JPH0530919Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、版胴から転写胴に転写したインクを
被印刷物に転移させて印刷するオフセツト印刷機
に関し、詳しくは一つの転写胴に対して複数の版
胴を設けて主版胴からは常時同じ版のインクを転
写胴に転写すると共に副版胴からは転写胴が一回
転するごとに異なる版のインクを転写して転写胴
一回転毎に異なる印刷のできるオフセツト印刷機
に関する。

〔従来の技術〕

従来のオフセツト印刷機では、被印刷物への印
刷毎に一部分の印刷が異なる印刷をする場合は２
台の印刷機と多数の版胴を用意して、１台で所定
数の印刷をし、他の１台でもう一度一印刷毎に版
胴を変えて印刷していた。

また、パイプ等の長尺物にメートル表示等の連
続番号を印刷するものとしては、一つの版胴の周
面に版を形成すると共に該版胴の一部に版胴一回
転毎に数字が変わる連番印字装置を嵌め込んで版
胴と転写胴とを常時接触させた状態で同一位相で
回転させながら連続して連番印刷を行う技術が知
られている（特開昭59−123668号公報）。

〔考案が解決しようとする課題〕

上記従来技術のうち前者のものは、２台の印刷
機と多数の版胴が必要であるばかりでなく、複数
刷りする手間が必要とする煩わしさがあつた。

また、後者のものは、異なる印刷としてきわめ
てちいさな数字しか印刷できず、区分領域に他の
文字や図柄が印刷できず、また小区分領域を有効
に利用した印刷ができない欠点があつた。

本考案は、一つの転写胴に対して複数の版胴を
設けて主版胴からは常時同じ版のインクを転写胴
に転写すると共に副版胴の周面に多数区分した異
なる版を形成して副版胴からは転写胴が一回転す
るごとに異なる版のインクを転写して転写胴一回
転毎に異なる印刷のできるオフセツト印刷機を提
供することを目的とする。

〔課題を解決するための手段〕

本考案の特徴とする構成は、版胴を主版胴と副
版胴とで構成し、主版胴を転写胴に対して常時接
当させ、他方副版胴を転写胴との間に間隙を有す
る状態で配設すると共に該副版胴の周長さと転写
胴の周長さとを異ならせ、且つ副版胴の周りを一
定ピツチで多数の版領域に区分して各版領域毎に
異なる版を形成し、前記転写胴の一部に副版胴の
一区分領域の版のインクを転写する部分転写面を
形成して該部分転写面を転写胴の径方向外方に向
けて出退自在に構成し、主版胴と転写胴とを同一
周速度で回転させると共に、副版胴を転写胴に対
して異なる回転角速度で等速回転させて転写胴が
一回転するごとに異なる印刷ができるように構成
した点にある。

〔作用〕

主版胴と転写胴とは常に接触しているので主版
胴の版のインクは回転に伴つて転写胴に転写さ
れ、他方副版胴の版のインクは、転写胴の一部の
径方向外方に向けて出退自在に構成した部分転写
面が副版胴に近接すると該部分転写面が突出して
副版胴に接当し、この接当によつて区分領域に形
成した版のインクが部分転写面に転写する。そし
てこの転写が完了すると部分転写面が元の位置に
戻つて転写胴の回転に伴つて被印刷物に印刷され
る。

主版胴と転写胴とは同一周速度で回転している
と共に、副版胴の周長さと転写胴の周長さとは異
なつていて、副版胴は転写胴に対して異なる回転
角速度で等速回転して転写胴が一回転する毎に一
定の位相差で回転し、転写胴が一回転する毎に部
分転写面に異なる区分領域の版のインクが転写し
て転写胴一回転毎に順次部分的に異なる印刷を行
う。

〔実施例〕

以下に、本考案の実施例を図面に基づいて説明
する。

１はインキング装置２，３によりそれぞれグラ
ビア主版胴４及びグラビア副版胴５にインクを盛
つて転写胴６に転写した後、被印刷物７に印刷す
るグラビアオフセツト印刷機である。

被印刷物７としては帯鋼板、アングル材、テー
プ等のように平面印刷できるものあるいはパイ
プ、ホースや電線ケーブル等のように曲面に印刷
するものであつてもよく、またその材質としては
紙、木材、金属、合成樹脂等印刷可能なものであ
ればいかなるものでもよい。本実施例の被印刷物
７は塩化ビニール製のホースである。

前記ホース７を載置する圧胴８はホース７の載
置面が正面視Ｖ字状のローラから成り、印圧を調
整する油圧シリンダ９に取り付けてあり、機体１
０の前後には上下高さが変更可能な補助ローラ１
１，１２を装着してある。

前記インキング装置２，３はインクを吹き出す
ノズル１３，１４とインクスクレーパー１５，１
６とインク回収トレイ１７，１８から構成してあ
る。機体１０の下部にはインクタンク１９、イン
ク供給ポンプ２０及びインクポンプ用モーター２
１を収納してあり、モーター２１の駆動によつて
インクタンク１９内のインクをポンプ２０で圧送
して輸送管２２に接続した前記ノズル１３，１４
からインクを版胴４，５の周面に吹き付けるよう
に構成してあり、吹き付けられた余剰インクはス
クレーパー１５，１６によつて掻き落とし、イン
ク回収トレイ１７，１８からインクタンク１９に
返送管２３を介して回収するよう構成してある。

前記主版胴４の外周長は1mでその外周面にメ
ーカー名や規格品名や記号等を刻設するとともに
少なくとも後述する転写胴６の揺動小ピース２４
に取り付けたゴムブランケツト２５ａ外周面によ
つて形成される部分転写面２６の転写領域に対応
する版面を平滑面に形成してある。

前記副版胴５の外周長は1m2cmで周方向２cmを
一区画として51区画の領域に区分し、各区画領域
ごとに副版胴５のほぼ全幅にわたる基準線と周方
向に配列した０〜50の数字及びｍの文字等、計３
〜４文字を刻設してある。

前記転写胴６は輪体２７の周囲にゴムブランケ
ツト２５を取り付けて構成してあり、ブランケツ
ト２５の外周面は主版胴４の外周面と常時接当さ
せてあり、副版胴５の外周面とは0.3〜0.5mmの微
小な隙間を設けてある。転写胴６の輪体２７は輪
体本体２７ａと小ピース２４とから成り、小ピー
ス２４の両側には軸心側に向かつて平行なアリ溝
を形成してあり、これらアリ溝を輪体本体２７ａ
に形成したアリに嵌合するとともに、小ピース２
４と輪体本体２７ａとにわたつて引張スプリング
２８を張設してある。

図中２９は機体１０に取り付けたローラーで、
輪体本体２７ａには接触せず、転写胴６の回転に
よつて小ピース２４の外周部に内側に向かつて張
り出したフランジ部３０に接当して前記小ピース
２４を径方向外方に持ち上げて小ピース２４に取
り付けたブランケツト２５ａの外周面２６を副版
胴５に接当させるようにしてある。

次に印刷機１の伝動系について説明する。

３１はモータ、３２及び３３はモータ３１の駆
動力を入り切りする電磁式の主クラツチブレーキ
及び副クラツチブレーキ、３４及び３５は減速用
プーリー、３６〜４２はそれぞれのタイミングプ
ーリーに巻回した突起付きのタイミングベルトで
ある。

４３及び４４は転写胴６の回転軸に嵌着したプ
ーリーで、プーリー４３にはベルト３９を巻回し
てあり、また前記プーリー４４にはプーリー４
５，４６に掛けたベルト４０を巻回してある。

４７は主版胴４の回転軸に嵌着したギヤで、こ
のギヤ４７は前記プーリー４５と同軸のギヤ４８
に噛合させてある。４９は前記プーリー４６の軸
５０に遊嵌したギヤで、副版胴５の軸５１に嵌着
したギヤ５２に噛合させてあり、軸５０にスプラ
イン嵌合させた電磁クラツチ（図外）の入り切り
によつて主クラツチブレーキ３２側から副版胴５
への駆動力を断接できるよう構成してある。

副版胴５のギヤ５２は前記ギヤ４９に噛合する
とともにベルト４２に巻回したプーリー５３の軸
５４に遊嵌してあるギヤ５５に噛合してあり、こ
のギヤ５５は前記軸５４にスプライン嵌合させた
電磁クラツチ（図外）の入り切りによつて副クラ
ツチブレーキ３３側から副版胴５への駆動力を断
接できるよう構成してある。

５６は副版胴５の軸５１に嵌着した円板で、こ
の円板５６の側面には零点検出用の触子（図外）
を付設するとともに円板５６外周近くに等間隔で
51個のねじ孔（図外）を穿設して後述するスイツ
チを押圧するための作動子（図外）を前記ねじ孔
の任意の個所に取り付けられるようにしてあり、
前記ねじ孔には０〜50までの番号を付けてある。
そして作動子を所望のねじ孔に取り付けることに
よつて50mまでの間の所望長さ単位で連続して印
刷することができる。

第３図は作動シーケンスを示す電気回路図であ
り、S₀はメインスイツチ、S₁及びS₂はそれぞれ本
機用及びインクポンプ用のモーター３１，２１の
スイツチ、S₃及びS₄は主クラツチブレーキ３２の
作動用及び停止用の押釦スイツチ、L₁及びL₂は
主クラツチブレーキ３２のソレノイドで、スイツ
チS₃の操作によるリレーＶの動作でリレー接点
V₁が閉じると共にリレー接点V₂が切り換わりソ
レノイドL₁が消磁、ソレノイドL₂が励磁してブ
レーキが掛かる。逆にソレノイドL₁が励磁する
とクラツチが入る。

S₅は前記円板５６に取り付けた作動子の押圧に
よつて閉じるａ接点スイツチで一回転毎に閉じ、
その作動タイミングは前記作動子を取り付けた番
号に対応するグラビア版の文字のインクが転写し
た後に閉じるようにしてある。S₆は転写胴６の一
回転毎に閉じるａ接点スイツチで、その作動タイ
ミングは前記スイツチS₅と同じく小ピース２４の
突出によつてインクが部分転写面２６へ転写した
後に閉じるようにしてある。前記スイチS₆は転写
胴６の回転軸またはこの軸に取り付けた円板に付
設した作動子によつて閉成されるようにするとよ
い。

しかして、スイツチS₀，S₁，S₂を入れるとモー
ター３１，２１が作動し、次いで押釦スイツチS₃
を押すと電磁式の主クラツチブレーキ３２が入つ
て、それぞれ矢印方向に回転してホース７に1m
毎にメーカー名、規格品名が印刷されるととも
に、メートル表示が印刷される。

今、ホースの長さが20mを１ロツドとして印刷
したいときは円板５６の20番のねじ孔に作動子を
取り付ける。この作動について説明すると、スイ
ツチS₅とS₆は副版胴５及び転写胴６の一回転毎に
一回ずつ閉じるが通常は閉じるタイミングがずれ
ていて、定常回転で1mから順次印刷される。副
版胴５が50回転に対して転写胴６が51回転し、副
版胴５と転写胴６との回転角速度比は50対51で両
者５，６の回転周期がわずかに異なつていて回転
に伴つてスイツチS₅，S₆の閉じタイミングが接近
し副版胴５の20mの文字が転写胴６に転写された
直後にスイツチS₆が閉じるとこれと同時にスイツ
チS₅も閉じる。これによつてリレーＷが作動して
リレー接点W₁，W₂，W₃が閉じ、回路５７，５
８及び５９が閉成し、これによつてリレーx₁，
y₁，z₁も閉じる。スイツチS₅，S₆が開いてリレー
Ｗが復帰しても回路５７，５８，５９は自己保持
されている。リレーＸ，Ｙ，Ｚの動作によつてリ
レー接点x₂が切り換わるとともにリレー接点y₂が
閉じてリレーz₂が開きソレノイドL₄，L₅が励磁す
るとともにソレノイドL₃，L₆が消磁する。

前記ソレノイドL₃，L₄は電磁式の副クラツチ
ブレーキ３３の作動用でソレノイドL₃の励磁で
ブレーキが掛かり、ソレノイドL₄の励磁でクラ
ツチが入る。ソレノイドL₅はギヤ５５用の電磁
クラツチのものであり、それぞれ励磁によつてク
ラツチが入る。

しかして20mの文字の転写完了後にリレーＸ，
Ｙ，Ｚが動作して副版胴５に対する主クラツチブ
レーキ３２側からの動力が断たれる一方、ギヤ５
５及び副クラツチブレーキ３３のクラツチが入つ
て副版胴５は２倍速で回転する。そしてこの回転
中に前記円板５６に付設した零点検出用の接触子
によつてスイツチS₇が操作されるとリレーＸが復
帰してブレーキが掛かり副版胴５が停止する。他
方部分転写面２６に20mの文字を転写された転写
胴６は主版胴４とともに回転して印刷が継続され
る。

副版胴５は版の零点が部分転写面２６に転写す
る位置よりも一区画以上手前で零点停止するよう
にしてあり、転写胴６の前記部分転写面２６が副
版胴５の零ｍ区画と一致する位置にくると転写胴
６側の前記作動子によつてスイツチS₈，S₉が操作
されてギヤ５５のクラツチが切れると同時にギヤ
４９のクラツチが入つて副版胴５が回転し、再び
主版胴４、副版胴５及び転写胴６が連動して1m，
2mと順次20mまでの印刷文字を異ならせて印刷
される。

また、円板のねじ孔に取り付ける作動子を付設
しないときは副版胴５が零点復帰することなく連
続して印刷することができる。

〔別実施例〕 上記実施例ではスイツチS₅とS₆でもつて零復
帰指令用スイツチを構成したが、零点復帰指令
用スイツチを一つにして、転写胴６の回転数
（パイプの１ロツドの長さ）をリセツトカウン
ターで計測して、所望の回転数（例えば20回転
数）で零点復帰指令スイツチを閉じるようにし
てもよい。

第１図における軸５０に対してギヤ４９を回
転不能に取り付けるとともに軸５０に設けたク
ラツチ、副クラツチブレーキ３３側の駆動系並
びに第３図におけるスイツチS₅，S₆、リレーＷ
以下の回路を省略してもよい。

副版胴５の区分は51区画よりも以下でも以上
でもよい。このとき区分長さに応じて区分転写
面の長さを決定すべきことは勿論である。また
副版胴５の径を転写胴６の径よりも小さくして
もよい。

版胴４，５またはそのいずれかの版を凸版で
構成してもよいが、凸版の場合はインクの転移
がグラビア版の場合のように完全でないので少
なくとも印刷文字の変わる副版胴５をグラビア
ホイールとするか、または副版胴５を凸版とす
る場合は部分転写面のインクが被印刷物に移つ
た後、部分転写面上に残留したインクを別途除
去するのが望ましい。

版胴５の文字はメートル表示のに限らず、例
えば英文字、漢字、仮名文字等の商標を交互に
印刷するようにしてもよく、また転写胴６一回
転毎に版胴５の多数に区画された版が一つずつ
順次ずれながら転写胴６への転写領域へ転写す
ればよく、この関係を保つ以上版胴５及び転写
胴６の径を所望の径に決定してもよい。

〔考案の効果〕

本考案によれば、主版胴と転写胴とは常時接触
した状態で同一周速度で回転してその回転に伴つ
て主版胴の一定の版のインクが転写胴に転写され
ると共に、副版胴の周長さと転写胴の周長さとは
異なつていて副版胴は転写胴に対して転写胴が一
回転する毎に一定の位相差で回転して転写胴が一
回転する毎に転写胴の部分転写面に異なる版のイ
ンクが転写し、全体として転写胴一回転毎に順次
異なる印刷をすることができる。

そして、異なる版を副版胴の周面の各区分領域
に形成して、副版胴の周面に形成された版のイン
クを主版胴の版のインクと共に転写胴に転写し
て、転写胴の回転に伴つて異なる印刷をするよう
にしてあるので、区分された版領域を有効に利用
して該版領域に各版領域毎に異なる文字や図柄を
形成することにより転写胴の一回転毎に数字だけ
でなく所望の文字や図柄等の異なる印刷すること
ができる。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案のオフセツト印刷機の実施例を示
し、第１図は下部を露出させた側面図、第２図は
転写胴の要部断面図、第３図は回路図である。 ５は版胴、６は転写胴、２６は部分転写面であ
る。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 版胴から転写胴６に転写したインクを被印刷物
   に転移させて印刷するオフセツト印刷機であつ
   て、版胴を主版胴４と副版胴５とで構成し、主版
   胴４を転写胴６に対して常時接当させ、他方副版
   胴５を転写胴６との間に間隙を有する状態で配設
   すると共に該副版胴５の周長さと転写胴６の周長
   さとを異ならせ、且つ副版胴５の周りを一定ピツ
   チで多数の版領域に区分して各版領域毎に異なる
   版を形成し、前記転写胴６の一部に副版胴５の一
   区分領域の版のインクを転写する部分転写面２６
   を形成して該部分転写面２６を転写胴６の径方向
   外方に向けて出退自在に構成し、主版胴４と転写
   胴６とを同一周速度で回転させると共に、副版胴
   ５を転写胴６に対して異なる回転角速度で等速回
   転させて転写胴６が一回転するごとに異なる印刷
   ができるように構成してあることを特徴とするオ
   フセツト印刷機。