JPH05296923A - 分光分析における多成分分析方法 - Google Patents

分光分析における多成分分析方法

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JPH05296923A
JPH05296923A JP12574092A JP12574092A JPH05296923A JP H05296923 A JPH05296923 A JP H05296923A JP 12574092 A JP12574092 A JP 12574092A JP 12574092 A JP12574092 A JP 12574092A JP H05296923 A JPH05296923 A JP H05296923A
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香 井上
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豊 山岸
Masayuki Adachi
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 多成分を同時に精度よく、しかも、効率的に
定量分析することができる分光分析における多成分分析
方法を提供すること。 【構成】 試料に対して光源から光を照射し、そのとき
得られる吸収スペクトルに基づいて演算処理を行うこと
により試料中に含まれる多成分の濃度を同時に定量分析
する方法において、前記多成分を吸収ピークの形状およ
び吸収領域に基づいて複数の成分群にグループ分けし、
各成分群に最も適切な定量演算手法で定量する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、試料に対して光源から
光を照射し、そのとき得られる吸収スペクトルに基づい
て試料中に含まれる多成分の濃度を分析する方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】例えばFTIR(フーリエ変換赤外分光
計)を用いて得られる吸収スペクトルに基づいて行列演
算を行うことにより試料中に含まれる多成分の濃度を分
析する方法には、現在のところ、数種類のものが知られ
ているが、従来においては、どれか一種類の方法を採用
するのが一般的である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、自動車の排
ガス(以下、自排ガスと云う)中には、CO、CO2
NO、H2 O、HC(炭化水素)などが主要成分として
含まれている。このうち、CO、CO2 、NO、H2
は、分子構造が簡単であることから、図8〜図11の吸収
スペクトルからも明らかなように、シャープで特徴的な
吸収を持つ。そして、これらの成分は、自排ガス中の濃
度も比較的高いところから、吸収も強い。また、1800〜
2400cm-1の波数範囲に注目すれば、これらの成分に対
する干渉成分は殆どない。
【0004】一方、HCには、CH4 (メタン)、C2
6 (エタン)、C3 8 (プロパン)など非常に多く
の化合物が含まれる。図16〜図19はそれぞれ、C
2 6 、C3 8 、n−C4 10(ノルマルブタン)、
iso −C4 10(イソブタン)の吸収スペクトルを示し
ているが、これらの図から明らかなように、これらの結
合数の多い炭化水素に共通していることは、ほぼ同じ領
域に吸収をもち、しかも、吸収自体がブロードで互いに
似通っていることである(但し、比較的分子構造の簡単
なCH4 、C2 2 (アセチレン)は鋭いピークを持
つ)。
【0005】このように、自排ガス中に含まれる主要な
成分においては、CO、CO2 、NO、H2 OとHCと
では、吸収特性が異なり、また、HCにおいても、結合
数が多いC2 6 、C3 8 、n−C4 10、iso −C
4 10などと分子構造の単純なCH4 、C2 2 とで
は、吸収特性が異なる。従って、従来のように、一種類
の方法を採用した場合、自排ガス中に含まれる数多くの
成分を精度よく定量することは難しい。
【0006】本発明は、上述の事柄に留意してなされた
もので、その目的とするところは、多成分を同時に精度
よく、しかも、効率的に定量分析することができる分光
分析における多成分分析方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明においては、試料に対して光源から光を照射
し、そのとき得られる吸収スペクトルに基づいて演算処
理を行うことにより試料中に含まれる多成分の濃度を同
時に定量分析する方法において、前記多成分を吸収ピー
クの形状および吸収領域に基づいて複数の成分群にグル
ープ分けし、各成分群に最も適切な定量演算手法を用い
るようにしている。
【0008】
【作用】例えば自排ガスの成分をそれぞれ定量分析する
場合、CO、CO2 、NO、H2 Oのような成分につい
ては、吸収ピークがシャープところから、本願出願人が
平成2年10月13日付けにて特許出願(特願平2−274204
号)しているところの相対吸光度の考え方に基づく定量
分析方法を好適に適用することができ、この方法を用い
ることにより、計算機におけるメモリの使用量並びに計
算に要する時間を可及的に少なくすることができると共
に、前記各成分を精度よく定量できる。
【0009】そして、HCのなかでもCH4 、C
2 2 、を除くHCについては、吸収自体がブロードで
あるところから、従来から一般に用いられているPLS
(PartialLeast Square;部分最小二乗)法と呼ばれる
手法を用いる。これによれば、前記相対吸光度法に比べ
れば、メモリの使用量や計算に要する時間は多くなる
が、前記各成分を精度よく定量できる。
【0010】このように、定量対象とする成分毎に適切
な定量方法を採用することで、分析計全体の精度を高め
ることができ、多成分を同時に精度よく定量できる。そ
して、計算機上のメモリ使用量や計算速度を最小限に抑
えることができる。
【0011】
【実施例】以下、本発明の実施例を、図面を参照しなが
ら説明する。図1は、本発明に係る分光分析における多
成分分析方法を実施するための装置の一例であるFTI
R1の概略的な構成を示したものである。このFTIR
1は、分析部2と、この分析部2の出力であるインター
フェログラムを処理すると共に、後述する可動ミラー7
の駆動機構に対して制御指令を発するコンピュータ3と
からなる。
【0012】分析部2は、平行な赤外光を発するように
構成された光源4と、ビームスプリッタ5、固定ミラー
6、図外の駆動機構によってX,Y方向に移動する可動
ミラー7からなる干渉機構8と、測定試料などを収容
し、干渉機構8を介して光源4からの赤外光が照射され
るセル9と、半導体検出器などよりなる検出器10とで構
成されている。
【0013】コンピュータ3内には、検出器10から出力
されるインターフェログラムを加算平均する加算平均処
理部11、この加算平均処理部11からの出力データに高速
でフーリエ変換を施す高速フーリエ変換処理部12、この
高速フーリエ変換処理部12からの出力データに基づいて
スペクトル演算および定量演算を行う演算部13などが設
けられると共に、制御部(図外)が設けられている。
【0014】このように構成されたFTIR1では、セ
ル9に比較試料または測定試料を収容して、比較試料お
よび測定試料のインターフェログラムがそれぞれ測定さ
れる。これらのインターフェログラムをそれぞれフーリ
エ変換してパワースペクトル、つまり、セル9を透過し
てきた光のスペクトルが得られる。次に、比較試料のパ
ワースペクトルに対する測定試料のパワースペクトルの
比が求められ、この値を吸光度スケールに変換すること
によって吸収スペクトルが得られる。
【0015】次に、本発明の多成分分析方法の詳細につ
いて説明する。今、例として、0.25cm-1のFTIR1
を用いてLPG(液化プロパンガス)車から排出される
自排ガス中の多成分を定量する場合を考える。前記自排
ガス中には、CO、CO2 、NO、H2 O、炭素数4以
下のHCなどが主要成分として含まれている。そして、
測定対象成分として、CO、CO2 、NO、H2 O、N
3 、CH4 、C2 4 (エチレン)、C2 6 、C3
6 (プロピレン)、C3 8 、n−C4 10、iso −
4 10の12成分を考えると、既に説明しているよう
に、これらの成分は、吸収ピークの形状および吸収領域
に基づいて、例えば下記表1に示すように4つの成分群
にグループ分けできる。
【0016】
【表1】
【0017】上記表1中の第1成分群は、図8〜図11に
示すように、1800〜2400cm-1の波数範囲に吸収を持つ
成分群である。この成分群に属する成分は、分子構造が
簡単なことから、特徴的で鋭い吸収ピークを持ち、自排
ガスの濃度も比較的高いところから吸収も強い。そし
て、第2成分群は、図12, 13に示すように、 800〜1400
cm-1の波数範囲にやはり鋭い吸収ピークを持つ成分群
である。また、第3成分群は、図14, 15に示すように、
第2成分群と重なる 800〜1100cm-1の波数範囲に第2
成分群に比べてブロードな吸収を持つ成分群である。こ
れら第2および第3成分群の波数範囲には、これらの成
分の他にCO2 、H2 Oも吸収を持つ。第4成分群は、
図16〜図19に示すように、2800〜3100cm-1のほぼ同じ
波数範囲に、ブロードで、互いによく似た吸収を持つ成
分群である。この第4成分群の波数範囲には、H2 O、
CH4 、C2 4 、C3 6 も吸収を持つ。
【0018】前記第1および第2成分群については、吸
収がシャープであるので、前記特願平2−274204号に係
る相対吸光度法を適用する。
【0019】先ず、最初に、この手法において導入され
る相対吸光度の和という概念について簡単に説明する。
分光測定装置から出力されるスペクトルは、一般的に、
様々な原因によるノイズを含んでおり、従って、前記
(1) 式は、 A(νi ) =Cα (νi ) +εi ……(2) と表すことができる。ここで、εi はスペクトルに含ま
れるノイズである。
【0020】そして、前記スペクトル中の任意の2点の
差に注目すると、前記(2)式は、 A(νp )−A(νb )=C〔α(νp )−α(νb )〕+εp −εb ……(3) と表され、このような2点間の相対的な吸光度もまたラ
ンバートベールの法則に従うことが示される。ここで、
p,qはそれぞれスペクトルのピーク、ベースに対応す
る波数点を示す添字である。
【0021】通常、物質のスペクトル、特に気体のスペ
クトルは、多数のピークを含み、ある物質に特有なピー
クの波数点νp とベースの波数点νb の対を多数選ぶこ
とができる。
【0022】図2には、模式的なガスの吸収スペクトル
と、それに対応する相対吸光度L1,L2 , L3 の例を
示している。それぞれの相対吸光度L1 ,L2 ,L
3 は、前記(3)式の値に対応している。
【0023】このような値の和をとると、 Σk 〔A(νp )−A(νb )〕k =CΣk 〔α(νp )−α(νb )〕+Σk (εp −εb k ……(4) となり、この(4)式もランバートベールの法則を維持
している。そして、この(4)式から、その右辺第2項
がスペクトル中に潜在しているランダムなノイズを平均
化していること、およびベースラインのドリフトのよう
な外乱をキャンセルしていることが判る。
【0024】ここで、前記(4)式で計算される値を、
MAS(Multiple Absorption Sum)値と定義する。す
なわち、 MAS≡Σk 〔A(νp )−A(νb )〕k ……(5) と表す。そして、特に単一成分で既知濃度の参照スペク
トルに対して求められたMAS値を、成分iに対するM
ASi とする。
【0025】図3は、一般化した成分群に含まれる3つ
のガス種に対する波数点の指定例を示す。同図におい
て、曲線I,II,III は、それぞれガスX,Y,Zの参
照スペクトルを示している。そして、ガスXに対する波
数点の集合ΦX :(Xp ,Xbk 、ガスYに対する波
数点の集合ΦY :(Yp ,Yb k 、ガスZに対する波
数点の集合ΦZ :(Zp ,Zb k がそれぞれ指定され
ている。これらのピーク・ベース対を指定するに際して
は、なるべく大きな相対吸光度が得られるように、か
つ、互いの吸収の影響を受けないようにするのが好まし
い。
【0026】ここで、話を一般化して、m個の成分に対
する上述した波数点指定値の集合をΦi (i=1〜m)
とし、1つの吸収スペクトルに対して成分iのピーク・
ベース対の集合を前記(4)式のように計算する演算
を、次式のように定義する。 Σk 〔A(νp )−A(νb )〕≡A◎Φi ……(6) ここで、◎は新しい演算子で、(6)式はMAS値を与
える。
【0027】従って、 MASi =A◎Φi ……(7) となり、m個のΦi に対してm個のMASi が計算され
る。そして、m個の数字の組であるMASi をΨとする
と、これは一方で、m個の要素を持ったスペクトルと考
えることができる。 Ψ=(MASi :i=1〜m) ……(8)
【0028】この新しいスペクトル領域(成分スペクト
ル領域)は、横軸をガス種i、縦軸を相対吸光度の和M
ASi としてグラフ表示することができる。したがっ
て、前記(7)式は、スペクトルAを集合Φを用いて成
分スペクトルΨに変換したものと考えることができる。
このことを、先に一般化して示した成分群に当てはめて
説明すると、以下のようになる。
【0029】図4は、図3に示す3種のガスX,Y,Z
がそれぞれ任意の濃度で混合されたものの吸収スペクト
ル、つまり、前記の一般化した成分群全体としての吸収
スペクトルを表している。図3において指定した3種の
ガスのそれぞれのピーク・ベース対の波数点指定値を図
4の吸収スペクトルに適用して、図4に示すようにX,
Y,Zで表されたそれぞれの相対吸光度の和を求める。
そして、これらの相対吸光度の和を、図5に示すよう
に、横軸がガス種、縦軸が相対吸光度の和を表す領域に
プロットする。
【0030】このようにして求められた成分スペクトル
は、上述したようにノイズの影響が大きく削除されると
共に、ガス種間でのスペクトル同士の干渉影響が抑えら
れている。前記図4および図5に示すように、成分同士
の干渉のない変換ができれば、成分スペクトル領域にお
いてそれぞれの相対吸光度の和がそれぞれの成分濃度に
比例しているので、各成分についての濃度を直接得るこ
とができる。
【0031】但し、実際のガス吸収スペクトルでは、図
4および図5のように干渉のない波数点指定が行えるこ
とは稀で、変換された後の成分スペクトル領域において
も多少の干渉が残っているのが普通である。
【0032】そこで、前記成分スペクトル領域を用いて
の定量分析では、上述した若干残る干渉分を補正する必
要があり、以下の処理は干渉補正に用いる行列(校正行
列)を作成する校正段階、すなわち干渉補正のためのデ
ータを用意する段階と、それを用いて未知濃度を算出す
る推定段階とに分かれる。
【0033】校正段階においては、校正行列を次のよう
にして得る。今、m個の成分について単位濃度の参照ス
ペクトルαi (i=1〜m)がある場合に一般化する
と、これらの参照スペクトルに上述した波数点指定値の
集合Φi を適用し、前記(7)式で示される変換を施す
ことによって、αi に対応した成分スペクトルΨi (i
=1〜m)を得ることができる。より具体的には、複数
のガスをそれぞれ単独で試料としたときにおける相対吸
光度の和を求めることによって得ることができる。
【0034】図6(A),(B),(C)は、先に一般
化した成分群に含まれる3つのガス種X,Y,Zについ
ての参照成分スペクトルを示しており、この場合の校正
行列は、
【0035】
【数1】
【0036】となる。
【0037】一方、被測定試料を前記成分群に割り当て
た波数範囲で分光分析して得られる吸収スペクトルか
ら、その成分群の成分スペクトルを図7のように求める
ことができる。この場合の成分スペクトルΨu は、
【0038】
【数2】
【0039】となる。一般的にm個のガス成分(i=1
〜m)の混合ガスにおいて、それぞれのガス成分の未知
濃度をCi (i=1〜m)とすると、Ψu はΨi の線型
結合で表される。つまり、 Ψu =C1 ・Ψ1 +C2 ・Ψ2 +……+Cm ・Ψm ……(9) が常に成り立ち、これを行列を用いて書き換えると、 Ψu =CΩ ……(10) と表すことができる。ここで、Cは未知の濃度からなる
ベクトル、ΩはΨi を行とする行列で、これを成分スペ
クトル領域における校正行列と呼ぶものとする。
【0040】従って、上述した成分群の3つのガス種
X,Y,Zの未知濃度をCX ,CY ,CZ とすると、
【0041】
【数3】
【0042】となる。前記校正段階では、前記Ωを精度
よく定める必要がある。また、すでに述べたように、Ψ
i は線型独立性の高い、つまり干渉の少ないベクトルで
あるから、Ωは安定した逆行列を求め得る行列である。
【0043】次に、推定段階では、前記(10)式をCに
ついて解くことにより、すなわち、C=Ψu Ω-1のよう
に、未知濃度を推定することができる。
【0044】そして、前記(11)式についても、
【0045】
【数4】
【0046】とすることにより、CX ,CY ,CZ をそ
れぞれ求めることができる。
【0047】ここで計算した逆行列は、Ωの線型独立性
が高いため、安定な解を得ることができ、従って、推定
される濃度の数値計算による誤差は極めて小さい。
【0048】以上説明したように、相対吸光度法は、他
成分の吸収の影響を少なくして大きな相対吸光度が得ら
れる成分、つまり、鋭く特徴的な吸収ピークを持つ成分
の定量に特に適している。また、定量演算処理が比較的
単純で、計算速度が速くメモリ使用量も少ない。このよ
うな特質を持つ相対吸光度法を前記第1および第2成分
群に適用するのであるが、この場合、定量に使用する波
数範囲は、赤外の全領域である必要はなく、第1成分群
については、1800〜2400cm-1、第2成分群について
は、 800〜1400cm-1の限定された範囲でよい。
【0049】さらに、第1成分群については、他に干渉
成分がないので、前記4成分(CO、CO2 、NO、H
2 O)のみを考慮して、前記波数範囲で定量演算を行え
ばよい。また、第2成分群については、他の干渉となる
成分(H2 O、CO2 、C24 、C3 6 )も考慮し
た上で、前記波数範囲で定量演算を行う。このように、
同じ相対吸光度法で定量する成分も、第1成分群、第2
成分群に分けることによって、計算機上のメモリ使用量
をより少なくし、より高速で定量演算することができ
る。しかし、第1成分群、第2成分群の定量演算方法は
同一であるので、一つの成分群にまとめて定量してもよ
いことは勿論である。
【0050】次に、第3および第4成分群については、
吸収がブロードであり、しかも、吸収のある波数範囲お
よびその形状が互いに似通っているので、前記相対吸光
度法を適用した場合、精度的に不十分となりやすい。そ
こで、これらの成分群には、従来から一般に用いられて
いるPLS法と呼ばれる手法を用いる。この手法におい
ては、定量したい化合物の濃度既知の吸収スペクトルを
参照スペクトルとして予め濃度演算用の行列を作成して
おくものである。なお、このPLS法は、例えば、Prac
tical Fourier Transform Infrared Spectroscopy, Aca
demic Press 、Lindberg, W., et al., Anal.Chem., 19
83, 55, 643 、Haaland, D.M., Thomas,E.V., Anal.Che
m., 1988, 60, 1193 、Geladi, P., Kowalsky, B. R.,
Anal.Chem. Acta.,1986, 185 、Wold, S., et al., Mat
rix Pencil, Springer Verlagなどに詳しく説明されて
いる。
【0051】前記PLS法は、相対吸光度法に比べる
と、メモリの使用量が多く、計算速度も遅いが、ブロー
ドな吸収をも比較的精度よく定量できる。そして、この
PLS法を用いる場合においても、定量に使用する波数
範囲は赤外の全領域である必要はなく、例えば第3成分
群については、 800〜1100cm-1、第4成分群について
は、2800〜3100cm-1の限定された範囲でよい。また、
第3成分群については、他に干渉成分として、CO2
2 O、NH3 も考慮して、前記波数範囲で定量演算を
行う。同様に、第4成分群については、H2 O、C
4 、C2 4 、C36 も考慮した上で、前記波数範
囲で定量演算を行う。このように、同じPLS法で定量
する成分も第3成分群、第4成分群に分けることによっ
て、計算機上のメモリ使用量を減らし、定量演算速度を
速めることができる。しかし、第3成分群、第4成分群
の定量演算方法は同一であるので、一つの成分群にまと
めて定量してもよいことは勿論である。
【0052】上述の説明から理解されるように、多成分
を同時に定量する場合、測定対象成分を複数のグループ
に分け、定量し易いグループ(例えば吸収ピークがシャ
ープまたは特徴的であったり、吸収のある領域が他成分
と重複しなかったり、吸収強度が強いなどと云った成分
からなるグループ)については、十分な精度が得られる
定量法のうちから、演算処理の簡単な方法や計算機上の
メモリが少ない方法を適用する。逆に、定量が困難であ
るグループ(吸収がブロードで特徴が少なく、他成分と
吸収領域が重なるなどと云った成分からなるグループ)
については、多少の条件(演算速度やメモリ使用量な
ど)を犠牲にしても、精度の点で最適な手法を適用する
のである。
【0053】なお、これらの場合、計算に用いる波数
は、上述の例のように、重複してもよい。また、定量方
法の種類と数にはこだわらなくてもよく、例えば従来か
ら一般に用いられているCLS(Classical Least Squa
re)法なども用いてもよい。さらに、本発明は、ガス分
析計に限られるものではなく、また、FTIRを用いた
分析に限られるものではない。
【0054】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
定量対象とする成分毎に適切な定量方法を採用すること
で、分析計全体の精度を高めることができ、多成分を同
時に精度よく定量できる。そして、計算機上のメモリや
計算速度を最小限に抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明方法を実施するための装置の一例を概略
的に示す図である。
【図2】本発明方法の一実施例に用いられる演算手法を
説明するために示した模式的なガスの吸収スペクトルと
それに対する相対吸光度の図である。
【図3】同実施例における成分群を一般化して、ガス種
に対する波数点の指定例を示した図である。
【図4】同実施例における一般化した成分群の吸収スペ
クトルを示す図である。
【図5】同実施例における一般化した成分群の吸収スペ
クトルから算出される成分スペクトルの一例を示す図で
ある。
【図6】同実施例における一般化した成分群に対応する
参照成分スペクトルを示す図である。
【図7】同実施例における測定試料の吸収スペクトルか
ら算出される成分スペクトルを示す図である。
【図8】COの吸収スペクトルを示す図である。
【図9】CO2 の吸収スペクトルを示す図である。
【図10】NOの吸収スペクトルを示す図である。
【図11】H2 Oの吸収スペクトルを示す図である。
【図12】NH3 の吸収スペクトルを示す図である。
【図13】CH4 の吸収スペクトルを示す図である。
【図14】C2 4 の吸収スペクトルを示す図である。
【図15】C3 6 の吸収スペクトルを示す図である。
【図16】C2 6 の吸収スペクトルを示す図である。
【図17】C3 8 の吸収スペクトルを示す図である。
【図18】n−C4 10の吸収スペクトルを示す図であ
る。
【図19】iso −C4 10の吸収スペクトルを示す図であ
る。
【符号の説明】
1…FTIR、2…分析部、4…光源。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 試料に対して光源から光を照射し、その
    とき得られる吸収スペクトルに基づいて演算処理を行う
    ことにより試料中に含まれる多成分の濃度を同時に定量
    分析する方法において、前記多成分を吸収ピークの形状
    および吸収領域に基づいて複数の成分群にグループ分け
    し、各成分群に最も適切な定量演算手法を用いるように
    したことを特徴とする分光分析における多成分分析方
    法。
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