JPH05293388A - 排ガス浄化用金属ハニカム触媒担体の製法 - Google Patents

排ガス浄化用金属ハニカム触媒担体の製法

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JPH05293388A
JPH05293388A JP4098200A JP9820092A JPH05293388A JP H05293388 A JPH05293388 A JP H05293388A JP 4098200 A JP4098200 A JP 4098200A JP 9820092 A JP9820092 A JP 9820092A JP H05293388 A JPH05293388 A JP H05293388A
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JP
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exhaust gas
honeycomb structure
aluminum
catalyst
lanthanum
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JP4098200A
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Inventor
Ikuhisa Hamada
幾久 浜田
Shigeru Tominaga
成 冨永
Yoshio Matsuo
宣雄 松尾
Hisao Yamashita
寿生 山下
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Mitsubishi Power Ltd
Original Assignee
Babcock Hitachi KK
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 軽量、安価で機械的強度の高い金属ハニカム
触媒担体(および触媒)を得ること。 【構成】 アルミニウムを主要合金成分として含有しな
い安価なフェライト系ステンレス鋼をエキスパンド加工
した後、アルミニウムを溶射したものを出発原料とし、
これをプレス加工等により、波状の凹凸をつけ、平板と
重ね合わせるなどの方法によりハニカム構造体とし、そ
の後に耐酸化性向上の手段として、ランタン、イットリ
ウム、セリウムのいずれかの元素を単独または複合して
アルミニウム溶射層に含浸し、適当な熱処理を施し、必
要に応じ高比表面積の無機粒子をウォッシュコートす
る。 【効果】 従来のバルクメタル型ハニカム触媒において
問題となっていた数々の技術的課題がきわめて実用的な
方法で解決されるうえ、特に自動車等燃焼ガスを動力源
とするものにあっては、運転初期の排ガスの浄化を確実
に行わせることが可能となり、環境保全に対して大きな
寄与が期待できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、排ガス浄化用金属ハニ
カム触媒担体の製法に関し、特に自動車エンジンの排気
を初め、各種産業・化学プラントから発生する廃(排)
ガス中の各種炭化水素(以下、HCと記すことがあ
る)、一酸化炭素(CO)等、燃焼可能な有害物質を除
去するための触媒担体の製法および該担体を用いた触媒
に関する。
【0002】
【従来の技術】排ガス浄化技術の分野においては、近
年、単位体積当たりの表面積が大きくとれ、しかも圧力
損失を低く抑えることのできる、いわゆるハニカム触媒
が広く利用されている。ハニカム触媒の基材としては、
押出し成形法で製造されるセラミックスハニカムが一般
的に用いられており、その断面形状は蜂の巣状、正方形
等各種のものがある。セラミック繊維を紙状素材に抄造
した、いわゆるセラミックペーパーをコルゲート(波
状)加工し、これらを平板とともに巻き込んでハニカム
構造とする基材も利用されるようになっている。
【0003】セラミックハニカムとは別に、最近はアル
ミニウムを数%含有し、耐酸化性向上のためにイットリ
ウムやセリウムを微量添加したフェライト系ステンレス
鋼薄板(通常50μm前後)を用いた、目の細かい金属
ハニカム構造体が適用されつつある。上記のセラミック
または金属ハニカム構造体を排ガス浄化用触媒体とする
ことに対しては、通常、活性アルミナに代表される高比
表面積無機粒子(比表面積:数十〜百数十m2 /gが一
般的)をウォッシュコートして、これを触媒担体とし、
この触媒担体に触媒活性のある金属(Pd、Pt等)を
分散担持させる方法がとられる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】接触燃焼によって排ガ
スを浄化する触媒は、通常200〜300℃で着火し、
500℃前後またはこれを超える温度で燃え切るような
仕様とされており、これに対応した装置設計条件や運転
条件が適用される。一般の産業プラントの排ガスの浄化
に対して触媒燃焼法を適用する場合、こうした条件設定
は通常手段であり、運転開始時または運転中に触媒の温
度が着火温度以下となる場合は、通常、助燃手段がとら
れ、これについては装置運用または環境汚染の問題は特
に見当たらない。
【0005】しかしながら燃焼エネルギーを動力源とす
る自動車や発電機のように、コールドスタートを避け得
ないものにおいては、運転開始後から触媒が着火温度に
達するまでの時間内に触媒を通過する排ガスは、実質的
に処理されずに大気中に放出されることになる。特にコ
ールドスタート時は完全燃焼が起きにくいので、多量の
有害ガスが排出される。この問題は特に熱伝導率が低い
セラミックハニカム触媒の場合に重大となる。
【0006】こうした問題を解決する1つの手段は、熱
伝導率が高く、運転開始初期に温度が容易に上昇する金
属ハニカム触媒を用いることである。金属ハニカム触媒
用の金属材料としては、アルミニウムを含有した耐酸化
性の良好なフェライト系ステンレス鋼薄板が好適である
が、本材料は、従来、薄板製造が困難なため高価であっ
た。最近は製造技術の進歩により、安価に製造されるよ
うになっているが、通常の汎用ステンレス鋼と較べる
と、価格にはまだ大きな差があり、さらにコルゲート加
工後に基材を一体化するためのろう付け加工や、触媒と
する上で前提条件となる高比表面積無機粒子(触媒担
体)のウォッシュコートのため、一旦高温加熱によりア
ルミナのウィスカを析出させるなどの処理が必要であ
り、種々の面で従来のセラミックハニカム基材と較べ、
製造コストが高くなるという欠点がある。
【0007】また金属基材と高比表面積無機粒子との熱
膨脹係数が大きく異なるため、昇温冷却の繰返しに伴う
ウォッシュコート層の剥離や、機械的振動による剥離の
恐れがある。従来の金属ハニカム触媒におけるもう1つ
の問題は、昇温時に基材が熱膨脹する結果、ハニカムの
中心部が外部にせり出す現象(フィルムアウト現象)を
生じることである。これは波板と平板を強固にろう付け
または溶接することなどで解決できる問題であるが、よ
り信頼性の高いものをつくろうとすると製造コストが著
しく増大するといった問題を引き起こす。
【0008】このように金属ハニカム触媒は、運転開始
直後の排ガス浄化性能の改善には効果が期待されるもの
の、製造コストや信頼性の点でまだ多くの問題がある。
触媒活性を短時間のうちに発現させる別の方法は、金属
ハニカム触媒に電極を配置し、通電により自己発熱させ
ることである。しかし上記の金属薄板を使う場合は、抵
抗値が数mΩ〜数十mΩにしかならないので、通電する
と大電流が流れ、電力消費量がきわめて大きくなり、電
源が特殊なものになったり、使用方法が限定されること
になるという問題がある。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記した金属ハニカム触
媒の種々の課題は、金属ハニカム触媒の基材を、アルミ
ニウムを主要合金成分として含有しない安価なフェライ
ト系ステンレス鋼とし、これをエキスパンド加工した
後、アルミニウムを溶射したものを出発原料とし、次い
でコルゲート加工、プレス加工等により、波状の凹凸を
つけ、凹凸をつけない薄板と重ね合わせるなどの方法に
よりハニカム構造体とし、その後に耐酸化性向上の手段
として、ランタン、イットリウム、セリウムのいずれか
の元素を単独または複合してアルミニウム溶射層に含浸
し、適当な熱処理を施し、必要に応じ高比表面積の無機
粒子をウォッシュコートすることによって解決される。
このようにして製造されたハニカム触媒担体に対し、排
ガス中の可燃成分の接触燃焼を可能とする触媒成分を担
持させて本発明の排ガス浄化触媒が得られる。
【0010】すなわち、本発明の第1は、主要合金成分
としてアルミニウム(Al)を含まないフェライト系ス
テンレス鋼薄板をエキスパンド加工したものにアルミニ
ウムを溶射し、さらにこれを加工してハニカム構造体と
したものをランタン(La)化合物を含む溶液に浸漬し
た後、500〜1200℃で熱処理することを特徴とす
る排ガス浄化用金属ハニカム触媒担体の製法である。
【0011】本発明の第2は、ハニカム構造体をランタ
ン化合物を含む溶液に浸漬する代わりに、該ハニカム構
造体にランタンアルミネート(LaAlO3 )を含有す
るランタン−アルミナ焼成物をウォッシュコートするこ
とを特徴とする前記第1記載の金属ハニカム触媒担体の
製法である。本発明の第3は、主要合金成分としてアル
ミニウム(Al)を含まないフェライト系ステンレス鋼
薄板をエキスパンド加工したものにアルミニウムを溶射
し、さらにこれを加工してハニカム構造体としたもの
を、イットリウム(Y)またはセリウム(Ce)を含有
する溶液に浸漬した後、500〜1200℃で熱処理
し、次いで高比表面積の無機粒子をウォッシュコートす
ることを特徴とする排ガス浄化用金属ハニカム触媒担体
の製法である。
【0012】本発明の第4は、ハニカム構造体に電極を
配置し、通電可能としたことを特徴とする前記第1ない
し第3のいずれかに記載の排ガス浄化用金属ハニカム触
媒担体の製法である。本発明の第5は、前記第1ないし
第4のいずれかで製造された金属ハニカム触媒担体に触
媒成分を担持したことを特徴とする排ガス浄化用金属ハ
ニカム触媒である。
【0013】
【作用】本発明においてエキスパンド加工した薄板を用
いる理由は次のようなものである。なお、ここではエキ
スパンド加工しない薄板を用いる、従来の金属ハニカム
構造体/触媒をバルクメタル型、エキスパンド加工薄板
を用いるものをラスメタル型と称する。 (a)ハニカムの通路方向だけでなぐ、横方向に対して
もガスが流通できるようになり、触媒と排ガスの接触効
率がきわめて高くなる。 (b)構造的に三次元状態ができているので、薄板同士
が機械的に拘束された形となり、通常の金属ハニカム触
媒でしばしば問題となるフィルムアウト現象が本質的に
起きにくいので、特にろう付けを必要としない。 (c)バルクメタル型と同じ見掛け容積の場合は材料量
が少なく、したがって軽くできるとともに、熱容量が小
さくなる結果、運転初期の昇温がさらに容易になる。 (d)通電可能構造とする際に、抵抗値を大きくでき、
また加工条件を適当にコントロールすることにより、抵
抗値をある程度選ぶことができる。
【0014】従来のバルクメタル型の場合は、排ガスと
の接触が平面的にしか行われないので、接触面積を大き
くとるためにはハニカムの目数を多くする必要がある
が、ラスメタル型は針金の織物に近いので、排ガスとの
接触は3次元的となり、上記した熱容量の点に加え、排
ガスから基材への熱の伝達が容易になり、昇温が効果的
に行われる。排ガスとの接触効率、ひいては触媒の排ガ
ス浄化効果はバルクメタル型の場合よりも顕著になる。
なお、腐食法により金属薄板に開口部を設ける方法も考
えられるが、この方法の場合は、単に平面的な開口部が
存在するだけであり、エキスパンド加工の場合ほど接触
効率は向上しない。これはエキスパンド加工薄板の場合
は、3次元の状態ができているためである。すなわちエ
キスパンド加工した薄板は3次元構造が一体的に形成さ
れているので、互いに接触したときに拘束力が大きく、
金網等の場合のように滑りを生じにくい。
【0015】エキスパンド加工の条件は、触媒活性が効
率よく発現されるものを選べばよく、その選び方は上記
したことのいずれに重点を置くかで決まるものであるの
で、本発明では加工条件を特に規定しない。次にアルミ
ニウムを基材に溶射するのは次のような理由による。1
つは表面に幾何学的な凹凸を設けるためであり、他の理
由は耐酸化性の乏しいフェライト系ステンレス鋼の耐酸
化性を向上させるためである。さらに適当な熱処理や陽
極酸化法などによってアルミニウム溶射層をアルミナ酸
化物層とすることにより、エキスパンド加工薄板同士が
接触しても電気的絶縁が維持されるという特徴も有す
る。溶射量と熱処理条件を適切に選べば、薄板同士が固
着するようになるので、ろう付けすることと同様の効果
を持たせることもできる。
【0016】またアルミニウムの溶射にはアーク溶射
法、ガス溶射法、その他の溶射法を適用することがで
き、本発明ではその種類を限定するものではない。しか
し通常、大気中または燃焼ガス中で溶射されたアルミニ
ウムは部分的に酸化物や窒化物になっており、アーク溶
射法では特に酸化物と窒化物への変換が多く、触媒活性
向上の点からは、アーク溶射法が好ましい結果を与える
こともある。
【0017】アルミニウムの溶射量は30〜100g/
2 であれば、基材のほぼ全面を溶射することができ
る。溶射量は最終的な触媒の活性との関連で決定すれば
よく、本発明はアルミニウムの溶射量を規定するもので
はない。次にエキスパンド加工後アルミニウム溶射した
薄板からハニカム構造体を形成するには、例えば前記の
アルミニウム溶射した薄板に波状の凹凸加工した後、こ
れと凹凸をつけない薄板を重ねて略円柱状に巻き込む
か、または単に重ね合わせる方法が挙げられるが、これ
らに限定されるものではない。
【0018】次に前記ハニカム構造体をランタン、イッ
トリウム、またはセリウムを含有する溶液に浸漬して、
これらをアルミニウム溶射層に含浸させるのであるが、
これは耐酸化性を一層向上させることを目的とするもの
である。すなわちアルミニウムを主要成分として含有し
ないフェライト系ステンレス鋼であってもアルミニウム
溶射を行うことで、耐酸化性は向上するが、加熱冷却が
繰返されるような使用条件下では、アルミニウム溶射層
が母材から剥離し、耐酸化性が維持できなくなる。これ
は500〜700℃の高温にさらされた時点で溶射され
たアルミニウムはアルミナまたはアルミナとアルミニウ
ム−鉄合金の混合相に変化しており、耐酸化性はアルミ
ナに依存しているからである。ところがランタン、イッ
トリウムまたはセリウムが存在するとアルミナ層または
膜が母材に強固に接着し、加熱冷却の繰返しに対しても
高い耐酸化性を保持することができる。なお、前述した
ように、バルクメタル型ハニカム触媒では、原料として
イットリウムまたはセリウムを微量含有した高耐酸化性
フェライト系ステンレス鋼が知られているが、本発明で
は気孔率が数%〜十数%あるアルミニウム溶射層にラン
タン、イットリウム、またはセリウムを含む溶液、例え
ば硝酸ランタン水溶液を滲み込ませて、上記の高耐酸化
性ステンレス鋼と同等の性能を発揮させるようにした点
に特徴を有する。
【0019】本発明において、前記アルミニウム溶射層
にランタン化合物を含浸して500〜1200℃で焼成
すると、ランタンは上記の酸化物固着効果を示すととも
に、アルミニウム溶射層中のアルミナ(溶射のままでは
γアルミナになっている)と反応して、ランタン−アル
ミナを形成するが、このランタン−アルミナは、通常比
表面積が30〜120m2 /g程度であり、かつα化し
にくい特徴を持っており、そのまま触媒担体として利用
することができる。
【0020】本発明でランタン化合物を含有する溶液に
浸漬した後の焼成温度を500〜1200℃に規定して
いるのは、上記の2つの効果をねらったものである。す
なわち500℃未満の温度で焼成した場合は、反応が充
分起こらず、金属アルミニウムの含有量が高いままとな
って、触媒担体として適さないし、一方焼成温度が12
00℃を超えると、アルミナのα化が進み、比表面積が
低下して、やはり触媒担体としては性能が低下するから
である。
【0021】本発明者らの研究の結果によると、ランタ
ン化合物の代わりにイットリウムまたはセリウムの化合
物をアルミニウム溶射層に含浸したものでは、ランタン
化合物を含浸した場合ほど比表面積が上がらず、かつア
ルミナのα化遅延効果が見られなかった。したがって、
イットリウムまたはセリウムを利用する場合は、含浸後
500〜1200℃で焼成して一旦溶射アルミニウム層
と適度に反応させ、その後、比表面積の大きい無機粒子
をウォッシュコートする方法が適している。
【0022】ウォッシュコートに用いる高比表面積の無
機粒子としては、活性アルミナが代表的なものである
が、ゼオライト、チタニア(アナターゼ)ほか各種のも
のが適用できる。要は触媒活性を発揮できるように、触
媒成分を充分に分散担持できるものであればよい。ラン
タンアルミネート(LaAlO3 )を含有するランタン
−アルミナ焼成物をウォッシュコートすると、上記と同
等およびさらにこれに付随する効果が得られることを次
に説明する。
【0023】ランタンアルミネートは水可溶であり、こ
れを含有するランタン−アルミナ焼成物をウォッシュコ
ートするため、該焼成物と水のスラリをつくると、スラ
リ中にランタンイオン(La3+)が生成し、これがアル
ミニウム溶射層に浸透して、ランタン化合物のみ含有す
る溶液に浸漬した場合と同等の効果が生じる。こうした
ランタンアルミネートを含有するランタン−アルミナ焼
成物は、例えば硝酸ランタンとベーマイトを混合し、焼
成温度を1200℃未満とすることで得られる。焼成温
度が1200℃を超えるとランタンアルミネートが形成
されず、安定な酸化物が生成する。さらにこのランタン
−アルミナ焼成物はα化していないので、通常50〜1
50m2 /g程度の高い比表面積を持っており、触媒担
体として好適なものとなる。本発明におけるランタン−
アルミナ焼成物は触媒担体として使用できる限りその組
成、焼成温度は特に規定されない。
【0024】本発明においては、触媒体または触媒担体
に電極を配置して通電可能とすることも含まれるが、電
極を配置して通電可能とする自体は、バルクメタル型ハ
ニカム触媒ですでに多くの公知例がある。しかしバルク
メタル型ハニカムの場合は、本質的に抵抗値が小さく、
結果的に通電すると大電流が流れることになる。充分容
量の大きい電源がある場合には、この大電流、大電力発
生は問題にならないが、自動車等の電源が制限されるも
のに対しては、実際問題として実用化できるものではな
い。これに対して、本発明のラスメタル型ハニカム触媒
担体/触媒は、アルミニウム溶射層の絶縁効果と相まっ
て、バルクメタル型ハニカム触媒担体/触媒と同等の容
積の場合で、略5〜20倍大きい抵抗値となるので、同
じ電圧を負荷したときの電流は1/5〜1/20小さく
なる。電流が充分小さくなると、配線容量、電源容量を
小さくでき、通電可能とすることが実用上可能になる。
逆に通電による発熱量は小さくなるが、これは必要に応
じ通電時間を長くする、発熱部分を小さくし、熱容量を
小さくする等で補える事柄である。以上のことから本発
明のラスメタル型ハニカム触媒を通電可能とすると、公
知例では予想されなかった効果が得られることになる。
【0025】最終的には、このようにして製造されたハ
ニカム構造体に対し、排ガス中の可燃成分の接触燃焼を
可能とする触媒成分を担持して排ガス浄化触媒を得る。
【0026】
【実施例】
実施例1 厚さ0.2mm、幅500mmのSUS430をエキスパン
ド加工し、これにアーク溶射法でアルミニウムを溶射し
た(溶射量:約50g/m2 )。エキスパンド加工にお
ける切り込み幅は3mmで、エキスパンド前後の長さの比
は180%である。次にこの原料を幅100mmに切断
し、公称高さ5mm、ピッチ5mmのコルゲートロールに通
して、山谷高さが約3mmの波板を得た。この波板とコル
ゲート加工しないエキスパンド薄板を直径8mm、肉厚
0.5mmのSUS304製パイプを芯金として巻き込
み、直径約65mm、長さ100mmのハニカム構造体を得
た(見掛け容積:330cc)。次にこの金属ハニカム構
造体を50%硝酸ランタン水溶液に浸漬し、溶液より取
出して充分液切りした後、130℃で乾燥した。乾燥後
900℃の大気中で焼成した。この金属ハニカム構造体
を0.2%のPdを含む硝酸パラジウム水溶液に10〜
20秒浸漬し、100℃で充分に乾燥後、最終的に55
0℃で焼成し、Pdの含有量がほぼ1g/L(触媒の見
掛け体積、以下同じ)である触媒を得た。
【0027】実施例2 実施例1のハニカム構造体を、ランタンアルミナを約2
0%含有するランタン−アルミナ焼成物−水スラリ(濃
度20%)に浸漬し、余剰液を除去して乾燥し、550
℃で焼成した。次いでこの金属ハニカム構造体を0.2
%のPdを含む硝酸パラジウム水溶液に10〜20秒浸
漬し、100℃で充分に乾燥後、最終的に550℃で焼
成して、Pdの含有量がほぼ1g/Lである触媒を得
た。
【0028】実施例3 実施例1のハニカム構造体を50%硝酸イットリウム水
溶液に浸漬し、溶液より取出して充分液切りした後、1
30℃で乾燥した。乾燥後900℃の大気中で焼成し
た。次いでこの金属ハニカムを活性アルミナスラリ(濃
度15%)に浸漬し、余剰液を除去した後、乾燥し、5
50℃で焼成した。その後0.2%のPdを含む硝酸パ
ラジウム水溶液に10〜20秒浸漬し、100℃で充分
に乾燥後、最終的に550℃で焼成したPdの含有量が
ほぼ1g/Lである触媒を得た。
【0029】実施例4 実施例1のハニカム構造体を50%硝酸セリウム水溶液
に浸漬し、溶液より取出して充分液切りした後、乾燥し
た。乾燥後900℃の大気中で焼成した。次いでこの金
属ハニカムを活性アルミナスラリ(濃度15%)に浸漬
し、余剰液を除去した後、乾燥し550℃で焼成した。
この金属ハニカムを0.2%のPdを含む硝酸パラジウ
ム水溶液に10〜20秒浸漬し、100℃で充分に乾燥
後、最終的に550℃で焼成したPdの含有量がほぼ1
g/Lである触媒を得た。
【0030】実施例5 実施例1の金属ハニカム構造体の最外周部に電極をろう
付けし、中心部の芯金との間で通電できるようにしたの
ち、実施例2と同様の方法で触媒化し、金属ハニカム触
媒を得た。この触媒の両電極間の抵抗値は約0.2Ωで
あった。 比較例1 400セル/in2 のコーディエライト製ハニカム基材
(実施例1とほぼ同じ寸法)に活性アルミナを通常の方
法でウォッシュコーティングし、実施例1と同様の方法
で、Pd担持量が約1g/Lである触媒を得た。
【0031】比較例2 800セル/in2 の金属ハニカム構造体(実施例1と
ほぼ同じ寸法。基材組成:13Cr−6Al−Y、表面
処理として真空中1100℃で熱処理)に活性アルミナ
を通常の方法でウォッシュコーティングし、実施例1と
同様の方法で、Pd担持量が約1g/Lである触媒を得
た。
【0032】実施例1〜4の触媒と比較例1〜2の触媒
について、エンジン始動開始時における、両者の初期性
能を調べた。エンジン始動後の経過時間と触媒出口温
度、HC、およびCO除去率の関係を表1に示す。本結
果から明らかなように、本発明の実施例1〜4の金属ハ
ニカム触媒は、エンジン始動直後から温度が上昇し始
め、触媒の活性が発現する温度に短時間のうちに到達
し、運転初期におけるHC、COの浄化性能は、比較例
に較べ明らかに高い。
【0033】
【表1】
【0034】実施例5についての実験結果を表2に示
す。実験における負荷電圧は12Vで、このときの電流
は20Aであった。電圧負荷後約120秒経過した時点
で、触媒温度は約150℃に達しており、このあたりか
らHCの着火が生じている。
【0035】
【表2】
【0036】
【発明の効果】請求項1ないし3および5記載の発明に
よれば、従来のバルクメタル型ハニカム触媒において問
題となっていた数々の技術的課題が、きわめて実用的な
方法で解決されるうえ、特に自動車等燃焼ガスを動力源
とするものにあっては、運転初期の排ガスの浄化を確実
に行わせることが可能となり、環境保全に対して大きな
寄与が期待できる。
【0037】また請求項4記載の発明によれば、効果的
に触媒の温度を上げることが可能であり、自動車等の燃
焼ガスを動力源とするものにあっては、運転初期の排ガ
スの浄化をさらに確実に行わせることができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 B01J 37/02 301 G 7821−4G (72)発明者 山下 寿生 茨城県日立市久慈町4026番地 株式会社日 立製作所日立研究所内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 主要合金成分としてアルミニウム(A
    l)を含まないフェライト系ステンレス鋼薄板をエキス
    パンド加工したものにアルミニウムを溶射し、さらにこ
    れを加工してハニカム構造体としたものをランタン(L
    a)成分を含む溶液に浸漬した後、500〜1200℃
    で熱処理することを特徴とする排ガス浄化用金属ハニカ
    ム触媒担体の製法。
  2. 【請求項2】 ハニカム構造体をランタン化合物を含む
    溶液に浸漬する代わりに、該ハニカム構造体にランタン
    アルミネート(LaAlO3 )を含有するランタン−ア
    ルミナ焼成物をウォッシュコートすることを特徴とする
    請求項1記載の金属ハニカム触媒担体の製法。
  3. 【請求項3】 主要合金成分としてアルミニウム(A
    l)を含まないフェライト系ステンレス鋼薄板をエキス
    パンド加工したものにアルミニウムを溶射し、さらにこ
    れを加工してハニカム構造体としたものを、イットリウ
    ム(Y)成分またはセリウム(Ce)成分を含有する溶
    液に浸漬した後、500〜1200℃で熱処理し、次い
    で高比表面積の無機粒子をウォッシュコートすることを
    特徴とする排ガス浄化用金属ハニカム触媒担体の製法。
  4. 【請求項4】 ハニカム構造体に電極を配置し、通電可
    能としたことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか
    に記載の排ガス浄化用金属ハニカム触媒担体の製法。
  5. 【請求項5】 請求項1ないし4のいずれかで製造され
    た金属ハニカム触媒担体に触媒成分を担持したことを特
    徴とする排ガス浄化用金属ハニカム触媒。
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