説明】

１０ 回転軸 １１Ａ,１１Ｂ 永久磁石 １２Ａ〜１２Ｄ 磁極板 １３ 円盤部 １５ フランジ部 １６,３０Ａ,３０Ｂ 補助永久磁石

フロントページの続き (72)考案者 竹田 昌弘 静岡県湖西市梅田390番地 アスモ株式会 社内 (72)考案者 玉田 清 静岡県湖西市梅田390番地 アスモ株式会 社内

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 軸方向に着磁した複数個の永久磁石を、
   回転方向に偏在させたフランジ部を有する磁極板で挟持
   して回転軸に固着した回転子と、該回転子の外周に間隔
   をあけて配置した固定子を備えた回転磁界型電動機にお
   いて、 上記永久磁石の外周面と隙間をあけて対向する磁極板の
   フランジ部内周面に、薄幅な補助永久磁石を固着し、該
   補助永久磁石の極性は、フランジ部固着側を磁極板に流
   れる極性と同一極性としていることを特徴とする回転磁
   界型電動機の回転子。