JPH05320854A - 溶接性に優れた合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法 - Google Patents

溶接性に優れた合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法

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JPH05320854A
JPH05320854A JP15870192A JP15870192A JPH05320854A JP H05320854 A JPH05320854 A JP H05320854A JP 15870192 A JP15870192 A JP 15870192A JP 15870192 A JP15870192 A JP 15870192A JP H05320854 A JPH05320854 A JP H05320854A
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洋一 宮川
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弘二 松林
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 設備コストや設備保全上の問題を生じること
なく、上層に緻密で且つ均一な酸化皮膜を有する合金化
溶融亜鉛めっき鋼板を製造すること。 【構成】 雰囲気ガスを比較的自由に選択、制御できる
高周波誘導加熱炉の特徴を利用し、溶融亜鉛めっき処理
された鋼板を、酸素濃度25%以上の酸化性雰囲気に保
たれた高周波誘導加熱炉に導入し合金化処理することに
より、めっき層の上層に緻密で且つ均一な酸化皮膜(Z
nO)を形成させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は溶接性に優れた合金化
溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】合金化溶融亜鉛めっき鋼板の上層にZn
Oを主成分とする酸化皮膜が存在すると、めっき鋼板の
溶接性が向上することが知られており、この場合のZn
Oの最適値は30〜3000mg/m2(片面当り)で
あるとされている。従来、合金化溶融亜鉛めっき鋼板の
製造プロセスにおける合金化処理は、一般にガス加熱炉
方式で行われているが、このガス加熱炉方式ではバーナ
ー炎の当りが鋼板幅方向で不均一になり易く、且つ鋼板
の幅方向、長手方向での板温の変動も生じ易いため、合
金化時に生成する酸化皮膜は不均一な分布を示し、且つ
ポーラス状のものとなり易く、溶接性向上には不適であ
る。
【0003】従来、合金化溶融亜鉛めっき鋼板上層に酸
化皮膜(主としてZnOを主成分とするもの)を形成さ
せるため、以下のような方法が採られている。 HNO3、HClを主成分とした処理液中に浸漬処
理するか、同処理液をスプレー処理する方法 合金化処理後の気水冷却において、冷却処理液中に
オゾン添加を添加し、酸化を促進する方法
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、これら
のうちの方法は、その処理のためのスペースを確保す
る必要があるとともに、処理タンクや循環タンク等のた
めの設備コストが高いという難点があり、また、酸性液
による浸漬、スプレー処理により表面エッチングが発生
し、めっき鋼板の耐パウダリング性が劣化するという問
題がある。また、の方法では、合金化処理後の気水冷
却は水漏れ等のトラブルが発生し易く、保全上問題があ
るとともに、合金化直後に気水冷却すると合金化ヒート
パターンのフレキシビリティーが小さくなるという問題
もある。
【0005】本発明はこのような従来の問題に鑑みなさ
れたもので、上記、のような問題を生じることな
く、上層に緻密で且つ均一な酸化皮膜を有する合金化溶
融亜鉛めっき鋼板の製造方法を提供しようとするもので
ある。
【0006】
【課題を解決するための手段】従来一般に行われている
ガス加熱方式による合金化処理では、めっき皮膜の外側
から熱が加えられるため加熱が不均一となり易く、この
ため合金化処理段階でめっき皮膜の上層に酸化皮膜を均
一に形成させることは困難である。これに対し、高周波
誘導加熱方式の合金化炉による合金化処理では、高周波
誘導加熱により鋼板自体が直接加熱されるため、めっき
皮膜をその内側から均一に加熱することが可能である。
また、高周波誘導加熱方式はガス加熱方式と異なり雰囲
気ガスを比較的自由に選択、制御できるという特徴があ
り、合金化炉を所定の酸素濃度以上の酸化性雰囲気に保
つことが可能である。
【0007】本発明者らは、このような高周波誘導加熱
方式の特徴を利用することにより、合金化処理工程でめ
っき皮膜上層に均一な酸化皮膜を形成させ得ることを見
出し、本発明を完成させたものである。すなわち本発明
は、鋼板を溶融亜鉛めっきした後、酸素濃度が25%以
上の酸化性雰囲気に保たれた高周波誘導加熱炉において
合金化処理することを特徴とする溶接性に優れた合金化
溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法である。
【0008】
【作用】溶融亜鉛めっき処理された鋼板を、酸素濃度2
5%以上の酸化性雰囲気に保たれた高周波誘導加熱炉に
導入し合金化処理することにより、めっき層の上層に緻
密で且つ均一な酸化皮膜(ZnO)が形成される。高周
波誘導加熱炉内の雰囲気の酸素濃度が25%未満では、
酸化皮膜の付着量が十分ではなく、鋼板各部での酸化皮
膜の形成が不均一になり易い。
【0009】図1は、本発明による合金化溶融亜鉛めっ
き鋼板の製造プロセスの一例を模式的に示したもので、
1はめっき浴、2はシンクロール、3はワイピングノズ
ル、4は高周波誘導加熱方式の合金化炉、5はこの合金
化炉と連通した保熱帯、6は冷却帯である。
【0010】前記合金化炉4は高周波誘導加熱装置7と
これを覆う密閉カバー8とで構成され、この密閉カバー
8内にはガス導入部9を通じて酸化性ガスが導入され、
炉内を所定の酸素濃度の酸化性雰囲気とする。前記保熱
帯5は伝熱リボンヒーターによる保熱方式としてある。
また、合金化炉4の入口と保熱帯5の出口にはシール装
置10a、10bが設けられ、合金化炉4とこれに連通
した保熱帯5とを密閉構造としている。
【0011】このような製造ラインでは、めっき浴1で
めっきされた鋼板Sは、シンクロール2を経て浴外に導
かれ、ワイピングノズル3によりめっき目付量調整が行
われた後、合金化炉4に導かれて合金化処理される。合
金化炉4(密閉カバー8)内にはガス導入部9を通じて
2、H2O(水蒸気)、NOxまたはSOxを含む酸素
濃度25%以上の酸化性ガスが導入され、炉圧が正圧に
保たれている。また、合金化炉4と連通した保熱帯5内
部も同様の雰囲気に保たれている。合金化炉3に導入さ
れためっき鋼板Sは、高周波誘導加熱装置7で均一に加
熱されつつ、合金化炉4および保熱帯5を通過する過程
で、炉内酸化性雰囲気によりめっき皮膜上層に緻密且つ
均一な酸化皮膜が形成される。なお、合金化炉4および
保熱帯5での酸化を促進させるため、鋼板の板温は合金
化炉で450〜600℃、保熱帯で350〜550℃に
保持されることが好ましい。保熱帯5を出ためっき鋼板
Sは、冷却帯6に導入され冷却される。
【0012】次に、めっき皮膜の上層に酸化皮膜を均一
に形成させるためには、めっき皮膜そのものが平滑であ
ることが好ましい。そして、このようなめっき皮膜の平
滑性という観点から言うと、合金化溶融亜鉛めっき層は
δ1相主体の平滑な塊状晶が鋼板面に均一に形成された
ものであることが好ましい。また、このような合金化溶
融亜鉛めっき層は、単に酸化皮膜の均一性を高めるだけ
でなく、鋼板に優れた耐パウダリング性およびプレス成
形性を付与する。以下、このような合金化めっき皮膜を
得るための好ましい条件について説明する。
【0013】本発明者らは、δ1相主体の平滑な塊状晶
が鋼板面に均一に形成された合金化溶融亜鉛めっき層を
形成させることにより、酸化皮膜のより優れた均一性と
優れた耐パウダリング性およびプレス成形性を有する合
金化溶融亜鉛めっき鋼板を安定的に製造することができ
る方法について検討を行い、以下のような知見を得た。
【0014】 めっき浴中で合金化反応(ζ相の生
成)を抑制し、しかもその後の合金化処理を高周波誘導
加熱方式の加熱炉を用いて行なうことにより、δ1相を
主体とする合金化相がストリップの幅方向、長手方向で
均一に形成された皮膜が得られること また、このようにして得られる合金化めっき皮膜
は、上述したようなマクロ的な均一性のみならず、ミク
ロ的にも合金化反応が均一に起きるため、この面からも
優れた耐パウダリング性とプレス成形性が得られること
【0015】 浴条件と高周波誘導加熱方式の加熱炉
出側板温条件を規定することにより、厳密な皮膜の制御
が可能であること 具体的には、低Al浴で且つ浴中Al量との関係で規定
される低目の侵入板温でめっきを施すことにより、或い
は、高Al浴で且つ浴中Al量との関係で規定される高
目の侵入板温でめっきを施し、浴中で合金化抑制相であ
るFe2Al5を厚く生成させることにより、浴中での合
金化反応(ζ相の発生)を適切に抑えることが可能であ
り、さらに、このようなめっき鋼板に対する高周波誘導
加熱方式の加熱炉を用いた合金化処理を、加熱炉出側で
の板温を495℃超〜520℃に管理して行うことによ
り、上記、で述べたような皮膜が得られること、
【0016】そして、このような知見に基づき検討を加
えた結果、以下(1)または(2)の条件で溶融亜鉛め
っき処理および合金化処理することにより、上述のよう
な平滑且つ均一な合金化溶融亜鉛めっき層が得られるこ
とが判った。
【0017】(1)浴中Al量:0.05%以上、0.
13%未満、浴温度:460℃以下で、且つ、浴中Al
量と鋼板のめっき浴中への侵入板温とが、 437.5×〔Al%〕+428>T≧437.5×〔Al%〕+408 但し、〔Al%〕:浴中Al量(%) T :侵入板温(℃) を満足する条件で溶融亜鉛めっきを行うことにより、浴
中でFe−Zn合金化反応を抑制し、めっき後、高周波
誘導加熱炉で加熱炉出側の板温が495℃超〜520℃
となるように加熱する。
【0018】(2)浴中Al量:0.13%以上、浴温
度:470℃以下で、且つ、浴中Al量と鋼板のめっき
浴中への侵入板温とが、 571×〔Al%〕+416≧T≧571×〔Al%〕+396 但し、〔Al%〕:浴中Al量(%) T :侵入板温(℃) を満足する条件でめっきを行うことにより、浴中で合金
化抑制相であるFe2Al5を積極的に形成させてFe−
Zn合金化反応を抑制し、めっき後、高周波誘導加熱炉
で加熱炉出側の板温が495℃超〜520℃となるよう
に加熱する。
【0019】すなわち、浴中での合金化反応を極力抑制
し、且つこのように合金化が抑制されためっき皮膜に対
し、高周波誘導加熱による合金化処理を特定の条件で実
施することにより、Γ相が少なく、且つ鋼板各部におい
てδ1相を主体とする平滑な合金化相が均一に形成さ
れ、しかも皮膜構造のミクロ的な均一性によって全体と
して優れた耐パウダリング性を有し、さらにプレス成形
性にも優れためっき鋼板が得られるものである。したが
って、このような合金化溶融亜鉛めっき皮膜を形成させ
る際、本発明に従って所定の酸化性雰囲気の合金化炉内
で合金化処理することでめっき皮膜の上層に極めて均一
な酸化膜を生成させることができる。
【0020】このようなめっき−合金化処理条件におい
て、上述のような優れた特性のめっき皮膜が得られるの
は、次のような理由によるものと推定される。まず、第
1に、合金化処理において高周波誘導加熱方式を用いる
ことにより、鋼板自体を直接加熱することができ、しか
も、めっき皮膜に接する界面が最も加熱されるため、雰
囲気加熱方式に較べ界面におけるFe−Zn反応が短時
間でしかもストリップ上の位置に無関係に均一に起き、
このため、鋼板上での部分的な過合金やζ相の残留がな
く、均一なδ1相が形成され、これにより皮膜の平滑性
および均一性と均一な耐パウダリング性およびプレス成
形性が得られるものと推定される。
【0021】第2に、高周波誘導加熱は上記のように鋼
板側からの加熱であるため、微視的にも均一な合金化反
応が生じることによるものと推定される。すなわち、従
来一般に行われているガス加熱による合金化処理では、
皮膜の外側から熱が加えられるため加熱が不均一となり
易く、このため合金化反応が微視的に不均一に生じ易
い。特に結晶粒界は反応性に富むため、所謂アウトバ−
スト反応が生じ易く、このようにアウトバ−スト組織が
発生すると、この部分からΓ相が成長し始め、このΓ相
の形成により耐パウダリング性が劣化する。これに対
し、高周波誘導加熱は鋼板側からの加熱であるため、上
記のような合金化の局部的なバラツキが少なく、また、
鋼板面の酸化物や浴中で生じた合金化抑制物質(Fe2
Al5)も容易に拡散するため、ミクロ的にも均一な合
金化皮膜が得られるものと思われる。
【0022】第3に、高周波誘導加熱はめっきを短時間
で合金化できることからΓ相の成長時間が短いことが挙
げられる。そして、本発明では浴中でのΓ相の発生も抑
えられるため、最終的なΓ相の形成量が少なく、このこ
とも耐パウダリング性の向上に大きく寄与しているもの
と考えられる。
【0023】第4に、高周波誘導加熱の利点として、鋼
板幅方向、長さ方向で均一な加熱が可能であるため、加
熱炉出側での厳密な板温管理が可能であり、また、ガス
炉等の雰囲気加熱方式とは異なり、加熱された雰囲気ガ
スの上昇(ドラフト効果)がないため、特殊な冷却をし
なくても過合金が起り難いことによるものと考えられ
る。
【0024】また、合金化抑制相であるFe2Al5を浴
中で形成させることによりFe−Zn反応を抑制し、続
く加熱処理においてδ1相を形成させる上記(2)の方
法では、上記のように高周波誘導加熱が鋼板側からの加
熱であるため、合金化時にFe2Al5が容易に拡散しδ
1相を形成する。つまり、Fe−Zn反応を適切に抑制
するためにFe2Al5を厚く形成させても、合金化時に
これを確実且つ均一に拡散することができる。この結
果、合金化がミクロ的にも均一化し、厚いFe2Al5
形成により浴中でのΓ相の発生が抑制されることと相俟
って、均一な合金相と優れた耐パウダリング性が得られ
るものと考えられる。
【0025】上記(1)および(2)方法では、めっき
浴中での合金化反応を極力抑制するため、めっき浴中の
Al量、めっき浴に侵入する際の鋼板の板温及び浴温度
が規定される。すなわち、めっき浴中での合金化反応を
抑制するため、(1)の方法では低Al浴で且つ浴中A
l量との関係で規定される低目の侵入板温とし、また、
(2)の方法では高Al浴で且つ浴中Al量との関係で
規定される高目の侵入板温とする。
【0026】以下、それぞれのめっき条件について、そ
の限定理由を説明する。上記(1)の条件では、めっき
浴中での合金化反応(ζ相の生成)を抑えるために、低
Al浴中において低い侵入板温でめっきを行うが、Al
量が0.05%未満では、Fe2Al5による合金化抑制
効果がないため、浴中でアウトバ−スト反応が生じ、耐
パウダリング性が劣化する。このため浴中のAl量は
0.05%以上とする。一方、Al量が0.13%以上
では、浴中でFe−Zn合金化反応が過度に抑制される
ため、後の合金化処理において急激な合金化反応を生じ
させる必要があり、このような急激な合金反応はめっき
皮膜の平滑性および均一性と耐パウダリング性を劣化さ
せる。このため浴中のAl量は0.13%未満とする。
【0027】侵入板温は浴中Al量との関係で下記関係
式の条件を満足する必要がある。 437.5×〔Al%〕+428>T≧437.5×〔Al%〕+408 但し、〔Al%〕:浴中Al量(%) T :侵入板温(℃) 侵入板温が浴中Al量との関係で上記上限を超えると、
浴中での合金化反応が生じてζ相が形成され、最終的に
目的とするδ1相を主体とした合金化相が得られない。
一方、侵入板温が上記下限を下回るとFe2Al5が不均
一に生成されるようになり、局部的な合金化反応を生じ
るためめっき皮膜の平滑性および均一性と耐パウダリン
グ性が劣化してしまう。
【0028】めっき浴温度が高いと浴中における合金化
反応が促進されるため、浴温度を460℃以下とする。
また、浴温度が高過ぎると浴中に浸漬された構造物が侵
食され、ドロスが発生するなどの問題を生じる。
【0029】次に、上記(2)の条件では、めっき浴中
のAlは浴侵入直後の鋼板表面にFe2Al5を形成し、
Fe−Zn合金の発生を抑制する。Al量が0.13%
未満ではこのような抑制効果が小さく、浴中でζ相が形
成され、最終的に目的とするδ1相を主体とした合金化
相が得られない。このため浴中Al量は0.13%以上
とする。
【0030】Al量を0.13%以上含む浴では侵入板
温を上昇させると鋼板侵入直後の反応温度が高くなり、
Fe2Al5が厚く形成されるようになる。この結果、浴
中でのFe−Zn合金反応が抑制される。但し、侵入板
温は浴中Al量との関係で下記関係式の条件を満足する
必要がある。 571×〔Al%〕+416≧T≧571×〔Al%〕+396 但し、〔Al%〕:浴中Al量(%) T :侵入板温(℃)
【0031】上述したように(2)の方法は高Al浴、
高侵入板温を基本とするものであるが、侵入板温が浴中
Al量との関係で上記上限を超えると、Feの拡散速度
が増すため、Fe2Al5による抑制効果が不十分とな
り、浴中で部分的にアウトバースト組織が生成するた
め、めっき皮膜の平滑性および均一性と耐パウダリング
性が劣化してしまう。一方、侵入板温が上記下限を下回
るとFe2Al5の形成量が十分でなく、浴中でのFe−
Zn合金反応の抑制作用が適切に得られない。
【0032】なお、侵入板温が520℃を超えると、F
2Al5が局部的に過剰に生成され易くなるため焼きム
ラが発生し、めっき皮膜の均一性と耐パウダリング性が
劣化してしまう。また、ポットへの入熱量増加により浴
温冷却手段等の付加的設備が必要になり、さらに、浴中
でのドロス発生量が増加し、表面欠陥が多発する等の問
題を生じる。このため侵入板温は、浴中Al量に関係な
く520℃以下とすることが好ましい。また、上記
(1)と同様、浴温度は470℃以下とする。
【0033】めっきされた鋼板は、高周波誘導加熱炉で
合金化処理する必要があり、従来一般に行われているガ
ス加熱では、目的とする合金化めっき皮膜は全く得られ
ない。この合金化処理では、炉出側の板温が495℃超
〜520℃となるように加熱し、所定時間保持後冷却す
る。δ1相を形成させるためには495℃を超える温度
での加熱が必要であり、浴中での合金化が抑制されため
っきをここで合金化し、δ1相を主体とした塊状晶の合
金相を形成させる。しかし、520℃を超える加熱温度
ではΓ相が形成され、耐パウダリング性が劣化するた
め、加熱温度の上限は520℃とする。高周波誘導加熱
炉出側の板温を管理する理由は、その部分が合金化熱サ
イクルでの最高板温となるためである。また、合金相の
成長速度はこの付近で最大となるため、出側板温を管理
することにより、その温度での合金化反応を起すことが
可能になる。
【0034】このようにして得られる合金化めっき皮膜
は、表層側に均一且つ平滑な塊状晶であるδ1相が存在
し、その下層に極く薄いΓ相が存在するとともに、最上
層に均一な酸化皮膜(ZnO)が存在するめっき構造と
なる。
【0035】
【実施例】
〔実施例1〕図1に示すラインにおいて、板厚0.80
mmの冷延鋼板を溶融亜鉛めっき(めっき目付量:片面
当り60g/m2)した後、表1に示す炉内雰囲気に保
たれた高周波誘導加熱方式の合金化炉で合金化処理し、
合金化めっき層中のFe%が10±0.5wt%の合金
化溶融亜鉛めっき鋼板を製造した。得られた鋼板のめっ
き皮膜上層(ZnO量)の酸化皮膜量とスポット溶接連
続打点数による溶接性試験の結果を表1に併せて示す。
【0036】
【表1】
【0037】〔実施例2〕下記鋼種のAlキルド鋼、I
F鋼から製造された冷延鋼板を素材とし、表2および表
3に示される条件で溶融亜鉛めっき、合金化加熱処理を
行った。また、上記合金化加熱処理はガス加熱方式また
は高周波誘導加熱方式で行った。 鋼種A:0.03%C−0.02%Sol.Al(Al
キルド鋼) 鋼種B:0.0025%C−0.04%Sol.Al−
0.07%Ti(Ti添加IF鋼) 鋼種C :0.0024%C−0.06%Sol.Al
−0.06%Ti−0.007%Nb(Ti、Nb添加
IF鋼) 得られた合金化溶融亜鉛めっき鋼板の特性を表4および
表5に示す。
【0038】本実施例において、鋼板のめっき浴中への
侵入温度は放射型温度計で測定した浸漬直前の鋼板の表
面温度である。また、加熱炉出側の板温は放射型温度計
で測定した鋼板の表面温度である。また、めっき浴中A
l量は下式に定義される有効Al濃度である。 〔有効Al濃度〕=〔浴中全Al濃度〕−〔浴中鉄濃
度〕+0.03 皮膜中Fe%は浴条件、加熱条件および冷却条件に依存
する。冷却条件は本発明の特徴の一つである皮膜構造の
マクロ或いはミクロな均一性にほとんど影響を及ぼさな
いが、合金化度(皮膜中Fe%)を変化させることによ
り特性に影響を及ぼす。したがって、本実施例では冷却
用のブロアの風量、ミストの量を調整し、皮膜中のFe
%を制御した。また、各特性に関する試験、評価方法は
以下の通りである。
【0039】○製品皮膜中ζ相の量:得られた皮膜をX
線回折し、ζ相についてはd=1.900のピ−ク強度
Iζ(421)を、またδ1相についてはd=1.990の
ピ−ク強度Iδ1249)をそれぞれ取り、下式で示すピ
−ク強度比をもって皮膜中のζ相の量を表した。なお、
Ibgはバックグランドであり、Z/Dが20以下なら
ば実質的にζ相は存在しない。 Z/D=(Iζ(421)−Ibg)/(Iδ1249)−
Ibg)×100
【0040】○耐パウダリング性:試験片に防錆油(パ
−カ−興産(株)製ノックスラスト530F)を1g/
2塗布した後、ビ−ド半径R:0.5mm、押し付け
荷重P:500kg、押し込み深さh:4mmでビ−ド
引き抜き試験を行い、テ−プ剥離後、成形前後の重量変
化から剥離量を算出した。なお、表中の数値は複数の測
定値(5×5=25個)の平均値である。
【0041】○耐パウダリング性の板幅方向最大偏差:
操業条件が安定した箇所で、コイル長さ方向5点、コイ
ル幅方向5点(両エッジ、1/4の位置およびセンタ−
部)で上記耐パウダリング性をそれぞれ測定し、最大値
と最小値の差をとった。
【0042】○摩擦係数:試験片に防錆油(パ−カ−興
産(株)製ノックスラスト530F)を1g/m2塗布
した後、工具鋼SKD11製の圧子を荷重400kgで
押し付け、1m/minの引き抜き速度で引き抜きを行
い、引き抜き荷重と押し付け荷重との比を摩擦係数とし
た。なお、表中の数値は複数の測定値(5×5=25
個)の平均値である。
【0043】○摩擦係数の板幅方向最大偏差:耐パウダ
リング性と同一箇所で摩擦係数をそれぞれ測定し、最大
値と最小値の差をとった。
【0044】
【表2】
【0045】
【表3】
【0046】
【表4】
【0047】
【表5】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明法による製造プロセスの一例を示す説明

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 鋼板を溶融亜鉛めっきした後、酸素濃度
    が25%以上の酸化性雰囲気に保たれた高周波誘導加熱
    炉において合金化処理することを特徴とする溶接性に優
    れた合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法。
JP15870192A 1992-05-26 1992-05-26 溶接性に優れた合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法 Expired - Lifetime JP2792343B2 (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2003073774A (ja) 2001-08-31 2003-03-12 Sumitomo Metal Ind Ltd 熱間プレス用めっき鋼板
JP2010013695A (ja) * 2008-07-03 2010-01-21 Nippon Steel Corp 外観品位に優れた合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法およびそれに用いられる合金化加熱設備
KR101372672B1 (ko) * 2011-12-08 2014-03-11 주식회사 포스코 스폿용접성이 우수한 아연도금강판 및 그 제조방법
WO2020040360A1 (ko) * 2018-08-24 2020-02-27 김상호 Mg이 포함된 용융아연도금강판의 제조방법 및 제조장치

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