JPH0533956B2 - - Google Patents

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JPH0533956B2
JPH0533956B2 JP15966786A JP15966786A JPH0533956B2 JP H0533956 B2 JPH0533956 B2 JP H0533956B2 JP 15966786 A JP15966786 A JP 15966786A JP 15966786 A JP15966786 A JP 15966786A JP H0533956 B2 JPH0533956 B2 JP H0533956B2
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distillation
solution
tbp
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amount
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Toshiharu Aoki
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Agency of Industrial Science and Technology
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  • Vaporization, Distillation, Condensation, Sublimation, And Cold Traps (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は燐酸トリブチルを含む希釈剤又は燐酸
トリブチルを主成分とする溶液等の溶媒を熱分解
を抑えて安定した蒸留を行ない、燐酸トリブチル
及び希釈剤または溶剤の両方を回収できるように
した薄膜蒸留方法に関する。
〔従来の技術〕
一般に核燃料再処理施設、プルトニウム燃料加
工施設、あるいは核燃料及び放射性同位元素等を
取扱う研究施設等で発生する燐酸トリブチル(以
下「TBP」と略記する)を含む廃溶媒の処理方
法としては、流動床、横型燃料炉等を使用して廃
溶媒を燃焼させる燃焼法、硫酸等を使用して酸分
解させる化学分解法、燐酸付加体を形成し分解さ
せることによりTBPを回収する抽出法及び薄膜
蒸留装置を使用して蒸留によりTBP等を回収す
る蒸留法等がある。
これらの方法の中で廃溶媒からTBPとドデカ
ン等の希釈剤の両方を回収できるのは蒸留法だけ
である。この蒸留法は廃溶媒からTBPと希釈剤
の両方を回収することができるため、放射性廃棄
物の発生量をその分だけ少なくでき、全体として
減容化を図ることができるものである。
〔発明が解決しようとする問題点〕
上述のTBPを含む廃溶媒を蒸留法により処理
する場合には、TBP自体が熱分解し易いこと、
廃溶媒中には燐酸ジブチル(以下「DBP」と略
記する)、U、Pu、Zr等の金属や、その塩、錯体
等の成分が含まれており、これらの中にはTBP
の熱分解を促進するものがある等の問題があるた
め、蒸留条件を容易に設定することができず今だ
実用化には至つていない。
本発明の目的は、溶媒中のTBPの熱分解を抑
えて安定した蒸留を行ない、TBP及び希釈剤の
両方を有利に回収することができる蒸留方法を提
供するにある。
〔問題点を解決するための手段〕
本発明は、燐酸トリブチルを含む溶剤の供給量
を下記の条件: 0.1×L/1−η<F<3.78×106×P×S/η
×(t+273) P=0.5〜20(torr) 式中 F:供給液量(Kg/hr) L:蒸留装置における蒸発部の浸辺長さ(m) η:留出率(留出液量/供給液量) S:留出蒸気通過最狭面積(m2) t:蒸留温度(℃) P:蒸留圧力(torr) を満たすようにして、薄膜蒸発式蒸留装置により
蒸留することを特徴とする薄膜蒸留方法を提供す
るものである。
ここで、薄膜蒸発式蒸留装置としては、装置内
での溶媒の滞留時間が短く、しかも局部的な異常
滞留が生ぜず、蒸発効率の高いものを使用する必
要がある。例えば、撹拌薄膜蒸発式、回転円板蒸
発式、降下薄膜蒸発式等の蒸留装置があるが、生
産装置として実用化されている点及び使用実績か
らして撹拌薄膜蒸発式蒸留装置を使用するのが好
ましい。
上述の撹拌薄膜蒸発式蒸留装置の内の可動ロー
タ型は、第1図および第2図に示すような構成の
ものである。第1図は正面断面図、また第2図は
第1図Z−Z線に沿う断面図である。
第1図および第2図において、1は外周部に熱
媒循環用のジヤケツト2を装着し、その内壁に蒸
発面を形成する竪型の筒状本体である。3は廃溶
媒等の溶液を供給する溶液供給管であり、筒状本
体1の蒸発面より上方の位置に装着されている。
4は筒状本体1内を所定の圧力にするための減圧
装置(図示せず)を連結するための吸引管であ
り、筒状本体1の下部に装着された仕切り用筒体
10に装着するか、あるいは筒状本体1の上部に
装着する。5はコンデンサー9により凝縮された
液体を下方より取出すための留出液送出管であ
り、筒状本体1の下部に形成された仕切り用筒体
10の底部に装着されている。6は筒状本体1の
底部に残つた残渣を取出すための残渣送出管であ
り、筒状本体1の底部に装着されている。7は駆
動装置に連結された軸体であり、羽根8が移動自
在に装着されている。羽根8は、第3図に示すよ
うな内壁との摺接面には溶液が通過できる切欠8
aが形成された構成になつており、軸体7と一体
的に形成された羽根保持部7aと共に回転し、遠
心力又はスプリング力により外方に突出し筒状本
体1の内壁に摺接した状態で移動するようになつ
ている。溶液供給管3から供給された溶液を羽根
8により蒸発面上に薄膜として形成するようにな
つている。該溶液は薄膜の状態で下降し、蒸発面
上を移動する間に蒸発して蒸気になる。コンデン
サー9は仕切り用筒体10に装着されており、冷
媒を内部に供給してその外壁を冷却面にし、蒸気
が接触すると凝縮させるようになつている。
蒸気蒸留装置における蒸発部の浸辺長さLは、
蒸発面を形成する内壁周長さであり、留出蒸気通
過最狭面積Sは、筒状本体1の内壁と羽根8との
間隙又は仕切り用筒体10とコンデンサー9との
間隙のどちらか小さい方の面積である。
撹拌薄膜蒸発式蒸留装置の内の固定ロータ型
は、第4図および第5図に示すような構成のもの
である。第4図は正面断面図、第5図は第4図Y
−Y線に沿う断面図である。
第4図および第5図において、11は外周部に
熱媒循環用のジヤケツト12を装着し、その内壁
に蒸発面を形成する竪型の筒状本体である。13
は廃溶媒等の溶液を供給する溶液供給管であり、
筒状本体11の蒸発面より上方の位置に装着され
ている。14は筒状本体11内を所定の圧力にす
る減圧装置(図示せず)をコンデンサー18を介
して連結するための吸引管であり、蒸発面より上
方の位置に装着されている。15は筒状本体11
の底部に残つた残渣を取出すための残渣送出管で
あり、筒状本体11の底部に装着されている。1
6は駆動装置20に連結された軸体であり、上方
に衝突板18が、下方に羽根17が一体的に固着
されている。該羽根17の端部と筒状本体11の
蒸発面の間には所定の間隙を有し、溶液供給管1
3から供給された溶液を該羽根17によつて蒸発
面上に薄膜を形成するようになつている。該溶液
は薄膜の状態で蒸発面上を下降する間に蒸発して
蒸気になる。コンデンサー19には水等の冷媒を
供給してその内部に冷却面を形成し、上述の蒸気
がコンデンサー19内を通過する間に凝縮されて
液体となり留出液として取出すようになつてい
る。
蒸気蒸留装置における蒸発部の浸辺長さLは、
蒸発面を形成する筒状本体11の内壁周長さであ
り、留出蒸気通過最狭面積Sは、筒状本体11の
内壁と羽根17との間隙又は筒状本体11の内壁
と衝突板18との間隙のどちらか小さい方の面積
である。
回転円板蒸発式蒸留装置は第6図に示すような
構成のものである。
第6図において、21は外周部に冷媒循環用の
ジヤケツト22を装着し、その内壁に冷却面を形
成する椀状のドームであり、該ドームの冷却面よ
り下方の内壁に液溜樋27が装着され、冷却面で
凝縮した液体を集めて留出液として留出液送出管
29から取出すようになつている。23は円板で
あり、駆動装置24により回転するようになつて
いる。該円板23の下方には加熱装置25が配設
され、円板23の上面に蒸発面を形成するように
なつている。26は廃溶媒等の液体を供給する供
給管であり、その出口は円板23の上面中央部の
上方に位置するよう設置されている。28は残渣
受けであり、円板23の外周部に該円板を覆うよ
うに設置され、円板23に供給され蒸発しなかつ
た残渣を集めて残渣送出管37から取出すように
なつている。
回転している円板23の中心部に供給された液
体は蒸発面上を薄膜の状態で移動し、その間に蒸
発して蒸気になる。該蒸気はドーム21の冷却面
で凝縮して液体になり、液溜樋27に集められて
留出液送出管29よりドーム21の外に取出すよ
うになつている。38は吸引管である。
上記蒸留装置における蒸発部の浸辺長さLは、
蒸発面を形成する円板23の外周長さであり、留
出蒸気通過最狭面積Sは、ドーム21の内壁を直
径とする面積である。
供給液量(F)は、蒸留装置の蒸発面への供給液量
が少な過ぎると、蒸発面にドライスポツトを生じ
て均一な液膜を形成することができず、ドライス
ポツトにおいて液体の温度が沸点以上に上昇し、
TBPを熱分解したり、焦付き(炭化)等を生じ
ることがある。
そのため、種々供給液量を変化させて実験した
ところ、ドライスポツトは供給液量が0.1/
m・hr(単位時間当り、単位浸辺当りの液量)以
下になると発生することが明らかになつた。
上述のことから、供給液量をF(Kg/hr)、留出
率をη(wt比)、蒸発部の浸辺長さL(m)、装置
内残液の密度を1(Kg/)とすると、 0.1<F(1−η)/L ∵F>0.1×L/1−η ……(1) とする必要がある。
上述とは逆に供給液量が多すぎると、液体の蒸
発蒸気量が多くなり、蒸留装置における蒸気通路
の最狭部での圧力損失が大きくなりすぎてベーパ
ロツク現象を生じる。そのため、ベーパロツク現
象を生じさせないため、供給液量を流体の音速の
式から次のように設定する必要がある。
F×η×22.4×760×(t+273)/M×P×273
×S<Y 式中 F:供給液量(Kg/hr) η:留出率(留出液量/供給液量)(wt比) M:留出蒸気の分子量 S:留出蒸気通過最狭面積(m2) t:蒸留温度(℃) P:蒸留圧力(torr) Y:音速(m/hr) 上述の式において、留出蒸気の分子量(M)を希釈
剤のドデカンの分子量168Kg/K−molで代表さ
せると共に、音速(F)を100℃、1atmの時の速度で
ある390×3600m/hrとすると、次式が得られる。
F<390×3600×168×273×P×S/22.4×760×η×(
t+273) ∵F<3.78×106×P×S/η×(t+273) ……(2) 上述の(1)式、及び(2)式から供給液量の設定条件
の式は次のようになる。
0.1×L/1−η<F<3.78×106×P×S/η×(
t+273)……(3) 尚、留出率(η)は0.3以下になると留出量が
少ないため、非能率的であり、0.9以上になると
蒸留装置の分離性能が低下する。
そのため、留出率(η)は0.3〜0.9の範囲で設
定するのが好ましい。
蒸留圧力(P)は、0.5torr未満の圧力になると溶
媒中の希釈剤であるドデカンの沸点が45℃未満に
なる。そのため、夏期では常温の状態で沸騰ある
いはフラツシユ現象を生じ、飛沫同伴等により留
出液に残渣が混入する可能性があるため、その圧
力を0.5torr未満にすることは避けるべきである。
又、蒸留圧力(P)が20torrを越えると、TBPの沸
点が165℃より高くなり熱分解し易くなるため、
その圧力を20torrより大きくすることも避けるべ
きである。
薄膜蒸留は、一基の薄膜蒸発式蒸留装置により
行なうことができるが、第7図および第8図に示
すように複数の薄膜蒸発式蒸留装置30を設置
し、留出液、又は残液を他の蒸留装置に供給ある
いは環流することにより、純度の高い燐酸トリブ
チル及び希釈剤を回収することができる。
又、第9図のように複数の薄膜蒸発式蒸留装置
30を設置し、留出液を前に位置する蒸留装置
に、残液を後に位置する蒸留装置に供給すると、
より純度の高い燐酸トリブチル及び希釈剤を回収
することができる。
〔実施例〕
実施例 1 操作条件 供給液量(F):0.19Kg/hr 蒸留装置における蒸発部の浸辺長さ(L):0.157m 留出蒸気通過最狭面積(S):1.8×10-3m2 蒸留温度(t):110℃ 蒸留圧力(P):0.7torr ロータの回転数:450R.P.M 筒状本体(蒸発部)内径:50mm 上述の条件で第1図に示すような撹拌薄膜蒸発
式蒸留装置(可動ロータ型)を使用して、ドデカ
ン70.3容量%、TBP29.7容量%(ドデカン64.5重
量%、TBP35.5重量%)からなる溶液を供給し
て蒸留を行なつたところ、次のような結果を得る
ことができた。
(1) 蒸留操作による溶液中の組成変化、 留出液の組成は、ドデカンが71.8重量%、
TBPが28.2重量%であり、 残液の組成は、ドデカンが3.9重量%、TBP
が96.1重量%である。
(2) 蒸留操作による溶液中に含まれていたDBP
の濃度変化、 供給溶液中のDBPは、蒸留操作を行なつた
ところ、171PPM含有されていたものが、留出
液中のDBPは32PPMに、残液中のDBPは
900PPMになつた。
この時の留出率(η)は0.84であり、TBPが
熱分解するとDBPを生成することからして、上
述の測定結果から蒸留中にDBPの生成がなく、
TBPの熱分解が無いことが裏付けられたことに
なる。
又、該装置がガラス製であるため、蒸留の状況
が観察でき、その状態は安定しており、留出液、
及び残液とも着色、その他の変化は認められなか
つた。
本実施例における操作条件に基づいて第3式か
ら溶液供給量(F)を計算すると、 0.1×L/1−η=0.1×0.157/1−0.84=0.098(Kg/
hr) 3.78×106×P×S/η(t+273)= 3.78×106×0.7×1.8×10-3/0.84×(110+273)=1
4.8(Kg/hr) ∵0.098<F<14.8 となり、操業条件における溶液供給量が適性であ
つたことがわかる。
実施例 2 操作条件 供給液量(F):0.30Kg/hr 蒸留装置における蒸発部の浸辺長さ(L):0.157m 留出蒸気通過最狭面積(S):1.8×10-3m2 蒸留温度(t):250℃ 蒸留圧力(P):20torr ロータの回転数:450R.P.M 筒状本体(蒸発部)内径:50mm 上述の条件で第1の実施例と同一の撹拌薄膜蒸
発式蒸留装置(可動ロータ型)を使用して、ドデ
カン70.3容量%、TBP29.7容量%(ドデカン64.5
重量%、TBP35.5重量%)からなる溶液を供給
して蒸留を行なつたところ、次のような結果を得
ることができた。
(1) 蒸留操作による溶液中の組成変化、 留出液の組成は、ドデカンが69.0重量%、
TBPが31.0重量%であり、 残液の組成は、ドデカンが3.0重量%、TBP
が97.0重量%である。
(2) 蒸留操作による溶液中に含まれていたDBP
の濃度変化、 供給溶液中のDBPは、蒸留操作を行なつた
ところ35PPM含有されていたものが、留出液
中のDBPは30PPMに、残液中のDBPは
90PPMになつた。
この時の留出率(η)は0.92であり、上述の測
定結果から蒸留中にDBPの生成がなく、TBPの
熱分解が無いことが裏付けられた。
又、蒸留の状態は安定しており、留出液及び残
液とも着色、その他の変化は認められなかつた。
本実施例における操作条件に基づいて第3式か
ら溶液供給量(F)を計算すると、 0.20<F<283 となり、操業条件における溶液供給量が適性であ
つたことがわかる。
実施例 3 操作条件 供給液量(F):0.12Kg/hr 蒸留装置における蒸発部の浸辺長さ(L):0.157m 留出蒸気通過最狭面積(S):1.8×10-3m2 蒸留温度(t):120℃ 蒸留圧力(P):0.5torr ロータの回転数:450R.P.M 筒状本体(蒸発部)内径:50mm 上述の条件で第1の実施例と同一の撹拌薄膜蒸
発式蒸留装置(可動ロータ型)を使用して、ドデ
カン16.4容量%、TBP83.6容量%(ドデカン13.1
重量%、TBP86.9重量%)からなる溶液を供給
して蒸留を行なつたところ、次のような結果を得
ることができた。
(1) 蒸留操作による溶液中の組成変化、 留出液の組成は、ドデカンが15.3重量%、
TBPが84.7重量%であり、 残液の組成は、ドデカンが7.3重量%、TBP
が92.7重量%である。
(2) 蒸留操作による溶液中に含まれていたDBP
の濃度変化、 供給溶液中のDBPは蒸留操作を行なうこと
により、231PPM含有されていたものが、留出
液中のDBPは196PPMに、残液中のDBPは
437PPMになつた。
この時の留出率(η)は0.86であり、上述の測
定結果から蒸留中にDBPの生成がなく、TBPの
熱分解が無いことが裏付けられた。
又、蒸留の状況は安定しており、留出液及び残
液とも着色、その他の変化は認められなかつた。
本実施例における操作条件に基づいて第3式か
ら溶液供給量(F)を計算すると 0.112<F<10.1 となり、操業条件における溶液供給量が適性であ
つたことがわかる。
実施例 4 操作条件(F):30.6Kg/hr 蒸留装置における蒸発部の浸辺長さ(L):0.25m 留出蒸気通過最狭面積(S):2.2×10-3m2 蒸留温度(t):151℃ 蒸留圧力(P):5torr ロータの回転数:1270R.P.M 筒状本体(蒸発部)内径:80mm 上述の条件で第2図に示すような撹拌薄膜蒸発
式蒸留装置(固定ロータ型)を使用して、ドデカ
ン78容量%、TBP22容量%(ドデカン73.2重量
%、TBP26.8重量%)からなる溶液を供給して
蒸留を行なつたところ、次のような結果を得るこ
とができた。
(1) 蒸留操作による溶液中の組成変化、 留出液の組成は、ドデカンが84.3重量%、
TBPが15.7重量%であり、 残液の組成は、ドデカンが28.4重量%、
TBPが71.6重量%である。
(2) 蒸留操作による溶液中に含まれていたDBP
の濃度変化、 供給溶液中のDBPは、蒸留操作を行なうこ
とにより35PPM含有されていたものが、留出
液中のDBPは20PPMに、残液中のDBPは
90PPMになつた。
この時の留出率(η)は0.79であり、上述の測
定の結果から蒸留中にDBPの生成がなく、TBP
の熱分解が無いことが確かめられた。
又、留出液及び残液とも着色、その他の変化は
認められなかつた。
本実施例における操作条件に基づいて第3式か
ら溶液供給量(F)を計算すると、 0.119<F<121.5 となり、操業条件における溶液供給量は適性であ
つたことがわかる。
実施例 5 上述の実施例4において操作条件の内の蒸留圧
力を1torrに変更して蒸留したところ、留出率が
0.60に低下した。
上述の操作条件において供給液量を40Kg/hrに
増加させると、留出率が0.50に低下し、供給液量
を28Kg/hrに減少させると、留出率が0.70に変化
した。
これらの操作条件に基づいて第3式の 3.78×106×P×S/η(t+273) により供給液量(F)を計算すると、 ηが0.60の時Fは32.7 ηが0.50の時Fは39.2 ηが0.70の時Fは28.0 となり、実際の供給量と計算による供給量がほぼ
一致することがわかる。
実施例 6 操作条件 供給液量(F):22.5Kg/hr 蒸留装置における蒸発部の浸辺長さ(L):1.2m 留出蒸気通過最狭面積(S):2.6×10-3m2 蒸留温度(t):114℃ 蒸留圧力(P):0.8torr 円板の回転数:1200R.P.M 円板の外形寸法:380mm 上述の条件で第3図に示すような回転円板蒸発
式蒸留装置を使用して、ドデカン70.3容量%、
TBP29.7容量%(ドデカン64.7重量%、TBP35.3
重量%)からなる溶液を供給して蒸留を行なつた
ところ、次のような結果を得ることができた。
(1) 蒸留操作による溶液中の組成変化、 留出液の組成は、ドデカンが77.1重量%、
TBPが22.9重量%であり、 残液の組成は、ドデカンが6.2重量%、TBP
が93.8重量%である。
(2) 蒸留操作による溶液中に含まれていたDBP
の濃度変化 供給溶液中のDBPは蒸留操作を行なうこと
により126PPM含有されていたものが、留出液
中のDBPは83PPMに、残液中のDBPは
262PPMになつた。
この時の留出率(η)は0.79であり、上述の測
定結果から蒸留中にDBPの生成がなく、TBPの
熱分解が無いことが確かめられた。
又、留出液及び残液とも着色、その他の変化は
認められなかつた。
本実施例における操作条件に基づいて第3式か
ら溶液供給量(F)を計算すると、 0.057<F<2570 となり、操業条件における溶液供給量は適性であ
つたことがわかる。
実施例 7 操作条件 供給液量(F):0.06Kg/hr 蒸留装置における蒸発部の浸辺長さ(L):0.157m 留出蒸気通過最狭面積(S):1.8×10-3m2 蒸留温度(t):120℃ 蒸留圧力(P):5torr ロータの回転数:450R.P.M 筒状本体(蒸発部)内径:50mm 上述の条件で第1の実施例と同一の撹拌薄膜蒸
発式蒸留装置(可動ロータ型)を使用して、ドデ
カン70.3容量%、TBP29.7容量%(ドデカン64.5
重量%、TBP35.5重量%)からなる溶液を60Co
によるγ線で107rad被爆させた後、該溶液を供給
して蒸留を行なつたところ、次のような結果を得
ることができた。
(1) 蒸留操作による溶液中の組成変化、 留出液の組成は、ドデカンが92.3重量%、
TBPが7.7重量%であり、 残液の組成は、ドデカンが7.8重量%、TBP
が92.2重量%である。
このときの留出率は0.67であつた。
(2) 蒸留操作による溶液性能の変化、 相分離性: 供給溶液の相分離性:>10分 留出液の相分離性:1分 残液の相分離性:>10分 Hナンバー: 供給溶液のHナンバー:1200 留出液のHナンバー:<50 残液のHナンバー:7600 上述の溶液性能における相分離性の評価は、溶
媒とそれと等量の1.2N−NaOHとを混合して静
置し、溶液相と水相の分離時間を測定する方法が
取られている。しかし、2相分離の時間だけでは
各相へのエマルジヨンの残留性等の把握ができな
いため、該測定においては各相の透過率を分光光
度計により測定し、透過率が一定になる時間によ
り定量化した。(時間が短いもの程相分離性が良
い。) 溶液性能におけるHナンバーは、溶媒の劣化度
の指標であり、溶媒の放射線分解により生成した
分解生成物の内核***生成物であるZrと強固な
錯体を形成する化合物総量の濃度に対応する。
(Hナンバーの高い溶媒は核***生成物の除染係
数の低下を示す。) 本実施例においては、T.P.Garrett、Jr.E.N.
Jenkinsの方法によりHナンバーを測定した。
すなわち、各溶液に試料2mlとHfトレーサ溶
液2を取り、静置分離して水相を排出し、試料の
全γカウント数と比放射能からHナンバーを(溶
媒109当りに残留するHfのモル数)を算出し
た。
上述の相分離性、Hナンバーの測定結果より劣
化要因物質が残液側に濃縮されたものと推定する
ことができる。
又、蒸留の状態は安定しており、供給液が淡黄
色であつたものが蒸留することにより、留出液は
無色透明に近くなり、残液は褐色に着色した。
これらのことから劣化要因物質が残液側に濃縮
されたことが裏付けられる。
〔比較実施例〕
比較例 1 操作条件 蒸留温度:塔頂57〜106℃ 塔底98〜161℃ 蒸留圧力:塔頂0.8〜0.9torr 塔底6.0〜15.0torr 留出速度:20〜50c.c./hr 還流比:0.8〜4.5 上述の条件で実施例1と同一の組成の溶液を第
10図に示すような、下部に加熱缶31をその上
部に充填層33を有する充填塔32を一体的に形
成し、充填塔32の上部に留出液送出管35、吸
引管36及び冷媒循環用のコイル34が装着され
た充填塔式回分蒸留装置を使用して蒸留を行なつ
たところ、次のような結果を得た。
(1) 蒸留操作による溶液中の組成変化、 初留液の組成は、ドデカンが99.5重量%、
TBPが0.5重量%であり、 残液の組成は、ドデカンが0.7重量%、TBP
が99.3重量%である。
(2) 溶液中に含まれていたDBPは39PPMのもの
が蒸留操作により43PPMとなり、約10重量%
以上生成された。
又、最初に供給した溶液がほぼ透明であつたも
のが蒸留操作により、缶残液は褐色に着色した。
上述の測定結果からTBP及びドデカンを回収
することができるが、DBPの増加によりTBPが
熱分解を起こしたものと推定できる。
又、TBPが褐色に着色したことからして熱分
解を起こしたことを裏付けることができる。
比較例 2 実施例1と同一の組成の溶液を、実施例1の時
の操作条件の内、蒸留圧力を0.1torrに変更して、
実施例1と同一の第1図の装置により蒸留したと
ころ、筒状本体1に供給された溶液は著しく発泡
して吸引管4から送出されて、減圧装置との間に
設置されているコンデンサー9へ着霜し、蒸留を
開始して30分以内にコンデンサー9の閉塞が認め
られた。そのため、コンデンサー9の霜を融解し
てその組成を分析したところ、殆どがドデカンで
あつた。このことは蒸留圧力が低すぎてドデカン
が蒸留装置の加熱部に到達する前に気化して吸引
管より送出されコンデンサーにより捕捉されたも
のであると考えられる。
比較例 3 上述の比較例2における操作条件を内、蒸留圧
力を30torr、蒸留温度を300℃に変更して蒸留し
たところ、残液に著しい着色が認められたので蒸
留操作を中止した。装置の温度を下げると共に、
圧力を常圧に戻すと、TBPの分解ガスが白煙状
に発生した。このことは蒸留圧力及び蒸留温度が
高いため、TBPが熱分解したものであると考え
られる。
比較例 4 上述の比較例3における操作条件の内、供給液
量を0.04Kg/hr、蒸留圧力を0.5torr、蒸留温度を
100℃、に変更して蒸留したところ、特に蒸留状
態に異常はなかつた。しかし、留出率は0.992と
なり、留出液の組成がドデカン64.6重量%、
TBP35.4重量%と、供給溶液の組成と殆どかわ
らなかつた。
上述の操作条件にもとづいて第3式から溶液供
給量(F)を計算すると、 2<F<9.2 となり、操業条件における溶液供給量が適性でな
かつたことがわかる。
〔発明の効果〕
本発明は上述のように隣接トリブチルを含む溶
剤を所定の蒸留操作条件で薄膜蒸発式蒸留装置に
より、蒸留することにより、燐酸トリブチル及び
ドデカン等の希釈剤を容易に、しかも効率良く回
収することができる。
又、薄膜蒸発式蒸留装置を複数設置して蒸留操
作を行なうと、99%以上の燐酸トリブチル及び希
釈剤を回収することができる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の蒸留方法を実施するための撹
拌薄膜蒸発式蒸留装置の一実施例を示す概略断面
図である。第2図は第1図Z−Z線に沿う断面図
であり、第3図は羽根の取付け状態を示す概略斜
視図である。第4図は撹拌薄膜蒸発式蒸留装置の
他の実施例を示す概略断面図であり、第5図は第
4図Y−Y線に沿う断面図である。第6図は本発
明の蒸留方法を実施するための回転円板蒸発式蒸
留装置の一実施例を示す概略断面図である。第7
図、第8図および第9図は薄膜蒸発式蒸留装置を
複数設置して本発明の蒸留方法を実施するための
実施例を示す概略系統図である。第10図は従来
から使用されている充填塔式回分蒸留装置の一実
施例を示す概略断面図である。 1,11……筒状本体、2,12,22……ジ
ヤケツト、3,13……溶液供給管、4,14,
36,38……吸引管、5,29,35……留出
液送出管、6,15,37……残渣送出管、7,
16……軸体、8,17……羽根、9,19……
コンデンサー、10……仕切り筒体、18……衝
突板、21……ドーム、23……円板、24……
駆動装置、25……加熱装置、26……供給管、
27……液溜樋、28……残渣受け、31……加
熱管、32……充填塔、33……充填層、34…
…コイル、30……薄膜蒸発式蒸留装置。

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1 燐酸トリブチルを含む溶剤の供給量を下記の
    条件を満たすようにして、薄膜蒸発式蒸留装置に
    より蒸留することを特徴とする燐酸トリブチル含
    有液の薄膜蒸留方法。 0.1×L/1−η<F<3.78×106×P×S/η
    ×(t+273) P=0.5〜20(torr) 式中 F:供給液量(Kg/hr) L:蒸留装置における蒸発部の浸辺長さ(m) η:留出率(留出液量/供給液量) S:留出蒸気通過最狭面積(m2) t:蒸留温度(℃) P:蒸留圧力(torr)
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