JPH0542660A - 印刷支持体上の証券印刷の無効化装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 （修正有） 【目的】 インキ乾燥により詰まる可能性がほとんどな
く、単純構造からなり制御が簡単で維持が容易な非接触
作動式の改良型無効化装置を提供する。 【構成】 印刷支持体Ｐ上の証券印刷の縦列群と無効化
装置Ｅを相互に配置して備える。無効化装置Ｅは、台１
内で鉛直変位可能でインキ４を受取る槽３、槽３の上方
で回転する遠心ホイール７、及び遠心ホイール７を覆う
カウル９のオリフィス１０と相互作用するシャッター１
１を備える。制御式駆動部材６により、槽３は、遠心ホ
イール７がインキに浸漬しシャッター１１がオリフィス
１０を露出する上方作動位置と、遠心ホイール７がイン
キに浸漬せずシャッター１１がオリフィス１０を閉じる
下方休止位置との間で調節可能である。制御は、誤植と
認定された証券印刷が無効化装置のオリフィス１０を通
過した瞬間に実施され、開放されたオリフィス１０を通
して遠心ホイール７により誤植にインキが吹き付けられ
る。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、少なくとも１つのイン
キ貯蔵部と誤植として検出された証券印刷にインキを塗
布する少なくとも１つの塗布装置とを備えた、印刷支持
体に印刷された証券印刷を無効にするための装置に関す
る。

【０００２】

【従来の技術】この種の無効化装置は、無効印刷装置の
形式で、証券の束を作るために証券のウェブ又はシート
を処理する方法に関した本願と同じ出願人による欧州特
許公報Ｂ−１６７１９６号に開示されている。この方法
によれば、証券印刷を印刷すべき証券ウェブ又はシート
形式の印刷支持体と、複数の横列及び縦列によるマトリ
クス形状に配置した上記印刷支持体上の証券印刷とを、
誤植があるか否かを確認するためにまず最初に調査す
る。誤植として検出された証券印刷には、検出器により
読取り可能なマークを付与する。印刷支持体は、処理の
ため読取り機を通過する。読取り機は、全ての縦列群を
調査するために、縦列群と同数の検出器を備えている。
これらの検出器群は誤植に印されたマークを読み取り、
コンピュータに誤植の位置を書込む。コンピュータは各
誤植位置を記憶する。続いて印刷支持体は無効印刷装置
内に送られる。無効印刷装置は上記コンピュータにより
制御され、全ての誤植に無効重ね印刷を印刷する。印刷
支持体は次に番号付け装置を通過する。番号付け装置は
完全な証券印刷にのみ連続して番号を付与する。その
後、印刷支持体を個々の証券群に切断し、無効重ね印刷
によって明確に不適合と認定された誤植群を分離すると
ともに、完全な証券群を完全な連続番号を備えた束にま
とめる。上記の無効印刷装置の詳細な構造及びその制御
モードは、前述の欧州特許公報Ｂ−１６７１９６号には
開示されない。

【０００３】制御可能なインキ噴霧ノズルを備えて作動
する公知の無効化装置があり、移動する印刷支持体はこ
れにより無効化装置に接する必要がない。しかしこのイ
ンキ噴霧ノズルの欠点は、特に長時間の停止の後や作動
中断の間に乾燥するインキにより容易に詰まり、このた
め清掃及びメンテナンスを頻繁に行わなければならない
点にある。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】本発明が基盤とする目
的は、インキ乾燥により詰まる可能性がほとんどなく、
単純構造からなり制御が簡単で維持が容易な、上記形式
の非接触作動式の改良型無効化装置を提供することにあ
る。

【０００５】

【課題を解決するための手段】本発明によれば、上記目
的は特許請求の範囲第１項の特徴部分に記載した特徴的
手段により達成される。すなわち、本発明による装置
は、少なくとも１つのインキ貯蔵部と、誤植として検出
された証券印刷にインキを塗布する少なくとも１つの塗
布装置とを備えた、印刷支持体に印刷された証券印刷の
無効化装置において、前記インキ貯蔵部は槽であり、該
槽は、台内で鉛直方向に変位可能に取着され、かつ制御
可能な駆動部材によって下方の休止位置と上方の作動位
置との間で調節自在であり、前記インキ塗布装置は遠心
ホイールであり、該遠心ホイールは、作動の間連続して
回転し、台内で槽の上方に水平駆動軸上に配置され、か
つ印刷支持体がその前方を通過するオリフィスを備えた
カウルによって覆われ、前記遠心ホイールは、槽の休止
位置においてインキ液面の上方に位置し、槽の作動位置
においてはインキ内に浸漬し、槽と同期して移動可能で
あり、かつ槽の作動位置においてカウルのオリフィスを
露出させるとともに、槽の休止位置において該オリフィ
スを遮蔽する調節自在なシャッターを備えた、ことを特
徴とするものである。

【０００６】

【作用】本発明による無効化装置においては、インキ通
過用の、したがって詰まる可能性のある細いノズル状オ
リフィスが確実に排除される。さらに、遠心ホイールは
実際の無効化作業における極めて短い時間だけインキ内
に浸漬され、またそれ以外は常にインキの外部に置かれ
るため、遠心ホイールには望ましくないいかなるインキ
層も付着しない。したがって各無効化状況は同一とな
り、長時間の作業の間にも遠心ホイールのインキ汚れの
増加により変化することがない。

【０００７】さらに、好ましくは調節自在なドクターも
備える。このドクターは、槽の休止位置において遠心ホ
イールに当接して付着したインキをかき取り、作動位置
において遠心ホイールから離脱する。本発明の他の好適
な実施例は、特許請求の範囲の従属請求項に記載する。

【０００８】

【実施例】以下、添付図面を参照して本発明をその実施
例によりさらに詳細に説明する。図１及び図２によれ
ば、本発明の実施例による装置は相互に並んで配置され
た複数の無効化装置Ｅを備える。これらの無効化装置Ｅ
は全て同じ構造であり、移送シリンダ１５上を移動する
印刷支持体が図１の矢印方向に案内されて無効化装置群
を通過する。本実施例はウェブ紙形状の印刷支持体Ｐに
関するものであり、この印刷支持体Ｐ上に、例えば銀行
紙幣や郵便切手等の証券印刷が、縦横に列群を有するマ
トリクス状に印刷される。これに関連して、無効化装置
Ｅは、ウェブ紙が有するその移送方向に延びた縦列の数
と同じ数だけ設けられ、各々の縦列の前方に１つの無効
化装置Ｅが調節配置される。図２の装置は４つの無効化
装置Ｅを示すが、これらの位置が個別に調節できること
を示すために、左側の無効化装置を他のものと離して図
示している。

【０００９】図１によれば、各々の無効化装置Ｅは、台
１と、インキ４を収容する鉛直方向に変位可能な槽３
と、槽３の上方に配置した水平駆動軸８に設置され台１
に固定したカウル９に覆われる遠心ホイール７と、鉛直
方向に調節自在なシャッター１１とからなる。本装置の
全ての台１は、移送シリンダ１５の軸線に平行な共通の
クロスメンバ２上に変位自在に配置され、所望の位置で
それぞれのねじ２ａにより固定される。全ての無効化装
置Ｅの遠心ホイール７は共通の駆動軸８上に設置され、
連続して回転する。

【００１０】図３及び図４によれば、各遠心ホイール７
は、薄盤形状でかつ実質的により厚みのあるハブ７ｂ上
に形成した外周域７ａを備え、全遠心ホイール７に共通
の駆動軸上に回転に対して強固に設置される。もし証券
印刷が郵便切手印刷であれば、各図に示した装置は実物
大（１：１）の大きさで示したことになる。すなわち、
遠心ホイールの盤状外周域７ａはわずか約２ｍｍの厚さ
となり、台１の幅は約１８ｍｍとなる。

【００１１】図１によれば、槽３は駆動部材６によっ
て、実線で示した上方の作動位置と鎖線で示した下方の
休止位置３′との間で鉛直方向に調節自在となってい
る。本実施例において、駆動部材６は圧力媒体によって
作動するシリンダ、特に空気圧シリンダである。槽３の
上方作動位置において、インキの液面５は遠心ホイール
７がその外周域７ａをインキ４内に浸漬する程度に高く
なっている。これに対し、槽３の下方休止位置におい
て、インキ液面５′は遠心ホイール７がインキ４内に浸
漬しない程度に低くなっている。

【００１２】カウル９は、移送シリンダ１５の周辺前方
に小さい間隔をおいて位置しかつオリフィス１０を有し
た傾斜壁部９ａを備える。本実施例において、シャッタ
ー１１は槽３の底部３ｂに固定され、かつ本質的に鉛直
に広がる細い板からなる。この板の上方部分は穴１２を
有し、かつカウル９の傾斜壁部９ａに平行に延びるよう
に傾斜する。槽３の作動位置において、実線で示したシ
ャッター１１の穴１２はカウル９のオリフィス１０に同
心に重畳し、これに対し槽３の休止位置において、オリ
フィス１０は鎖線で示したシャッター１１によって遮蔽
される。流入口及び流出口として作用し、かつ台１の長
穴１ａを貫通する側方連結片３ａによって、槽３には常
時十分な量のインキ４が供給され、これにより槽３内の
インキ液面の高さは少なくともほぼ一定を維持する。

【００１３】本実施例ではさらに、遠心ホイール７に関
してシャッター１１の反対側で遠心ホイール７と相互作
用するドクター１３を備える。ドクター１３は、やはり
槽３の底部３ｂに固定した他の本質的鉛直に延びるポス
ト１４の上方傾斜部を形成する。ドクター１３の外形は
遠心ホイール７の外形に整合され、このため本実施例で
は図４に示したように、遠心ホイール７の外周域７ａの
厚さに合致する幅を有した溝１３ａを備える。槽３の作
動位置において、槽３と共に調節自在なドクター１３
は、図１の曲線矢印方向に回転する遠心ホイール７から
離脱する程度に上昇し、一方槽３の休止位置において、
ドクター１３は遠心ホイール７に当接し、外周域７ａが
溝１３ａ内に係合し、これにより遠心ホイール７が槽３
から浮上したときインキが遠心ホイール７からかき落と
される。

【００１４】本装置の作動時には、複数の駆動部材６
を、誤植として検出され、故にインキを吹き付けること
により無効化すべき証券印刷部分のウェブ紙上での位置
の関数として、図示しない制御弁によって個別に制御す
る。ウェブ紙の１つ又はそれ以上の縦列で無効化すべき
誤植がそれぞれの無効化装置Ｅを通過する（すなわちそ
れぞれのオリフィス１０の前方を通って移動する）と、
駆動部材６はただちに作動して、下方の休止位置にあっ
た槽３を上方の作動位置へ上昇させる。シャッター１１
はこれによりオリフィス１０を露出させ、ドクター１３
は遠心ホイール７から離れ、遠心ホイール７がインキ４
内に浸漬する。これにより、遠心ホイール７の周縁部か
ら投下されるインキ（図１に示す）は、穴１２及びオリ
フィス１０を通ってそれぞれの証券印刷上に吹き付けら
れる。無効化する必要のない次の証券印刷がオリフィス
１０を通過する前に、駆動部材６は槽３を下方の休止位
置へ戻す。これによりインキ液面は遠心ホイール７の下
方に降下し、シャッター１１がオリフィス１０を閉じ
る。したがって遠心ホイール７からまだ投下されている
インキは、もはやカウル９の外に出ることができない。
同時に、このとき遠心ホイール７に当接するドククー１
３が、まだ遠心ホイール７に付着しているインキをかき
取るため、装置の休止位置において乾燥すなわち厚肉化
するインキ層は遠心ホイールに堆積することができな
い。

【００１５】図２においては、右から２番めの無効化装
置Ｅの槽３のみが休止位置にあり、他の無効化装置の槽
３は上方の作動位置にある。間を開けずに連続する多数
の縦列証券印刷を無効化すべき場合は、もちろん各槽３
は対応する時間だけ上方の作動位置を維持する。したが
って、例えば郵便切手シートに関する場合、必要とあら
ば全縦列を無効化することができる。

【００１６】駆動部材６の個別制御は、本説明の導入部
で述べたように、印刷支持体上の無効化すべき証券印刷
の位置を記憶したコンピュータにより有利に実行され
る。このコンピュータは、それぞれの駆動部材６の制御
弁を無効化時に一時的に開放する。同じく導入部で述べ
たように、コンピュータへの誤植位置の格納は、例えば
視認調査の結果あらかじめマークを付した証券印刷を探
知する光学検出器や、証券印刷の品質チェックを自動的
に実施して検出した誤植の位置をコンピュータに記憶さ
せる試験検出器によって行われる。

【００１７】本発明は上記の実施例に限定されるもので
なく、駆動部材、遠心ホイール、シャッター、及びドク
ターの構造と配置に関して多くの変形例を許容するもの
である。したがって、シャッター及びドクターを槽と同
期して作動するそれら自体の駆動部材によって変位させ
ることもでき、また例えばドクターの移動を本質的水平
方向に行ってもよい。もちろん印刷支持体は、証券シー
トや個別の証券であってもよい。

【図面の簡単な説明】

【図１】図２の線Ｉ−Ｉに沿った本発明による装置の側
断面図であり、本装置における複数の無効化装置のうち
１つの内部を示す。

【図２】図１の矢印ＩＩから見た本装置の矢視図であ
る。

【図３】図１及び図２の装置の１つの遠心ホイールの側
面図である。

【図４】図３の遠心ホイールの軸断面図であり、調節自
在ドクター及び反対側に投下されるインキと共に示す。

【符号の説明】

Ｅ…無効化装置 Ｐ…印刷支持体 １…台 ３…槽 ４…インキ ６…シリンダ ７…遠心ホイール ９…カウル １０…オリフィス １１…シャッター １３…ドクター

Claims (9)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 少なくとも１つのインキ貯蔵部と、誤植
   として検出された証券印刷にインキを塗布する少なくと
   も１つの塗布装置とを備えた、印刷支持体に印刷された
   証券印刷の無効化装置において、 前記インキ貯蔵部は槽（３）であり、該槽（３）は、台
   （１）内で鉛直方向に変位可能に取着され、かつ制御可
   能な駆動部材（６）によって下方の休止位置と上方の作
   動位置との間で調節自在であり、 前記インキ塗布装置は遠心ホイール（７）であり、該遠
   心ホイール（７）は、作動の間連続して回転し、台
   （１）内で槽（３）の上方に水平駆動軸（８）上に配置
   され、かつ印刷支持体（Ｐ）がその前方を通過するオリ
   フィス（１０）を備えたカウル（９）によって覆われ、 前記遠心ホイール（７）は、槽（３）の休止位置におい
   てインキ液面（５′）の上方に位置し、槽（３）の作動
   位置においてはインキ（４）内に浸漬し、 槽（３）と同期して移動可能であり、かつ槽（３）の作
   動位置においてカウル（９）のオリフィス（１０）を露
   出させるとともに、槽（３）の休止位置において該オリ
   フィス（１０）を遮蔽する調節自在なシャッター（１
   １）を備えた、ことを特徴とする装置。
2. 【請求項２】 前記台（１）内に、前記遠心ホイール
   （７）と相互作用し、かつ該遠心ホイールの外形に整合
   する外形を有した調節自在なドクター（１３）をさらに
   配設し、該ドクター（１３）は、前記槽（３）の休止位
   置において、好ましくは前記遠心ホイールの回転方向か
   ら見て前記オリフィス（１０）の前方で該遠心ホイール
   に当接し、前記槽（３）の作動位置において該遠心ホイ
   ールから離れる、ことを特徴とする請求項１記載の装
   置。
3. 【請求項３】 前記ドクター（１３）を前記槽（３）に
   固定したポスト（１４）に取着することを特徴とする請
   求項２記載の装置。
4. 【請求項４】 前記遠心ホイール（７）の外周域（７
   ａ）は、前記槽（３）の作動位置において少なくともそ
   の一部をインキ内に浸漬し、１〜３ｍｍ、好ましくは約
   ２ｍｍの厚さを有した環状の薄盤からなることを特徴と
   する請求項１〜３のいずれか１つに記載の装置。
5. 【請求項５】 前記ドクター（１３）は前縁部で開いた
   溝部（１３ａ）を備え、該溝部（１３ａ）の幅は前記遠
   心ホイール（７）の外周域（７ａ）の厚さに合致するこ
   とを特徴とする請求項２〜４のいずれか１つに記載の装
   置。
6. 【請求項６】 前記シャッター（１１）は、槽（３）、
   好ましくは槽（３）の底部（３ｂ）に固定した板であ
   り、該板の上方部分は、前記カウル（９）のオリフィス
   （１０）の前方に位置しかつ穴（１２）を備え、該穴
   （１２）は槽（３）の作動位置においてのみカウル
   （９）のオリフィス（１０）と同心に並び、カウル
   （９）の壁部（９ａ）はオリフィス（１０）を好ましく
   は傾斜して備え、シャッター（１１）の上方部分は穴
   （１２）をオリフィス（１０）と平行に備える、ことを
   特徴とする請求項１〜５のいずれか１つに記載の装置。
7. 【請求項７】 前記駆動部材（６）は圧力媒体によって
   作動し制御弁によって制御されるシリンダであることを
   特徴とする請求項１〜６のいずれか１つに記載の装置。
8. 【請求項８】 印刷支持体上で印刷支持体の移動方向に
   延びる複数の縦列と複数の横列とに印刷された証券印刷
   群を無効化する装置であって、複数の台（１）は、その
   各々が槽（３）、駆動部材（６）、遠心ホイール
   （７）、シャッター（１１）、及び適当とあらばドクタ
   ー（１３）を備え、印刷支持体上の証券印刷の縦列群と
   同数の台（１）を相互に隣り合わせに配置し、各台
   （１）の幅は多くとも証券印刷の一縦列の幅に等しく、
   １つ又はそれ以上の縦列に存在する誤植の関数として全
   ての槽の移動が個別に制御可能である、ことを特徴とす
   る請求項１〜７のいずれか１つに記載の装置。
9. 【請求項９】 全ての台（１）を共通のクロスメンバ
   （２）上に調節可能に固定し、全ての遠心ホイール
   （７）を共通の駆動軸（８）上に設置したことを特徴と
   する請求項８記載の装置。