JPH05317086A - カンジダ・アルビカンスの抗菌糸型抗体及び抗酵母型抗体 - Google Patents

カンジダ・アルビカンスの抗菌糸型抗体及び抗酵母型抗体

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JPH05317086A
JPH05317086A JP5015798A JP1579893A JPH05317086A JP H05317086 A JPH05317086 A JP H05317086A JP 5015798 A JP5015798 A JP 5015798A JP 1579893 A JP1579893 A JP 1579893A JP H05317086 A JPH05317086 A JP H05317086A
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JP
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candida albicans
cells
mycelial
yeast
antibody
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JP5015798A
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Motoko Matsufuji
素子 松藤
Reiko Yamamoto
玲子 山本
Yoshio Watanabe
吉雄 渡辺
Norio Shibamoto
憲夫 柴本
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Original Assignee
Mercian Corp
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Abstract

(57)【要約】 〔構成〕菌糸型のカンジダ・アルビカンスに特異的に反
応するモノクローナル抗体、及び酵母型のカンジダ・ア
ルビカンスに特異的に反応するモノクローナル抗体、並
びに該モノクローナル抗体を産生するハイブリドーマ。
酵母型カンジダ・アルビカンスに特異的に反応するモノ
クローナル抗体としてYST−1及びYST−2、菌糸
型カンジダ・アルビカンスに特異的に反応するモノクロ
ーナル抗体としてMLT−1及びMLT−2が例示され
る。 〔効果〕カンジダ・アルビカンスによる感染の診断が迅
速かつ正確に行えるので有用である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、菌糸型のカンジダ・ア
ルビカンスに特異的に反応する抗菌糸型モノクローナル
抗体、酵母型のカンジダ・アルビカンスに特異的に反応
する抗酵母型モノクローナル抗体、及び該モノクローナ
ル抗体を産生するハイブリドーマに関する。
【従来の技術】近年、抗生物質の普及により細菌による
感染症は減少傾向にある。しかし、深在性真菌症に有効
な抗生物質が少ないために真菌による疾患は増加しつつ
あるのが現状である。このため、真菌の迅速な検出と同
定による真菌症の早期診断が臨床上重要である。カンジ
ダ・アルビカンスは、深在性真菌症の起因菌として最も
高率に分離される真菌であるが、血液培養や病理組織学
的検査によってはカンジダ・アルビカンス等の真菌は効
率よく検出できないので、免疫血清学的方法の開発が望
まれていた。
【0002】現在利用できる血清学的検出法としては、
抗体、代謝物、又は抗原を検出する方法がある。例え
ば、抗体を検出する方法としてHAテスト(ロシュ)等
が知られている。しかし、抗体産生までに潜伏期がある
ので初期の感染が検出できず、宿主が免疫低下した状態
にあるため抗体産生量が少なく検出が非常に困難である
という問題があった。また、代謝物を検出する方法とし
ては、LABOFIT(ナカライテスク) 等のD−アラビニトー
ルを測定する方法や、エンドスペシー(生化学工業)等
の(1→3)−β−D−グルカンを測定するリムルステ
ストが知られている。さらに、抗原を検出する方法とし
ては、ラテックス凝集反応を用いた CAND-TEC(Ramco)等
が知られている。しかし、カンジダ・アルビカンスは常
在菌であり、健常者においても代謝物および自然抗体が
高率で検出されるという根本的な問題を有していた(臨
床検査、35巻、805−859頁、1991年)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】従って本発明は、カン
ジダ・アルビカンスによる感染を効率良く検出する手段
を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】カンジダ・アルビカンス
は二形性をとり一般的には酵母型として常在するが、内
臓での生育形態は菌糸型である。このため、菌糸型のカ
ンジダ・アルビカンスに特異的に反応するモノクローナ
ル抗体、及び酵母型のカンジダ・アルビカンスに特異的
に反応するモノクローナル抗体を得て、真菌症係数=
(抗菌糸型モノクローナル抗体による測定値)/(抗酵
母型モノクローナル抗体による測定値)を算出すれば、
カンジダ・アルビカンスによる感染の診断に有用である
ことが期待される。そこで、本発明者は、菌糸型のカン
ジダ・アルビカンス菌体、及び酵母型のカンジダ・アル
ビカンス菌体を抗原として用い、それぞれの抗原に特異
的に反応するモノクローナル抗体を得て、本発明を完成
した。即ち、本発明は、菌糸型のカンジダ・アルビカン
スに特異的に反応するモノクローナル抗体、及び酵母型
のカンジダ・アルビカンスに特異的に反応するモノクロ
ーナル抗体を提供するものである。また、該モノクロー
ナル抗体を産生するハイブリドーマも提供される。
【0004】以下に、本発明を詳細に説明する。本発明
のモノクローナル抗体の製造に使用する菌糸型のカンジ
ダ・アルビカンス菌体は、ポリペプトン、グルコースを
含むDS培地にカンジダ・アルビカンスを接種して2日
間培養することにより調製すればよい。また、酵母型の
カンジダ・アルビカンス菌体は、ポリペプトン、グルコ
ース、イーストエキスを含むYEPG培地にカンジダ・
アルビカンスを接種して1日間培養することにより調製
すればよい。抗体産生細胞を得るには、上記の様にして
得られる菌糸型のカンジダ・アルビカンス菌体、及び酵
母型のカンジダ・アルビカンス菌体をそれぞれ菌体懸濁
液として調製し、マウス、ラット、ウサギ、ヒツジ、ウ
マ、ウシ等に接種してこれらの動物を免疫すればよい。
また免疫に際して完全フロイントアジュバント等のアジ
ュバントを使用してもよい。完全フロイントアジュバン
トを使用する場合には該カンジダ・アルビカンス菌体懸
濁液と該アジュバントを1:1−1:10、好ましくは
約1:1の容量比で使用して、該カンジダ・アルビカン
ス菌体が5×106 −1×108 細胞/ml、好ましくは
2×107 細胞/mlとなるように、例えば、約0.25−
0.5M食塩水に懸濁して抗原懸濁液を調製することがで
きる。
【0005】上記の抗原懸濁液を被免疫動物に接種する
ことにより、それぞれ菌糸型または酵母型のカンジダ・
アルビカンス菌体を抗原として免疫された動物が得られ
る。例えばマウスを免疫する場合には、上記の抗原懸濁
液を、1−2週間隔で1−3回、好ましくは2−3回に
わたり、例えば、腹腔内投与することにより効率よくマ
ウスを免疫することができる。上記の様にして得られた
免疫動物から、脾細胞等の抗体産生細胞を分離すること
により、抗体産生細胞を得ることができる。例えば、脾
細胞を抗体産生細胞として使用する場合には、脾臓を摘
出した後に、例えば、NS−1培地で洗浄し、同培地内
で脾臓を切断し、ステンレスメッシュを通した後、さら
に同培地で遠心洗浄して抗体産生細胞を得ることができ
る。細胞融合に使用するミエローマ細胞としては、マウ
ス、ラット、ウサギ、ヒトなどの種々の動物の細胞株を
使用することができる。例えば、ヒポキサンチン・グア
ニン・ホスホリボシルトランスフエラーゼ(HGPRT) を欠
損するミエローマを使用することができる。このような
ミエローマは、未融合の状態では、HGPRT を欠くため
に、ヒポキサンチン・アミノプテリン・チミジン (HAT)
培地で、核酸の合成ができずに死滅する。一方、リンパ
球と融合してHGPRT 活性を獲得したハイブリドーマは、
アミノプテリンで核酸の生合成を阻害されてもヒポキサ
ンチンを利用して生育することができるので、融合処理
後にハイブリドーマのみが生育する。本発明に使用する
ミエローマ細胞は、非分泌型の細胞株であることが好ま
しい。この様なミエローマ細胞としては、マウスミエロ
ーマP3/X63-Ag8U1(P3U1),P3/NS-1-Ag4-1(NS-1),P3/X63-
Ag8-6.5.3(X6.3.6.5.3),SP2/0-Ag14(SP2),ラットミエロ
ーマ210. RCY3.Agl.2.3(Y3.Agl.2.3),ヒトミエローマSK
O-007, GM1500TG-A12 等を挙げることができる。
【0006】細胞融合は、RPMI 1640 等の動物細胞培養
培地中で、107 −108 個のミエローマ細胞に4−1
0倍の数の上記抗体産生細胞を混合して行う。細胞融合
促進物質としては、平均分子量1000−6000のポ
リエチレングリコール(PEG)やポリビニルアルコール、
センダイウイルス等が使用できる。融合処理は、通常2
5℃で5−20分間、好ましくは、25℃で6分間行え
ばよい。特に、PEGを用いることが好ましい。細胞融
合処理後の細胞からハイブリドーマを選別するには、選
択培地における選択的増殖を行えばよい。例えば、細胞
をNS−1培地等の培地で5×106 個/mlとなるよう
に希釈した後に、マイクロタイタープレート上の各ウェ
ルに105 −106 細胞数/ウエルとなるように細胞を
入れ、その後HAT培地等の選択培地を加えて、適当な
間隔、例えば、3日間隔で選択培地を交換して培養すれ
ばよい。例えばミエローマ細胞として P3/X63-Ag8U1(P3
U1) を使用した場合には、HAT培地で10−14日間
程度培養することにより、ハイブリドーマのみを選別す
ることができる。
【0007】菌糸型または酵母型のカンジダ・アルビカ
ンスに特異的なモノクローナル抗体を産生するハイブリ
ドーマを検索するには、例えば、酵素免疫測定法 (ELIS
A)により以下のようにして行えばよい。あらかじめ、菌
糸型のカンジダ・アルビカンス菌体及び酵母型のカンジ
ダ・アルビカンス菌体を、それぞれリン酸緩衝生理食塩
水(PBS)、炭酸水素ナトリウム緩衝液(pH9.6)等
の緩衝液に懸濁し、ポリスチレン、ポリビニール、ポリ
カーボネート、ポリプロピレン、ポリアクリルアミド、
シリコン、デキストラン、セルロース等のソフトプレー
トやガラスプレート、ビーズ、シート、ウエル、チュー
ブ等の固相に添加して、例えば4℃で一晩放置して吸着
させる。次に抗原溶液を捨ててPBSで洗浄した後に、
1%ウシ血清アルブミン(BSA)含有PBSを加え、
例えば4℃で一晩放置して抗原の結合していない部位を
BSAでブロックする。その後に、ハイブリドーマの上
清を100μl 加えて、例えば室温で1時間放置してP
BSで3回洗浄する。次に、ビオチン化した抗マウスイ
ムノグロブリン抗血清(第2抗体)を加えて、室温で1
時間放置する。PBSで3回洗浄した後に、アビジンを
結合した酵素を加えて、室温で15分間静置する。PB
Sで4回洗浄した後に、酵素基質を加えて発色させ、吸
光光度計、蛍光光度計等で測定すれば、菌糸型や酵母型
のカンジダ・アルビカンスに特異的に反応する抗体を産
生しているハイブリドーマが検索される。
【0008】上記の様にして抗体産生細胞を選別した
後、限界希釈法等によりクローニングを行うことによ
り、単一のハイブリドーマを起源とする抗体産生細胞を
得ることができる。上記のモノクローナル抗体産生ハイ
ブリドーマによる抗体産生は、培養フラスコや培養瓶を
用いて、10−20%ウシ胎児血清含有RPMI164
0培地又は無血清培地等の動物細胞培養用培地で培養
し、その培養上清液を分離することにより行うことがで
きる。培養方法及び条件は、通常の動物細胞培養方法に
準じ、当業者が容易に選択し得るものである。さらに大
量の抗体を産生する方法としては、例えばハイブリドー
マの親ミエローマ細胞の由来動物と同系動物に、プリス
タン(2,6,10,14−テトラメチルペンタデカ
ン)等の鉱物油を腹腔内に投与した後、ハイブリドーマ
を腹腔内投与して大量に増殖させる方法を採用すること
ができる。該方法によればハイブリドーマは10−18
日程度で腹水腫瘍を形成し、血清及び腹水中に高濃度
(約1−20mg/ml) の抗体が産生される。さらに精製
が必要な場合には、該腹水を硫安分画した後に、DEA
E−セルロースイオン交換クロマトグラフィー、プロテ
インAあるいはカンジダ・アルビカンス菌体を結合させ
たセファロース4B等を用いたアフィニティーカラムク
ロマトグラフィー、分子ふるいカラムクロマトグラフィ
ー等によって精製することが可能である。
【0009】上記の様にして得られるハイブリドーマの
例としては、菌糸型のカンジダ・アルビカンスに特異的
に反応するモノクローナル抗体を産生するハイブリドー
マとしてMLT−1及びMLT−2株を挙げることがで
き、酵母型のカンジダ・アルビカンスに特異的に反応す
るモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマとして
YST−1及びYST−2株を挙げることができる。こ
れらのハイブリドーマからは、菌糸型のカンジダ・アル
ビカンス、又は酵母型のカンジダ・アルビカンスに特異
的に反応するモノクローナル抗体が得られる。これらの
ハイブリドーマから得られた各モノクローナル抗体の菌
糸型および酵母型カンジダ・アルビカンス・セルエクス
トラクト(cell extract)との反応性をイムノブロット法
を用いて調べた。MLT−1では菌糸型カンジダ・アル
ビカンス・セルエクストラクトに対して分子量230k
Da付近のバンドが染色されたが、酵母型カンジダ・ア
ルビカンス・セルエクストラクトではバンドの染色は認
められなかった。MLT−2は、菌糸型カンジダ・アル
ビカンス・セルエクストラクトに対して、MLT−1と
同じ分子量230kDa付近のバンドの他に分子量約1
4kDaに強く染色されるバンドが認められた。YST
−1では、酵母型カンジダ・アルビカンス・セルエクス
トラクトに対して分子量約210kDaのバンドが検出
されたが、菌糸型カンジダ・アルビカンス・セルエクス
トラクトに対しては、染色されるバンドは認められなか
った。また、これら210kDa及び230kDa付近
のバンドは、アミドブラックで染色されにくく、過ヨウ
素酸−シッフ染色法による強い染色が認められた。
【0010】上記ハイブリドーマMLT−1、MLT−
2、YST−1、及びYST−2株は、平成4年1月9
日付けで、工業技術院微生物工業技術研究所に受託番号
微工研菌寄第12697 号(FERM P-12697)、12698 号
(FERM P-12698)、12699 号(FERM P-1269
9)、12700 号(FERM P-12700)としてそれぞれ受
託された。
【発明の効果】本発明のモノクローナル抗体は、体内で
増殖する菌糸型のカンジタ・アルビカンスと常在型のカ
ンジタ・アルビカンスとを明確に区別し得るので、カン
ジタ・アルビカンスによる真菌症の診断に有用である。
【実施例】以下に本発明を実施例によりさらに具体的に
説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されること
はない。 例1 菌糸型抗原の調製 C.albicans ATCC 10231 株を、DS液体培地(0.2%ポ
リペプトン、0.5%グルコース、pH6.0)に接種し、2
8℃で2日間培養した。培養終了後、遠心分離(300
0r.p.m., 10分) により菌体を集めた。生理食塩水に
菌体を懸濁して遠心分離することにより菌体を3回洗浄
した。最後に、菌体を生理食塩水に2×107 cells/ml
に懸濁して抗原懸濁液として用いた。
【0011】例2 酵母型抗原の調製 C.albicans ATCC 10231 株を、YEPG液体培地(1%
イーストエキス、2%ポリペプトン、2%グルコース、
pH6.4)に接種し、28℃で一夜培養した。培養終了
後、遠心分離 (3000r.p.m., 10分) により菌体を
集めた。生理食塩水に菌体を懸濁して遠心分離を行うこ
とにより菌体を3回洗浄した。最後に、菌体を生理食塩
水に2×107 cells/mlとなるように懸濁し、抗原懸濁
液として用いた。 例3 抗体産生細胞の調製 上記抗原懸濁液0.2mlをBALB/cマウス(日本SL
C、8週齢、雌)の腹腔内に投与して感作を行った。こ
の操作を2週間間隔で4回繰り返し、最終の抗原感作の
3日後に、マウスの頸椎を脱臼させて脾臓を無菌的に取
り出した。DMEM培地を含むシャーレに脾臓を入れて
ハサミで細片に切断し、ピペッティングにより組織をほ
ぐした後、ステンレスメッシュを通して脾細胞懸濁液を
得た。次に、この懸濁液を遠心分離 (500×g、 7
分) して、脾細胞を新鮮なDMEM培地に懸濁した。こ
の洗浄操作を3回繰り返し、最後に脾細胞をトリパンブ
ルーで染色して生細胞数を計数した。
【0012】例4 細胞融合及びハイブリドーマの調製 マウス骨髄腫細胞P3U1と上記脾細胞とを細胞数1:
4の比率で混合し、遠心分離を行い、上清を除去して細
胞ペレットを得た。50%ポリエチレングリコール
(M.W.3500)1mlを、細胞ペレットをほぐすよ
うにゆっくりかき混ぜながら1分間かけて加えた。さら
にDMEM培地6mlを1分間かけてゆっくりと加えた
後、遠心して上清を除去した。37℃に保温した20%
牛胎児血清を含むDMEM培地10mlを1分間かけてゆ
っくりと加えた後、再び遠心して上清を除去した。細胞
ペレットをIMDM−HAT培地(1×10-4Mヒポキ
サンチン、4×10-7Mアミノプテリン、1.6×10-5
Mチミジンを含むIMDM培地)に細胞密度5×106
cells/mlとなるように懸濁させた。この懸濁液を96ウ
エルプレート (CORNING)に100μl ずつ分注し、5%
炭酸ガス培養器中で37℃で培養した。その後、2−3
日間隔で各ウエル中の培地を新しいIMDM−HAT培
地に交換して培養を続け、IMDM−HAT培地中で増
殖可能なハイブリドーマを選択した。培養開始後10−
14日でハイブリドーマの増殖を観察すると共に、培養
上清中の抗体産生を以下の方法で測定した。
【0013】例5 抗体産生ハイブリドーマの取得 上記により得られたハイブリドーマについて、培養上清
中の抗体産生の有無を酵素免疫測定法により調べた。例
1あるいは例2で培養した菌糸型及び酵母型のC.albica
ns ATCC 10231株の細胞を、それぞれ1×106 cells/m
lとなるように0.05M炭酸ナトリウム−炭酸水素ナト
リウム緩衝液pH9.6に懸濁し、96ウエルイムノプレー
ト(NUNC)の各ウエルに100μl ずつ分注して、
室温で2−3時間あるいは4℃で一晩放置した。次に、
各ウエルをPBSで3回洗浄した後、1%ウシ血清アル
ブミンを含むPBSを200μl ずつ加え、室温で1時
間にわたりブロッキングを行った。各ウエルを0.05%
Tween20を含むPBSで3回洗浄した後、被検体(ハイ
ブリドーマの培養上清)100μl を加え、室温で1時
間反応させた。各ウエルを0.05%Tween20 を含むPB
Sで4回洗浄した後、二次抗体溶液(ペルオキシダーゼ
標識ヤギ抗マウス (IgG+IgM)抗体を1%BSAを含むP
BSで10000倍に希釈したもの) 100μl を各ウエ
ルに分注し、室温で1時間反応させた。再び各ウエルを
0.05%Tween20 を含むPBSで5回洗浄した後、2mg
/mlABTS及び0.01%過酸化水素水を含む0.1Mク
エン酸緩衝液(pH5.0)200μl を各ウエルに加えて
反応させた。反応後、波長414nmにおける吸光度を測
定することにより同定を行った。菌糸型抗原に特異的に
反応する抗体は、1080ウエル中4個のウエルで、酵
母型抗原に特異的に反応する抗体は、480ウエル中2
個のウエルで認められた。
【0014】次に、抗体産生が認められたウエル中のハ
イブリドーマのクローン化を限界希釈法により行った。
即ち、栄養供給細胞として無処置の8週齢雌性BALB
/cマウスから脾臓を摘出し、例3に記載したのと同様
の方法により脾細胞を得、DMEM−HT培地で、1×
106 cells/mlの細胞密度に調製した。この脾細胞懸濁
液を各ウエルに100μl ずつ分注し、さらに例5で抗
体産生が陽性となったハイブリドーマを1×101 cell
s/mlの濃度で100μl ずつ加え、5%炭酸ガス培養器
中、37℃で培養を行った。クローン化の約10日後、
ハイブリドーマの増殖を観察すると共に、各ウエル中の
培養上清中の抗体の有無を例5に記載の方法に従って検
査した。その結果、複数の抗体産生クローンが得られ
た。この中から、抗体産生能力が優れた安定なクローン
を選んで再びクローン化を行うことにより、最終的に、
菌糸型抗原に対する抗体産生ハイブリドーマMLT−1
及びMLT−2、並びに酵母型抗原に対する抗体産生ハ
イブリドーマYST−1及びYST−2を得た。 例6 ハイブリドーマ培養上清による抗体の産生 ハイブリドーマMLT−1、MLT−2、YST−1及
びYST−2をそれぞれ10%牛胎児血清を含むDME
M培地に懸濁し、96ウエルプレートによる培養、25
cm2 フラスコ培養、75cm2 フラスコ(CORNING)培養の
順でスケールアップしながら、5%炭酸ガス培養器中で
37℃で培養して培養上清を集めた。
【0015】例7 (1) 抗体の特異性 Candida albicans ATCC 10231 の他、同属異種の抗原細
胞としてCandida tropicalis IAM 4904 、異属抗原とし
てSaccharomyces cerevisiae ATCC 24860、 Aspergillu
s niger ATCC 6275 を、例1あるいは例2と同様の方法
で培養し、菌糸型抗原あるいは酵母型抗原を得た。但
し、Candida tropicalis IAM 4904 は、例1の条件下で
は菌糸状形態をとらなかった。例5で得たハイブリドー
マの産生する抗体MLT−1、YST−1、の特異性を
酵素免疫測定法(実施例5に記載)を用いて検査した。
その結果を表1及び表2に示した。
【表1】 MLT−1の反応性 抗原の形態 菌 株 ────────────── 酵母型 菌糸型 C.albicans − + C.tropicalis − / S.cerevisiae − / A.niger / − /:試験せず
【0016】
【表2】 YST−1の反応性 抗原の形態 菌 株 ────────────── 酵母型 菌糸型 C.albicans + − C.tropicalis + / S.cerevisiae − / A.niger / − /:試験せず (2) 抗体のサブクラス アマシャム社のマウス・モノクローナル抗体アイソタイ
ピングキット(mouse monoclonal antibody isotyping k
it) を用いてMLT−1及びMLT−2、並びにYST
−1及びYST−2の抗体のサブクラスを決定した。そ
の結果、4種全てがκ鎖IgMのサブクラスの抗体であ
ることが判明した。
【0017】例8 免疫螢光学的な抗原の検出 C.albicans ATCC 10231 株の菌糸型あるいは酵母型菌体
溶液1×107 cells/mlを40μ1スライドガラスにの
せ、37℃で1時間乾燥させ、冷メタノールで5分間固
定した。風乾後、ハイブリドーマ培養上清40μ1をの
せ、37℃で30分間反応させた。反応後、PBSで3
回洗浄し、150倍に希釈したFITC標識抗マウスI
gM抗体溶液40μ1をのせて37℃で30分間反応さ
せた。PBSで3回洗浄して風乾した後、50%グリセ
ロール溶液で包埋し、螢光顕微鏡で観察を行つた。その
結果、一次抗体としてポリクローナル抗体である抗マウ
スC.albicans抗血清を用いた場合には、酵母型・菌糸型
両方のC.albicansに対して同様な強い螢光が認められた
のに対し、一次抗体として酵母型C.albicansに特異的に
反応するモノクローナル抗体YST−2を用いた場合に
は、酵母型C.albicansに対しては、強い螢光が認められ
たが、菌糸型 C. albicansにはほとんど反応が認められ
なかった。また、一次抗体として菌糸型C.albicansに特
異的に反応するモノクローナル抗体MLT−1を用いた
場合には、酵母型C.albicansに対しては螢光は非常に弱
くほとんど反応は認められなかったが、菌糸型C.albica
nsに対しては強い螢光が認められた。MLT−1は菌糸
型C.albicansの厚膜胞子部分には反応しなかった。さら
に一次抗体として菌糸型C.albicansに特異的に反応する
モノクローナル抗体MLT−2を用いた場合には、ML
T−1と同様に酵母型C.albicansに対してはほとんど反
応は認められなかったが、菌糸型C.albicansに対して強
い螢光が認められた。また、MLT−1とは異なり、菌
糸型C.albicansの厚膜胞子に対しても、他の部分と同様
の反応が認められた。
【0018】例9 (1)ウエスタンブロッドによる抗原の検出 例1あるいは2で培養、調製した C.albicans ATCC 102
31株の細胞を、菌体湿重量の2倍量の10-3M EDTA(エチ
レンジアミン4酢酸)、10-6M 2-メルカプトエタノール
を含む 0.05M トリス−塩酸緩衝液 pH 7.5 に懸濁し、
さらに同量のガラスビーズ(0.5 - 0.75mm)を加えた。
この懸濁液を、ボルテックスミキサーで1時間混合し、
遠心分離(12,000 r.p.m.,15分)した。上清をとり、沈
澱に上記緩衝液とガラスビーズを加え、ボルテックスミ
キサーで再び1時間混合した。遠心分離(12,000 r.p.
m.,15分)して上清をとり、残った沈澱にさらに上記緩
衝液とガラスビーズを加えて1時間混合した。遠心分離
(12,000 r.p.m.,15分)した後に得られた上清を、1回
目および2回目の遠心分離で集めた上清と合わせて再び
遠心分離(3,000 r.p.m.,30 分)した。得られた上清
を、それぞれ菌糸型カンジダ・アルビカンス・セルエク
ストラクト、酵母型カンジダ・アルビカンス・セルエク
ストラクトとした。
【0019】(2)イムノブロット 菌糸型カンジダ・アルビカンス・セルエクストラクトお
よび酵母型カンジダ・アルビカンス・セルエクストラク
トを用いて、 Laemmliの方法(Nature, 227, 680-685
(1970) )に従ってSDS-PAGE(4-20% グラジエント)
を行った。さらにTowbin らの方法(Proc. Natl. Acad.
Sci. USA, 76, 4350 (1979))により、以下の様にして
ウエスタンブロッティングを行った。電気泳動の終了し
たポリアクリルアミドゲルを、ニトロセルロース膜上に
トランスブロットした(室温 100V3時間)。分子量マ
ーカーを含むレーンを切断し、総蛋白をアミドブラック
( 45v/v%メタノール、 10v/v%酢酸、及び 0.1%アミ
ドブラック 10B)で10分間染色し、染料を含まない上
記溶液中で脱色した。ニトロセルロース膜を20mMトリス
−塩酸緩衝液(pH 7.5)、500nM 塩化ナトリウム、3%ウシ
血清アルブミン(ブロッキング緩衝液)中に2時間浸し
た後、得られた各モノクローナル抗体と共に一晩室温で
インキュベートした。洗浄液( 20mM トリス−塩酸緩衝
液 pH 7.5 、500nM 塩化ナトリウム、0.05% Tween 20
)で洗浄した後、ビオチン化したヤギ抗マウス IgG +
IgM (TAGO社)と共に3時間インキュベートした。洗浄
液で洗浄した後、西洋ワサビペルオキシダーゼ接合した
ストレプトアビジン (TAGO社)と共に3時間インキュベ
ートした。さらに洗浄液で洗浄した後、基質(HRP Colo
r Development Solution, Bio Rad Laboratories, Rich
mond, CA)を添加し、発色が完了した後、蒸留水中に浸
すことによって反応を停止した。
【0020】その結果、MLT−1では、菌糸型カンジ
ダ・アルビカンス・セルエクストラクトに対して、分子
量約230kDa付近に染色されるバンドが検出され
た。しかし、酵母型カンジダ・アルビカンス・セルエク
ストラクトに対しては、バンドの染色は認められなかっ
た。MLT−2では、菌糸型カンジダ・アルビカンス・
セルエクストラクトに対して、MLT−1と同じく分子
量約230kDa付近のバンドの他、さらに分子量約1
4kDa付近に強く染色されるバンドが検出された。酵
母型カンジダ・アルビカンス・セルエクストラクトに対
しては、染色されるバンドは認められなかった。YST
−1では、酵母型カンジダ・アルビカンス・セルエクス
トラクトに対して、分子量約210kDaのバンドが検
出された。菌糸型カンジダ・アルビカンス・セルエクス
トラクトに対しては、染色されるバンドは認められなか
った。なお、これら210kDa及び230kDa付近
のバンドはいずれもアミドブラック染色法では染色され
にくく、過ヨウ素酸−シッフ染色法(Periodic acid- S
chiff staining )による強い染色が認められた。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 G01N 33/569 A 9015−2J 33/577 B 9015−2J (C12P 21/08 C12R 1:91)

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 菌糸型のカンジダ・アルビカンスに特異
    的に反応するモノクローナル抗体。
  2. 【請求項2】 酵母型のカンジダ・アルビカンスに特異
    的に反応するモノクローナル抗体。
  3. 【請求項3】 菌糸型のカンジダ・アルビカンスに特異
    的に反応するモノクローナル抗体を産生するハイブリド
    ーマ。
  4. 【請求項4】 酵母型のカンジダ・アルビカンスに特異
    的に反応するモノクローナル抗体を産生するハイブリド
    ーマ。
JP5015798A 1992-02-06 1993-02-03 カンジダ・アルビカンスの抗菌糸型抗体及び抗酵母型抗体 Pending JPH05317086A (ja)

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