JPH05276704A - 回転電機 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【構成】 省スペースで電動機の高効率化をもたらし
且つスロット内に磁性楔を使用しない為に、従来の巻線
工程を使用できると共に巻線の耐電圧特性も確保でき、
磁性楔の特性改善と同等の効果を発揮させる回転電機を
提供する。 【効果】 回転電機の固定子鉄心のスロット開口部付
近の固定子鉄心寸法と略同一長さで、膜厚が数μｍ〜数
10μｍ程度のアモルファス薄帯を接着することにより、
特性改善できる回転電機を提供できる。従って、スロッ
ト内に磁性楔を使用しない為に巻線関係を従来と同一構
成にすることができ、従来の巻線機，楔の自動挿入機を
使うことができる。そして、磁性楔挿入によるスロット
内のコイル量を減少させることなく、回転電機の特性改
善効果を発揮できる。又、コイルの耐電圧特性、絶縁性
を確保できる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明は、アモルファス薄帯を
固定子鉄心または回転子鉄心の空隙付近に配設してなる
回転電機に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】電動機の効率，力率の改善あるいは電磁
振動音の低減などの目的から、磁性楔を固定子鉄心のス
ロット開口部に挿入する事が一般的に行なわれている。
この磁性楔を挿入することによって、固定子鉄心のスロ
ット開口部と鉄心歯部間の磁気的不平衡が是正され、固
定子鉄心と回転子鉄心間の空隙の磁束歪がなくなり、電
動機の諸特性が改善される。従来の初期磁性楔は鉄粉を
圧縮成形した材料からなるため比較的大きな厚みをもつ
形態をなしていた。電動機特性は、スロット内に収納さ
れるコイル量に比例して改善されるのが通例である。

【０００３】従って、従来厚の大きい磁性楔ではスロッ
トの有効断面積が損なわれ、結果的には磁性楔の挿入に
よる特性改善効果が低い。更に楔の強度が低いため、ス
ロットへの挿入工程或いは組込まれた状態で外的ショッ
クにより破損され易い欠点があった。そこで、その様な
欠点を除去することを目的として、実開昭５９−１８５
４８号に開示された薄形磁性楔が提供された。これは絶
縁性薄葉材にフェライトなどの磁性粉体をコーティング
して一体化させ磁性楔を形成している。

【０００４】しかし、この従来の薄形磁性楔は、薄葉材
にフェライトなどの磁性粉体をコーティングして一体化
するには大掛かりで自動化された高価な設備を必要とす
る。更に、あまり厚く磁性粉体をコーティングするとそ
の磁性層がスロットの挿入工程で剥離するといった問題
があった。更にコーティング面がスロット内のコイル側
となるためコイルの耐電圧特性が低下する。更には、コ
イル磁性層により傷が付けられ易い等の欠点があった。
更に、磁性粉体がコーティングされているので楔をスロ
ットに挿入する際、挿入抵抗が増大し通常の自動化した
装置が使えなくなる欠点があった。

【０００５】一方、特開昭５８−１９１３８号，特開昭
５８−２２５５４号，特開昭５９−１７５３５０号にア
モルファス合金を用いた磁性楔が紹介されている。これ
らに開示された磁性楔はアモルファスシートを縦断面略
台形状になるように積層し、その積層シート間を接着剤
によって接着する或いは積層シート間に磁性粉末混入の
合成樹脂層を介在させてそれらの間を一体化させる構成
になっている。更には、非晶質磁性繊維を有機結合剤に
よって所定形状に成形してなる磁性楔も紹介されてい
る。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、これら
に紹介の積層形磁性楔は幅寸法の異なる多数種のアモル
ファスシートを必要とすると共に多数の積層間を接着す
る必要がある。このため、製造に多くの工程を要すると
共に、磁性楔に要求される強度を接着強度によって確保
することが困難である。更に、多数の積層間への接着剤
または合成樹脂層の介在、或いは磁性繊維の有機結合剤
による一体成形は楔の体積増加を招き電動機特性の悪化
および大型化を招く問題がある。

【０００７】更に、楔をスロットへ挿入することが困難
であり、たとえ挿入できたとしても剥離，割れ，欠けな
どが生じ易く品質上問題であった。又、スロット内に磁
性材が入るために絶縁性も低下するという問題がある。

【０００８】本発明は、かかる欠点を解決することを目
的としており、省スペースで電動機の高効率化をもたら
し且つスロット内に磁性楔を使用しない為に、従来の巻
線工程をそのまま用いることができると共に巻線の耐電
圧特性も確保でき、磁性楔の特性改善と同等の効果を発
揮させようとした回転電機を提供するものである。

【０００９】

【課題を解決するための手段】本発明によれば、第１に
固定子鉄心のスロット開口部付近に、アモルファス薄帯
を接着してなる改良された回転電機を提供できる。第２
に、非磁性薄葉材またはガイドに接着したアモルファス
の薄帯を固定子鉄心のスロット開口部付近に配設してな
る改良された回転電機を提供できる。第３に、固定子鉄
心のスロットの開口部付近に、アモルファス薄帯を配設
し、磁性材を含んだ接着剤により接着してなる改良され
た回転電機を提供できる。

【００１０】第４に、非磁性薄葉材またはガイドに接着
したアモルファスの薄帯を固定子鉄心のスロット開口部
付近に配設し、磁性剤を含んだ接着剤により接着してな
る改良された回転電機を提供できる。第５に、固定子鉄
心の内周面全体にアモルファスの薄帯を接着してなる改
良された回転電機を提供できる。第６に、回転子鉄心の
スロットのチップ部または開口部付近に、アモルファス
薄帯を接着してなる改良された回転電機を提供できる。
第７に、回転子鉄心の外周面全体にアモルファス薄帯を
接着してなる改良された回転電機を提供できる。

【００１１】

【作用】本発明では、回転電機の固定子鉄心のスロット
開口部付近の固定子鉄心寸法と略同一長さで、膜厚が数
μｍ〜数10μｍ程度のアモルファス薄帯を接着すること
により、特性改善できる回転電機を提供できる。

【００１２】したがって、磁性楔を用いていないので巻
線関係を従来と同一構成にすることができ、従来の巻線
機，楔の自動挿入機を使うことができる。そして、磁性
楔を挿入することによるスロット内のコイル量を減少さ
せることなく、回転電機の特性改善効果を発揮できる。
又、スロット内に磁性楔を挿入しないので、コイルの耐
電圧特性、絶縁性を確保できる。

【００１３】

【実施例】以下本発明の第１実施例につき、図１を参照
して説明する。

【００１４】図１において、固定子鉄心１のスロット２
内には収納されたコイル３が開口部２ａから脱出を防止
するために楔４が挿入されている。ここで、楔４はスロ
ット用楔の材料として回転電機に従来から普通に用いら
れているポリエステルフィルム或いは芳香族アラミッド
紙等の非磁性楔である。これらの構造は一般の回転電機
の構成と同一である。

【００１５】固定子鉄心１の空隙内周面にはスロット２
の開口部２ａを塞ぐように、膜厚が数μｍ〜数10μｍ程
度のアモルファス薄帯またはシート，テープ５（以下は
いずれをも意味するものとして薄帯という）が配置され
ている。この実施例のアモルファス薄帯は、Ｃｏ８８
％，Ｆｅ６％，Ｎｉ４％，Ｎｂ２％からなる第１の物質
７５％と、Ｓｉ４０％，Ｂ６０％からなる第２の物質２
５％からなる合金を用いている。そしてこのアモルファ
ス薄帯の長さは固定子鉄心寸法と略同一に設定されてい
る。

【００１６】この発明は、以上のように構成したので、
磁性楔としてスロット内に挿入することもなく巻線関係
は従来と同一構成であり、従来の楔の自動挿入機及び巻
線装置を用いることができ、スロット内の収納するコイ
ル量も従来のものと同量にすることができる。更に、ス
ロット内に楔として磁性材を挿入していないため、磁性
材の剥離，割れ，欠けもなくなり、耐電圧特性，絶縁強
度も確保できる。

【００１７】更に、アモルファス薄帯の膜厚が数μｍ〜
数十μｍ程度であるので、空隙の不均衡による特性悪化
も無視することができ、回転子とのギャップ当たりの危
険性もない。そして、スロット開口部付近にモルファス
を配設しているので、更に磁性楔と同様の効果を発揮さ
せることができる。

【００１８】また、夫々の回転電機に最適な磁性材と膜
厚を得ることができる。また、一般に製作した磁性材に
対して追加処理としてアモルファス薄帯を配設する事に
より簡単に同様の効果が得られる。

【００１９】この発明のアモルファス薄帯を付加した場
合と従来の非磁性楔（アモルファス薄帯なし）だけの場
合の特性比較を４極２．２ｋＷ電動機で実験し、その結
果を表１に示した。この事例によれば、効率が８１．０
％から８２．５％と１．５％向上していることが分か
る。又、損失も約５０Ｗ減少しており、これは固定子鉄
心と回転子鉄心間の空隙部分の高調波損失の減少による
ものである。

【００２０】

【表１】

【００２１】又、アモルファス薄帯を配設させるスロッ
ト開口部分にサーチコイルを巻回してスロット開口部分
に鎖交する磁束の周波数特性を調査した結果は図３３及
び図３４に示すようになり、本発明のアモルファス薄帯
有りの方が各周波数帯、特に１ｋＨｚ以下の周波数帯で
アモルファス薄帯有りでの鎖交磁束が顕著であり、これ
は空隙部分の高調波損失の減少を意味する。本発明で使
用するアモルファス薄帯の組成は鉄系，コバルト系，ニ
ッケル系等のあらゆるアモルファス薄帯を含む。 （第２実施例）

【００２２】第２実施例について図２を参照しながら説
明する。この実施例のアモルファス薄帯５は、アモルフ
ァス薄帯５の一方に接着層６を設け、この接着層を介し
て固定子鉄心１に接着している。ここで、接着剤として
は、エポキシ系，ウレタン系などあらゆる接着剤が考え
られる。この実施例によれば、接着層６を設けることに
より接着強度を増加させることができる。また、最初か
らアモルファス薄帯に接着層を設けた構造にすることも
可能である。 （第３実施例）

【００２３】第３実施例について図３を参照しながら説
明する。この実施例のアモルファス薄帯５は、接着剤の
塗布されたテープ７によりアモルファス薄帯５を固定子
鉄心１に接着している。この実施例によれば、テープ７
を設けることによりスロット内にゴミや不純物が入るの
を防止すると共に、アモルファス薄帯５の保護も兼ねて
いる。 （第４実施例）

【００２４】第４実施例について図４を参照しながら説
明する。この実施例のアモルファス薄帯５は、固定子鉄
心の内周面全体をコーティング８により、アモルファフ
ス薄帯５を固定子鉄心１に接着している。この実施例に
よれば、固定子鉄心の内周全体をコーティング８にて覆
っているのでスロット内にゴミや不純物が入るのを防止
すると共に、アモルファス薄帯５の保護も兼ねている。 （第５実施例）

【００２５】第５実施例について図５を参照しながら説
明する。この実施例においては、固定子鉄心１のスロッ
ト開口部２ａ付近にアモルファス薄帯５の幅より長く、
深さはアモルファス薄帯の膜厚以上の凹部２ｂを設け、
この凹部２ｂにアモルファス薄帯５を接着している。こ
の実施例によれば、固定子鉄心の内周面へのアモルファ
ス薄帯の飛び出しがなくなり、回転子挿入が容易にな
る。更に、運転中のギャップ当たりの危険性もより小さ
くなる。 （第６実施例）

【００２６】第６実施例について図６を参照しながら説
明する。この実施例においては、第５実施例における固
定子鉄心１のスロット開口部２ａ付近にアモルファス薄
帯５の幅より長く、深さはアモルファス薄帯の膜厚以上
の凹部２ｂを設け、この凹部２ｂにアモルファス薄帯５
を収納し、接着材の塗布したテープ７により接着してい
る。

【００２７】この実施例によれば、固定子鉄心の内周面
へのアモルファス薄帯の飛び出しがなくなり、回転子挿
入が容易になる。更に、運転中のギャップ当たりの危険
性もより小さくなると共に、テープ７によりスロット内
にゴミや不純物が入るのを防止すると共に、アモルファ
ス薄帯５の保護も兼ねている。 （第７実施例）

【００２８】第７実施例について図７を参照しながら説
明する。この実施例においては、固定子鉄心１のスロッ
ト開口部２ａのスロット側に入った付近にスリット部２
ｃを設けアモルファス薄帯を収納している。この実施例
によれば、固定子鉄心の内周面へのアモルファス薄帯の
飛び出しがなくなり回転子挿入が容易になる。更に、運
転中のギャップ当たりの危険性もより小さくなる。更
に、アモルファス薄帯５の位置決めが簡単になる。 （第８実施例）

【００２９】第８実施例について図８を参照しながら説
明する。この実施例においては、固定子鉄心１のスロッ
ト２内の楔４付近にアモルファス薄帯５を収納し、接着
剤８をスロット開口部２ａに充填し接着している。この
実施例によれば、接着剤８を充填するため、固定子鉄心
の内周へのアモルファス薄帯の飛び出しがなくなり回転
子挿入が容易になる。更に、運転中のギャップ当たりの
危険性もより小さくなる。

【００３０】ここで、接着剤８としては、パテ状，ゼリ
ー状，固形のものがある。また、接着剤８を固定子鉄心
の全長において付けるのではなく、部分的に付けること
により、少量の接着剤８で接着することもできる。更
に、この接着剤に鉄粉やフェライトなどの磁性粉を混ぜ
ることにより、特性の一層の改善を図ることができるの
でアモルファス薄帯５の位置決めが簡単になる。 （第９実施例）

【００３１】第９実施例について図９を参照しながら説
明する。この実施例においては第９実施例と同様で、ア
モルファス薄帯５を湾曲させ固定子鉄心１のスロット１
内の楔４付近に収納し、接着剤８をスロット開口部２ａ
に充填し接着している。

【００３２】この実施例によれば、第８実施例の効果と
共に、アモルファス薄帯５の固定子鉄心１への接触面積
を増加させることが可能となるため、特性の一層の改善
を図ることができる。 （第１０実施例）

【００３３】第１０実施例について図１０，図１１を参
照しながら説明する。この実施例においては、図１０に
示すようポリエステルフィルムや芳香族アラミッド紙な
どの薄葉材９の表面にアモルファス薄帯５を接着し、こ
れを固定子鉄心１のスロット開口部２ａに接着してい
る。

【００３４】この実施例によれば、通常アモルファス薄
帯は薄くて扱いにくいが、薄葉材９にアモルファス薄帯
５を接着することにより、スロット開口部２ａへの接着
も簡単になる。アモルファス薄帯５の固定子鉄心１への
接触面積を増加させることが可能となるため、特性の一
層の改善を図ることができる。 （第１１実施例）

【００３５】第１１実施例について図１２，図１３を参
照しながら説明する。この実施例においては、第１０実
施例と同様に図１２に示されるポリエステルフィルムや
芳香族アラミッド紙などの薄葉材９の表面にアモルファ
ス薄帯５を接着し、これを固定子鉄心１のスロット開口
部２ａに接着している。但し、固定子鉄心１のスロット
開口部２ａ付近で空隙側に対して寸法が大きくなる段付
部２ｄを設け、アモルファス薄帯５を接着した薄葉材９
の端部がこの段付部２ｄに当たるように接着されてい
る。

【００３６】この実施例によれば、第１０実施例の効果
が得られると共に、アモルファス薄帯５を接着した薄葉
材９がスロット開口部２ａから飛び出すのを段付き部２
ｄにより防止している。 （第１２実施例）

【００３７】第１２実施例について図１４，図１５を参
照しながら説明する。この実施例においては、図１４に
示される成形されたガイド片１０の表面にアモルファス
薄帯５を接着し、これを固定子鉄心１のスロット開口部
２ａに接着している。

【００３８】この実施例によれば、通常アモルファス薄
帯は薄くて扱いにくいが、ガイド片１０にアモルファス
薄帯５を接着することにより、スロット開口部２ａへの
接着も簡単になる。アモルファス薄帯５の固定子鉄心１
への接触面積を増加させることが可能となるため、特性
の一層の改善を図ることができる。

【００３９】ここで、ガイド片１０にアモルファス薄帯
２を接着する場合、図１４に示す部分だけでなく、図１
６や図１７に示すようにガイド片１０のあらゆる面に接
着しても良い。 （第１３実施例）

【００４０】第１３実施例について図１８，図１９を参
照しながら説明する。この実施例においては、図１８に
示されるチューブ状のガイド１１表面にアモルファス薄
帯５を接着し、これを固定子鉄心１のスロット開口部２
ａに接着している。

【００４１】この実施例によれば、通常アモルファス薄
帯は薄くて扱いにくいが、ガイド１１にアモルファス薄
帯５の固定子鉄心１への接触面積を増加させることが可
能となるため、特性の一層の改善を図ることができる。

【００４２】更に、ガイド１１にゴム製チューブなどの
弾力性のある材料を用いることにより、スロット開口部
２ａへの固定強度も上がり、接触面積も増加させること
が可能となるため特性の一層の改善を図ることができ
る。また、ガイド１１としてチューブ状のものを用いて
説明しているが、棒状のものを用いても良い。 （第１４実施例）

【００４３】第１４実施例について図２０，図２１を参
照しながら説明する。この実施例においては、図２０に
示されるポリエステルフィルムや芳香族アラミッド紙な
どの薄葉材１２の表面にアモルファス薄帯５を接着し、
これを固定子鉄心１のスロット内の楔４上部へ挿着して
いる。この実施例によれば、通常アモルファス薄帯は薄
くて扱いにくいが、薄葉材１２にアモルファス薄帯５の
接着により、スロット２内への装着も簡単になる。 （第１５実施例）

【００４４】第１５実施例について図２２，図２３を参
照しながら説明する。この実施例においては、図２２に
示される長さが固定子鉄心長Ｌより長く（Ｌ＋２
ｄ₁ ）、固定子鉄心長と同一長さＬで、固定子鉄心１の
歯部１４の幅寸法と略同一で、両端に幅ｄ₁ づつの余裕
を持たせて中央部に切欠き１３ａを設けたポリエステル
フィルムや芳香族アラミッド紙などの薄葉材１３の表面
に、固定子鉄心長と同一長さＬで、幅がスロット開口幅
と略同一のアモルファス薄帯５を接着し、これを固定子
鉄心１のスロット開口部２ａ付近の楔４の上部へ挿着し
ている。

【００４５】この実施例によれば、通常アモルファス薄
帯は薄くて扱いにくいが、薄葉材１３にアモルファス薄
帯５を接着することにより、スロット開口部２ａへの装
着も簡単になる。更に、薄葉材１３に切欠き１３ａが設
けてあるので、スロット２内の位置決めも容易になる。
ここで、薄葉材１３に設けるアモルファス薄帯５と切欠
き１３ａの個数は、１個以上で固定子鉄心１のスロット
数以下であれば良い。もし、スロット数以下の場合は、
この薄葉材１３を１個でなく複数個用いることとなる。 （第１６実施例）

【００４６】第１６実施例について図２４，図２５を参
照しながら説明する。この実施例においては、第１５実
施例の変形例であり、図２４に示される長さが固定子鉄
心長Ｌより長く（Ｌ＋２ｄ₁ ）、固定子鉄心長と同一長
さＬで、固定子鉄心１の歯部１４の幅寸法と略同一で、
両端に幅ｄ₁ づつの余裕を持たせて中央部に切欠き１ａ
を設け、更にスリット部１３ｂを設けたポリエステルフ
ィルムや芳香族アラミッド紙などの薄葉材１３の表面
に、固定子鉄心長と同一長さＬで、幅がスロット開口部
より広いアモルファス薄帯５を接着してなる。これを固
定子鉄心１のスロット２内の楔４の上部へ装着してい
る。

【００４７】この実施例によれば、第１５実施例と同様
の効果が得られるほか、スロット２内へ装着した場合、
アモルファス薄帯５の幅がスロット開口幅よりも広くな
るため、スロット開口部からの飛び出しを防止する効果
が追加される。 （第１７実施例）

【００４８】第１７実施例について図２６、図２７を参
照しながら説明する。この実施例においては、図２６に
示すよう固定子鉄心１の内周面にアモルファス薄帯５を
接着している。

【００４９】この実施例によれば、アモルファス薄帯５
が固定子鉄心内周面全体に接着されるため、空隙の不均
一もなくなり、特性の一層の改善を図ることができる。
図２７にアモルファス薄帯５を内周面に接着した固定子
鉄心全体の図を示すが、アモルファス薄帯５の固定子鉄
心１への配設方向は、ヘリカル状でも良いし、鉄心積厚
方向に配設しても良い。また、アモルファス薄帯の上に
コーティングを施しても良い。更に、アモルファス薄帯
５をラップ状に配設しても良い。 （第１８実施例）

【００５０】第１８実施例について図２８，図２９を参
照しながら説明する。この実施例においては、図２６に
示すように回転子鉄心１５の外周面にアモルファス薄帯
５を接着している。

【００５１】この実施例によれば、今まで固定子鉄心に
アモルファス薄帯５を配設していたが、回転子にアモル
ファス薄帯５を設設することにより同様の回転電機の特
性改善効果が得られる。ここで、回転子鉄心の外周面全
体に接着されるため、空隙の不均一もなくなり、特性の
一層の改善を図ることができる。図２９にアモルファス
薄帯５を外周面に接着した回転子鉄心全体の図を示す
が、アモルファス薄帯５の回転子鉄心１５への配設方向
は、ヘリカル状でも良いし、鉄心積厚方向に配設しても
良い。又、アモルファス薄帯の上にコーティングを施し
ても良い。更に、アモルファス薄帯５をラップ状に配置
しても良い。 （第１９実施例）

【００５２】第１９実施例について図３０乃至図３２を
参照しながら説明する。この実施例においては、第１８
実施例の変形例であり、図３０に示すように全閉スロッ
ト１６のチップ部１６ａ外周面にアモルファス薄帯５を
接着している。または、図３１に示すように半閉スロッ
ト１６の開口部１６ｂの外周面にアモルファス薄帯５を
接着している。

【００５３】この実施例によれば、今まで固定子鉄心に
アモルファス薄帯５を設置していたが、回転子にアモル
ファス薄帯５を設置することにより同様の回転電機の特
性改善効果が得られると共に、少量のアモルファス薄帯
で特性の改善を図ることができる。図３２にアモルファ
ス薄帯５を外周面に接着した回転子鉄心全体の図を示
す。また、アモルファス薄帯の上にコーティングを施し
ても良い。

【００５４】又、本発明における回転電機の製造方法と
してアモルファス薄帯の接着方法については、接着剤使
用，両面に接着剤の着いているテープ（両面テープ）使
用等に限定されず、モールド，真空パック方式，ワニス
で固着，ＵＶ（紫外線効果）処理，熱硬化等あらゆる方
法により接着するものも本発明に含まれる。

【００５５】

【発明の効果】本発明では、磁性楔としてスロット内に
挿入しないので、巻線関係は従来と同一構成であるので
従来の楔の自動挿入機及び巻線装置を用いることがで
き、スロット内の収納するコイル量も従来のものと同様
にすることができる。更に、スロット内に楔として磁性
材を挿入していないため、磁性材の剥離，割れ，欠けも
なくなり、耐電圧特性，絶縁強度も確保できる。

【００５６】更に、アモルファスの薄帯の膜厚が数μｍ
〜数10μｍ程度であるので、空隙の不均衡による特性悪
化も無視することができ、回転子とのギャップ当りの危
険性もない。そして、スロット開口部付近にアモルファ
スを配設しているので、更に磁性楔と同様の効果を発揮
することができる。

【００５７】また、夫々の回転電機に最適な磁性材と膜
厚を得ることができる。また、一般に製作した回転電機
に対して追加処理としてアモルファス薄帯を配設するこ
とにより簡単に同様の効果が得られる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の第１実施例を示す固定子鉄心の部分断
面図。

【図２】第２実施例の図１相当図。

【図３】第３実施例の図１相当図。

【図４】第４実施例の図１相当図。

【図５】第５実施例の図１相当図。

【図６】第６実施例の図１相当図。

【図７】第７実施例の図１相当図。

【図８】第８実施例の図１相当図。

【図９】第９実施例の図１相当図。

【図１０】第１０実施例に用いるアモルファス薄帯を接
着した薄葉材の斜視図。

【図１１】第１０実施例の図１相当図。

【図１２】第１１実施例に用いるアモルファス薄帯を接
着した薄葉材の斜視図。

【図１３】第１１実施例の図１相当図。

【図１４】第１２実施例に用いるアモルファス薄帯を接
着したガイド片の斜視図。

【図１５】第１２実施例の図１相当図。

【図１６】第１２実施例の変形例に用いる図１４相当
図。

【図１７】第１２実施例の変形例に用いる図１４相当
図。

【図１８】第１３実施例に用いるアモルファス薄帯を接
着したガイド片の斜視図。

【図１９】第１３実施例の図１相当図。

【図２０】第１４実施例に用いるアモルファス薄帯を接
着した薄葉材の斜視図。

【図２１】第１４実施例の図１相当図。

【図２２】第１５実施例に用いるアモルファス薄帯を接
着した薄葉材の斜視図。

【図２３】第１５実施例の図１相当図。

【図２４】第１６実施例に用いるアモルファス薄帯を接
着した薄葉材の斜視図。

【図２５】第１６実施例の図１相当図。

【図２６】第１７実施例の図１相当図。

【図２７】第１７実施例の固定子鉄心の斜視図。

【図２８】第１８実施例を示す回転子鉄心の部分断面
図。

【図２９】第１８実施例の回転子鉄心の斜視図。

【図３０】第１９実施例を示す回転子鉄心の部分断面
図。

【図３１】第１９実施例の変形例を示す回転子鉄心の部
分断面図。

【図３２】第１９実施例の回転子鉄心の斜視図。

【図３３】アモルファス薄帯を用いない場合の鎖交磁束
量を示す測定図。

【図３４】アモルファス薄帯を用いる場合の鎖交磁束量
を示す測定図。

【符号の説明】

１…固定子鉄心、 ２…スロット、 ２ａ…開口
部、 ２ｂ…凹部、２ｃ…スリット部、 ２ｄ…段
付部、 ３…コイル、 ４…楔、５…アモルファス
薄帯、 ６…接着層、 ７…テープ、８…コーティ
ング、 ９…薄葉材、 １０…ガイド片、１１…ガ
イド、 １２…薄葉材、 １３ａ…切欠き、１３ｂ
…スリット部、 １４…歯部、 １５…回転子鉄
心、１６…スロット、 １６ａ…チップ部、 １６
ｂ…開口部。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 沢 孝雄 神奈川県横浜市磯子区新杉田町８番地 株 式会社東芝横浜事業所内 (72)発明者 小澤 繁雄 三重県三重郡朝日町大字繩生2121番地 株 式会社東芝三重工場内 (72)発明者 渡邊 隆治 三重県三重郡朝日町大字繩生2121番地 株 式会社東芝三重工場内

Claims (7)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 回転電機の固定子鉄心のスロット開口部
   付近にアモルファス薄帯を配設したことを特徴とする回
   転電機。
2. 【請求項２】 非磁性薄葉材またはガイドに接着したア
   モルファス薄帯を、固定子鉄心のスロット開口部付近に
   配設したことを特徴とする回転電機。
3. 【請求項３】 配設するアモルファス薄帯を、磁性材を
   含んだ接着剤により固定する請求項１記載の回転電機。
4. 【請求項４】 非磁性薄葉材またはガイドに接着したア
   モルファス薄帯を、磁性材を含んだ接着剤により固定す
   る請求項２記載の回転電機。
5. 【請求項５】 固定子鉄心の内周面全体にアモルファス
   薄帯を配設したことを特徴とする回転電機。
6. 【請求項６】 回転子鉄心のチップ部または開口部付近
   にアモルファス薄帯を配設したことを特徴とする回転電
   機。
7. 【請求項７】 回転子鉄心の外周面全体にアモルファス
   薄帯を配設したことを特徴とする回転電機。