JPH05263604A - タービン翼 - Google Patents

タービン翼

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JPH05263604A
JPH05263604A JP6536492A JP6536492A JPH05263604A JP H05263604 A JPH05263604 A JP H05263604A JP 6536492 A JP6536492 A JP 6536492A JP 6536492 A JP6536492 A JP 6536492A JP H05263604 A JPH05263604 A JP H05263604A
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JP
Japan
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titanium
turbine blade
layer
melt diffusion
alloy
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JP6536492A
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Takumi Shibuya
巧 渋谷
Satoshi Kano
智 狩野
Teruo Shimizu
輝夫 清水
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Mitsubishi Materials Corp
Original Assignee
Mitsubishi Materials Corp
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  • Turbine Rotor Nozzle Sealing (AREA)
  • Solid-Phase Diffusion Into Metallic Material Surfaces (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 エロージョンシルードの部分の強度、耐摩耗
性、耐腐食性をより一層向上させることにより、長大化
が可能となったタービン翼を提供することを目的とす
る。 【構成】 チタンまたはチタン合金からなるタービン翼
の少なくとも翼先端前縁部に溶融拡散硬化層が形成さ
れ、前記溶融拡散硬化層がチタンまたはチタン合金の構
成元素とニッケルを含むことを特徴とするタービン翼。 【効果】 本発明によれば、チタンまたはチタン合金の
タービン翼の少なくとも翼先端前縁部に所定の組成から
なる溶融拡散硬化層を形成したので、タービン翼の少な
くとも翼先端前縁部の強度、耐腐食性、耐摩耗性が向上
している。しかもタービン翼の大部分は軽量で比強度の
高いチタンからなるので軽量で耐食性に富むものであ
る。従って本発明のタービン翼によれば発電効率の改善
等に伴って要求される長大化、軽量化が可能となる効果
がある。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明はタービン翼に関し、特
に翼先端前縁部の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】図7と図8は従来から知られている一般
的なタービン翼6を示すものである。従来、この種のタ
ービン翼6の構成材料としては、12クロム鋼などの耐
食性と強度に優れた材料が用いられている。しかしなが
ら、火力蒸気タービンあるいは原子力蒸気タービンの低
圧部最終段付近などの蒸気は、水分を多量に含有し、タ
ービン翼6の特に翼先端前縁部1には水滴などが高速で
衝突するために、この部分は、特に、強度、耐摩耗性、
耐腐食性が高いことが要求される。このためタービン翼
6の翼先端前縁部1には、一般にエロージョンシールド
3が形成されている。従来、このエロージョンシールド
3は、クロムを約30%、タングステンを約4%、炭素
を約1.5%含有させたコバルト基合金からなる厚さ数
μmのシート状のものを溶接などの接合手段で被覆した
ものが用いられていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】近年、発電効率の改善
等に伴いタービン翼6をより長く大型化することが求め
られており、これに伴いエロージョンシールド3の部分
の強度、耐摩耗性、耐腐食性をより一層向上することが
求められている。また、発電効率の改善などに伴い、蒸
気タービンの低圧側では長大なタービン翼が必要とな
り、前記強度や耐食性などの要求を満足させた上でター
ビン翼を軽量化することも要求されている。
【0004】このような観点から最近に至り、比強度の
高いチタン材のタービン翼への適用が検討されている
が、チタン材を用いてタービン翼を形成する場合も前記
エロージョンシールドが必要となる関係から、チタン材
に好適なエロージョンシールドの開発が必要となってい
る。ところが、従来用いられてきた金属材料からなるエ
ロージョンシールドは、チタン材に接合することが困難
なものが多く、しかも、比重の大きな金属材料からなる
ものが多いので、軽量化したチタンからなるタービン翼
には適用できないものが多かった。また、エロージョン
シールド材の表面にスパッタなどによりTiNやTiC
の皮膜を形成することもなされているが、これらの皮膜
は厚さが数μm程度と薄いので、経時的な耐久性の面で
問題がある。即ち、前記皮膜を用いたエロージョンシー
ルドは、硬度は高いものの薄いものであるので、エロー
ジョンシールドが損耗して皮膜が破れると、ある時点か
ら急激にエロージョンが進行する問題がある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明のタービン翼で
は、チタンまたはチタンを主成分とする合金でタービン
翼を成形し、その少なくとも翼先端前縁部に溶融拡散硬
化層を形成することで前記課題の解決を図った。この溶
融拡散硬化層は、タービン翼の基材の表面に被覆材を被
覆し、基材と被覆材との間に溶融拡散反応を起こして共
晶合金化による硬化、並びに化合物による析出硬化を生
じさせることによって形成したものである。
【0006】請求項1記載のタービン翼は、前記溶融拡
散硬化層がチタンまたはチタン合金の構成元素とニッケ
ルを含むことを特徴とするものである。
【0007】請求項2記載のタービン翼は、前記溶融拡
散硬化層が炭素、窒素、ホウ素、ジルコニウム、銅、タ
ングステン、モリブデン、ニオブの中から選択される少
なくとも1種以上の元素を含有することを特徴とするも
のである。
【0008】請求項3記載のタービン翼は、前記溶融拡
散硬化層がチタンまたはチタン合金の構成元素とニッケ
ルを含み、セラミック粒子が分散されてなることを特徴
とするものである。
【0009】請求項4記載のタービン翼は、前記溶融拡
散硬化層が炭素、窒素、ホウ素、ジルコニウム、銅、タ
ングステン、モリブデン、ニオブの中から選択される少
なくとも1種以上の元素を含有し、セラミック粒子が分
散されていることを特徴とするものである。
【0010】
【作用】本発明で用いる溶融拡散硬化層は、チタンまた
はチタン合金製の基材の構成元素とその上に被覆した被
覆材の構成元素との溶融相互拡散により生成されるたも
のである。基材の構成元素と被覆材の構成元素が共晶温
度近傍に加熱されることで相互溶融拡散され、数mmに
達する厚い溶融拡散硬化層が生成する。基材の構成元素
と被覆材構成元素とが反応することにより金属間化合
物、炭化物、ホウ化物などが生成されてこれらが硬化に
寄与する。
【0011】本発明で用いる溶融拡散硬化層は、硬度、
耐食性共に優れ、しかも十分な厚さを有している。ま
た、本発明の溶融拡散硬化層は、タービン翼に被覆材を
接触させてから溶融拡散させて形成されるが、基材表面
側に被覆材の構成元素が拡散するとともに被覆材側にも
基材構成元素が拡散するので、溶融拡散硬化層および溶
融拡散硬化層と基材との界面部分は硬さの勾配が緩やか
に変化するようになる。よって仮にエロージョンが進ん
だとしても表面硬度が急激に低下しない。
【0012】チタン表面と、チタンと化合物を形成する
元素を含む合金とを接触させる方法には、図3に示す通
り被合金化材物体中にタービン翼を埋設する方法の他、
被覆材を箔としてこれを圧着・接着(スポット溶接等)
により付着させる方法、被合金化材を粉体としてバイン
ダに混入させ、これを塗布する方法、無電解めっきを行
って付着させる方法等がある。また、粉末状の被覆材と
してセラミックス粒子を混入したものを用い、これによ
って溶融拡散硬化層を形成して、さらに強化を図るよう
にしてもよい。
【0013】
【実施例】以下、図面を参照して本発明のタービン翼6
を詳しく説明する。なお前記従来例と同一構成部分に
は、同一符号を付して説明を簡略化する。図1に示す本
実施例のタービン翼6の基材8は、チタンまたはチタン
を主成分とする金属材料を用いて精密鋳造法により製造
されたものである。この基材8は粉末材料を用いた熱間
静水圧法などにより形成することもできるが、ここでは
通常実施されている公知の製造方法を用いることができ
る。なお、基材8を構成するチタン合金として、Ti-
6Al-4V合金、Ti-5Al-3Mn合金、Ti-2A
l-2Mn合金、Ti-5Al-2Cr-1Fe合金、Ti
-8Mn合金、Ti-13V-11Cr-3Al合金などを
用いても良いがこれらに限るものではなく、要求される
特性に応じたものを使用することができる。
【0014】そして、従来、エロージョンシールド3が
溶接されていた翼先端前縁部1には、従来のエロージョ
ンシールド3に代えて溶融拡散硬化層2が形成されてい
る。この溶融拡散硬化層2は、チタンまたはチタン合金
表面にチタンと化合物(金属間化合物、炭化物、窒化
物、ほう化物等)を形成する元素を含む合金を種々の方
法で接触させ、これを例えば真空中で加熱することによ
り、双方の元素を溶融拡散によって反応(合金化・金属
間化合物生成・金属と非金属との化合物生成)させるこ
とにより形成する。
【0015】チタン表面に、チタンと化合物を形成する
元素を含む被覆材を接触させる方法には、図3に示す通
り被合金化材粉末中にタービン翼を埋設する方法の他、
被覆材を箔としてこれを圧着・接着(スポット溶接等)
により付着させる方法、被覆材を粉体としてバインダに
混入させ、これを塗布する方法、無電解めっきを行って
被覆材を付着させる方法等がある。また、前記粉末状の
被覆材としてセラミックス粒子を混入した粉末を用い、
これによって溶融拡散硬化層を形成して、さらに硬度を
高めるようにしてもよい。
【0016】次に、溶融拡散硬化層の具体的な形成方法
について更に詳細に説明する。まず、図3に示すよう
に、基材8に前記被合金化材の粉末を付着させてから溶
融拡散処理を行なう方法を採用することができる。この
場合、図3に示すように被覆材粉末Fを容器Yに収納し
ておき、この被覆材粉末F中に基材8を押し込んで基材
8の翼先端前縁部に粉末を付着させ、この粉末層を加熱
して溶融拡散を行なわせても良い。前記被覆材粉末付着
の際に、被覆材粉末F中にバインダを混合するか基材8
側に予めバインダを塗布しておいて粉末の基材8への付
着力を高めるようにしても良い。
【0017】また、ここで用いる被合金化材の構成材料
は、チタンとの間で共晶合金化するものを主成分とする
ことが好ましく、更に金属間化合物、炭化物、チッ化
物、ホウ化物などの化合物を生成する成分を含むものが
好ましい。
【0018】具体的には、純ニッケル、Ni-7Cr-3B
-4Si-3Fe合金、Ni-15Cr-3B合金、Ni-25Cr
合金、Ni-0.5C-3Si-10Cr-2.5Fe-2B-0.1
Co合金(商品名:コルモノイNo4)、Ni-0.65C-1
2Cr-4.25Fe-4.0Si-2.5B合金(商品名:コル
モノイNo5)、Ni-1.5C-27Cr-8W-1.6Fe-
1.55B-0.5Co合金(商品名:コルモノイNo8
4)、50Ni-32Mo-15Cr-3Si合金、(商品
名:トリバロイ700)、あるいは、JIS規定のNiろ
うである、BNi-2などである。
【0019】あるいは、Ti-48Zr-4Be、Ti-30
V-4Be、Ti-33Cr、Ti-13V-11Cr-3Alな
どのチタンろうを例示することができるが、これらに限
るものではない。また、前記組成の金属にセラミック粒
子を分散させても良い。ここで用いるセラミック粒子と
して、TiC、WC、B4C、C-BN、TiN、Si
34、サイアロン、SiCなどを例示することができる
がこれらに限るものではない。なお、セラミック粒子と
して例えばウイスカを混合しても良い。
【0020】次に、熱処理を行なう。
【0021】熱処理が終了した後、翼先端前縁部1に
は、図1に示すように、溶融拡散硬化層2が形成され
る。このような被合金化材と基材8との間の反応は、温
度が高い程進行が速く、また反応時間が長い程生成され
る溶融拡散硬化層2の厚さが厚くなる。この溶融拡散硬
化層2は数分の1〜数mmと充分に厚く形成することが
できる。しかもこの溶融拡散硬化層の部分は切削可能で
あるので、翼先端前縁部1の切削加工などが可能にな
る。上記のように製造した翼先端前縁部1を所定の形状
に整えるべく、切削加工と研磨を行ったが、その工程で
も翼先端前縁部1は欠けや割れの発生がなく、精度のよ
い加工が可能であった。なお、通常、硬度の高いチタン
合金を用いて精密鋳造法などで形成したタービン翼の基
材を切削加工することは極めて困難な場合が多い。しか
も、エロージョンシールドとしてTiCやTiWの皮膜
をスパッタ法などで形成した場合は、皮膜が硬く薄いの
でこの皮膜部分の加工や研磨は困難である。これに対
し、本願発明の溶融拡散硬化層2を用いれば、この硬化
層自体の硬度は高いものの切削加工や研磨加工が可能に
なる。しかも層の厚さを数mmにできるので、取り代も
大きくなり、切削加工や研磨加工で表面部分の寸法精度
を更に向上させることができるようになる。
【0022】得られたタービン翼6の先端前縁部をを加
圧(圧延)した時の割れ発生率をもって溶融拡散硬化層
とタービン翼母材との密着強度を検討するために圧延加
工試験を行なったところ、圧縮率40%まで溶融拡散硬
化層2にはクラックは発生しなかった。そして圧縮率が
40%を越えた時点で始めて溶融拡散硬化層2およびそ
の界面4からヘアークラックが発生した。
【0023】本実施例のタービン翼6では、チタンを主
成分とする合金のタービン翼6の翼先端前縁部1に溶融
拡散硬化層2を形成したので、タービン翼6の先端前縁
部1は耐腐食性、強度、耐摩耗性に優れたものとなる。
更にタービン翼6はチタンを主成分としているため、従
来のタービン翼6よりも軽量となる。従って本実施例の
タービン翼6によれば、発電効率の改善等に伴い要求さ
れる長大化が可能となり、エロージョンに対しても優れ
たものとなっている。
【0024】また、本実施例のタービン翼6は、基材8
の表面側に被合金化材の構成元素が拡散するとともに溶
融拡散硬化層2側にも基材8の構成元素が拡散するの
で、基材8と溶融拡散硬化層2との界面部分は硬さが緩
やかに変化している。従って本発明のタービン翼6で
は、仮に溶融拡散硬化層2の表面部分が損耗されたとし
ても、硬度と耐食性の低下割合は緩やかであり、急激に
強度や耐腐食性が低下することはなくなる。
【0025】ところで前記実施例において、タービン翼
の基材8に形成する溶融拡散硬化層2の他の形成方法と
して、被覆材として厚さ0.04mm程度の後述する材料
からなる箔7を用意する。次いで図2に示すように、こ
の箔7をTi−6Al−4V合金製の基材8の翼先端前
縁部1を覆うようにスポット溶接し、その後熱処理すれ
ば良い。
【0026】なお、溶融拡散硬化層2にセラミック粒子
を分散させてその硬度を更に向上させることもできる。
セラミック粒子を分散させた溶融拡散硬化層を形成する
には、前記被覆材粉末にTiCやTiWの粒子(通常粒
径数μm程度)を容積比で数十%の割合で添加して混合
粉末を作成し、これを基材8の必要部分に塗布または圧
着すれば良い。
【0027】次に、以下に記載する表1に、チタンある
いはチタン合金から形成したタービン翼の基材に、種々
の溶融拡散硬化層を形成した場合、得られた溶融拡散硬
化層の表面硬度の測定結果を熱処理条件とともに示す。
表1において被覆材とは、溶融拡散硬化層を形成するた
めにタービン翼に付着させた箔の構成材料を示すととも
に、TiCなどのセラミック粒子を含むものは、セラミ
ック粒子と粉末とを容積比で50%の割合で混合した混
合粉末を用いた。 (以下、余白)
【0028】
【表1】
【0029】表1に示す結果から明らかなように本発明
の実施例の溶融拡散硬化層は硬度が十分に高くなってい
ることが明らかとなった。
【0030】一方、図4と図5はチタンあるいはチタン
合金製のタービン翼表面に形成した溶融拡散硬化層の深
さ方向における硬度分布を示すものである。図4は、母
材をチタン製あるいはチタン合金製としたものに対し、
チタンろう材(T5000)の箔を被覆したものを10
50℃で1時間真空加熱して得られた溶融拡散硬化層の
硬度分布を示すものであり、図5は母材をチタン製ある
いはチタン合金製としたものに対し、TiC粒子を容積
比で50%添加したコルモノイNo.4合金の粉末をバ
インダーとともに塗布してから1100℃で1時間真空
加熱して得られた溶融拡散硬化層の硬度分布を示すもの
である。
【0031】図4と図5から明らかなように本願発明に
係る溶融拡散硬化層は表面部分が最も硬く底部側に向か
うにつれて徐々に硬度が低下していることが明らかにな
った。よって本発明に係る溶融拡散硬化層は表面部分に
エロージョンによる損耗が生じても、硬度が急激に低下
することはなくなる。
【0032】一方図6は、チタンからなるタービン翼の
基材に、Ni-25Cr合金の箔を圧着した後に、11
00℃に1時間加熱する溶融拡散処理を施して得られた
試料における溶融拡散硬化層の断面構造を光学顕微鏡で
150倍に拡大して得られた金属組織写真を模式化した
ものである。ここで溶融拡散硬化層は、侵食層11と硬
化層12を有している。図6に示すように硬化層12
は、表面層15と混合層16とからなり、侵食層11
は、接合層17と多数のアンカー部18とからなってい
る。また、図6において下方側の黒色部分が基材のチタ
ンの部分を示している。
【0033】前記溶融拡散硬化層は、被覆材の箔を構成
するNi-25Cr合金と、基材のチタンが相互拡散し
て形成された層である。前記表面層15は、Ti2Ni
なる組成の金属間化合物が析出されて硬化された層であ
る。混合層16と接合層17は、それぞれがチタンとN
iとCrを含有し、混合層16の方が接合層17よりも
NiとCrの含有量が多く含む析出物を有している。ア
ンカー部18は、基材の表面部に柱状に多数食い込んで
形成されたものであり、チタンを主成分とし、これに少
量のNiと微量のCrが含有されたものである。
【0034】ここで以下に柱状のアンカー部18が生成
する理由について推定する。前記箔の構成元素のNiと
基材の構成元素のチタンが2元系合金を構成する場合に
は溶融温度が降下する。この結果、基材と被覆層の界面
に溶融帯が形成され、溶融帯と基材の境界において部分
的に融点が降下した部分(例えば、島状に融点降下する
部分が生じる。)が核となってこの部分から基材の深さ
方向に選択的に溶解し始めて柱状に溶融を開始し、この
溶融部分が冷却時に柱状のアンカー部18として残留す
る。また、アンカー部18の上部側は接合層17と連続
一体化し、接合層17は混合層16に連続一体化し、混
合層16は表面層15に連続一体化したものと思われ
る。
【0035】前記構造によれば、溶融拡散硬化層の全体
にTi2Niで示される組成を有する硬い金属間化合物
が生成するので、全体の硬度が高くなるが、その中で特
に表面層15にTi2Ni金属間化合物が多く生成して
溶融拡散硬化層の表面側の硬度が特に高くなる。これは
後述するように、溶融拡散硬化層の表面部分でのTi含
有量とNi含有量が約2:1の割合になるためであると
思われる。更に、アンカー部18が基材の表面部に食い
込んでいるので、接合層17と混合層16と表面層15
に連続一体化されたアンカー部18のアンカー効果によ
り、基材とこれらの層との接合力は特に高く、硬化部分
に多少の塑性加工を加えてもこれらの層が基材から剥離
することはない。
【0036】次に以下の表2に、溶融拡散層析出物の成
分分析結果を示す。この溶融拡散層は、図6に示す溶融
拡散硬化層の厚さ方向の組成分析結果を示すものであ
る。組成の分析にはX線マイクロアナライザーを用い、
電子線照射により、特定した微小領域から発生する特性
X線の強度を比較する方法を用いた。また、表2の数値
は、溶融拡散層の深さ方向における各層の析出物ごとに
TiとNiとCrの含有量(重量%)の測定結果を示し
ている。
【0037】
【表2】
【0038】表2に示す結果から明らかなように、表面
層の析出物はTiとNiがほぼ2:1の割合で含有され
ており、Ti2Ni金属間化合物が生成するために好ま
しい組成割合となっている。また、表面層と混合層と接
合層の順で析出物のNi含有量が減少し、析出物組成に
勾配が形成されていることも明らかになった。
【0039】
【発明の効果】以上説明したように本発明のタービン翼
は、チタンまたはチタン合金のタービン翼の少なくとも
翼先端前縁部に所定の組成からなる溶融拡散硬化層を形
成したので、タービン翼の少なくとも翼先端前縁部の強
度、耐腐食性、耐摩耗性が向上している。しかもタービ
ン翼の大部分は軽量で比強度の高いチタンからなるので
軽量で耐食性に富むものである。従って本発明のタービ
ン翼によれば発電効率の改善等に伴って要求される長大
化、軽量化が可能となる効果がある。
【0040】また、本発明で用いる溶融拡散硬化層は、
チタンまたはチタン合金製の基材の構成元素とその上に
被覆した被覆材の構成元素との溶融相互拡散により生成
されるたものであり、基材の構成元素と被覆材の構成元
素が共晶温度近傍に加熱されることで相互溶融拡散さ
れ、数mmに達する厚い溶融拡散硬化層が生成すること
となる。なお、基材の構成元素と被覆材構成元素とが反
応することにより金属間化合物、炭化物、ホウ化物など
が生成されてこれらが硬化に寄与する。
【0041】また、本発明で用いる溶融拡散硬化層は、
タービン翼に被覆材を接触させてから溶融拡散させて形
成されるが、基材表面側に被覆材の構成元素が拡散する
とともに被覆材側にも基材構成元素が拡散するので、溶
融拡散硬化層および溶融拡散硬化層と基材との界面部分
は硬さの勾配が緩やかに変化するようになる。よって仮
にエロージョンが進んだとしても表面硬度が急激に低下
することがなく、耐久性に富むものである。また、粉末
状の被覆材としてセラミックス粒子を混入したものを用
い、これによって溶融拡散硬化層を形成し、セラミック
粒子によりさらに硬度を高めるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のタービン翼を示す断面図である。
【図2】実施例1においてタービン翼に被覆材を被覆し
ている工程を説明するための図である。
【図3】タービン翼に粉末を付着させる方法の一例を説
明するための断面図である。
【図4】チタンまたはチタン合金からなるタービン翼の
基材に形成した溶融拡散硬化層の硬度分布を示す図であ
る。
【図5】チタンまたはチタン合金からなるタービン翼の
基材に形成した他の溶融拡散硬化層の硬度分布を示す図
である。
【図6】溶融拡散硬化層の断面組織の顕微鏡写真の模式
図である。
【図7】従来のタービン翼の一例を示す断面図である。
【図8】従来のタービン翼の一例を示す斜視図である。
【符号の説明】
1 翼先端前縁部 2 溶融拡散硬化層 6 タービン翼 7 箔 8 基材
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 清水 輝夫 東京都千代田区大手町一丁目6番1号 三 菱マテリアル株式会社内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 チタンまたはチタン合金からなるタービ
    ン翼の少なくとも一表面部分に溶融拡散硬化層が形成さ
    れ、前記溶融拡散硬化層がチタンまたはチタン合金の構
    成元素とニッケルを含むことを特徴とするタービン翼。
  2. 【請求項2】 チタンまたはチタン合金からなるタービ
    ン翼の少なくとも一表面部分に溶融拡散硬化層が形成さ
    れ、前記溶融拡散硬化層が、炭素、窒素、ホウ素、ジル
    コニウム、銅、タングステン、モリブデン、ニオブの中
    から選択される少なくとも1種以上の元素を含有するこ
    とを特徴とするタービン翼。
  3. 【請求項3】 チタンまたはチタン合金からなるタービ
    ン翼の少なくとも一表面部分に溶融拡散硬化層が形成さ
    れ、前記溶融拡散硬化層がチタンまたはチタン合金の構
    成元素とニッケルを含み、セラミック粒子が分散されて
    なることを特徴とするタービン翼。
  4. 【請求項4】 チタンまたはチタン合金からなるタービ
    ン翼の少なくとも一表面部分に溶融拡散硬化層が形成さ
    れ、前記溶融拡散硬化層が炭素、窒素、ホウ素、ジルコ
    ニウム、銅、タングステン、モリブデン、ニオブの中か
    ら選択される少なくとも1種以上の元素を含有し、セラ
    ミック粒子が分散されてなることを特徴とするタービン
    翼。
JP6536492A 1992-03-23 1992-03-23 タービン翼 Withdrawn JPH05263604A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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