JPH05259520A - 超電導素子 - Google Patents

超電導素子

Info

Publication number
JPH05259520A
JPH05259520A JP4054764A JP5476492A JPH05259520A JP H05259520 A JPH05259520 A JP H05259520A JP 4054764 A JP4054764 A JP 4054764A JP 5476492 A JP5476492 A JP 5476492A JP H05259520 A JPH05259520 A JP H05259520A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
superconducting
normal
semiconductor
normal conductor
electrode
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP4054764A
Other languages
English (en)
Inventor
Mutsuko Hatano
睦子 波多野
Kazuo Saito
和夫 齋藤
Juichi Nishino
壽一 西野
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Hitachi Ltd
Original Assignee
Hitachi Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Hitachi Ltd filed Critical Hitachi Ltd
Priority to JP4054764A priority Critical patent/JPH05259520A/ja
Publication of JPH05259520A publication Critical patent/JPH05259520A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Superconductor Devices And Manufacturing Methods Thereof (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】高集積化が容易でありかつ多値論理素子である
超電導素子を提供し、また、低消費電力かつ高速で動作
する超電導素子を提供する。 【構成】超電導素子及び回路は、半導体1と超電導体の
接合を有し、サイクロトロン運動とアンドレエフ反射の
二つの現象を用いて制御する。超電導線9に流す電流に
より誘起した磁界によりサイクロトロン運動する半導体
1中のキャリアに対して、アンドレエフ反射を生じさせ
ることによりキャリアの極性を制御する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は超電導素子に係り、特
に、多値論理素子として用いることができる超電導素子
に関する。
【0002】
【従来の技術】超電導体と半導体、あるいは常伝導体を
組合せた超電導素子には、(1)超電導電流を制御電極
に印加した電圧により制御する電界効果タイプと、
(2)準粒子を注入して制御するタイプがある。
【0003】(1)については、ジャーナル オブ ア
プライド フィジクス(J.Apply.Phys.),51巻27
36ページ(1980年)に論じられている。超電導電
極からなるソース,ドレイン電極とゲート電極からな
り、ゲート電極に電圧を印加することにより半導体中の
キャリア濃度を変化させ、ソース,ドレイン電極間を半
導体を介して流れる超電導電流を変調している。
【0004】(2)については、第18回固体素子材料
国際会議(D−7−1,1986)で論じられており、
その構造はベース電極に超電導体を用いている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上記(1)の従来の電
界効果型超電導素子は、0.5V 以上の電圧を印加しな
ければ動作しなかった。さらにスイッチ特性を向上させ
るためには、デバイス容量、特にゲート容量を非常に小
さくし、半導体中の不純物の分布を最適化し、素子の寸
法を微細化するなどの製造上の技術課題を有し、大規模
な集積回路の構成は困難であった。
【0006】また上記(2)の従来の注入型の超電導素
子は、半導体と超電導体の間に形成されるショットキバ
リアを介して電子を注入して動作する。このようなデバ
イスで利得を向上させるには、電子をバリステイックに
ベース電極を通過させる必要があり、このためベース電
極の厚さを極めて薄くしなければならなかった。しかし
超電導特性を劣化させずに超電導体の膜厚を薄くするこ
とは技術的な困難が伴うため、利得の高い素子を製造す
る上で難点を有しており、この場合にも大規模な集積回
路の構成は難しかった。
【0007】さらに、両者の素子は、いわゆる、2値論
理の素子であり、従ってシステムを構成しようとする場
合には、多数の素子で複雑な回路設計を行なう必要があ
った。
【0008】本発明の第1の目的は、高集積化が容易で
ありかつ多値論理素子である超電導素子を提供すること
にある。本発明の第2の目的は、低消費電力かつ高速で
動作する超電導素子を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記第1,第2の目的
は、常伝導体に電子波を入射する手段と常伝導体の電子
波を検出する手段の間に、少なくとも一つの超電導体と
常伝導体との接合を形成し、常伝導体に磁界を印加する
ことにより、常伝導体中の電子波の運動方向を制御する
ことによって達成される。さらに、より明瞭に電子波の
干渉を生じさせるために超電導体と常伝導体の接合の界
面における電子波の位相を制御するための手段を有する
とよい。
【0010】より具体的には、常伝導体に電子波を入射
する手段は、二つの障壁の間に離散的なポテンシャルエ
ネルギ準位を持つ量子化された少なくとも一つの井戸型
ポテンシャルで構成されているとよい。
【0011】また、本発明の超電導素子を用いることに
より、容易に多値論理回路を構成することができる。さ
らにこの素子を、記憶回路,アナログ/デジタル変換回
路,パリティービット発生回路等として機能させること
ができる。
【0012】
【作用】電子のサイクロトロン運動は公知の事実であ
る。二次元xy平面内を動く電子に、面に垂直、すなわ
ち、z軸方向に磁場Hをかけると、古典的には電子は円
運動をする。この軌道をサイクロトロン軌道と呼ぶ。電
子の質量をm,その電荷を−e,光速をcとすると、サ
イクロトロン運動の角振動数ωは、ω=eH/mcとな
る。したがって、磁場によりサイクロトロン運動の軌道
半径の大きさが変化する。すなわち、磁場を大きくして
いくとサイクロトロン運動の軌道半径が小さくなる。
【0013】一方、超電導体と常伝導体の界面で生じる
アンドレエフ反射と呼ばれる量子力学的な超電導電子波
の反射も公知である。電子が常伝導体から超電導体に入
射すると、超電導体中では逆向きの運動量とスピンをも
った別の電子と超電導電子対を形成し、フェルミ面上に
ボーズ凝縮する。これに伴って、入射電子と逆向きの運
動量をもった正孔が常伝導体中に戻ってくる現象であ
る。
【0014】本発明は、以上二つの現象を用いて制御す
る超電導素子である。すなわち、サイクロトロン運動を
行っているキャリアに対してアンドレエフ反射を生じさ
せることにより、キャリアの極性を制御する。
【0015】図1を用いて素子の動作を詳細に説明す
る。図1において、1は半導体、2は超電導電極、3と
4は常伝導電極である。これにより常伝導電極3から微
小接合を介してキャリア(電子または正孔)を半導体1
中に注入する。また、半導体1中のキャリアを微小接合
を介した常伝導電極4で検出する。接合内でのキャリア
の散乱を減少させるために、微小接合の直径は平均自由
行程以下になるようにする。これにより、常伝導電極3
と半導体1の間に印加する電圧により注入するキャリア
の有するエネルギを変化させることができる。
【0016】常伝導電極3から半導体1中に電子を注入
して図中に示した方向に磁界を印加すると、電子は半導
体1中でサイクロトロン運動をうける。この電子は極性
を変えずに常伝導電極4で検出される。これにより常伝
導電極4の電位は低下する。さらに印加する磁界を大き
くしていくとサイクロトロン運動の半径が小さくなる。
このため、電子は超電導電極2と半導体1の界面に衝突
する。この際に界面で、アンドレエフ反射を受け、キャ
リアの極性が変化する。電子から正孔に変換されたキャ
リアは、常伝導電極4で検出される。これにより常伝導
電極4の電位は増加する。
【0017】さらに印加する磁界を大きくしていくと、
サイクロトロン運動の半径が小さくなり、超電導電極2
と半導体1の界面で2回のアンドレエフ反射を受ける。
このため1回目のアンドレエフ反射で電子から正孔へと
変換されたキャリアは、2回目のアンドレエフ反射によ
り再び電子に変換される。これにより電子が常伝導電極
4で検出され、ここでの電位は低下する。
【0018】すなわち、半導体1と超電導電極2の界面
で奇数回のアンドレエフ反射を受ける場合、常伝導電極
4の電位は高くなる。一方、偶数回のアンドレエフ反射
を受ける場合、常伝導電極4の電位は低下する。したが
って印加する磁界により、電位はステップ状に‘高(以
下‘1’状態と記す)’と‘低(以下‘0’状態と記
す)’に変化する。
【0019】図2は、磁界と常伝導電極4の電位との関
係を示す。等間隔の磁界で出力電圧の増減が交互に現わ
れ周期的に変化する。異なった制御の条件において抵
抗,電圧が同一の値を実現し、これを2値以上の多値の
論理に対応させて動作させることができる。このような
特性は、多値論理を構成することが容易であり、多値論
理回路を1つの素子で実現することを可能とする。また
常伝導電極3,4間の距離は0.5μm 以下であるた
め、一つの素子の大きさは微小となり、高集積化が可能
となる。さらに、高速で動作させることができる。
【0020】
【実施例】<実施例1>図3は本発明の第1の実施例で
ある超電導素子の断面構造を表す。図3において、1は
Siからなる半導体、2はNb材料からなる膜厚200
nmの超電導電極、3と4はAlからなる膜厚200n
mの常伝導電極である。常伝導電極3から微小接合を介
してキャリア(電子または正孔)を半導体1中に入射す
る。また、半導体1中のキャリアを微小接合を介した常
伝導電極4で検出する。接合内でのキャリアの散乱を減
少させるために、1と3、及び1と4の微小接合の直径
は平均自由行程以下になるようにする。これにより、常
伝導電極3と半導体1の間に印加する電圧によって、注
入するキャリアのエネルギを変化させることができる。
【0021】一方、Nbからなる超電導電極8から超電
導線9に電流を流すと、超電導線9の周囲に磁界が誘起
される。このため、常伝導電極3から入射された電子は
半導体1中でサイクロトロン運動を受ける。この電子は
界面での反射を受けないので、キャリアの極性を変えず
に電子が常伝導電極4で検出される。これにより常伝導
電極4の電位は低下する。さらに超電導線9に流す電流
を増加することにより印加する磁界を大きくしていく
と、キャリアのサイクロトロン運動の半径が小さくな
る。このため、電子は超電導電極2と半導体1の界面に
衝突するようになる。この場合、界面においてアンドレ
エフ反射が生じ、キャリアの極性が変化する。従って、
電子は正の極性を有する正孔に変換され、常伝導電極4
で検出される。これにより常伝導電極4の電位は増加す
る。
【0022】さらに超電導線9に流す電流を増加するこ
とにより印加する磁界を大きくしていくと、サイクロト
ロン運動の半径が小さくなり、超電導電極2と半導体1
の界面で2回のアンドレエフ反射を受けるようになる。
このため1回目のアンドレエフ反射で電子から正孔へと
変換したキャリアは、2回目のアンドレエフ反射により
再び電子に変換する。これにより電子が常伝導電極4で
検出され、ここでの電位は低下する。すなわち、半導体
1と超電導電極2の界面で奇数回のアンドレエフ反射を
受ける場合、常伝導電極4の電位は高くなる。一方、偶
数回のアンドレエフ反射を受ける場合、常伝導電極4の
電位は低下する。したがって誘起した磁界の大きさによ
り、常伝導電極4と半導体1間の電圧はステップ状に
‘1’状態と‘0’状態に変化する。磁界の大きさは、
電極8から超電導線9に流す電流に比例して変化する。
したがって、この電流を入力信号に対応させ、常伝導電
極4の電圧を出力信号に対応させた素子を実現すること
ができる。
【0023】この素子の製造方法について説明する。S
iからなる基板20の上に、分子線エピタキシ(MB
E)法によってNbを成長させた後、ホトリソグラフィ
とドライエッチングを用いて幅1.0μm の超電導線9
を形成する。続いてSi膜を分子線エピタキシ(MB
E)法によって成長させて、1×1024/m3 程度の砒
素をドープする。続いて化学気相成長(CVD)法によ
りSiO2 からなる層間絶縁膜5を成膜した後、半導体
1と常伝導電極3、及び半導体1と常伝導電極4の微小
な接合を形成するために、電子線描画法を用いてレジス
トパターンを形成して、これをマスクとして層間絶縁膜
5をドライエッチングにより加工する。次に抵抗加熱蒸
着法によりAl膜を成膜した後、ホトリソグラフィとド
ライエッチングを用いて常伝導電極3と4を形成する。
最後に分子線エピタキシ(MBE)法によってNbを成
長させ、ホトリソグラフィとドライエッチングを用いて
加工して超電導電極2を形成することにより本実施例で
示した素子を作製することができる。
【0024】図4にこの素子を4.2K の液体ヘリウム
中で動作させた特性を示す。横軸は超電導線9に流す電
流であり、入力信号に対応する。縦軸は電極4と半導体
1の間の電圧であり、出力信号に対応する。電流が5μ
Aで電圧は‘1’、2倍の10μAで電圧は‘0’、3
倍の15μAで電圧は‘1’、4倍の20μAで電圧は
‘0’、と電圧はステップ状に‘1’と‘0’に変化す
る。出力信号の増減が交互に現われ周期的に変化する。
異なった制御の条件において出力信号が同一の値を実現
し、これを2値以上の多値の論理に対応させて動作させ
ることができる。このような特性は、多値論理を構成す
ることが容易であり、多値論理回路を一つの素子で実現
することを可能とする。
【0025】本実施例によれば、小さい制御電流で素子
の電流電圧特性を変調することができるため、消費電力
が小さい超電導素子を得ることができる。また、多値論
理が扱える素子を実現できる効果がある。さらに、一つ
の素子の寸法が微細であるため高集積化に適した素子で
あり、配線遅延,寄生容量などの影響が小さく高速の動
作を実現することができる効果がある。なお本実施例で
は、電子を注入するための電極に常伝導体を用いたが、
超電導体を用いても同様の効果が得られる。さらにキャ
リアの注入の手段を、トンネル障壁層を介した超電導電
極を用いて構成しても同様の効果が得られる。また本実
施例では1本の超電導線を用いたが、複数本の超電導線
を用いてもよい。この場合、閾値論理などが容易に構成
できるため、並列処理を行う素子を実現することができ
る。
【0026】<実施例2>図5は本発明の第2の実施例
である超電導素子の断面構造を表す。図において、1は
GaAsからなる半導体、2はNb材料からなる膜厚2
00nmの超電導電極、4はAlからなる膜厚200n
mの常伝導電極である。また、10は入射電極となる膜
厚200nmの1×1024/m3 の高濃度にドープした
n−GaAs、11は膜厚10nmのAlGaAs、12
は膜厚80nmのGaAsであり交互に積み上げられ量
子井戸を構成している。量子井戸内では、電子の取りう
る許容エネルギ準位が量子化される。このエネルギ準位
は材料の種類,不純物濃度,寸法、特に膜厚をより変化
させることができる。ポテンシャルの井戸のエネルギ準
位と半導体1の準位が同列に揃った場合、量子井戸から
半導体中にキャリアが入射する。このため、特定のエネ
ルギを有する電子を入射させることができる。
【0027】図6に常伝導電極3と半導体1の間の電流
電圧特性を示す。特定の電圧で入射された電子は、半導
体1中を第1の実施例で示したキャリアの動きと同様に
運動する。
【0028】この素子の製造方法について説明する。半
絶縁GaAsからなる基板20上に分子線エピタキシ
(MBE)法によってNbを成長させた後、ホトリソグ
ラフィとドライエッチングを用いて幅1.0μm の超電
導線9を形成する。続いて分子線エピタキシ(MBE)
法によってSiを1×1024/m3程度ドープしたGaA
sを成長させた後、Al0.3Ga0.7As,GaAs,A
0.3Ga0.7Asの順に交互に成長させ量子井戸を形成
する。
【0029】続いてSiを1×1024/m3 程度ドープ
したGaAs層を成長させる。次にホトリソグラフィと
ドライエッチングを用いて電子の入射電極を作製する。
続いて化学気相成長(CVD)法によりSiO2 からな
る層間絶縁膜5を成膜した後、半導体1と常伝導電極4
の微小な接合を形成するために、電子線描画法を用いて
レジストパターンを形成して、これをマスクとして層間
絶縁膜5をドライエッチングにより加工する。次に抵抗
加熱蒸着法によりAl膜を成膜した後、ホトリソグラフ
ィとドライエッチングを用いて電極4を形成する。最後
に分子線エピタキシ(MBE)法によってNbを成長さ
せ、ホトリソグラフィとドライエッチングを用いて超電
導電極2を形成し、本実施例で示した素子を作製するこ
とができる。
【0030】本実施例によれば、小さい制御電流で素子
の電流電圧特性を変調することができるため、消費電力
が小さい超電導素子を得ることができる。特に量子井戸
を用いたことにより、特定のエネルギを有するキャリア
の変化を検出することができるため、入出力分離の良好
で利得向上を図ることができる。さらに、多値論理が扱
える素子を実現できる効果がある。さらに、一つの素子
の寸法が微細であるため高集積化に適した素子であり、
配線遅延,寄生容量などの影響が小さく高速の動作を実
現することができる効果がある。
【0031】<実施例3>図7は本発明の第3の実施例
である超電導素子の断面構造を表す。図において、1は
Siからなる半導体、13,14はNb材料からなる膜
厚200nmの超電導電極、4はAlからなる膜厚20
0nmの常伝導電極である。13と14の超電導電極の
間には、不純物として砒素を導入したSiからなる厚さ
150nmの半導体15が、半導体1上に接して設けら
れている。さらに、半導体15上には熱酸化Si膜から
なる厚さ10nmのゲート絶縁膜16を介して多結晶S
i膜からなる厚さ100nmのゲート電極17が接続さ
れている。
【0032】この素子は、ゲート電極17に印加する電
圧でSi半導体15のキャリア濃度を変調することによ
り動作する。超電導体と半導体を接触させると、超電導
近接効果により超電導電子対が半導体中に浸透する。こ
れにより半導体は、超電導的な性質を有するようにな
る。また、半導体中のキャリア濃度が高くなると、超電
導電子対の浸透範囲は長くなる。図7に示した素子の場
合、超電導体13と14のそれぞれから半導体15に超
電導電子対が浸透している。ゲート電極17に正電圧を
印加すると、半導体中のキャリアが増加して超電導的な
結合が起こり、半導体が超電導性を有するようになる。
超電導電極8から超電導線9に電流を流すことにより磁
界を誘起すると、常伝導電極3から入射した電子はサイ
クロトロン運動を受ける。半導体15が超電導性を有し
ている場合、半導体15と半導体1の界面でアンドレエ
フ反射を受けるため、キャリアの極性が変換して常伝導
電極4に達する。一方、半導体15が超電導性を有さな
い場合、半導体15と半導体1の界面で通常の反射を受
けるため、キャリアの極性が変換しないで常伝導電極4
に達する。従って、ゲート電圧により半導体1と常伝導
電極4の間の電圧を変化させることができる。
【0033】この素子の製造方法について説明する。第
1の実施例(図3)で示した製造方法に加え、ゲート電
極の作製方法を記述する。Siからなる半導体の表面上
に固相成長法によりSi単結晶膜を成長させた後、ホト
リソグラフィとドライエッチングを用いて加工して半導
体15を形成する。続いて熱酸化Si膜と多結晶Si膜
を形成して、電子線描画法によりゲート電極のレジスト
パターンを形成する。このパターンをマスクとして、ド
ライエッチングにより熱酸化Si膜と多結晶Si膜を幅
0.3μm に加工して、ゲート絶縁膜16とゲート電極
17を作成する。次に、分子線エピタキシ(MBE)法
によってNbを成長させた後、電子線描画とドライエッ
チングにより二つの超電導電極13,14に分離するこ
とにより、本実施例で示した素子を作製することができ
る。
【0034】図8にこの素子を4.2K の液体ヘリウム
中で動作させた特性を示す。横軸は超電導線9に流す電
流であり、第1の入力信号に対応する。縦軸は電極4と
半導体1の間の電圧であり、出力信号に対応する。さら
にゲート電極に印加する電圧は、第2の入力信号に対応
する。ゲート電極に電圧を印加しない状態では(Vg=
0)、実線で示したような特性となる。すなわち、出力
信号は特定の第1の入力信号において、‘0’となる。
ゲート電極に電圧を印加すると(Vg≠0)、破線で示
したような特性となる。すなわち、出力信号は特定の入
力信号において、‘1’と‘0’が交互になる。従っ
て、多入力であり、かつ多値の論理に対応した素子とな
る。
【0035】本実施例によれば、小さい制御電流で素子
の電流電圧特性を変調することができるため、消費電力
が小さい超電導素子を得ることができる。また、多値論
理が扱える素子を実現できる効果がある。さらに、一つ
の素子の寸法が微細であるため高集積化に適した素子で
あり、配線遅延,寄生容量などの影響が小さく高速の動
作を実現することができる。
【0036】<実施例4>図9は本発明の第4の実施例
である超電導素子の断面構造を表す。図において、1は
Siからなる半導体、7はNb材料からなる膜厚200
nmの超電導電極であり、半導体1中に埋め込まれてい
る。3,4はAlからなる膜厚200nmの常伝導電極
である。
【0037】第1の実施例で説明したように、常伝導電
極3から入射されたキャリアは、半導体1中で超電導線
9の電流の大きさに対応したサイクロトロン運動を行
う。キャリアが半導体1中に埋め込まれている超電導電
極7に衝突すると、アンドレエフ反射が生じてキャリア
は常伝導電極3に戻る(経路a)。超電導電極7に衝突
しない場合は、そのままサイクロトロン運動を続けて常
伝導電極4に達する(経路b)。すなわち、超電導電極
7によりキャリアの通る範囲が限定される。この範囲は
超電導電極7の厚さにより制御することができる。
【0038】この素子の製造方法について説明する。S
iからなる基板20の上に、分子線エピタキシ(MB
E)法によってNbを成長させた後、ホトリソグラフィ
とドライエッチングを用いて幅1.0μm の超電導線9
を形成する。続いてSi膜を分子線エピタキシ(MB
E)法によって成長させて、1×1024/m3 程度の砒
素をドープする。再び、分子線エピタキシ(MBE)法
によって膜厚200nmのNbを成長させた後、ホトリ
ソグラフィとドライエッチングを用いて幅0.5μmの
超電導電極7を形成する。次にSi膜を分子線エピタキ
シ(MBE)法によって成長させて、1×1024/m
3 程度の砒素をドープする。続いて化学気相成長(CV
D)法によりSiO2 からなる層間絶縁膜5を成膜した
後、半導体1と常伝導電極3、及び半導体1と常伝導電
極4の微小な接合を形成するために、電子線描画法を用
いてレジストパターンを形成して、これをマスクとして
層間絶縁膜5をドライエッチングにより加工する。次に
抵抗加熱蒸着法によりAl膜を成膜した後、ホトリソグ
ラフィとドライエッチングを用いて常伝導電極3と4を
形成して、本実施例で示した素子を作製することができ
る。
【0039】図10にこの素子を4.2K の液体ヘリウ
ム中で動作させた特性を示す。横軸は超電導線9に流す
電流であり、入力信号に対応する。縦軸は電極4と半導
体1の間の電圧であり、出力信号に対応する。入力電流
が5μAより上から20μA未満の入力信号の特定の範
囲で出力電圧を基準電位の一定にすることができる。異
なった制御の条件において出力信号が同一の値を実現
し、これを2値以上の多値の論理に対応させて動作させ
ることができる。このような特性は、多値論理を構成す
ることが容易であり、多値論理回路を一つの素子で実現
することを可能とする。
【0040】本実施例によれば、小さい制御電流で素子
の電流電圧特性を変調することができるため、消費電力
が小さい超電導素子を得ることができる。また、多値論
理が扱える素子を実現できる効果がある。さらに、一つ
の素子の寸法が微細であるため高集積化に適した素子で
あり、配線遅延,寄生容量などの影響が小さく高速の動
作を実現することができる効果がある。
【0041】以上実施例に示した超電導材料には転移温
度が9.2K のNbを用いたが、これに替えてNbNな
どのNbの化合物,Pb合金,Al,Sn,In、やこ
れの合金を用いてもよい。さらには酸化物超電導体や有
機物超電導体を用いてもよいことは言うまでもない。例
えばLaSrCuO,YBaCuO,BiSrCaCuOな
どの組成で表される物質に代表される酸化物超電導体を
用いることは、素子の高温超電導動作からも望ましく、
同様の効果を得ることができる。
【0042】以下、第1,第2,第3,第4の実施例で
示した多値論理素子から構成される本発明による回路を
説明する。
【0043】<実施例5>図11は、第5の実施例であ
る超電導回路を表わす。この回路は、入力信号の周波数
を変調して出力する周波数変換回路を示す。キャリアは
抵抗R2を介して半導体中に入射される。また抵抗R1
を介して信号が入力される。
【0044】図12は入力信号が交流電流の場合の時間
に対する信号の変化を示す。入力電流が正の間は、半導
体中に入射されたキャリアはサイクロトロン運動を受
け、負荷抵抗R側に到達する。さらに電流の変化に伴
い、キャリアの極性が周期的に変化することにより、負
荷抵抗Rの電圧も周期的に変化する。このため、入力信
号の周波数をn倍に変換することができる。一方、入力
信号が負になるとキャリアは正の電流と180度回転し
てサイクロトロン運動を受ける。このためキャリアは負
荷抵抗Rに到達することはない。従って出力電圧は、交
流の入力信号が負の間は一定値をとる。従来では、周波
数変換回路に複数個の素子が必要であったが、図11に
示す回路では同じ機能を本発明による単一の素子で達成
することができる。したがって、高集積化を図ることが
でき、配線遅延などの影響が小さく高速の超電導回路を
実現することができる。
【0045】<実施例6>図13は、第6の実施例であ
る超電導回路を表わす。この回路は、入力信号の‘1’
の数の奇数と偶数を出力するパリティービット発生回路
を示す。20,21,22は超電導線であり、三つの入
力信号線に対応する。この回路は素子の入力側に三つの
入力ビットを加え合わせてステップ状の波形を発生させ
る。
【0046】図14は回路の平面構造図を表わす。抵抗
2 によって調整された素子の静的なバイアスおよび抵
抗R1 の値は、合計電圧の連続ステップにおいて、
‘1’および‘0’の入力電流レベルで交互に素子の動
作点を選択するように選ばれる。
【0047】図15に入力信号による出力信号の変化を
示す。素子の出力電圧は、入力ビットのハイの数が偶数
か奇数かによって‘1’または‘0’となる。従来、3
個の排他的ORを用いる最適化されたパリティービット
回路に18個のトランジスタが必要であったが、図13
に示す回路では同じ機能を本発明による単一の素子で達
成することができる。このため高集積化を図ることがで
きる。さらに、従来のパリティー発生回路はある時点で
の二つの入力ビットを階層的に比較するが、本発明の回
路では、すべての入力ビットが同時に処理され、これに
よって高速動作を達成することができる。
【0048】<実施例7>図16は、第7の実施例であ
る超電導回路を表わす。この回路は、アナログ信号をデ
ジタル信号に変換するアナログ/デジタル変換回路であ
る。アナログ入力Viが並列に三つ接続された超電導素
子に同時に印加される。こうして出力は、量子化された
二進コードになる。従来では、周波数変換回路に複数個
の素子が必要であったが、図16に示す回路では同じ機
能を本発明による単一の素子で達成することができる。
このため、高集積,高速化を図ることができる。
【0049】
【発明の効果】本発明によれば、従来技術の持つ欠点を
解決し、消費電力が小さくスイッチング速度の高速な超
電導素子を提供することができる。また、多値論理が扱
える素子を実現し、多機能を有する超電導素子の回路,
システムを実現できる。さらに一つの素子の寸法が微細
であり、この素子を用いて高集積回路を実現することが
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の原理を表わす基本構造の説明図。
【図2】本発明の原理を表わす特性図。
【図3】本発明の第1の実施例における素子の断面図。
【図4】本発明の第1の実施例における素子の特性図。
【図5】本発明の第2の実施例における素子の断面図。
【図6】本発明の第2の実施例における素子の入力側の
特性図。
【図7】本発明の第3の実施例における素子の断面図。
【図8】本発明の第3の実施例における素子の特性図。
【図9】本発明の第4の実施例における素子の断面図。
【図10】本発明の第4の実施例における特性図。
【図11】本発明の第5の実施例における超電導回路
図。
【図12】本発明の第5の実施例における超電導回路の
特性図。
【図13】本発明の第6の実施例における超電導回路
図。
【図14】本発明の第6の実施例における超電導回路の
平面図。
【図15】本発明の第6の実施例における超電導回路の
特性図。
【図16】本発明の第7の実施例における超電導回路
図。
【符号の説明】
1,2,8…超電導電極、3,4…常伝導電極、5…層
間絶縁膜、9…超電導線、20…基板。

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】第1の常伝導体の表面に対向して設けた二
    つの第2,第3の常伝導体あるいは超電導体の間に、少
    なくとも一つの超電導体と上記第1の常伝導体との接合
    を有する構造であり、上記第1の常伝導体に電子波を入
    射する手段と上記第1の常伝導体中の電子波を検出する
    手段を含むことを特徴とする超電導素子。
  2. 【請求項2】請求項1において、上記第1の常伝導体に
    磁界を印加することにより、上記常伝導体中の電子波の
    運動方向を制御するための手段を含む超電導素子。
  3. 【請求項3】請求項2において、上記磁界を印加する手
    段は、超電導線よりなる超電導素子。
  4. 【請求項4】請求項1において、上記超電導体と常伝導
    体の接合の界面における電子波の位相を制御するための
    手段を有する超電導素子。
  5. 【請求項5】請求項1において、上記第1の常伝導体に
    電子波を入射する手段は、二つの障壁の間に離散的なポ
    テンシャルエネルギ準位を持つ量子化された少なくとも
    一つの井戸型ポテンシャルで構成されて第1の常伝導体
    と接続されており、上記井戸型ポテンシャルと上記常伝
    導体の間に選択的にバイアス電圧を印加することによ
    り、上記常伝導体に電子波を入射する超電導素子。
  6. 【請求項6】請求項5において、上記量子化された井戸
    型ポテンシャルは、二つのAlGaAsではさまれたGaAs
    で構成される超電導素子。
  7. 【請求項7】第1の常伝導体の表面に対向して設けた二
    つの第2,第3の常伝導体あるいは超電導体の間に、表
    面に対向した一対の超電導体が半導体を介して接合を構
    成しており、上記半導体に電界を印加する手段を含むこ
    とを特徴とする超電導素子。
  8. 【請求項8】第1の常伝導体の表面に対向して設けた二
    つの第2,第3の常伝導体あるいは超電導体の間に、上
    記常伝導体中に超電導体が埋め込まれたことを特徴とす
    る超電導素子。
  9. 【請求項9】請求項8において、上記素子が、多値論理
    回路として機能させる手段を有する超電導素子。
  10. 【請求項10】請求項8において、上記素子が、周波数
    変換回路として機能させる手段を有する超電導素子。
  11. 【請求項11】請求項8において、上記素子が、パリテ
    ィービット発生回路として機能させる手段を有する超電
    導素子。
  12. 【請求項12】請求項8において、上記素子が、アナロ
    グ/デジタル変換回路として機能させる手段を有する超
    電導素子。
JP4054764A 1992-03-13 1992-03-13 超電導素子 Pending JPH05259520A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP4054764A JPH05259520A (ja) 1992-03-13 1992-03-13 超電導素子

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP4054764A JPH05259520A (ja) 1992-03-13 1992-03-13 超電導素子

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH05259520A true JPH05259520A (ja) 1993-10-08

Family

ID=12979844

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP4054764A Pending JPH05259520A (ja) 1992-03-13 1992-03-13 超電導素子

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH05259520A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Zhou et al. A field effect transistor based on the Mott transition in a molecular layer
EP0828296B1 (en) High temperature superconductivity in strained Si/SiGe
US6891744B2 (en) Configurable nanoscale crossbar electronic circuits made by electrochemical reaction
JPS60142580A (ja) トランジスタ装置
EP0160456B1 (en) Superconducting device
Nguyen et al. InAs‐AlSb quantum well as superconducting weak link with high critical current density
US4902912A (en) Apparatus including resonant-tunneling device having multiple-peak current-voltage characteristics
US4853753A (en) Resonant-tunneling device, and mode of device operation
JPH06196766A (ja) 超伝導トランジスタ
JPS6184063A (ja) 読み出し専用メモリ
US5793055A (en) Hybrid electronic devices, particularly Josephson transistors
US6573526B1 (en) Single electron tunneling transistor having multilayer structure
US4488164A (en) Quantized Hall effect switching devices
JPH05259520A (ja) 超電導素子
JPH0562474B2 (ja)
JP2986819B2 (ja) 超電導デバイス
Kleinsasser et al. Three terminal devices
Fang et al. A silicon double switching inversion-controlled switch for multiple-valued logic applications
KR910003836B1 (ko) 초전도장치
Hato et al. Comparison of Si and InSb as the normal layer of SNS junctions
Tamura et al. A superconducting resonant tunneling transistor with insulating base layer
JP2624666B2 (ja) 超伝導素子
Cahay Superconductor-semiconductor hybrid devices
Lachenmann et al. Novel hybrid Nb/InAs/Nb step junctions
JPH05129670A (ja) 超電導素子