JPH0535702Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、歯間部等の清掃効果、歯肉のマツサ
ージ効果、使い勝手等に優れた歯刷子に関するも
のである。

〔従来の技術〕

従来、清掃効果とマツサージ効果をあわせ持つ
歯刷子として、植毛ヘツドの植毛面に軟毛と硬毛
を植毛してなる歯刷子が提案されている。

例えば、(1)実公昭54−18372号公報に開示され
ているものは、植毛ヘツドに凹部と凸部を柄の長
手方向に沿つて交互に形成して植毛面となし、こ
の凹凸状植毛面に毛先の高さを均一として植毛す
ることにより短毛と長毛を交互に有する歯刷子と
したものであり、(2)特公昭60−26650号公報に開
示されたものは、植毛面を植毛ヘツド側から柄に
向かう向きに上昇する傾斜面となし、該傾斜面に
上記(1)と同様に毛先の高さを均一として植毛する
ことにより、刷毛の硬度（軟度）が柄の長手方向
に段階的に変更するようにした歯刷子であり、さ
らに(3)特公昭61−32502号公報に記載されている
ものは、植毛ヘツドの先端部と後端部に傾斜植毛
面を形成して植毛ヘツドの縦断面形状を樋状とな
すと共に、該植毛ヘツドに毛先の高さを均一とし
て植毛し、植毛ヘツドの長手方向に沿つて硬毛、
軟毛、硬毛の順に設けたものである。

〔考案が解決しようとする課題〕

上記従来のものは、太さが均一で長さの異なる
刷毛をその毛先の高さ（植毛ヘツドの裏面からの
高さ）を均一として植毛する（植毛部の毛切りを
平坦状にする）ことにより軟毛、硬毛をあわせ持
つ歯刷子としたものであるが、その清掃効果、マ
ツサージ効果は充分ではなかつた。

すなわち、上記(1)の歯刷子では刷毛の硬さが硬
軟、硬軟、……の繰返しであるため、歯面凹部に
磨き残しが生じ易いし、硬毛の強い当たりを緩和
する軟毛が一種類でその柔軟度が一定であり中間
硬度のものが存在しないので、歯面や歯肉への当
たりの使用感が不良であるという問題点がある。
つまり、清掃効果の点では、硬い刷毛は歯間隣接
面や咬合面の小窩裂溝等の凹部において比較的深
い部分の清掃に適しているが、中間硬度の刷毛が
ないため凹部の浅い部分に磨き残しが生じ易い。

また、この歯刷子では、長毛と短毛との間に段
差が介在するため、これらの植毛穴の間隔は通常
の平坦面あるいは斜面の植毛面における植毛穴間
隔に比べ植毛上の制限を受け、より広くとる必要
がある。すなわち、平坦面や斜面の場合、植毛穴
間隔は1.0mm程度まで狭くすることが可能である
のに対し、上記(1)の歯刷子では通常1.5mm程度に
しなければならないし、長毛、短毛の繰返しに応
じて段差の個数を多くする必要があるので、植毛
穴間隔の大きい、つまり粗毛の歯刷子とならざる
を得ないため、その清掃効果及び耐久性に劣ると
いう大きな欠点がある。

一方、上記(2)の歯刷子では、植毛面全体が一つ
の傾斜面により形成されているものであり、刷毛
の硬、軟の繰返しがないため期待したほどの効果
は得られないものである。

すなわち、歯垢の付着し易い歯の咬合面や隣接
面、歯頸部の凹凸の大きさは植毛部の大きさに比
べてかなり小さいし、前後に動かすブラツシング
のストローク（動く距離）も通常10mm程度以下で
あるから、上記(2)のような植毛面全体が一つの傾
斜面となつている歯刷子では歯刷子長手方向の斜
面の長さが長すぎて、上記凹凸部に硬さの相違す
る刷毛が効率良く作用するブラツシングは殆ど不
可能である。さらに、上記(3)のものについても同
様の問題点が伴う。

本考案は、従来のものの上記問題点を的確に解
消できる歯刷子を提供することを目的とするもの
である。

〔課題を解決するための手段〕

本考案は、植毛ヘツドの植毛面に刷毛を有する
植毛部を柄の先端部に設けた歯刷子において、植
毛ヘツドに柄の長手方向に沿つて傾斜した傾斜植
毛面を垂直面を介して複数反復して形成し、各傾
斜植毛面に３列以上の刷毛を柄の長手方向に直交
させ、かつすべての刷毛の毛先を同一高さとし、
隣接する傾斜植毛面間の刷毛列の間隙を傾斜植毛
面上の刷毛列の間隙より広く植毛したことを特徴
とする歯刷子。

〔作用〕

本考案に係る歯刷子では、植毛ヘツドに硬、
中、軟の３種以上の硬さの刷毛が柄の長手方向に
この順序で並び、しかもこのような配列のみが反
復して形成されているので、歯間部や小窩裂溝の
凹部の深い部分から浅い部分まで順次連続して硬
度の相違する植毛密度の高い毛先が当たり、した
がつて磨き残しがなく、清掃効果の優れた歯刷子
となる。また、歯肉のマツサージ効果も優れてお
り、３種以上の硬さの刷毛が共存するため最も硬
い刷毛の歯肉当たりは２番目、３番目……の硬さ
の刷毛によつて順次緩和されるので、歯肉当たり
が良好となり、硬い刷毛によつて歯肉を傷つける
心配はない。

頬側や舌側の歯面は凹部である歯間部と、凸部
である歯頸部や平滑面とで構成されるが、本考案
の歯刷子は、このような交互の凹凸に適切にフイ
ツトする。すなわち、刷毛の硬さに応じて硬い刷
毛の列は歯間の凹部に、軟い刷毛は歯頸部や平滑
面の凸部に、また中間の硬さの刷毛は隅角部に
各々作用するので、効率よく清掃することができ
る。

さらに、隣接する傾斜植毛面間の刷毛列の間隙
を傾斜植毛面上の刷毛列の間隙より広く植毛して
あるので、 一番長い刷毛の側が空いているので、一番動
きの大きい（軟らかい）長い刷毛を動きを阻害
しない。

上から圧力により大きく撓む長い刷毛が十分
に撓むことができるので、ソフト感を発揮でき
る。

擦掃効果の特に高い短い刷毛の一方に深い溝
の広い間隙があるために、掻き取られた歯磨等
がそこに排除されて、次の擦掃の邪魔にならな
い。

上記間隙に歯磨を取り込めるために、使用中
に口中にも分散しないで保持され、研磨効果を
持続できる。

刷毛ブロツクが間隙を空けて存在するため
に、一番突出している歯面に当たる抵抗を避け
て、歯間に刷毛を届かせることができる。

上記間隙に歯が入るので、歯の裏側まで磨き
やすい。

歯刷子を掃除する際にも上記間隙が一番低い
ところにあるために、特に汚れも含めて清掃し
やすい。

保管時に広い間隙部に水が流れ乾燥しやす
い。

等の作用効果を生じる。

〔実施例〕 次に、本考案の実施例を図面を参照しつつ説明
すると、第１図、第２図に示すように、柄１の先
端部に植毛部２を設けた歯刷子において、植毛ヘ
ツド３には、柄１の長手方向に沿つて傾斜する複
数の傾斜植毛面４₁，４₂，４₃が垂直面５₁，５₂を
介して形成されている。これらの傾斜植毛面は植
毛ヘツド３の先端部から後端部に向かつて上昇す
る傾斜面であり、また前記垂直面は、平面状に形
成した植毛ヘツド裏面に垂直であり、これらの傾
斜植毛面及び垂直面により互いにほぼ合同かつ頂
部高さが等しい複数の凸部６₁，６₂，６₃が形成
されている。なお、図のように凸部６₃の背面の
み、柄１側に下降する傾斜面としてもよい。

そして、各傾斜植毛面には刷毛７が３列、各列
が柄１の長手方向と直交する方向つまり植毛ヘツ
ドの幅方向に沿つて植毛されている。これらの刷
毛７は垂直で、すべての刷毛７の毛先を同一高さ
に切り整えてある。なお、図中８は首部、９は孔
である。

次に、第３図に示す実施例では、傾斜植毛面４
_１，４₂，４₃が植毛ヘツド３の先端部から後端部
に向かつて下降する傾斜面となつている。その他
の構成については第１図例と同様である。

しかして、第１図例と第３図例のものの作用効
果について比較すると、前者では植毛ヘツド先端
部に軟毛が存在するため臼歯部歯肉のマツサージ
に適しており、後者では逆に植毛ヘツド先端部に
硬毛があり、また該先端部を肉薄に加工できるの
で臼歯部の隅部の清掃効果が優れているという相
違点がある。

〔考案の効果〕

以上述べたように本考案による歯刷子は、歯間
部や小窩裂溝の凹部の深い部分から浅い部分まで
順次連続して硬度の相違する植毛密度の高い毛先
が当たつて磨き残しがなく、清掃効果、歯肉のマ
ツサージ効果に優れ、さらに隣接する傾斜植毛面
間の刷毛列間隙が傾斜植毛面上の刷毛列の間隙よ
り広くなつているために、最も軟らかい刷毛が十
分に撓むためにソフト感が高まり、歯間清掃効果
を一層高め、歯の裏側をも磨きやすくし、掻き取
られた歯垢等を排除しやすくし、また歯刷子の清
掃、保管時の乾燥が容易になる等の極めて有用な
る効果を奏するものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の実施例を示すものであつて第
２図−線による正面断面図、第２図はその平
面図、第３図は別の実施例の正面断面図である。 １……柄、２……植毛部、３……植毛ヘツド、
４₁，４₂，４₃……傾斜植毛面、５₁，５₂……垂直
面、６₁，６₂，６₃……凸部、７……刷毛、８…
…首部、９……孔。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 植毛ヘツドの植毛面に刷毛を有する植毛部を柄
   の先端部に設けた歯刷子において、植毛ヘツドに
   柄の長手方向に沿つて傾斜した傾斜植毛面を垂直
   面を介して複数反復して形成し、各傾斜植毛面に
   ３列以上の刷毛を柄の長手方向に直交させ、かつ
   すべての刷毛の毛先を同一高さとし、隣接する傾
   斜植毛面間の刷毛列の間隙を傾斜植毛面上の刷毛
   列の間隙より広く植毛したことを特徴とする歯刷
   子。