JPH05302211A - 易染性ポリエステル繊維 - Google Patents

易染性ポリエステル繊維

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JPH05302211A
JPH05302211A JP12945292A JP12945292A JPH05302211A JP H05302211 A JPH05302211 A JP H05302211A JP 12945292 A JP12945292 A JP 12945292A JP 12945292 A JP12945292 A JP 12945292A JP H05302211 A JPH05302211 A JP H05302211A
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謙一 吉岡
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 ポリエステル繊維特有の優れた性質を損なう
ことなく、カチオン染料で染色しやすく、染色後の色彩
の鮮明性、発色性に優れた繊維を提供する。 【構成】 テレフタル酸を主とする二官能性カルボン酸
またはそのエステル形成性誘導体、少なくとも1種の低
級アルキレングリコ−ルまたはそのエステル形成性誘導
体、特定の構造を有するスルホン酸塩基含有化合物、直
鎖状の炭素数が6以上であるグリコ−ル成分および/ま
たは直鎖状の炭素数が6以上である二官能性カルボン酸
成分を共重合してなるポリエステルからなる易染性ポリ
エステル繊維。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はカチオン染料可染型の共
重合ポリエステル繊維に関する。詳しくは、カチオン染
料で染色が可能であると共にその色彩の鮮やかさ、発色
性が改良された繊維に関する。
【0002】
【従来の技術】ポリエステル繊維、特にポリエチレンテ
レフタレ−トを主成分とする繊維ポリエステル繊維は、
高結晶性でありかつ高軟化点を有するため、強度、伸度
等の機械的特性はもとより、耐熱性、耐薬品性等に優れ
た性能を示し、産業資材、衣料用品分野に広く利用され
ている。
【0003】しかし、かかるポリエステル繊維は染色性
に劣っており、特に分散染料以外の染料には染色が困難
であるため、ポリエステル繊維の用途分野が狭められて
いるのが実情である。このような欠点を改良すべく、多
くの改良、改質方法が提案されている。その代表的な方
法として(a)金属スルホネ−ト基含有化合物をポリエ
ステルに共重合させる方法(特公昭34−10497号
公報、特開昭49−33766号公報)、(b)アミノ
基含有化合物をポリエステルに共重合させる方法(特公
昭54−38159号公報)等がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、いずれの方法
も欠点を有している。例えば(a)の方法では、満足す
る染色性を得るためには金属スルホネ−ト基含有化合物
を多量に共重合することが必要であり、金属スルホネ−
ト基含有化合物を多量に共重合すると該化合物の増粘作
用のため共重合ポリエステルの溶融粘度が著しく増大
し、共重合ポリエステルの重合度を高めることが困難と
なると同時に、紡糸も困難となる。したがって(a)の
方法で重合が容易でかつ溶融紡糸の可能な範囲にまで溶
融粘度を低下させると、強度の低い繊維しか得られない
という問題がある。また(b)の方法では、アミノ基含
有化合物が共重合されたポリエステルの熱安定性に問題
がある。本発明の目的は、ポリエステル繊維特有の優れ
た性質、すなわち機械的性質や適度なアルカリ減量速度
を損なうことなく、分散染料だけでなくカチオン染料に
も満足な染色性を有し、さらに染色後の色性比の鮮明
性、発色性にすぐれたポリエステル繊維を提供するもの
である。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、上記の
目的は、テレフタル酸を主とする二官能性カルボン酸ま
たはそのエステル形成性誘導体、少なくとも1種の低級
アルキレングリコ−ルまたはそのエステル形成性誘導
体、一般式(I)および/または一般式(II)で表さ
れるスルホン酸塩基含有化合物、
【0006】
【化3】
【0007】(式中、X↓1はエステル形成性官能基、
X↓2はX↓1と同一もしくは異なるエステル形成官能
基または水素原子、Arは3価の芳香族基、Mは金属原
子を表す)
【0008】
【化4】
【0009】(式中、X´↓1はエステル形成性官能
基、X´↓2はX´↓1と同一もしくは異なるエステル
形成官能基または水素原子、Ar´は3価の芳香族基、
R↓1、R↓2、R↓3およびR↓4はアルキル基およ
びアリ−ル基より選ばれた同一または異なる基、nは正
の整数を示す)
【0010】直鎖状の炭素数が6以上であるグリコ−ル
成分および/または直鎖状の炭素数が6以上である二官
能性カルボン酸成分を共重合してなるポリエステルであ
って、スルホン酸塩基含有化合物の含有率が該ポリエス
テルを構成する全酸成分に対して1.0〜7.0モル%
であり、直鎖状の炭素数が6以上でグリコ−ル成分およ
び/または直鎖状の炭素数が6以上である二官能性カル
ボン酸成分の含有率が、該ポリエステルを構成する全酸
成分に対して3.0〜20モル%である共重合ポリエス
テルからなる易染性ポリエステル繊維を提供することに
よって達成される。
【0011】本発明でいうポリエステルとは、テレフタ
ル酸を主たる酸成分とし、少なくとも1種のグリコ−
ル、好ましくはエチレングリコ−ル、トリメチレングリ
コ−ル、テトラメチレングリコ−ルから選ばれる少なく
とも1種のアルキレングリコ−ルをグリコ−ル成分とす
るポリエステルを主たる対象とする。
【0012】本発明において共重合成分として使用され
るスルホン酸塩基含有化合物は一般式(I)および/ま
たは一般式(II)で表される。
【0013】
【化5】
【0014】
【化6】
【0015】一般式(I)中、Arは3価の芳香族基を
表し、1,3,5−ベンゼントリイル基;1、3、6−
ベンゼントリイル基;1,2,4−ベンゼントリイル基
等のベンゼントリイル基、1,3,6−ナフタレントリ
イル基;1,3,7−ナフタレントリイル基;1,4,
5−ナフタレントリイル基;1,4,6−ナフタレント
リイル基等のナフタレントリイル基などが挙げられる。
またMは金属原子を表し、リチウム、ナトリウム、カリ
ウム等のアルカリ金属が好ましい。
【0016】一般式(I)および一般式(II)中、X
↓1、X↓2およびX´↓1、X´↓2はエステル形成
性官能基を示し、
【0017】
【化7】
【化8】
【化9】
【0018】(式中、R´は低級アルキル基またはフェ
ニル基である)等を挙げることができる。X↓1とX↓
2、X´↓1とX´↓2は同一もしくは異なるエステル
形成性官能基または水素原子を示し、エステル形成性官
能基であることが好ましい。R↓1、R↓2、R↓3お
よびR↓4はアルキル基およびアリ−ル基より選ばれた
同一または異なる基を示す。nは正の整数である。
【0019】一般式(I)で示される化合物の具体例と
して、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、5−ナトリ
ウムスルホイソフタル酸ジメチルエステル、5−ナトリ
ウムスルホイソフタル酸ジエチルエステル、5−カリウ
ムスルホイソフタル酸、5−カリウムスルホイソフタル
酸ジメチルエステル、5−カリウムスルホイソフタル酸
ジエチルエステル、5−リチウムスルホイソフタル酸、
5−リチウムスルホイソフタル酸ジメチルエステル、2
−ナトリウムスルホテレフタル酸等の金属スルホン化さ
れたベンゼンジカルボン酸またはその低級アルキルエス
テル;4−ナトリウムスルホ−2,6−ナフタレンジカ
ルボン酸、4−ナトリウムスルホ−2,6−ナフタレン
ジカルボン酸ジメチルエステル、6−ナトリウムスルホ
−1,4−ナフタレンジカルボン酸、5−ナトリウムス
ルホ−1,4−ナフタレンジカルボン酸等の金属スルホ
ン化されたナフタレンジカルンボン酸またはその低級ア
ルキルエステルなどが挙げられる。
【0020】一般式(II)で示される化合物の具体例
として、3,5−ジカルボキシベンゼンスルホン酸テト
ラブチルホスホニウム塩、3,5−ジカルボキシベンゼ
ンスルホン酸エチルトリブチルホスホニウム塩、3,5
−ジカルボキシベンゼンスルホン酸ベンジルトリブチル
ホスホニウム塩、3,5−ジカルボキシベンゼンスルホ
ン酸フェニルトリブチルホスホニウム塩、3,5−ジカ
ルボキシベンゼンスルホン酸テトラフェニルホスホニウ
ム塩、3,5−ジカルボキシベンゼンスルホン酸ブチル
トリフェニルホスホニウム塩、3,5−ジカルボキシベ
ンゼンスルホン酸ベンジルトリフェニルホスホニウム
塩、3,5−ジカルボメトキシベンゼンスルホン酸テト
ラブチルホスホニウム塩、3,5−ジカルボメトキシキ
シベンゼンスルホン酸エチルトリブチルホスホニウム
塩、3−カルボキシベンゼンスルホン酸テトラフェニル
ホスホニウム塩などが挙げられる。。
【0021】ポリエステルに含まれるスルホン酸塩基含
有化合物は1種のみであってもよく、2種以上であって
もよいが、スルホン酸塩基含有化合物の含有率は、該共
重合ポリエステルに含有される全酸成分に対して1.0
〜7.0モル%の範囲内となる量であり、1.2〜5.
0モル%の範囲内の量、特に1.5〜3.0モル%の範
囲内の量であることが好ましい。スルホン酸塩基含有化
合物の含有率が1.0モル%未満である場合、カチオン
染料による染色性が不十分となり、一方含有率が7.0
モル%を越える場合、得られる繊維の繊維物性が著しく
低下するばかりでなく、カチオン染料の染着座席が増す
ため繊維への染着量が増加して、かえって色彩の鮮明性
が失われることになる。
【0022】上記のポリエステルの共重合成分である直
鎖状の炭素数が6以上であるグリコ−ル成分は、直鎖状
の炭素数が6以上であれば分岐鎖を含んでいてもよい
が、繊維の結晶構造を乱しすぎると得られる繊維の強度
低下を招くので、分岐鎖の大きさは炭素数3以下であ
り、その数は2以下であることが好ましい。また、直鎖
状の炭素数があまり多すぎても得られる繊維の強度が低
下するので直鎖状の炭素数は6〜15、特に8〜12で
あることが好ましい。
【0023】かかるグリコ−ル成分としては、1,6−
ヘキサンジオ−ル、1,7−ヘプタンジオ−ル、1,8
−オクタンジオ−ル、2−メチル−1,8−オクタンジ
オ−ル,1,9−ノナンジオ−ル、1,10−デカンジ
オ−ル等の飽和脂肪族グリコ−ルが挙げられるが、上記
の条件を満たせば飽和グリコ−ルであっても不飽和グリ
コ−ルであってもよい。
【0024】上記のポリエステルの共重合成分である直
鎖状の炭素数が6以上である二官能性カルボン酸成分
は、直鎖状の炭素数が6以上であれば分岐鎖を含んでい
てもよいが、繊維の結晶構造を乱しすぎると得られる繊
維の強度低下を招くので、分岐鎖の大きさは炭素数3以
下であり、その数は2以下であることが好ましい。ま
た、直鎖状の炭素数があまり多すぎても得られる繊維の
強度が低下するので直鎖状の炭素数は6〜15、特に8
〜12であることが好ましい。
【0025】かかる二官能性カルボン酸成分としては、
アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸等の飽和脂肪族
ジカルボン酸、フマル酸、シトラコン酸等の不飽和脂肪
族ジカルボン酸が挙げられる。
【0026】共重合ポリエステルに含まれる直鎖状の炭
素数が6以上であるグリコ−ル成分および/または直鎖
状の炭素数が6以上である二官能性カルボン酸成分は1
種のみであってもよく、2種以上であってもよい。また
直鎖状の炭素数が6以上であるグリコ−ル成分および/
または直鎖状の炭素数が6以上である二官能性カルボン
酸成分の含有率は、該共重合ポリエステルに含有される
全酸成分に対して3.0〜20モル%の範囲内となる量
であり、4.0〜15モル%の範囲内の量であることが
好ましい。直鎖状の炭素数が6以上であるグリコ−ル成
分および/または直鎖状の炭素数が6以上である二官能
性カルボン酸成分の含有率が3.0モル%未満である場
合、一般式(I)で示されるスルホン酸塩基含有化合物
を含有する共重合ポリエステルにおける、該化合物の有
する増粘作用に対する減粘効果が発現しないため、共重
合ポリエステルにおける重合度を高めた上での紡糸が困
難であり、たとえ紡糸が可能となっても染色性が不十分
であり、色彩の鮮明性、発色性に劣る。一方含有率が
7.0モル%を越える場合、共重合ポリエステルの重合
性が低下すると同時にその結晶構造を過度に乱し、得ら
れる繊維の繊維物性が著しく低下する。
【0027】本発明の共重合ポリエステルの共重合成分
であるスルホン酸塩基含有化合物、直鎖状の炭素数が6
以上であるグリコ−ル成分および/または直鎖状の炭素
数が6以上である二官能性カルボン酸成分の含有率の合
計は、共重合ポリエステルに含有される全酸成分の5〜
21モル%の範囲内の量であることが好ましい。含有率
の合計が5モル%未満の場合、共重合ポリエステルの減
粘効果およびかかるポリエステルから得られる繊維の染
色性に劣り、一方21モル%を越えるとかかるポリエス
テルから得られる繊維の物性が著しく低下することがあ
り、いずれも好ましくない。特に、5.5〜18モル%
の範囲内の量が好ましい。
【0028】本発明における共重合ポリエステルは、例
えば次のような方法で製造することができる。すなわ
ち、テレフタル酸とエチレングリコ−ルとを直接エステ
ル化させるか、テレフタル酸ジメチルのようなテレフタ
ル酸の低級アルキルエステルとエチレングリコ−ルとエ
ステル交換反応させるか、またはテレフタル酸とエチレ
ンオキシドとを反応させるかしてテレフタル酸のエチレ
ングリコ−ルエステルおよび/またはその低重合体を生
成させる第1段階の反応、そして第1段階で得られた反
応生成物を減圧下で加熱して所望の重合度になるまで重
縮合反応させる第2段階の反応によって製造される。そ
の際、スルホン酸塩基含有化合物、直鎖状の炭素数が6
以上であるグリコ−ル成分および/または直鎖状の炭素
数が6以上である二官能性カルボン酸成分は、それぞれ
の所望量を重縮合反応が終了するまでの任意の段階、例
えばポリエステルの出発原料、エステル交換反応後で重
縮合反応前に添加することができる。
【0029】このようにして得られた共重合ポリエステ
ルは、フェノ−ル/テトラクロロエタン(重量比1:
1)の混合溶媒に溶解して、30℃で測定した固有粘度
が0.5dl/g以上であることが好ましい。固有粘度
が0.5dl/g未満の場合、溶融紡糸時の断糸が著し
いため好ましくない。また固有粘度が大きすぎる場合、
溶融粘度が大きくなりすぎて紡糸性が不良となることが
あるので、繊維化工程上のトラブルを軽減する点から、
共重合ポリエステルの固有粘度は0.55〜1.5dl
/gの範囲内であることが好ましい。
【0030】スルホン酸塩基含有化合物、例えば5−ナ
トリウムスルホイソフタル酸のような屈曲した分子構造
を有する化合物のみを共重合成分としたポリエステルを
紡糸する場合、高配向の繊維を得るために高延伸倍率で
延伸すると断糸が生じたり、残留伸度が小さくなり後加
工時に糸切れや毛羽が発生しやすくなり、トラブルの原
因となることがある。しかしながら、直鎖状の炭素数が
6以上であるグリコ−ル成分および/または直鎖状の炭
素数が6以上である二官能性カルボン酸成分は、一般式
(I)で示されるスルホン酸塩基含有化合物が有する増
粘作用を減じる作用を示し、高重合度、高延伸性が可能
となるばかりでなく、かかる共重合成分がポリエステル
の分子構造を適度に乱すため、このようなポリエステル
から得られる繊維は、繊維内部へ染料が容易に浸透して
染色性が向上する。このためカチオン染料の染着座席と
なるスルホン酸塩基含有化合物の含有率を小さくしても
満足できる染色性を有するうえに、ポリエステルの結晶
性が保持されているので紡糸後の後加工におけるトラブ
ルは生じにくい。
【0031】また、スルホン酸塩基含有化合物の含有率
が小さくなれば耐アルカリ性が向上するが、直鎖状の炭
素数が6以上であるグリコ−ル成分および/または直鎖
状の炭素数が6以上である二官能性カルボン酸成分を含
有させると、より耐アルカリ性が向上するので、仕上げ
加工におけるアルカリ減量加工が容易にしやすくなる。
【0032】上記の共重合ポリエステルは本発明の効果
・作用が損なわれない範囲内の量でp−オキシ安息香酸
単位等のヒドロキシカルボン酸単位、グリセリン等のト
リオ−ル単位、ペンタエリスリト−ル等のテトラオ−ル
単位、トリメリット酸等のトリカルボン酸単位、ピロメ
リット酸等のテトラカルボン酸単位を含有していてもよ
い。また、通常のポリエステルを製造するうえで使用さ
れる酢酸亜鉛、酢酸マンガン、酢酸カルシウム、炭酸コ
バルト、炭酸バリウム、酸化アンチモン、オルトチタン
酸テトライソプロピル、蓚酸チタンカリウム等の触媒、
着色防止剤、耐熱剤、蛍光増白剤、酸化防止剤、艶消
剤、無機微粒子等の添加剤が含有されていてもよい。
【0033】本発明の共重合ポリエステル繊維は、一般
的な溶融紡糸法によって容易に繊維化することができ
る。得られた紡糸原糸は通常の方法で延伸すればよく、
例えば、加熱ロ−ラ−で共重合ポリエステルのガラス転
移温度以上の温度で予熱後、捲き取りロ−ラ−の速度に
応じる延伸倍率で延伸して該共重合ポリエステルの結晶
化温度以上の温度で熱処理すればよい。またスピンドロ
−のような紡糸延伸が直結した方法で延伸して熱処理し
てもよい。
【0034】良好なタッチの布帛を得るために、本発明
の繊維はその単糸繊度が5デニ−ル以下、好ましくは3
デニ−ル以下、特に好ましくは1デニ−ル以下の極細繊
維であればよい。さらに本発明の繊維は他のポリマ−と
複合紡糸または混合紡糸された繊維であってもよい。
【0035】
【実施例】以下、本発明を実施例により詳細に説明する
が、本発明はこれら実施例に何等限定されるものではな
い。なお、実施例中の測定値は下記の方法により測定し
て得た値である。
【0036】(1)固有粘度[η](dl/g) フェノ−ル/テトラクロロエタン(重量比1:1)の混
合溶媒に溶解して、30℃で測定した値である。
【0037】(2)共重合ポリエステルの熱的性質 共重合ポリエステルのガラス転移温度(以下Tgと略
す)(℃)、降温測定時の結晶化温度(以下Tccと略
す)(℃)、融点(以下Tmと略す)(℃)、結晶融解
熱(以下△Hと略す)(ジュ−ル/g)をDiffer
ential Scanning Calorimet
er(メトラ−TA3000、パ−キンエルマ−社製)
を使用し、試料10mg、昇温および降温速度10℃/
分の条件で、窒素置換を行ないながら測定し、同じ試料
でこの操作を2回繰り返して2回目の値を実測値とし
た。
【0038】(3)試料繊維の強度(g/デニ−ル)お
よび伸度(%) JIS L 1013に準拠して測定した値である。
【0039】(4)染色性 カチオン染色浴組成: Kayacryl Brill Pink B−ED(日本化薬製) 0.5〜8.0%o.w.f. 硫酸ナトリウム 2g/リットル 酢 酸 1.0%o.w.f. 酢酸ナトリウム 0.5%o.w.f. EDTA 0.1g/リットル 浴 比 1:50 染 色 温 度 120℃ 染 色 時 間 40分 上記の染色条件による染料の染着率により評価した。染
着率の測定は、分光光度計(607型、日立制作所製)
を使用し、染料溶液の染色による吸光度の差を測定し、
次式により求めた。 染着率(%)={(B−A)×100}/B A:染料溶液の染色後の最大吸収波長における吸光度 B:染料溶液の染色前の最大吸収波長における吸光度
【0040】(5)鮮明性 JIS Z 8701における2度視野XYZ系におけ
る色の表示方法により、純度(彩度)、明度を求めた。
【0041】(6)アルカリ減量速度 0.5規定の水酸化ナトリウム水溶液(20g/リット
ル)に繊維を浸漬し、浴比1:50、98℃の温度で6
0分間処理を行なって該繊維の減量率を求めた。
【0042】実施例1 ジカルボン酸成分として5−ナトリウムスルホイソフタ
ル酸(以下SIPと略す)を2.5モル%含有するテレ
フタル酸ジメチルおよびエチレングリコ−ルを使用し
て、エステル交換法により常法にしたがって重合を行な
って、固有粘度[η]が0.61のポリエステルを製造
した。その際に、エステル交換後の重合後期に1,9−
ノナンジオ−ルを4.6モル%添加した。得られたポリ
エステルチップを使用して、口金温度285℃、引取り
速度1000m/分で常法により溶融紡糸して400デ
ニ−ル/24フィラメントのポリエステル繊維を製造し
た。
【0043】上記で得られた紡糸原糸を、温度75℃の
加熱ロ−ラ−で予熱した後、延伸倍率3.5倍に延伸
し、次いで温度140℃に加熱した熱板で熱セットを行
ない延伸糸を得た。この延伸糸を用いて筒編し、沸水に
てリラックス、温度170℃で熱セットした後染色を行
なった。染色した筒編を評価し,結果を表2に示す。
【0044】実施例2〜4 実施例1において、1,9−ノナンジオ−ル4.6モル
%に代えて1,9−ノナンジオ−ル8.0モル%(実施
例2)、8.9モル%(実施例3)、2−メチル−1,
8−オクタンジオ−ル8.0モル%(実施例4)、アゼ
ライン酸8.0モル%(実施例5)を使用する以外は同
様にして共重合ポリエステルを得た。得られたポリエス
テルの各物性を測定し、表1に示す。得られたポリエス
テルチップを使用して、口金温度280℃、引取り速度
1000m/分で常法により溶融紡糸して400デニ−
ル/24フィラメントのポリエステル繊維を製造した。
上記で得られた紡糸原糸を用いて、実施例1と同様にし
て延伸して筒編し、染色を行なった。染色した筒編を評
価し結果を表2に示す。
【0045】比較例1 実施例1において、1,9−ノナンジオ−ルを添加しな
かった以外は同様にして重合、紡糸、延伸、筒編および
染色した。その結果を表1および表2に示す。
【0046】比較例2 実施例2において、1,9−ノナンジオ−ルに代えてイ
ソフタル酸を使用する以外は同様にして重合、紡糸、延
伸、筒編および染色した。その結果を表1および表2に
示す。
【0047】比較例3 実施例3において、1,9−ノナンジオ−ルを添加しな
かった以外は同様にして重合、紡糸、延伸、筒編および
染色した。その結果を表1および表2に示す。
【0048】比較例4 実施例3において、1,9−ノナンジオ−ルに代えてネ
オペンチルグリコ−ルを使用する以外は同様にして重
合、紡糸、延伸、筒編および染色した。その結果を表1
および表2に示す。
【0049】比較例5 ポリエステルとして、固有粘度[η]が0.65のポリ
エチレンテレフタレ−トを用い、実施例1と同様にして
紡糸、延伸、筒編および染色した。その結果を表1およ
び表2に示す。
【0050】
【表1】
【0051】
【表2】
【0052】表1および表2から以下のことがわかる。 (a)スルホン酸塩基含有化合物、直鎖状の炭素数が6
以上であるグリコ−ル成分および/または直鎖状の炭素
数が6以上である二官能性カルボン酸成分を有するポリ
エステルはTg、Tmが低下しているにもかかわらず、
結晶化度の指標となる結晶融解熱および結晶化速度の指
標となる下記式 指標値={1/(Tm−Tcc)}×100 で示される値は高い値を保持している。これに対し、ス
ルホン酸塩基含有化合物を含み、直鎖状の炭素数が6以
上であるグリコ−ル成分および/または直鎖状の炭素数
が6以上である二官能性カルボン酸成分以外の成分を含
有してなるポリエステルは、Tg、Tmの低下とともに
結晶融解熱が非常に小さく、結晶化速度も遅くなってい
る。また、実施例2、比較例1および比較例5から明ら
かなように、直鎖状の炭素数が6以上であるグリコ−ル
成分および/または直鎖状の炭素数が6以上である二官
能性カルボン酸成分を含有させることにより、溶融粘度
が低下している、すなわち、これらの成分はスルホン酸
塩基含有化合物の増粘作用を低減しているのである。
【0053】(b)直鎖状の炭素数が6以上であるグリ
コ−ル成分および/または直鎖状の炭素数が6以上であ
る二官能性カルボン酸成分を含有させると、紡糸性が改
良され、得られる布帛等の染着性はSIP共重合ポリエ
ステルからなる布帛の染着性と同等またはそれ以上にな
るばかりでなく、色彩の鮮明性、発色性にも優れてい
る。
【0054】実施例5 上記に実施例および比較例で得られた筒編をアルカリ減
量処理して、その減量率を表3に示す。直鎖状の炭素数
が6以上であるグリコ−ル成分および/または直鎖状の
炭素数が6以上である二官能性カルボン酸成分を含有さ
せると、耐アルカリ性がより改良されることがわかる。
【0055】
【表3】
【0056】
【発明の効果】直鎖状の炭素数が6以上であるグリコ−
ル成分および/または直鎖状の炭素数が6以上である二
官能性カルボン酸成分を含有させると、その減粘作用が
スルホン酸塩基含有化合物の増粘作用と相殺し合い、ポ
リエステルの重合度を高め、溶融紡糸、延伸が可能な繊
維が得られる。また、直鎖状の炭素数が6以上であるグ
リコ−ル成分および/または直鎖状の炭素数が6以上で
ある二官能性カルボン酸成分は繊維物性の低下を招くこ
となく、適度にその分子構造を乱すので、カチオン染料
が繊維内部に拡散、浸透しやすくなるとともに、従来に
は見られなかった色彩の鮮やかさ、発色性が発現される
のである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 // D01F 6/62 302 K 7199−3B

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】テレフタル酸を主とする二官能性カルボン
    酸またはそのエステル形成性誘導体、少なくとも1種の
    低級アルキレングリコ−ルまたはそのエステル形成性誘
    導体、一般式(I)および/または一般式(II)で表
    されるスルホン酸塩基含有化合物、 【化1】 (式中、X↓1はエステル形成性官能基、X↓2はX↓
    1と同一もしくは異なるエステル形成官能基または水素
    原子、Arは3価の芳香族基、Mは金属原子を表す) 【化2】 (式中、X´↓1はエステル形成性官能基、X´↓2は
    X´↓1と同一もしくは異なるエステル形成官能基また
    は水素原子、Ar´は3価の芳香族基、R↓1、R↓
    2、R↓3およびR↓4はアルキル基およびアリ−ル基
    より選ばれた同一または異なる基、nは正の整数を示
    す) 直鎖状の炭素数が6以上であるグリコ−ル成分および/
    または直鎖状の炭素数が6以上である二官能性カルボン
    酸成分を共重合してなるポリエステルであって、スルホ
    ン酸塩基含有化合物の含有率が該ポリエステルを構成す
    る全酸成分に対して1.0〜7.0モル%であり、直鎖
    状の炭素数が6以上であるグリコ−ル成分および/また
    は直鎖状の炭素数が6以上である二官能性カルボン酸成
    分の含有率が、該ポリエステルを構成する全酸成分に対
    して3.0〜20モル%である共重合ポリエステルから
    なる易染性ポリエステル繊維。
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