JPH05309195A - 圧力変化を利用した洗浄方法並びにその装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【構成】本発明は従来の洗浄方式の補助的作用として、
またはそれ自体単独での洗浄方式として新規な洗浄方法
または装置を提供するものであって、吸水ないし着水し
た洗濯物を密閉した洗濯槽内に入れ、この洗濯槽内を減
圧方向に圧力変化させて、前記洗濯物に含まれ或いはそ
の回りに存在する水に溶解している気体を気泡化させて
洗濯物に作用させることを特徴とする圧力変化を利用し
た洗浄方法である。 【効果】従来の洗浄方法を単独で行うよりも洗浄効果が
向上する。また水に溶解している気体を気泡化させて洗
濯物を作用させるから、洗濯物を傷めることがなく、ま
た洗濯物同志の絡みはおろか、むしろ絡みがほぐされる
ような効果をも有する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の目的】

【産業上の利用分野】本発明は衣類等の洗濯物を洗浄す
るための洗浄方法並びにその装置に関する。

【０００２】

【発明の背景】従来、家庭用洗濯機の洗浄方式は、大別
してうず巻式、かくはん式、ドラム式の３方式がある。
しかしこれら各洗浄方式は、いずれも回転体を回転させ
て水や洗濯物を激しく動かして洗浄を行うものであるた
め、多かれ、少なかれ洗濯物が傷んだり、洗濯物同志が
絡んだりするなどの問題点がある。

【０００３】

【開発を試みた技術的事項】本発明はこのような問題点
を少しでも解消するため、従来の洗浄方式の補助的作用
として、またはそれ自体単独での洗浄方式として、新規
な洗浄方法または洗浄装置として開発されたものであ
る。

【０００４】

【発明の構成】

【目的達成の手段】即ち本出願に係る第一の発明たる圧
力変化を利用した洗浄方法は、吸水ないし着水した洗濯
物を密閉した洗濯槽内に入れ、この洗濯槽内を減圧方向
に圧力変化させて、前記洗濯物に含まれ或いはその回り
に存在する水に溶解している気体を気泡化させて洗濯物
に作用させることを特徴として成る。

【０００５】また本出願に係る第二の発明たる圧力変化
を利用した洗浄方法は、前記要件に加えて前記減圧方向
への圧力変化は、前記洗濯槽内を一旦加圧後、常圧また
は負圧にすることを特徴として成る。

【０００６】更に本出願に係る第三の発明たる圧力変化
を利用した洗浄装置は、密閉可能な洗濯槽に対して真空
ポンプと加圧ポンプのいずれか一方または双方とを結ぶ
配管系と、給水及び排水の排水管系とが接続して成るこ
とを特徴として成る。

【０００７】更にまた本出願に係る第四の発明たる圧力
変化を利用した洗浄装置は、前記要件に加えて前記配管
系または他に設けられる排気管にはリリース弁が設けら
れることを特徴として成る。

【０００８】更にまた本出願に係る第五の発明たる圧力
変化を利用した洗浄装置は、前記要件に加えて前記洗濯
槽内にはバブリング装置が設けられることを特徴として
成る。これら発明により前記目的を達成しようとするも
のである。

【０００９】

【発明の作用】本発明では洗濯槽内を相対的に減圧処理
することで、水に溶解していた気体が気泡となって発生
し、洗濯物に衝突して、その機械的作用により汚れを落
とす。また洗濯物が着水していない場合でも、吸水して
いれば、洗濯物中の水分に含まれる気体が気泡化して、
洗濯物の内部から汚れを落とすことができる。更にこの
ような作用は、洗濯物の裏面や袋状の内部等、手の届か
ない部分でも均しく発揮されるから汚れ落ちが均一にな
される。

【００１０】

【実施例】以下本発明を図示の実施例に基づいて説明す
る。図１は本発明をうず巻式の洗濯機に適用したもので
あって、図中符号１は洗濯機本体を表す。この洗濯機本
体１は、内側に洗濯槽２を形成する外筐体３の上部に、
ヒンジ４によって開閉自在に蓋体５を設けて成る。この
蓋体５の下面側周部にはパッキン６が設けられ、蓋体５
の開口側の端部に設けたロック機構７をロック状態にす
ることで、パッキン６が外筐体３の上面側周部に密着し
て、洗濯槽２が密閉されるようになっている。

【００１１】また洗濯槽２内には下部にパルセーター８
を具え、槽内上部にはシャワー装置９を具える。このパ
ルセーター８は、外筐体３の底部に設けたモータＭの駆
動がベルト１０及びプーリ１１で伝えられて回転駆動す
るようになっている。一方シャワー装置９は給水時にバ
ブリング作用を助長させるとともに、すすぎ洗い時には
水の供給源となるものである。

【００１２】次に洗濯槽２への給水及び排水のための排
水管系と吸気または脱気のための配管系について説明す
る。まず前記シャワー装置９には、給水管１２が接続
し、その途中に止め弁１３が設けられる。また洗濯槽２
の底部には排水口１４が形成され、この排水口１４には
排水管１４ａ接続するとともに途中に止め弁１５が設け
られる。

【００１３】更に洗濯槽２の上部と底部とには、それぞ
れ上部配管１６と下部配管１７とが設けられ、両者は途
中連通管１８によって互いに連通される。尚、両配管の
他端側は外部に開放される。そして上部配管１６には連
通管１８との接続部より開放端側に空気抜き用のリリー
ス弁１９が設けられ、また下部配管１７には連通管１８
との接続部を挟んで両側にそれぞれ開放端側切替弁２０
と洗濯槽側切替弁２１とが設けられる。尚、下部配管１
７の洗濯槽２側からは洗濯中に空気を泡として供給でき
るようになっており、実質的に請求項５で定義されるバ
ブリング装置を構成する。

【００１４】一方連通管１８の途中には真空ポンプと加
圧ポンプ兼用のポンプ２２が設けられる。尚、本実施例
では兼用型のポンプを採用したが、もちろん真空ポンプ
と加圧ポンプとを別々とし、それに応じた適宜配管形態
を採ってもよい。また本実施例では上部配管１６にリリ
ース弁１９を設けたが、洗濯槽２から別の排気管を設
け、そこにリリース弁１９を設けてもよい。

【００１５】本発明に係る圧力変化を利用した洗浄装置
の一例は以上のような構造を具えるものであって、以下
その作動状態と洗浄方法について説明する。まず蓋体５
を開けて洗濯物Ａと洗剤を洗濯槽２内に入れる。そして
蓋体５を閉めてロック機構７をロック状態にして洗濯槽
２内を密閉にする。

【００１６】この状態で止め弁１３を緩めてシャワー装
置９から水を適量供給し、パルセーター８を駆動して洗
濯を開始する。ここまでは従来の洗濯機と同じである
が、本発明の洗浄方法では、更にポンプ２２を駆動させ
て密閉された洗濯槽２内を加圧する。尚、この時の各弁
の状態は図２（ａ）に示すようにリリース弁１９と洗濯
槽側切替弁２１を閉鎖し、開放端側切替弁２０を開放し
ておく。

【００１７】洗濯槽２内が一定以上に加圧されたら図２
（ｂ）に示すようにリリース弁１９を一気に開放する。
これにより洗濯水中に溶けていた空気が一気に気泡化
し、洗濯物と衝突して洗濯物の洗浄効果を高める。また
このような効果を何回も得るため、リリース弁１９を再
度閉鎖して、ポンプ２２の作用により再度洗濯槽２内を
加圧し、再びリリース弁１９を開放するという動作を何
回か繰り返して行う。尚、パルセーター８の駆動による
洗濯水の回転により、洗濯水への空気の溶解が進行する
とともに、洗濯物Ａに含まれる水分が回りの水分と置換
されて、洗濯物Ａは多くの空気が溶解した水を含むよう
になる。

【００１８】このようにパルセーター８の駆動は、泡立
てを生起して洗濯水への空気の溶解を助長するいわばバ
ブリング作用をなすが、このようなバブリング作用は、
この他にもシャワー装置９からの給水や、前述したよう
に洗濯槽側切替弁２１をやや開放して下部配管１７から
ポンプ２２によって空気を供給する方法によっても得ら
れる（図２（ｃ）参照）。

【００１９】また上記実施例では加圧状態から常圧とい
う圧力変化によって溶解空気を気泡化させたが、本発明
では要は洗濯槽内が減圧方向へ圧力変化すればよいので
あって、加圧状態から常圧を通り越して減圧状態にまで
圧力変化させたり、または常圧状態から減圧状態へ圧力
変化させる方法を採ることもできる。

【００２０】因みにこのような圧力変化を上記実施例の
装置で行うためには、まず前者の場合にはポンプ２２で
加圧してリリース弁１９の瞬間的な開放とともに、今度
はポンプ２２の作動を切り替えて洗濯槽２内を減圧に導
くようにすればよい。また後者の場合には、上記実施例
におけるポンプ２２での加圧をやめて、ポンプ２２で洗
濯槽２内を減圧すればよい。尚、ポンプ２２での減圧を
急激に行いたい場合には、上部配管１６の途中にバキュ
ーム室と、洗濯槽２との間にバキューム弁を設けてお
き、ポンプ２２によってバキューム室をほぼ真空状態に
しておいて、この状態でバキューム弁を開放する方法を
とることができる。

【００２１】また以上のような減圧方向の圧力差付与
は、一回のみの場合や必要に応じて複数繰り返すことも
でき、しかも圧力差を徐々に変えたり、急激に変えたり
という操作を、各回毎に変えることもできる。更に減圧
方向の圧力差付与のタイミングは、すすぎの途中、パル
セーター８の回転停止中、また洗濯水の排水後であって
洗濯物がまだ水を含んでいるときであっても構わない。

【００２２】次に本発明の効果確認のための実験例につ
いて説明する。実験では図３に示すように、加圧ポンプ
２４とリリース弁２５とを具えた真空チャンバ２３とう
ず巻式電気洗濯機２７とを用意した。そしてうず巻式電
気洗濯機２７で洗濯物を５分間水洗いする毎に、水を含
んだ洗濯物を真空チャンバ２３に移してバキャームゲー
ジ７３（最大値７６）まで減圧し、３０秒間その状態を
維持した後、リリース弁２５を開放して常圧に戻した。

【００２３】このようにして図４に示すように減圧方向
の圧力変化を４回付与し、洗濯は５分×４＝２０分間行
った。尚、洗濯物を真空チャンバ２３に移している間
も、洗濯水への空気の溶解を進めるため、洗濯機をその
まま回転させていた。一方、これとの比較実験として、
図５に示すような同様な洗濯機を用いて、図６に示すよ
うに５分間洗濯後、１分３０秒間停止するという操作を
４回繰り返し、計２０分間洗濯を行った。

【００２４】

【発明の効果】上記実施例と比較例とを比較したとこ
ろ、洗剤を用いないため両者とも油汚れは完全には落ち
ていなかったが、汚れ落ちの程度は一見明らかに本発明
の方法を適用した実験例の方が良かった。尚、単純目視
でも汚れの差は明らかであるが、透明アクリル板に洗濯
物を貼り付けて白紙と黒紙とを背景として目視比較する
と、汚れの差は一層明らかであった。

【００２５】このように本発明の洗浄方法または装置で
は、従来の洗浄方法を単独で行うよりも洗浄効果が向上
する。また水に溶解している気体を気泡化させて洗濯物
を作用させるから、洗濯物を傷めることがなく、また洗
濯物同志の絡みはおろか、むしろ絡みがほぐされるよう
な効果をも有する。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明をうず巻式の洗濯機に適用した実施例を
示す縦断側面図である。

【図２】本発明の洗浄装置の作動状態と、弁の開閉との
関係を示す説明図である。

【図３】本発明の効果確認のための実験例を示す説明図
である。

【図４】同上圧力変化と時間との関係を示すグラフであ
る。

【図５】本発明の効果と比較するための洗濯機のみを用
いた場合の実験例を示す説明図である。

【図６】同上圧力変化と時間との関係を示すグラフであ
る。

【符号の説明】

１ 洗濯機本体 ２ 洗濯槽 ３ 外筐体 ４ ヒンジ ５ 蓋体 ６ パッキン ７ ロック機構 ８ パルセーター ９ シャワー装置 １０ ベルト １１ プーリ １２ 給水管 １３ 止め弁 １４ 排水口 １４ａ 排水管 １５ 止め弁 １６ 上部配管 １７ 下部配管 １８ 連通管 １９ リリース弁 ２０ 開放端側切替弁 ２１ 洗濯槽側切替弁 ２２ ポンプ ２３ 真空チャンバ ２４ 加圧ポンプ ２５ リリース弁 ２７ うず巻式電気洗濯機 Ａ 洗濯物 Ｍ モータ

Claims (5)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 吸水ないし着水した洗濯物を密閉した洗
   濯槽内に入れ、この洗濯槽内を減圧方向に圧力変化させ
   て、前記洗濯物に含まれ或いはその回りに存在する水に
   溶解している気体を気泡化させて洗濯物に作用させるこ
   とを特徴とする圧力変化を利用した洗浄方法。
2. 【請求項２】 前記減圧方向への圧力変化は、前記洗濯
   槽内を一旦加圧後、常圧または負圧にすることを特徴と
   する請求項１記載の圧力変化を利用した洗浄方法。
3. 【請求項３】 密閉可能な洗濯槽に対して真空ポンプと
   加圧ポンプのいずれか一方または双方とを結ぶ配管系
   と、給水及び排水の排水管系とが接続して成ることを特
   徴とする圧力変化を利用した洗浄装置。
4. 【請求項４】 前記配管系または他に設けられる排気管
   にはリリース弁が設けられることを特徴とする請求項３
   記載の圧力変化を利用した洗浄装置。
5. 【請求項５】 前記洗濯槽内にはバブリング装置が設け
   られることを特徴とする請求項３または４記載の圧力変
   化を利用した洗浄装置。