JPH05302117A - 熱間鍛造用焼入省略鋼の製造方法 - Google Patents

熱間鍛造用焼入省略鋼の製造方法

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JPH05302117A
JPH05302117A JP9961691A JP9961691A JPH05302117A JP H05302117 A JPH05302117 A JP H05302117A JP 9961691 A JP9961691 A JP 9961691A JP 9961691 A JP9961691 A JP 9961691A JP H05302117 A JPH05302117 A JP H05302117A
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JP
Japan
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steel
hot forging
steels
strength
ratio
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Application number
JP9961691A
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English (en)
Inventor
Naoki Iwama
直樹 岩間
Kazue Nomura
一衛 野村
Shigeru Yasuda
茂 安田
Motohide Mori
元秀 森
Chikatoshi Maeda
千芳利 前田
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Toyota Motor Corp
Aichi Steel Corp
Original Assignee
Toyota Motor Corp
Aichi Steel Corp
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Publication date
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  • Heat Treatment Of Steel (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【構成】 重量比でC:0.10〜0.30% 、Si:0.05 〜1.00%
、Mn:0.80〜3.00% 、Cr:0.30 〜2.00% 、Mo:0.05 〜
1.00% 、Al:0.002〜0.100%、Ti:0.01 〜0.05% 、B:0.00
05〜0.0040% を含有し、さらにV:0.05〜0.50% 、Nb:
0.01 〜0.30% のうち1種ないし2種、S:0.04〜0.12%
、Pb:0.05 〜0.30% 、Ca:0.0005 〜0.0100%のうち1種
または2種以上の、を必要に応じ含有し、かつ0.5M
n(%)+0.5Cr(%)+Mo(%) ≧1.20であり、残部がFe及び不純
物元素からなる鋼を熱間鍛造後、 700℃〜300 ℃を5〜
150℃/minの速度で冷却し、その後 150〜 700℃の温度
にて焼もどしすることを特徴とする熱間鍛造用焼入省略
鋼の製造方法。 【効果】 降伏比、耐久比が低いという低炭素ベイナイ
ト型非調質鋼の欠点を解決し、調質合金鋼、炭素鋼と同
等以上の機械的性質を有するので、要求特性の厳しい部
品にも適用できる。また、焼入が省略でき、熱処理後の
割れ、歪の発生がない。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、熱間鍛造後、焼入を省
略し、焼もどしのみ行うことによって優れた強度、靭性
ならびに高い降伏比、耐久比を有し、かつ部品寸法およ
び鍛造条件により強度、靭性の変化が少なく、また熱処
理後の割れ、歪等がほとんどない特徴を有しており、特
に高強度と高靭性を必要とする自動車の足廻り部品に用
いられる鋼として有用な熱間鍛造用焼入省略鋼の製造方
法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、ステアリングナックル、アッパー
アーム等の自動車の足廻り部品やロッドエンド等の建設
機械の大型部品等のうち、特に高強度、高靭性を要求さ
れる部品には、機械構造用合金鋼であるSCr440、SCM440
などを用い、熱間鍛造後の焼入焼もどし処理(以下調質
と記す)を施すか、もしくは機械構造用炭素鋼であるS3
5C、S45C等を鍛造焼入後焼もどしして優れた性能を確保
していた。
【0003】しかし、これらの熱処理は莫大なエネルギ
ーを必要とし、かつ焼入処理を必須とするために熱処理
後に割れ、歪が生じ問題となっていた。そこで、省エネ
ルギーの社会的要請に対応するために、昭和50年代から
熱間鍛造時の熱を利用して、鍛造後の自然空冷にて優れ
た特性の得られる非調質鋼の開発が盛んに行われてき
た。
【0004】例えば、JISG4051に規定された機械構造用
炭素鋼やJISG4106に規定された機械構造用マンガン鋼及
びマンガンクロム鋼に微量のV 、Nb、Ti等の炭窒化物形
成元素を添加し、これらの微量元素による析出強化によ
って熱処理省略を可能にした非調質鋼が開発されてい
る。しかし、これらの非調質鋼は粗大なフェライト・パ
ーライト組織を有するものであり、SCr440、SCM440等の
合金鋼やS35C、S45C等の炭素鋼を調質したものに比べ強
度、靭性の点で劣るのが通常である。従って、自動車の
足廻り部品等、強度、靭性に対し要求の厳しい部品に適
用することが困難であった。
【0005】最近では、これらのフェライト・パーライ
ト型非調質鋼が特に靭性の点で劣るという欠点を解決す
るために、ベイナイト組織を有する非調質鋼について盛
んに研究が進められている。この非調質鋼は、従来の非
調質鋼に比べ低炭素化し、かつMn、Cr、Mo、B 等を適当
量添加して焼入性を向上させ、鍛造後の自然空冷にてベ
イナイト単相ないしフェライト・ベイナイト混合組織を
有するものであり、例えば特開昭61-139646 号、特開昭
61-238941 号、特開昭62-205245 号、特開昭62-260042
号、特開昭63-130748 号の各公報に示されるような鋼が
提案されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】前述した公開特許公報
に示されるような低炭素ベイナイト型非調質鋼は、従来
のフェライト・パーライト型非調質鋼に比べ強度、靭性
の点で優れ、調質合金鋼と比べても同等の引張強さ、衝
撃値を有している。しかし、調質合金鋼や炭素鋼に比べ
ると降伏比、耐久比の点で劣り、引張強さの高い割に降
伏強度、疲労強度が低くなってしまう。従って、同等の
降伏強度、疲労強度を得るためには、より高い引張強さ
に調整しなければならず、その結果鍛造性、切削性等が
悪くなり、適用の妨げとなっているのが現状である。ま
た、調質合金鋼、炭素鋼を使用した場合には前述したよ
うに熱処理後に割れ、歪が発生し、割れの有無の検査と
歪の修正加工が必要となり、製造工程が複雑となるとと
もに、部品サイズが大きくなると焼入性が不足し、優れ
た特性を得ることが困難になる。
【0007】本発明は従来の調質合金鋼、炭素鋼および
非調質鋼の前記のごとき問題点を考慮してなされたもの
で、熱処理後の割れ、歪の発生がなく、降伏比、耐久比
を含めた全ての特性において調質合金鋼、炭素鋼と同等
以上の特性を有し、大型サイズの部品にも適用が可能な
低炭素ベイナイト型熱間鍛造用鋼を提供することを目的
とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者は前記目的の下
に、特に低炭素ベイナイト型非調質鋼の降伏比、耐久比
が低い原因とその対策について鋭意研究を重ねた結果、
以下の知見をなし本発明を得た。
【0009】すなわち、ベイナイト型非調質鋼の降伏比
および耐久比が低い原因は、ベイナイト鋼のミクロ組織
中に存在する高炭素島状マルテンサイトおよび残留オー
ステナイト(以下M−Aと記す)と、熱間鍛造後の空冷
途中におきる変態によって内部に生じる残留応力による
ものであることをつきとめた。従って、前述の公開公報
に記載されている発明等の低炭素ベイナイト型非調質鋼
は、靭性に優れ、完全な熱処理省略を最大の特徴として
いる反面、組織、変態歪の点で問題があり、ベイナイト
鋼の持つ特性を完全に活かしきれていなかったわけであ
る。
【0010】そこで、本発明者はミクロ組織中のM−A
量と残留応力を低減するための方法についてさらに研究
を進めた結果、鍛造放冷後、適当な温度にて焼もどし処
理を施すことにより、鋼中に存在していたM−Aや残留
応力が消失し、調質合金鋼、炭素鋼と同等以上の優れた
降伏比、耐久比を得られることを見出したものである。
さらに、前記鋼と違い焼入処理を省略できるため、熱処
理後の変形、割れがなく、かつ部品の大小に関係なく優
れた特性が得られることを確認し、本発明の完成に到っ
たものである。
【0011】前述した考えのもとに完成された本発明の
第1発明は、重量比にしてC:0.10〜0.30% 、Si:0.05 〜
1.00% 、Mn:0.80〜3.00% 、Cr:0.30 〜2.00% 、Mo:0.0
5 〜1.00% 、Al:0.002〜0.100%、Ti:0.01 〜0.05% 、B:
0.0005〜0.0040% を含有し、かつ0.5Mn(%)+0.5Cr(%)+Mo
(%) ≧1.20であり、残部がFeならびに不純物元素からな
る鋼を熱間鍛造後、 700℃から300 ℃までを5〜 150℃
/minの冷却速度で冷却し、その後 150〜 700℃の温度に
て焼もどしを施すことを特徴とする熱間鍛造用焼入省略
鋼であり、第2発明は、析出強化により降伏比、耐久比
をさらに向上させるため、V:0.05〜0.50% 、Nb:0.01 〜
0.30% のうち1種または2種を含有させたものであり、
第3、4発明は、第1、2発明の被削性をさらに向上さ
せるため、S:0.04〜0.12% 、Pb:0.05 〜0.30% 、Ca:0.0
005 〜0.0100% のうち、1種または2種以上を含有させ
たものである。
【0012】次に本発明の熱間鍛造用焼入省略鋼の製造
方法における成分組成限定理由について以下に説明す
る。
【0013】C:0.10〜0.30% Cは強度を確保するために必要な元素であり、0.10% 以
上の含有が必要である。しかし、多量に含有させると衝
撃値が低下するとともに、鍛造放冷中に生じる残留応力
が大きくなり、降伏比、耐久比が低下するので上限を0.
30% とした。
【0014】Si:0.05 〜1.00% Siは製鋼時の脱酸のために添加されるものであり、0.05
% 以上の含有が必要である。しかし、1.00% を越えて含
有させると靭性が低下するので、上限を1.00%とした。
【0015】Mn:0.80 〜3.00% Mnは焼入性を向上させて鍛造し冷却後の組織をベイナイ
ト化させるのに必要な元素である。Mnの含有が0.80% 未
満だと焼入性が不足し、ベイナイト組織を得ることが困
難になり、強度、靭性が不足するので、下限を0.80% と
した。しかし、3.00% を越えて含有させても前記効果が
飽和するとともに、却って靭性が低下するので、上限を
3.00% とした。
【0016】Cr:0.30 〜2.00% CrはMnと同様に組織をベイナイト化するのに必要な元素
であり、0.30% 以上の含有が必要である。しかし、2.00
% を越えて含有させても前記効果が飽和するとともに、
コスト高となるので、上限を2.00% とした。
【0017】Mo:0.05 〜1.00% MoはMn、Crと同様に焼入性を向上させて組織をベイナイ
ト化するとともに、ベイナイトラスを微細化させて強
度、靭性を向上させるために必要な元素である。0.05%
未満の含有では前記効果が十分に得られないため、下限
を0.05% とした。しかし、1.00% を越えて含有させても
前記効果が飽和するとともに、コスト高となるため、上
限を1.00% とした。
【0018】Al:0.002〜0.100% Alは強力な脱酸効果を持つ元素であり、0.002%以上の含
有が必要である。しかし、0.100%を越えて含有させても
その効果が飽和するとともに、被削性を低下させるた
め、上限を0.100%とした。
【0019】Ti:0.01 〜0.05% Tiは後述するB の焼入性向上効果を有効に得るために鋼
中に不純物として存在するN を固定するために必要な元
素であり、その効果を得るためには0.01% 以上の含有が
必要である。しかし、0.05% を越えて含有させてもその
効果が飽和するため、上限を0.05% とした。
【0020】V:0.05〜0.50% 、Nb:0.01 〜0.30% V、NbはMoと同様にベイナイトラスを微細化するととも
に、焼もどし後微細な炭窒化物として析出し、析出強化
によって強度、耐久比、降伏比を向上させる効果のある
元素である。前記効果を得るためにはV は0.05% 、Nbは
0.01% の含有が必要である。しかし、多量に含有させて
も効果が飽和するとともに、コスト高となるので上限を
V は0.50% 、Nbは0.30% とした。
【0021】S:0.04〜0.12% 、Pb:0.05 〜0.30% 、Ca:
0.0005 〜0.0100% S 、Pb、Caは被削性の改善に有効な元素であり、必要に
応じて添加されるものである。前記効果を得るためには
それぞれ0.04% 、0.05% 、0.0005% の含有が必要であ
る。しかし多量に含有させてもその効果が飽和するとと
もに、靭性を低下させるので、上限をそれぞれ0.12% 、
0.30% 、0.0100% とした。
【0022】0.5Mn(%)+0.5Cr(%)+Mo(%) ≧1.20 0.5Mn(%)+0.5Cr(%)+Mo(%) ≧1.20は鍛造し冷却後の組織
を微細なベイナイトまたはベイナイト、マルテンサイト
の混合組織とし、優れた強度、靭性を得るのに必要な焼
入性を確保するための必要条件である。もし、Mn、Cr、
Mo含有量が不足して0.5Mn(%)+0.5Cr(%)+Mo(%) <1.20と
なると初析フェライトやパーライトが生成してしまった
り、たとえベイナイト組織が得られても粗大なベイナイ
トラス組織となってしまうため、優れた強度、靭性が得
られなくなる。従って、0.5Mn(%)+0.5Cr(%)+Mo(%) ≧1.
20とする必要がある。
【0023】次に本発明の製造条件限定理由について説
明する。熱間鍛造後の冷却条件を 700から 300℃の間で
限定したのは、冷却速度が5℃/min以下になると、初析
フェライトやパーライトが生成したり、ベイナイトラス
の粗大化した組織となりやすく、微細なベイナイトラス
組織として優れた特性を確保することが困難になるため
であり、また 150℃/min以上の冷却速度になると、優れ
た機械的特性を確保することはできるが、冷却後に割れ
や歪が生じる可能性があるからである。
【0024】また、焼もどし温度を 150℃以上、 700℃
以下の温度に限定したのは、鍛造後の冷却により生じた
変態による残留応力やミクロ組織中のM−Aを分解して
降伏比、耐久比を高めるのに、 150℃以上の温度でない
と効果がなく、また、 700℃以上の温度では炭化物が凝
集化して軟化したり、αからγへの逆変態が生じて優れ
た強度が得られなくなるからである。
【0025】
【実施例】以下に本発明の特徴を比較鋼および従来鋼と
比較し、実施例でもって明らかにする。表1は実施例に
用いた供試材の化学成分を示すものである。
【0026】
【表1】
【0027】表1において、1〜13鋼は本発明対象鋼で
あり、1〜3鋼は第1発明、4〜6鋼は第2発明、7〜
10鋼は第3発明、11〜13は第4発明に該当する鋼であ
る。また、14〜19鋼は本発明の条件を部分的に満足しな
い比較鋼であり、20鋼は従来のフェライト・パーライト
型の非調質鋼、21、22鋼はそれぞれ従来鋼であるSCM44
0、S35Cである。
【0028】表1に示した成分組成を有する熱間圧延に
て製造した直径60mmの丸棒を、1200〜1250℃の温度に加
熱し、1100〜1150℃の温度で図1に示すような形状に鍛
造し、熱処理を施して後述する試験により各種特性を評
価した。熱処理は、1〜19鋼については鍛造後 700〜 3
00℃の温度範囲を20℃/minの速度で冷却し、その後 600
℃で90分加熱後自然空冷という焼もどし処理を施した。
20鋼については、鍛造後自然空冷して供試材とし、21鋼
は、鍛造後室温まで自然空冷し、 880℃の温度に加熱後
油焼入し、 580℃にて焼もどし処理を施して供試材とし
た。また、22鋼は鍛造後直ちに水焼入し、 520℃の温度
で焼もどし処理を施したものである。
【0029】前記した方法にて作製した供試材を用い、
後述する方法にてミクロ組織の観察、0.2%耐力、引張強
さ、降伏比、耐久比、衝撃値、被削性、割れの有無、歪
の測定を行った。
【0030】ミクロ組織は供試材の一部を採取して、光
学顕微鏡にて倍率 400倍で観察したものである。0.2%耐
力、引張強さ、降伏比は、JIS14A号引張試験片を作製
し、引張速度 1mm/secの条件で引張試験を行って測定し
たものである。耐久比は小野式回転曲げ疲労試験により
107回転での疲労強度を求め、引張強さとの比率をとっ
たものである。被削性はドリル穿孔試験により評価し
た。なお、試験はドリルが 5mmφのストレートシャン
ク、ドリルの材質はSKH51 、ドリル回転数は1710r.p.
m.、切削油なし、荷重75kgの条件で行った。測定した結
果は従来鋼である27鋼の穿孔距離を 100とし、それぞれ
の穿孔距離を整数比で示した。割れの測定は、磁粉探傷
装置を用いて行った。また、歪の測定は各部の寸法を測
定し、所定の公差内に入るかどうかによって評価した。
以上述べた方法にて図1に示す形状の30個の鍛造品を評
価し、そのうち割れの認められたもの及び公差をはずれ
たものの個数を表2に示した。
【0031】
【表2】
【0032】表2から明らかなように、比較鋼、従来鋼
である14〜22鋼を本発明鋼と比較すると、14鋼は C含有
率が高いため耐力、引張強さについては優れているが、
反面衝撃値が劣るものであり、15、16鋼はMnあるいはCr
含有率が低く、かつ0.5Mn+0.5Cr+Mo(以下式(1) と記
す)の値が1.20未満であるため焼入性が不足し、フェラ
イト+ベイナイト組織となり、耐力、引張強さ、降伏
比、耐久比が劣るものであり、17、18鋼はそれぞれMo、
B の含有率が低いため15、16鋼と同様に焼入性が不足
し、引張強さ、降伏比、耐久比が劣るものであり、19鋼
は各元素の化学成分は本発明の範囲内に入っているが、
式(1) の値を満足しないため、15〜18鋼と同様に引張強
さ、降伏比、耐久比が劣るものである。また、従来のフ
ェライト・パーライト型非調質鋼である20鋼は引張強
さ、降伏比、耐久比、衝撃値の全ての機械的性質が劣っ
ており、SCM440の調質材である21鋼およびS35Cの鍛造焼
入焼もどし材である22鋼は、機械的性質については本発
明鋼とほぼ同等であるが、焼入により割れ、歪が発生
し、最終検査や修正加工にに多大な時間を要するもので
ある。
【0033】これに対して本発明対象鋼である1〜13鋼
は、低炭素で、かつ焼入性向上元素であるMn、Cr、Moを
適当な範囲に規制し、最適な冷却を施し、さらに焼もど
し処理を施したことによって、0.2%耐力80kgf/mm2
上、引張強さ96kgfkgf/mm2以上、降伏比0.81以上、耐久
比0.51以上、衝撃値10kgfm/cm2以上という優れた性能を
有するとともに、焼入処理を省略できるため、割れ、歪
等による不良は皆無である。
【0034】また、被削性についても本発明鋼はSCM44
0、S35C等の従来鋼に比べて良好であり、特に被削性元
素を添加した第3 、4発明鋼は強度、靱性、疲労強度な
どの性能を損なうことなく、優れた被削性を示すことが
確認できた。
【0035】次に、鍛造後の冷却速度の変化による影響
を調査した実施例を示す。表1に示す鋼のうち本発明対
象鋼である1、5、7、12鋼と比較鋼の14、15鋼の直径
60mmの熱間圧延棒鋼を使用して、前述した実施例の供試
材製造条件に対し鍛造後の冷却速度の条件のみ変化させ
て各種特性を調査した。
【0036】冷却条件の影響を調べるために、 700〜30
0 ℃における平均冷却速度を3〜 180℃/minの間で変化
させて、前記実施例と同じ試験条件にて各特性値を測定
し、評価を行った。その結果を表3に示す。
【0037】
【表3】
【0038】表3から明らかなように、本発明対象鋼、
比較鋼ともに冷却速度が速くなるほど引張強さ、降伏
比、耐久比および衝撃値は良好となり、遅くなるとフェ
ライトが析出してこれらの機械的性質が低下する。比較
鋼である14鋼はC 含有率が高いため、試験した全ての冷
却速度において衝撃値が低く、15鋼は式(1) を満足して
いないため、優れた強度の得られる冷却速度の範囲が狭
いものである。これに対し、本発明対象鋼は比較鋼に比
べると優れた機械的性質の得られる条件の範囲が広い
が、5℃/min以上の速度で冷却することは必要である。
【0039】一方、冷却速度を速くすると機械的性質は
良好になるが、約 150℃/minを境に割れや歪が発生す
る。従って、鍛造後の冷却速度は5℃/min以上、 150℃
/min以下とすることが必要である。
【0040】次に焼もどし温度の変化による影響を調査
した実施例について以下に示す。表1に示す鋼のうち本
発明対象鋼である3、7鋼の直径60mmの熱間圧延棒鋼を
焼もどし条件を除いて表2の実施例と同じ方法で供試材
を作成した。また、焼もどし処理の効果を把握し、近年
開発が進められている低炭素ベイナイト型非調質鋼と本
発明との違いを明確にするために、焼もどしを施さない
供試材も準備した。そして、前の実施例と同様な方法で
組織観察、引張試験、衝撃試験、疲労試験、割れ、歪の
測定を行った。その結果を表4に示す。
【0041】
【表4】
【0042】表4に示すように、焼もどし処理を施すこ
とにより、降伏比、耐久比が低いという低炭素ベイナイ
ト型非調質鋼の欠点の解消が可能となることがわかる。
ただし、温度が低い場合にはその効果が不十分であり、
また高すぎると強度が低下するので注意が必要である。
表4より本発明対象鋼の場合には、処理温度を 150℃以
上 700℃以下とすればよいことがわかる。
【0043】
【発明の効果】本発明の熱間鍛造用焼入れ省略鋼の製造
方法は、低炭素ベイナイト型非調質鋼に焼もどし処理を
施すことにより、従来の低炭素ベイナイト型非調質鋼に
比べ耐久比、降伏比を著しく向上させた結果、焼入れ処
理を省略しつつ調質合金鋼及び炭素鋼と同等以上の優れ
た性質を有するものである。また、焼入れを省略できる
ので、省エネに貢献でき、熱処理による割れ、歪の発生
がなく、かつ急速冷却を必要としないので、大型サイズ
の部品にも適用できる。さらに、性能も非常に優れてい
るので、強度、靱性に関し要求の厳しい部品に対しても
調質合金鋼、炭素鋼の代わりに使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例として製造した鍛造品の形状を示す図で
ある。
【表3】
【表3】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 安田 茂 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動 車株式会社内 (72)発明者 森 元秀 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動 車株式会社内 (72)発明者 前田 千芳利 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動 車株式会社内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重量比にしてC:0.10〜0.30% 、Si:0.05
    〜1.00% 、Mn:0.80〜3.00% 、Cr:0.30 〜2.00% 、Mo:
    0.05 〜1.00% 、Al:0.002〜0.100%、Ti:0.01〜0.05% 、
    B:0.0005〜0.0040% を含有し、かつ0.5Mn(%)+0.5Cr(%)+
    Mo(%) ≧1.20であり、残部がFeならびに不純物元素から
    なる鋼を熱間鍛造後、 700℃から300℃までを5〜 150
    ℃/minの速度で冷却し、その後 150〜 700℃の温度にて
    焼もどしを施すことを特徴とする熱間鍛造用焼入省略鋼
    の製造方法。
  2. 【請求項2】 重量比にしてC:0.10〜0.30% 、Si:0.05
    〜1.00% 、Mn:0.80〜3.00% 、Cr:0.30 〜2.00% 、Mo:
    0.05 〜1.00% 、Al:0.002〜0.100%、Ti:0.01〜0.05% 、
    B:0.0005〜0.0040% を含有し、さらにV:0.05〜0.50% 、
    Nb:0.01 〜0.30% のうち1種ないし2種を含有し、かつ
    0.5Mn(%)+0.5Cr(%)+Mo(%) ≧1.20であり、残部がFeなら
    びに不純物元素からなる鋼を熱間鍛造後、 700℃から30
    0 ℃までを5〜 150℃/minの速度で冷却し、その後 150
    〜 700℃の温度にて焼もどしを施すことを特徴とする熱
    間鍛造用焼入省略鋼の製造方法。
  3. 【請求項3】 重量比にしてC:0.10〜0.30% 、Si:0.05
    〜1.00% 、Mn:0.80〜3.00% 、Cr:0.30 〜2.00% 、Mo:
    0.05 〜1.00% 、Al:0.002〜0.100%、Ti:0.01〜0.05% 、
    B:0.0005〜0.0040% を含有し、さらにS:0.04〜0.12% 、
    Pb:0.05 〜0.30% 、Ca:0.0005 〜0.0100% のうち1種ま
    たは2種以上を含有し、かつ0.5Mn(%)+0.5Cr(%)+Mo(%)
    ≧1.20であり、残部がFeならびに不純物元素からなる鋼
    を熱間鍛造後、 700℃から300 ℃までを5〜 150℃/min
    の速度で冷却し、その後 150〜700℃の温度にて焼もど
    しを施すことを特徴とする熱間鍛造用焼入省略鋼の製造
    方法。
  4. 【請求項4】 重量比にしてC:0.10〜0.30% 、Si:0.05
    〜1.00% 、Mn:0.80〜3.00% 、Cr:0.30 〜2.00% 、Mo:
    0.05 〜1.00% 、Al:0.002〜0.100%、Ti:0.01〜0.05% 、
    B:0.0005〜0.0040% を含有し、さらにV:0.05〜0.50% 、
    Nb:0.01 〜0.30% のうち1種ないし2種とS:0.04〜0.12
    % 、Pb:0.05 〜0.30% 、Ca:0.0005 〜0.0100% のうち1
    種または2種以上を含有し、かつ0.5Mn(%)+0.5Cr(%)+Mo
    (%) ≧1.20であり、残部がFeならびに不純物元素からな
    る鋼を熱間鍛造後、 700℃から300 ℃までを5〜 150℃
    /minの速度で冷却し、その後 150〜 700℃の温度にて焼
    もどしを施すことを特徴とする熱間鍛造用焼入省略鋼の
    製造方法。
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