JPH0533890A - 管継手 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 ボルトの締付けトルクが増大しても接続すべ
き２つの管の間に介装されるガスケットの締め代を一定
値を越えないように規制する。 【構成】 第１のパイプ１０に形成した膨出部１１と第
２のパイプ２０に形成したフレア部２１の間にガスケッ
ト４０を介装し、周方向に１ヶ所切れ目３１を有するク
ランプ３０をボルト５０で締めて第１、第２のパイプ１
０、２０に軸力を与えて緊締する管継手。ガスケットの
締め代は、ボルト５０を締めて切れ目３１の間隔が零に
なった時のガスケット４０の締め代に規制される。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は管継手に関し、たとえば
車両の排気管の継手に利用される。

【０００２】

【従来の技術】従来、一対の半割り状のクランプ部材を
ボルトで締め付け、その時のクランプ部材の周方向締付
力をテーパ面接触で軸方向力に変えて、２つの管を結合
する管継手が、たとえば実開昭５７−７３４８５号公報
により、知られている。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】しかし、従来のクラン
プ部材により締結されるタイプの管継手では、ボルトの
締付けトルクを大にしていけば２つの管間の軸方向力は
無制限に大きくなっていき、ついには両管の間に介装さ
れるシール材の破損を生じて、シール性の信頼性、耐久
性低下を生じるという問題がある。

【０００４】本発明の目的は、クランプのボルトによる
周方向締付力を軸方向力に変えて２つの管を締結するタ
イプの管継手において、ボルトの締付けトルクが増大し
ても両管の間に介装されるガスケットの締め代を一定値
を越えないように規制することにある。

【０００５】

【課題を解決するための手段】上記目的は、本発明によ
れば、次の手段によって達成される。すなわち、半径方
向外方に膨出し周方向に延びる膨出部を端部に有する第
１のパイプ、半径方向に拡開されたフレア部およびフレ
ア部から折れ曲がって前記膨出部に向かって延びる第１
のフランジを端部に有する第２のパイプ、周方向に１ヶ
所第２のフランジ付の切れ目を有し該切れ目と反対側に
屈曲可能部を有し、前記切れ目と屈曲可能部を除いた部
分の断面形状を前記膨出部とフレア部に外周側から接触
可能なように山形形状とされ、前記第２のフランジが当
接した時に前記第１のフランジの先端が前記膨出部の外
面に当接するように第２のフランジ間間隔が設定されて
いるクランプ、および前記膨出部と前記フレア部間に介
装されたガスケット、から成ることを特徴とする管継
手。

【０００６】

【作用】本発明の管継手において、ボルトを締めていっ
てクランプ切れ目の第２のフランジ間間隔が零になる
と、それ以上ボルトを締めても、クランプの径は縮小せ
ず、したがって第１、第２のパイプの軸方向力も増さな
い。したがって、膨出部とフレア部間に介装されている
ガスケットにも、それ以上の締付力はかからず、ガスケ
ットのボルト締め過ぎによる破損は生じない。

【０００７】

【実施例】以下に、本発明の望ましい実施例を、図面を
参照して説明する。図１−図５に示すように、本発明実
施例の管継手は、第１のパイプ１０と、第２のパイプ２
０と、クランプ３０と、ガスケット４０と、ボルト５０
と、から成る。第１のパイプ１０は上流側パイプで、第
２のパイプ２０は下流側パイプである。

【０００８】第１のパイプ１０は、図１に示すように、
端部に、半径方向に屈曲されて膨出し周方向に全周にわ
たって延びる膨出部１１を有する。膨出部１１の断面形
状は二等辺三角形の２つの等辺がなす形状をしており、
頂角の部分には小さなＲがつけられている。膨出部１１
より管端側には管壁が軸方向にストレートに延びるスト
レート部１２が残されている。

【０００９】第２のパイプ２０は、図１に示すように、
端部に、半径方向に拡径されたフレア部２１を有する。
フレア部２１は管端に近づく程径が大になるように拡径
されている。フレア部２１は、第１のパイプ１０の膨出
部１１のフレア部２１に対向する部分と同じ角度で傾斜
されている。

【００１０】第２のパイプ２０は、図１に示すように、
フレア部２１の管端側端部からほぼ直角に折れ曲がっ
て、第１のパイプ１０の膨出部１１側に向かって短く延
びる第１のフランジ２２を有している。第１のフランジ
２２の先端が第１のパイプ１０の膨出部１１に当たると
それ以上には第２のパイプ２０は第１のパイプ１０に軸
方向に近づくことはできず、この時には第１のパイプ１
０の膨出部１１と第２のパイプ２０のフレア部２１との
間にスペースができ、このスペースにガスケット４０が
挿入されることとなる。

【００１１】第２のパイプ２０のフレア部２１に続く部
分は、所定距離にわたって、第１のパイプ１０のストレ
ート部１２より若干大径とされたストレート部２３とな
っており、ここに第１のパイプ１０のストレート部１２
が挿入される。第２のパイプ２０の、若干大径とされた
ストレート部２３には、第１のパイプ１０と同径のスト
レート部２４が一体につながっている。

【００１２】クランプ３０は、周方向に１ヶ所切れ目３
１を有する環状体から成る。クランプ３０は、切れ目を
形成する一対の端部は、半径方向外側に折り曲げられて
一対の第２のフランジ３２、３２を形成している。環状
のクランプ３０の、切れ目３１と反対側には屈曲可能部
３３（図５にも図示）が設けられており、クランプ３０
を第１、第２のパイプ１０、２０の外周に装着するとき
は、屈曲可能部３３の弾性を利用してクランプ３０を拡
げ、拡大された切れ目３１を通して第１、第２のパイプ
１０、２０をクランプ３０内に挿入することにより行
う。

【００１３】クランプ３０の、第２のフランジ付きの切
れ目３１および屈曲可能部３３を除いた部分は、断面形
状がほぼ二等辺三角形の等長２辺がなす山形形状に形成
され断面山形形状部３４を構成している。クランプ３０
の断面山形の傾斜は、第１のパイプ１０の膨出部１１の
一辺と第２のパイプ２０のフレア部２１とがなす山形形
状の傾斜と同じにしてある。これによって、クランプ３
０が締付けられて縮径したときには、クランプ３０の断
面山形形状部３４は、一辺の内面で第１のパイプ１０の
膨出部１１の一辺の外面に、他辺の内面で第２のパイプ
２０のフレア部２１の外面に圧接する。この傾斜面の押
圧によって、クランプ３０の周方向締付力は、第１のパ
イプ１０と第２のパイプ２０の、互いに近づく方向の軸
方向力に変換される。

【００１４】クランプ３０の断面山形形状部３４の巾方
向両側には第１、第２のパイプ１０、２０の軸方向に延
びる第３のフランジ３５が形成されている。このフラン
ジ３５は第２のフランジ３２にも形成されている。第２
のフランジ３２のフランジ３５以外の中央部３６は、図
４に示すように、対向する第２のフランジから離れる方
向にフランジ３５から段付き状にオフセットさせてあ
り、この凹凸形状によって第２のフランジ３２の剛性を
上げてある。

【００１５】第２のフランジ３２にはボルト孔３７が設
けられている。このボルト孔３７には、ボルト５０が挿
通され、ナット５１をボルト５０のねじ部にねじ込むこ
とにより、一対の第２のフランジ３２が近づく方向に、
クランプ３０を締付ける。一方の第２のフランジ３２の
フランジ３５が、それに対向する他方の第２のフランジ
３２のフランジ３５に近づいていって互いに当接する
と、それ以上にボルト５０、ナット５１のトルクを増大
させても、クランプ３０の径は縮小せず、したがって、
第２のフランジ３２が当接したときの軸力以上の軸力
は、第１、第２のパイプ１０、２０に作用しないことと
なる。

【００１６】ボルト５０を締めていくと、クランプ３０
の径が小さくなり、第１、第２のパイプ１０、２０が近
づいていき、ついにクランプ３０の第２のフランジ３２
が互いに当接するが、丁度この時に第２のパイプ２０の
第１のフランジ２２の先端が膨出部１１に当接するよう
に、第２のフランジ３２同志のボルト締付前の間隔が設
定されている。

【００１７】第１のパイプ１０と第２のパイプ２０間の
周方向まわり止めが必要な場合は、図６および図７に示
す構造を設ければよい。すなわち、第１のパイプ１０の
ストレート部１２に周方向に部分的に凹部１３を設け、
第２のパイプ２０のストレート部２３に周方向に部分的
に半径方向内方に突出する凸部２５を形成し、凸部２５
を凹部１３に係合させる。

【００１８】次に、作用を説明する。管継手の組立てに
ついては、まず、第２のパイプ２０に第１のパイプ１０
を差し込むとともに、膨出部１１とフレア部２１の間に
ガスケット４０を保持させ、ついで、クランプ３０を拡
開して膨出部１１とフレア部２１を抱き込むように、第
１のパイプ１０と第２のパイプ２０まわりにクランプ３
０を装着し、ついで、ボルト５０、ナット５１によりク
ランプ３０を締めて、第１、第２のパイプ１０、２０を
軸方向に緊締する。

【００１９】ボルト５０を締めていってついにクランプ
３０の第２のフランジ３２間間隔が零になって第２のフ
ランジ３２同志が当接すると、それ以上にはクランプ３
０の径は縮小せず、したがってそれ以上には第１、第２
のパイプ１０、２０の軸力は増えない。その結果、膨出
部１１とフレア部２１の間に挿入してあるガスケット４
０には、第２のフランジ３２同志が当接したときのガス
ケット締め代以上の締め代はかからず、ガスケット４０
の信頼性、耐久性が向上される。また、第１、第２のパ
イプ１０、２０の軸力規制は、ガスケット４０のみなら
ず、膨出部１１、フレア部２１、第１のフランジ部２２
に変形が生じることを防止する。

【００２０】また、フレア部２１の先端に第１のフラン
ジ２２が設けてあり、第２のフランジ３２同志が当接し
たときに丁度第１のフランジ２２の先端が膨出部１１に
接触するように形状寸法を設定してあるので、これによ
っても、ガスケット４０の締め代の上限が第２のフラン
ジ３２同志が当接したときのガスケット締め代に規制さ
れる。したがって、二重に規制される。

【００２１】この場合、もしも第２のフランジ３２同志
の当接による規制によらずに第１のフランジ２２のみに
よる規制によったとすると、ボルト５０を締めていった
時に第１のフランジ２２と膨出部１１の接触部位にフレ
ッティングが生じて膨出部１１の損傷が起こるおそれが
あるが、第２のフランジ３２同志が当接したときに丁度
第１のフランジ２２が膨出部１１に接触するようにした
ので、そしてそれ以上に第１のフランジ２２と膨出部１
１の接触部に荷重がかからないので、フレッティングに
よる損傷は生じない。

【００２２】上記のようにして組立てられた管継手にお
いては、ガスケット４０は最大締め代が規制されてお
り、かつ直接高温の排気ガスに曝されていず、しかも第
１のパイプ１０と第２のパイプ２０は周方向にも回転止
めされていてガスケット４０に周方向のこすれがかから
ないから、ガスケット４０は高い信頼性、耐久性をも
つ。

【００２３】

【発明の効果】本発明によれば、ボルトの締付けトルク
を増大しても、膨出部とフレア部間に介装されるガスケ
ットの締め代を、クランプの第２のフランジ同志が当接
した時のガスケット締め代に規制できるので、管継手の
シール性の信頼性、耐久性が大幅に高められる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例に係る管継手のうちクランプ
の長手方向断面図である。

【図２】図２のクランプの正面図である。

【図３】図２のクランプの平面図である。

【図４】図２のクランプの第２のフランジ部分近傍の斜
視図である。

【図５】図２のクランプの屈曲可能部近傍の斜視図であ
る。

【図６】図１の管継手のＡ−Ａ線に沿う断面図である。

【図７】図６の管継手のＢ−Ｂ線に沿う第１のパイプの
断面図である。

【符号の説明】 １０ 第１のパイプ １１ 膨出部 １２ ストレート部 １３ 凹部 ２０ 第２のパイプ ２１ フレア部 ２２ 第１のフランジ ２３ ストレート部 ２４ ストレート部 ２５ 凸部 ３０ クランプ ３１ 切れ目 ３２ 第２のフランジ ３３ 屈曲可能部 ３４ 断面山形形状部 ３５ フランジ ３６ 第２のフランジの中央部 ３７ ボルト孔 ４０ ガスケット ５０ ボルト ５１ ナット

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 【請求項１】 半径方向外方に膨出し周方向に延びる膨
   出部を端部に有する第１のパイプ、 半径方向に拡開されたフレア部およびフレア部から折れ
   曲がって前記膨出部に向かって延びる第１のフランジを
   端部に有する第２のパイプ、 周方向に１ヶ所第２のフランジ付の切れ目を有し該切れ
   目と反対側に屈曲可能部を有し、前記切れ目と屈曲可能
   部を除いた部分の断面形状を前記膨出部とフレア部に外
   周側から接触可能なように山形形状とされ、前記第２の
   フランジが当接した時に前記第１のフランジの先端が前
   記膨出部の外面に当接するように第２のフランジ間間隔
   が設定されているクランプ、および前記膨出部と前記フ
   レア部間に介装されたガスケット、から成ることを特徴
   とする管継手。