JPH05318533A - 射出成形装置におけるバルブゲート機構 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 油圧により駆動するバルブゲートの駆動機構
において、駆動機構のメンテナンス作業を容易にし、成
形金型部分の厚みを十分確保でき、小型成形品でも多数
個取りが可能なバルブゲートの駆動機構を提供する。 【構成】 ピストン・シリンダ装置１８が固定プラテン
２５内に、固定プラテン２５の後部から取出し可能に配
置されている。ピストン１６の先端にバルブニードル１
２の後端がスプリングバック機構により押圧し、バルブ
ニードル１２がホットランナ部及びモールドプレート部
からなる金型部の全域にまたがり配置されており、ゲー
ト１４の開閉を行う。固定プラテン部と金型部とを分離
しても油圧回路が切断されず、油汚染の心配がない。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、バルブゲート方式のホ
ットランナ金型を有する射出成形装置におけるバルブゲ
ート機構に関する。

【０００２】

【従来の技術】ホットランナ金型を用いた射出成形は、
射出機から成形金型のゲートまでのマニホールド及びノ
ズルがヒータ等で温度制御されて高温度に保たれてお
り、ランナ及びスプル部分を常に溶融状態とし、射出成
形品のみを固定させて取り出す射出成形である。この方
式の射出成形は、ランナ及びスプル部分が固化しないの
で、原料樹脂の節減、電力費の節減、再生処理費用の節
減が可能となり、コストダウンができる。またランナ及
びスプル部分の冷却によるサイクルの制限がなく、可塑
化時間、ランナ部射出時間及び型開閉時間の短縮により
成形サイクルが向上する。また、スプルランナ落下不良
によるトラブルがないため、ランナの選別、再生などの
手間が省け、成形工程の自動化が容易になる等の特徴を
有する。

【０００３】このホットランナ金型を用いる射出成形に
は、ゲート部にバルブを設けてこれを開閉するバルブゲ
ート方式がある。このバルブゲート方式はピストン・シ
リンダ装置で駆動されるバルブニードルによってゲート
を開閉するものであり、この駆動部分は、ホットランナ
金型の取付板の内部に設けられている。このバルブゲー
ト方式によれば、成形条件が広くとれ、どの様な樹脂に
も適用できる。特に、温度に敏感な樹脂、例えば、温度
によって流動性が変化したり、熱分解する樹脂も適用で
きるという利点、及び低圧成形できるという利点を有し
ている。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら従来のバ
ルブゲート方式では、ピストン・シリンダ装置を固定プ
ラテンに取り付けた場合、ピストン・シリンダ装置は固
定プラテンとホットランナ金型及びモールドプレート部
等の金型に挟まれて固定されているために、下記１〜３
に述べる不都合を生じている。

【０００５】１．ゲートを開閉するためのバルブニード
ルの駆動機構のシリンダ部を油圧により駆動するには、
油が成形部に流出しないようにするためにシールリング
やＯ−リング等のシール部材により封止されており、こ
のシール部材の交換等のシリンダ関係のメンテナンス作
業は、固定プラテンに取り付けられていたホットランナ
金型及びその取付け板からなる金型部分を、一旦、取り
外してからでないと行えなかった。

【０００６】２．シリンダ部が金型部分に内蔵されてい
るので、金型部分の厚みが厚くなり、そのために、射出
成形装置全体として成形金型の厚みが制限されて、深物
成形品を成形することが困難であった。 ３．従来、バルブゲートの駆動に油圧回路を用いた場合
には、油の漏洩、飛散による作業環境が汚染されること
があり、特に、金型交換時に油圧回路の一時切断が必要
となるときに発生しやすい。また、トラブル等にて油が
漏洩した際、発熱部に油が入り込みやすく危険であるこ
とから、主として、バルブゲートの駆動に空圧回路が用
いられていた。しかしながら、空圧回路を駆動に用いた
バルブゲート方式では、シリンダ内径が大きくなり、ゲ
ートピッチが小さく取れず、多数個取りの小型成形品を
製造する際に、金型内に設けるキャビティ個数が制限さ
れる問題があった。

【０００７】そこで本発明は、油圧により駆動するバル
ブゲートの駆動機構において、駆動機構のメンテナンス
作業を容易にし、バルブゲートの駆動機構の全体を、射
出成形装置の中に効率良く配置して、成形金型部分の厚
みを十分に確保でき、しかも、小型成形品でも多数個取
りが可能な射出成形装置におけるバルブゲート機構を提
供することを目的とする。

【０００８】

【課題を解決するための手段】上記した問題点を解決す
るために、本発明は、ピストン・シリンダ装置で駆動さ
れるバルブニードルによってゲートを開閉する射出成形
装置におけるバルブゲート機構において、ピストン・シ
リンダ装置が固定プラテン部内の後方から取り出し可能
に固定プラテン部内に配置され、モールドプレート部及
びホットランナ部からなる金型部の全域にわたり、バル
ブニードルが配置され、バルブニードルの後端は、前記
ピストン・シリンダ装置のピストンの先端部分と分離可
能であり、スプリングバックによりピストンの先端部分
が常時押圧され、前記固定プラテン部と前記金型部は分
離可能に固定されていることを特徴とする射出成形装置
におけるバルブゲート機構とするものである。

【０００９】

【作用】本発明においては、バルブニードルによってゲ
ートを開閉するピストン・シリンダ装置が固定プラテン
部内に配置されており、金型部内の全域に配置されたバ
ルブニードルの後端と前記ピストン・シリンダ装置のピ
ストンの先端は分離可能になっており、且つ固定プラテ
ン部と金型部は分離可能に固定されているので、金型部
分を分解しても、油漏れの恐れがない。

【００１０】バルブニードルの後部はスプリングによ
り、常時スプリングバックされてピストン・シリンダ装
置のピストンの先端部分を押圧しており、油圧によりピ
ストン・シリンダ装置が駆動されることにより、バルブ
ニードルの往復動によりゲートの開閉が行われる。

【００１１】

【実施例１】図１は本発明の射出成形装置おけるバルブ
ゲート機構を示し、多数個取り成形用の一つのバルブゲ
ート機構を示している。本発明のバルブゲート機構は固
定プラテン部、ホットランナ部及びモールドプレート部
からなる。

【００１２】モールドプレート部は、ホットランナ１１
から供給された溶融樹脂を、製品部であるキャビティ空
間へ溶融状態のまま射出するための樹脂通路１３とその
先端にゲート１４を有し、その樹脂通路１３はヒータ２
２により保温されている。一方、ホットランナ部は、各
ゲートへ溶融樹脂を供給するための分岐が形成されたマ
ニホールド２４となっている。前記モールドプレート部
及びホットランナ部の全域にわたってバルブニードル１
２が貫通している。バルブニードル１２は、モールドプ
レート部においては、モールドプレート２３内のブシュ
２６に形成された樹脂通路１３内に配置され、その先端
がゲート１４の開閉を行う位置に延びており、ホットラ
ンナ部においては、マニホールド２４を貫通し、バルブ
ニードル１２の後端部分に設けられたスプリング１５に
よってスプリングバックされて、後記するピストン１６
の先端部分を常時押している。

【００１３】固定プラテン部には、固定プラテン２５内
の図示してない部分に射出成形機のノズル部分が挿入さ
れている。同時に、固定プラテン２５中に、前記バルブ
ニードル１２の後端を押し出すためのピストン・シリン
ダ装置１８が組み込まれている。このピストン・シリン
ダ装置１８は、油通路１９、２０を流通する油の油圧に
よって往復動するピストン１６とシリンダ１７とから構
成されている。ピストン１６の摺動面の所々にＯ−リン
グ、シールリング等のシーリング材が捲着されており、
更に、ピストン１６の前部には漏れてきたオイルの排出
のためのドレン口２１が設けられており、ホットランナ
部への油の流出をふせいでいる。このピストン１６の後
部の固定プラテン２５には、ピストン１６が取り出せる
程度の開口が設けられており、通常時にはストッパ２７
がシーリング材と共に密封嵌着されている。

【００１４】以上のとおり構成される本発明では、射出
成形機のノズル部分が挿入されている固定プラテン２５
内に、ゲートを開閉するためのバルブニードル１２を往
復動させるピストン・シリンダ装置１８を配置し、バル
ブニードル１２をモールドプレート部及びホットランナ
部からなる金型部に配置し、かつ、固定プラテン部と金
型部が容易に分離できるようになっている。

【００１５】本発明のバルブゲート機構の作動を次に説
明する。ゲート閉時 油圧により駆動されるピストン・シリンダ装置１８の作
用により、ピストン１６の先端にスプリング１５の力で
押し付けられているバルブニードル１２を前進させ、バ
ルブニードル１２の先端部がゲート１４内に進入するこ
とで、ゲート１４がシールされる。

【００１６】ゲート開時 図示していない射出成形機より溶融樹脂が射出される際
に同期させて、ピストン・シリンダ装置１８を駆動させ
て、ピストン１６を後退させる。このため、バルブニー
ドル１２にはスプリング１５によるスプリングバック力
が働き、同時に射出圧力が作用することにより、バルブ
ニードル１２が後退しゲート１４が開く。

【００１７】本発明は上記実施例１に限定されることな
く、本発明の趣旨に基づき種々の変形が可能である。例
えば、本発明はランナレス多数個取りで、金型ベース部
分を射出成形機と一体化し、入子方式の成形品廻りの部
品を交換可能とする特定の射出成形用金型について最も
有効であるが、通常使用される一般金型についても応用
可能である。

【００１８】

【発明の効果】メンテナンス性の向上 ピストン・シリンダの駆動部分は全て固定プラテン部内
に配置されているので、金型部分を分解しても、ピスト
ン・シリンダの駆動のための油圧回路が切断されること
がない。したがって、油漏れの心配がなく、ホットラン
ナ等の金型部や製品部を汚す恐れがない。

【００１９】固定プラテン部と金型部は分離可能に固定
されており且つ、ピストン・シリンダ装置が固定プラテ
ンの後方から容易に取り出せる状態で固定プラテン内に
配置されているので、ピストン・シリンダ装置に容易に
アクセスできる。さらに、金型部を固定プラテンに取り
付けた状態でも、ストッパを取り外すだけでピストン・
シリンダ装置に容易にアクセスできる。

【００２０】金型構造の簡素化 従来、金型部に設けられていたピストン・シリンダ装置
を、固定プラテン内に配置したので、省スペースとな
り、その分だけ金型部を薄くすることができる。そのた
めに、金型重量が軽減され、慣性重量が減ることにより
成形品精度の向上や成形サイクル向上に寄与する。ま
た、ピストン・シリンダ装置の前記の省スペース化のた
めに、金型部の厚みに余裕が生まれ、金型内の成形品部
が長く取れることで深物成形品が製造可能となる。

【００２１】出力向上 固定プラテン部と金型部は分離可能に固定されており、
且つ、ピストン・シリンダ装置のメンテナンスができる
ので、駆動源に油圧を採用しても問題が生じない。した
がって、油圧式のピストン・シリンダ装置を採用するこ
とにより、空圧式のピストン・シリンダ装置の大きさに
比較しシリンダを小径化することができ、他数個取りの
成形品のゲートピッチの短縮が可能となる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の射出成形装置おけるバルブゲート機構
を示す。

【符号の説明】

１１ ホットランナ １２ バルブニードル １３ 樹脂通路 １４ ゲート １５ スプリング １６ ピストン １７ シリンダ １８ ピストン・シリンダ装置 １９，２０ 油通路 ２１ ドレン口 ２２ ヒータ ２３ モールドプレート ２４ マニホールド ２５ 固定プラテン ２６ ブシュ ２７ ストッパ

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 ピストン・シリンダ装置で駆動されるバ
   ルブニードルによってゲートを開閉する射出成形装置に
   おけるバルブゲート機構において、（１）ピストン・シ
   リンダ装置が、固定プラテン部の後方から取り出し可能
   に固定プラテン部内に配置され、（２）モールドプレー
   ト部及びホットランナ部からなる金型部の全域にわた
   り、バルブニードルが配置され、（３）バルブニードル
   の後端は、前記ピストン・シリンダ装置のピストンの先
   端部分と分離可能であり、スプリングバックによりピス
   トンの先端部分が常時押圧され、（４）前記固定プラテ
   ン部と前記金型部は分離可能に固定されていることを特
   徴とする射出成形装置におけるバルブゲート機構。