JPH0526850B2 - - Google Patents
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- JPH0526850B2 JPH0526850B2 JP3499086A JP3499086A JPH0526850B2 JP H0526850 B2 JPH0526850 B2 JP H0526850B2 JP 3499086 A JP3499086 A JP 3499086A JP 3499086 A JP3499086 A JP 3499086A JP H0526850 B2 JPH0526850 B2 JP H0526850B2
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Classifications
-
- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C21—METALLURGY OF IRON
- C21D—MODIFYING THE PHYSICAL STRUCTURE OF FERROUS METALS; GENERAL DEVICES FOR HEAT TREATMENT OF FERROUS OR NON-FERROUS METALS OR ALLOYS; MAKING METAL MALLEABLE, e.g. BY DECARBURISATION OR TEMPERING
- C21D9/00—Heat treatment, e.g. annealing, hardening, quenching or tempering, adapted for particular articles; Furnaces therefor
- C21D9/52—Heat treatment, e.g. annealing, hardening, quenching or tempering, adapted for particular articles; Furnaces therefor for wires; for strips ; for rods of unlimited length
- C21D9/525—Heat treatment, e.g. annealing, hardening, quenching or tempering, adapted for particular articles; Furnaces therefor for wires; for strips ; for rods of unlimited length for wire, for rods
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Description
(産業上の利用分野)
本発明は冷間加工される棒線材の軟化焼鈍省略
を可能ならしめる製造方法に関するものである。 (従来の技術) 一般に自動車用のアウターレースト等の部品に
は、S30C〜S60Cクラスの機械構造用鋼が使用さ
れている。しかしこのクラスの鋼は熱間圧延まま
では非常に硬いため、前方押出しや後方押出等の
冷間加工に先立ち、金型およびダイス等の工具寿
命延長対策として軟化のための焼鈍処理が行なわ
れている。そして冷間加工後は疲労強度改善のた
め、高周波等により表面焼入れが行なわれる。上
記工程において、軟化焼鈍処理には高温度でしか
も長時間の加熱が必要なため多大なエネルギーを
要し、また熱処理コスト増および生産性の低下を
招いており、熱間圧延時における直接軟化技術の
開発が期待されている。 従来から熱間圧延鋼材の軟質化の方法として圧
延直後から保熱炉や除冷カバー等を利用して緩冷
却し軟質化する方法や、あるいは特開昭58−
58235号公報に記載されているように、加熱およ
び圧延温度を低めにコントロールしてオーステナ
イト結晶粒の微細化を図り、焼入性を低下させ圧
延後の放冷中にフエライトおよびパーライト変態
を行なわせる方法が行なわれている。しかしこれ
らの方法は、合金元素を多量に含む鋼材で大気中
に放冷した場合でも、マルテンサイトまたはベイ
ナイト等の極めて硬い組織を発生する鋼材につい
ては有効な方法であるが、フエライトおよびパー
ライト組織を呈するS30C〜S60Cクラスの機械構
造用鋼に対して硬さを大幅に低下させることは不
可能であつた。 (発明が解決しようとする問題点) 本発明は従来軟化焼鈍後冷間加工されていた高
炭素の機械構造用鋼について、軟化焼鈍を省略し
ても冷間加工が可能なまでに変形抵抗が低減出来
る高炭素棒線材の製造方法を提供するものであ
る。 (問題点を解決するための手段) 本発明の要旨は、重量%で、 C:0.30〜0.60%、 Si:0.10%以下、 Mn:0.20〜0.50%、 Cr:0.50%以下、 S:0.002〜0.050%、 Al:0.01〜0.10%、 B:0.0005〜0.0100%、 Ti:0.005〜0.100% を含有し、残部がFeおよび不純物から成る鋼を
用いて、仕上圧延を650〜750℃で終了し、その後
0.2〜1.5℃/secの速さで冷却することを特徴とす
る冷間鍛造用高炭素棒線材の製造方法、ならび
に、重量%で、 C:0.30〜0.60%、 Si:0.10%以下、 Mn:0.20〜0.50%、 Cr:0.50%以下、 S:0.002〜0.050%、 Al:0.01〜0.10%、 B:0.0005〜0.0100%、 Ti:0.005〜0.100%、 Nb:0.005〜0.300% を含有し、残部がFeおよび不純物から成る鋼を
用いて、仕上圧延を650〜750℃で終了し、その後
0.2〜1.5℃/secの速さで冷却することを特徴とす
る冷間鍛造用高炭素棒線材の製造方法である。 (作用) 次に本発明に使用する鋼の成分を定めた理由に
ついて記述する。 Cは圧延後の棒線材の強度を高めると共に、高
周波焼入によつて表面強度を高め耐疲労特性を改
善するために必要な元素で0.30%未満では所定の
強度および耐疲労特性が得られない。またフエラ
イト量が著しく多くなるため、本願の目的である
軟質化と度合も少なくなり、また必要性も小さ
い。C量が0.60%を超えると強度が高くなりす
ぎ、軟化焼鈍省略が不可能となることからC量は
0.30〜0.60%とした。 Siはフエライト中に固溶してフエライトの強度
を高め冷鍛性を低下させるので少ない方がよい。
しかしSiは脱酸作用を有しており、Alの脱酸を
若干補助する目的で0.10%を上限として添加す
る。 MnはSiと同様に冷鍛性を低下させるため少な
い方がよい。しかし被削性改善のために添加する
Sが熱間脆化をひきおこすため、これを防止する
にはMn添加が不可欠である。これにSiを大幅に
低減しているため脱酸剤としての役割をも持た
せ、0.20〜0.50%に規定した。 Crは焼入性を高める元素として重要な元素で
あるが、一方パーライト変態温度を高温化する作
用があり、その結果ラメラ間隔が粗くなり硬さを
低下させるが、0.50%を超えると強度が高くなり
すぎ、変形抵抗が増大するようになるので上限を
0.50%とした。 SはMnと結合してMn Sを形成し、冷間加工
時の変形能を低下させるため少ない方がよいの
で、下限は通常の転炉で製造可能な量として
0.002%とした。一方、Sは被削性の改善に欠か
せない元素であり、被削性改善のためには多い方
がよいが、0.050%を越えると逆に変形能が著し
く低下するので、S量は0.002〜0.050%とした。 Alは重要な脱酸剤であるほかオーステナイト
結晶粒の粗大化を防止し、変形能および靭性を向
上させる元素である。このためには最低限0.01%
以上必要であり、また0.10%を超えるとアルミナ
系の介在物が多くなり鋼の清浄度が悪化し、変形
能および靭性が劣化するので上限は0.10%とし
た。 Bは後述するTiと組合せて添加することによ
つて焼入性が著しく増大し、Mn・Cr等の元素を
減らすことが可能となる。またBには、鋼材の高
温度からの冷却においてパーライト変態を一段と
短時間に終了させる特性がある。しかしB量が
0.0005%未満では上記の効果が小さく、また
0.0100%を超えると粗大なB化合物が粒界および
粒内に析出し、焼入性がかえつて低下するほか脆
化を引き起こすため、0.0005〜0.0100%に限定し
た。 Tiは鋼中のNをTiNの形で捕捉し、Bのもつ
軟質化機能を十分に発揮させるもので、このため
にはN量との関係で最低0.005%以上必要であり、
また0.10%を超えると清浄度が悪化し靭性が劣化
するので、これを上限とした。 なお、靭性をさらに改善したい場合はNbの添
加が効果的であり、その量としては0.005〜0.300
%の範囲とする。理由は、圧延過程においてオー
ステナイトの再結晶温度を高めることにより、変
態後のフエライトおよびパーライト粒を微細化
し、靭性を改善するためである。 次に仕上圧延温度を650〜750℃に規定した理由
について以下に述べる。前述の成分要件を満たす
鋼は、750℃を超えて仕上圧延を行ない、その後
大気中で放冷しても比較的柔らかいフエライトお
よびパーライト組織が得られる鋼種である。しか
しこの場合には変形抵抗がまだ高く、圧延材をそ
のまま冷間鍛造することは出来ない。これに対し
750℃以下で仕上圧延を行なうことによつて、B
によるパーライト変態の高温化が強化されパーラ
イトがより軟質化するほか、パーライト変態前の
フエライトの析出も促進されフエライト分率が増
大する。このため変形抵抗が著しく低下し、圧延
材をそのまま冷間鍛造することが出来る事を見い
出した。この新知見に基づいて仕上圧延温度は
750℃以下に制限した。また仕上圧延温度を650℃
未満の低い温度で行なつた場合には、圧延時の加
工歪が残留し、変形抵抗が増加するため下限温度
は650℃とした。 さらに圧延後の冷却速度の下限を0.2℃/secと
したのは、これ以下の緩冷却によつてもさほど大
きな軟質効果が期待出来ないためであり、また上
限冷速は、前述の成分要件を満たす鋼を用いて前
述の仕上圧延温度で圧延を行なえば特別な徐冷を
行なわずとも軟質材が得られるため、10mmφ材の
空冷に相当する冷速として1.5℃/secとした。 (実施例) 次に実施例について述べる。 第1表は供試材の化学組成を示す。 供試材としてC量が0.45%、0.49%および0.55
%の鋼(a、b、c鋼)の他に、比較材として機
械構造用炭素鋼S35C(d鋼)、S40C(e鋼)およ
びS48C(f鋼)に適合する化学成分の120φビレツ
トを用いた。
を可能ならしめる製造方法に関するものである。 (従来の技術) 一般に自動車用のアウターレースト等の部品に
は、S30C〜S60Cクラスの機械構造用鋼が使用さ
れている。しかしこのクラスの鋼は熱間圧延まま
では非常に硬いため、前方押出しや後方押出等の
冷間加工に先立ち、金型およびダイス等の工具寿
命延長対策として軟化のための焼鈍処理が行なわ
れている。そして冷間加工後は疲労強度改善のた
め、高周波等により表面焼入れが行なわれる。上
記工程において、軟化焼鈍処理には高温度でしか
も長時間の加熱が必要なため多大なエネルギーを
要し、また熱処理コスト増および生産性の低下を
招いており、熱間圧延時における直接軟化技術の
開発が期待されている。 従来から熱間圧延鋼材の軟質化の方法として圧
延直後から保熱炉や除冷カバー等を利用して緩冷
却し軟質化する方法や、あるいは特開昭58−
58235号公報に記載されているように、加熱およ
び圧延温度を低めにコントロールしてオーステナ
イト結晶粒の微細化を図り、焼入性を低下させ圧
延後の放冷中にフエライトおよびパーライト変態
を行なわせる方法が行なわれている。しかしこれ
らの方法は、合金元素を多量に含む鋼材で大気中
に放冷した場合でも、マルテンサイトまたはベイ
ナイト等の極めて硬い組織を発生する鋼材につい
ては有効な方法であるが、フエライトおよびパー
ライト組織を呈するS30C〜S60Cクラスの機械構
造用鋼に対して硬さを大幅に低下させることは不
可能であつた。 (発明が解決しようとする問題点) 本発明は従来軟化焼鈍後冷間加工されていた高
炭素の機械構造用鋼について、軟化焼鈍を省略し
ても冷間加工が可能なまでに変形抵抗が低減出来
る高炭素棒線材の製造方法を提供するものであ
る。 (問題点を解決するための手段) 本発明の要旨は、重量%で、 C:0.30〜0.60%、 Si:0.10%以下、 Mn:0.20〜0.50%、 Cr:0.50%以下、 S:0.002〜0.050%、 Al:0.01〜0.10%、 B:0.0005〜0.0100%、 Ti:0.005〜0.100% を含有し、残部がFeおよび不純物から成る鋼を
用いて、仕上圧延を650〜750℃で終了し、その後
0.2〜1.5℃/secの速さで冷却することを特徴とす
る冷間鍛造用高炭素棒線材の製造方法、ならび
に、重量%で、 C:0.30〜0.60%、 Si:0.10%以下、 Mn:0.20〜0.50%、 Cr:0.50%以下、 S:0.002〜0.050%、 Al:0.01〜0.10%、 B:0.0005〜0.0100%、 Ti:0.005〜0.100%、 Nb:0.005〜0.300% を含有し、残部がFeおよび不純物から成る鋼を
用いて、仕上圧延を650〜750℃で終了し、その後
0.2〜1.5℃/secの速さで冷却することを特徴とす
る冷間鍛造用高炭素棒線材の製造方法である。 (作用) 次に本発明に使用する鋼の成分を定めた理由に
ついて記述する。 Cは圧延後の棒線材の強度を高めると共に、高
周波焼入によつて表面強度を高め耐疲労特性を改
善するために必要な元素で0.30%未満では所定の
強度および耐疲労特性が得られない。またフエラ
イト量が著しく多くなるため、本願の目的である
軟質化と度合も少なくなり、また必要性も小さ
い。C量が0.60%を超えると強度が高くなりす
ぎ、軟化焼鈍省略が不可能となることからC量は
0.30〜0.60%とした。 Siはフエライト中に固溶してフエライトの強度
を高め冷鍛性を低下させるので少ない方がよい。
しかしSiは脱酸作用を有しており、Alの脱酸を
若干補助する目的で0.10%を上限として添加す
る。 MnはSiと同様に冷鍛性を低下させるため少な
い方がよい。しかし被削性改善のために添加する
Sが熱間脆化をひきおこすため、これを防止する
にはMn添加が不可欠である。これにSiを大幅に
低減しているため脱酸剤としての役割をも持た
せ、0.20〜0.50%に規定した。 Crは焼入性を高める元素として重要な元素で
あるが、一方パーライト変態温度を高温化する作
用があり、その結果ラメラ間隔が粗くなり硬さを
低下させるが、0.50%を超えると強度が高くなり
すぎ、変形抵抗が増大するようになるので上限を
0.50%とした。 SはMnと結合してMn Sを形成し、冷間加工
時の変形能を低下させるため少ない方がよいの
で、下限は通常の転炉で製造可能な量として
0.002%とした。一方、Sは被削性の改善に欠か
せない元素であり、被削性改善のためには多い方
がよいが、0.050%を越えると逆に変形能が著し
く低下するので、S量は0.002〜0.050%とした。 Alは重要な脱酸剤であるほかオーステナイト
結晶粒の粗大化を防止し、変形能および靭性を向
上させる元素である。このためには最低限0.01%
以上必要であり、また0.10%を超えるとアルミナ
系の介在物が多くなり鋼の清浄度が悪化し、変形
能および靭性が劣化するので上限は0.10%とし
た。 Bは後述するTiと組合せて添加することによ
つて焼入性が著しく増大し、Mn・Cr等の元素を
減らすことが可能となる。またBには、鋼材の高
温度からの冷却においてパーライト変態を一段と
短時間に終了させる特性がある。しかしB量が
0.0005%未満では上記の効果が小さく、また
0.0100%を超えると粗大なB化合物が粒界および
粒内に析出し、焼入性がかえつて低下するほか脆
化を引き起こすため、0.0005〜0.0100%に限定し
た。 Tiは鋼中のNをTiNの形で捕捉し、Bのもつ
軟質化機能を十分に発揮させるもので、このため
にはN量との関係で最低0.005%以上必要であり、
また0.10%を超えると清浄度が悪化し靭性が劣化
するので、これを上限とした。 なお、靭性をさらに改善したい場合はNbの添
加が効果的であり、その量としては0.005〜0.300
%の範囲とする。理由は、圧延過程においてオー
ステナイトの再結晶温度を高めることにより、変
態後のフエライトおよびパーライト粒を微細化
し、靭性を改善するためである。 次に仕上圧延温度を650〜750℃に規定した理由
について以下に述べる。前述の成分要件を満たす
鋼は、750℃を超えて仕上圧延を行ない、その後
大気中で放冷しても比較的柔らかいフエライトお
よびパーライト組織が得られる鋼種である。しか
しこの場合には変形抵抗がまだ高く、圧延材をそ
のまま冷間鍛造することは出来ない。これに対し
750℃以下で仕上圧延を行なうことによつて、B
によるパーライト変態の高温化が強化されパーラ
イトがより軟質化するほか、パーライト変態前の
フエライトの析出も促進されフエライト分率が増
大する。このため変形抵抗が著しく低下し、圧延
材をそのまま冷間鍛造することが出来る事を見い
出した。この新知見に基づいて仕上圧延温度は
750℃以下に制限した。また仕上圧延温度を650℃
未満の低い温度で行なつた場合には、圧延時の加
工歪が残留し、変形抵抗が増加するため下限温度
は650℃とした。 さらに圧延後の冷却速度の下限を0.2℃/secと
したのは、これ以下の緩冷却によつてもさほど大
きな軟質効果が期待出来ないためであり、また上
限冷速は、前述の成分要件を満たす鋼を用いて前
述の仕上圧延温度で圧延を行なえば特別な徐冷を
行なわずとも軟質材が得られるため、10mmφ材の
空冷に相当する冷速として1.5℃/secとした。 (実施例) 次に実施例について述べる。 第1表は供試材の化学組成を示す。 供試材としてC量が0.45%、0.49%および0.55
%の鋼(a、b、c鋼)の他に、比較材として機
械構造用炭素鋼S35C(d鋼)、S40C(e鋼)およ
びS48C(f鋼)に適合する化学成分の120φビレツ
トを用いた。
【表】
また第2表に120φビレツトの加熱温度および
仕上圧延温度を示す。
仕上圧延温度を示す。
【表】
各鋼共、加熱温度は1075℃および955℃に調整
し、仕上圧延温度はA法(925℃)およびB法
(740℃)の2水準で行ない、30mmの丸棒鋼に圧延
した。仕上圧延後の冷却は各鋼共いずれも0.9
℃/secの速さで冷却した。 次にこのようにして製造した圧延材の冷間鍛造
性を調査するため、引張強度および圧縮時の変形
抵抗の試験を行なつた。引張試験にはJIS4号試験
片を、また変形抵抗試験には8mm(直径)×12(高
さ)の試験片をそれぞれ棒鋼の1/2R(R:半径)
吹から採取し試験に供した。第3表に機械試験結
果を示す。
し、仕上圧延温度はA法(925℃)およびB法
(740℃)の2水準で行ない、30mmの丸棒鋼に圧延
した。仕上圧延後の冷却は各鋼共いずれも0.9
℃/secの速さで冷却した。 次にこのようにして製造した圧延材の冷間鍛造
性を調査するため、引張強度および圧縮時の変形
抵抗の試験を行なつた。引張試験にはJIS4号試験
片を、また変形抵抗試験には8mm(直径)×12(高
さ)の試験片をそれぞれ棒鋼の1/2R(R:半径)
吹から採取し試験に供した。第3表に機械試験結
果を示す。
【表】
本発明の成分要件を満す鋼を用いて、従来水準
の仕上温度(925℃)で圧延を終了した場合の相
当歪量1.5における0.45C鋼(a鋼)、0.49C鋼(b
鋼)および0.55C鋼(c鋼)の変形抵抗は、それ
ぞれ102.5Kgf/mm2、106.5Kgf/mm2および111.3Kg
f/mm2である。これに対してB法により、仕上圧
延を750℃以下の低温度で行なつた場合の変形抵
抗は、それぞれ93.7Kgf/mm2、96.4Kgf/mm2およ
び99.6Kgf/mm2となり、引張強度の低下とあいま
つて著しく低下し、冷間鍛造が可能な値(100Kg
f/mm2以下)に到達した。 一方比較材の場合は、C量の低いS35C鋼(d
鋼)では、従来の製造方法によつても変形抵抗は
90.8Kgf/mm2程度であり冷間鍛造が可能である。
しかしS40C鋼(e鋼)およびS48C(f鋼)では、
A法によつて740℃で圧延を終了しても変形抵抗
は100Kgf/mm2以上であり、冷間鍛造が出来る程
度までには低下しなかつた。 また第1図は、b鋼およびf鋼について、それ
ぞれA法およびB法で製造した圧延材のミクロ組
織を示す。b鋼およびf鋼共仕上温度が低い程、
フエライトおよびパーライト粒はともに細粒化さ
れているが、フエライト分率はb鋼の方がはるか
に高く、またパーライトのラメラー間隔も大き
い。これが本発明鋼の変形抵抗および引張強度が
著しく低下する理由である。 なお、フエライト分率は光学顕微鏡機能を備え
た画像解析装置(商品名:日本レギユレータ株式
会社製のLUZEX500)で、パーライト組織と混
在しているフエライト組織の占有量を測定し表わ
す。 (発明の効果) 以上のように本発明は、従来行なわれていた軟
化焼鈍を省略しても冷間加工が出来る高炭素棒線
材の製造方法を提供するもので、経済的効果の大
きい発明である。
の仕上温度(925℃)で圧延を終了した場合の相
当歪量1.5における0.45C鋼(a鋼)、0.49C鋼(b
鋼)および0.55C鋼(c鋼)の変形抵抗は、それ
ぞれ102.5Kgf/mm2、106.5Kgf/mm2および111.3Kg
f/mm2である。これに対してB法により、仕上圧
延を750℃以下の低温度で行なつた場合の変形抵
抗は、それぞれ93.7Kgf/mm2、96.4Kgf/mm2およ
び99.6Kgf/mm2となり、引張強度の低下とあいま
つて著しく低下し、冷間鍛造が可能な値(100Kg
f/mm2以下)に到達した。 一方比較材の場合は、C量の低いS35C鋼(d
鋼)では、従来の製造方法によつても変形抵抗は
90.8Kgf/mm2程度であり冷間鍛造が可能である。
しかしS40C鋼(e鋼)およびS48C(f鋼)では、
A法によつて740℃で圧延を終了しても変形抵抗
は100Kgf/mm2以上であり、冷間鍛造が出来る程
度までには低下しなかつた。 また第1図は、b鋼およびf鋼について、それ
ぞれA法およびB法で製造した圧延材のミクロ組
織を示す。b鋼およびf鋼共仕上温度が低い程、
フエライトおよびパーライト粒はともに細粒化さ
れているが、フエライト分率はb鋼の方がはるか
に高く、またパーライトのラメラー間隔も大き
い。これが本発明鋼の変形抵抗および引張強度が
著しく低下する理由である。 なお、フエライト分率は光学顕微鏡機能を備え
た画像解析装置(商品名:日本レギユレータ株式
会社製のLUZEX500)で、パーライト組織と混
在しているフエライト組織の占有量を測定し表わ
す。 (発明の効果) 以上のように本発明は、従来行なわれていた軟
化焼鈍を省略しても冷間加工が出来る高炭素棒線
材の製造方法を提供するもので、経済的効果の大
きい発明である。
第1図は仕上圧延温度を変えた場合の本発明の
成分要件を満たす鋼(b鋼)および比較鋼(f
鋼)のミクロ組織を示す顕微鏡組織写真である。
成分要件を満たす鋼(b鋼)および比較鋼(f
鋼)のミクロ組織を示す顕微鏡組織写真である。
Claims (1)
- 【特許請求の範囲】 1 重量%で、 C:0.30〜0.60%、 Si:0.10%以下、 Mn:0.20〜0.50%、 Cr:0.50%以下、 S:0.002〜0.050%、 Al:0.01〜0.10%、 B:0.0005〜0.0100%、 Ti:0.005〜0.100% を含有し、残部がFeおよび不純物から成る鋼を
用いて、仕上圧延を650〜750℃で終了し、その後
0.2〜1.5℃/secの速さで冷却することを特徴とす
る冷間鍛造用高炭素棒線材の製造方法。 2 重量%で、 C:0.30〜0.60%、 Si:0.10%以下、 Mn:0.20〜0.50%、 Cr:0.50%以下、 S:0.002〜0.050%、 Al:0.01〜0.10%、 B:0.0005〜0.0100%、 Ti:0.005〜0.100%、 Nb:0.005〜0.300% を含有し、残部がFeおよび不純物から成る鋼を
用いて、仕上圧延を650〜750℃で終了し、その後
0.2〜1.5℃/secの速さで冷却することを特徴とす
る冷間鍛造用高炭素棒線材の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP3499086A JPS62196327A (ja) | 1986-02-21 | 1986-02-21 | 冷間鍛造用高炭素棒線材の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP3499086A JPS62196327A (ja) | 1986-02-21 | 1986-02-21 | 冷間鍛造用高炭素棒線材の製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPS62196327A JPS62196327A (ja) | 1987-08-29 |
JPH0526850B2 true JPH0526850B2 (ja) | 1993-04-19 |
Family
ID=12429581
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP3499086A Granted JPS62196327A (ja) | 1986-02-21 | 1986-02-21 | 冷間鍛造用高炭素棒線材の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPS62196327A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO1999045162A1 (fr) * | 1998-03-04 | 1999-09-10 | Nippon Steel Corporation | Aciers a forger a froid et leur procede de fabrication |
Families Citing this family (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2610662B2 (ja) * | 1988-11-09 | 1997-05-14 | 川崎製鉄株式会社 | 冷間鍛造性及び高周波焼入性に優れた機械構造用炭素鋼 |
JP2937332B2 (ja) * | 1988-11-28 | 1999-08-23 | 大同特殊鋼株式会社 | 冷間鍛造用鋼 |
JP2591807B2 (ja) * | 1988-11-29 | 1997-03-19 | 川崎製鉄株式会社 | 冷間鍛造性及び高周波焼入れ性に優れた機械構造用炭素鋼 |
JPH02179841A (ja) * | 1988-12-29 | 1990-07-12 | Aichi Steel Works Ltd | 高周波焼入用非調質鋼およびその製造方法 |
JP2001026836A (ja) | 1999-07-13 | 2001-01-30 | Daido Steel Co Ltd | 冷間加工性、転動疲労強度およびねじり疲労強度に優れた高周波焼入用鋼ならびに機械構造用部品 |
-
1986
- 1986-02-21 JP JP3499086A patent/JPS62196327A/ja active Granted
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO1999045162A1 (fr) * | 1998-03-04 | 1999-09-10 | Nippon Steel Corporation | Aciers a forger a froid et leur procede de fabrication |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPS62196327A (ja) | 1987-08-29 |
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