JPH0528547U - 真空ダイカストの給湯装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 保持炉でも溶湯の脱ガスを積極的に行ってダ
イカスト鋳物中にブローホール、ピンホール等の欠陥を
生じる余地をなくすことができる真空ダイカストの給湯
装置を提供する。 【構成】 内部に溶湯収納部２を有する密閉された保持
炉１と、この保持炉１内の溶湯収納部２に一端部が挿入
された注湯管５と、この注湯管５の他端部が溶湯充填部
７に連通して接続され、当該溶湯充填部７に供給された
溶湯Ｍも前進チップ８により金型１０のキャビティ１１
内に射出可能な射出スリーブ６と、前記保持炉１に接続
されて内部圧力を増減可能な第１圧力制御装置１５と、
射出スリーブ６に接続されて当該射出スリーブ６の溶湯
充填部７の圧力を増減可能な第２圧力制御装置１８と、
金型１０に接続されてキャビティ１１内の圧力を増減可
能な第３圧力制御装置２１とを備えた。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

この考案は、真空ダイカストの給湯装置に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】

一般に、精密な金型鋳物を多量に製造する方法としてダイカスト法が普及して いるが、このダイカスト法では、溶湯を金型のキャビティ内に高速かつ高圧で射 出充填するため、金型のキャビティ内からガスを自然排気していたのでは溶湯と ガスとの置換が不完全となり、溶湯内に残存ガスを巻き込んでダイカスト鋳物中 にブローホール、ピンホール等の欠陥を生じるおそれがある。

【０００３】 そこで、従来、金型のキャビティ内からガスを完全に排気した状態で溶湯の射 出充填を行うために、例えば、特開昭６４−６２２６３号公報に記載されている ように、真空吸引により金型のキャビティ内及び射出装置の溶湯充填部内からガ スを完全に排気すると共に減圧して、その吸引作用により保持炉から溶湯を注湯 管を経て射出スリーブの溶湯充填部内に導入し、しかる後、射出スリーブ内の前 進チップで溶湯充填部を圧縮させて溶湯を金型のキャビティ内に射出充填するよ うにした真空ダイカストの給湯装置が開発されていた。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】

しかしながら、この給湯装置では、大気下にある保持炉内の溶湯を注湯管を経 て射出スリーブの溶湯充填部内に導入するため、溶湯を重力により金型に流し込 む金型鋳造法に比べて溶湯中のガス含有量が多くなり、ダイカスト鋳物中にブロ ーホール、ピンホール等の欠陥を生じるおそれがあるという不都合を免れなかっ た。

【０００５】 この考案は前記課題を解決するためになしたもので、保持炉でも溶湯の脱ガス を積極的に行ってダイカスト鋳物中にブローホール、ピンホール等の欠陥を生じ る余地をなくすことができる真空ダイカストの給湯装置を提供することを目的と する。

【０００６】

【課題を解決するための手段】

この考案に係る真空ダイカストの給湯装置は、内部に溶湯収納部を有する密閉 された保持炉と、この保持炉内の溶湯収納部に一端部が挿入された注湯管と、こ の注湯管の他端部が溶湯充填部に連通して接続され、当該溶湯充填部に供給され た溶湯を前進チップにより金型のキャビティ内に射出可能な射出スリーブと、前 記保持炉に接続されて内部圧力を増減可能な第１圧力制御装置と、射出スリーブ に接続されて当該射出スリーブの溶湯充填部の圧力を増減可能な第２圧力制御装 置とを備えたものである。

【０００７】

【作用】

第１圧力制御装置により真空吸引して保持炉内を減圧した状態で溶湯収納部内 の溶湯を溶解保持する。

【０００８】 保持炉内を減圧状態に保持したまま、第２圧力制御装置により真空吸引して射 出スリーブの溶湯充填部内を保持炉内の圧力よりも低い圧力まで減圧し、その差 圧で保持炉内の溶湯を射出スリーブの溶湯充填部内に導入充填し、射出スリーブ 内で前進チップを摺動前進させて当該射出スリーブの溶湯充填部内の溶湯を前記 金型のキャビティ内に射出充填する。

【０００９】

【実施例】

以下この考案の一実施例を図１により説明する。

【００１０】 保持炉１の内部には黒鉛ルツボ製の溶湯収納部２と、当該溶湯収納部２内の金 属材料を溶解し溶湯を加熱保温する加熱保温用ヒータ３とが設けられている。ま た、この保持炉１の上部開口部は蓋部材４により開閉可能に蓋被されて密閉され 、炉内は気密状態になるようにしてある。

【００１１】 この保持炉１内の溶湯収納部２には注湯管５の一端部が挿入され、この注湯管 ５の他端部は射出スリーブ６の溶湯充填部７に連通して接続されている。

【００１２】 射出スリーブ６内には前進チップ８と後退チップ９が図示しない移動装置によ りそれぞれ摺動可能に嵌入され、これらの前進チップ８と後退チップ９との間が 溶湯充填部７とされている。

【００１３】 この射出スリーブ６には金型１０のキャビティ１１内に臨ませて供給口部１２ が設けられ、後退チップ９は前進チップ８より供給口部１２側に配置されている 。

【００１４】 前進チップ８は保持炉１と射出スリーブ６を接続する注湯管５の接続開口部１ ３を射出スリーブ６の溶湯充填部７内への溶湯充填時に開き、金型１０のキャビ ティ１１内への射出時に閉じる弁体であり、図面では注湯管５の接続開口部１３ を開いた状態を示している。

【００１５】 後退チップ９は射出スリーブ６から金型１０のキャビティ１１への供給口部１ ２を射出スリーブ６の溶湯充填部７内への溶湯充填時に閉じ、金型１０のキャビ ティ１１内への射出時に開く弁体であり、図面では供給口部１２を閉じいてる状 態を示している。

【００１６】 前記保持炉１の蓋部材４には接続配管１４を介して第１圧力制御装置１５が接 続されており、保持炉１の内部圧力を増減可能となっている。

【００１７】 射出スリーブ６には接続配管１６により真空バルブ１７を介して第２圧力制御 装置１８が接続されており、射出スリーブ６の溶湯充填部７内の圧力を増減可能 となっている。

【００１８】 また、金型１０のキャビティ１１内には接続配管１９により真空バルブ２０を 介して第３圧力制御装置２１が接続されており、当該キャビティ１１内の圧力を 増減可能となっている。

【００１９】 次に、以上のように構成された溶湯装置は次の手順で作動させる。 第１圧力制御装置１５により接続配管１４を介し真空吸引して保持炉１内を減 圧した状態で加熱保温用ヒータ３により溶湯収納部２内の金属材料を溶解し加熱 保持する。これによって溶湯Ｍ中の水素ガス等は発散し、非金属介在物もガス化 して発散する。 保持炉１内を減圧状態に保持したまま、第２圧力制御装置１８により接続配管 １６及び真空バルブ１７を介し真空吸引して射出スリーブ６の溶湯充填部７内を 保持炉１内の圧力よりも低い圧力まで減圧する。これによって保持炉１の溶湯収 納部２内の溶湯Ｍが注湯管５を経て射出スリーブ６の溶湯充填部７内に静かに導 入充填される。その充填完了直前に真空バルブ１７を閉じて接続配管１６に溶湯 Ｍが入らないようにする。 第３圧力制御装置２１により接続配管１９及び真空バルブ２０を介し真空吸引 して金型１０のキャビティ１１内を減圧した後、真空バルブ２０を閉じる。 射出スリーブ６の溶湯充填部７を容積を変えることなく、つまり前進チップ８ と後退チップ９を同一速度で同一距離だけ供給口部１２側に移動させて射出位置 に配置する。これによって後退チップ９で閉じられていた供給口部１２が開いて 金型１０のキャビティ１１内に射出スリーブ６の溶湯充填部７内が連通すると共 に、今まで開いていた注湯管５の接続開口部１３は前進チップ８で閉じられて保 持炉１側との連通が遮断される。 射出スリーブ６内を後退チップ９に対して前進チップ８を摺動前進させて当該 射出スリーブ６の溶湯充填部７を圧縮する。これによって射出スリーブ６の溶湯 充填部７内の溶湯Ｍは供給口部１２を経て金型１０のキャビティ１１内に射出充 填される。 以上の手順で成形した後、型開き、成形品の取出し、型締めが行われる。そし て、前進チップ７と後退チップ９を元の位置に戻した後、真空バルブ１７、２０ を開いて前記の成形手順を繰り返す。

【００２０】 ダイカスト鋳物の変更に伴って射出量が変わる場合、前進チップ８と後退チッ プ９の間隔を調節することにより対応する。

【００２１】 尚、この実施例では、後退チップ９と供給口部１３からなる弁機構を金型１０ と射出スリーブ６との間に介在させ、金型１０側に第３圧力制御装置２１、射出 スリーブ６側に第２圧力制御装置１８を別々に設けた例について説明したが、前 記のような弁機構を設けず金型１０のキャビティ１１内と射出スリーブ６の溶湯 充填部７内を連通させて金型１０側の第３圧力制御装置２１を射出スリーブ６側 の第２圧力制御装置１８で兼ねても良い。また、前進チップ８と注湯管５の接続 開口部１３からなる弁機構を保持炉１と射出スリーブ６との間に介在させた例に ついて説明したが、弁機構は注湯管５の中間部に設けても良いことは言うまでも ない。

【００２２】

【考案の効果】

以上の通りこの考案は、内部に溶湯収納部と加熱保温用ヒータを有する保持炉 を密閉構造とし、第１圧力制御装置により保持炉内を減圧できるから、その減圧 状態において溶湯収納部内の溶湯を溶解保持すれば溶湯中のガスを発散させ、か つ非金属介在物をガス化して発散させることができる。しかも、第２圧力制御装 置により射出スリーブの溶湯充填部内を保持炉内の圧力よりも低い圧力まで減圧 すればその差圧で前記のように脱ガスさせた保持炉内の溶湯を射出スリーブの溶 湯充填部内に導入充填できる。このため、射出スリーブの溶湯充填部内から金型 のキャビティ内に溶湯を射出する前に、第３圧力制御装置により金型のキャビテ ィ内からガスを排出し減圧しておけば、金型のキャビティ内に溶湯をスムーズに ガスの巻き込みもなく射出充填できる。従って、ダイカスト鋳物中にブローホー ル、ピンホール等の欠陥を生じることなく高品質の製品を得ることが可能になる と共に、成形手順は容易かつスムーズであり、排気と減圧が同時に行われる点で 成形能率の向上が図れる。

【図面の簡単な説明】

【図１】この考案の一実施例を示す概要図である。

【符号の説明】

１ 保持炉 ２ 溶湯収納部 ３ 加熱保温用ヒータ ５ 注湯管 ６ 射出スリーブ ７ 溶湯充填部 ８ 前進チップ １０ 金型 １１ キャビティ １５ 第１圧力制御装置 １８ 第２圧力制御装置 Ｍ 溶湯

Claims (2)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 内部に溶湯収納部を有する密閉された保
   持炉と、この保持炉内の溶湯収納部に一端部が挿入され
   た注湯管と、この注湯管の他端部が溶湯充填部に連通し
   て接続され、当該溶湯充填部に供給された溶湯を前進チ
   ップにより金型のキャビティ内に射出可能な射出スリー
   ブと、前記保持炉に接続されて内部圧力を増減可能な第
   １圧力制御装置と、射出スリーブに接続されて当該射出
   スリーブの溶湯充填部の圧力を増減可能な第２圧力制御
   装置とを備えたことを特徴とする真空ダイカストの給湯
   装置。
2. 【請求項２】 請求項１の真空ダイカストの給湯装置に
   おいて、射出スリーブ内の前進チップより金型キャビテ
   ィへの供給孔側に後退チップを摺動可能に嵌入し、この
   後退チップと前記前進チップとの間を射出スリーブの溶
   湯充填部とすると共に、前進チップは注湯管の接続端開
   口部を射出スリーブの溶湯充填部内への溶湯充填時に開
   き、金型のキャビティ内への射出時に閉じる弁体に形成
   され、後退チップは金型のキャビティに対する射出スリ
   ーブの供給口部を射出スリーブの溶湯充填部内への溶湯
   充填時に閉じ、金型のキャビティ内への射出時に開く弁
   体に形成されていることを特徴とする真空ダイカストの
   給湯装置。