JPH05263078A

JPH05263078A - 連続式竪型コークス炉およびコークス製造方法

Info

Publication number: JPH05263078A
Application number: JP6518292A
Authority: JP
Inventors: Shozo Itagaki; 省三板垣; Yoshio Suzuki; 喜夫鈴木; Nariyasu Mitani; 成康三谷
Original assignee: NKK Corp
Current assignee: JFE Engineering Corp
Priority date: 1992-03-23
Filing date: 1992-03-23
Publication date: 1993-10-12

Abstract

(57)【要約】【目的】連続式竪型コークス炉を中低温で操業し、高
炉操業上問題のない品質のコークスを高能率で製造す
る。【構成】上部に石炭を装入するための押出機を有し、
炭化室が上方から下方に向かって連続しているととも
に、炭化室の両側にある燃焼室は上方から下方に向かっ
て複数に分割されている連続式竪型コークス炉であっ
て、炭化室の両側面に炉長方向に沿って複数箇所石炭を
加圧しながら下方に移動させる石炭加圧移動機を設けた
連続式竪型コークス炉。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明は、石炭を乾留してコー
クスを製造するコークス炉、特に石炭を連続的に乾留す
ることのできる竪型連続式コークス炉に関する。

【０００２】

【従来の技術】連続式竪型コークス炉は、建屋内に納め
ることができ、敷地面積が少なくてすむという利点があ
る上に、操業中にガス漏れや発塵が少ないこと、スチー
ミングを利用してガス発生量を増加させることが可能で
あること、またコークスを高能率で製造できるコークス
炉として知られている。

【０００３】上述した従来の連続式竪型コークス炉を、
図７の側面図で説明すると次のとおりである。すなわ
ち、従来の連続式竪型コークス炉は、炭化室２１が上方
から下方に向かって連続しているとともに、炭化室２１
の両側にある燃焼室２２は上方から下方に向かって複数
に分割されている。そして、石炭２３が炉真上に設けた
石炭ホッパー２４より定期的に補助ホッパー２５に給炭
され、石炭２３は炉底部のコークス排出口２５からコー
クスホッパー２６に排出される度に、炭化室２１を自然
に連続的に降下していく。その降下速度は、コークスの
排出の割合によって決定されるので、コークスの排出
は、装入炭が炭化室２１の下端に達するまでに完全にコ
ークス化されるように調整される。

【０００４】また、石炭およびコークスの降下を容易に
するため、炭化室２１の両側の煉瓦壁間の距離、すなわ
ち窯幅は、炭化室２１の下方にいくにしたがって広くな
っている。石炭２３は炭化室２１内において炉壁から加
熱される以外に、乾留中に発生するガスと蒸気によって
も加熱されており、乾留が能率的に行われる。そして、
降下したコークスは、炭化室２１の最下部から導入され
た蒸気により直接冷却されるとともに、外壁を循環する
冷却用空気によって間接的に冷却される。冷却されたコ
ークスは、機械的に炭化室２１から排出され、一時コー
クスホッパー２６に貯蔵され、適当な時期に所要の場所
に移動される。また、発生した発生ガスはコークス炉の
上部に設けた発生ガス排出孔２７から排出される。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
た従来の連続式竪型コークス炉は次のような問題点があ
るので使用されず、最近ではもっぱら室炉式コークス炉
でコークスを製造するのが一般的となっている。

【０００６】（１）石炭の膨張や熱分解生成物の凝集に
より、炭化室内において棚吊り減少が発生するため、順
調な荷下がりができず、能率的に乾留することが困難と
なる。（２）製造したコークスの粒度および強度等の性状が、
室炉式コークス炉で製造したコークスよりも劣る。

【０００７】このような問題点を解消するために、一定
範囲の粒度および粘結性を有する原料炭を使用する、炭
化室の上下方向のテーパーを変更する、発生ガス通気用
穴を開口する、炭化室の棚吊りが発生しやすい中央部分
を回転式とする、炉上部に圧縮押出機を設ける等の対策
が検討されているが、未だ十分な解決策とはなっていな
い。

【０００８】この発明は、従来技術の上述のような問題
点を解消するためになされたものであり、棚吊りを起こ
さず、製造されたコークスの品質もよい連続式竪型コー
クス炉およびこのコークス炉を使用したコークス製造方
法を提供することを目的としている。

【０００９】

【課題を解決するための手段】この発明に係る連続式竪
型コークス炉は、上部に石炭を装入するための押出機を
有し、炭化室が上方から下方に向かって連続していると
ともに、炭化室の両側にある燃焼室は上方から下方に向
かって複数に分割されている連続式竪型コークス炉であ
って、炭化室の両側面に炉長方向に沿って複数箇所石炭
を加圧しながら下方に移動させる石炭加圧移動機を設け
たものである。

【００１０】また、この発明に係るコークス製造方法
は、上記の連続式竪型コークス炉を使用し、１〜２ｋｇ
ｆ／ｃｍ²圧縮力で断続的に石炭を圧縮しながら、７５
０〜９００℃の乾留到達温度で石炭を乾留してコークス
を製造するものである。また、上記のコークス製造方法
の実施態様としてのコークスを製造は、上記のコークス
製造方法において、炭化室の上下方向複数箇所から、石
炭乾留中に発生するガスを吸引排出するものである。

【００１１】

【作用】この発明に係る連続式竪型コークス炉において
は、炭化室に装入した石炭を、乾留の進行にともない、
炭化室の両側面に炉長方向に沿って設けた複数の石炭加
圧移動機により、乾留中の石炭の一部を両側から挟み込
んで加圧しながら、炭化室の下方側へと移動させてや
る。そして、石炭が前記の石炭加圧移動機よりも下方に
配置した石炭加圧移動機に達したら、ふたたび石炭を加
圧しながら下方側に移動させる。このように、石炭を加
圧しながら次々に炭化室の下方側へと移動させることが
できるので、炭化室内で石炭が棚吊りすることがなく、
コークスが能率よく製造できる。また、石炭を加圧しな
がら乾留することができるので、従来よりも低い乾留到
達温度で乾留しても、コークスの強度が低下することは
ない。

【００１２】また、この発明に係るコークス製造方法に
おいて、１〜２ｋｇｆ／ｃｍ²圧縮力で断続的に石炭を
圧縮しながら、７５０〜９００℃の乾留到達温度で石炭
を乾留してコークスを製造するようにしたのは、次の理
由によるものである。すなわち、コークス製造に使用す
る連続式竪型コークス炉は、押出機や石炭加圧移動機を
備えており、これらの設備が９００℃以上の高温にさら
されると、寿命が極端に短くなるので、乾留到達温度の
上限値を９００℃とした。また、乾留到達温度が７５０
℃未満になると、コークスが２次収縮を経ていないの
で、熱処理を受けると粉々になって、高炉の通気性が悪
くなるとともに、コークスの搬送過程でコークスが破壊
されるので、乾留到達温度の下限値を７５０℃とした。

【００１３】石炭に対する圧縮力を１〜２ｋｇｆ／ｃｍ
²にしたのは、次の理由による。すなわち、乾留到達温
度を従来よりも下げたので、無負荷の状態でコークスを
製造すると、コークスの強度が低下するので、コークス
の強度を従来どうりとするためには、乾留中の石炭に圧
縮力を加えながら乾留する必要があるが、１ｋｇｆ／ｃ
ｍ²未満では強度上昇の効果が小さく、２ｋｇｆ／ｃｍ²
を超えると石炭が破壊されるからである。また、断続的
に圧縮するようにしたのは、特に乾留の初期に断続的に
圧縮すると、連続的に圧縮するのと同じ強度上昇の効果
が表れるのが実験により確かめられたからである。

【００１４】さらには、上記コークス製造方法におい
て、炭化室の上下方向複数箇所から、石炭乾留中に発生
するガスを吸引排出するようにしたのは、上部のみから
ガスを排出するようにすると、上昇途中のガスが凝集し
てタールとなり、棚吊りが発生する可能性があること、
また炭化室の上下方向複数箇所からガスを採取すると、
組成の異なるガスが得られ、Ｈ₂ガスを利用する場合に
はＨ₂ガスリッチな発生ガスを、またＣＨ₄ガスを利用す
る場合にはＣＨ₄ガスリッチな発生ガスを使用するとい
うように、副産物の有効利用が図れるからである。

【００１５】

【実施例】本発明の１実施例の連続式竪型コークス炉
を、図１に基づき説明する。本発明の１実施例の連続式
竪型コークス炉は、上部に石炭を装入するための石炭ホ
ッパー１および石炭圧縮押出機２を有し、炭化室３が上
方から下方に向かって連続しているとともに、炭化室３
の両側にある燃焼室４は上方から下方に向かって複数に
分割されている。そして、隣り合う燃焼室４の間には、
炭化室３に装入されている石炭２３の両側面に接し、石
炭を加圧しながら下方に移動させる複数の石炭加圧移動
機５を配置するとともに、この石炭加圧移動機５の後方
には石炭を乾留中に発生した発生ガスを回収するための
発生ガス回収室６を設け、この発生ガス回収室６に接続
した発生ガス回収配管７により、複数の発生ガス回収室
６から組成の異なる発生ガスを回収するようにしてい
る。

【００１６】本発明の１実施例の連続式竪型コークス炉
は、上述したような構成になっているので、石炭２３を
乾留してコークスを製造する場合には、石炭配合槽３１
から石炭２３を石炭ホッパー１に供給し、石炭ホッパー
１の下部に設けたロータリーフィーダー８を作動させ
て、石炭２３を炭化室３に装入する。そして、石炭圧縮
押出機２を往復動させて、石炭２３を炭化室３の下方へ
と押し込んでいく。このようにして、石炭２３は石炭圧
縮押出機２で圧縮されながら、燃焼室４で発生させた熱
により乾留されかつ下方へと移動していく。そして、石
炭２３が石炭加圧移動機５のある場所に到達すると、相
対して設けられた１対の石炭加圧移動機５により加圧さ
れながら、より下方へと送られていく。さらに、石炭２
３が次に配置した石炭加圧移動機５に達すると、ふたた
び石炭加圧移動機５により加圧されながら、さらに下方
へと送られていく。

【００１７】このように、石炭２３は１箇所に留まるこ
となく降下していき、その間に圧縮された状態で乾留が
進行していく。また、上述したような操業に加えて、上
下方向の複数箇所に設けた発生ガス回収室６から、発生
ガス回収配管７をとおして発生ガスを回収することがで
きるので、発生ガスが上昇途中に凝集してタールが発生
しないので、棚吊りが発生することはない。また、回収
した発生ガスは回収場所によって組成が異なるので、発
生ガスの有効利用が図れる。このようにしてできたコー
クスは、下部の消火室９において冷却用ガスで冷却さ
れ、排出口１０から排出される。

【００１８】図２（ａ）〜（ｃ）は、前述した石炭加圧
移動機５の種々の例を示す側面図である。図２（ａ）
は、石炭２３を１対のロール５ａで圧縮しながら下方へ
と送る形式のものであり、１箇所のロール５ａを複数と
し、これを複数箇所設けるようにしてもよい。図２
（ｂ）は、石炭２３を１対の無端チェーンベルト５ｂで
圧縮しながら下方へと送る形式のものであり、この場合
１対の無端チェーンベルト５ｂ自体を押し込む押し込み
装置が必要である。図２（ｃ）は、炭化室３の一方の炉
壁側に設けた複数の油圧シリンダーの先端に接続した圧
縮部材５ｃで石炭２３を、他方の炉壁３ａの方向にかつ
斜め下方に向けて押し込んで行く方式である。いずれの
形式においても、設置箇所を何箇所にするかは、コーク
ス炉の操業条件により決まるものである。

【００１９】次に、本発明の１実施例のコークス製造方
法を説明する。本発明の１実施例のコークス製造方法に
おいては、図３（ａ）のグラフに示すように、炉の上方
から下方にむけて、炉壁の温度を段階的に高め、最終的
に炉壁の最高温度が９００℃となるように温度コントロ
ールを行う。このようにコントロールすると、石炭から
コークスなるまでの温度履歴は図３（ｂ）のグラフに示
すようになり、乾留到達温度は７５０〜８００℃にな
る。また、石炭を図４のグラフに示すように、断続的に
（例えば３０分間隔）１〜２ｋｇｆ／ｃｍ²の圧縮力で
圧縮する。

【００２０】本発明の１実施例のコークス製造方法にお
いては、上述したような方法でコークスを製造するの
で、コークスの品質を落とすことなく、コークス炉の高
温にさらされる部分の寿命を延ばすことができる。図５
は、従来の高温操業の場合と、表１に示すような操業条
件で本発明の方法を実施した場合とのコークスの品質を
比較したグラフである。

【００２１】

【表１】

【００２２】ＪＩＳドラム強度（ＤＩ³⁰ ₁₅）はほとんど
変わらないか、またはわずか低下するだけである。ま
た、ＪＩＳ反応性は若干上昇するが、高炉の操業を悪化
させる程度のものではなく、従来並のコークスが中低温
操業で製造できることが分かる。

【００２３】次に、上述した本発明の１実施例のコーク
ス製造方法の実施態様のコークス製造方法を説明する。
このコークス製造方法においては、上述したような操業
をしながら、図６に示すように、コークス炉の上下方向
の複数箇所に設けた発生ガス回収室７から、発生ガス回
収配管８をとおして発生ガスを回収するようにしてい
る。このようにして、発生ガスを回収すると、例えば表
２に示すように、異なる組成のガスが回収できるので、
発生ガスを従来よりも有効に活用することができる。

【００２４】

【表２】

【００２５】

【発明の効果】この発明により、連続式竪型コークス炉
で室炉式コークス炉で製造するコークスと同程度の品質
のコークスを棚吊りさせることなく、また中低温で連続
的に製造できるので、設備費および補修費を低減できる
とともに、コークス炉の占める建屋面積を大幅に減少さ
せることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の１実施例の連続式竪型コークス炉の縦
断面図である。

【図２】石炭加圧移動機の種々の例を示す側面図であ
る。

【図３】本発明の１実施例のコークス製造方法における
温度コントロール方法を示すグラフである。

【図４】本発明の１実施例のコークス製造方法における
石炭圧縮方法を示すグラフである。

【図５】本発明法で製造したコークスの品質を従来法で
製造したコークスと比較して示したグラフである。

【図６】本発明の１実施例のコークス製造方法における
発生ガス回収方法を示す説明図である。

【図７】従来の連続式竪型コークス炉の縦断面図であ
る。

【符号の説明】

１石炭ホッパー２石炭圧縮押出機３炭化室４燃焼室５石炭加圧移動機６発生ガス回収室７発生ガス回収配管８ロータリーフィーダー９消火室１０排出口

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】上部に石炭を装入するための押出機を有
し、炭化室が上方から下方に向かって連続しているとと
もに、炭化室の両側にある燃焼室は上方から下方に向か
って複数に分割されている連続式竪型コークス炉であっ
て、炭化室の両側面に炉長方向に沿って複数箇所石炭を
加圧しながら下方に移動させる石炭加圧移動機を設けた
ことを特徴とする連続式竪型コークス炉。
【請求項２】請求項１に記載の連続式竪型コークス炉
を使用し、１〜２ｋｇｆ／ｃｍ²圧縮力で断続的に石炭
を圧縮しながら、７５０〜９００℃の乾留到達温度で石
炭を乾留してコークスを製造することを特徴とするコー
クス製造方法。
【請求項３】請求項２に記載のコークス製造方法にお
いて、炭化室の上下方向複数箇所から、石炭乾留中に発
生するガスを吸引排出することを特徴とするコークス製
造方法。