JPH0542624A - 熱線遮断膜 - Google Patents

熱線遮断膜

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JPH0542624A
JPH0542624A JP3191064A JP19106491A JPH0542624A JP H0542624 A JPH0542624 A JP H0542624A JP 3191064 A JP3191064 A JP 3191064A JP 19106491 A JP19106491 A JP 19106491A JP H0542624 A JPH0542624 A JP H0542624A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】耐酸性に優れた熱線遮断膜を提供する。 【構成】基体1上に酸化物膜2、金属膜3、酸化物膜
2、と交互に積層された(2n+1)層(n≧1)の熱
線遮断膜において、基体からみて、最も離れた酸化物膜
4(B)を、酸化亜鉛からなる膜と、酸化錫からなる膜
とを有する多層膜とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は耐久性、特に耐酸性の優
れた熱線遮断膜に関するものである。
【0002】
【従来の技術】基体表面に酸化物膜,Ag膜,酸化物膜
を順に積層した3層からなる膜、または酸化物膜,Ag
膜,酸化物膜,Ag膜,酸化物膜を順次積層した5層か
らなる膜等の(2n+1)層(n≧1)からなる膜は、Low−E
(Low-Emissivity)膜と呼ばれる熱線遮断膜であり、かか
るLow−E膜を形成したガラスは、Low−Eガラス
と呼ばれている。
【0003】これは、室内からの熱線を反射することに
より室内の温度低下を防止できる機能ガラスであり、暖
房負荷を軽減する目的でおもに寒冷地で用いられてい
る。また、太陽熱の熱線遮断効果も有するため、自動車
の窓ガラスにも採用されている。透明でありかつ導電性
を示すため、電磁遮蔽ガラスとしての用途もある。導電
性プリント等からなるバスバー等の通電加熱手段を設け
れば、通電加熱ガラスとして用いることができる。
【0004】おもなLow−Eガラスとしては、ZnO
/Ag/ZnO/ガラスという膜構成を有するものがあ
げられる。しかし、ZnOは耐酸性も不十分であるた
め、空気中の酸性物質によって劣化する不安があった。
また、このようなLow−E膜では、耐擦傷性、化学的
安定性などの耐久性に欠けるため、単板で使うことがで
きず、合わせガラスまたは複層ガラスにする必要があっ
た。特に耐湿性にも問題があり、空気中の湿度や合わせ
ガラスとする場合の中間膜に含まれる水分により、白色
斑点や白濁を生じる。このようなことから、単板での保
管やハンドリングに注意を要していた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、従来
技術が有していた上記の欠点を解決し、耐久性、特に耐
湿性や耐酸性の優れた熱線遮断膜を提供しようとするも
のである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、上述の課題を
解決すべくなされたものであり、基体上に酸化物膜、金
属膜、酸化物膜、と交互に積層された(2n+1)層(n≧1)か
らなる熱線遮断膜において、基体から見て、基体から最
も離れた金属膜(A)の反対側に形成された酸化物膜
(B)は、酸化亜鉛を主成分とする膜を少なくとも1層
と、酸化錫を主成分とする膜を少なくとも1層有する多
層膜であることを特徴とする熱線遮断膜を提供するもの
である。
【0007】図1に本発明の熱線遮断膜の代表例の断面
図を示す。図1(a)は、3層からなる熱線遮断膜の断
面図、図1(b)は、(2n+1)層からなる熱線遮断
膜の断面図である。1は基体、2は酸化物膜、3は金属
膜、4は酸化亜鉛を主成分とする膜と酸化錫を主成分と
する膜とを有する多層膜である酸化物膜(B)である。
本発明における基体1としては、ガラス板の他、プラス
チック等のフィルムや板も使用できる。
【0008】本発明における酸化物膜(B)について説
明する。酸化物膜(B)として、酸化亜鉛を主成分とす
る膜を少なくとも1層と、酸化錫を主成分とする膜を少
なくとも1層有する多層膜を用いると、耐酸性に優れた
熱線遮断膜を実現できる。酸化錫は、耐酸性に優れ、屈
折率等の光学的性質は酸化亜鉛とほぼ等しいので、この
ように従来の酸化亜鉛膜の一部を酸化錫で置換すること
により、光学性能は維持したまま、従来より耐酸性に優
れた酸化物膜(B)を構成できる。一方、スパッタリン
グ法、特に直流スパッタリング法により成膜する際、酸
化亜鉛膜は、酸化錫より高速で成膜できる為、上記耐酸
性と成膜速度とを考慮しながら、酸化物膜(B)の膜構
成および膜厚を決めれば良い。
【0009】酸化物膜(B)は、酸化亜鉛を主成分とす
る膜と、酸化錫を主成分とする膜以外の膜を有していて
も良い。例えば、本発明の熱線遮断膜を内側にしてプラ
スチック中間膜を介してもう1枚の基体と積層して合わ
せガラスとする場合に、かかるプラスチック中間膜との
接着力の調整、もしくは、耐久性向上の目的で、中間膜
と接する層として、100Å以下の酸化物膜(例えば、
酸化クロム膜)を形成しても良い。
【0010】酸化物膜(B)の膜厚は、特に限定されな
いが、熱線遮断膜全体の色調、可視光透過率を考慮する
と、200Å〜700Åが望ましい。積層数及び1層の
膜厚は、装置に応じて選べば良く特に限定されない。ま
た、各層の膜厚がそれぞれ異なっても良い。
【0011】酸化亜鉛は、薄い膜に分割して酸化亜鉛1
層の膜厚を薄くしたほうが、膜の周辺からの酸の影響に
耐えやすい。したがって、具体的な膜構成としては、Zn
O/SnO2/ZnOや、SnO2/ZnO/SnO2 のような3層系や、ZnO/
SnO2/ZnO/SnO2/ZnO や、SnO2/ZnO/SnO2/ZnO/SnO2のよう
な5層系、同様に交互に積層した7層系、9層系などの
ように構成して、酸化亜鉛1層の膜厚を200Å以下、
好ましくは180Å以下とするのが良い。特に好ましく
は100Å以下として上記5層系で構成するのが望まし
い。成膜時の生産性を考慮すると、各層の成膜速度に比
例した膜厚に調整し、全体で450Å程度の上記5層系
の積層膜が好ましい。
【0012】酸化物膜(B)を酸素含有雰囲気中で反応
性スパッタリングにより成膜する場合は、金属膜(A)
の酸化を防ぐために、まず金属膜(A)上に酸素の少な
い雰囲気中で薄い金属膜もしくは酸化不充分な金属酸化
物膜を形成するのが望ましい。この薄い金属膜は、酸化
物膜(B)の成膜中に酸化されて酸化物膜となる。従っ
て上述の酸化物膜(B)の好ましい膜厚は、かかる薄い
金属膜が酸化されてできた酸化物膜の膜厚も含んだ膜厚
である。本明細書において、金属膜3上に形成する酸化
物膜に関しても、同様である。
【0013】成膜条件によるが、酸化錫膜は、比較的、
低内部応力、特に、7.0 ×109dyn/cm2以下の内部応力の
低い膜を形成しやすい。酸化亜鉛膜は、やはり成膜条件
によるが、比較的、高内部応力の膜が形成されやすい。
そこで、本願のように、酸化物膜(B)を、これらを組
み合わせた膜で構成すると、酸化物膜(B)全体とし
て、内部応力の低い膜を容易に得られやすい。
【0014】酸化物膜(B)の内部応力が高いと、かか
る酸化物膜の膜歪の緩和による膜の破損や膜はがれ等に
よって、空気中の湿度や合わせガラスとする場合の中間
膜に含まれる水分により、金属膜(A)の劣化、具体的
には、白濁や斑点が起こりやすいが、このように、内部
応力が低ければ、かかる劣化を防止でき、膜の耐湿性が
大幅に向上する。具体的には、多層からなる酸化物膜
(B)全体の内部応力が、1.1 ×1010dyn/cm2 以下であ
れば耐湿性向上に大きな効果があるので好ましい。
【0015】特に、酸化亜鉛の内部応力が低ければ、膜
の周辺からの酸の影響によっても膜が剥れにくくなるの
で、耐酸性および上述の耐湿性の点からも、酸化亜鉛の
内部応力が低いことが好ましい。酸化亜鉛を主成分とす
る膜は、六方晶系であり、かかる膜の内部応力と、Cu
Kα線を用いたX線回折法による六方晶酸化亜鉛の(0
02)回折線の回折角2θ(重心位置)とがほぼ対応し
ており、かかる回折角2θ(重心位置)が33.88 ゜から
35.00 ゜の間の値、特に、34.00 ゜から34.88゜の値で
あれば、なお好ましい。回折角2θが34.44 ゜以下の値
は、圧縮応力、34.44 ゜以上の値は、引張応力を示す。
【0016】膜の内部応力は、膜の成膜条件により大き
く異なり、低内部応力の膜を成膜するときは、成膜条件
を精密に制御する必要がある。膜の内部応力を低減化で
きる傾向を示す方法としては、成膜時(特にスパッタリ
ング法による場合)の成膜雰囲気の圧力(スパッタ圧
力)を高くする、成膜中に基板加熱を施す等、成膜条件
を変える方法や、成膜後に加熱処理を施す方法等が挙げ
られる。それぞれの具体的な条件は、成膜装置に応じて
選べばよく、特に限定されない。
【0017】酸化亜鉛膜に、酸化状態でZn2+よりイオ
ン半径の小さい他の元素を添加すると、成膜条件により
かなりのバラツキがあるが、その膜の内部応力を低減で
きる傾向がある。(酸化錫膜についても、同様な傾向が
ある。)
【0018】ZnO膜に、酸化状態でZn2+よりイオン
半径の小さい他の元素を添加(ドープ)する場合の、添
加元素としては、Al、Si、B、Ti、Sn、Mg、
Cr等が挙げられる。従ってこれらのうちから少なくと
も1種をドープしたZnOを主成分とする膜も、ZnO
膜と同様に使用できる。ドープ量は、Al、Si、B、
Ti、Sn、Mg、Crのうち少なくとも1種を、Zn
との合計量に対して、原子比で10%以上としても、内
部応力低減効果は変わらないことが多いので、10%以
下程度で十分である。このような、他の元素をドープし
たZnO膜についても、六方晶酸化亜鉛の(002)回
折線の回折角2θ(重心位置)に関して、ZnO膜と同
様のことがいえる。
【0019】酸化物膜(B)以外の酸化物膜2の材料
は、特に限定されない。ZnO、SnO2 、TiO2
これらの2種以上を含む積層膜、これらに他の元素を添
加した膜等が使用できるが、さらに、生産性を考慮する
と、ZnO、SnO2 、ZnO−SnO2 を交互に2層
以上積層させた膜、Al、Si、B、Ti、Sn、M
g、Crのうち少なくとも一つをZnとの総量に対し合
計10原子%以下添加したZnO膜が好ましい。
【0020】色調、可視光透過率を考慮すると、酸化物
膜2は200Å〜700Åであることが望ましい。積層
膜の場合、合計200Å〜700Åであればよく、それ
ぞれの層の膜厚は限定されない。
【0021】特に、酸化物膜、金属膜、酸化物膜、金属
膜、酸化物膜、という5層構成、あるいは5層以上の膜
構成の熱線遮断膜の場合、最外層の酸化物膜(B)以外
の酸化物膜2も内部応力が1.1 ×1010dyn/cm2 以下の膜
を用いることが望ましい。
【0022】本発明における金属膜3としては、Ag、
またはAu、Cu、Pdのうちの少なくとも一つを含む
Agを主成分とする膜などの、熱線遮断性能を有する膜
が使用できる。金属膜3は、かかる熱線遮断性能を有す
る金属膜の他に、各種の機能を有する金属層を有してい
てもよい。例えば、熱線遮断性能を有する金属膜と酸化
物膜(B)や酸化物膜2との間の接着力を調整する金属
層や、熱線遮断性能を有する金属膜からの金属の拡散防
止機能を有する金属層等が挙げられる。これらの機能を
有する金属層を構成する金属の例としては、Zn,A
l,Cr,W,Ni,Tiや、これらのうち2種以上の
金属の合金等が挙げられる。
【0023】これらの金属層を含む金属膜3全体の膜厚
としては、熱線遮断性能及び可視光透過率等とのかねあ
いを考慮して、50Å〜150Å、特に100Å程度が
適当である。
【0024】
【作用】酸化物膜(B)に、酸化錫を主成分とする膜を
導入することにより、耐酸性が大きく向上する。比較的
内部応力の低い膜を形成しやすい酸化錫を主成分とする
膜を導入することにより、酸化物膜(B)全体として1.
1 ×1010dyn/cm2 以下の低内部応力の膜を得やすく、こ
れにより従来の熱線遮断膜に比べて耐湿性も著しく改善
される。これは、酸化物膜の低内部応力化により、酸化
物膜が破損しにくくなり、湿気による劣化が抑えられる
ためと考えられる。
【0025】
【実施例】
(実施例1)Zn、Sn、Agの金属ターゲットをそれ
ぞれ用いて、Ag膜はAr雰囲気中で直流スパッタリン
グ法により、SnO2膜、ZnO膜は酸素含有雰囲気中で反応性
直流スパッタリング法により、ZnO/SnO2/ZnO/SnO2/ZnO/
Ag/ZnO/SnO2/ZnO/SnO2/ZnO/ガラスという膜構成の熱線
遮断膜を作製した。Agは100Å、ZnO、SnO2はいずれ
も1層90Åであった。かかる熱線遮断膜付きガラスの
可視光線透過率は86%、エミッシビティは0.06で
あった。
【0026】この熱線遮断膜付きガラスを1規定の塩酸
に浸漬するという耐酸性試験を行った。浸漬後2分まで
は変化がなかったが、3分後には、膜の端から一部茶色
っぽく変色しはじめ、5分後には、膜の一部に剥離して
いる部分が見られた。
【0027】(比較例1)Zn、Agの金属ターゲット
をそれぞれ用いて、Ag膜はAr雰囲気中で直流スパッ
タリング法により、ZnO 膜は酸素含有雰囲気中で反応性
直流スパッタリング法により、ZnO/Ag/ZnO/ ガラスとい
う膜構成の熱線遮断膜を作製した。Agは100Å、Zn
O は450Åであった。かかる熱線遮断膜付きガラスの
可視光線透過率は86%、エミッシビティは0.06で
あった。
【0028】この熱線遮断膜付きガラスを1規定の塩酸
に浸漬するという耐酸性試験を行った。浸漬直後から膜
が剥離し始め、5分後には、熱線遮断膜が全部ガラスか
ら剥離し、消失した。
【0029】(実施例2)RFスパッタリング法によ
り、ZnO/SnO2/ZnO/SnO2/ZnO/Ag/ZnO/ ガラスという膜構
成のLow−E膜を作製した。Agは100Å、Agと
ガラスの間のZnOは450Å、Agの上のZnOおよ
びSnO2 膜はいずれも1層90Åであった。ZnO及
びAgはZnO及びAgターゲットをArガスでスパッ
タリングし、SnO2 はSnO2 ターゲットをAr,O
2 混合ガスでスパッタリングして得た。スパッタ圧力、
基板温度、ZnO及びAg成膜の際のスパッタ電力は上
記実施例と同様である。SnO2 成膜の際はスパッタ電
力密度は1W/cm2 、Ar:O2ガス流量比は8:2であ
った。
【0030】上記と同様の条件で作製した、ZnO/SnO2/Z
nO/SnO2/ZnO 膜の内部応力は 9.2×109dyn/cm2であっ
た。
【0031】かかる熱線遮断膜について、50℃、相対
湿度95%の雰囲気中に6日間放置するという耐湿試験
を行なった。耐湿試験後の外観は、ごく微小の斑点は見
られたものの、目立った白色斑点及び白濁は観察されず
良好であった。耐湿試験後の膜表面のSEM写真におい
て、膜表面に、ひびわれ、しわ、剥離はほとんど観察さ
れなかった。
【0032】上記熱線遮断膜を形成したガラスを、膜を
内側にして、プラスチック中間膜を介してもう1枚のガ
ラス板と積層して合わせガラスとした。かかる合わせガ
ラスについても同様の耐湿試験を行った。耐湿試験14
日目でも白濁や斑点は全く生じていなかった。
【0033】(実施例3)上記実施例2と同様の方法に
より、ZnO/SnO2/ZnO/SnO2/ZnO/Ag/ZnO/SnO2/ZnO/SnO2/Z
nO/ ガラスという膜構成の熱線遮断膜を作製した。Ag
は100Å、ZnOおよびSnO2 膜はいずれも1層9
0Åであった。ターゲット及びスパッタリングガス、ス
パッタ圧力、基板温度、パワー密度は実施例2と同様で
あった。
【0034】この条件で作製した、ZnO/SnO2/ZnO/SnO2/
ZnO 膜の内部応力は 9.2×109dyn/cm2であった。得られ
た熱線遮断膜の耐湿性は、上記実施例と同様良好であっ
た。
【0035】(比較例2)上記実施例と同様の方法によ
り、ガラス基板上にZnO膜、Ag膜、ZnO膜のそれ
ぞれ450Å、100Å、450Åの膜厚で、順次積層
させた。ターゲットは、ZnO、Agを用い、Arガス
によりスパッタリングをおこなった。スパッタ圧力、基
板温度、スパッタ電力密度は実施例2と同様である。
【0036】得られた熱線遮断膜をX線回折法で調べた
ところ、ZnO(002)回折線の回折角2θ(重心位
置)は 33.78°であった。この条件で作製したZnO膜
の内部応力は 1.5×1010dyn/cm2 であった。
【0037】耐湿試験後の熱線遮断膜は、全面がうすく
白濁しており、直径1mm以上のはっきりした白色斑点
もかなり見られた。耐湿試験後のSEM写真によれば、
膜表面全体にわたって、ひびわれがひろがっており、膜
の破損が著しいことがわかった。
【0038】上記熱線遮断膜を形成したガラスを、膜を
内側にして、プラスチック中間膜を介してもう1枚のガ
ラス板と積層して合わせガラスとした。かかる合わせガ
ラスについても同様の耐湿試験を行った。耐湿試験14
日目には白濁や斑点がはっきり認められた。
【0039】
【発明の効果】本発明による熱線遮断膜は、耐酸性およ
び耐湿性が大きく改善されている。このため、単板での
取扱が容易になると考えられる。また、単板での室内長
期保存の可能性も実現する。さらに、自動車用、建築用
熱線遮断ガラスの信頼性向上につながる。また、合わせ
ガラスとした際にも中間膜が含有している水分によって
劣化することがないので、自動車用、建築用等の合わせ
ガラスの耐久性が向上する。
【0040】本発明の熱線遮断膜は、金属膜を有してい
るため、熱線遮断性能とともに導電性もある。従って、
本発明の熱線遮断膜は、この導電性を利用して、種々の
技術分野に使用できる。例えば、エレクトロニクス分野
においては、電極として(太陽電池の電極などにも使用
できる)、また、通電加熱窓においては、発熱体とし
て、あるいは、窓や電子部品においては、電磁波遮蔽膜
として、使用できる。場合によっては、本発明の熱線遮
断膜は、基体の上に、各種の機能を有する膜を介して形
成することもできる。このような場合には、本発明の熱
線遮断膜の各膜の最適膜厚を選択するなどにより、その
用途に応じて、光学性能を調節することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による熱線遮断膜をガラス上に形成した
熱線遮断ガラスの一例の断面図
【符号の説明】
1 基体 2 酸化物膜 3 金属膜 4 酸化物膜(B)

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】基体上に酸化物膜、金属膜、酸化物膜、と
    交互に積層された(2n+1)層(n≧1)からなる熱線遮断膜に
    おいて、基体から見て、基体から最も離れた金属膜
    (A)の反対側に形成された酸化物膜(B)は、酸化亜
    鉛を主成分とする膜を少なくとも1層と、酸化錫を主成
    分とする膜を少なくとも1層有する多層膜であることを
    特徴とする熱線遮断膜。
  2. 【請求項2】前記酸化物膜(B)は、酸化亜鉛を主成分
    とする膜と、酸化錫を主成分とする膜とが交互に積層さ
    れた3層以上からなる多層膜を有することを特徴とする
    請求項1記載の熱線遮断膜。
  3. 【請求項3】前記酸化物膜(B)は、酸化亜鉛を主成分
    とする膜、酸化錫を主成分とする膜、酸化亜鉛を主成分
    とする膜、と交互に積層された3層、5層、7層、ある
    いは9層からなる多層膜を有することを特徴とする請求
    項2記載の熱線遮断膜。
  4. 【請求項4】前記酸化物膜(B)は、酸化錫を主成分と
    する膜、酸化亜鉛を主成分とする膜、酸化錫を主成分と
    する膜、と交互に積層された3層、5層、7層、あるい
    は9層からなる多層膜を有することを特徴とする請求項
    2記載の熱線遮断膜。
  5. 【請求項5】酸化亜鉛の結晶系が六方晶であり、CuK
    α線を用いたX線回折法による六方晶酸化亜鉛の(00
    2)回折線の回折角2θ( 重心位置) の値が33.88 ゜以
    上35.00 ゜以下の膜であることを特徴とする請求項1記
    載の熱線遮断膜。
  6. 【請求項6】前記金属膜(A)はAgを主成分とする金
    属膜であることを特徴とする請求項1記載の熱線遮断
    膜。
  7. 【請求項7】前記酸化物膜(B)以外の酸化物膜のうち
    少なくとも1層も、酸化亜鉛を主成分とする膜を少なく
    とも1層と、酸化錫を主成分とする膜を少なくとも1層
    有する多層膜であることを特徴とする請求項1記載の熱
    線遮断膜。
  8. 【請求項8】前記酸化物膜(B)を構成する複数の層の
    うち、基体から最も離れた層は、他の基体と積層するた
    めに介在させるプラスチック中間膜との接着力調整層で
    あることを特徴とする請求項1記載の熱線遮断膜。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6189650B1 (en) 1997-02-14 2001-02-20 Futaba Industrial Co., Ltd. Muffler structure
US6316110B1 (en) 1998-04-16 2001-11-13 Nippon Sheet Glass Co., Ltd. Electromagnetic wave filter for plasma display panel
KR100716427B1 (ko) * 2003-01-21 2007-05-08 주식회사 만도 차고 조절용 쇽 업소버

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