JPH05294583A - エレベータのガイドシュー摩耗検出装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 ガイドシューの摩耗量を自動的に検出する。 【構成】 ガイドレール３の幅方向へ傾斜する端部１３
ａを有するカム部材１３と、このカム部材１３と係合可
能なリミットスイッチ７とを含むエレベータに備えら
れ、ガイドシュー９〜１１などの摩耗量を検出するエレ
ベータのガイドシュー摩耗検出装置において、乗かご５
を所定の高さ位置からカム部材１３の端部１３ｂがリミ
ットスイッチ７に当接する位置まで運転する運転指令を
出力する運転制御手段と、乗かご５の移動距離を測定す
る距離測定手段と、乗かご５の移動距離を基準距離と比
較する比較処理手段とを備えたことを特徴としている。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明はエレベータのガイドシュ
ー摩耗検出装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】一般にエレベータの乗かごは、昇降路内
に立設されるガイドレールと係合する複数のガイドシュ
ーを備えている。これらのガイドシューは、乗かごが昇
降路内で昇降する際にガイドレール上を摺動することか
ら、乗かごの走行時間の経過とともに摩耗する傾向にあ
る。このようなガイドシューの摩耗に伴い、ガイドシュ
ーとガイドレールとの間の隙間が規定寸法より大きくな
ると、乗かごが昇降中に水平方向へ揺れて乗り心地を損
なうという不具合があるので、ガイドシューの摩耗量を
点検して、摩耗したガイドシューの交換を行なう必要が
ある。

【０００３】そこで従来、ガイドシューの使用開始より
所定の時間が経過する以前、あるいは乗かごの累計走行
時間が所定の時間に達する以前、あるいは定期点検時に
ガイドシューとガイドレールとの隙間を隙間ゲージで測
定するようになっていた。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】ところで上述した従来
技術では、特殊な条件下などでガイドシューが著しく摩
耗した場合、ガイドシューとガイドレールとの隙間を測
定する時までに既にガイドシューの摩耗量が規定値を越
えてしまうという問題があった。例えば、エレベータを
据付けたビル自体の環境、乗かごの利用頻度、乗かごの
荷重（デラックスタイプや展望用などの場合はかなり荷
重が大きい）等の要素によってガイドシューの摩耗の進
み具合が異なっているので、当初の予想よりも短い時間
内にガイドシューの摩耗量が限界に到達する場合があ
る。

【０００５】本発明はこのような従来技術における実情
に鑑みてなされたもので、その目的は、ガイドシューの
摩耗量を自動的に検出することのできるエレベータのガ
イドシュー摩耗検出装置を提供することにある。

【０００６】

【課題を解決するための手段】この目的を達成するため
に本発明は、昇降路内に立設されるガイドレールと、こ
のガイドレールに係合するガイドシューを有する乗かご
と、これらのガイドレールおよび乗かごの一方に取付け
られ、ガイドレールの幅方向へ傾斜する端部を有するカ
ム部材と、前記ガイドレールおよび乗かごの他方に取付
けられ、前記カム部材と係合可能なリミットスイッチと
を含むエレベータに備えられ、前記ガイドシューの摩耗
量を検出するエレベータのガイドシュー摩耗検出装置に
おいて、前記乗かごを所定の高さ位置から前記カム部材
の端部が前記リミットスイッチに当接する位置まで運転
する運転指令を出力する運転制御手段と、前記乗かごの
移動距離を測定する距離測定手段と、前記乗かごの移動
距離を基準距離と比較する比較処理手段とを備えた構成
にしてある。

【０００７】

【作用】本発明は上記のように構成したので、運転制御
手段から出力される運転指令に基づいて、乗かごが所定
の高さ位置からカム部材の端部がリミットスイッチに当
接する位置まで昇降するとともに、この間の乗かごの移
動距離を距離測定手段により測定し、次いで、上記の距
離測定手段で求めた乗かごの移動距離を比較処理手段に
より基準距離と比較し、この基準距離を乗かごの移動距
離が越えた場合、ガイドシューの摩耗量が過大であると
判定する。

【０００８】例えば、乗かごに設けられるガイドシュー
の摩耗に伴い、乗かごに取付けられるカム部材がガイド
レールの幅方向へ変位した場合、上記のカム部材の端部
はガイドレールの幅方向へ傾斜していることから、この
カム部材の端部がリミットスイッチと当接する位置がガ
イドシューが摩耗する以前の当初の位置より上下方向へ
移動し、すなわち、所定の高さ位置からカム部材の端部
がリミットスイッチに当接する位置までの乗かごの移動
距離が変化する。このことから、上述したように乗かご
の移動距離を測定することにより、ガイドシューの摩耗
量が検出される。これによって、ガイドシューの摩耗量
を自動的に検出することができる。

【０００９】

【実施例】以下、本発明のエレベータのガイドシュー摩
耗検出装置の実施例を図に基づいて説明する。図１は本
発明のエレベータのガイドシュー摩耗検出装置の一実施
例を示す正面図、図２は図１のガイドシュー摩耗検出装
置の全体構成を説明するブロック図、図３は図１のガイ
ドシュー摩耗検出装置に備えられるリミットスイッチお
よびカム部材の相関関係を説明する要部側面図、図４は
ガイドレールおよびガイドシューを示す横断面図であ
る。

【００１０】一般にエレベータは、図１に示すように、
昇降路１内に立設されるガイドレール２、３と、これら
のガイドレール２、３により案内され、ロープ４により
吊上げられる乗かご５とを備えている。一方のガイドレ
ール２の上部にはしゃへい板６が取付けられ、他方のガ
イドレール３の上部にも、このガイドレール３の側方に
設けられるリミットスイツチ７と、このリミットスイツ
チ７の上方に位置するファイナルリミットスイツチ８と
が取付けられている。また、乗かご５には、一方のガイ
ドレール２と係合する上部ガイドシュー（図示せず）、
および下部ガイドシュー９と、他方のガイドレール３と
係合する上部ガイドシュー１０および下部ガイドシュー
１１と、上記のしゃへい板６と係合する位置検出器１２
と、上記のリミットスイツチ７およびファイナルリミッ
トスイツチ８と係合するカム部材１３とが取付けられて
いる。この乗かご５の運転は、通常時に図２に示すエレ
ベータ制御手段１４により制御される。

【００１１】上述したガイドシュー１０は、図４に示す
ように、ガイドレール３の一方の側面３ａ上を摺動する
摺動部１０ａと、ガイドレール３の他方の側面３ｂ上を
摺動する別の摺動部１０ｂとを有し、側面３ａおよび摺
動部１０ａの間、あるいは側面３ｂおよび摺動部１０ｂ
の間に隙間ｇが形成される。また、その他のガイドシュ
ー９、１１なども同様である。

【００１２】上述した位置検出器１２は、図示しない磁
石とスイツチ、および上記のしゃへい板６の両側面にそ
れぞれ対向可能な一対の突出部１２ａを有している。乗
かご５が最上階の停止位置まで上昇するとき、位置検出
器１２がしゃへい板６の中間部分と係合して、突出部１
２ａ間で形成される磁界がしゃへい板６で遮断されるの
で、この磁界の変化により位置検出器１２は位置検出信
号をエレベータ制御装置１４へ出力する。

【００１３】上述したカム部材１３は、図３に示すよう
に、ガイドレール３と平行な中間部１３ａ、およびガイ
ドレール３の幅方向へ傾斜する端部１３ｂ、１３ｃから
なっている。なお、これらの端部１３ｂ、１３ｃは、そ
れぞれ端側に向かうにしたがってガイドレール３から次
第に離れる方向へ傾斜している。

【００１４】このようなエレベータに備えられる本実施
例のガイドシュー摩耗検出装置は、図２に示すように、
上記のエレベータ制御装置１４に接続される運転制御手
段、例えば自動点検運転制御装置１５と、乗かご５の移
動距離を測定する距離測定手段、例えば図示を省略した
が乗かご５の巻上機に取付けられるロータリエンコーダ
と、上記のエレベータ制御装置１４に接続され、乗かご
５の移動距離を基準距離と比較する比較処理手段１６と
を備えている。上述した自動点検運転制御装置１５は通
信回線１７を介して診断センタ１８と接続され、上述し
た比較処理手段１６はメモリ１９と接続されている。

【００１５】上述した自動点検運転制御装置１５は、乗
かご５を所定の高さ位置からリミットスイッチ７に向か
って運転する運転指令を定期的に、例えば１日に１回、
特にエレベータの利用頻度が少ない真夜中に出力する。
そして、上記の運転指令に応じて、エレベータ制御装置
１４はあらかじめ定められる診断運転を行ない、その際
に得られる種々のデータをメモリ１９に伝送するととも
に、位置検出器１２の検出やリミットスイツチ７の作動
によって得られるデータを比較処理手段１６に伝送す
る。上述した比較処理手段１５は、エレベータ制御装置
１４から出力されるデータを処理して処理結果をメモリ
１９に格納するとともに、ガイドシュー９〜１１などの
摩耗量の判定を行なう。上述したメモリ１９は、種々の
データを記憶し、定期的に記憶データを読み出したり、
読み出し指令に応じて随時、記憶データを読み出す。こ
の読み出された記憶データは診断センタ１８にまで伝送
され、この診断センタ１８では、伝送される種々のデー
タを処理し、処理結果を図示しないディスプレイで表示
したり、指示書等に印字する。

【００１６】この実施例にあっては、自動点検運転制御
装置１５により診断運転指令を例えば真夜中に出力し、
この診断運転指令に応じて、エレベータ制御装置１４は
あらかじめ定められる診断運転を行なう。例えば乗かご
５が最上階以外の階に位置する場合、まず乗かご５を最
上階まで上昇させて所定の高さ位置で停止する。このと
き、位置検出器１２がしゃへい板６の中間部分に係合す
ることにより乗かご５が所定の高さ位置にあることを検
出する。次いで、この高さ位置から乗かご５を所定の低
速度で下降させて、位置検出器１２がしゃへい板６の下
端を越えた位置で乗かご５を停止させる。次いで、乗か
ご５を所定の低速度で上昇させ、カム部材１３の端部１
３ｂがリミットスイッチ７に当接するとき、乗かご５を
停止させる。この乗かご５の上昇中にロータリエンコー
ダにより乗かご５の移動距離を測定する。

【００１７】例えば乗かご５に備えられるガイドシュー
１０の摺動部１０ａが摩耗した場合、乗かご５に備えら
れるカム部材１３が図３の左側へ距離ｄ₁だけ変位す
る。そして、このカム部材１３の端部１３ｂはガイドレ
ール３の幅方向へ傾斜していることから、上記の端部１
３ｂがリミットスイツチ７に当接する位置が当初の位置
より距離ｄ₁に対応する分だけ上方へ移動し、すなわ
ち、上述した乗かご５の移動距離が大きくなる。次い
で、上記のロータリエンコーダで求めた乗かご５の移動
距離を比較処理手段１６により基準距離と比較して、そ
の比較結果のデータをメモリ１９により記憶する。この
メモリ１９の記憶データは、定期的に、あるいは読み出
し指令に応じて随時、記憶データを読み出されて診断セ
ンタ１８にまで伝送されるとともに、この診断センタ１
８で上記のデータを処理して、処理結果を図示しないデ
ィスプレイで表示したり、指示書等に印字するようにな
っている。

【００１８】そして、ロータリエンコーダで求めた乗か
ご５の移動距離が基準距離を越えた場合、比較処理手段
１６はガイドシュー１０の摺動部１０ａの摩耗量が過大
であると判定する。また、ガイドシュー１０の他方の摺
動部１０ｂが摩耗してカム部材１３は図３の右側へ距離
ｄ₂だけ変位した場合も同様であり、さらに、他のガイ
ドシュー９、１１などの摩耗の場合も同様である。

【００１９】このように構成した実施例では、ガイドシ
ュー９〜１１などの摩耗量や摩耗した摺動部を自動的に
検出することができる。

【００２０】なお、この実施例ではカム部材を乗かご側
に取付け、リミットスイッチをガイドレール側に取付け
た場合を例示したが、本発明はこれに限らず、カム部材
をガイドレール側に取付け、リミットスイッチを乗かご
側に取付ける場合も同様である。

【００２１】

【発明の効果】本発明は以上のように構成したので、ガ
イドシューの摩耗量を自動的に検出することができ、し
たがって、ガイドシューの著しい摩耗に伴い乗かごの乗
り心地を損なうことを防止できるという効果がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明のエレベータのガイドシュー摩耗検出装
置の一実施例を示す正面図である。

【図２】図１のガイドシュー摩耗検出装置の全体構成を
説明するブロック図である。

【図３】図１のガイドシュー摩耗検出装置に備えられる
リミットスイッチおよびカム部材の相関関係を説明する
要部側面図である。

【図４】図４はガイドレールおよびガイドシューを示す
横断面図である。

【符号の説明】

１ 昇降路 ２、３ ガイドレール ５ 乗かご ６ しゃへい板 ７ リミットスイッチ ９〜１１ ガイドシュー １２ 位置検出器 １３ カム部材 １３ａ 中間部 １３ｂ、１３ｃ 端部 １４ エレベータ制御装置 １５ 自動点検運転制御装置（運転制御手段） １６ 比較処理手段

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 昇降路内に立設されるガイドレールと、
   このガイドレールに係合するガイドシューを有する乗か
   ごと、これらのガイドレールおよび乗かごの一方に取付
   けられ、ガイドレールの幅方向へ傾斜する端部を有する
   カム部材と、前記ガイドレールおよび乗かごの他方に取
   付けられ、前記カム部材と係合可能なリミットスイッチ
   とを含むエレベータに備えられ、前記ガイドシューの摩
   耗量を検出するエレベータのガイドシュー摩耗検出装置
   において、前記乗かごを所定の高さ位置から前記カム部
   材の端部が前記リミットスイッチに当接する位置まで運
   転する運転指令を出力する運転制御手段と、前記乗かご
   の移動距離を測定する距離測定手段と、前記乗かごの移
   動距離を基準距離と比較する比較処理手段とを備えたこ
   とを特徴とするエレベータのガイドシュー摩耗検出装
   置。