JPH0528438Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本考案は、蓄冷器式低温機器に係り、特に蓄冷
器の改良に関する。

［従来の技術］ 第６図は従来の蓄冷器式低温機器の例であるギ
フオード・マクマホン式蓄冷器式冷凍機の概略断
面図示である。図中１は冷却媒体例えば高圧ヘリ
ウムガスを供給する圧縮機、２は冷却媒体例えば
高圧ヘリウムガス配管、３は冷却媒体例えば低圧
ヘリウムガス配管、４，５は上記配管２，３との
コネクタ、６はモータハウジング、７はモータ、
８はモータ軸、９は冷却媒体制例えばヘリウムガ
スを制御するロータリ式制御バルブ、１０は上記
モータハウジング６の支持台、１１はヘリウムガ
スの流れを上記制御バルブ９と組み合せて制御す
る制御体、１２，１３は冷却媒体例えばヘリウム
ガスの通路、１４はシール、１５は後述するデイ
スプレーサ１８，２７の往復動を制御するサブピ
ストン，１６はシール、１７は冷却媒体例えばヘ
リウムガスの通路、１８は第一段デイスプレー
サ、１９は第一段蓄冷器で通常銅製の金網を重ね
たもの等が使用される。２０は第一段シリンダ、
２１は冷却媒体例えばヘリウムの通路、２２は第
一段寒冷発生空間、２３は被冷却物を取り付ける
第一段ヒートステーシヨン、２４はシール、２５
は第二段シリンダ、２６は第二段蓄冷器で、通
常、直径１mm以下の鉛球等が充填されている。２
７は第二段デイスプレーサ、２８はヘリウムガス
の通路、２９は被冷却物を取り付ける第二段ヒー
トステーシヨン、３０は第二段寒冷発生空間、３
１はサブピストン１５を駆動するためのヘリウム
ガス空間である。

以上のような構成のものにおいて、圧縮機１で
高圧にされた常温のヘリウムガスは、高圧ヘリウ
ムガス配管２、コネクタ４を通つてモータハウジ
ング６内部に入る。さらにモータ７の回転に伴
い、制御バルプ９と制御体１１によつて高圧ヘリ
ウムガスの通路１２，１３及びデイスプレーサ１
８，２７の動きが制御される。高圧ヘリウムガス
は通路１３，１７を通り蓄冷器１９で冷却され、
通路２１を通つて、一部は第一段寒冷発生空間２
２に貯えられる。残りのヘリウムガスは第二段蓄
冷器２６を通つてさらに冷却され通路２８を通つ
て第二段寒冷発生空間３０に貯えられる。

第６図はデイスプレーサ１８，２７が最上部に
位置する場合で、第一段寒冷発生空間２２と第二
段寒冷発生空間３０には高圧で極低温のヘリウム
ガスが貯えられた状態である。ここでモータ７の
回転により制御バルブ９が回転し、寒冷発生空間
２２，３０は圧縮機１の低圧ヘリウムガス配管３
と連なる。その結果、寒冷発生空間２２，３０の
ヘリウムガスは断熱膨張を行ない、さらに低温と
なり、寒冷を発生する。その後、寒冷発生空間２
２，３０にある低温ヘリウムガスの寒冷を蓄冷器
１９，２６で回収するためにデイスプレーサ１
８，２７はサブピストン１５の働きにより下降す
る。さらに高圧のヘリウムガスを寒冷発生空間２
２，３０に導入するためにデイスプレーサ１８，
２７は上昇し、第６図の状態に戻る。このサイク
ルを繰り返すことにより、冷凍機は間欠的に低温
に発生できる。

第７図は第６図の第一段蓄冷器１９に使用され
ている金網状蓄冷材の概略平面図、第８図は第７
図の−線に沿つて切断し矢印方向に見た断面
図であり、銅線材を用いて金網とし、この金網を
多数重ねたものである。

［考案が解決しようとする問題点］ 上記のように従来使用されている銅製金網から
なる蓄冷材は低温になると比熱（熱容量）が小さ
くなり、蓄冷器１９の性能が低下する。また低温
で熱容量の大きい鉛等は強度が弱いため、金網の
形状で蓄冷材として使用できない欠点があつた。
従つて、銅製金網を蓄冷材として使用した場合、
蓄冷器１９の性能低下のため蓄冷器１９の容積・
重量が大きくなり、コストも高くなる。その結
果、蓄冷器式冷凍機の性能低下、容積、重量の増
大、コスト高の欠点があつた。

そこで、本考案は蓄冷器の性能が向上し、線材
を金網加工するのが容易な、蓄冷器式低温機器を
提供することを目的とする。

［問題点を解決するための手段］ 本考案は上記問題点を解決するため、蓄冷材の
金網を構成する線材として、加工が容易であり、
かつ極低温でも比較的比熱の大きい第１の金属材
料を芯材とし、この第１の金属材料を芯材を、極
低温において上記第１の金属材料に比べて比熱が
大きな第２の金属材料で被覆した線材で形成した
金網を多数重ねて構成したものである。

［作用］ 線材の中心部に使用した同等の第１の金属材料
により、線材を金網に加工するのが容易となる。
また、周辺部に使用した鉛等の第２の金属材料に
より、低温での比熱（熱容量）が増大し、蓄冷器
の性能が向上する。

［実施例］ 第１図，第２図，第３図は本考案の一実施例を
説明するための図であり、第１図は第６図の蓄冷
器１９内に多数重ね合わせて詰め込む金網状の蓄
冷材の平面図、第２図は第１図の拡大図、第３図
は第１図の−線に沿つて切断した矢印方向に
見た断面図である。

第１図〜第３図において、４０は強度が大きく
加工が容易であり、かつ低温でも比較的比熱が大
きい銅の材料を使用した線材の中心部、４１はこ
の中心部４０の周辺部に銅よりもさらに低温で比
熱の大きい鉛の材料を施工した線材の周辺部であ
る。第４図に銅の温度と比熱の関係を示す図、第
５図は鉛の温度と比熱の関係を示す図である。

このような構成のものにおいて、中心部４０が
強度的に強く、加工が容易なため、線材を金網
状、その他蓄冷材に要求される形状に加工するこ
とが可能となる。また、周辺部４１に施工された
鉛等のため低温においても蓄冷材の熱容量の低下
が少なくでき、これにより蓄冷器の性能が向上す
る。

［考案の効果］ 以上述べた本考案によれば、蓄冷材の金網を構
成する線材として、加工が容易であり、かつ極低
温でも比較的比熱の大きい第１の金属材料を芯材
とし、この第１の金属材料を芯材を、極低温にお
いて上記第１の金属材料に比べて比熱が大きな第
２の金属材料で被覆した線材で形成した金網を多
数重ねて構成したので、線材の中心部に使用した
第１の金属材料により線材を金網に加工するのが
容易で、また周辺部に使用した第２の金属材料に
より低温での比熱が増大し、蓄冷器の性能が向上
する蓄冷器式低温機器を提供できる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案による一実施例の要部すなわち
蓄冷材の平面図、第２図は第１図の拡大図、第３
図は第２図の−線に沿つて切断し矢印方向に
見た断面図、第４図および第５図はそれぞれ銅お
よび鉛の温度と比熱の関係を示す図、第６図は従
来の蓄冷器式低温機器の一例を示す概略断面図、
第７図は第６図の蓄冷材を示す平面図、第８図の
−線に沿つて切断し矢印方向に見た断面図で
ある。 １……圧縮機、６……モータハウジング、７…
…モータ、８……モータ軸、９……制御バルブ、
１０……支持台、１１……制御体、１５……サブ
ピストン、１８……第一段デイスプレーサ、１９
……第一段蓄冷器、２０……第一段シリンダ、２
５……第二段シリンダ、２６……第二段蓄冷器、
２７……第二段デイスプレーサ、４０……線材の
中心部、４１……線材の周辺部。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 高圧のヘリウムガス等を冷却媒体として使用す
   る蓄冷器式低温機器において、デイスプレーサ内
   に充填する蓄冷材を、加工が容易であり、かつ極
   低温でも比較的比熱の大きい第１の金属材料を芯
   材とし、この第１の金属材料を芯材を、極低温に
   おいて上記第１の金属材料に比べて比熱が大きな
   第２の金属材料で被覆した線材で形成した金網を
   多数重ねて構成したことを特徴とする蓄冷器式低
   温機器。