JPH05308703A - 渦電流式減速装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 下り坂走行中であつても車速が所定値以下の
場合は、渦電流式減速装置が作動しないようにする。 【構成】 車両の変速機の出力回転軸２２に結合した制
動ドラム２３へ、磁石支持輪２１をアクチユエータＡに
より接近させて制動を得る。アクチユエータＡを制御す
る電磁切換弁１６の通電回路に、ブレーキペダル６を踏
むと閉じるスイツチ６ａと、車速が所定値以下の時開く
低速段スイツチ１０ａとを直列に挿入接続する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は車両の摩擦ブレーキを補
助する渦電流式減速装置、渦電流式減速装置による制動
を必要とする走行条件で、ブレーキペダルの踏込み操作
と連動して作動するが、車速が所定値以下では作動しな
い渦電流式減速装置に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】特願平2-291362号公報になどに開示され
る渦電流式減速装置では、下り坂走行など渦電流式減速
装置による制動を必要とする走行条件で、運転者がリタ
ーダスイツチないし主スイツチを閉じると、渦電流式減
速装置が作動可能の状態になり、ブレーキペダルを踏み
込むと、摩擦ブレーキと一緒に渦電流式減速装置も制動
状態になり、ブレーキペダルを解放すると、摩擦ブレー
キと一緒に渦電流式減速装置も解除される。渦電流式減
速装置の制動と非制動の切換えは、空圧、油圧などの流
体圧アクチユエータにより磁石支持輪を駆動して達せら
れる。

【０００３】しかし、下り坂走行中であつても低速（例
えば車速２０km／ｈ以下）の場合は、渦電流式減速装置
の制動効果はあまり期待できない。低速走行中でも繰り
返しブレーキペダルを踏むと、その都度渦電流式減速装
置の磁石支持輪を駆動するアクチユエータが作動し、ア
クチユエータの流体消費量は無視できないものとなり、
動力の損失を招く。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は上述の
問題に鑑み、下り坂走行中であつても車速が所定値以下
の場合は、渦電流式減速装置が作動しないようにした、
渦電流式減速装置を提供することにある。

【０００５】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明の構成は車両の変速機の出力回転軸側に結合
した回転制動体に対し、磁石支持輪がアクチユエータに
より磁界を及ぼす制動位置と磁界を及ぼさない非制動位
置とに切換え駆動される渦電流式減速装置において、ア
クチユエータを制御する電磁切換弁の通電回路に、ブレ
ーキペダルを踏むと閉じるスイツチと、車速が所定値以
下の時開く車速スイツチとを、直列に挿入接続したもの
である。

【０００６】

【作用】アクチユエータの通電回路は、ブレーキペダル
を踏むと閉じるスイツチと、車速が所定値（例えば２０
km／ｈ）以下で開く車速スイツチとを、直列に挿入接続
されているので、車速が所定値以下の場合はブレーキペ
ダルを踏んでも、渦電流式減速装置は作動しない。低速
走行中は摩擦ブレーキとの連動を中断し、制動効果があ
まりない渦電流式減速装置の無駄な作動を回避する。

【０００７】車速が所定値以上の場合は、ブレーキペダ
ルを踏み込むと、電磁切換弁が励磁され、流体源の加圧
流体が電磁切換弁を経てアクチユエータへ供給され、渦
電流式減速装置が制動位置へ駆動される。

【０００８】

【実施例】図１は本発明による渦電流式減速装置の概略
構成図である。渦電流式減速装置Ｂは、変速機の出力回
転軸２２に結合した制動体としての制動ドラム２３と、
制動ドラム２３の内部に配設した固定枠２０に沿つて軸
方向移動可能の磁石支持輪２１とを備えている。固定枠
２０は断面長方形の内空部を有する環状のものである。
固定枠２０の端部に結合した複数（好ましくは３つ）の
アクチユエータＡにより、磁石支持輪２１は制動ドラム
２３の内部へ突出する図示の制動位置と、制動ドラム２
３から引退する非制動位置とに駆動される。磁石支持輪
２１は外周壁に多数の永久磁石２１ａを周方向等間隔
に、かつ制動ドラム２３の内周面に対向する磁極が周方
向交互に異なるように結合される。

【０００９】アクチユエータＡはシリンダ１７にピスト
ン１８を嵌装してなり、ピストン１８から固定枠２０の
内空部へ突出するロツド１９を磁石支持輪２１に結合さ
れる。アクチユエータＡの両端室は一方を空気槽１５
に、他方を大気に、電磁切換弁１６により選択的に連通
される。電磁切換弁１６は電磁コイル１６ａを励磁する
と、弁体が図示の制動位置へ移動する。電磁切換弁１６
は電磁コイル１６ａを消磁すると、ばね力により弁体が
左方へ移動し、空気槽１５の加圧空気がシリンダ１７の
右端室へ供給され、シリンダ１７の左端室は大気へ解放
される。ピストン１８と一緒に磁石支持輪２１が左方へ
移動し、渦電流式減速装置Ｂは非制動位置へ切り換わ
る。渦電流式減速装置Ｂはドラム型のものに限らず、円
板型のものでもよい。アクチユエータＡは油圧アクチユ
エータや電磁アクチユエータでもよい。

【００１０】電磁切換弁１６の通電回路は、操舵筒４に
設けた接点ａ，ｂ，ｃと円弧状の可動接片とからなる主
スイツチ３と、連動スイツチ８と、クラツチペダル５を
踏み込むと開くスイツチ５ａと、ブレーキペダル６を踏
み込むと閉じるスイツチ６ａ，６ｂと、アクセルペダル
７を踏み込むと開くスイツチ７ａと、変速機の変速レバ
ー１０が低速段（１・２速段と後退段）へシフトされて
いる時開く車速スイツチとしての低速段スイツチ１０ａ
と、温度スイツチ１４とを備えている。好ましくは、低
速段スイツチ１０ａはスイツチ５ａと並列に接続され
る。主スイツチ３はブレーキペダル６の踏込み操作に連
動して排気ブレーキ弁９を閉じる回路を備えられる。図
示してないが、温度スイツチ１４が開いた時、警報器が
鳴る回路を設けることが好ましい。

【００１１】次に、本発明による渦電流式減速装置の作
動について説明する。主スイツチ３により接点ａと接点
ｂを接続し、かつブレーキペダル６を踏み込むと、電源
バツテリ２から主スイツチ３の接点ａ，ｂ、切換スイツ
チ２５、スイツチ６ｂを経て排気ブレーキ弁９へ通電さ
れ、排気ブレーキ弁９が閉じ、排気ブレーキが作動す
る。切換スイツチ２５を破線で示す位置へ切り換える
と、排気ブレーキは作動しない。

【００１２】長い下り坂走行など渦電流式減速装置Ｂに
よる制動を必要とする条件で、リターダスイツチないし
主スイツチ３により接点ａ，ｂ，ｃを互いに接続し、連
動スイツチ８を図示の位置にすると、渦電流式減速装置
Ｂが作動可能になる。しかし、変速レバー１０が低速段
へシフトされている場合は、低速段スイツチ１０ａは開
いているので、ブレーキペダル６を踏み込んでも、渦電
流式減速装置Ｂは作動しない。

【００１３】変速レバー１０を中・高速段へシフトする
と、低速段スイツチ１０ａが閉じる。したがつて、ブレ
ーキペダル６を踏み込むと、スイツチ６ａが閉じ、電源
バツテリ２から主スイツチ３、連動スイツチ８、スイツ
チ６ａ、スイツチ７ａ、スイツチ５ａおよび低速段スイ
ツチ１０ａ、制動燈１３、温度スイツチ１４を経て、電
磁切換弁１６の電磁コイル１６ａへ通電され、渦電流式
減速装置Ｂは図示の制動状態になり、制動燈１３が点燈
する。

【００１４】下り坂走行中は、変速レバー１０が中・高
速段位置へシフトされている限り、ブレーキペダル６を
踏み込んだまま、変速機のシフトダウン操作のためにク
ラツチを踏み込むと、スイツチ５ａは開くが、低速段ス
イツチ１０ａが閉じているので、渦電流式減速装置Ｂは
制動状態にあつて、円滑なシフトダウン操作を助ける。

【００１５】長時間渦電流式減速装置Ｂを制動状態に
し、制動ドラム２３の温度が限界に達すると、温度スイ
ツチ１４が開き、渦電流式減速装置Ｂの制動が解除さ
れ、制動燈１３が消燈し、制動ドラム２３の過熱を防止
する。

【００１６】下り坂走行中に、ブレーキペダル６を解放
すると、スイツチ６ａが開き、電磁切換弁１６が消磁さ
れ、渦電流式減速装置Ｂの制動が解除される。また、車
両の加速のためにアクセルペダル７を踏み込むと、スイ
ツチ７ａが開き、渦電流式減速装置Ｂの制動が解除され
る。

【００１７】図２は上述の制御をマイクロコンピユータ
からなる電子制御装置２４により行う場合のブロツク図
である。つまり、各スイツチまたは各スイツチに対応す
るセンサからの信号に基づく電子制御装置２４の出力に
より電磁切換弁１６を励磁し、アクチユエータＡにより
渦電流式減速装置Ｂを駆動する。車速スイツチとしての
車速センサ１０ｂは、変速機の出力回転軸側に配設した
回転数センサから構成される。

【００１８】図３は同制御プログラムの流れ図である。
同図において、ｐ11〜ｐ21は制御プログラムの各ステツ
プを表す。この制御プログラムは所定時間ごとに繰り返
し実行する。制御プログラムはｐ11で開始し、ｐ12で主
スイツチ３が閉か否かを判別する。主スイツチ３が開の
場合はｐ14へ進み、主スイツチ３が閉の場合は、ｐ13で
クラツチペダル５を踏み込むと開くスイツチ５ａが開か
否かを判別する。

【００１９】スイツチ５ａが開の場合は、ｐ14で連動ス
イツチ８が閉か否かを判別する。連動スイツチ８が開の
場合はｐ17へ進み、連動スイツチ８が閉の場合は、ｐ15
でブレーキペダル６を踏み込むと閉じるスイツチ６ａが
閉か否かを判別する。スイツチ６ａが閉の場合はｐ19へ
進み、スイツチ６ａが開の場合は、ｐ16で車速センサ１
０ｂにより検出した車速が所定値VL（例えば２０km／
ｈ）以下か否かを判別する。車速が所定値VL以上の場合
はｐ19へ進み、車速が所定値VL以下の場合は、ｐ17で電
磁切換弁１６を消磁し、渦電流式減速装置Ｂを非制動位
置へ戻し、ｐ21で終了する。

【００２０】ｐ13でクラツチペダル５を踏み込むと開く
スイツチ５ａが閉の場合は、ｐ18でアクセルペダル７を
踏み込むと開くスイツチ７ａが開か否かを判別する。ス
イツチ７ａが開の場合はｐ15へ進み、スイツチ７ａが閉
の場合は、ｐ19で制動ドラム２３の過熱時開く温度スイ
ツチ１４が閉か否かを判別する。温度スイツチ１４が開
の場合はｐ17へ進み、温度スイツチ１４が閉の場合は、
ｐ20で電磁切換弁１６を励磁し、渦電流式減速装置Ｂを
制動位置へ駆動し、ｐ21で終了する。

【００２１】なお、上述の実施例では、磁石支持輪をア
クチユエータにより回転制動体へ離接して非制動位置と
制動位置に切り換える形式の渦電流式減速装置について
述べたが、本発明はこれに限定されるものではなく、磁
石支持輪が強磁性板を備える非磁性輪を挟んで回転制動
体に対向し、磁石支持輪の非磁性輪に対する回転位相を
アクチユエータにより変更して非制動位置と制動位置に
切り換える形式の渦電流式減速装置（例えば特開平2-11
2026号公報参照）にも適用できるのは言うまでもない。

【００２２】また、本発明は渦電流式減速装置に限ら
ず、変速機の出力軸側に配設される電磁石式、流体式、
摩擦式の各減速装置にも適用できる。

【００２３】

【発明の効果】本発明は上述のように、車両の変速機の
出力回転軸側に結合した回転制動体に対し、磁石支持輪
がアクチユエータにより磁界を及ぼす制動位置と磁界を
及ぼさない非制動位置とに切換え駆動される渦電流式減
速装置において、アクチユエータを制御する電磁切換弁
の通電回路に、ブレーキペダルを踏むと閉じるスイツチ
と、車速が所定値以下の時開く車速スイツチとを、直列
に挿入接続したから、渦電流式減速装置を作動してもあ
まり制動効果を期待できない低速走行では、ブレーキペ
ダルを踏み込んでも、渦電流式減速装置を制動位置へ駆
動するアクチユエータが作動しないので、アクチユエー
タの流体消費量が減り、油圧ポンプ、空気圧縮機などの
駆動に要する動力を節減できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に係る渦電流式減速装置の正面断面図で
ある。

【図２】同渦電流式減速装置の制御装置のブロツク図で
ある。

【図３】同制御装置の制御プログラムの流れ図である。

【符号の説明】

Ａ：アクチユエータ Ｂ：渦電流式減速装置 ５ａ：ス
イツチ １０ａ：低速段スイツチ １０ｂ：車速センサ
１６：電磁切換弁 ２１：磁石支持輪 ２３：制動ド
ラム

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】車両の変速機の出力回転軸側に結合した回
   転制動体に対し、磁石支持輪がアクチユエータにより磁
   界を及ぼす制動位置と磁界を及ぼさない非制動位置とに
   切換え駆動される渦電流式減速装置において、アクチユ
   エータを制御する電磁切換弁の通電回路に、ブレーキペ
   ダルを踏むと閉じるスイツチと、車速が所定値以下の時
   開く車速スイツチとを、直列に挿入接続したことを特徴
   とする、渦電流式減速装置。
2. 【請求項２】前記車速スイツチが変速機が低速段にある
   時開く低速段スイツチである、請求項１に記載の渦電流
   式減速装置。